英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

安住財務大臣・内閣府特命担当大臣事務代理繰下げ閣議後記者会見の概要

(平成24年9月19日(水)10時06分~10時25分)

【質疑応答】

問)

中国で反日デモが広がっていまして現地の日系企業にも影響が出ていますが、日本経済に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。また政府としてどう事態を打開すべきだとお考えでしょうか。

答)

テレビニュースの映像を拝見していると暴徒化して、日本に関係ある企業や工場であればやみくもに破壊をしているというのは、とても残念に思っております。あれだけの人口の国ですから、ほとんどの方々は冷静に日中関係はいい方向でいくべきだと思っていらっしゃるとは思うんですけれども、ただ一部あれだけ過激な、領事館や大使館というのは日本そのものですから、そこに対して投石やペットボトルを投げているという映像というのは決して我々から見ても容認できるものではないので、当局である中国政府が厳しく取締まりをしていただくということが大事だと思っております。私は2月に訪中をしまして、王岐山副総理とスワップも含めて国債の購入、更に円元の直接決済をスタートさせました。現在大変順調にこの動きはそれぞれの企業にとってメリットを生んでいると確信をしております。第2、第3の経済大国ですから、様々な政治的な課題はあっても減速感のある世界経済をお互い引っ張っていかなければならないという責任感の上に立てば、冷静かつ適切にこの問題に対応していく必要性があると思います。ただ、進出している企業は非常に今不安に感じていると思うんです。もともと多くの日本企業は中国側に配慮して、ほとんど地元の、現地の中国の方を採用させていただいて、生産活動に従事していると聞いております。そうしたことも勘案すれば、やはりこうした生産拠点を破壊するというのは中国のためにも決してメリットがあるわけではないと思いますので、一日も早くこうした事態が収束することを願ってやみません。

問)

今朝、閣議決定した新エネルギー政策ですが、2030年代までに原発稼働ゼロを可能とするというところではなくて、そうした関係閣僚での取りまとめを踏まえて不断の検証と見直しをしながら遂行すると。踏まえてというところがいささか弱いんじゃないかというか、どこまで閣議決定したのかという曖昧さを指摘される声もありますが、これについての野田内閣としての覚悟みたいなことについては、大臣はどうとらえていらっしゃるんでしょうか。

答)

様々な角度から検討が必要であるということはご存じのとおりだと思います。ただ大震災以降の福島の事故を契機に、原子力への依存を弱めていこう、薄めていこう、また場合によっては即時廃止をしていこう、皆さんそういう世論が分かれている中でいろいろな意見聴取をして、党内調整をした結果としては、2030年代に稼働をゼロとすることが可能となるようあらゆる政策を投入してこれを実現していくというペーパーをしっかり参考資料として載せていますから、ここで踏まえてというのは、原発に依存しない社会を実現するという大きな方向性を示したものであって、しかし現実に柔軟な対応が必要なことも日本経済の現状を考えれば事実でありますから、大きな方向性としての30年代へのゼロに向けての取組みというものは示せたんだろうと思います。その上で国民生活、日本経済に与える影響、それから国際的なエネルギー情勢、30年先までしっかりと見通すことはなかなかどなたであっても難しいわけですから、しかしこういう中で再生可能エネルギー等の比率をどう高めていくか、そういうことを政府としては最大限資源を投入して比率を高めていくことによって原子力の依存をできるだけ早い段階で薄めていこうということの方向性ははっきりしたと思います。自民党の総裁選挙でもゼロをどこの時点でということは明言しませんが、この依存度を下げていくということについては立候補者の方々ほとんど同じ考えじゃないかなと思いますので、あとはどういうスピードで、どういうエネルギーというか、国家的な規模でこれに対して立ち向かっていくかということです。併せて電力会社自体の経営というものも1つは考慮しないと、そこが倒れたのでは国民負担が更に増えるという話にもなりかねませんから、そういうことをよく考えながら、しかし大きな方向に向かってやっていくと。その大きな方向性を今日は閣議で決めたということだと理解しています。

問)

そうすると、時限を区切ってゼロにするというのが最初にありきではなくて、そこを目指していくんだけれども、諸般の情勢があればその時々は政府としては国民負担も考えながら柔軟に対応すべきだというのが本意かなと思いますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

答)

だから字面のとおりじゃないかと思うんです、参考資料に載せてある。2030年代に稼働をゼロにすることが可能になるようにあらゆる政策手段を投入すると書いてあるわけですから、時限をきちっと定めて、それをターゲットにしてどこまでこれを消化していけるのかということだと思います。道のりは大変厳しいものもあると思います。ただ化石燃料が本当に、シェルガスを見れば分かるように予想を超えた何かが起きることもあるので、まずしっかり軸としてこの2030年代の参考資料にあるゼロを目指すということを大きな方向性として、しかし現実の対応というものもしっかりやっていきますよということだと思います。

問)

今日、再上場した日本航空の株についてなんですけれども、売却益が見込まれていますけれども、復興に充てる財源として考えるのも1つの考え方だと思うんですが、大臣としてはどのように考えていますか。

答)

日本航空の問題については様々な意見があるとは思います。しかしかなり早い、予想を超える早さで本日株式の上場、東証にできたというのは、それは日本航空全体のたゆまぬ努力もあったと思います。我が国の地方と東京、地方と地方を結ぶネットワークとしてANAとJALが競い合ってサービスを提供することは、国民の利便性にかなうと思っております。今の指摘というのは、売却益が3,000億ぐらい出てくるなと。これをどうするんだということですが、法人税等を差し引くと金額的には2,000億はいかないと思いますが、その下ぐらいの額は余剰金として出てくる可能性は見込んでおります。これをどうするかということですけれども、まだ正式に決めてはおりません。ただ非常に貴重な財源ですので、党には党のいろいろなお考えがあるようですけれども、基本のラインから言えば1つの考え方としては、今ご指摘があったように復興の財源、復興の財源と言っても最近は何か無駄なものにも使っているんじゃないかという批判がありますから、復興の財源の中でもなるほど、これならという被災地の中に限ったような使い方というのも1つあるのかなと思いますが、なお与野党のそれぞれの政策責任者等のご意見を拝聴しながら予算編成等に向けてこれの使い方について議論をして決めていきたいと思っています。

問)

中国との関係では、日中金融協力などその辺の関係には、今のところ影響を及ぼさないという考えでよろしいんでしょうか。

答)

私としては、交流というよりも取引規模の大きさから考えて、日中間で経済的な関係が止まるなんていうことは、両国にとっては大変な打撃を受けますので、経済的な問題については、中国の当局者と何かこれで話しているわけではありませんけれども、中国の当局側も決して、ああいうデモでの破壊行為等はあったとは思いますが、今年に入って私と王岐山副首相で取決めた問題について、これを例えば元に戻すとかやめるという方向はないと思います。長い目で見て我が国の企業にとっても中国での販売、それから生産、そうしたものが安心して、かつ安定的にできるような路線というものは私としては維持すべきであると思っています。

問)

先程も出た復興費についてお伺いしたいんですけれども、今年の概算要求4.5兆円の中にも全国防災関連費が1兆円ほど含まれていて、これは昨年度の補正予算の今年度の予算で既に1兆円ぐらい上っていて、閣議決定された5年間での規模と同じ額に上っていますけれども、これについて一般会計の付替えではないかという批判も出ていますが、今年の査定方針についてと、改めて復興の特別会計で全国防災事業を行うことについてどういう意味があるのか教えてください。

答)

それぞれの省にはそれこそ最近どうもメディアの皆さんから細かな予算について指摘を受けていると。私、実は大変いいことだと思っております。主計局を中心に私達もせっかく特別に作ったスキームです、25年間にわたって所得税もお願いする、これは復興中心です、あくまで。ただ、この間の国会での議論等を通して南海トラフを初め直下型地震等、予測される地震等について何らかの防災対策についてもこの予算の一部を使ってやるということで特別会計の法律も、それから使途も成り立っていますから、全国防災事業そのものが法律に違反をしたりおかしいという批判は当たらないと思います。ただ、その中にあって緊急性のあるもの、それから津波災害等このまま放置していては不測の事態が起きるようなものについて、何らかの予算措置をしなければならないとは思っていますが、そちらが増え出して復興の側の予算がなくなるなんていう本末転倒なことは一切させません。それから各省によっては、私もニュースは拝見させていただいておりますけれども、東日本大震災で例えば壊れてしまったり棄損したヘリコプターの補充等が防衛省の場合だったら必要だったということで予算要求をさせていただいたと。それが何か震災に関係ないからおかしいみたいなニュースも見ましたけれども、それは多少ちょっと意見の分かれるところはあるかなと思うんです。ですから皆さんにも、震災復興の特別会計をなぜ作ったかと言えば透明性をこうして確保して、逆に言えば皆さんの批判にしっかり耐えていくということも大事なことでありますから、是非細かな事業を含めてこれはおかしいんじゃないかというのがあったら指摘をしていただければ、私はそれを予算の中でメディアの皆さんの言うことが正当性があるんだと判断すれば、継続の案件でも予算はばっさり切ろうというぐらいの姿勢で今回は臨みたいと思います。

それから言っておきますけれども、あまりマスコミ出身だから言いたくないけれども、テレビはどうしても大ざっぱに報道しますから、震災の被災地にお金が全く回っていなくて、そっちに行っているんじゃないかというのは私は的外れだと思うんです。被災地の復興の予算は十分に対応していますが、むしろ今入札等が不調に終わったり、そういうことで執行できない部分があるんです。これは物量の問題ですから。だからそうしたことはよく見ていただいて、何かそっちの予算を削ってほかのところに予算をつけているような報道だけはちょっと勘弁してもらいたいなと思います、事実と違いますから。

問)

ただ、4.5兆円のうち1兆円が全国防災というのは復興費としてはちょっと額が多過ぎるのではないか、復興費のカテゴリーとして考えるにはちょっと額が大きいのではないかと。

答)

それは概算ですから。概算は青天井で要求は認めましたから、それが最終的にどういうふうに落ち着いていくかというのは別の話ですから。だから再三私が言っているけれども、必ず記事にするんだけれども、概算は今回は今までと違ってキャップを設けない部分があるんだから大きくなるのはしようがないんですよ。別にそれで膨らんだ予算だとか水膨れだというのはおかしいんです。それから切っていくのが我々の仕事だと言っているわけだから。

問)

為替ですけれども、少し円安の方に振れていて、そういう中で今日、日銀の決定会合が開かれております。金融緩和を織り込んで円安並びに中国の状況などもあってそういう状況になっているんですけれども、為替の水準については言えないと思うのですけれども、円安に振れていることと決定会合についてお考えがあればお願いいたします。

答)

私達の財務省としての考え方は、会議の席で発表させていただくことにはしています。率直に言ってどういう会議の流れになっているのかは予測がつきません、我々ですら。ただ取り巻かれている状況というのはQE3をはじめ、先週から今週にかけての動き、ECBの動き、もちろんそうしたことは議題の中で日本がそういう中で何をすべきか、今なのか、それとももうちょっと様子を見るのか、様々議論はあると思いますので、私としても今日午前中いっぱいの議論を待って結果を聞かせていただければと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る