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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年8月21日(火)10時56分~11時15分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議で法曹、司法・法律を学ぶ人たちの養成制度関係の閣僚会議を設置するということが決定されました。政府全体として、司法制度改革及びその成果の定着に向けて取り組んでまいりましたけれども、司法制度改革によって導入された新しい法曹養成制度については、様々な問題点が指摘されているということで、内閣官房長官をはじめとする関係閣僚に、金融(担当)大臣は入っていませんけれども、この問題を再検討するということのために閣僚会議が決定されたということでございました。

それからもう一つは、昨日、銀座でオリンピックで活躍した選手たちのパレードがありました。非常に短い時間であったけれども、国民の本当に強い期待を背負って活躍した選手を迎えるという熱い思いがあの瞬間の中にこもっていたと。私は、テレビだけしか見ていませんけれども、それを強く感じました。国民が一体になるというのは、こういうことかなと思ったのですけれども。

その一体感の強い感動に比べて、国会会期の終末を迎えて、国民のために決めなければいけない様々なことがあるにも関わらず、依然として、国会の中の駆け引き、解散を明示せよというようなことも含めて、結果が出せない国会のやりとりを見ていて、非常に歯がゆい思いをしておりますし、残念な気持ち、遺憾に思っております。

金融庁に関連しましても、金商法の改正・改定を、今、準備をしているわけですけれども、それが進んでいかないということについて非常に残念な思いを持っておりますけれども、とにかく国会終末に向けて、金融庁の仕事、金商法をしっかり取り組んでもらうように、私も含めて国会関係者に強く働きかけているところであります。そのことをまず申し上げておきたいと思っています。

【質疑応答】

問)

先週末に、全銀協(全国銀行協会)がTIBOR(東京銀行間取引金利)の決定手順の点検結果について、不正が確認されなかったというふうに発表しました。これについての受け止めと、あと金利算出方法の見直しや、不正があった場合の罰則規定の策定なども取り沙汰されていますけれども、これについてのご所見も併せてお願いします。

答)

先週の17日でございますが、全銀協が、TIBORに関する一斉点検結果の概要を公表しました。概ね各行において公表要領が遵守されているということが確認できたという内容のものと理解をしております。今後、全銀協においては、その点検結果の詳細を精査していくものと承知をしております。

また、金融庁としましては、ご指摘のような具体的な見直しの方向性について、全銀協から報告は受けていませんが、全銀協としては、この点検結果や英国におけるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の見直しの動向等も踏まえて、TIBORについても、必要があれば見直しを検討する方向であるというふうに承知をしております。

全銀協においては、TIBORの取りまとめ・公表機関として、引き続きしっかりと対応してもらいたいと考えております。

金融庁としましては、引き続き高い問題意識を持って、全銀協のこうした取組みをしっかりと刮目して注視してまいりたいと考えているところであります。

問)

概算要求についてお尋ねしたいのですけれども、この1年間、オリンパスの問題ですとか、AIJ事件とか、公募増資インサイダーの問題とか、金融業界における不祥事が非常に多かったと思います。民主党のワーキングチームなどでは、違反行為の高度化を受けて、(証券取引等)監視委員会や金融庁の人員を増やして監視能力を強化すべきではないかという声も上がっていたと思うのですが、こうした監視能力の強化の必要性についてどうお考えですか。実際に、人員増を要求するお考えはあるのかどうかについて教えてください。

答)

民主党において、AIJ問題や公募増資インサイダー問題を踏まえて、金融庁や証券取引等監視委員会の体制強化等に取り組むべきだという議論があったことは承知しておりますし、その内容も読ませて頂きました。大臣としては、問題を、意識を共通として持っているところであるということは申し上げておきます。

現在、平成25年度の概算要求等については、8月17日に前回の会見でも申し上げましたけれども、「平成25年度予算の概算要求組替え基準」となっていますけれども、閣議決定されました。現在、事務方において鋭意検討を行っているところでございます。

他の省庁と違って、我が方は事業官庁ではありませんので、230億(円)少々という大変貴重なお金ではありますけれども、何兆(円)という事業官庁が持っている予算とはまた違う意味合いで、人件費、知恵と頭脳を絞っていく、そして所要の目的を達成するための色んな人員の配置等を含めて、今ご質問のあったことも含めてしっかり取り組んでいかなければいかんことだというふうに思っております。

前回の会見でも申し上げましたけれども、一つは投資一任業者に関する問題、これはAIJ問題ですけれども、その再発防止に取り組まなければいかんということ。それから、公募増資インサイダー問題への適切な行政対応をはじめとする我が国の金融・資本市場が抱える多くの課題に、適時・適切に対応する必要があるというふうに考えておるわけであります。その基盤となる体制の充実、そして必要な経費について厳しい行政事情、財政事情がありますけれども、適切に措置されるように努めてまいりたいというふうに思っております。

民主党のご指摘もありましたし、今、ご質問もありましたことも含めて大変ありがたく受け止めておりまして、所管の大臣としては大変嬉しく思っておりますけれども、何しろ厳しい予算要求の枠組みの中でどういうふうにしてそれを実効性あるものにしていくのか、我々も知恵を絞りながら、中の体制、そして目的に沿った仕組みをしっかりと効率的に動かせるように努力していくことが大事だなというふうに思っておりまして、今、ご指摘のあった色んな人員の確保等についても、色んな機会を捉えて、厳しい状況でありますけれども、必要性については訴えていきたいと考えております。ありがとうございました。

問)

確認ですが、監視能力はもっと強化しなければいけないという考えでよろしいですか。

答)

AIJ問題や公募増資インサイダー問題を踏まえて、人的な面、対応能力の向上について、これは極めて重要なことだと思っておりますし、私たちもその認識は欠いておりません。ただし、厳しい環境の中でそれをどうやって効率的に現在の対応をしっかりと強化していくのかということは考えなければいかんし、また、時限措置として、例えば災害対策等について、期間を区切って必要な人員を確保するというような制度もあるというふうに聞いていますから、そういうあらゆる色々な手立てを我々も取り入れながら、目的を達成するための体制をしっかり作っていきたいというふうに思っていまして、しっかり取り組みたいというふうに考えています。

問)

今の質問に関連してなのですが、イギリスのFSA(金融サービス機構)だったり、アメリカのSEC(証券取引委員会)並みの人員規模だとか統治能力というのを、今後、日本が持たせていくためには、人員の大幅な増強というのがやはり急務だと思うのですけれども、今の話を聞いていますと、知恵を絞るというようなところで、何とか配置を良くしたり、効率を上げたりと。ということは、海外並みのガバナンス、統治能力というものは、近々、考えていらっしゃらないというふうに印象として今受け取ったのですが、その点についていかがでしょうか。

答)

民主党のPTにおける色々な議論、それからそこから引き出されてきた強い指摘事項もあるのは十分分かっておりますし、私たちとしても今の陣容で十分100%完璧かというと、やはり色々な問題が多発している中では、今ご指摘あったような方向に向かっていくということは、担当大臣としては大変嬉しく思っていますし、そういう指摘は真剣に受け止めています。

ただ、今、この厳しい行財政状況の中で、直ちにそれに応えるような状況にもなっていない。今回の組替え要求基準の中でも厳しい制限が加えられておりますから、そういう中で、まず知恵を絞ることと同時に、私たちの目標とする、目的とするものがしっかり知られていくことができるようにするためにも、色んな場面を捉えて、色んな機会を捉えて、必要な人員の配置、増員等についても要求し続けていく、あるいはそういうことを働きかけていくということは大臣としての仕事だと考えています。ご指摘は心から嬉しく思っています。

問)

ということは、配置だったり、知恵を絞るという人の転換だったり、効率性ということで、特に現時点では大幅な人員増強は考えていらっしゃらないという理解でよろしいでしょうか。

答)

努力目標としてありますけれども、現在の厳しい状況の中では、やはり必要最小限。例えば、時限措置等で何かできるかどうか、これは知恵を絞るところだと思っていますけれども、集中と選択でとにかくやっていこうということでございます。常に、周囲に対して必要性については働きかけていきたいと、それは変わっていません。

問)

ちょっと確認させてください。日韓関係の現在の変化を踏まえて、金融庁で何か対応が必要となっているようなものというのはございますでしょうか。あるいは、今後考えているようなものというのはあるでしょうか。

答)

今、事務方にも今回のこのようなことになったことについて、どういうことが将来起こり得るのか、財務大臣が色々発言していることも踏まえて、しっかり勉強しておくようにという指示はしてあります。

また、別の機会にお話しすることがあると思いますけれども、そういう問題意識は持ちながら対応しているということです。

問)

その関連で、勉強している状態ということは特段大きな対応はしていないかなと思うのですが、日韓通貨スワップは、もうなくても日本の金融機関も含めて影響はないのかと。この協定を結ぶ際に、あまり表に出ていませんでしたけれども、かなり緊迫した状態もあったというふうに見ている人もいますけれども、これに関して、もう日韓の間で、現状なくても大丈夫なのかどうかということの認識(についてお聞かせいただきたい)。

それから、この協定に関して、安住財務大臣とか財務省とやりとりをしたことが、金融庁としてあるのかどうかというのが2点目。

それから、閣僚の間も含めて、ちょっと政治家の間に感情論的な発言が、この日韓の、日中もそうですけれども、目立つところが少し気になるのですが、大臣はこの辺どう受け止めていらっしゃいますか。

以上3点です。

答)

最後の方のことは非常に大事だと思っておりまして、冷静に、そしてどういう事実関係があって両方の国々がそれぞれ領土の問題について対応してきたのかという検証は冷静にしていく必要があると、まずそう思っていますし、必要なことについては、しっかりと場面、場面で主張していくということが大事だと思っております。

これは自民党体制の時から含めて、大事な場面で色んな発信が足りなかったのではないかなということは自分自身も思っておりまして、これは我が国の基本的な考え方として大いに反省も含めつつ、新しい局面にどう対応していくのか、これは大事な場面に来ているなというふうに思っております。

あくまでも冷静に、しかも過去のそれぞれの国の主張、寄って立つところの理由といいますか、根拠といいますか、そういうところを冷静に検証して、しっかりと国民に説明することが大事だなというふうに思っていますし、相手国に対してもそれを主張することは大事だと思っています。

通貨等のスワップ等については、国際関係の円滑な金融のシステムを作り上げていくということからも含めて必要だったからこそ出来ている仕組みだと思っていますけれども、ここもやっぱり冷静沈着に、その反応・判断をしなければいけないと思っていますし、当然、関係省庁・機関とも綿密な連絡を取り合って対応していくことはもちろんでありますし、事務方においてそういう連携しながらやっていることは当然でございます。

問)

この協定は、もうなくても大丈夫なのでしょうか。

答)

そういうふうには思っていません。

問)

必要に応じて必要だという考え方でしょうか。

答)

必要があったから出来ているわけで、またもう一度、関係省庁と現状を照らしながら、よく検証することは必要だと思っていますけれども、これは綿密な連携を取りながら対応していくことが大事だと思っています。

問)

安住(財務)大臣が、この協定を見直すという発言の前に、金融庁に相談はあったのでしょうか。

答)

事務方との色んな連携はあったと私は思っていますが、私自身に直接そのことで話があったことはありません。

どうもありがとうございました。

(以上)

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