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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年1月26日(火)10時08分~10時22分)

【冒頭発言】

先週、IMFのラガルド専務理事が再選に向けて立候補を表明しております。御存じのように世界経済が様々な問題に直面している中で、ラガルド専務理事のリーダーシップはこれまでなかなか卓越したものだったと思いますし、IMFをリードしてこられたことを我々は高く評価しており、再選を支持したいと思っています。まだ候補者の受付期間中ではありますけれども、ラガルド専務理事の再選によってIMFが今後とも国際金融市場において、その安定に向けた役割をより一層果たしていくことを我々としては期待をしているところです。

金融行政モニター制度について、これを開始するということについて申し上げさせていただきます。着任以来、金融庁に対して、金融処分庁というイメージから金融育成庁というようにイメージが転換できるようにしなければいけないし、イメージだけではなく実質そうしていくべきだということを3年間言い続けてきました。金融育成庁への進展というのは、少しずつではあるけれども進みつつあるとは考えていますが、一方で、市中の金融機関から見るとこれまでの金融処分庁のイメージというものは抜けがたく残っているというのは事実だと思いますので、金融庁に対して不満があるとか言いたいことがあるとか、そういった提言を行いたいとしても監督官庁に直接なかなか言いにくい、躊躇する人もいるのではないかということを感じます。そこで、金融庁の職員ではなくて中立的な第三者、学者とかいろいろなそういった方々から金融行政に関する意見などを聞く金融行政モニター制度を設けて、今月29日から開始したいと考えています。こうした取り組みを通じて、金融庁に耳の痛いような話でも外部の意見が常に入ってくるということによって、金融行政の質が持続的に向上していくことを期待しております。金融機関をはじめ、関係者の皆様に本制度を積極的に活用していただければと考えています。

【質疑応答】

問)

日本の経済の状況についてまず伺いたいのですけれども、原油安がまだ続いており、2%の物価安定目標の達成はなかなか厳しいのではないかという状況になっております。また、マーケットの方も混乱が続いており、今日も株価が再び1万7,000円を割っているという状況になりました。日本経済に悪影響を及ぼしかねないという状況の中で日銀の追加の観測というものも市場の中では浮上しており、今週、日銀の金融政策決定会合が開かれますけれども、政府として日銀に今どのような政策を期待されているのか、御所見を伺いたいと思います。

答)

これは常々申し上げていますように日銀の金融政策の具体的な手法について、我々の方からどうのこうのではなくて、日本銀行に委ねるべきだというふうに申し上げてきておりますので、日本銀行は経済、物価情勢等を踏まえて、物価安定目標の実現に向けて引き続き努力されていくことを期待しています。また、日本銀行は物価が上がるとか下がるとか、いわゆる物価情勢について、いろいろリスクの要因を常に点検をしていなくてはいけない立場におられますので、「2%の物価安定の目標というものの実現のために必要であれば躊躇なく」ということを言っておられますので、そういった方針を堅持しておられるものなのだと、そう理解していますので特に言うことはありません。

問)

今の質問にも関連していますけれども、中国経済の鈍化が為替や株式市場に影響を与えているだけでなく、実体経済の面でも日本では貿易収支で対中輸出が鈍化するなどの影響が出ています。大臣はこの中国の構造改革については自らやられるのだろうという姿勢を会見でもお話になっていますけれども、日本政府、とりわけ財政当局が中国の当局の構造改革を促すような支援や協力をするような場、そうした協議の場を設ける予定はありますでしょうか。

答)

中国は、G20の場で中央銀行総裁、財政部長が自ら中国の経済構造改革をやらなければならないと正式に発表し、それには5年はかかるというような話を正式にしていました。これは過去例がありませんので、去年9月が最初だったと思っています。また、中央銀行総裁の周小川氏は過去に金融政策で間違いがあったかもしれないというふうな話をしたのでしたかね。あの言葉は大きかったです。各国みんな、驚いたような顔をしていましたから。中国がやらなければならないというのは確かなのではないでしょうか。日本の場合は今のところ、経常利益は過去最高を出していますし、いろいろな意味で日本の企業のファンダメンタルズは決して悪くない、これははっきりしていると思います。おまけに原油価格はかつて110何ドルまでだったのが30ドル切るような話になっていますから、今日ドバイが28ドルぐらい、それくらい下がってきていますので、そういった意味では経済にとっては悪くないし、結果として貿易赤字も大幅に縮まってきて、27年も赤字とはいえ26年から差引額は10兆円ぐらい減少しました。そういった意味では随分と変わったものになってきているというのも日本にとって全然悪いことではありませんし、日本の実体経済というか、実物経済にとって原油価格の下落は決して悪いことではありません。また、世界経済もアメリカを含めて緩やかに回復していると思いますので、ユーロ圏経済も少し落ち着いたような感じがしないでもありません。ただ、中国経済については間違いなく過剰設備であり、過剰信用というようなことははっきりしていますので、こういった構造問題は中国も正式に認めるほど認識をしておられるということだと思いますので、これを自分でやっていくということだろうと思います。日本としてどういうことができるか、日本もそうでしょうけれども、各国皆それなりの影響を受けるでしょうし、大量の自然資源というか、鉱物資源を輸出しているオーストラリアを含め、大きな影響を受けることは確かなので、G7を含めていろいろな話をやっていかなければいけないのだとは思います。ただ、いたずらに不安感を煽る必要があるような話だとは思いませんから、今の日本の企業においては、今年1月の各経済3団体のトップの話を聞いても、これまでは政府にやってもらった、これからは民間の番だということをそれぞれの言葉ではっきり言っておられますので、そういった意味では設備投資とか賃金等、前向きな取組をしていただけるものだと思って、そこに一番期待をしています。

問)

金融行政モニター制度なのですけれども、制度が始まることによって大臣の問題意識としては、これまで拾えなかったどういう主体のどういう声が拾えるようになる、すくい上げられるようになるというふうにお考えでしょうか。

答)

いろいろなことがあるのだと思います。

問)

先週も伺いました自賠責の件で、自動車安全特会の繰出金の件なのですけれども、予算の考え方として、今はまだ6,000億円残っているわけですが、国交省の通常の概算要求にプラスして6,000億円を返すことになるのか、それとも概算要求の中からある程度削る形で自動車安全特会の繰り戻しをすることになるのか、考え方を教えていただきたいのですが。

答)

今は引き続き検討していくとしか答えようがないのですが、もともとは野田財務大臣、馬淵国土交通大臣の時にスタートさせたのだと思います。一般会計から自動車安全特別会計の繰り戻しの話というのは、29年度の取り扱いなどについては、平成22年の時の合意を踏まえて引き続き協議をしていくということなのであって、今のところ具体的にどうのというような段階ではありません。

問)

予算の考え方をお願いしたいと思ったのですけれども。

答)

今の段階で言う段階にはありません。

問)

中国なのですけれども、日中の間で両国の中央銀行も交えて金融経済に関する協議をしようという新しい経済協議のフレームワークを年内に創設するという報道がありますけれども、この事実関係と、もし創設されるとするならどういった案件が議題となり得るのか、お考えをお願いいたします。

答)

これは昨年の11月初め頃だったと思いますが、日中首脳会談において、ハイレベルの経済対話を開催することで一致したのだと思いますけれども、具体的な開催日程について今詰まっているという段階にはないということだと理解しています。

問)

ハイレベルの経済対話とは別途、中央銀行を交えた新しい経済協議の枠組みを創設するという報道があるのですけれども、それについては。

答)

聞いていません。

(以上)

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