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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年5月18日(金)11時26分~11時55分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

まず1点、金融庁の河野金融国際政策審議官がIOSCO(証券監督者国際機構)の議長に就任いたしまして、そのことを発表させて頂きます。

5月13日から17日にかけて中国・北京で開かれましたIOSCO(証券監督者国際機構)の年次総会において、金融庁の河野正道金融国際政策審議官が議長にお蔭様で選任されました。IOSCOは現在、組織構造の合理化や意思決定プロセスの簡素化等の観点から組織改革を進めております。

今般、既存の委員会等を統合し、IOSCOにおける政策決定・運営の全般に係る意思決定機関として、IOSCOボードが設立されました。河野(金融)国際政策審議官は、その以前に専門委員会の議長はいたしておりましたが、これは全体で1つのボードにまとめるということでございまして、その新たに発足するIOSCOのボードの初代議長を務めることになりました。

当庁といたしましては、従来の国際機関への積極的な貢献を通じて、国際的な金融・資本市場の健全性、効率性の向上に取組んできたところでございますが、当庁の幹部が、こうした重要な会議体の議長として、それも初代の議長でございますが、国際的な課題の解決に貢献することは、大きな意義があるというふうに考えております。IOSCOの概要等、関係資料は追って広報室よりお届けいたします。また、詳細については事務方、金融庁の国際室に是非、お問い合わせを頂きたいというふうに思っております。

非常にリーマン・ショック以来、金融を巡りG8あるいはG20では、証券をどうするかということも大変大きな問題でございまして、G20からはIOSCOにたくさんの宿題を出されておりまして、そんな中で、今、確実に国際的な信頼をもって河野議長がさばいておられるという話は聞いておりましたが、そんなことも高く評価されまして、初代の統合したIOSCO(ボード)の議長に就任をしたということでございます。金融庁といたしましても、国際的に世界的に評価されたということは大変有難いことだと言うふうに思っております。

【質疑応答】

問)

関連で、今のIOSCOの質問から始めさせて頂いてもいいですか。

河野審議官が初代議長に就任されたことはとてもめでたい事だと思っておりまして、金融庁としましてどのような役割ということを期待されていらっしゃるかお聞かせ願えればと思います。

答)

河野さんがIOSCOの議長に就任したということは、大変おめでたい事でございますが、さっき私が申し上げましたように、リーマン・ショック以来、特に金融の分野、証券の分野でも非常に色々な宿題が出されているわけでございまして、リーマン・ショック以前のIOSCOに比べて、IOSCOの役割が非常に全世界的に増してきたというふうに思っております。

そういったことを踏まえてIOSCO(ボード)は現在、組織構造の合理化や意思決定プロセスの簡素化等の観点から、組織改革を進めているところでございます。今般、既存の委員会等を統合し、IOSCOにおける政策決定・運営の全般に係る意思決定として、簡素化しようということでございます。確か、IOSCOボードは、3つあった委員会を1つにするのですね。ということで、全部一元化しようというふうなことでプロセスの簡素化をするということでございまして、そういった国際的合意になりまして(今回)新たにIOSCOのボードが設立されたわけでございます。そういった意味で、今までのIOSCOの構成につきましては理事会、専門委員会、新興市場委員会・諮問委員会という3つの委員会があったわけでございます。この3つを全部統合して2012年5月からIOSCOボードというのに簡素化をするということに決定したわけでございますが、やっぱり国際的な投資家保護とか、それから世界的な市場の公正性、あるいは効率性、透明性(トランスペアレンシー)の確保、それからシステミック・リスクへの対処のために証券分野の規制・監督等に関する国際基準の策定・実施等を行うとか、これはIOSCOの任務でございますけれども、投資家保護や、証券市場への信頼性向上のために、当局間において、必要な情報の交換を行うとか、あるいは不公正取引の監視における協力を、大変経済はグローバル化しておりますから、そこの辺でお互いの監視における国際的な協力を行うとか、各国における市場の発展支援、市場インフラの強化、規制の適切な実施のために、各メンバーの経験を共有するといったことをやっております。現在、IOSCOは、G20それから金融安定化理事会(FSB)というのがございまして、そういったところから色々宿題を頂いているわけです。こういうことに関して、具体的に世界の証券界をどういうふうに考えるのかと、あるいは有効な規制をするにはどうしたらいいのかと、そういった宿題を今、特にたくさん頂いているところでございますけれども、そういったことで市場の健全性、あるいは効率性、店頭デリバティブ、あるいはシャドーバンキンク(銀行システム以外で行う信用仲介)等の先般の金融危機を踏まえた証券分野における重要な金融規制改革(の検討)を行っているそういった機関でございます。

ですから、今益々、こういったことが、リーマン・ショック後は、ヨーロッパのソブリンリスクに始まって、今、ギリシャの問題はまた少し色々な問題点を含んでおりますし、新たにフランスの大統領が選出されまして、新しい大統領とドイツの首相とお話をされたようですけれども、そういった意味で基本的には欧州の市場というのは非常に不安定なところもございますから、そういったことを含めてこういった国際金融に関するIOSCOをはじめ(とする機関が)、益々重要性を増してくるというふうに思っております。

問)

次に、昨日発表されましたGDPの速報値なのですけれども、3期連続でプラスということで非常に好ましい数字だと思うのですが、中身を見ますとエコカーの補助金や復興関連の公共投資といった政策効果が大きかったと言われております。ただ、消費税増税を柱とした一体改革を進める環境としては、こういった今の景気の現状をどういうふうに受止めていらっしゃるのかお伺いできればと思います。

答)

昨日17日に発表されました1-3月期の実質GDP成長率は前期比プラス1%、年率に換算しますとプラス4.1%アップということでございまして、3期連続のプラス成長となる等、我が国の景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要を背景として、緩やかに回復しつつあるものと承知をいたしております。また、先行きについても、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待されます。

ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が再び高まってきており、これらを背景とした金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクには注意が必要でありまして、金融庁といたしましても引き続き緊張感を持って景気の動向を十分に注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

次に、アメリカのニューヨーク地裁の件ですけれども、三菱東京UFJ銀行にイラン政府関連の資産を一時凍結するよう命令が下されましたが、今回の命令や措置をどのように受止めていらっしゃるかと、イランと日本との輸出入の取引への影響についてどのように受止めていらっしゃるのかお願いします。

答)

三菱東京UFJ銀行は、ニューヨーク州の裁判所からイラン関連資産の差し押さえ等の命令を受け、16日、これはニューヨーク時間でございますが、これに対する異議申立を行ったというふうに聞いております。ただ、その詳細については、個別の金融機関に係る事項でございますのでコメントは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、イランとの取引については、我が国への原油の安定供給や正当な貿易に支障を来さぬよう政府一体となって、適切に対処していく所存でございます。

今、話も出ましたように民事裁判だというふうにお聞きしておりますし、これはもう皆さん方ご存じと思いますが、1983年10月23日のベイルートのアメリカ海兵隊への自爆テロで、米軍の兵士が241人死亡されたわけでございますけれども、これに関する民事損害賠償判決でございまして、このことに関しましてイランに対して米国海兵隊のご遺族等へ26億米ドルの支払い命令がアメリカの裁判所で出たわけでございます。イラン側はこれとは関係がないというふうにも言っておられるというふうな話を仄聞いたしておりますけれども、イラン側は当該支払いを履行しないことから、今回三菱東京UFJ銀行に対して情報開示及び資産凍結命令が出されたものだというふうに理解をいたしております。いずれにいたしましても、イランとの取引については、我が国への原油の安定供給や正当な貿易に支障を来さないように政府一体となって、適切に対処していくことが大事だというふうに思っております。

問)

今の関連で、他の銀行の口座に代替することは可能なのかとかという話も出ていますけれども、具体的にどうやったら解決できるかというような見通しは立っているのでしょうか。それとも全く今どうしたらいいかというのは、お手上げ状態なのか、どういう状況なのか教えて頂けますでしょうか。

答)

それは今申し上げましたように、個別の金融機関に関することですから、今、私の立場でコメントすることは差し控えさせて頂きたいというふうに思っております。

問)

個別の金融機関ではありますけれども、原油の問題というのは、ある種、国の問題ではないですか。というところで、目途が立っているのかどうか、どういうふうにすればいいかというところ(は如何でしょうか)。

答)

いずれにいたしましても、イランとの取引については、我が国への原油の安定供給や正当な貿易に支障を来さぬよう、政府一体となって、適切に対応していく所存でございます。この裁判は、原油のこととはあんまり関係なくて、基本的にベイルートでの事件の損害の補償でアメリカの裁判所が出されていたことでございますから、イランとの原油の問題が大変大きな問題ございますが、それとは直接的には関係がない話だというふうに理解をいたしております。

問)

銀行決算が一通り終わりましたけれども、どのように総括されますでしょうか。

答)

これまで公表された主要行等7グループの決算を見ると、各行でばらつきがございますが、全体としては資金利益が悪化し、貸出金利による利益、これは一番銀行のある意味で基本的な部分でございますが、これが悪化をいたしておりまして、株式等関係損益が不調である中、与信関係費用が減少しております。企業の倒産なんかはお蔭様で減っておりますので、与信関係の費用が減少していると。しかし、国債等の債券関係損益が好調であることなどから、2012年3月末までの最終的な利益、当期純利益は前年度比で増益となっているものと承知しております。

いずれにいたしましても、当庁といたしましては、引き続き、銀行経営の状況について注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

今日の市場で、長期金利の利回りが0.815%まで下がって、8年10か月ぶりの低い水準となったという数字が出ておりますけれども、先ほど景気の見通し等含めてお話しになられましたが、改めてこの債券市場についてどういうお考えをお持ちでしょうか。

答)

マーケットの動向に対する所感如何にということでございますが、さっきも一部申し上げましたけれども、ギリシャでは、大統領の仲介による連立協議が15日火曜日に不調に終わりまして、再選挙を6月17日に実施することが決定されたというふうに承知いたしております。

ご存じのように、あの選挙では財政規律派と申しますか、その政党が過半数を取れなくて、緊縮財政反対だというふうな、端的に言えばそちらの方の政党が勢力を伸ばしたという話を聞いております。それでもう一回再選挙が6月17日にギリシャの憲法によって行われるということが決定されたというふうに承知しております。

市場では、これまで欧州で進められてきた財政再建の取組みに対する不透明感などから、ユーロを中心とする為替を含め、リスクオフの動きが生じているとの見方が多いわけでございまして、市場の動向について、逐一コメントすることは差し控えたいと思っておりますが、金融担当大臣としては、関係閣僚や日本銀行と連携をしつつ、引き続き、高い関心を持って市場の動向を注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

先ほどのイランの関係ですけれども、つまり日本政府としてアメリカ政府の方に何らかの要請等をされたのかどうかという、その辺りについてちょっと教えて欲しいのですけれども。

答)

私は金融庁あるいは郵政民営化のところをお預かりしているわけでございますが、一般論としては、日本国政府、経産省だ、あるいは外務省だ、色々あるわけですから、そこら辺では色々やっておられるだろうというふうに推測をいたしております。

問)

すみません、その色々の中身について何かお話しできる範囲でお願いしたいのですけれども。

答)

それは基本的に、なかなか言えないところが外交問題でもございまして、きちんと色々なルートで色々やっているという報告は受けております。これはまた相手があることですから、やっぱり具体的には申し上げられないわけでございまして、今回のことは、アメリカの裁判所の話でございますから、今回は司法の話でございますから、日本の行政府の責任者の一人として、私の方から色々コメントすることは、基本的にアメリカも三権分立(の国)でございますから、差し控えさせて頂きたいというふうに思っております。

問)

金融タイムスの大嶋です。

先週、休眠預金についての中間報告が出て、ちょっと民間には抵抗感もあるのですけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。

答)

休眠口座の活用につきましては、今後具体的な仕組み、制度に関する検討が進められていることとなっておりますが、金融庁といたしましては、引き続き実務的な観点から成長ファイナンス推進会議での討論に参加してまいりたいと思っております。

なお、休眠預金の活用に当たっては、我が国の特性を踏まえて、前にも申し上げましたけれども、預金者等の関係者の理解と同意を前提に、この預金者の信頼感や利便性の確保、あるいは休眠預金に関わる財産権等の法的な扱い、それから休眠預金口座を誰がどのように管理するのか、休眠預金の払い戻し、管理等に関わるコストをどのように確保・負担するのか等の論点について幅広い観点から議論をし、実効的で持続可能な制度ができるかの検討を行うことが必要と考えております。この前も申し上げましたように、日本は人口1億2,000万人でございますけれども12億の口座がございまして、イギリスは約6,000万人ですけれども1.5億口座、韓国は5,000万人いますが1.7億口座ということでございます。これは国会でも答弁申し上げましたように、基本的に日本の口座維持料というのは大体無料のところがほとんどでございまして、そういったことも関係しているのかなということを国会でも申し上げたことがございます。また、休眠預金の払い戻しの比率、これ実は日本の場合は4割あるのですね。ところが、英国とか韓国は大体1~2割でございまして、毎年約1,300万口座が新規に休眠口座として発生しているということが現状でございます。古川内閣府特命担当大臣が議長を務める成長ファイナンス推進会議で休眠預金に関しては、金融庁から大串大臣政務官が、今、メンバーとして入って色々と具体的に検討している最中だと思っております。

問)

すみません、イランの問題でもう一度教えてください。先ほど大臣は原油の取引の安定というところを見据えて適切に対処していきたいというふうにおっしゃられましたよね。その一案として三菱(東京UFJ銀行)の口座停止というのが長期化した場合に備えて、他行の口座を代替の決済機能として扱ってもいいのではないかという、そういう対処方法というのは、今、案として出ているのかどうかということについてお願いできますか。

答)

様々な案があって、様々な選択肢を検討しているのは事実でございますが、やっぱり具体的に私から今の時点で申し上げるのは、相手もあることですから、イランについては、我が国への原油の安定供給や正当な貿易に支障を来さぬよう政府一体となって適切に対処していくという状態でございます。

問)

2点ほど伺わせて頂ければと思っています。

1点目は、今のイランの関係で、司法の問題ということは分かるのですが、一方で我が国の金融機関が日本国内に保有している預金について、米国の一地方裁判所がその資産を差し押さえするという構図になっていると思います。恐らく、司法権の域外適用の問題も色々出てくる問題ではないかなと思うのですが、金融担当大臣としてこの問題についてどのようにお考えだろうかということをまず1点、伺えればと思っております。

答)

アメリカの法律の域外適用につきまして、三菱(東京UFJ銀行)はそのことについて異議を差し挟んでいるということをお聞きしておりますが、ご存じのように、アメリカという国はよく域外適用をやってくる傾向がございまして、やっぱり一強の覇権国家であったということも事実でございますから、そこら辺は日米の関係もこれあり、これは一民間企業である三菱(東京UFJ銀行)がそういうふうに言っておられるわけでございますが、その辺を含めてしっかり視野に入れながら、金融庁としては政府一体となって適切に対処していきたいというふうに思っております。

問)

あともう1点は、SMBC日興証券に関して、例の法人関係情報の漏えいの関係の問題ですけれども、先ほど業務改善命令に対して計画を出してきておりまして、それに対してどのように大臣、評価しておられるかということについて伺えればと思っております。

答)

そのことについては、ちょっとまだ私、報告を頂いておりません。いずれにしても、公正・公平、やはり透明性、そして利用者の保護ということが大事でございまして、そのためにきちんと体制を整備して頂くということは、金融庁の、あるいは日本の金融機関の大変大事なことでございますから、そういう観点に立って、報告が上がってくればきちんとそういう視点に立って対処していきたいというふうに思っております。

問)

3メガ(バンク)がようやく法人税を支払える体制になったことの感想を伺いたいのですが、三菱(東京UFJ銀行)はもう去年から払っていますが、三井住友(銀行)は15年ぶり、みずほ(銀行)は、みずほになってから初めてなのですけれども、全然今まで税金を払っていなかったことを初めて知る、改めて知る人も多くて、「ええっ」と言う感じもあるのですが、感想をお願いしたいのですが。

答)

ご指摘のような報道があることは承知しておりますが、基本的に3メガ(バンク)といえども、個別の金融機関でございますから、納税状況に関する事柄としては当局としては逐一コメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、金融庁としては各行が法人税の原資となる収益を適切に確保し、納税を含めた社会的責任をしっかり果たしていくことは望ましいことだというふうに考えております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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