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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年11月24日(火)11時13分~11時29分)

【質疑応答】

問)

11月下旬になりまして予算編成も大詰めを迎えてきました。社会保障関係費の自然増圧縮など課題が山積しておりますけれども、財政健全化の初年度となる平成28年度予算に臨む大臣の御決意をお伺いできればと思います。

答)

この平成28年度の予算は、プライマリーバランスの黒字化目標に向けた計画の初年度に当たりますので、その初年度からきちんとした方向性を出していくというところが一番大事です。プライマリーバランス、基礎的財政収支の赤字を半分にするということを決めたときどうだったかというのを思い出してもらえば、半分になるわけがないとほとんどの方が言っていたけれども、結果的には半分にできました。初年度からそういった勢いできちんとやっていくというのが大事なので、今、社会保障と税の一体改革ということをやってきているので、その方向できちんとその内におさめるという、社会保障関係費が概算要求で6,700億円だったのを5,000億円以内におさめるということは、数字の上ではよく目に見えやすいところだとは思います。そういったところをはじめ、他にも幾つもありますので、きちんとやっていかなければいけないので、概算要求というのでいけば、去年の概算要求は101兆6,000億円だと記憶していますが、それが御存じのように96兆3,000億円におさまったと記憶していますので、本年度も今102.4兆円になっていると思いますが、それもきちんとした形でどうやっておさめられるかというところが一番の難しさです。今からそういった2020年度の5カ年目標がありますし、2018年度もありますので、そういった方向に進んでいるという方向性をきちんと出しておかないと、マーケットの信頼が崩れるというのは避けなければならないと思っています。

問)

軽減税率のことをお伺いいたします。本日午前、自民党本部で安倍総理・自民党総裁と宮沢税制調査会長がお会いになって、総理の方から指示がありまして、財源については社会保障と税の一体改革の枠内で手当てするようにというお話があったというふうに聞いております。ということになりますと財源は4,000億円ということになりまして、そうすると自民党としてはこれで1つの見解だと思うのですが、公明党側は少なくとも生鮮食品プラス加工食品ということで財源の必要額が8,200億円ということで、自民党と公明党が考える財源にかなり差があります。公明党はそもそも社会保障と税の一体改革の枠外のことも含めて検討するべきだというふうにも言っておりまして、この辺その認識が違うわけですが、総理の指示を受けて今後公明党との協議は進むのかどうか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。

答)

それは党に聞かないと。私に聞くのは筋違いでしょう。宮沢会長に直接聞いてください。

問)

毎年の政治資金収支報告書が公表される季節になっていますので、政治献金の必要性についてお尋ねします。このところ経団連に続いて銀行協会、メガバンクなどが政治献金を復活させるのではないかという動きについて関心を持っています。18年前の金融危機のときにメガバンク、当時は統合する前でしたけれども、多くの銀行が公的資金を注入されましたけれども、それがこのたび全て完済し終えたということから、政治献金再開の動きが活発になっているように受け止めています。では将来、また銀行の経営が苦しくなったときに、大臣の在任中であったら公的資金を躊躇なく注入されるおつもりなのか、そのときにその銀行が自民党に政治献金をしているか、していないかで判断は変わるのでしょうか。

答)

銀行が破綻する、しないということによって預金者に多大な影響、またそれからお金を借りている企業・個人等にとっては多大な影響が出るということは、銀行の大小にかかわらず極めて大きな影響が出ることははっきりしていますから、その銀行がいろいろな影響を与えるのを最小限に抑えるために何が一番いいのか。例えば債務超過になっています、不良債権がありますというのを我々はいろいろ救済のために、少なくとも1997年の金融危機以来数々の方法をやってきて、少なくとも2008年でリーマンショックの後大きな騒ぎになっていった国々にとって、日本のやり方というのは大いに参考になった、我々はそれを、先駆的なことをやってきたと思っています。事実、日本の銀行は、リーマンブラザーズのように突然倒産するというようなこともなく、きちんとした形で資本注入しましたけれども、では銀行は無傷だったかといえば、そうではなく、名だたる銀行が吸収・合併、そういったようなことをやって、少なくともかつての大銀行だった長銀もなくなったりしていく中にあって、興銀やその他の銀行は別の名前に変えて、みずほなど名前を変えて、結果として日本の企業というものは、間違いなく大きな金融収縮による被害というのを最小限にとどめることができたというのは、少なくとも海外においての評価は高い。日本においての評価は全然わかっていませんけれども。国の財政が日本のように非常に厳しいという状況では全くなかったアイスランドは、GDP比20%ぐらいだったと思いますけれども、アイスランドは銀行が破綻し、結果的に銀行業務が停止するという状況を救わねばならないということで、一挙に国の財政は赤字ということになっていったというのが、他の国を見たらわかりますので、そういった中にあって、日本の場合も銀行救済ということによって金融収縮による経済の破綻というものを救ったという点は、我々としては教訓ですし、今後もそういったときにおいて、状況と場合によりますけれども、どういった手段でそれを助けるかということに関してはいろいろ考えておかなければならない。それが我々に与えられた仕事の1つだと思いますけれどもね。

問)

法人減税のことなのですけれども、先日、甘利大臣が法人減税について、先行減税も選択肢の1つとしてあり得るといった趣旨の発言があったのですけれども、大臣は先行減税について選択肢としてあるのかどうか、大臣のお考えをまずお聞かせください。

答)

減税先行という話を甘利大臣がされたという話は知っています。しかし先行減税といっても、これは財源なき減税だというのが前提だとするならば、そうした対応を今行うということは全く考えていません。また、法人税制という話になるでしょうけれども、これまでも政策減税というのはこの3年間いろいろやってきていますし、さらに27年度税制改正でも、先行減税を27年、28年と2年分やったと思っています。こうした結果、企業収益は史上空前ということになっていて、内部留保も今350兆円という巨額の内部留保をお持ちなので、それで投資はしないというわけですから、給与も大して上げない、配当もそこそこ、ため込むだけためて、さらに減税ということになるのだけれども、手元の資金が積み上がっていくだけという状況にあって、経済にとってはプラスになりませんから、そういった意味では。したがって、消費税を引き上げようとしている状況で、企業ばかりが財源なき減税というのでは世間で通りますかと私にはそう見えるのですけれども。財政健全化に向けた改革、努力は今後とも続けていかなければいけませんので、競争力のある企業は今後とも日本の経済活性化のためにもいろいろなことを考えていくべきだと思っていますが、そういった意味では外形標準課税などいろいろな意味での増税という部分とこの減税というのはうまく対応させていかないといけないので、ただ一方的な減税というのをするつもりはありません。

問)

軽減税率のことで非常に恐縮なのですけれども、先程の質問にもありましたが、今日総理から税制調査会長に一体改革の枠内でという話がありました。一体改革の枠内といった場合の財源の規模というのは4,000億円ということでよろしいのかどうか、教えていただけますでしょうか。

答)

社会保障と税の一体改革という、このフレームの中で計算するということになっているのですが、低所得者を対象に複数税率とか軽減税率というものと、もう1個は検討項目として総合合算制度というのをやっています。それが約4,000億円ありますので、総合合算制度の4,000億円というものの中で、以前から申し上げているように、軽減税率を行い、この総合合算制度というのがその分だけ軽減税率に回せられる財源というのであれば、この4,000億円というのがその枠内ということなのだと思います。加工食品だ何だというのであれば、それはそれなりのお金が要りますが、そのお金はこのままでいけば福祉を減らすという話になりますから、福祉を減らして軽減税率ということに回した場合、軽減税率が今言っておられるような形になった場合に高所得者の方も軽減税率の恩恵を受けることになります。それが通りますかね。私のセンスとは違うなという感じはしますけれども。

(以上)

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