麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成27年6月30日(火)18時20分~18時48分)

【冒頭発言】

先ほどの閣議で骨太の方針2015を決定しております。その中で2020年度の基礎的財政収支の黒字化の達成に向けた財政健全化計画を決定しておりますので、その概要を申し上げさせていただきたいと存じます。今回の財政健全化計画では、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の3本柱で、経済再生と両立させつつ、財政健全化の取り組みを進めることとしております。

特に歳出改革については、歳出全般にわたり安倍内閣のこれまでの取組を強化し、聖域なく徹底した見直しを進め、地方においても国の取組と基調を合わせ、徹底した見直しを進めることとしております。

計画の中間段階である2018年度の国の一般歳出につきましては、これまでの取組を基調として、増加を前提とせず歳出改革に取り組むこととした上で、その水準の目安を具体的に示しております。

今後この水準の目安に基づいて、これまでの歳出改革の取組を継続・強化し、毎年度の予算編成を行ってまいりたいと考えております。

もう1点、平成27年度の予算執行調査につきましては、4月に対象事案を公表し、56件の調査を実施しております。そのうち調査の終了した45件について、今般、調査結果を取りまとめました。そこで本日の閣僚懇談会において、私から各大臣に対し、今回の調査結果を平成28年度の概算要求や今後の予算執行に確実に反映していただくようお願いしたところです。

【質疑応答】

問)

先程閣議決定されました骨太の方針には、今後3年間の一般歳出の伸びを1.6兆円程度に抑える目安が入りました。政府の財政健全化に向けた一定の意気込みを示す内容とも言えると思いますけれども、目標とは違う目安という形ですと、歳出拡大の歯止めにならないのではないのかという声であるとか、また前提にかかわる名目3%以上の経済成長は容易ではないのではないのかという声があります。大臣の今回の骨太への御評価と年末予算編成に向けての御所見をお伺いできますでしょうか。

答)

政府・与党と一体となった、実効的かつ具体的な「経済・財政再生計画」を策定することができたのではないかと思っております。折しもギリシャを巡る国際金融情勢の中で、国際マーケットから見ても信頼に足る「経済・財政再生計画」をマーケットに示すことは非常に意義があるのだと、そう思っております。

今般策定した「経済・財政再生計画」について、この安倍政権のこれまでの3年間の取組を継続・強化して、引き続き経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいきたいと思っておりますので、目安とか目標とか言葉はどうでもいいので、結果が勝負ですよ。

問)

ギリシャのデフォルト懸念を受けまして、マーケットを世界同時株安の様相を呈するなど、緊張感が高まっています。大臣としてこの問題をどう分析されていらっしゃるのか、そして併せて日本経済の影響と政府の今後の方針を併せてお伺いできますでしょうか。

答)

いわゆる足元の市場の動向についてコメントするということは差し控えさせてもらいますけれども、このギリシャの問題についてはG7各国との間で、結構緊密な協議というのをここ何カ月か行ってきたのですが、ユーロ圏の財務大臣会合がECB、欧州中央銀行との間で、ユーロ圏経済を安定させるために、あらゆる方策を講ずる用意があるという声明を発表していますけれども、そこは評価したいところです。政府内においても、これはギリシャ問題の情勢分析とか対応に遺漏がないよう、漏れがないよう、政府とか日銀の間でいろいろと会合を開いて対応するように、指示はしてあるところです。ギリシャ経済をGDPの規模で見れば、EU全体の2%未満にすぎませんので、日本との直接の金融上の関係があるかと言えば、極めて限定的だと思っています。しかし、リーマン・ショックの時だって似たようなことを書いていましたもんね、新聞は。しかし、結果としては大きかったじゃないですか。アメリカだって、みんな救えたのに、何でリーマンだけ潰したのだと。大したことないからだと。そう言っていたではないですか。しかし結果としては大きな話になった。だから、このギリシャの話もどうなるかわからないと思って、いろいろな対応を考えておかないと、危ないことにならないようにしておかなければいけない、私どもとしてはそう思っています。

問)

骨太で社会保障関係費についてお伺いします。小泉内閣の時の骨太2006では、社会保障費を5年間で1.1兆円抑制するという方針を掲げました。今回は年5,000億円程度の増加にとどめるというものですので、内閣府の推計値で2020年の社会保障費が37.2兆円ですので、今回は単純計算で、5年間で約2兆円の削減になるわけですけれども、小泉内閣時代の方針と比べて今回の抑制水準は厳しいとお考えでしょうか。

答)

小泉内閣の時に、あれは成功しましたか。2,200億円ずつ毎年減らすという確か竹中先生のアイデアだったと思うけれども、結果的にはうまくいかなかったでしょう、うまくいかなかったのですよ。したがって、我々はああいったキャップをはめるというような前轍を踏むようなことはしない。まず基本的にそれが大前提でそう思っています。したがって、我々としては何としても考えておかなければいけないのは、いわゆる団塊の世代の人たちが後期高齢者に入り始める2022年から2024年ぐらいにかけて団塊の世代が75才になってくるので、こういったことから受益と負担の関係が確実に壊れるということを、今のうちからきちんとしておかないと、世界に冠たる国民皆保険を維持することはできない。したがって過去3年間、我々は経済再生や改革の成果と併せて社会保障関係費の実質的な増加が、人口が高齢化していく分に相当する伸び、この3年間が約1.5兆円となっているということや、また経済・物価等の動向を踏まえて、その基調を2018年度まで継続していくことを目安として、そして効率化とか予防とか、いわゆる制度改革に取り組んでいくことになるのですが、この点も含めて2020年度に向けて社会保障関係費の伸びを、いわゆる高齢化による増加分と消費税増収分というものを活用した充実などに相当する水準におさめるということを目指すということにしているのです。

この取組は今質問のあった骨太2006の時と異なって、機械的な削減額を毎年一律に決めるというものではありません。経済再生やこれまでの改革の効果というものを併せて、これまでの3年間の実績がそうだったのだから、効率化、予防等に取り組み無駄を排除する、ジェネリックの話とかいろいろ取り組んでいる話がいっぱいありますから、そういうものを考えて制度改革にも幅広く取り組んでいくことによって、高齢化による増加分などにおさめる。だって高齢化することは間違いないのだから、0.5兆円ずつ伸ばせる、0.5兆円におさめるのではない、0.5兆円ずつ伸ばせるということで考えておりますので、毎年キャップをかけるというつもりのものではないというように御理解していただければと思っています。

問)

引き続き、骨太の方針と来年度予算の概算要求基準についての関係をお尋ねします。今回の骨太の方針の第4章が、来年度予算編成について書いてありますけれども、これについては今大臣がお述べになられたような今までの3年間の取り組みを継続するという大きな方針が書かれています。ただ、概算要求基準も同じ経済財政諮問会議で議論されるのですが、ここで6月1日の議論では今の概算要求基準の仕方、つまり10%減額要求させて、それを特別枠・地方創生枠として復活させると。これの仕方が固定化して、硬直化を招いているという民間議員からの指摘もありました。この議論は今後続くということになりますと、この月末の概算要求基準はこの数年間とまた違った仕方になるのでしょうか。

答)

まず概算要求基準という考え方がどういうのをもって概算要求基準と言うかというと、その前この内閣が出できるまでのやり方が、いわゆる概算要求基準というのは前年度比何%というのが、いわゆる野田内閣までの方法が概算要求と言われるものだったのだと思っています。初年度はともかくとして、この2年間の分で言えば、従来の前年度比一律何%というのではなくて、どうしても人口高齢化に伴って何とかするとか、確実に増えていくもの、避けがたいものというのは別にして、その他のものといろいろ分けたではないですか。基本的に私どもとしては、この概算要求というのであれば、そういった要求を、今までの固い一律というような形ではなくて、ああいった対応でやっていきたいと思っています。少なくともこの2年間はあのやり方でそれなりの形ができ上がったし、各省庁もこのやり方のほうがという声のほうが多いように思いますので、私どもとしては、各省庁自己責任が大きくなりますけど、その分だけきちんと対応してもらう。一律何%に切るというのは主計局が一番楽なんですよ。あんまり楽をさせてはだめなんですよ。ちゃんと自分で現場に行って見なさい。一律何%に切りますなんていうのは、最も手抜きのやり方なのだと私はいつもそう思っていますから、だからちゃんと現場に行ってよく見ろと、各省庁に行って、そして時間が忙しいなら主査を出すなり何なり、いろいろなものをしたほうがいいと私はそう思っています。ぜひそういった意味では今回に当たっても、これは非常に大きなところだと思いますので景気がよくなってきて税収が増えている分だけ、という点は十分に考慮に入れても、我々としては2020年度までにプライマリーバランスを、いわゆる基礎的財政収支を黒字にするという大きな目標がありますので、それに向かって今年良ければというような話ではないのであって、その分はまた消費税を上げた時に税収がどんな形になるのか、消費税は上がったときに経済の成長がどうなるのかという、先のことまで考えて5年間の計画を立てなければいけませんので、そういった意味では、ちゃんとそれを再来年度用にきちんとできるようにしておくというような姿勢が必要なのだと思いますけどね。

問)

臨時閣議で地方創生の基本方針についてお伺いします。方針に盛り込まれた新型交付金、こちらは総額ですとか財源について、今の時点で大臣のお考えをお伺いしたいのですけれども。

答)

新型交付金なんて、まだきちんと決めているわけじゃありません。ただ、これは額を何で決めていないかというと、最大の理由は、今まではこういった案がありますからどうぞという案を、我々は今までやっていたけれども、それはしませんと。地方が私たちはこれがしたいのだという案を出してくださいと、その案がよければそこに予算をつけますという主役の主と従が変わりますから、そういった意味では何をしたいかという案を出してくださいと。案がないところに予算はつきません。したい案がないと、じゃあ、それでいいというのは、それは別に予算が要らないわけですから、そこに予算を出すつもりはありません。

問)

骨太の税制に関連する部分について、今回の骨太では若い世代に光を当てるということで、税制のオーバーホールを進めるということが打ち出されたと思うのですが、その際に税収中立ということがうたわれて、つまり増税も減税もしないという枠組みの中で、一緒に働いて子どもをこれから育てていこうとするような若い夫婦だとか、あんまり生活が楽ではない若者等を支えていこうというような方向性が打ち出されたと思うのですけれども、その税収中立の枠組みの中でそれをしようとするならば、どこかの形でどこかの年代なのか、所得層なのか、それはスキームによっていろいろだと思うのですが、どこかに負担増を求めなければいけないと思うのですが、現時点でこれから諸控除のそういう観点から控除の見直し等も議論されていくところだと思うのですが、その国民への負担増というところについて、今の時点で大臣がどのようなイメージを持っていらっしゃるのかお聞かせください。

答)

今、社会保障やら何やら可処分所得の面から見て、きちんと数字が出ていますから、この15年20年ぐらいを見ていれば、どう考えていても子どもを育てている若い世代のところが圧倒的に可処分所得の額が減った、はっきりしていると思いますね。したがってその分は、むしろ高齢者の資産が多い等、所得の高い世代の方が使える率が増えているということははっきりしていると思いますので、所得税で言えば税収中立というのは、若い子育て世代に厚くということが基本で、今まで多かったところの方は、こっちの方が数は多いのですけどね、そっちの数の方から少し減らしてこっちへ回してもらう、基本的には税収中立というのはそういうことです。

問)

先程の新型交付金で案がないと予算がつかないというお話でしたが、その案を、予算をつけるにふさわしい案かどうかというのは、どういった基準で判断されますでしょうか。

答)

それは地方創生を担当される石破さんのところが主にされるのだと思いますけれども、今案が出てくるところと出てこないところ、これは首長さんによってすごく違うと思いますよ。今、ああ、なるほどこういう案を考えるのかという案も出てきていますので、そういったのを出してくる首長さんと、いい人だけど全然アイデアは出てこない人もいます。首長にはいろいろな方がおられるのは当然なのですけれども、そういった意味では、こういったものは間違いなく競争が起きるということですから、一律に出てくるわけではありませんから、私どもとしては、こういうのは下手なやり方をすると単なるばらまきになりますからね。そういうことにならないようにするというのが、石破さん一番大事なところですよというお話はしてあります。私どもとして、そういったこれはいいなという案があって、同じような人口で、同じような状況だったらお宅でもやってみたらどうですかって、オープンクラウドではないけど、そういった見える化、可視化というのであれば、そういった案は翌年お宅でやられたらどうですか、だろうし、熱心な人がいれば、ちゃんと自分と同じようなまちで、同じようなところで、同じような人口構成で、同じような港があってというようなところだったら、ああ、こんなのがあるのかというようなことを参考にして、それを真似て、より良いものにしていくということだと思いますから、そういったのになればいいなとは思いますけれども、いずれにしても、ばらまきになってはいけないというところが、一番肝心なところだと思っています。

問)

話題がちょっと変わるのですが、7月1日から霞が関で「ゆう活」という朝方勤務が始まります。1時間早く来て、1時間早く帰り、夕方の活動を充実させるという取り組みなのですけれども、財務省というと残業が恒常化しているというイメージがあるのですが、大臣の方からなかなか日頃の業務の効率化を進めるという観点から、何か御指示があったりお話があったりするのでしょうか。

答)

財務省が一番遅くなるのは間違いなく、国会で委員会がある時の質問、2日前までに出すという国会内の約束だけど、現実に質問が出てくるのは夜中、やめてくれないかな、あれ。あれが一番時間を無駄に捉えるものだと、私はそう思いますね。私も何回も言ったのだけど質問は出てこない。イギリスだったら3日前とかみんな決まっているのですけど、この国は、その点は小沢さんはやると言われたのですけれども、現実問題できませんでしたから。夜中遅くまで質問に何が出てくるかわからないという話です。しかもその日になって、前の日に質問通告していなくて、わけのわからぬ話をいきなりぽいと振られて、全然質問通告が出ていなければ調査のしようがありませんから、答えられないとえらい騒ぎになったり、委員会が止まったりするというようなことは、やっぱり外から見ていておかしいなという感じが出てくれば、それなりにいくのでしょうけど。何となく今までのところはそれがありますね。一番時間が多くとられているのは、これかなと。閣僚になって10年ぐらいになりますけど、それは一番感じるところですね。ですから、是非そういったようなところと、もう1個は何だかんだ言いながら仕事が好きというようなワーカホリックばかりいるとはとても思えませんけど、こっちも用がなければさっさと帰るということを言うので、一番肝心なことは偉い人が帰ることですね。大臣が張り切って夜中8時とか9時とか仕事されたら、部下は迷惑するんですよ。仕事したいならさっさと議員会館でも行って、議員会館でやればいいんですよ。私はそう思うけどな。私はとにかくなるべく遅く来てなるべく早く帰りたいと思っている方だから、そういう具合にしないと、上がいつまでもいられたら次官、官房長以下帰れないということになってしまうから、やっぱり大臣は努めて帰る、これが一番大事なことなのではないですかね。そうするとみんな安心して帰れる、いいんじゃないですかね。そう思いますけど、具体的なことをやっていかないと、帰れ、帰れと言っても、帰りはしませんよ、なかなか上の人がいたらと思います。

(以上)

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