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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年8月28日(金)9時02分~9時21分)

【冒頭発言】

先程の閣議で地方自治法施行60周年の記念貨幣のうち残っていた2つ、平成28年度発行予定の福島県、東京都の貨幣デザイン等を定める政令を決定しております。地方自治法施行60周年記念貨幣は、地域の活性化の観点から平成20年度よりそれぞれの都道府県が創意工夫したデザインで発行されているもので、今回の決定によって47都道府県すべての貨幣のデザインが出そろったことになります。

【質疑応答】

問)

概算要求の各省提出期限が週明け月曜日に迫ってまいりました。要求総額は前年に続き100兆円の大台を超えそうですけれども、来年度は「経済財政再生計画」の計画期間初年度にも当たります。財政当局の責任者としてどういうメリハリのある予算を作っていかれるのか、方針、意気込みをお教えください。

答)

概算要求は、8月31日が提出期限なのですが、去年が100兆円を超えて101兆6,000億円だったかな。101兆円が最終的には96兆3,400億円までということになっています。概算要求としては史上最高とかいろいろ報道が出ているのは知らないわけではありませんけれども、総額について今現在お答えする段階ではありません。いずれにせよ、間もなく提出される概算要求のすべてを受けて予算編成が正式にスタートすることになります。財政当局としては最終的に予算額を「経済・財政再生計画」の目安を踏まえたものとしていかなければなりません。幾らになるかは今お答えできませんが、例えば27年度の概算要求も、先ほど言ったとおり、100兆円を超えていたものが96兆円までということになりましたので、PB赤字半減目標の達成見込みの予算ということにしました。こうした実績を踏まえて2020年度の基礎的財政収支の黒字化目標というものに向けて手を緩めずに引き続き、今から5年ありますので本格的な歳出改革に取り組んでいくことになるのですが、初年度に当たりますのが来年度になりますので、この予算においても計画を具体化していくためには財政運営に対する責任としては大きいと思いますので、まずはきちんと初年度をと思っております。

問)

世界株安に関連してお伺いします。以前の閣議後会見で株安を受けた経済対策を含む補正予算案については現時点で考えていることはないというお答えでした。その後もマーケットに荒い動きが続いて、今は連鎖的な安くなる状況はおさまっているようですけれども、今現在の大臣の補正予算案の必要性についての考えをお聞かせください。

答)

補正予算については考えていないというのは前に申し上げたとおりなので、今の段階で新たな経済対策・補正予算を考えているということではありません。株の話が出ましたが、今日幾ら上がっていますか。300円ぐらい上がっていないですか。昨日は200円、一昨日が500円ということは700円程戻しているということですね。今日の終値がどうなるか知らないけれども、前場最初で300円つけているから、それでいくと1,000円ぐらい戻しているということになりますから、株は上がったり下がったりしますので、そういった意味では一喜一憂することではなくて、必要な施策をしっかり進めていかなければいけないところだと思います。株価でどうのこうのと直ちにそれで反応するということはありません。

問)

日本郵政についてお伺いします。株価がこのところ乱高下する中で郵政ほどの大型上場になりますと、これがさらなる波乱要因になるのではないかという見方もあります。早ければ今年の秋にも上場するという方針に変わりはないのでしょうか。お聞かせください。

答)

こういうことを言うと市場に予断を与えることになりかねないので、コメントというものは差し控えなければいけないところだと思っていますけれども、今、具体的なところを詰めておられるところだと思いますので、少なくとも我々としては状況等を総合判断しつつ決めさせていただきたいと思っています。

問)

日本生命など大手生命保険会社で買収の動きが今相次いでいまして、この動きについて大臣はどう御覧になっていますでしょうか。

答)

報道があったことは承知していますけれども、これに関してコメントすることはありません。少なくとも一般論として、生命保険会社が会社の経営判断としていろいろな意味で経営戦略の構築をされる上で、いろいろな経営基盤の強化に取り組んでいくというのはいいことだと思いますので、利用者利便の向上が結果として図られるということになるのは、極めて重要なのではないかと思っています。

問)

生命保険会社のガバナンスのあり方なのですけれども、日本の生命保険会社は相互会社と株式会社に大別されまして、双方メリット・デメリット、ガバナンスの上でもいろいろ言われていますし、相互会社を採用している会社と株式会社を採用している会社と何か路線の対立といいますか、考え方の違いが鮮明だと思いますが、生命保険会社はどちらの会社形態がより望ましいとお考えでしょうか。

答)

それは経営者の判断につきますね。

問)

来週の1日に発表される指標で法人企業統計の年次発表がありますので、これについてお尋ねします。大臣はこの発表の中で特に内部留保、利益剰余金、内部留保の額について特に注目されてきておられます。それはつまり前回の発表では328兆円で、その前に比べて24兆円1年間で積み上がったことに対してもっと配当や設備投資や賃金に回すよう1年間努力してこられました。その結果が1日に出るわけですが、四半期ごとの統計を見ると残高では30兆円を上回るペースで増えています。統計の取り方は四半期と年次とでは違うのですけれども、このような高い残高がまた伸びるとしましたら、大臣はこれについてはどのように企業姿勢を評価されるおつもりでしょうか。

答)

基本的に今言われたのは四半期の話であって、通算でそれをどう調整するかというのは最終的に経営者が判断されますので、この前の時だって高い期間もありましたけれども、結果として24兆円増えた形になったのだと思いますので、今回が四半期でいけば30兆円だからといって9月の年次が30兆円になるという保証は全くありません。いずれにしても会社の内部のお金は何のためにためるのか、その目的ですよね。だから税金を安くしてくださいと言って安くして、その結果、内部留保が増える、何の意味があるのですかね。よく経営者の話を聞いてみたいなといつも思うのですけれども、少なくとも今、25年も資産のデフレーションに伴う不況というのは続いていますので、あの頃に比べて労働分配率はかなり下がっているのではないですか。だからそういった意味では基本的に考え方を変えないといけないのが1つ。労働賃金が日本の場合は極端に高いからというのは、今少し違ってきているのではありませんか。中国が一番安いからといって中国に行ったけれども、今は中国が増えたとか、他のバングラデシュはじめいろいろな国々の方が労働賃金が安いからというので中国市場から他の市場に移動しているという会社が多い。そういう具合に、この25年の間に随分事情は変わってきているのだと思いますけれども、一番上の経営者の判断のところが、そこがどうなっているかというのはよくまだ見えていないところだという感じはしますけれどもね。

問)

今日発表になった消費者物価指数と家計調査についてお伺いします。消費者物価指数では2年2カ月ぶりに横ばいとなって、家計調査では2カ月連続で減少となりました。このような物価とか個人消費の動きについて御所感をお願いいたします。

答)

実質賃金が上がっていることは確かなのですけれども、少なくとも前年同月比で0.0でしたね。コアの話ですよ。また、総務省の発表した家計調査だと前年同月比で0.2%のマイナスということになっているのですけれども、所得環境が改善の方向というのは間違いないところだと思いますので、そういった意味では傾向として持ち直していっている傾向にあるのだというように理解はしています。

問)

新国立競技場のことでお伺いします。上限額が1,550億円ということで、スペックの方も最終的に8万人収容なのですけれども、当初は6万8,000人ということで、小さ目ということになりました。いろいろな批判もあって見直しの作業が進んできたわけですけれども、こういう形になったことについて大臣の御所見をお伺いできればと思います。

答)

これは結構長い話ですから。この話は、その前の東京招致に失敗する時からで、あの時は1,000億円だったのだから。概算でしかやっていないのだよね。あの頃、1,000億円でアバウトにこんなものだろうと出したのではないですか。今回の1,300億円というのは、多分、場所も移ったことだし3割増しぐらいだろうと、その程度で出したのではないですか。今度も1,300億円でできるというのだったら積算根拠を出してみてくださいと。出せるところは1つもなかったというところが問題なのですよ。何だか知らないけれども数字だけが勝手に躍るんですよ。まずは天井をつける、何のために、ラグビーのワールドカップ、オリンピック等、いろいろなお話がありましたけれども、陸上競技というのは室内競技ではないから、ラグビーもサッカーも室内競技ではないのだから、天井なんかなくてもいいでしょうと。そうすると天井代金がなくなる。ということは基礎にかかるコンクリートの使用量が減るわけですよ。だからその分だけ安くなるはずですよ。だから、いわゆるフィールドと、フィールドというのはサッカーとか、そういったようなフィールドを使うもの、陸上で言えば砲丸投げとか円盤投げがそうだけれども、フィールドを使うものと周りのトラックを使うものと、2つ競技場というのはあるのだけれども、その両方を取り急ぎ満たすということに目的を絞ると随分とコストは下がるのではないですか、当たり前のことでしょう。そこにいきなり野外ではなくて屋内のコンサートができるようにするとか、8万人が入るコンサート場が何とかかんとかと、誰が言った話か知らないけれども膨らんだでしょう。そこに地震が来たときの備蓄がどうたらという話でさらに話が膨らんでしまったものだから、オリンピックの目的の競技場からさらに他のものにどんどん広がっていったものが結果として大きな予算というものになりました。そこで、もうちょっと整理しましょうということできちんとオリンピック、そしてその他、サッカーやラグビー等、そういったフィールドの競技をやるものに絞れば、その分だけコストは下がるはずだということでスタートをやり直したのが今回の話です。結果としてああいった額になったのであって、この積算が文部科学省でできるはずはないので、そういったものをきちんとやるところに担当を決めてやらせた結果、ああいった形になったということだと理解しています。私はその積算の内容を詳しく全部知る立場にありませんから、それに合わせてまた詰めていかれるということだと思います。

(以上)

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