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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年1月18日(金)12時10分~12時38分)

【冒頭発言】

日銀総裁との会談、これは甘利大臣と一緒にお目にかかる機会を得て、総理からの指示もありましたので甘利大臣とも協力しつつ、政府と日本銀行の間の連帯強化の仕組みについて検討を進めているところです。今日はそのためのトップ同士で腹を割った意見交換を行ったわけで、文書等々はこれから後になって出てくると思います。

太平洋自然災害リスク、これは日本が世界銀行と協力の上、太平洋の島嶼国のサモア、ソロモン群島、トンガ、バヌアツ、マーシャル諸島を対象とした太平洋自然災害リスク保険プログラムを本日開始することになりました。これは私が出席した2009年の第5回太平洋・島サミット、北海道のトマムでやったんだと記憶しますが、そこで太平洋の島嶼諸国支援の一環として、この創設の検討を日本から表明したものです。この保険は、太平洋島嶼国に大規模自然災害が発生した際に、当該国の財政対応や、また海外からの支援等が本格的に動員されるまでの間に必要となる足の早い資金需要に対応することを目的としております。日本はこのプログラムのドナー国として、保険料の補助などの貢献、これは平成24年度に約460万ドルを行うんですが、そういったことをやるということです。日本は開発において防災の重要性を主張してきておりますが、このプログラムが太平洋島嶼国の防災戦略に適切に位置付けられることを期待しています。こういうのは言うだけでなかなかできないということになりますので、そういう意味では現実問題としてそれがワークするようにしていきたいなと思っております。

【質疑応答】

問)

大臣からもご紹介がありましたけれども、今日の白川さんと甘利さんとの会合で文書はこれからということでしたけれども、今日の論点ですけれども、日銀の独立性であるとか政府・日銀がそれぞれ負うべき責任とか、どういったことについて議論が交わされたのでしょうか。

答)

内容は言えません。目下詰めている最中ですから、内容はちょっと言えません。

問)

予算編成の話に変わるのですけれども、来週に諮問会議等が開かれて予算の基本方針等も決まって、予算編成がこれから佳境を迎えていきます。基本方針の中では国債の発行をできるだけ抑制するようなことも明記される方向で検討されていると聞きます。こういった財政の制約というか、財源の部分の制約がある中で、各省からはかなり大きな要求が来ている中でどういうふうにメリハリをつけて、新政権としての予算のカラーを出していくのか、その辺をお聞かせください。

答)

民主党政権の時代にばらまき的に、例えば生活保護とかいろいろなものに関して結構金が出ていますから、そういったようなものは減らすというようなことを、1つの例ですけれどもやると基本的にはトータルで財政の支出が、歳出が減りますから、その分でほかのところに回せるということになると思っているんですけれども、どれぐらいやれるか、それは今からです。

問)

今の予算編成の観点でもう1点お伺いします。既に緊急経済対策を補正予算で先出し、デフレ不況脱却に向けた手は打てるものは打っていると思います。さらに新年度予算で追加的に打つべき項目、分野があるとしたらどういうところでしょうか。

答)

新たに出すとするならば、基本的に例えば地方の公共工事で言えば昔14兆5,000億、今4兆6,000億、10兆、公共工事の額は減っています。そういうことになっているんですが、結果として地方の橋、トンネル等々の道路を含めてメンテナンス、補修というものはかなり手抜きになっているのではないか。笹子トンネルなんかその最たるものかもしれませんけれども、そういうことになっているのではないか。したがって、日本には橋というものは国市町村道、県市町村道、67万8,000橋ありますから、その橋がかなり疲れたものになってきているという可能性があるならば、そこのところは地方でそういったものをきちんと対応しないとかつての80年代のアメリカ、荒れるアメリカと言われた、ブルックリンの橋が通れないとかああいったことにならないように我々としてはきちんと対応する、そういったことは大型の公共事業ではなくて、いわゆる地方の公共事業で、そこの町の橋とかそういったようなもののメンテナンス、そういったものに金が行くようにするということは、それは間違いなく即仕事が出ますから。そういう意味では1つの方法かなという感じはしますね。

問)

日銀が金融政策で物価目標を掲げることとその責任の所在について、考え方の方向性だけでもいいので考え方をお聞かせいただきたいんですけれども、例えば2%という物価上昇率目標を掲げますと達成できなかった時は責任が生じると思います。その場合、政府と日銀が目標達成に対する責任を共有することになるのか、それとも金融政策の手段の独立性を担保されるであろう日銀中心に責任を負うことになるのか、その辺りについて、共同文書については先程大臣から検討中ということでしたけれども、大臣のお考え、方向性についてだけでもお聞かせいただければと思います。

答)

基本的に日銀がこれまで金融を緩和して、20兆だ、30兆だ、35兆だという金融を緩和した小泉内閣の時代に景気はよくなったか。全然なりませんでした。したがって日本銀行はその30兆、35兆引き上げた。日本銀行がお金を刷るというのは地方の銀行に対して、その地方銀行に持っている日銀現預金というものの額が、おたく500億ありますよ、おたく400億ありますよということを言うわけだから。だからその人達のものをお金を刷って出すわけじゃないから、そこでその人達が日銀現預金が増えました、準備預金が増えましたと言ったからといって、そこから先企業がその銀行に金を借りるという需要がない限りは、日本銀行はいくら金を刷っても全然効果がなかった。これはあの人達もよく分かっていると思いますよ。したがって今回政府としてきちんと予算で対応をしてくれるんでしょうねというのが、日銀の一番の心配しているところでしょうな、多分。全然出なかったら全く意味がなくなっちゃうから。だからそういう意味では日銀のところは一緒にやる、日本銀行に押し付けるとか物価が2%上昇しないのは政府の責任だとか、そういった話にならないように双方できちんと連携を密にするというところが今回の一番大事なところだと思いますけれどもね。

問)

老朽化インフラに対してメンテナンスをしていこうということは大変正論でおありになると思いますし、またこのことについては補正予算の編成の際にも重点を置かれたポイントだったと会見等でも何回かおっしゃっておられると思うんですけれども、そうしますと補正予算、事業ベースでは4兆円を超えるという公共投資ですけれども、このうちの幾らが補修に充てられるものなのか、全体の中で何%ぐらいあるのか、重点政策ですから当然この比率は高いんだろうと思うんですけれども、大臣どうなんでしょうか。

答)

そのパーセントまではおそらく国土交通省にでも聞いてくれ。それは俺達には分からん、パーセントは。

問)

公共事業は農水省も、国土交通省だけではありませんので、結局まとめられるのは財務省だけだと思うので伺っているんですけれども。

答)

いや、各省の積み上げてきたものを精査するわけだから、財務省が10兆とか5兆とか決めているわけじゃなくて、積み上げてきたものを精査しているわけだから、その意味では財務省だけで公共事業の額をどうのこうのということにはならない。初めに10兆ありきみたいな話は与しませんな、僕は。

問)

繰り返しになりますけれども、各省に公共投資というのは分散しておりますので、麻生財政としてどんなふうにまとめたのかということが、あるいは政権としてどれだけの比率を割いたのかということがポイントだと思うんですけれども、そうするとやっぱり財務省以外は把握しようがないわけですよね。さらに言うと重点政策に置いておかれるのに金額が分からないというのはちょっと違和感があるんですけれども。

答)

まだ各省積み上げてくる段階ですから、今の段階で5兆ですとか6兆ですとか言える数字にはならんね。

問)

もう既に作り上げておられる補正予算について伺っているんですけれども。

答)

補正は予算書ができた段階で分かるんじゃないかな。

問)

予算書では多分分からない、過去には補修と新規を分けて予算書で開示したことはないと思うんですが、では今のご発言は、今月28日になるんだと思いますけれども、予算書の段階では出していただける、あるいは出しているんだということですか

答)

そうだろうね。その頃にならないと大体。今までと違って12月も予算やっているんだから。ほとんどの話がとてもじゃないけれどもバタバタでやっているから、そういったところの話はなかなか難しいと思いますけれどもね、今の話は。具体的な数字を聞きたいなら事務方に聞いて。

問)

今日の麻生大臣と甘利大臣と白川さんの件でお聞きしたいのですけれども、今日方向性としては大筋合意に至ったのかどうか、もしそうでないとすれば何合目ぐらいに来ているのかという、その状況感をちょっと教えていただきたいんですけれども。

答)

かなり進んだ。いい表現だろう。

問)

何合目とか、どのくらいという。

答)

俺、山登りしないから分からない。

問)

今、税の方で自民・公明含めて与党内でいろいろまとめている最中だと思うんですけれども、その中で自動車、車体課税に関してなんですけれども、今のところ党内でも平行線をたどっている状況だと取材の中で聞いています。そういった中で大臣はこの車体課税をなくすと9,100億という減収になるという中でどう財務省として、経産省は完全にこれをなくすべきだというふうに強くプッシュしていますが、大臣はどうお考えで見られていますでしょうか。

答)

額がでか過ぎるな。9,000億だろう。いきなり9,000億の減税って言ったらちょっと額がでか過ぎるなという感じはしますけれどもね。今から税調でみんな詰められるんだと思いますけれども。聞いてすぐ思ったのは、9,000億というのはでかいと思いました。

問)

本予算の方で教えていただきたいと思います。まず国債の発行額ですけれども、ずっと民主党の44兆の枠にはこだわらないとおっしゃっていて、それについては、こだわらないの意味ですね、超えてもいいのか、それとももっと下げるというお考えなのかというのが1点と、先程生活保護などは切れるのではないかとおっしゃいました。自民党の公約ではそれこそ8,000億という大きなお金を削るようなことを言っていたのですけれども、来年度に対してはどれぐらい削減をしたいというようなお考えがあるのでしょうか。

答)

これはちょっと今どれぐらいの額までは分からんな、僕は。報道についていろいろ言われているのは承知していますけれども、抑制したいとは思っていますね。できる限り抑制したいとは思っています。ただ、それで今の状況下でいきなり9,000億とかというのはちょっと無理でしょうと。もう少しいろいろ知恵を出さんといかんところかなという感じですけれどもね。

問)

国債発行枠は。

答)

国債発行枠も。

問)

一番最初のところでご説明いただいた文書については後で出てくるということですが、これは来週の決定会合という理解でよろしいんでしょうか。

答)

1月22日以降。

問)

最初の就任された時の訓示で日銀・財務省それぞれについて過去に間違いはなかったという、そういう態度だけは改めようと、そういうことをおっしゃられていたと思うのですが、ただ日銀が幾らお金を増やしても借り手がいないと何もできないというふうにご指摘があったんですけれども、具体的に日銀はどういうふうに、どこを変えていくべきだというふうにお考えなんでしょうか。

答)

日銀は金融の緩和というのに関して言わせてもらえれば、100兆しか出していないじゃないかとか、いろいろな話を新聞なんかに書いてあるけれども、あの話をよく見ると日銀の増やした額、リーマンブラザーズの後からの方が100かな、しかしその前のいわゆる、リーマンブラザーズの前の90年から、97年からのあの辺からいけば350ぐらいかな、出していますから、そこそこ日銀も出しているんですよ。出したけれども波及効果が出ない。だから日銀は、うちが幾ら出したって波及効果が出ないじゃないですかという言い分が日本銀行側にあるんだと思うね。僕はそれは事実だと思いますよ。だからその意味では日銀としては、きちっとした対応を政府もしてください、日銀もしますというところがぴったり合わないとなかなか難しいんだと思いますね。だから今回日銀の、簡単に言えば日銀がお札を刷りますという話はそんな簡単にお札を刷ったって過去インフレになったことはありませんよと。みんな間違えているんですよ、財研の人はそんなことないんだろうけれども、日銀がお金をと言ったら日本銀行が一万円札を刷っていると思っているんじゃないかね。あれは日本銀行が地方銀行に対して、日銀現預金を増やしているだけでしょうが。だからそれはお札を刷ったわけじゃないんだから。その刷った金がそこに500億とか600億とか来たものを、そこから先に出ていくためにはそこの人達が貸して、もしくは市中が借りてそれが回っていくようにしないと、少なくともこういったようなものは回らないんですよ。それは過去何回も経験しているんだから。だから日銀としてはちゃんとやってくださいねと。それをやるためには経産省の成長戦略であり、また財務省の財政出動であり、そういったようなものが全部相まってうまくいく、そういう具合に考えていなければおかしいね。過去今まで失敗したんだから。だから少なくともデフレ不況というのはやったことがなかったんだから、我々は。世界中ないんだけどね。インフレ不況はやったことあるけど、デフレ不況というのは過去60何年やったことありませんから、だからデフレ不況というものに対応する方法が我々にはあまりよく分かっていなかった。それは率直に反省せんといかんところだと思いますよ。だからいつものどおりインフレだ、不況だというのでやったんだけど、違った答えになった。また一般の方々には、デフレ不況といったってインフレ不況かデフレ不況の差は分かりづらいと思いますね、一般的には。不況ですよ。不況で共通点なんですよ。僕はそう思いますね。だから不況対策というのに頭が行かないと駄目なので、我々としては今申し上げたようなことをきちんとやらないと、インフレの時の不況対策と違いますから、デフレの時の不況対策というものは全く違うものだということを考えて発動しなくちゃいかんと思いますけれどもね。

問)

為替ですけれども、今日外国為替市場で一時1ドル90円以上に円安が進みまして、大臣いつも為替の具体的な水準についてはコメントされないとおっしゃっているんですが、考え方を知りたいんですけれども、安倍内閣が発足して3本の矢の1つに大胆な金融緩和というのを掲げられて、今まさに今日も大臣が白川総裁と会われて政府と日銀の緊密な連携というのを目指して文書を作られているということがやはりマーケットの市場関係者からも今後の強力な金融緩和を期待する期待感が高まっているという見方もあるんですけれども、大臣の今の考え方を教えてください。

答)

金融緩和をすれば必ず景気がよくなるということはないというのはこの前、2000年初頭の頃何回もやったじゃないですか。あれで効果が出なかった。したがって金融緩和と経済の成長戦略と、そして政策金融の緩和、財政出動、いろいろなもの、その3つが一緒になって初めて経済成長というのはできるんだと思いますね。だから今のように1つだけではとてもいかないと私は思いますね。これは今までそういう、実験済みだから、もう。

問)

為替ですけれども、昨今ロシア中央銀行とか、昨日はドイツのショイブレさん、あとアメリカの自動車工業団体、行き過ぎた円安みたいなクレームが海外から来ていますけれども、その辺、例えば今後の日銀の金融政策へのある種の制限する要因になるのか、海外の受止めについてのご所見をお願いいたします。

答)

海外の受止めは、それはみんないろいろ自分で都合のいいように考えられますから、それに関して一々コメントすることはありません。またこっちも金融とか為替とかというものに関して、そのことに関して発言をするということはしませんから、だから今の為替の話は無理です。

問)

アルジェリアの人質事件についてなんですけれども、対策本部長代理としてお伺いします。政府は人命最優先ということで対応されてきたと思うのですけれども、実際アルジェリアの軍の攻撃作戦が行われました。これについての受止めをお願いします。

答)

これは日本だけが拉致された、誘拐されたというわけではなくて、アメリカ、イギリス、ノルウェー、いろいろな国がみんな一緒にアルジェリアの中で持っていかれているわけですから、その意味では日本だけで対応できる、日本だけでこうしてほしいということはなかなか言える話ではない、はっきりしていますので、みんなで一緒にやらないかんと。アルジェリアですから、アルジェリアの政府が一番。ですからアルジェリア政府の対応というのが優先順位としては高く出てくると思いますね。今回アルジェリアはさっさとみんな発砲したということになっていますけれども、それがどの辺まで本当なのかもよく分からん。情報が錯綜していてよく分からない。CNNもBBCもみんなよく分かりませんので、ちょっと正直、このことに関して日本として対応をきちんとやりたいとは思いますが、情報が極端に少ないですな。したがって、よく見えていないというのが正直なところだと思います。

(以上)

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