安住財務大臣・内閣府特命担当大臣事務代理閣議後記者会見の概要

(平成24年9月28日(金)10時41分~11時03分)

【質疑応答】

問)

自民党の新総裁に安倍晋三元首相が就任されましたけれどもその受止めと、安倍新総裁はこれまでの選挙戦などを通じて、社会保障の財源としての消費増税の必要性は認められる一方で、デフレが続いている場合の消費税率引上げには慎重な姿勢も示されていますけれども、この点についてはどのように大臣お考えかお聞かせください。

答)

安倍新総裁は政治経験も長いですし、行政運営全般にわたって様々な財政状況を含めて知っておられるわけでありますから、財政再建の必要性というのは十分ご認識あると思います。できれば同じ土俵の上でこれからかみ合った議論をしていきたいと思うんです。なぜこういうことを言うかというと、3党で合意をして社会保障・税一体改革の法案は成立をいたしました。これから低所得者の皆さんに対する対応をどうしていくのか、それから被災地、また住宅の購入等大きな買い物をなさる方に対して、どういうサポートをしていくのか、制度を詰めていく段階なわけであります。そういう中で、また振出しに戻って消費税を上げるのがいいとか悪いとか、そういうところに、後ろにもしバックをしていくような議論をするとすれば、私は国民にとっても国家にとっても不幸なことだと思います。もちろんデフレの脱却や経済成長は必要です。ただ、あそこの法律をきちっと読んでいただければ、3党で合意した意味というのは十分分かっていただけると思うんです。成長も目指すし、脱却も目指すということは書いてあります。しかし厳密に定義をすれば、インフレだからいい、デフレだからいいというのは経済論争的に言うとこれはナンセンスな話です。じゃあインフレになったら、年間何%かのインフレ率が高かったら皆さん消費税を本当に上げられますか。それの方が、よほど深刻になる可能性だってあります。選挙とかを意識していろいろな議論をするのではなくて、例えば基礎年金の2分の1の国庫負担だって、もし消費税をやめたら何で賄っていくのかとか、そういうことを肉付けをしながら、今まで関係者が積み上げてきてここの合意に至っているということを是非理解していただきながら、前向きな論争というものをこれから是非、党と党の間でも私はやっていきたいと思っています。

問)

特例公債法がまだ通っていないということについて、今後も含めてどういうふうに説得していきたいかということと、10月早々にはなかなか難しそうな状況で、以前10月になれば執行抑制の方、新たな段階も考えなければいけないということを仰っておりましたが、その点についてはいかがでしょうか。

答)

早いものでもう次10月が来ますので、10月の段階では9月分がもうないわけだから、残りはもう財源が限られていますので、さらなる節約をせざるを得ません。それは地方自治体、国民生活に非常に影響が出てくるので、私は成立をさせていただくことは是非必要だと思っております。総裁選挙で、新総裁も新幹事長もこのことについては政争の具にすべきではないというお話をしたと聞いております。近く総理と党首会談等があると思いますので、その中でそうした合意を得られれば、私は日本にとってはいいんじゃないかと思っております。

問)

そうしましたら党首会談が終わるまでに、新たな削減策というものは出さないというお考えでしょうか。

答)

事務的には準備しないといけないと思います。できるだけ限られた財源を有効に使いながら、国民生活に影響を与えないようにしていくということですから。

問)

先程の安倍さんの話ですけれども、安倍総裁が総裁選で言っていた話を聞いていると、景気条項にそういう話が書いてあると。何か新しい法律を作るわけではなくて、景気条項に従ってやるだけだと。そういった上で言っていたのは、今のようなデフレが続くようであれば上げるべきではないとテレビ番組でもはっきり言っているんですけれども、そこはまた政府の認識とも違うように思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

答)

あの法律は自民党も賛成した法律です。ですから法律に従って対応するということになります。法律に従った対応ができないということであれば、それは法律の改正ということになりますけれども、民主党としてはそういう考えは全くありません。あの法律にはデフレの脱却は目指しますけれども、これは目指すプロセスも努力目標として書いてありますが、それをもって例えば一定の数字が達成できなければやらないということは書いてあるわけではありません。もとより我が国の置かれている状況の中で、自民党の長い政権下で、デフレはなぜじゃあ脱却できなかったのかということも含めて考えなければならないと思うんです。だから金融の緩和も必要でしょう。しかし一方で少子高齢化の中で購買力そのものが大きく落ちていて、国民の皆さんの生活の成熟度が高まってきた中で購買力をどう高めていくかというのは日本の大きな課題です。若い人口が減っていく中でどう成長を遂げるかというのは、選挙戦等で口でいろいろなことを国民の皆さんに向かって発言をすることは全然それはいいんですが、現実に政権運営をしながらそれを皆さんご存じのように限られた予算の中で、どういうふうにこれをやっていくかというのは大変至難の業だと思うんです。お互いもう責任のある立場で責任のある政党として、我々民主党としても大いなる反省を踏まえて申し上げれば、現実路線に立った政権を担い得るお互いの党が同じ土俵と同じデータの中で経済論争をすることはいいんですが、ちゃぶ台返し的なことは私は不毛な対立を生むと思いますし、公明党との連携等を自民党は仰っておられるようですけれども、3党合意に関して言えば私共と公明党の考えはむしろ近いんじゃないかと思うんです。

問)

ただ大臣、景気条項によると実質2%、3%の話の前に経済好転を前提としてというのがあると思うんですが、そこの解釈によっては、政権によっては法律を変えないでも消費税増税の施行を停止するということも可能なのではないでしょうか。それとも今のお話だとあの法律でいくと増税はするんだという解釈なんでしょうか。

答)

経済の好転ということは、あまり誤解するからもう言わないけれども、インフレとデフレの問題と経済を好転することというのは、ちょっと違う話じゃないんですか。これは経済部の皆さんだからあえて言うと。国民の皆さんに部分的に取り上げて放送するのだけは勘弁してください。これは違うでしょう。経済の好転はあそこに書いてあります。しかし成長を目指していくために様々な施策を講じるということも書いてあります。ですから経済の好転ができない、著しい何か、リーマンショックや大震災のようなことがあれば当然、時の政権の判断ということを我々はあそこで申し上げているわけだから、それは別に私は全く我が党が政権をとっていても、経済が著しく落ち込んだ場合というのは、消費税を上げるかどうかというのは、政治的に時の総理大臣は決断をすべきであると思います。例えば信号がないから高速道路のようにずっととにかく上げればいいという話では全くないんです。ただ、インフレとかデフレというのをそこに持ち込んできて、あそこには数字は目標としては書いてありますけれども、それ以外の何か数字で上げるとか上げないというハードルを作ったのでは、法律の趣旨とはちょっと違う話じゃないかなと思います。ただ新総裁のお話になっておられる話は、まだ私、正式に聞いてはおりませんので、十分3党合意を順守すると仰っておられるので、同じ土俵で議論はできるのではないかと期待はしております。

問)

特例公債の方で、先程説明の中で、安倍総裁が政争の具にはしないと言っているという話がありましたけれども、一方で同じ会見で、総裁就任会見の時に安倍総裁が言っていたのは、特例公債法案は審議してもいいけれども、趣旨を言うと解散をするという紳士協定があるのだから、そこは守ってもらわないとというような感じの趣旨の話をしていて、そこは野田総理がこの間言ってきている、毎年毎年、特例公債法案と総理の首が引換えというのはおかしいんじゃないかというところとぶつかると思うんですけれども、そういった特例公債を通すには、解散をきちんとすることが大事だというような認識に対してはどういうふうに、自民党内にあるそういう見方についてはどうご覧になっていますか。

答)

それは政争の具にするという意味ですか。そういうことになってしまいませんか。

問)

安倍さんは総裁会見で聞かれた時に同じ答えの中で政争の具にはしないと言いつつ、特例公債法案の審議をすることは審議拒否するわけではないけれども、一方で党首会談での約束があると。解散の約束があると。そこは紳士協定であるという言い方をしていまして、ですから実質的には交換条件みたいな言い方をされていたので。

答)

だからそれは政争の具にしないという言葉と矛盾しませんかと聞いているんです、私は。

問)

そうだと思いますけれども。

答)

だから、そうだと思いますよね、やはり。総裁は特例公債の成立を図れなければどうなるかということを一番、総理大臣ご経験者でございますから、私は総裁はそのことは十分分かっておられると思いますので、極めて常識的な対応をしていただけるものだと思います。総理は近いうちに国民の信を問うと仰っておられますから、近いうちにということはそれ以上でもそれ以下でもないという説明をしているはずだと思います。

問)

現時点での補正の考え方についてお伺いしたいんですけれども、今朝発表されました鉱工業生産、やはり悪い数字が出ていまして、経済産業省が基調判断を下方修正しています。これを踏まえて、秋の補正予算の編成の必要性があるかどうかということ、お考えを伺いたいのが1点。それから近くIMF・世銀総会に絡んでG7を予定されているかと思うんですけれども、東京で開催されるG7ということも踏まえて、現状為替が歴史的な円高水準を超えない中で、ホスト国として為替の問題を取り上げていくお考えがないかどうか、この2点をお願いしたいんですが。

答)

輸出先の経済状況が極めて不安定な状況であると。主力である中国、アメリカ、これに欧州ですから、不安定な要素を抱えている世界経済の影響というのが、じわりと日本のいろいろな指数に影響が出ているのかなという点では、下振れリスクがあるということだと思います。これを財政的にどうサポートをしていくのかということは、非常に重要な課題だと思っておりますので、その方法については、新しい内閣の中で政府・与党、総合的にデータ等を勘案しながらやりたいと思います。ただし、それをやるにしても特例公債法が通らないで、大型補正というのもこれは物理的に難しいわけです。そうした制約の中で、しかし限られた予備費等を使って、じゃあ具体的に緊急に対応することで下支えができるのかどうかも含めて、いろいろなことを検討していかなければならないと思います。為替については、歴史的な円高水準であるということはご認識のとおりでございます。我が国が今どういう状況であって、どういう下振れリスクがあるのかという話を、新しい財務大臣は、様々なIMF・世銀総会でのバイ会談を含めて会談がありますから、そういう中で円高要因というのが、日本経済にとって非常にデメリットが大きいんだということは、引き続き私は説明をしていただくということがいいだろうと思います。

問)

先程インフレがいいとかデフレがいいとか、そういう経済学論争ではないということを仰っていましたけれども、確かに大幅なインフレは経済にとって打撃が大きいですが、政府の認識としては緩やかなインフレが望ましいというところにあって、デフレよりは緩やかなインフレの方がいいのではないんでしょうか。

答)

デフレから何としても脱却するために今必死にやっているんです。これは十何年間の大きな課題です。だから私は、先程から言っているように誤解をしないで、意図的に書かないでくださいというのを前提に言っているんです。どっちがいいとか悪いとかという話を経済学的な話で言ったらばさっきのような説明になるんじゃないですかと。だから今仰るとおりですよ。私共が今抱えている課題というのは社会的な状況の中で、例えば私の生まれた学校でも、私の時の同級生は、田舎でしたけれども例えば50人も60人もいました。しかし今はその町の小学校は、当時は5つもあったのが1つの学校になっている。全校生徒が十何人しかいないと。日本の今の田舎では本当に子どももいない、若い人もいなくなってきて年金受給者の方が増えている状況でしょう。こういう中で高度成長のような成長をどうやって本当に果たしていくのかというのは、大変なナローパスであって、その中でまた財政的に1,000兆円の借金を抱えながら、これに挑んでいくというのは、極めて厳しい話なんです。だから規制緩和をどこでやって、お金をどう有効に使っていくかということは、同じ土俵の中で議論しないと、私は二大政党の責任を果し得ないんじゃないですかということを申し上げたいだけです。そういう中で、くどいようですけれども、あの法律ができたんです。あの法律の条文の解釈をめぐって全く第1党、第2党、公明党を含めて、もし違う解釈をしたら基盤が崩れていくので、そこは安倍新総裁だってお分かりの中で仰っておられるんじゃないかと、私は思いますということを申し上げているんです。それを全くちゃぶ台返しをもしするようなことになったら、財政的な問題や社会保障の問題、何のために200時間を超える議論をして、ここまでつらい厳しい選択をしてきたのかということになりますので、私はそういう後戻りをしてはならないと。引き続き、先程も言いましたけれども制度の充実を図る、それからデフレからの脱却と同時に経済を好転させていく、そのことを目指しながら来年のしかるべき時期に、引上げのことについてしっかりと決断のできるような経済状況を作っていくのが、お互いの仕事、責任だと思います。

問)

自民党の安倍新総裁が、26日の記者会見で特例公債法案についてなんですけれども、今年度予算の減額補正が協力への条件だと言ったんですが、それについては大臣はどういうように評価されるかということを伺いたいのが1点。それから自民党と民主党の間で早くも解散をめぐる攻防が始まっているわけですけれども、自民党の安倍新総裁は近いうち解散の「近いうち」というのは年内だという認識に立っておられますが、大臣はいつぐらいの、その「近いうち」というのはどのぐらいの認識でいらっしゃるのか、その2点をお聞かせください。

答)

減額補正というのは多分、交付国債を下げたわけだから、これをつなぎ国債でやるということとクロスしてお話になっているのか、そういう認識がおありなのかどうか私は分からないんだけれども、私は立場が変わりますので来週からまたそれは政治的にきちっと話はします。今財務大臣としてもし申し上げるとすれば、減額補正をすれば本当に特例公債法をとおすということであれば、是非どういう減額補正が必要かということを自民党に是非提示をしていただければ、それを政府として受け止める可能性は私はあっていいと思っています。ですから具体的に是非、お話のようなことであれば、減額補正の中身をしっかりと出してほしいというのが1点。それから被災地の財源の確保をどうするかということについても、是非、私は自民党の皆さんと、新しい執行部の皆さんと話をしたいと思うんです。震災のこれからのスキームというものを、これは非常に重要なので、こうしたことも補正と非常に絡みますから、政治的なことだけでなくて、我々としても今ここまでこういう状況で来ていますと。宮城も福島も岩手もこういう状況になっていますと。だから更に財源的にはこうしたいんだけれども、それについて自民党さんどうですかと。なぜかというと、そのことも一緒にやってきたんです。いろいろ政府の批判をするのは簡単だけれども、予算をつけて、どれを執行して、どの法律で何をするかというのは、実は3党で決めてきたんです。そのことを引き続きやらないと、被災地に対する期待に応えられないんじゃないかと思うんです。政治的に、もう国民の皆さんは悪口の言い合いはもういいから、きちっと協力できるところはしたらどうだということじゃないかと思うので、そこは安倍新総裁は総理経験者でもおありであるから、是非そういうことについては提案いただければ飛んでいきますから、直接説明を私にしていただければありがたいなと思います。最後の話は私に聞いても無理です。

問)

今の質問に関連して安倍新総裁、減額補正については生活保護を減額できるのではないかとこれまで仰っているんですが、その点について。

答)

ですから大いに具体的なことを示していただいて、生活保護のどの部分を何千億円削らないといけないんですかと。減額補正の額と項目を出していただければ、それが本当に現実的に可能なのであれば、またそれは受け入れられるものであるかどうかというのは精査をしますので、急いで精査をしますから、前向きにそれで合意をして特例公債法の成立がいいということであれば真剣に党としても受け止めたいし、財務省としても真剣に議論したいと思います。

(以上)

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