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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年9月25日(金)10時16分~10時44分)

【質疑応答】

問)

安全保障関連法が成立しまして、これからは経済政策が政権の優先課題になるかと思います。総理も経済最優先で取組む考えを表明されていますけれども、景気を下支えする補正予算の編成について現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

答)

昨日の安倍総理の記者会見を聞いた上での話ですけれども、少なくともこれまでの約2年9カ月の実績の上に立って、次の3年間においても経済を最優先にして考えていくという基本的な総理の決意が示されたところだと思っています。これを受けて引き続き経済再生、経済成長に全力を挙げていくのだと思います。重要なことは経済情勢の上がり下がりという報道に一喜一憂しない。テーパリングはそのまま進むのかと何回も言ったことがあるけれども、とにかくアメリカの金利の上昇、イエレン議長は必ず上げるという記事ばかりだし、中国の話もそうです。フォルクスワーゲンの話も、日本の新聞で読んだら自動車会社がということしか書いていないけれども、GDPに占める輸出の比率は日本が少し上がったので14~15%までいっていると思うけれども、ドイツの場合は40%ぐらいいっているのではないかな。そのうちフォルクスワーゲンの輸出は自動車輸出のうちのある程度を占めていると思うから、そこがああいうことになるというのはGDP全体に与える影響が相当大きいという話の前提で考えると、アメリカも今ああいう状態だから、日本以外の国というのは経済というものの安定性からいったら極めて内容が、かなりバランスが悪いという状況にあることは、世界の財務大臣会合へ行ったら誰でも知っていますよ。日本が一番安定しているのだと思っていますから、そういう中にありますので、日本としてはいわゆる1の矢、2の矢という、金融出動、財政出動と来たのだから、今度は民間出動でしょう。その民間出動は何をしているのか。税金を安くしてください、と言ってお金を貯めているだけですか。304兆円の内部留保が1年経ったら328兆円になったのでしょう。24兆円、月割り2兆円ですよ。今度はまた354兆円になり、26兆円増えているわけでしょう。どう考えても、そのお金は何のためか、貯金するために、内部留保のために税金を安くしているのですか。おかしいでしょう。本来企業というのは、基本的に給料、配当、設備投資、そういうものに回すのが当然なのではないですか。何のために経済活動をやっているのでしょうね。今の労働分配率は何%になっているのか。今の経済を見たらわかるけれども、改善というのは、企業収益はかなり上がっている。過去最高水準。また、雇用も所得環境の改善も間違いなく改善する方向にあると思っていますので、これは今までも言ってきたのだと思いますけれども、まずはきちんと26年度の補正予算とか27年度の予算というものを完全に使ってもらって、それを実のあるものにしてもらって、そういった過去最高水準の企業収益の中から投資環境、設備投資等、そういったものが生まれてくる、好循環にさせていくというのが最初なのであって、今の段階で補正予算を考えているわけではありません。

問)

昨日、金融庁でコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードのフォローアップ会議が開かれました。その会議のメンバーからは、企業のトップの選任のプロセスが非常に重要であるという声が結構相次いだのですけれども、上場企業の社長をどういうふうに選んでいくのか、日本の成長戦略の中でどういうふうに大臣がお考えなのか、そして社長の選任をしていく中で社外取締役に期待される役割であるとか、大臣のお考えをよろしくお願いします。

答)

そんなことが外から言われるようになった会社は大したことないですね。基本的にそう思います。やはり社長というのが選ばれるのはそれなりの実績なりを踏まえて、いろいろなことを考えて、前の人はこっちに傾いていたけれども、営業だったけれども、もっと制度部門にとか、バランスとかいろいろなことを考えて企業の取締役会というのは、その時代時代に合わせて、その会社が今置かれている状況を踏まえて人を選んでくるのが普通なのであって、社外重役から言われなければなんていうのは、それはちょっといかがなものかという感じは正直しますけれどもね。いずれにしても、透明性とか、またそういったバランス感覚とか、そういったものを考えてやるのであって、その企業においていろいろやってもらわなければいけないところなのだと思います。やはり東芝の例がよく出てくるけれども、3日間で120億円とかという話がメディアに出ていたけれども、そういったことを言う社長を選んでしまう取締役会の方がいかがなものかという感じは、それだけを聞いていればそう思いますよ。だが、あれは本当かと。何々新聞が書いた話だから嘘ではないか、本当かと思うことはありますね。直接会社の人に聞いた人はいますか。どうでした。

問)

第三者委員会の報告書の中に。

答)

そういうのではなくて東芝の社員に直接聞いてみなければ。そういう話がありましたかと聞いた人は、経済産業省担当の記者の中にいないんだって。直接本人に聞かないとわからないではないですか。直接聞けばいいではないですか。顔色を見て大体反応がわかりますよ。少なくとも、そうやって直接聞くということをしないのはいかがなものかと思います。この種の話というのは、フォローアップ会議とかいろいろなところでいろいろ議論が行われるようになりつつあるみたいですね。もし今まで行われていないとするならば、議論することは良いことだと思いますが、まともな企業ならみんなやっている、私はそう思います。

問)

今朝、総務省が発表した8月の消費者物価指数について、8月の消費者物価指数は生鮮食品を除くコアCPIがマイナス0.1%と2年4カ月ぶりのマイナスになりました。先程大臣も引用された総理の昨日の会見では、もはやデフレではないという状態まで来たと。デフレ脱却はもう目の前だというふうに言われています。この言葉のとおりだとすれば、この消費者物価指数のマイナス転落というのはどう評価すればいいのか。つまり一時的なのか、それともデフレ脱却はまた遠のいていくのか。

答)

1カ月の指標を見ただけでそう単純に思うわけではないでしょうが、こういったようなものは、いろいろなものが総合的にプラスマイナスしてくるところなので、今エネルギー関係を除けば少なくとも先行きについても当面緩やかに上昇していくのだと、そう思っています。ただ、エネルギーの話はいろいろな技術進歩、掘削技術の進歩等、いろいろな政治情勢もあって、さらにいろいろな動きが見られるのでよくわかりませんが、エネルギー以外のことに関して言わせてもらえれば、緩やかには上昇していると思います。

問)

物価については、日銀の黒田総裁は先月ニューヨークの講演でも金融の質的・量的緩和を追加しなくても物価目標の2%は2016年度の前半から幅を持たせた期間で達成は可能であるという姿勢を続けています。この日銀の政策については固有の政策であるというお立場をとられていますが、消費者物価指数が0%近傍を続けていく中で2%を達成するには追加緩和は必要でしょうか。あるいは、なくても達成できそうでしょうか。

答)

物価のことに関しては、基本的にこちらの直接の話ではないのですけれども、少なくとも日本銀行に委ねるべき問題なのだと、私はそう思っていますので、このことに関して財務省としてコメントするということはありませんけれども、今の置かれている状況というのは、少なくとも最初私共が日本銀行と2%オープンエンドでやりますということを決めたあのときの状況というのは、原油は1バレル、108ドルか109ドルくらいだったから、今はそれの半分以下になっていますからね。そういった意味では随分状況は変わってきていることは確かです。ただ、原油の価格が下がっているということは、資源のない日本にとっては、経済にとってはいいことですから、私共としては原油の価格が下がって物価が上がらないのが残念だなという気はありますが、原油価格が下がっているというのは、我々のような資源を輸入する側にとっては決して悪いことではありませんけれども、物価の面だけから言えば、今2%という目標は大きな目標なので、我々が経済のプライマリーバランスをきちんとしていく上でも、物価というもの、ある程度のインフレ率の確保というのは非常に重要なものだと思っていますから、関心を持ち続けておかねばならない大事なところだと思っています。

問)

昨日、総理が名目GDP600兆円という目標を掲げられましたけれども、それについて内閣府試算だと3%超の成長をずっと続けて20年度に597兆円という試算があるのですけれども、この600兆円という数字に関しまして、大臣の道筋と実現可能性について御見解をお伺いしたいのと、もう1点、消費税10%時の負担軽減策について、公明党が反対の方針を示しましたけれども、自公の対立も大分深まっていますが、これについて議論の見通しについて御見解をお聞かせください。

答)

600兆円の話というのは、2020年度まで伸び率3%で計算すると594兆円になったと記憶しますので、アバウト600兆円という目標は十分達成可能な目標を掲げておられるのだと、私はそう思います。ただ、594兆円の場合、600兆円はいかなかった、というような記事の書き方で数字が一人歩きしてしまうようなことになるのはかなわないなと思ってはいます。そういったような話になっても、我々としては1つわかりやすい目標としてGDPを600兆円というのは、こっちが2%で、こっちだったら3%で、何とかかんとかでという数字よりは600兆円というのはわかりやすい数字なのかなと思っています。

軽減税率について、この話は何回も言っていますが、還付ポイント制度という話は、もともとは与党で軽減税率をやるに当たっては、どこで区分整理をするのか、区分整理というのは何がよくて何が駄目かという品目を分けるのが難しいというのが1点。それから、いわゆる高所得者も全部一律になるのではないかというのが2点。そして、今まで800万者のうち、年間売り上げの額によって決められている消費税の納税義務が免除されるところが500万者あります。それも全部インボイスをつけなくてはいけないことになりますから、手間が大変だという話だけど、それをやると。軽減税率ということを掲げた人がそうしなくてはならないと。自分で振り出した手形を後で落とせみたいな話をされても、それはなかなか簡単にはいきませんよと。この整理はどうされるのですかといって整理した結果、財務省に何か案がないかといって要請されて、出した案がこれですから、これが良くないなら別の案をお考えになったらいいのではないですか、というのが基本的な姿勢ですけれども。ですから、我々としては、与党の議論というのはこれからいろいろ、数カ月間行われるのだと思いますので、その議論をよく見ていきたいなと思っています。

問)

今の軽減税率の、重複する部分もあるかもしれませんが、自民党は歴史的にというか、従来から事業者負担というのはやはり避けなければならないという考えを一貫して持ってきましたが、一方、公明党は負担が消費者に行くのはどうなのかと。消費者負担を避けたいという、負担をどこにかけるかというところで溝というか、違いがあると。今の質問ともかぶるのですが、その負担という観点で自民党と公明党の溝というのは埋まり得ると考えていらっしゃいますでしょうか。

答)

この還付の場合は上限が切ってありますから、その上限を幾らで切るかを党でお決めになればよろしいのだと思います。公明党の高額所得者に対しても同様な軽減税率が適用されるのはいかがなものかという御意見は満たしているのだと、私はそう思っています。ですから、その点に関してはいいのだと思うし、また、手間ひまがかかるのではないかというのは、中小零細業者の中における事業者負担という点から考えても、こっちの制度の方が一々書くよりはよほど手間がかからないのだと、私にはそう見えますけれども。いずれにしても別の案がある、また別の点があると言われるのだったら、そういう点もないわけではないと思いますから、その点に関しては両党でいろいろ案を出されたらいいのだと思います。

問)

軽減税率についてなのですけれども、欧州型の軽減税率についての問題点、課題がいろいろあるということは2月、5月の与党税制協議会でも確認されたというのは大臣がおっしゃるとおりだと思うのですが、昨日、漆原中央幹事会会長は、改めて欧州型の複数税率にこだわる考えを示した上で、我が党全員がほぼ同じ考えだとまで言っています。自民党としては複数税率の問題点というのは当然多々あって、その問題点については共有されたという認識だと思うのですが、今の時点で公明党がこのような態度を示していて、なかなか打開の糸口が見えづらくなっていると思うのですが、このような公明党の動向についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

議員の意見の捕捉というのは、漆原さんの方が党歴も長いし、国対が長かったせいもあるのだろうと思いますが、全体の情報というのは漆原さんの方がよくつかめている可能性は高いとは思います。ただ、この種の話は、今あなたが直接取材したのか、誰が取材したのかわからないような話を前提に答弁するほど、こっちも簡単な立場にはないから、今の話はそういう意見もあると。参考にはなりますけれども、まだまだ今から、まだ日は高いので、12月まで時間がかかりますよ、これは。

問)

昨日、総理が打ち出された3本の矢に関連してお伺いしたいのですけれども、第2ステージに向けて、アベノミクスの第2ステージの政策の柱として強い経済と子育て支援と安心につながる社会保障、新たな政策を3本の矢として打ち出されたのですが、ここにおける金融財政政策の位置付けということについてお伺いします。財政政策については先程、本予算の執行などを通じて好循環に回していくことが先決だという話だったのですが、そもそも政権発足時、第2次安倍内閣発足時に打ち出された大胆な金融政策、機動的な財政政策の位置付けをどういうふうに新たな3本の矢では位置付けているのか。特に2%の物価目標の達成の必要性というのは、今の政権の中でも変わらない、これからも第2ステージの中でも変わらないという認識でいいのかどうか、ここを教えていただけますか。

答)

今の話ですけれども、基本的に頭の整理の仕方としては、今度新たに3本の矢の中の1本目の経済成長というところに、今までの3つが集約されていると考えられたらいいのではないでしょうか。今デフレかと言われると、インフレではないけれども、デフレとも言いにくいという状況にあると思いますので、デフレ脱却というのは一応言える状況になってきていることは確かだと思います。まだデフレ不況ではないかと言われる方もあるのですけれども、企業業績が史上最高となったら不況とはなかなか言いがたいと思いますので、一応デフレ不況からの脱却をしつつあるという状況にあるのだとは思います。テーパリングの話とかいろいろな今から出てくる話が、アメリカが今悩んでいる、そういった問題もあるわけで、こっちもいずれそういった問題の時期が来ますけれども、そういった時期というのはまだまだその時期まで来ていないことも確かですから、そういった意味では今申し上げたように1番目の引き続き経済というものを優先順位の1番でやるというところに全部を集約されているというふうに考えられた方がいいのだと思います。

(以上)

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