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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年7月6日(金)10時22分~10時44分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議でございますが、新しく総務(大臣)政務官に稲見哲男氏が任命されたということの決定がございました。

それから、国土交通白書、これが配布されまして、国土交通大臣から概要の説明がございました。以上、主なところはそういうことでございます。

【質疑応答】

問)

まず増資インサイダー問題についてですが、先週の金融審で、大臣が再発防止策について検討するよう諮問されました。情報伝達行為への対応とか課徴金の計算の方法が主な論点ですが、今後、二重処罰の問題とか議論しなければいけない重たいテーマがあると思いますが、現在の大臣の問題意識について伺えますか。

答)

金融審議会に対しては、これは皆様方もご出席されておられたと思いますけれども、情報伝達行為への対応、それから課徴金額の計算方法、その他近年の違反事案の傾向、そして金融・企業実務の実態に鑑み必要となるインサイダー取引規制の見直しの検討について諮問を行いました。

「情報伝達行為への対応」につきましては、これは「情報漏えい」自体を規制対象とすることは、これは現行のインサイダー取引規制と性格の異なるものとなるというふうに考えております。すなわち、現行のインサイダー取引規制は、重要事実の情報を知って上場株式等の「売買等」を行うことを規制していると。情報漏えい自体を規制対象とする場合、これは規制対象となる行為は「売買等」ではなく「漏えい」でございますので、その意味で性格が異なるというふうに考えているわけです。

いずれにしましても、どのような場合に、どのような者・行為について、どのような対応をなし得るか検討を行っていく必要があると、そういうふうに考えているわけでございます。そういうことで諮問いたしました。

また「課徴金額の計算方法」でございましたけれども、金商法の課徴金制度は、これは何回もご説明していますけれども、違反行為に係る「経済的利得相当額」を基準とした金額の課徴金を課すものでありますが、近時の違反事案の内容等を勘案しつつ、課徴金額の計算方法に改善の余地がないかどうか検討していく必要があると考えています。

こういう技術的な問題のその前に、基本論として現在の課徴金制度、それからそのあり方、中身を含めて幅広く深く色々議論してもらいたいということが前提にあります。その上で技術的なことが色々繋がってくるというふうに考えていまして、いずれにしましても、「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」におきまして、こうした観点も含めて、違反行為の抑止に向けた方策について、精力的にしっかりと調査審議を行って頂きたいというふうに考えておりますし、そのことも申し上げました。

以上でございます。

問)

増資インサイダー問題に絡んで、一部報道の内容を確認させていただきたいのですが、金融庁が本日、先日課徴金勧告を受けましたジャパン・アドバイザリー、これの取引内容について、主要な証券12社に対して取引内容について報告を求めるという報道がございました。こちらの事実関係を伺えますか。

答)

個別の行政対応については、これは逐一コメントすることは差し控えたいと、そう考えています。

なお、ジャパン・アドバイザリー合同会社でございますけれども、これは6月29日、金曜日ですけれども、証券取引等監視委員会から行政処分を求める勧告が行われました。このことを踏まえて、同日、同社の登録取消処分及び業務改善命令を発出したところでございまして、これは極めて遺憾に感じております。

金融庁としましては、今後とも金融機関の業務運営等に問題が認められた場合には、これは法令に則りまして厳正に対処してまいりたいというふうに考えています。

個別、それぞれコメントすることは差し控えると申し上げましたが、一般論として申し上げますと、その時々の問題について、当局は、関係する業界から様々な報告を求めます。また、意見交換をすることがあります。これは適宜行っているということを申し添えておきます。

問)

個別の行政対応に逐一コメントは控えるということですが、先日は12社に対して法人関係情報の点検を求めると、この報告徴求は公表されて今回は公表しないというのはいかがなのでしょうか。これは重要な問題であると思うのですけれども。関心が世の中は高いと思いますが。

答)

前回12社に点検を求めました。これは主要幹事社、大手三社と言われている、そこに連続して発生しているということ、しかも、これが反復しているという重大性に鑑みて、私たちは関連する12社、関連するといいますか、その12社について9割以上が調達の中で関わっているわけですけれども、それについて私たちは点検するということで、先日申し上げたわけでございます。

そういう中で事実関係がしっかりと明らかになってくるという、その報告徴求を求めていますので、それをしっかり内容を検討してから判断していくというふうに考えております。

問)

続きまして、改正貸金業法の見直し問題について伺います。

民主党のワーキング・チームで、上限金利の問題について、中小・零細企業に限っては現行の15%から20%の上限金利を超えて、特例の金利を定めた新法を検討すると、そういう方向で議論が収斂しつつありますけれども、これについて大臣のご見解を伺えますか。

答)

これは各政党の政策案でございますけれども、政府としてコメントすることは差し控えたいと、そう考えています。

現行の貸金業法について申し上げますと、一つは多重債務問題の解決に向けて、抜本的かつ総合的な対策を講じる観点から、平成18年12月の国会におきまして、これは全党、全会一致の賛成によって成立したという事実がございます。そして、また、この同法の施行後の状況として、貸金業から5件以上無担保無保証借入れの残高がある人数は、平成18年度と比べても減少しているということです。

これは前回も申し上げたところでございますけれども、平成19年3月には171万人という報告でしたが、平成24年3月では44万人ということで、多重債務者対策の上で相応の効果があったものというふうに認識しておりまして、現時点で制度につき直ちに見直すべき点はないというふうに政府としては考えておるわけであります。

いずれにしましても、金融庁としては、今後とも実態把握を進めます。また、貸金業の借り手・貸し手の状況をよくフォローするとともに、関係省庁と連携しながら多重債務に係る相談体制の充実等に一層努めてまいりたいというふうに考えております。

問)

先ほどの質問の関係で、今回の一連の増資インサイダーの問題で、海外のヘッジファンドが証券会社にインサイダー情報を要求していたとされているわけで、そこに当然、重点的に調査するというか、重点的に報告を求めるという認識でよろしいのですよね。

答)

いいです。そういうことです。

問)

あともう一点、民主党のワーキングチームの中で、インサイダー取引がかつては発行会社とか一般投資家が行っていたものが、近年、機関投資家ですとか、いわゆるプロによるものに質が変わってきていると。それに対応して、監視委員会の人員を増やすとかして、監視能力を上げた方がいいのではないかという論点があがっているのですけれども、大臣はインサイダーの質の変化について、どのように見ていらっしゃるかというのと、あとは監視委員会とか金融庁の人員を増やすとか、監視能力のレベルアップについては、その必要性などについてどのようにお考えでしょうか。

答)

昨日の民主党財務金融部門、資本市場・企業統治改革ワーキング・チームというのですか、そこで今お話があったように、インサイダー取引の質の変化が議論になったということは承知しています。議論の内容もちょっと読ませて貰いました。

これまで証券取引等監視委員会が、課徴金勧告を行ったインサイダー取引事案を見てみますと、確かに違反行為者については、殆ど全てが、株式取引そのものを業務とはしていない、アマの投資家でありまして、そのうち殆どが個人投資家であるということは認識をしております。

これに対しまして、一昨年夏以降でございますけれども、この証券取引等監視委員会が取り組んできた増資インサイダー事案におきましては、ご指摘ありましたように、株式取引を業務とするプロの機関投資家に焦点を当てて調査を進めてきたものと承知しております。その結果、本年3月以降、プロの機関投資家を違反行為者とする5件の課徴金勧告を行ったものというふうに承知しているところでございます。

インサイダー取引の高度化に伴いまして、金融庁としても、人的な面も含めた対応能力等のことも色々問われているわけですけれども、市場の公正性、透明性の確保、それから投資者の保護にあたって、金融庁、証券取引等監視委員会が果たすべき役割は極めて重要だというふうに認識をしております。

インサイダー取引の摘発や、プロの機関投資家の検査・監督については、確かに厳しい行政事情の下で、これまでも体制面の充実・強化を図ってきているわけですけれども、今後とも、質の向上も含めて与えられた権限、定員等の中で最大限の成果を上げるように努力していきたいというふうに思っています。

問)

公務員と会社員の年金統合の件で、閣僚の一人としてちょっとお伺いしたいのですが、公務員独自の上乗せ給付、職域加算の扱いについて、政府の有識者会議がまとめた報告書では、廃止後も新たに保険料の半額を税金で賄う上乗せ年金を作るなど、公務員の年金上乗せ給付を、形を変えながら維持することについて所見をお願いします。

答)

まだ十分中身を把握しておりませんので、この場ですぐコメントすることは出来ませんが、内容をしっかりとどういうことか勉強して、また別の機会があればお話ししたいと思います。

問)

さっきの一部報道のジャパン・アドバイザリーに対する12社の報告を求めるという質問にちょっと関連するのですけれども、その後、大臣が答えられた12社の自主点検の中で、この項目も含むという意味で答えられたのでしょうか。

答)

幅広く12社が我々の方で色々点検の内容を示して、そして報告を求めることにしておりますので、そういう問題も含めて報告があるものと我々は期待しています。

問)

確認の確認です。そのジャパン・アドバイザリーに対する情報提供があったかないかということも含めて、今回12社に自主点検を命じたということでよろしいですか。

答)

そういうふうに聞いております。

自主点検の中に、そういう観点も含めてしっかりと報告するようにということが入っているということでございます。

問)

ファクタの阿部です。ちょっとお尋ねしたいことがあります。

東証と大証が公正取引委員会から合併の承認を得て、日本取引所(グループ)が生まれるという運びになっていますけれども、それに関連して2点お尋ねしたいことがあります。

大証は6月にジャスダックのセラーテム(テクノロジー)という、これは中国の裏口上場に当たる企業ですけれども、上場廃止を決定していると。我々の報道や調査によれば、この企業は東証に上場しているチャイナボーチーという中国企業と裏表の関係にあって、セラーテムが上場廃止であればチャイナボーチーも何らかの(措置がなされるとは思うのですが)要するに東証がこの企業について上場廃止を検討している等の報道は一切ないのです。一応我々の調査によれば、過去に中国で火力発電所を建設しているというリリースまで流して、それはうそであったという事実が判明しています。

東証及び大証の、こういった問題企業に対する措置が非常に甘いのではないかと私は思っているのですけれども、合併の際に、斉藤(東証)社長及び米田(大証)社長に対して、いわゆる世の中で言う「箱企業」と言われている商号を次々と変更して、投資家に多大の損害を与えている銘柄について、きちんとした措置をするようにご指示をなさる、そういうお考えはございますか。

答)

東証と大証が今回統合していくということは、私自身も経済産業省の副大臣当時からこれに関わって進めてまいりましたので、このこと自体は私は非常に今後の展望がしっかり開けていくという意味で、非常に大事なことだし、重要なことだと思って評価をしています。

あと、今ご指摘ありました個々のことについてのことがあるということは、これは承知しておりますけれども、まだ内容について詳しく私自身が把握しているわけではありません。いずれにしましても、適正な、そして公明、公平、そして透明性のある対応をとっていただくということは、これは自明の事だと思っておりますし、これからもそういう透明性のある対応をしっかりやって頂きたいということは、私自身として考えています。

問)

同じように東証の問題として、5月7日にイギリスのFSA、金融サービス機構が三井住友海上に対して罰金等の処分を下しました。欧州拠点に対して4億円以上の罰金を(科し)、これはコーポレートガバナンスに欠陥があるということでもって、(イギリスFSA)ホームページ等を見ますと二十何ページにわたって非常に厳しい指摘があると。

これに対して、三井住友海上は一遍のリリースも出していない。これは東証の適時開示ルールに反しているのではないかと。これだけ重い処分を受けて、その理由等について株主にも何も、日本では発表をしないというのは、おかしいのではないかと私は思うのですけれども、東証及び金融庁はこれに対して、三井住友海上にきちんとした説明をするように指導するご所存はございますか。

答)

今のお話は、詳しく私自身事実を掴んでおりませんので、これはまず事実の把握に努めます。その上でどう対応するか、しっかり検討して、必要であれば申し上げたいと、そう思います。

(以上)

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