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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年4月8日(金)8時45分~8時53分)

【冒頭発言】

今の日本の市場取引をめぐるいろいろな諸問題について検討しておるということを申し上げておきます。日本の証券取引所では1990年代以降、投資商品の多様化、取引システムの高度化などに向けた取り組みがいろいろ進められてきたところです。こうした中で例えば最近のアルゴリズムを用いた高速な取引が大幅に増加したために、昨今の相場急変動の要因の1つとなっているのではないか、また中長期的な企業の収益性やそういったものに着眼した株価形成が阻害されているのではないかといった指摘もなされております。こうしたことを踏まえて取引の高速化が市場の公正性、透明性、安定性などに及ぼす影響について検討していくことが重要だという考えをしております。また、最近の金融環境を踏まえて、国民の安定的な資産形成に資するよう、グローバルな分散投資や資産運用の高度化というものを進めていくことがますます重要となってきているのだと考えています。その際、商品開発、販売、運用、資産管理、それぞれに携わる全ての金融機関において顧客本位の業務運営、そういうのをフィデューシャリー・デューティーと言うのですが、顧客本位の業務運営などの観点からどのような取り組みが求められているかについても検討することが重要です。またブロックチェーン技術、ビットコインがその1つですけれども、最近のフィンテックの進展への対応というのは証券取引などの分野においても重要な課題となっていますので、日本の競争力強化などの観点から、どのような対応が必要かという点についても検討すべきではないかと考えています。今申し上げたような点も含めて日本の市場、また取引所をめぐる諸問題について幅広い観点から議論をいただくことが適当だと判断をして、4月中の出来るだけ早期に金融審議会総会を開催していただいて、新たな諮問を行うこととしたいと考えております。

【質疑応答】

問)

中米パナマの法律事務所から流出した資料から、各国の首脳やその関係者によるタックスヘイブンの法人を使った課税逃れが報じられています。課税逃れの対策についてはG20でもこれまで議論してきて、昨年、行動計画を取りまとめていますが、来週のワシントンで開かれるG20の財務大臣会合やその後の仙台のG7財務大臣会合、あるいは伊勢志摩サミットなどでこうした対策について議論を深めていくお考えはあおりでしょうか。

答)

この文書の詳しい内容を全部承知しているわけではありませんが、報道されているような課税逃れの観点からとか、そういった疑惑が事実であるとするならば、これは課税の公平性を損なうことになりますので問題だと思っております。租税の回避とか脱税については、これまでもいろいろな国際的な場でいろいろ連携をとってきています。G20のサミットの話もあり、BEPSプロジェクトによっても多国籍企業の租税回避を防止するための対策が講じられ、昨年10月にOECDから勧告が出されていますし、また、海外の金融機関を通じた脱税への対処については「非居住者に係る金融口座情報」を各国の税務当局間で自動的に交換するための国際基準が策定されています。今後は、このBEPSプロジェクトの成果をきちんと上げると同時に、途上国にもこのプログラムを広げるとともに、国際基準についても多くの国にコミットを促すという取組が重要なのだと考えています。こういった話は今後とも国際的な租税回避や脱税の防止に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

問)

為替についてお尋ねします。円相場が急騰したことを受けて昨日官房長官は、一方向に偏った動きが見られている、場合によっては必要な措置をとりたいとおっしゃいました。この見方は政府内で共有されているものだと思いますけれども、この一方向に偏った現状というのはここで言う「場合によっては」の「場合」に当てはまらないのか、また、必要な措置というのは具体的には為替介入のことを指しているのか、大臣の御所見をお願いします。

答)

非常に単刀直入な質問でいいと思いますけれども、単刀直入にそういうことには答えない。足元の為替相場が一方向に偏った動きというものが見られているのは確かで、G20でも確認されているのは御存じのように、為替市場における過度な変動や無秩序な動きは悪影響を与えると。したがって為替市場の動向を、目下緊張感を持って見守っているところですけれども、場合によっては必要な措置をとるということをしたいと思っています。

問)

急速な円高が日本経済に与える影響についてはどのように分析されていますでしょうか。

答)

急速な円高も円安も望ましくない。常に為替というものは安定しているのが望ましい。自国の経済能力に見合ったような相場に落ち着いているのが最も望ましい。したがって、円安にしても円高にしても急激な変化というものは我々としては最も望まないところであって、それが経済にどう影響を与えるかについて安易な話をする状況にはまだありません。

(以上)

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