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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年11月21日(金)10時33分~10時57分)

【質疑応答】

問)

会見の開始時間が50分ちょっと遅れていますが、何かあったのでしょうか。

答)

総理と話をしていたからです。

問)

どういった話を。

答)

その内容を聞いた人は1人もいませんから言いません。

問)

衆議院解散について伺います。本来、毎年12月に予算編成や税制改正大綱の取りまとめを行っているわけですが、それを先延ばしして解散になる運びとなりました。解散に対する大臣の受け止めと今後の予算編成等のスケジュール感を教えてください。

答)

まず解散については、これはどの解散でも同じですけれども、最終的に総理の決断ですから私共はそれに従うということだと思います。今後のスケジュール、経済対策からまず入ることになりますので、年内に経済対策はまとめます。それに関連する補正予算は年を越すことになるのだと思いますけれども、補正予算を提出して、それで経済運営に万全を期していくということになるのだと思いますね。

問)

消費税10%時の軽減税率について伺います。昨日軽減税率を、17年度を目指して導入するということで自民・公明両党で合意しました。これを受けて財務省で対象品目や区分経理など詳細設計についてどういったスピード感を持って進めていくおつもりでしょうか。

答)

今般の合意を読んでもらったら分かりますけれども、消費税の軽減税率について関係事業者を含んで国民の理解を得た上で税率10%時に導入すると書いてあります。2017年度からの導入を目指して、今言われたように対象品目とか区分経理とか、安定財源というのをいろいろ考えなければいけないところだと思いますが、具体的な検討を進めることになるということがあの中では書かれていると理解しておりますので、これは与党において引き続き検討されていかれるのだと思っていますので、財務省としてはスピード感を申し上げる立場にはないのですが、今般の合意を踏まえて与党において検討されていくものだと思っています。

問)

先程も冒頭少し触れられていましたが、総理から指示があった経済対策について伺います。今後甘利大臣と経済対策を詰めていくことになるかと思うのですが、大臣としては予算規模なり、やるべき対策の中身についてのお考えを教えてください。

答)

経済対策の内容につきましては、消費増税が28カ月後にできやすくなるような景気状況、経済状況を作るということですので、いわゆるアベノミクスというものの成果が地方にもということを考えるわけですから、そういう指示に従って検討していくことになります。地域における、地方における消費の喚起とか、景気の脆弱さは地域によっても違いますし、同じ地域であっても場所によって違ったりしますので、その際にはそれこそ各自治体がその地域の実情に応じて創意工夫するということになりますので、その能力の差というのが出てくること、首長さんがそういうことにセンスのあるところというのは、いわゆる地域の自由が増えるだけ地域差が出てくるということは当然のことなのですが、そういったことのためにいろいろなところが情報を提供したり、いろいろな工夫をして後押しするようなことも考えないといけないと思います。その規模というのが一番問題になるのだと思いますが、これは来年度の場合は基礎的財政収支の赤字の半減というのを目標にするのが2015年度、年次的には平成27年度か、そういう年次になりますので、経済再生というものと財政の規模の内容等々については、これは両立させるという観点が一番肝心なので、そこのところはきちんと対応しながら考えていかなければいけないということになるのでしょうね。

問)

消費増税の延期について2点お伺いします。1点目ですが、総理は会見で景気条項をつけないというふうにおっしゃいましたけれども、テレビ番組の中でリーマンショック級の世界的な緊縮状況、あるいは天変地異等が起こった場合は法律を出し直す、例外もあるということをお認めになりましたけれども、大臣は2017年4月の引き上げに例外は存在するとお考えでしょうか。

答)

PBバランスを守っていたら景気が悪くなったとか、何に優先順位をつけるかということを考えなければいけないところなのであって、そういった時というのは起きた非常事態というものに合わせて、その状況が起きれば法律は新たに作り直さなければいけない、それは国会議員としては当然のことだと思いますけれどもね。

問)

今回の総選挙ですが、総理は2017年4月に引き上げられるようにするということを問う、信認を得る選挙だというふうにおっしゃっています。そこからすると、仮に経済状況がうまくいかないなりして2017年4月に上げられなかった場合に重大な政治責任が生じてくると思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

答)

今のような話で、いわゆるリーマンショックとか3・11とか天変地異を含めて予測せざる事態とか、いろいろなものが起き得る可能性というのは、経済なんていうのは生き物ですから常にそういうことは起こり得る、最初に申し上げたとおりです。そういう以外で今のような状態が仮にずっと続いたとして上げられなかった場合というのは、それは責任問題が発生してくるというのは、それはその覚悟で喋っておられますよ。

問)

選挙では円安、物価というのは議論に上るのではないかと思われますが、最近円安が一段と進行する中で、国民にはどのように円安と景気の関係について御説明されるか。

答)

お分かりだと思いますけれども、この1週間の円の下がり方というか、対ドル交換レートの下がり方のスピードのテンポが早過ぎますね。それは明らかだと思いますね。そういったような急激な形になっていくというのは、今の状況としては、前にも何回も言ったけれども、為替というのは変動相場制をとっている以上、変動するのは当たり前。変動する頻度、もしくは変動していくスピード、角度、そういったようなものがいろいろなもので影響を与えますので。円高になったら、円高不況といって1985年の時は全社書いていたのですよ。円高になったら景気が良くなりましたよね、1985年からバブルが始まるのだから。何度も言うけれども、為替というのは市場が決める話なので、こちらが介入してどうのこうのというような話ではないのははっきりしているのですけれども、円安が急激にという話は輸入物価の値上がりに直結してきますので、今石油がドバイ75ドル割りましたか、WTIは75ドルぐらい、そうなってくるとやはり石油の値段というのは、ピークの時は100何ドルですから、どんと25%ぐらい落ちている計算になるのですよ。それに対して円が安くなっていますから、石油が安くなって、本当だったら石油の値段はもっと安くならなくてはおかしいのだけれども、円も安くなっているというような話と両方計算しないと、そこのところ、つじつまが合わないことになりますので、そういった意味では円安とか円高という為替の変動が急激に早いテンポで動くというのはいろいろな意味で影響を与えるというので、あまり歓迎すべきことではないということだと思いますね。急激な為替の変動というものは歓迎すべきことではありません。上がっても下がっても。

問)

2020年度のプライマリーバランス目標についてお伺いしたいと思います。総理は20年度目標を堅持すると。その上で来年の夏をメドに具体的な計画を示すという御意向を示されております。17年度に10%が延びたわけですけれども、そこから20年度までの期間、短くなったわけですが、この間このプライマリーバランスの達成というのは十分可能だとお考えでしょうか。

答)

来年10月に引き上げる予定が18カ月延びたことになりますので、それはその分だけプライマリーバランスを、いわゆる2020年度にバランスさせるのは難しくなったということですよ。もともとなかなか厳しい状況になっていましたから。ただ、その分だけいわゆる税収が増えてみたり、また景気が回復して法人税収が上がってみたり、いろいろな形のものが考えられますので、今すぐそれがどうと今の段階で計算ができているわけではありません。ただ、私共としてはその達成に向けた具体的計画というものを策定していかなければいけないということだと思いますけれどもね。なかなか簡単な話ではありません。

問)

その間、いわゆる景気回復による自然増収だけで達成が可能だとお考えなのか、あるいはその間にもう一段の負担増、あるいは歳出のカットというものをやらなければこれは難しいという御認識なのか、この点をお願いします。

答)

負担増というのは消費税以外の税金という意味ですか。

問)

消費税の引き上げも含めて、増税です。

答)

消費税の引き上げはそれで決まったのだから。それ以後にさらに上げるということですか。

問)

17年度と20年度の間に再び消費税を上げるという判断をしなければ達成は難しいという御認識があるのかどうかということです。

答)

2015年度までのプライマリーバランスの半減という目標については、引き続きこの目標達成を目指して今からやっていくところなので、まずは2015年度のをやって、その後で1年6カ月延びた分を計算し直してやっていかなければいけないということになりますので、今の段階でどうしなければいけないというような状況がいま一つ見えていませんから、今の段階でちょっと分からないです。基本的には歳出というものをいろいろな形できちんと整理をしていかなければいけないというところからスタートしなければいけないことは確かですね。

問)

再度、軽減税率についてお聞きします。昨日、自公が合意した内容ですと2017年度の導入ということであれば、来年秋くらいまでに必要な法律を成立させれば事業者の準備期間は1年半ほどあることになると思います。大臣は以前から対象品目の線引き等もあって軽減税率の導入は容易ではないというふうにおっしゃっておりました。自公が導入を目指す2017年度ということであれば、導入に関しては十分な期間が確保されているというふうにお考えでしょうか。

答)

これは引き続き与党の議論を見守っていかなければ何とも言えませんけれども、少なくとも結構時間のかかる話だと思いますよ。食料品全体で軽減税率をしたら一体幾ら税収が減るのですか。例えば、据え置いた場合、2%引いたら幾ら減りますか、食料品全体で。

問)

飲食料品全体で1兆3,000億円ぐらいだと思います。

答)

その1兆3,000億円、その分だけ減収になりますからね、減収に。その減収分は、その分だけ社会保障手当等々が減ることになりますから、その分をどうするのですかという話は別の話になりますね。そこのところ、片方が減れば片方がどうしても、その手当てする額が減りますから、今年の社会保障関係は0.5兆円、フルで入ってきて8%で1兆3,500億円入ってくるわけでしょう。だから社会保障の関係のものは2%増えないという前提に立てば1兆3,500億円で全て賄わなければいけないということになるのですよ。2%上げていれば、その分が増えてきますが、その分がないという前提で計算をしなければいけないということになると同じ話で、軽減税率というのは安くなったらいいなという人と、安くなった分社会保障関係のお金が減るというのは困るという人と、2つ出ますから、消費者の立場からすれば同一人物かもしれませんし、そこのところは計算の仕方として難しいところだと思いますけれどもね。

問)

今の話にもありましたが、消費税率の10%引き上げが見送られたことで、来年度予算で社会保障の充実に充てられる分が1兆3,500億円になるということですけれども、当初10%引き上げを予定されていた項目などの絞り込みが必要だと思いますが、一方で従来予定されていたとおりのサービス、充実を求める声も上がっていると思います。これについて国債の発行ですとか、他の財源を充てるなどというようなお考えはありますでしょうか。

答)

昨年の冬でしたか、決めたプログラムがあったでしょう、社会保障制度改革プログラム法でしたか、あの法律によれば、消費税率引き上げの増収分をもって充てると書いてありますから、その増収分がないわけですから、当然延期する以上は社会保障の充実も見直さざるを得ない、それは当然そういうことになります。従来からの8%の社会保障の充実だけで今言ったように1兆3,500億円と言っているのですけれども、引き上げ延期中はその範囲の中で具体的な予算の編成は優先順位をつけてやっていかざるを得ないということだと思いますね。

問)

自公民の3党合意についてお伺いしたいと思います。今回消費税10%を来年10月から延期したことによって3党合意の枠組みが崩れたという指摘もあるのですけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。

答)

あの附則18条3項の範囲内でやって今回のことになりましたので、その点に関しては3党合意に反するものでは全くないと思いますけれどもね。

問)

総理が消費税引き上げを見送ると大臣が感じた時期についてお尋ねしたいのです。今から2カ月半前の第2次安倍改造内閣発足時の記者会見で消費税を引き上げしない時の備えはお考えですかとお尋ねしたところ、大臣は今の段階で引き上げないことを前提としたことは考えていないというお答えでした。その後、引き上げが見送られたわけですけれども、今振り返ってみたら総理が見送りの判断をしそうだと大臣がお感じになった時期はいつだったのかをお尋ねしたいというのが1つです。

もう1つは、解散詔書にどんなお気持ちで署名されたのかについてお尋ねしたいと思います。このところ取材をすると財務省の方々から大きな失望感が伝わってきます。GDPの速報値を見ても、これまでの見通しどおりの賃金の上昇、雇用の拡大が続いているので、来年10月に引き上げをしても大丈夫ではなかったのかという思いも根強いです。この2年間、そうした財務省を引っ張ってこられた大臣としては他の閣僚とは別のお気持ちで解散詔書に署名されたのではなかったかと思います。それは再び選挙が終わった時に財務大臣として一層財政健全化を進めたいというお気持ちだったのか、それともひょっとして署名はしたくないなというお気持ちだったのかをお聞かせください。

答)

あまり実質的な、何の意味もない話だと思うけれども、人の気持ちを聞いても何ということはないと思いますが、いつ頃感じたか、あまり記憶がありません。2つ目の質問は、GDPの速報値というものとか、それから有識者のヒアリングがあったのですけれども、そういったもので延期の判断をするということにならざるを得ないのは、GDPの速報値というのが直接的にはあれが一番大きく影響したかなという感じはしますけれどもね。いずれにしても財政再建をするという姿勢がきちんと明確に、28カ月後にやりますということを明確にされておられますので、世界中から見た日本の経済政策、アベノミクスというものに関しては、他の国から見たら間違いなく財政再建は放り出したままで、ただただ金融政策だけでやるんじゃないでしょうね、財政もきちんと再生させながら、財政出動もあって、財政再建というものをしっかりと掲げながらきちんと財政政策、金融政策で景気対策をやっていくのでしょうね、ということは一番他の国から見たら大丈夫かなと思って見ているところですから。そこはきちんと明確に言っておられますから、債券を売り浴びせられるというようなことも今のところ起きていないようですし、私共としてはそれにきちんと応えるべく財政再建もきちんと掲げてやっていきますということは現実やってきていますし、今後もやっていかなければいけないところだと思いますから。選挙が終わった後も基本的に2020年度、また2015年度の話はきちんとその対応をしていかないと国家の信用が失われるということになりかねないと思いますけれどもね。

(以上)

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