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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年8月7日(火)9時27分~10時05分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議がありました。

国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等について報告があり、これを政府の方針として定めることとしました。

すなわち、国家公務員の退職手当の見直しについてですけれども、本年3月に示された人事院の退職給付に関わる官民比較調査結果及び見解並びに共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議の報告を踏まえて検討を進め、併せて本年5月の閣議において、私、これは総務大臣ですけれども、から報告したとおり、職員団体との話合いを重ねてまいりました。そして本日(7日)、これらを踏まえて、お手元の資料のとおり、退職給付における平均402万6,000円の官民格差の全額を退職手当の支給水準引下げにより解消することなどについて、政府の方針として定めることといたしました。今後、この方針のうち、国家公務員の退職手当に関わる部分については、国家公務員退職手当法の改正案を立案して国会に提出することといたします、という総務大臣からのご発言がございました。

段階的に引き下げていくということでございまして、下げていくための調整率は、退職理由及び勤続年数に関わらず、全ての退職者に適用するということで、この引下げ等についての考え方が示されたペーパーも併せて報告がありました。

それからもう一つございます。昨日(6日)、(郵政民営化委員会)西室委員長のご尽力によりまして、郵政民営化法の改正法案の成立を受けて、この趣旨を十分に反映した(郵政)民営化委員会の調査審議に関する新しい所見案が取りまとめられました。

今後、関係各方面の意見も聞いた上で、10月1日の改正法の施行に間に合うように所見を確定して、これまで凍結されていた金融2社の新規業務に関する議論をいつでも再開できる環境を整えて頂きたいと考えております。これに伴いまして、事務的なことになりますけれども、いつどういう時でも、日本郵政から申請が出されても万全の対応がとれるように、事務方とも十分な調整を図りながら進めていくことが必要かなというふうに考えているところでございます。

【質疑応答】

問)

増資インサイダー問題なんですけれども、大手12社の点検結果で、12社全てにジャパン・アドバイザリー(合同会社)が関与していたとの報道がありました。まず、事実関係はどうなのかということと、事実であれば、金融庁として、今後どのように対応されるでしょうか。

答)

12の社から8月3日(金)ですけれども、法人関係情報の管理態勢に関しまして、一つは社内組織体制、二つには法人関係情報の管理状況、そして三つには課題と取組みについて報告がありました。

報告の具体的な内容についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、各社においては、法人関係情報の管理態勢は相応に整備されているものの、一連のインサイダー問題を踏まえて、更なる課題が明らかとなって、その改善に取り組んでいくというふうに承知をしております。

なお、ジャパン・アドバイザリーとの取引といった証券会社の個別取引状況につきましては、コメントすることは差し控えたいと考えています。

一般論として申し上げれば、金融庁としては、仮に、何らかの問題があれば、当然のことながら、証券取引等監視委員会と適切に情報を共有する。そして、法令に則り厳正に対応するということとなるわけであります。

既に金融庁では、6月29日(金)ですけれども、このジャパン・アドバイザリーの登録取消処分及び業務改善命令を発出しております。ご承知のとおりだと思います。

問)

もう一問、自民党が今日にも内閣不信任案と首相問責決議案を提出するというような見通しになっておりますが、内閣の一員として受け止めをお願いします。

答)

金融担当大臣として、また郵政民営化担当大臣として、郵政改革の仕上げをしなければならないという大事な課題を抱えています。金融担当大臣としても、ご承知のとおり、金融関係、それから証券関係、それぞれ深刻な課題を抱えておりますし、今、私たちは政治に取り組まなければいけないと考えておりまして、私自身は政局に絡めて解散を約束しろとか、あるいは3党合意で熱心な議論の上に結論を頂いた、税と社会保障の一体改革、これを場合によってはなかったことにするというような話が出てくるということ自体、こういう政局は私は認めることはできないと考えています。特に国内で、私は福島の原発事故の収束とその復興・再生に骨身を削って当たってまいりましたので、まだ賠償も含めて、あるいは将来どういう所に住むことができるのか、いつ帰って来れるのかということが、まだ十分示されていない大変深刻な状況である時に、政治がそういうものをほったらかして政局に持ち込み、解散しろというようなことで、政治の空白を作ってはならないと、私は強く憤りを持って考えています。

大事なことをしっかりと一つ一つ決めて片付けていく、特に東日本(大震災)の被災者の人たちの心情を思えば、私は今、そのことに復興・再生、全力をその問題に投入すべきだというふうに思っておりますし、国際的にも大変大きな課題を抱えている。しかも、外国から日本を見る目が大変厳しくなっている中で、3党合意で決めた税と社会保障の一体改革について、このことさえ実行できないとなった時に、それが現今の国際社会にどういうふうに捉えられるのか、マイナスに捉えられることは間違いないし、現今の経済の関係の人たちがどう捉えるか、大変深刻な問題を私は提起すると、深刻な問題になるというふうに思っておりまして、今、そういうことに政局に関わるべきでないと、今、大事な、必要な仕事に一丸となって取り組むべきではないのかというふうにずっと考えて、これからもそうやっていきたいと思っています。

問)

先ほどの大手12社の点検に関してですけれども、これまで大和証券グループ等に対して報告徴求を求めたり、それから野村(証券)に対しては業務改善命令を出しましたけれども、他の10社に対しては、今後どうやって改善策を実行していくかを金融庁としてフォローしていくのでしょうか。

答)

先ほども申し上げましたけれども、12社に対して自主的に自分たちのガバナンスをしっかりと発揮しながら社内調査をしてもらいたいと同時に、それを発表することについても、強く自主的に自らの判断で公表しろというふうに私は強く期待しているということを繰り返し発信しておりますので、そのことが間違いなく行われるだろうというふうに思っております。

一般論になりますけれども、仮に何らかの問題があれば、金融庁としては、証券取引等監視委員会と適切に情報を共有するとともに、法令に則って厳正に対応することになるということは当然のことであります。

問)

では、特に報告徴求命令とか、今回の出された各社の改善点なども今回の報告徴求で求めていると思うのですけれども、それに対して本当にどうやって実行していくかとか、改めて何かするということはないということなのでしょうか。

答)

当然、金融庁としては、12社に対しての点検を行って報告せよと求めたわけですから、そのことが実行されることは当然のこととして、これからもしっかり注目してフォローしていきたいと思っています。

問)

個別の各社から報告のあった内容については各社の開示を待ちたいと思うのですが、今回の報告を受けて、全般的に全体を見通して何か新たに課題というか、業界として取り組まなければいけない課題とか、そういったものというのは新たに見えましたでしょうか。

答)

今、精査しているところでありますし、詳しい内容についての報告は、まだ事務方から受けていませんけれども、当然、野村証券、そしてインサイダー、そういうことがこれだけ国内外に大きな反響を引き起こしているという現実を考えたときに、その処理は野村証券として、皆さんご承知のような形で、トップの交代、そして根底から作り直していくという覚悟を示して対応するということと同時に、色んな対応策も発表されたわけですから、そういうことも十分踏まえて、各社がそれぞれ自分たちの内部管理態勢、そしてそこに自分たちで考えるガバナンス上の色んな課題があると自ら考えたら、自分たちの自主的な努力によって、当然それを改革して、そして世の信任を問うと、世間の信頼をしっかりと取り戻すと、いうことをしてもらわなければいかんと思っています。当然これだけの一流の企業ですから、ガバナンスを発揮してもらえるものと、我々は思っております。繰り返し注目しながら、しっかりと対応を見ていきたいと思っています。

問)

通信文化新報です。

(郵政)民営化委員会の所見案に関する見解をお願いしたいのですけれども、特に新規業務のところで、(株式)上場に向けて市場の評価を高めることが期待できる適切なタイミングでの実施が課題であるというふうに書いてあるところがあるのですけれども、それについて大臣としてどのような考え方をされるべきなのかというようなところをお願いします。

答)

郵政民営化の議論の中で、今回それを改正することでまとまりました。その過程で、当然、郵政民営化法にうたわれていることに加えて、ユニバーサルサービスというものを郵政3事業、全国隅々にまでそれを徹底することと、表現はちょっと違うかもしれませんけれども、行うということが義務付けられたわけであります。

すなわち、過疎地でありますとか、離島とか、そういうところに対してもあまねくサービスをするということが法律の上でしっかりと書き込まれている。同時に、(郵政)3事業が経営を安定させることと同時に、公共性とか地域性とかを十分勘案した上でサービスをしなければならないということになれば、やはりそれなりのリスクもあるし負担もあると。そこをしっかりと経営全体の中で補完し合い、そして充実し合い、全体の経営の安定を図りながらユニバーサルサービスを実行していくということの知恵を出すことが必要だと、基本的に思っています。

その中で、この郵政民営化委員会は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の今後の新規業務等の調査審議に係る新所見案を今度取りまとめたわけでございます。これからパブリックコメントや関係者ヒアリングなどを経て、さらに議論を行い、確定させていくものと承知をしております。その委員会において、今、議論中でございますので、コメントは差し控えますけれども、活発な議論を通じて、また様々な意見が出てくることも予想しておりますので、公正・中立な立場から考え方がまとめられるよう期待をしているというふうに考えています。

問)

全く金融とは関係ないのですけれど、なでしこジャパンが決勝を決めまして、非常に他の人の得点のためにパスをつなげる姿とか、相手チームに押されても押されてもチーム一丸となって守り抜く姿というのを見て、以前、鉄の結束とチームワークを誇る平成研にいらした議員として、今の政界は、あの姿をどう参考にすべきだと思われますか。

答)

一人一人の個性を十分活かしながら、しかし団体としてまとまってパスをつなぐ、そして想像力を豊かにして自分のパスはどこに出せば、その人の特徴を活かしながらパスをつないで結果に結びつくことができるか。今の政治を含めて、教育の現場も含めて、本当に大事なことを、私たちが生きていく上での基本的な事柄について、私は身をもって教えてもらっていると。胸が震える思いで、涙声になりますけれども、そういう気持ちで見ております。

今そういう気持ちが、また国民がそれで感動しているわけですから、それも政治の世界にあって、我が事に置き換えた時に恥ずかしくないかということも含めて、私は生きていく上での基本的な事柄として非常に大事なことを教えてもらっていると思っています。決勝戦、本当に強く期待しています。

問)

郵政民営化委員会の所見案について細かいところで伺いたいのですが、2006年の所見の時は、バランスシートの資産規模の縮小を求めていたと思うのですが、それが今回の所見案では外れています。一方、新規業務についても、既に取扱い実績がある金融機関と提携して、具体的にはスルガ銀行と提携して、住宅ローンとかについては速やかに審査に入るというような内容だと思うのですが、所管の大臣として、民間の金融機関としては、依然として、ゆうちょ銀行がかなり資産規模が大きいということで民業圧迫という懸念は当然あると思うのですが、資産規模の圧縮という規模の縮小というものが今回外れた中で、新規業務参入に比較的門戸を開いた内容になったということについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

まだ個々の色んな新規事業についての話は、全く私のところに届いていませんので、これについて色々コメントすることはできませんが、郵政民営化法があって、そしてそれを改正するということで新しい仕組みができたというふうに考えています。ですから、郵政民営化だけで、そして経営の安定といいますか、そういうことだけでプラスマイナスの損得ということを考えただけでの郵政事業というのは、地方に住んでいる人たちや過疎地や離島の人たちにとって、必ずしも恩恵を及ぼさないということが指摘されてきて、ユニバーサルサービスを地方の隅々にまで、離島や過疎地にまでそれを実施していくということが、国会の議論の中で繰り返し繰り返し議論されて、今回の改正法が出来上がったということであります。

地域性・公共性というのを十分に勘案しながら、一方で経営の安定にも努力すると。そして、ユニバーサルサービスを隅々まで実行する。大変難しい課題ですけれども、そのことを知恵を出してやれという国会の意思が示されたと思っています。

ですから、10月1日に向けて郵便局と郵便事業の方が合併して一つの会社になり、新しい体制ができるわけですけれども、新しく生まれ変わったという中で、この郵政民営化委員会のメンバーも新しく任命されて、その人たちの下で新しい出発に向けての所見案が示されたというふうに思っていますし、これからパブリックコメントにかけますし、様々な人たちの関係者のご意見もしっかり承っていきますから、公正・中立な形で仕上がっていくことを強く期待しているところであります。

問)

政治ですけれども、解散・総選挙はいつのタイミングになるか分かりませんが、あと1年以内には行われると思いますけれども、総選挙をすれば今の日本の政治の状態は良くなると思いますか。それとも、混迷の度合いは深まっていくと思われますか。全体の話として伺いたいのですけれども。

答)

今の状態が、やはり国民にどう受け止められているのかということの答えとして、総選挙の結果は出てくると考えています。

私自身もどういう形になるのかということは、まさに予想できませんけれども、少なくとも決めなければいけないことがしっかり決められるような、そういう政治の仕組みを作っていかないと、国民が政治を見放してしまうし、世界からも日本の評価を受けられないということは身に染みて思っていますので、少しでも良くなるような政治の形を作らなければいかんと。

前回、2年前ですけれども、ここでお話ししたかもしれませんが、モンゴルのエルベグドルジ大統領、43歳。朝青龍のように、同じような顔をしたふっくらした顔の人でしたけれども、国賓として日本を訪問されて、日本においで頂いて国会で演説されました。

演説の最後に、日本・モンゴル関係の色んな話をされた後、最後にこう言われました。「目覚まし時計が鳴っています。日本の皆さん、目を覚ましてください。早く起き上がって行動してください。私たちはそれを待っているのです。」。それを繰り返して演説を終わりました。

私は、その1か月後に、約100名の経済調査団を引率して、経済産業省の副大臣としてモンゴルを訪問しました。12月、マイナス35度から40度の厳寒の中でしたけれども、日曜日にも関わらず大統領の公邸を訪問して、入れと言って(いただいて)、1時間ほど懇談してまいりました。こう言われました。「私たちの国は小さな国で、しかし、広大な国土を持っている。周りは中国やロシアといった大きな大国に囲まれて、私たちの国はあります。外に出ていくにも、その国を通っていかなければ、その国の鉄道や道路を利用しなければ海に出ていけないし、飛行機はあるけれども、大量輸送ではそういうことになりますと。そういうところの国と色んな意味で、色んな関わりを持って生きてきましたけれども、日本に、私たちの国に来て頂いて、私たちの国を助けて頂きたいと思っていますと。日本の国は、周りが海に囲まれていて、どこにでも自由に行けるではないですか。どうしていつまで眠っているんですか。早く目を覚まして起き上がって行動してください。」と、改めて強く言われました。「私たちは助けて頂くことを待っているんです。目覚まし時計が鳴っていますよ。」ということを言われました。

日本にも確かに様々な分野の仕事がありますけれども、やはり政治の世界の中でこのことが一番問われていると、私は思っています。そういう意味で、今のようなご質問がありましたけれども、根底から日本の政治を作り直していくという機会に、今度の総選挙はいつあるか分かりませんけれども、次回の総選挙というのはそういう形でやるべきだと思いますし、そういう訴えをしていくべきだと思っています。

問)

証券12社の一斉点検について、ちょっと確認ですけれども、8月3日に報告があって、今日は8月7日なのですけれども、強く自主公表することを期待しているとありましたが、この公表というのは、どのぐらいの時期といいましょうか、今日なのか明日なのか、大臣はどう見ていらっしゃいますか。

答)

各社が自主的に公表するように強く促してまいりました。この場でも、色んな別の場でも、難しい言葉で言えば、「慫慂」という言葉を使いますけれども、強く促してまいりました。

各社は、私の知っているところでは、本日中、8月7日(火)を目途に点検結果を公表すべく準備を進めているというふうに承知しています。しっかりやってもらいたいと、強くそのことを促しています。

問)

またインサイダーの話で恐縮ですが、SMBC日興証券に対して、横浜地検と証券取引等監視委員会が刑事事件として捜査をしておりまして、この一連の捜査が終わりました。法人情報を取り扱う会社の中枢である執行役員が関与したという、これは大きな事件だったと思いますが、一連の事件に対する大臣の問題意識等を含めて、所見をよろしくお願いします。

また、このSMBC日興証券については、この一連の問題で組織的に何か不備があるのかどうか。もしそうであったら、この会社に対して再発防止策なり、役職員の処分など求めていくのか、その辺も伺えますか。

答)

一部の新聞に「SMBC日興のインサイダー、社長報酬3割削減等」の記事があったことは承知しています。

SMBC日興証券の元執行役員が、複数銘柄に絡むインサイダー取引で告発・起訴されたということにつきましては、言うまでもありませんが、金融当局として極めて遺憾に思っていると。証券会社は、インサイダー取引等の不公正な取引を防止する観点からも、公開買付等の法人関係情報を厳格に管理する必要がある。そして、実効性ある内部管理態勢を整備するとともに、高い法令遵守意識や職業倫理を持って業務を行うことが求められているわけであります。

一般論として申し上げますけれども、証券会社の業務運営等に問題が認められたという場合には、証券会社がその事実をどのように把握して対応しているかも確認して、そして法令に則り適切に対処していくことになるということでございます。

問)

東証のデリバティブの取引が、システム障害で全部取引停止になっているみたいですけれども、今年に入ってから2度目のシステム障害になるのですけれども、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。

答)

そのことについて、今、正確な事実関係を承知していませんので、ここでコメントすることは差し控えます。

後刻、後ほど事実関係を確認してみたいと思っています。内容の確認から始めたいと思っています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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