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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(平成25年5月15日(水)23時34分~23時58分)

【冒頭発言】

先ほど平成25年度の予算が成立しております。多くの方々に大変お力添えをいただいて心から感謝を申し上げるところです。平成25年度の予算は平成24年度の補正予算と同様に、日本経済の活性化や国民生活の安心につながる施策に重点化したものとなっております。平成24年度の補正予算による機動的な財政政策、日銀の量的・質的な金融緩和によって景気は少しずつですけれども持ち直しつつあると思っております。25年度の予算についても、着実に執行することによってさらなる景気の回復に努めてまいりたいと思っております。

【質疑応答】

問)

今回2カ月遅れで成立した予算ですけれども、改めて予算の狙い、そして経済への効果を教えてください。

答)

今回はそもそも内閣の発足が12月末、通常ですとこの時に次年度の予算が閣議決定している時期に内閣がスタートしておりますので、最初から3月いっぱいまでに予算が出来るはずもありませんので、ある程度余裕を持って対応しないと4月、5月に問題が起きる。執行は全然予算がありませんからということを考えて大型の補正予算を組ませていただき、それを年の初めにやらせていただくという変則的なことでスタートしたんですが、50日間という暫定予算だったのですけれども、これもあり、政府の姿勢等々もはっきりし、日本銀行との共同声明もその頃からスタートというか、話し合いを始めて、白川総裁との間での話が財務省としても出来上がりましたので、結果としては市場、マーケットに対して1つのメッセージになって政府の景気対策は日銀と一緒になって、いわゆる量的な緩和、財政の機動的出動等々はやるという意思が見えて、結果としてこれが株価の上昇やら何やらにつながっていったんだと思いますので、すごいきつい日程でした。それなりの効果はあったかなと思っていますが、問題はやっぱり我々から見たら、今日の予算でも参議院では否決ですから、そういった意味では今後政府が出す法案を参議院で否決という可能性を考えるといま一つ大丈夫かなと思うのが、これは投資する側の人の心理ですから、特に企業側にとってはまた政権が不安定とかということになると経済政策が継続性を持たない。そういうことを考えますので、どうしても参議院で過半数をというのがないといま一つ安心感が持てないかなというのが、投資する側の立場じゃないかなという感じはしますけどね。

問)

今後の焦点は財政再建に移っていくと思うんですけれども、6月に骨太の方針、そして8月に中期財政計画が発表されると思いますが、改めて今後どのように財政再建に取り組んでいかれるのかお聞かせください。

答)

政府としては前々から申し上げているように国と地方とのいわゆるプライマリーバランスのことを考えると、ずっと申し上げてきたように2015年度までに2010年度の約半分、それから2020年度までにバランスさせますということを申し上げ、これは一種の国際公約としてG20でも言いましたし、いろいろ言ってきておりますので、このために、この目標を達成するということをやっていかなければいけない。こういうものをきちんとやろう、やるという意思というものをきちんと示して計画を立てないと、日本の国債に対する信用を、海外市場はもちろん日本国内からも不安に思われるということは国債の信用が落ちることにもなります。いろいろな意味でこれは最終的には、骨太の後ですから8月の経済財政諮問会議等々でやることになるんですが、きちんと財政健全化の基本的方向というものが示していけるように作り上げなければいけないと思っています。

問)

中期財政計画に関してですが、歳出について、民主党政権では一般政策経費の71兆円と国債の44兆円という枠を設けていたわけですけれども、これから自民党政権がまとめられる中期財政計画では何らか歳出にキャップに求められるお考えというのはあるんでしょうか。

答)

今そこまで頭にこれというふうに決めているわけではありません。

問)

中期財政計画についてなんですが、今足元のマーケットで国債の長期金利が、かなりの勢いで上昇していますけれども、この上昇が続けば今後の中期財政計画でも長期金利が利払費が増えて影響が出ることが考えられるんですが、その辺ご懸念はどういうふうに思っておられますでしょうか。

答)

どうして金利が上昇するかということに関しては、これはちょっと私の立場としてコメントするということはマーケットに混乱を招くことになりますので、これに関して無用な混乱を招かないようにしておかなければならないということなんだと思っています。いずれにしても国債の金利の動向については引き続き注意をしておかなければならないところだと思いますけれども、日本銀行との共同声明にもあるとおり、やはり持続可能な財政構造というものをしっかりしたものにしておくためには確立した、持続可能なものを確立するためには、やはり着実に市場の信任というものを確保していくという見方をしなければならないのだということは我々としては常に心しておかなければならないところだと思っています。

問)

大臣は就任直後からマーケットが動いている時も、今まだ我々は何もしていないんだというような話をよくしていたと思います。これで予算が成立しました。今後マーケットもどういうような見方を大臣はするのか、それと同時に特に大事にする経済指標があれば教えてください。

答)

予算が地方にきちっとした形でおりてくるのは前倒しの執行、かなり我々の方から言っても、今は補正の部分が契約が終わって発注して、仕事が出始めたのがちょうど今ぐらいじゃないかな。そしてこれで、この予算が今日上がることによって実際出てくるのはかなり先にずれますから、そうすると地方で補修工事が始まる、公共工事が実際に出始めるということになるまでのタイムラグが少しありますけれども、間違いなく地方では仕事が出てきたなという感じが出る。それからサラリーマンにとってボーナスを手にするのは6月ぐらいですかね。その6月ぐらいになると自分でボーナスを手にして初めて実感する。それが出てこない限りは、なかなか金を使う気になるかね。みんな言うけど、自分のところではまだそんなではないと思っている人の方が多いと思うんだけどね。東京は景気がいいとか、タクシーの売り上げが1日8万円だったとか、9万円だったという話は聞くけど。それは地方では通用しないですよ。だからそういったところまで景気が回ってきたなという実感が出てくるのが6月ぐらいかなと思うんですけどね。それ以降にならないとなかなか実感としては出てこないと思いますので、我々の予算がやっと口だけではなくて本当に出てきたなと。株を持っている人だけの話ではないんだなという実感が地方に感じられるようになって初めて政策が実行されつつあるというのを実感してもらえるのは、6月以降ではないかなという感じはするけどね。問題はこの後どうなるかなと。その時にいろいろなものが、指標がその頃から動き出す頃で、株の運用なんかでやっているところは含み益で随分大きなものになっているのでしょう、多分。株価だって8,600円が1万5,000円だからね。それは大概のものになっているはずですよ。ちょっとそこは全部計算したことないけど。だからそういったようなものが出てきて、数字だけじゃなくて実際に自分の懐に入って初めてということになるんで、問題はその人達がどうそれが消費に回るかというのを見ていかないと。今、確かに高額商品が売れるようになり始めているというデパートなどの話を聞きますけれども、現実問題として、それが普通の買い物と言うのは変だな、ちょっと上がったからこれ買おうかとか、そういうのになるんだけど、今までだったらデフレなんだから待っておけば、明日になったらまた安くなると思ったら買わないんですよ。それが上がると思えば今買っておいた方がいいなというような気持ちに、気持ちの切り換えが出来るようになるか否かというのがまだよく見えないね。それが見えてからじゃないと、ちょっと迂闊なことは言えんなと、僕自身はそう思っています。

問)

本予算の成立で現政権の経済政策の第1の矢と第2の矢が発射し終わったことになると思います。今後についてですけれども、参院選や消費税の引き上げの判断という重要なものを控えておりますけれども、政策課題としてどの辺りが重要になるのか、財務大臣として、また副総理として全体的な話をお聞かせいただければと思います。

答)

政局としては参議院選挙だと思います。政策の話としてはやっぱり第3の矢というのの具体的なものがどんなものが出てくるかというのが、これが一番の問題で、やっぱり私に言わせれば、民間の人にも言ったけれども、一番扱いにくい日銀と財務省という最も頭の固い、融通性のきかない、そういったところをちゃんと2つ自分は動かしたよと。日銀も財務省も頑迷固陋に頑張っていたわけだから。それがばっと切り換えて出てきたと。今度は民間の番ですよということになるんだと思うんだけど、それに対して二百数十兆もため込んでいる内部留保という、およそ金利のつかない金を何に使うか。労働分配率を上げてくださいという話は確かにこっちも直接、ちょっと異例だったけどしましたけれども、設備投資にその金が、国内で設備投資というところで多くの会社で始まりますけれども、そういったところの話を含めてやっぱり国内で設備投資が誘発されていく、起きていくためには、どういう政策が、例えば償却を早めていいですよとか、設備投資減税をしますとかなど、いろいろ具体的なものというのが出てくるとか、規制の緩和ということも企業が設備投資をしたくなる。今だと思わせるもの。そのためにはやっぱり参議院できちんと勝って、政策が実行に移されるという保証がついて、政府の第3の矢がきちんと示される、その2つが出てきて初めて政策として第3の矢というのが成り立つんだと、僕はそう思っています。そこまで長い、15年もやっていますからね、デフレを。それをそんな簡単にはいかないし、銀行には散々いじめられていますからね、貸しはがしだ、貸し渋りだって。今さらまた銀行に金を借りてまでやるかと。またぞろ貸し渋りをやられてはかなわないというのがみんなありますから。早い話が、内部留保のうちで借金なしでやろうという形にしている間は、それはなかなか設備投資が増えるということはないのであって、借入金を起こして設備投資をしようという気になるまで、そこまで何が一番効果があるか、いま一つそれは企業によって違うんだと思いますよ。だけど、何がというのがよく見えないけれども、少なくとも交際費非課税撤廃だけでこれだけ地方が潤ったんだから、交際費非課税の撤廃ということによって政策としては減収になりますよ、間違いなく。減収になるけれど、それだけみんなが交際費を使ってもらえばその分だけ消費税は入りますから、そういったようなものがどうなってくるか、いろいろな意味で我々としてはもう少し細かく見ていかないと第3の矢の政策というのは、これが一番難しいと思っているんだけど、役所だけでやれる話じゃないから、どうしても第3の矢で経済が成長する方向に行くと経営者が思い、消費者がそう思うという、2つかからないとなかなか消費が伸びていかないんだと思いますので、そこのところがいま一つ、直接担当していないんだけれど、一番気になるところですけれども。結構事は進んでいる、いろいろ経産省とかいろいろなところから入ってくる話なので。おお、それもやるのというようなことにはなっているけれど、もう一つ出てこない。是非聞きたいんだけど、やっぱり漢字で四文字なんだよ。例えば「所得倍増」。何でも日本の場合はどっと行くのは「経済成長」とか「所得倍増」とか、昔から言われる「富国強兵」、「文明開化」、みんな漢字で四文字なんだけれど、今の場合、漢字で四文字って何かな。70歳の自分が考えるより20~30歳の人が考える方がよっぽど頭が柔らかいはずなんだけどな。もうちょっとこれどうですかというアイデアがあったら是非聞きたいね。漢字で四文字、四文字熟語。これが当たった時は確かにばっと行くんだよね、この国は。だから昭和30年代、「所得倍増」なんて最たるもんだろうけれど。ああいったようなものは、「高度経済」、あれは間違いなく池田内閣での「所得倍増」ですよ、あれからスタートしたんだという記憶があるけども。何となくそういう今の時代に合った四文字熟語ってないのかなと思って探すんだけれど、なかなか思いつかないんだな。ちょっと頭が固くなってきて駄目なんだ、ここのところ。アイデアがあったら教えて。

問)

来年度の話をするのは早いとおっしゃられるかもしれないんですが、来年4月には消費税率8%ということが一応予定で控えている中で、増税によって景気を腰折れさせないための考え方と、一方で中期財政フレームに沿って財政規律を保つと。この辺りのバランスをどのようにとられていくかということについて現時点のお考えをお聞かせください。

答)

最も難しいところだね。やっぱり税金が上がるということは間違いなく景気感を腰折れさせることは間違いないと思いますね。増税したから増収になるとは限らない。これは1997年、98年で3%から5%に上げたら、所得税、法人税、消費税、その3つ、三税足して41兆円が37兆円に減った。5兆増えるはずが4兆減ったというのがあの時の歴史ですから。だからそういった意味からいったら今回3%上げることによってどれだけのものが、アクセルを踏んでいてもそこでいきなりぽこっとということにならないようにするために、駆け込み需要というのは当然あるので、その前の年は上げる、翌年どんと落ちないようにするためにどうするということも考えなければならないでしょうし、景気は間違いなく、ずっといってこれ間違いないとみんながその気になればいいよ。消費税がまた上がるんだと思ったら何となくちょっと待てよということになったりする。その辺のさじ加減が今一つ難しいんであって、今からまだ秋ぐらいまでに決めなければならないところなんだと思いますけれども、そこのところはいろいろな意味で内税・外税の話や、いろいろ小売りをやっておられる方々の話も伺って、外税・内税どっちでもいいですとか、いろいろなことをやっていますけれども、正直なところ言ってそこのさじ加減をどうするかというのは今からの景気次第としか言いようがないです。

(以上)

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