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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年12月9日(金)9時40分~10時07分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日、会期末ということもございまして、郵政改革法案について閣僚懇で発言させていただきました。これは後からご質問があるかと思いますけれども、郵政改革法案は(2009年8月の衆議院)選挙の前から、(民主党・国民新党・社民党の)三党で6つの公約を決めましたけれども、その公約の一つでございまして、そう言ったことで歴代民主党の代表がきちんと国民新党の代表と、2年間約束してきていただいたわけでございますけれども、残念ながら成立に至りませんでした。

しかし、そうは言っても、今回、野田総理と亀井(国民新党)党首の間できちんとやるということを約束してくれまして、郵政改革特別委員会の赤松委員長の下で、実は1年半ぶりに郵政改革法案の趣旨の説明ができたのは事実でございます。昨日は委員長の招待というのがございまして、武正民主党の筆頭理事、また森山自民党筆頭理事をはじめ、与野党の理事が来られました。私も郵政改革特別委員会委員長が、与野党の理事を入れて、会合を行うのは、初めてだったもので、匍匐前進、一歩一歩確実に前進しつつあるという感触は持っております。

しかし、三党で修正協議をやるということは、その辺は今日、野田総理からも、輿石民主党幹事長が責任を持ってやる、全責任を持つということをはっきり言われましたので、閉会中に三党の修正協議を水面下でやっていくようでございます。これは党のことでございますから、輿石さんが全責任を持ってやるということを、総理も閣僚懇の席で言われましたので、そのことを最初に申し上げておきたいと思っております。

【質疑応答】

問)

昨日、七十七銀行が、改正(金融)機能強化法に基づいて公的資金を申請しました。七十七銀行に対する評価と、これまで、筑波銀行、仙台銀行の二つの事例がありまして、今回で三つ目、額としては合計で850億円になろうかと思いますけれども、これまでの実績の評価をお願いいたします。

答)

昨日、金融機能強化法の震災特例に基づいて、七十七銀行に対して200億円の資本参加の決定を行わせていただきました。七十七銀行といいますと、東北地方では一番預金の多い地方銀行だということは、皆さん方、ご存じだと思いますけれども、当行には、今般の資本参加を通じて金融仲介機能の一層の強化を図り、東日本大震災の被災者の事業や生活の再建に向けて円滑な信用供与に努めるとともに、被災地域の復旧・復興に向けた支援に積極的かつ継続的に貢献されることを期待いたしております。

被災地域の金融機関をはじめとする各金融機関においては、もう手を挙げていただいたところもございますけれども、これは基本的に何度も言っておりますように、民間金融機関でございますから経営者の判断でございます。その経営判断として、資本増強が適当と判断された場合には、金融機能強化法の活用について積極的に検討していただきたいということを考えております。当庁といたしましても、こうした相談等に、積極的かつ前向きに応じてまいりたいと思っております。

問)

オリンパスなのですけれども、今週火曜日に第三者委員会調査結果が公表されまして、翌日に法務省の法制審議会の方でも会社法の中間試案が公表されて、ガバナンスの強化策というのが打ち出されていると思うのですけれども、改めましてオリンパスの第三者委員会調査報告、あるいはその翌日の会社の改善策の公表を受けて、金融庁として法制度であるとか、仕組みの改善策というのをどのように検討していくのか教えてください。

答)

この前のぶら下がり(会見)でも、第三者委員会調査報告の公表があった後、皆さん方から色々なご質問を受けたわけでございますけれども、一般論として申し上げれば、企業において経営に対する監査機能が十分に発揮されていることは、当たり前なことですけれども、良質な経営を確保する上で非常に重要であると考えております。第三者委員会から、調査報告書の公表がなされたことは承知しておりますが、調査報告書にもあるように、オリンパス社で1990年代より損失の先送りが行われていたことについては、前々から申し上げているとおりでございますけれども、適切な情報開示や投資者保護の観点から極めて遺憾だと思っております。内外の投資家により、我が国市場の公正性・透明性に対し、疑念を持たれることは憂慮すべきことでありまして、こうした観点から、まずは、会社が、今回の調査報告書を踏まえ、企業統治を適切に発揮するとともに、一刻も早く正確な情報を明らかにすることが重要だと思っております。

オリンパスは、当期12月14日に、過去5年分の訂正有価証券報告書と、この前も申し上げましたように、本年の7月から9月までの四半期報告(書)を提出することを表明しておりますので、そういったことを踏まえて、金融庁としては、今後の会社側の対応を注視してまいりたいと思っております。

それから、やはり基本的に、私はこの前も申し上げましたように、正確な実態把握と解明・及び迅速な情報開示が行われること、また行政としても、法と証拠に基づいて、この問題は厳正に対処していくことが大事だと思っております。そういった意味で、例えば報告書の中にも(証券取引等)監視委員会のことについて記載がございますが、(証券取引等)監視委員会に関することは、当然、自由主義社会においては自由な企業活動ということで、具体的なコメントは基本的に差し控えることが原則でございますけれども、しかし、金融商品取引法上の法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、証券取引等監視委員会において、厳正な検査等が行われるものと承知しております。しかし、前回のぶら下がりでも申し上げましたように、証券取引等監視委員会の予算と機構についてのみ権限が行政側にありますので、内閣総理大臣、金融担当大臣、金融庁長官といえども、「これをしなさい、あれをしなさい」ということは、法律上、禁止されており、独立性のある機関でございます。また任命は、国会同意によるものでございますから、そういったことは自由主義社会における政治権力と自由な経済活動との法だと私は思っております。したがって、そういうことはきちんと守りつつ、一方で、大きな問題にもなってきたわけでございますから、本件においては必要な対応がとられるものと考えております。

問)

今日、参院で一川防衛大臣と山岡国家公安委員長兼消費者担当相の問責決議が出ますけれども、国民新党の下地さんは、一川さんについては首相にも、辞めさせるべきだという発言をこれまでされましたけれども、大臣はこの一川さんらの問責について、どういう対応をとられるおつもりでしょうか。

答)

下地さんがそういう発言をしたというのは、新聞報道で聞いていますけれども、一昨日、国民新党の総会がございまして、私も出席させていただいたのですが、途中から本会議があるので中座させていただきましたけれども、少なくとも幹事長報告という中では、そういう話は出ておりません。それぞれの意見があるのだろうと思いますが、私は、やはり基本的に各閣僚の、やはり閣僚ですから、これを指名する人、あるいは指名する権利、それから罷免する権利は、もう憲法上、内閣総理大臣1人にしかない大変重たい権利でございます。これは私の勝手な解釈かもしれませんけれども、戦前、日本国が第二次世界大戦を行ったわけですけれども、そのときに二元外交とか、あるいは国の中で、内閣総理大臣が最終意思決定者でない(状況がありました)。また軍隊に対しましては、統帥権というのは天皇陛下にありまして、その辺が五・一五、二・二六などという事件(の原因)になりました。結局、責任者が誰かはっきりしないということの反省を踏まえて、戦後の憲法ではきちんと、閣僚の任命権も罷免権も、それから自衛隊の指揮命令権も、内閣総理大臣1人にしかないわけでございますから、その辺は、やはり閣僚に任命されるということは大変重たいことですから、その本人のご判断と総理の判断だと私は思っております。ましてや、民主党と国民新党とで連立内閣をつくっているわけですから、私は今、野田内閣の閣僚の1人でもございますから、私から今とやかく言うことは適当でないと思っております。

問)

総理は、辞める必要はないとおっしゃっているということは、今日の問責について、大臣としては反対されるという理解で宜しいでしょうか。

答)

それはもう、当然、総理がそう言っておられますから、総理のご意見に賛成したいと思います。

問)

東洋経済、井下と申します。

昨日の七十七銀行の資本注入の件なのですけれども、仙台銀行は自己資本が200億円ぐらいで、300億円の資本を入れる。これは、金融機能強化という意味では非常に大きいと思うのですが、七十七銀行の場合は3,000億円の自己資本があって、入れる分が200億円と、額として非常に小さくて、期間の利益としては、経営強化計画を見ても年間100億円が出る。そういう意味でいうと、スケールが少し違うのですけれども、やはり七十七銀行の場合というのは、象徴的な意味合いというのが強いのでしょうか。大臣のご見解を。

答)

それは、私が何回も言っておりますように、あくまで民間金融機関の経営判断ですから、経営判断として七十七銀行がそう判断されたということは、私は大変積極的に活用していただいたということを、評価したいと思っております。

問)

積極的に活用する前に、自己資本としては十分あるのかなと。本当に足りないところは十分使うべきだと思うのですが。使うべきではないということではないのですが。

答)

私も被災地に3県ほど行かせていただきました。津波で流れた中小企業の社長などともお会いしましたし、それから住宅ローンを抱えながら(住宅が)流された人にもお会いしました。また二重ローンの問題もあります。今のところ、実はローンでも払っていない人も結構多いのでございますけれども、いつまでも払わないというわけにもいきません。それからまた、中小企業金融円滑化法で、貸付条件の変更を既にした人もいます。そういったことを踏まえて、資本参加を通じて地域の銀行が金融仲介機能の一層の強化・増大を図っていただいているということは、銀行に余裕ができますから、当然、企業とか個人の色々なニーズ、バリエーションに応じることができる。金融仲介機能が高まるということは、その能力が高まるわけですから、そういった意味で、被災地が復旧・復興するために、非常に必要なことだろうと思っています。

問)

5日に金融商品販売の監督方針の改正案が出まして、特定の毎月分配型であるとか通貨選択型についての販売規制を強めるという案が出ておりますが、改正案を提示した背景というか、考え方を改めて教えてください。

答)

今、金融庁は投資信託の販売規制を強化するという案あるけれども如何にというご質問だろうと思いますけれども、金融庁といたしましては、平成23事務年度の「金融商品取引業者等向け監督方針」において、投資信託の勧誘・販売に当たり、顧客目線に立って商品の特性・リスク特性に応じた適切な説明を行うこと等を監督上の重点事項に位置付けたところでございます。こうした監督方針を踏まえた具体的な取組みとして、12月5日、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案をパブリックコメントに付し、複雑な為替リスクを伴う通貨選択型ファンドの勧誘・販売態勢の充実などを図るところとしたところでございます。

また、日本証券業協会及び投資信託協会においても、通貨選択型ファンドの勧誘・販売態勢の充実などを図るべく、先日、協会通知を発出したものと承知いたしております。

金融庁としては、パブリックコメントにおけるご意見等を踏まえながら、成案に向けた作業を鋭意進めてまいりたいと思っております。

もうご存じのように、今、世界の金融情勢、通貨の状態、為替リスクが非常に変化しておりますから、その辺、リスクもきちんと説明するようにということを改めて(定めました)。やはりヨーロッパのギリシャのソブリンリスクに始まって、非常に今、通貨の状態、あるいは金融状態が全世界的に不安定ですから、そういった意味で、為替が非常に変動しておりますので、そういったことを含めて、複雑な為替リスクを伴う通貨選択型ファンド、こういったことは非常に影響を受けますので、そういったことで顧客目線に立って、商品特性、リスク特性に応じた適切なきちんとした説明をしっかり行いなさいということを、ご存じのように、監督上の重要(項目)として位置づけたということです。

問)

オリンパスの粉飾を結果的に見逃してしまった監査法人と公認会計士のことなのですが、大臣の言葉で率直な意見、お考えを伺いたいのですが、会計士とか監査法人の仕事というのは、ちょっと気のきいた大学生や高校生でも知っていて、何でこんな不正、粉飾を見逃してしまったのかと、これは大学生や高校生でもおかしいと思っているわけです。「これは極めて深刻だな。監査法人制度って何だろう。公認会計士って本当に機能しているのか。」というのが、私、率直な疑問なのですけれども、どうしたらよいですか、これは。

答)

私は、今さっきも少し言いましたように、公認会計士法上の問題となる事案については、必要な調査を行って、法令に則り厳正に対応しているところであり、本件についても適切に対処してまいりたいと。よくお聞きになっていただいたらわかるように、私はこういうとき、普通は「それは個別の問題だから答えられません」と言っていますけれども、これは私としては「適切に対処してまいりたい」ということは、はっきりいえば、かなり踏み込んだ発言をさせていただいていると思っております。

ですから、その辺は全部、問題意識としては持っておりますが、やはりきちんと適切に対処してまいりたいと思っています。

問)

制度の見直しというのは、どうでしょうか。運用の見直しということになるかもしれないのですが、制度の見直し、運用の見直し、この辺はどうですか。

答)

そこは、今、こういう事象が起きているわけですから、私はこちらの事象は、やはり法と正義に基づいて、まだ有価証券報告書も正式には出ていないわけですから、そういったことを踏まえて、広い意味で公平、それから公正、やはり透明性のある、きちんとみんなが納得できるマーケットにしていかなければならないと思っています。

問)

冒頭お話しいただいた郵政改革法案の修正の問題ですけれども、大変熱意が伝わってくるお話だったのですが、小泉政権のときにできた現行法を修正して改正に充てるという案が出ているわけですけれども、法案提出者の大臣としては、これについてどうお考えになられますか。

答)

私は、何度も言っているように、郵政改革法案は閣議決定して出させていただいたわけでございますから、私としては最善のものだと思っております。

しかしながら、野田総理大臣と亀井さんの8月30日の合意書においても、私はもう何度もこの記者会見でも申し上げましたように、3番目の条項で、「各党修正協議での合意を図り、次期臨時国会において成立を期す。」これが2人の党首の合意書でございまして、これは国権の最高機関は国会であり、唯一の立法機関は国会でございますから、私は、これが最善だと思って出しました。私は正式にはまだ聞いておりませんけれども、その中で、色々な論議が進んでいるということ、この修正協議の場では色々な案が出ているということは、当然、政治家として理解できるわけですから、今の時点で、こうするということは聞いておりませんので、今の時点で私の口から色々申し上げることは、適当ではないと思っています。

ただし、各党を私はやはり信用いたしておりまして、明治4年以来作り上げてきたネットワークを、破壊してよいという政党はどこもないわけですから、きちんと原則を踏まえて、各党・各会派、色々な立場、流れ、この法律に対する思い入れが、各党かなり違います。これは5年前に大変大きな法律だったわけですから。しかし、それをある意味で乗り越えてと言いますか、やはり国民の生活を考えてやっていただきたいということを、国会でもお願いさせていただいております。

問)

現行法の修正も、この三党合意の中にあるような修正の中に入るわけなのですね。

答)

それは、今、協議しておられますから、私から、コメントする立場にはありません。各党が色々、公明党も非常に熱心で、色々な案を出していただいていると聞いておりますけれども、この法律に対してまだ党内に正反対の意見がある政党もあると聞いておりますので、その辺は、今、ここから私が申し上げるのではなく、特にこれは株式を売却したら、東日本大震災の税外収入として充てるということも決めさせていただいておるわけでございますから、そういったことを含めて、それぞれの政党が、それぞれ一人一人の国会議員が、一つ一つの各党各派が、しっかり国民の目線に立って判断していただけると、私は信じております。

(以上)

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