英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣 閣議後記者会見の概要

(平成25年3月26日(火)8時57分~9時12分)

【冒頭発言】

本日の閣議において、金融庁の案件として、信用金庫・信用組合による会員・組合員の外国子会社への資金の貸付け等の解禁を行う政令改正が決定されております。この件は、中小企業の海外展開を支援するための措置であって、1月11日に公表した緊急経済対策においても日本企業の海外展開支援等として位置付けられております。3月29日から施行することとしております。

【質疑応答】

問)

今日で安倍政権の発足から丸3カ月になりますが、この3カ月を振り返ってどのような感想をお持ちかお願いします。

答)

新聞、世論の期待に反してというかな、マスコミが思っていた以上に良い成果が出たということなのではないですかね。考えていることを言ってみたら大体そんなことじゃない。もう少し、こんなに順調にいくはずではなかったというのがほとんどのマスコミ世論の意識、それを大幅に裏切って1カ月でとにかく経済指標、よく出る株価等々が大幅に上がって、野田内閣の時は8,660幾ら、あの時。今日が1万2,500円ということはかなり上がって、4割ぐらい上がっていますしね。そういった意味では非常な勢いでよかったし、日本銀行との共同声明、補正予算、それから日本銀行総裁等々、その種のことしか追いかけていなかった経済部にしてみれば、大幅に予定が違ったのではないですか。率直に認めた方がいいですよ、書かれるのだったら。我々の予想を大幅に裏切りとか何とかということになるのだろうとは思いますけれども。それはそれとして、結果として、まともに言ってどうだろう、この3カ月の間、今言われたようなことで海外においても、日本に来る海外からのEUとかアメリカとかそういうところから来る人の評価、アジアから来るその種の人達の評価も総じて高いことになっているのは、経済面においては確かだと思いますね。そういった意味では私共としては少なくとも安倍内閣の経済政策、デフレ不況からの脱却への施策等々は予想以上に良かったと思っています。中でも一番難しいのはマインド、気持ちの変換だと思っていたのですが、これがまだ法律が1つも通っていないうちから株が上がったり何かどんどんして、何となく街が明るい雰囲気に大きく変わっていった、これが一番手間かかると思っていたんですけれども、その分が私共、少なくとも私の予想よりははるかに大きかった、早かったというのが率直な実感ですかね。担当させていただいている財政とか金融の面でいけば、景気やら何やらでいけば、そういうところが大きかったのではないですかね。

問)

金融円滑化法の終了が年度末に迫っています。中小企業の一部には不安視する声もありますが、4月以降の今後の政府の対応や措置についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

これは何度となく答弁などで申し上げてきたとおりですけれども、円滑化法が切れた後も、金融機関の中小零細企業に対する金融、もしくは資金繰り等々に関しては変わらずやっていただきますということで、金融庁としても、それに対応して47都道府県全県に人を送り、そして各行政機関にも相談窓口を作っていただき、商工会議所や商工会にそういった対応の説明をさせてもらう等々させていただいていますので、そういったいわゆる風評というようなことによって、何となく大変なんだ大変なんだというようなことではありませんという実態が、4月以降に明らかになってくることを期待しています。

問)

日本版ISAについて伺いたいのですけれども、大臣国会の答弁の中でもその効果、期待についてお話になっていらっしゃいましたけれども、ただ恒久的な措置じゃないと、今回の拡充策についても。なので、効果は限定的ではないかという声もあるのですけれども、改めて今回の拡充策の効果、期待、そして恒久的な措置についてはどうお考えになるのか教えてください。

答)

少額投資、Individual Savings Accounts、略してISAと言っているものですけれども、これに関して言わせてもらえれば、少なくともこういったリスク投資をするという習慣がほとんどないところにおいて、これを実行することによって、少なくとも個人金融資産1,500兆円、現預金840~850兆円あるのかな、タンス預金等々も数十兆円あるという状況の日本において、少なくともそういった一般の人達が持っている800兆円を超えるお金というのが、少なくとも活かされる形で、いろいろな意味で投資に回るという機会を与えないと、やっぱり、株屋というのが、怪しげなイメージにしてしまったのですよ。はっきりしているでしょう、儲けた人はいなかったじゃないですかとよく言われる。田舎に行ったらよく言われますよ。株をやっていると言うと、怪しげなイメージだから。そういったようなイメージになっているという状況を何とかしない限りは、今後ともそういった投資にお金が回ってこない。それは、経済の成長を阻害する要因になると思いますので、ISAというのは、僕は良い制度の1つの導入だと思っています。これが定着することになれば、定着した段階で、まずはいろいろな形で積極的に利用される方もいるでしょうけれども、初めての人はおずおずとやるものですよ、それが常識というものだと思いますけれども。したがって、1人一口とかにしてありますけれども、これが定着して、10年経ってみたら非常に広く定着しましたということなら、その段階で考えます。

問)

ADBの総裁選で24日に締め切られて、中尾さんだけ候補だったという結果になりました。まだ信任投票が残っていますけれども、今回中尾さんだけ擁立だったということと、今後に期待することをまずお聞かせいただけませんか。

答)

今回は他国でそれだけ準備ができていなかったこともあるでしょうけれども、こっちも準備ができていたわけじゃありませんが、少なくともこれまでの日本の実績、それからADBの総裁というのは初代から今日までずっと日本が総裁職を努めてきていたという実績。また黒田さんの後、中尾という人自体も財務官として結構いろいろなところで名も売れていましたし、そういった意味では対抗馬で出てくるであろうインドとか中国とかというところも、ちょっと正直今回はとてもその対応ができていなかった。中尾の評判もよかった、日本の実績もこれまであったというのが両々相まって結果として対抗馬なしという形になったのだと思います。

問)

来週黒田新体制のもとで日銀の政策決定会合がありますけれども、この前黒田さんもできることは何でもやるというようなことをおっしゃっていますが、政府としてどういったことを期待されますか。

答)

何も焦ってどうのこうのしていただくという必要は何もないのであって、共同声明に書かれたことを着実に実行していただくということであって、この種の話は奇をてらう必要なんか全くありませんから。そういった意味では日銀として今後日本のいわゆる2%のインフレターゲットとかそういったようなものに関して確実に実行していただく施策というものをやっていただけばよろしいので、急に奇をてらって全て何でも前倒しにやっちゃいますなんていうことを期待しているわけではありません。

問)

キプロスですが、先週来やや混乱しましたけれども、支援策が大体まとまってやや落ち着きつつありますが、それを踏まえた欧州情勢はどうご覧になっていますか。世界の金融全般ですけれども。

答)

キプロスの話は小さな小さな国の話ですけれども、GDPの何倍もある金融資産という形になっていますので、そこにいろいろなお金が集まってきているという状況、それをいかに運用するかというのは、やっぱりECBとしても、中の一員としては、すごく扱いに困った話なんだと思います。あの種の話が、今後出てこないようにするためにどうするかとか、銀行を監督する立場のECBの権限が強くなるかいろいろな形があるとは思いますけれども、いずれにしても、こういったような形であれがおかしくなるだけで日本の円がいきなりぼんと2円ぐらい振れたかな、そういったようなことになりますので、小さな国であっても与える影響がとても大きいので、こういったようなことが一応今回は収束しましたけれども、また起きる可能性はゼロとしないので、そういった意味では注視して見守っていかなければならないことだと思っています。

問)

新しい日銀の総裁のもとで非常に市場でも期待が高まっていて、その中でどれくらいの期間でやるのかというところが1つの市場での焦点となっていて、黒田総裁が2年間というのが1つのベンチマーク、海外での事例を見た場合のベンチマークとおっしゃっていて、大臣の方は簡単な話ではないというふうに発言されていて、この辺というのはそれぞれの見方にギャップがあるという感じなのか、同じ方向性ということなのか、どうなんでしょうか。

答)

方向性は全く同じですけれども、大体インフレターゲットというものをデフレでやったことなんかありませんよ、知っているでしょうけれども。15%インフレになっているやつを2%に抑えますというようなインフレターゲットはあるけれども、マイナスをプラスにしますというインフレターゲットなんか聞いたことないでしょうよ。聞いたことないことをやるのですよ、これ。だから僕はそんな簡単にいけるものとは思っていませんけれども、少なくともこういった目標を決めていただきましたので、我々としてはこの目標に向かって日本銀行としてやっていただくこともあるでしょう。これは3本の矢のうちの残り2本というのは政府で主にやらなければいけないところがありますので、それに応えるためには日銀に全てお任せしますということでうまくいかなかったというのは過去の歴史じゃなくて経験として我々は知っていますから、そういった意味ではそれらのものをきちんと実行していくために政府として第2、第3の矢というのを確実に実行していってもって2%達成ということになるんだと思っています。日銀だけで2%出来るなんてはなから思っていないし、私共はそういった意味では共同声明にも書きましたとおりなので、政府と日銀と一緒になってやっていくというのを、実効せしめるのにさあどれくらいでいきますかと言えば、いや、それは昭和51年、52年度ぐらい、年率30%いっていたのですからね、何で2年間で2%しかいかないのか。あの頃30いったじゃないですかってまじめに聞かれたことがありますけれども、そんな簡単な話ではないんですよ、経済って。だから僕はなかなか難しいだろうなと思っているから、いきますっていうふうに言ってもらうようにしてもらわなくてはならないのだろうけれども、方向としては同じなのであって何ら乖離はありませんよ。乖離があるようにさせたがるのはあなた方の仕事ですけどね。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る