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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年5月8日(火)10時26分~10時51分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日(8日)付けで郵政民営化担当大臣の発令を受けました。本日の閣議において、内閣総理大臣から、本日「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」が公布されたこと、2番目に、本法律は、株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための改革を行うものであり、その担当を私にお願いすること、また、3番目に、私を中心として郵政民営化を円滑に推進できるよう閣僚の皆様の協力をお願いする旨のご発言がございました。

これを受け、私から、総理のご指示どおり、私が中心となり関係閣僚の皆様と連携し、取り組んでいく旨の発言をいたしました。以上1点でございます。

もう1点は、連休中のインド及びタイの出張についてでございますが、私は4月29日(日)から5月5日(土)までの日程でインドのデリーとムンバイ、及びタイのバンコク、を訪問し、金融・郵政当局をはじめとする両国の政府関係者等と意見交換を行ってまいりました。この機会に一言ご報告を申し上げます。

まず、デリーにおいて、第1回日インド閣僚級経済対話に出席いたしまして、他に玄葉(外務)大臣、枝野経産大臣もご出席でございました。あと3人副大臣、1人大臣政務官がご出席でございました。デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)、これはデリー・ムンバイ・インダストリアル・コリドーというわけでございます。確か1,500キロでございますが、間に6つの州がありまして、(同6州は)インドのGNPの4割を占め、デリーの一部がニューデリーで、首都でございます。ムンバイは(人口)1,400万人ぐらいで一番インドでは経済都市としては大きい街でございますが、そのDMICにおいて、日本からの投資を促進するための金融規制緩和についての議論をいたしました。さらに、ビジネス環境整備の観点から、我が国金融機関が直面する規制上の制約につき緩和を要望いたしました。

閣僚級経済対話の後には、玄葉外務大臣、枝野経済産業大臣、私及び日本側の副大臣、政務官でシン首相を表敬訪問いたしました。この面会において、今年のシン首相の訪日までに具体的成果を上げる努力が双方にとって必要であるということで一致をいたしました。

それから、続いて、インドのムカジー財務大臣、大変古い経歴を持った大臣でございますけれども、シバル通信情報技術大臣と面会した後、ムンバイへ移動しまして、ゴカーン・インド準備銀行副総裁、シンハ・インド証券取引委員会委員長と面会いたしました。

タイでは、インラック首相と面会いたしました。私は、3月、4月、5月とインラック首相と3か月連続でお会いすることになりまして、3月、4月は日本でお会いしましたが、5月は、こちらがバンコクへ行ってお会いさせて頂きました。東日本大震災の際のタイの政府・国民からの温かい支援に対して、日本政府を代表して改めて謝意を述べるとともに、タイの洪水被害に対し、可能な限りの協力を行いたい旨伝達いたしました。また、両国が苦難に直面しているときこそ、お互いが助け合い、長きにわたる友好関係を一層強化していくことが重要であるとの点で一致いたしました。

このほか、スラポン外務大臣、ニワットタムロン首相府大臣、アヌディット情報通信技術大臣及びウィルン財務副大臣に面会をいたしました。

以上のインド・タイにおける面会での議論の内容をまとめて申し上げますと、まず、金融当局関係者との面会においては、世界経済・金融について意見交換を行うとともに、我が国金融機関の活動拡大へ向けた要望を伝達いたしました。また、タイにおいては、タイ政府が創設いたしました自然災害保険ファンドですね、大洪水がありましたので、そのことに関しまして自然災害保険ファンドを創設されたわけでございますが、それについての意見交換を行いました。日本企業も450社ほど水没をいたしておるということでございます。

郵政当局関係者との面会においては、過疎地等を含めたすべての国民・利用者のための郵便局ネットワークを通じ、郵便・金融サービスを確保することの重要性について、理念を共有することができました。

また、タイにおいては、インフラ輸出促進のためのオールジャパンの取組みとして、4月21日の日メコン首脳会議で我が国が関心を有する主要インフラ案件リストを提示したことを踏まえ、地球観測衛星、高速鉄道、都市鉄道、地デジ、それから防災情報システムといった分野において、我が国企業がタイのインフラ整備に貢献できる旨紹介いたしました。今回のインド・タイ政府関係者等との面会を通じ、金融分野・インフラ分野については、成長著しいアジアにおいて、我が国金融機関及び企業の活動拡大が相手国との間でウィン・ウィンの関係となるような協力を強化していくことの点で意見が一致いたしました。

また、郵政に関しましては、先に成立した郵政法案の趣旨を踏まえ、我が国おける郵政事業の改革に引き続き全力で取り組んでまいりたいとの思いを改めて強くいたしてまいりました。日本は今、春でございますが、(インド・タイは)湿気も多くて大変暑く感じたわけでございますけれども、大変両国とも活気に満ちた国でございまして、非常に有意義な外国訪問になったというふうに思いました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

連休中にフランスの大統領選挙とギリシャの総選挙がありまして、結果を受けて、ユーロに対して円高であるとか、また世界的に株安が進んだなどの影響が出ております。すぐに国内の金融機関への影響があるとまではいかないかも知れませんけれども、将来を含めた影響についてどのようなご所見があるか。

答)

非常にポイントを得た大事な質問だと思っております。

6日(日)に行われたフランスの大統領選挙では、社会党のオランド候補が現職のサルコジ大統領を破り当選をいたしました。また、同日のギリシャ総選挙においては、2大与党の獲得議席数が過半数を下回り、今後、組閣作業や連立協議が行われるものと承知をいたしております。

選挙結果については、市場では、これまで欧州で進められてきた財政再建の取組みに対する不透明感のほか、先週金曜公表の米国雇用統計の不振も重なり、ややリスク回避姿勢が強まったと聞いております。

金融庁といたしましても、債務問題に対する欧州各国の政策や金融・資本市場に与える影響については、高い関心をもって注視しているところであり、欧州においては今後とも、経済・金融の安定や市場の信頼確保に向け、必要な施策の実施が期待されるところでございます。

問)

ゴールデンウィーク期間中に、クレジットカード会社のアメリカンエキスプレスが、アマゾンで物を購入したカード会員に対して額面の100倍という誤った金額の請求を100件以上行ったということなのですけれども、これについて大臣の受け止めをお願いします。

答)

私、そういう記事は読んでおりまして、コンピュータが間違っていたのではないかというような記事は読みましたけれども、調査をしてきちんと運営して頂くことが大ごとだと思っております。そういう記事を私も偶然、帰りの飛行機の中で読みまして、私もアメリカンエキスプレスに入っていますので、(額面の)100倍もの請求書が来たら大変だと思います。やっぱりコンピュータでございますから中には間違いもございますから、そういったところは、できるだけ機械と言えども間違いはない方がいいわけでございます。

また、クレジットカードについては、これは確か、私も22年前に通産政務次官をしていましたが、これは経産省の所管だそうでございまして、いずれにしても、こちらからも連絡をしまして、経産省としてきちんと対応されるものと考えております。

問)

保険銀行日報の片岡です。

郵政法案成立で、生保協会が公正な競争条件確保へ懸念を表明していますが、これに対して大臣の見解をお願いします。

答)

かんぽ(生命について)ですね。是非皆さん方もご理解頂きたいのですが、私は国会でも強調したのですけれども、かんぽ生命の新規業務に関しては、保険業法、郵政民営化法の適用でございますが、これは、かんぽ生命についても保険業法という一般の法律の規制は当然ありますし、それから保険業法の認可というのがございますが、現行制度で、民営化法で上乗せ規制というのがありまして、これは他の保険会社にない上乗せ規制がかんぽ生命にはあります。これは認可でございます。これは現行(法)でございます。

これが、また認可になりまして、これは大事なところなのですが、見直し後、株式を2分の1処分しても、まだ3つの上乗せ規制が残るのです。

1つが、他の金融機関との間の適正な競争関係への配慮義務というのは残るのです。ですから、何でも届出てもいいのだということでなくて、見直し後も、2分の1の株式処分後に、届出プラス他の金融機関との間の適正な競争関係との配慮義務(があります)。

それから2番目、(郵政)民営化委員会への通知。必要に応じて関係各大臣への意見を言うということでございます。私、国会でも、もし民営化委員会からの通知、意見があった場合、関係大臣はどうするんだというご質問を頂きましたから、それはそれなりに民営化委員会というのは識見、学識、能力ともに優れた人になって頂く予定ですから、この方たちが対等な競争条件等々について意見を言われた場合は、それは、決して無視できるような軽いものではないというようなことを申し上げております。

3点目は、内閣総理大臣、この場合、(総理から委任を受けている)金融担当大臣でございますが、及び総務大臣による監督上の命令が3番目としてあるわけです。これは一番厳しいことを言いますと、金融担当大臣及び総務大臣の監督上の命令といいますと、金融の場合では著しく公益性に反する場合は、業務を出来なくする権限もあるわけです。

ですから、いまさっき言いましたように、民営化法でも株式を2分の1以上処分した後も届出制だけれども、届出制プラスさらに上乗せ規制として3つの条件が別にあるのだということをぜひご理解をして頂きたいということを申し上げておきます。

当然ですが、保険業法としての一般的な認可というのは、一般業法プラス他の保険会社にはない上乗せ規制があるのだということをご理解頂きたい。また、別の言葉で言いますと、先日成立した郵政法案には、金融2社と他の金融機関との対等な競争条件の確保のために必要な措置が盛り込まれており、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えております。

いずれにいたしましても、政府といたしましてはWTO協定を始めとする国際約束との整合性を確保していくとの従来からの我が国の考えを引き続き表明し、関係国の理解を求めていきたいというふうに思っております。早速色々(報道されており)、どこかの新聞を読ませて頂きましたら、届出制で、届出すれば何でもできるんだというふうなどこかの記事がございましたが、そうではなくて、届出しても今言ったように、他の金融機関への配慮義務、あるいは民営化委員会への通知、それから最後は、内閣総理大臣、(すなわち委任を受けている)金融担当大臣及び総務大臣による監督上の命令まで出来るわけですから、そういった他の保険会社にはない上乗せ規制があるということを十分に、そう法律に書いてありますから、ぜひそのことをご理解して頂いて、特に外国の報道機関の方もおられますので、そこら辺は是非誤解のないようにご理解をして頂きたいというふうに思っております。

問)

ということは、今回の法律で公正な競争条件が十分確保できるという理解でよろしいのでしょうか。

答)

今、さっきも言いましたように、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に全く反するものではないというふうに、ここは実は非常に用心して、気をつけて制度設計したところでございまして、私何回も申しましたように、WTOの基本的精神というのは、逆に言えば、日本は戦後大変自由貿易といったことで利益を得てきた国でございまして、国が、政治がどういうふうな形態になるにしても、やはり自由貿易といいますか、原料を仕入れてきて製品を加工するということでしか、私は日本国というのは立国し得ない、そこは日本の経済の一番基本だと思っていますので、自らWTOの精神というのは非常に大事にしていくべき国柄だと思っています。また、これはWTOですから、国際的な協定でございますから、守る義務も法律上ございますし、また実質的にもWTOの精神を守っていくということは、今までも非常に大事だったし、今からもそういった精神をきちんと守っていくことが大事だと思っております。

問)

金融タイムスの大嶋です。

郵政法案成立しましたけれども、金融面というのは当面変わらないわけで、どのくらいの期間このままで郵政が大丈夫だというふうに思われていますか。

答)

私は国会では、今、郵便事業会社と郵便局会社を合併するというのが今度の法律の基本的なスキームでございますが、一応可能であれば10月を目途に合併して欲しいということを国会でも申し上げましたけれども、そういった段階であって、今、法律が変わりましたが、今から3事業に携わっておられる方々、あるいは色々な構成員の方がおられますが、それを取り巻く政治、これは、今日私は責任者になりましたけれども、しっかりそこら辺を出来るだけ法の精神に沿って、誰よりも一番大事なのは国民の利便に供するということでございます。そして、これはご存じのように、株を売ることが出来れば、東日本大震災にすべて充てるということが法律で決まって行くわけですから、そういった意味で出来るだけ、いつからいつまでとは、なかなか、タイムスケジュールを言えと言われてもなかなか難しい質問でございますが、出来るだけ早く、皆さん方と現場の方々、あるいは会社の方々、あるいは関係する役所の方々と心を一つにして、本当に3事業一体でユニバーサルサービスをやっていく必要があるというふうに私は思っております。

問)

先ほどの大臣のご回答と被ると思うのですが、改めてオバマ大統領との日米首脳会談の方でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の関連で日本への努力の要請として保険の項目が入っております。恐らく郵政の件ではないかと言われているところだと思うのですが、それに対する大臣の所見、どういうふうにお考えかということを伺えればと思っております。

答)

この法律がどういうものかというのをしっかり粘り強く、親切に丁寧に説明していく必要があると思っております。

前は法律が少し変わっていましたが、私自身がワシントンに行きまして、ブレイナード財務次官にお話をしたというお話は何回かさせて頂いたと思いますし、また、東京の(駐日)大使にもお話しをしましたが、先日成立した郵政法案には、金融2社と他の金融機関との対等な競争条件の確保のために必要な措置が盛り込まれており、「必要な措置を盛り込まれており」というのは、いまさっき言いましたように、2分の1の株式を処分した後も届出プラス他の金融機関への適正な競争条件の配慮義務、それから民営化委員会への通知、必要に応じ関係各大臣への意見を言うこととか、民営化委員会がそういったことをきちんと法律上明記して通知することが可能でございます。それから対等な競争条件でなければ、最後には主務大臣による監督上の命令を出す(ことになります)。(すなわち)内閣総理大臣、これは金融(分野)でございますから、(総理より)委嘱を受けております金融担当大臣、及び総務大臣による監督上の命令というのは非常に強いわけでございます。以上この3つを(株式の)2分の1を処分した後も、上乗せ規制として残しておるわけですから、そういったことをしっかり理解して頂いて、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものでないというふうに考えております。

いずれにいたしましても、政府といたしましてはWTO協定を始めとする国際約束との整合性を確保していくとの従来からの我が国の考えを引き続き表明し、関係国の理解を求めていくということでございます。

昨日か一昨日もしかるべき人に日本国政府の人が、そういったことをきちんと丁寧に説明したという報告は受けていますけれども、これはきちんと外国にも分かって頂く努力が必要だと思いますし、そのためにはまず皆様方によくご理解して頂くことが私は大事だと思って、特にこの点をしっかり言わせて頂いているつもりでございます。

問)

連休中に北関東を中心に竜巻の被害が相次ぎました。昨日、日銀と同じように金融機関に対して要請を出しておりますが、それ以外に新たに金融庁として対応すべき措置があれば教えてください。

答)

あの竜巻は15キロですか、私は新聞、テレビしか見ておりませんけれども、凄まじい被害でございまして、必要であれば、日本銀行と金融庁とで、適時適切な処理をしたいと思っています。

やはり自然災害に対して国家としてきちんと闘っていくという精神、あるいは犠牲になられた方々、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、竜巻によって破壊されたような家もたくさん見ましたので、これはきちんと対応させて頂かなければいけないというふうに思っております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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