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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年9月11日(金)9時16分~9時36分)

【質疑応答】

問)

財務省が提案した消費税増税時の還付制度案について伺わせていただきます。この制度案ですけれども、マイナンバー制度の活用が前提となっていますが、個人番号カードの普及や読取端末の店舗設置には時間がかかることも見込まれています。大臣は2017年4月の消費税増税と同時にこの還付制度を導入することができるのかどうか、お考えを伺わせてください。

答)

昨日与党における軽減税率制度検討委員会の場で、これまで御要請を受けていましたので、それに対応して検討の案になればということで1つのアイデアとして還付ポイント制度をお示ししたばかりなので、導入時期を含めて、これは与党においていろいろ検討されていかれるのだと思います。

問)

軽減税率をめぐる財務省の提案について改めてお伺いしますが、発表後初めての会見ということですので、まず大臣の率直な御評価、そしていろいろと、インボイスを導入しないということで事業者の負担は減る一方で、やはりマイナンバーを活用するということについては国民に負担をつけ回すのではないかといったような批判もあるようでございます。大臣はこういった国民からの声についてどういうふうに御評価されているか、そしてこれが国民及び与党に受け入れられる案になるのかどうか、その辺の自信のほどをお伺いできればと思います。

答)

もともとは財務省が考えた話ではありません。これは与党で軽減税率をやるという話を選挙の時に言われたのでしょう。財務省が言ったわけではありませんから。与党の方でやるということを言われて、それに基づいて与党でいろいろ御検討された。その結果、結論が出ないからということで、この制度について、そちらの方で考えてくれるかという話になり、6月ぐらいだったかな、財務省に対して軽減税率制度についての課題を出されたので、それに対応して我々としてはそれを乗り越えるべくいろいろな知恵を絞るようにという話で、その要請に基づいて我々が考えた案というのが今置かれている立場です。こちらが決めつけて、押し付けているような話ではありません。これを踏まえ、財務省においては消費税負担の軽減を日々の生活の中で実感してもらえるという軽減税率制度の趣旨・意義を体しつつ、軽減税率制度が持っているいろいろな問題点を克服する、例えばどこで区分けをするかとか、インボイスがどうとか、いろいろありましたから、ということを中核的なコンセプトとして、与党の中における議論の一つのたたき台みたいなものとして、これを出したというのが経緯です。今般お示しした還付ポイント制度というものは、Suicaに限らず、どうでしょう、どこのコンビニに行ってもポイントというのはありますからね。そういったものは結構慣れておられると思いますので、対象品目というものの消費税額を消費者個人に還付するという仕組を考えました。これについては、いわゆる税負担の軽減が感じられるようにということで、買い物の都度に還付ポイントを付与する。そして消費者にとってはわかりやすい仕組にするため、食料品の中で、喉を通っていくものという中で酒類を除いて飲食料品を対象とする。キャビアは駄目だけれどもイクラはいいとか、どれだったらいいのかという話はよくありましたから、そういった制度でなくて、それは全部一律にしてわかりやすくしておくというのが1つ。それから高額所得者に対しては、EUなどのやり方は全部高額所得者も同じですから、高額所得者が過大な恩恵を受けることのないようにするためには還付限度額を決める。何千円なら何千円ということで決める、5人家族としたら何万円になりますねという話です。それから事業をしておられる方々の方から見れば、経理とかインボイスの話とか、納税事務には影響を与えることはありませんので、特に川上から川中、川下と下りてくる中で、中間段階の事業者には何ら追加的な事務負担が生じることはありませんし、税率を変更しないで還付ポイントとするというような工夫をそれなりに講じているのだと思います。もう1つ、この還付ポイント制度というのは全く新しい制度でありますから、消費者の利便はどうかとか、事業者が対応できるか等、様々な御意見が出ることは当然のことだと思っています。いろいろなポイント制度が出た時も最初は似たような話がありましたから、そうだとは思っています。いろいろな意味でこれから、この還付ポイント制度についての多角的な検討につながるのだと思いますので、我々としては1つのアイデアとして与党において議論を深めていただくということを期待して、我々は提案をしておりますので、6月に要請を受けたものに対応するお答えを出したということでありますので、今から何カ月かありますので、いろいろ与党の中でその議論を見守ってまいるということですかね。今の段階ではそういうことになるのだと思います。

問)

大臣がおっしゃった還付限度額について、何千円ぐらいかというお話が今ありましたけれども、4,000円とか5,000円とかという話が出ておりますけれども、仮に年間4,000円であれば1日当たり500円ぐらいの消費で上限に達してしまうことになるわけで、事実上、数千円の低額給付と同じような事態にはなりませんでしょうか。

答)

人によって考え方は違うのだと思いますけれども、まず額が決まっているわけではないし、1つの例として、もうちょっと高くしろと言うのであればその分だけ税収が減るということであって、逆に言えばその分だけ、老人医療とかそういったところに回すお金は減っていくということです。出てきた額は医療とか介護とかというものに回るはずですから、その分が減っていくということになってしまうのではないですかね。今の話をやると高額所得者にも還付する必要があるのかということも考えられるので、それが所得制限とか、いろいろな考え方は整理すればいろいろ出てくると思いますよ。いろいろ意見を交わされた方がいいですよ。これに替わる案を出してもらったら、それはいいのではないですか。

問)

先程の質問にも関連するのですけれども、今回の財務省の提案のポイント制度は、今後与党の方で議論が始まるのですけれども、こういった消費税率が上がった時の軽減措置というのは消費税率が上がった時と同時にやるべしとお考えですか。そこら辺をお聞かせください。

答)

こだわりませんけれども、その方がわかりやすいとは思っています。政府・与党との間では10%時にやると書いてありますからね。10%時というのは再来年の4月、10%導入時とは書いていないですからね。それにこだわることはありませんし、カードが間に合わないとかいろいろな方も出てくると思いますから、直ちに同日にということにこだわるつもりはありませんし、事実こだわってカードがとか、リーダーがとか、読み切れるとか読み切れないとか、配付できていないとか受け取っていないとかということも十分に考えられる、そう思いますから、それをこだわるつもりはありません。

問)

軽減税率について財務省の提案された試案についてお尋ねします。大臣は前回も今日も、この制度の狙いは低所得者対策であり、一律な軽減税率を導入した場合に高所得者がより多くの恩恵を受けることを制限することももう1つの狙いだとおっしゃっています。そういう2つの対立で見るとわかりやすいですが、一律の軽減税率を導入した場合に税収減となるのは低所得者以外の、高所得者とは限らなくても、より多くの消費者が軽減税率の恩恵を受けられない、低所得者が恩恵を受けられる分よりも低所得者以外の方が消費する分の税収減の方が多いわけですから、それを制限する効果を狙ったものではないかと思います。つまりこの制度を消費税の中で組み込むとすれば、税制の原則は公平・中立・簡素ですから、それを一部曲げて運用することになるので、高所得者でなくとも低所得者以外の国民に対する説明としてはもう少し言葉が必要なのではないかと思いますが。

答)

高所得者と低所得者の定義は何ですか。どこで切っているのですか。

問)

私は平均所得以上か以下かと。

答)

平均所得以下か上かで切りますって、一般的にはより多く消費するのは高額所得者ですよ。だって使っている額が多いから。だからそういうことになるので、そういったところでは、みなし制度ということになるのかな、多く払っている人にとって、たくさんうまいものを食っている人、買っている人の方に、より多くというようなことにならないようにするためには、高額所得者が高くなってくる、消費はずっと高くなってきますから、この高くなってきたところの分を整理しておくということは、別におかしくないのではないですかね。そこはみんな一律受けられるわけですから。それ以上たくさん消費しておられる高額所得者の方々にはその恩恵はないということになるのだと思いますけれどもね。

問)

昨日、東証が郵政3社の上場を承認しました。この郵政3社の上場の意義をお聞かせください。

答)

郵政3社の民営化というのは前からいろいろ議論のあるところで、これを決定させていただいたのですが、今、株主は国ですから、国の持っている株を民間に売却することによって得られる金額の部分を東北等の被災地に充てるということが決まっていますので、そういった意味では民営化することによって得られた利益を被災者に充てるというところが大きな意義でしょうし、民営化されることによっていろいろ新しい仕事を考えてみたり、新しい事業やら何やらをやろうとしてみたり、国鉄にしてもたばこにしても、いろいろ過去民営化された国営企業というものが、成功した例、失敗した例、いろいろあるとは思いますけれども、そういった中でたばこも同じような形でやっていって、それなりのものになりましたし、この郵政会社も同様な形でいろいろな意味での仕事が出ていく、民間として同じようなことをやっていくというのであれば、それはそれなりに意義があると思いますけれどもね。

問)

これについてなのですけれども、ゆうちょ銀行の株が売られるということで、このことをきっかけに地方銀行の再編が進む可能性があるのかないのかというところで、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

地方銀行の再編は、ゆうちょ銀行の今回の上場自体とは直接関係ないですね。地方銀行が再編される可能性の高いのは、やはり日本における人口構造の変化、地方におけるいわゆる地域間の人口格差等々が大きいのであって。現実、今いろいろ起きております地方銀行の合併にしても、肝心なことは、各地銀、第二地銀、信用金庫、いろいろな合併の例がありますし、そういった各銀行の経営者の経営判断によって、いろいろ合併をやって、名前を変えるところもある、名前をそのまま残してやっているところもある。中国地方では別の名前の銀行が株主というところもあったでしょうし、そっちの方がよりよいという判断なのだろうけれども、福岡の場合は統合した名前にしましたからね。それは別に経営者の判断なのだと思いますけれどもね。

(以上)

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