麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年4月12日(火)10時28分~10時40分)

【質疑応答】

問)

今週14、15日にワシントンで開かれるG20財務大臣・中央銀行総裁会議ですけれども、世界経済のてこ入れに向けた財政出動での協調ですとか、タックス・ヘイブンの利用実態を暴いたパナマ文書を受けた国際的な課税逃れをめぐる議論などがテーマになると見られています。こうした問題への対応も含めて日本として会議でどのようなことをアピールしたいとお考えでしょうか。あと、円相場が108円近辺で推移していますけれども、改めて急速な円高についての御所感と対応の必要性についてのお考えをお聞かせください。

答)

G20においては4月14日から世界経済の現状をめぐる議論等がいつものように意見交換されるのだと思いますが、国際金融のセーフティネット、金融規制、国際課税、BEPSの話等を含めていろいろ各国の財務大臣・中央銀行総裁の間で議論が行われるということだと思います。日本としては、基本的には日本経済の現状やこの間成立した平成28年度予算等についてきちんとした対応をしていっているということと、いろいろ動きがある世界経済に対してG20としてどのように対応していくかという議論、我々としてはきちんとそういったものの中に参加していかなければいけないと思っています。そして上海G20のときに為替レートの過度な変動や無秩序な動きというものは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えるということに関しては合意がされていますので、こうした合意について今回も同じような話が出てくるのだとは思いますけれども、議論していかなければいけないところだと思っています。為替市場の動向についてはいつも言うように、為替について直接話をすることはありません。一方的に偏った投機的な動きというものが見られるというふうなことになるのであれば、我々は場合によっては必要な措置をとるということは前々から申し上げているので、G20の合意内容に沿ってこういったことは行われるものだと思っていますから、きちんとそういった対応を行いたいと思っています。

問)

世界経済についてお尋ねします。IMFが今日、4月12日に最新の世界経済の見通しを発表します。ラガルド専務理事は既に世界経済はさらに弱まっていると発言していますから、2016年の3.4%の成長率というのは下方修正される予測が高まっています。そうなると今大臣がまさにおっしゃられたように、円相場や株式市場でファンダメンタルズを反映していないような過度な変動や無秩序な動きも予想されるはずです。その際、政府としては事前に何らかの対応を考えておられるのでしょうか。

答)

IMFの話があるからそういったものに対応するというのではなくて、為替の市場というものに関して、我々は常に関心と同時に緊張感を持ってこれを見ている必要があるのだと常々申し上げているとおりです。これは放っておくと何となく一方的な方向にどっと流れたり、今は特にアルゴリズムによって機械的に高速の操作ができますので、一挙に株の動きが上がったり下がったり、幅が1日で500円も800円も動いたりするというのは機械のせいもあると一部では言われているのですけれども。そういったものを含めて、我々としては過度な変動というものは、いわゆる機関投資家とかそういったプロの人達ではなくて、普通の人達、株によって資産の形成等を行っている人達、安定した株による安定した配当による安定した収入というようなものを考えている人達にとっては、極めて不安定な要素を提供することになりますので、そういったものを避けるという意味において我々としてはきちんとした対応を常に心がけておかなければいけないということだと思っています。

問)

週末のG20の関連で伺いたいのですけれども、世界経済等、様々なテーマがある中で租税回避の議論というのもあると思うのですが、今回のG20の租税回避の議論の中でパナマ文書というのがどこまで取り上げられて、どのような議論が行われるとお考えになっているか、お考えをお聞かせください。

答)

パナマ文書と言われるものが出てきたのですけれども、内容がまだつかめていないところがいっぱいあるのですが、報道のような文書といっても、それが本当かどうかもわからないから、いろいろまだ事実がどうなっているかが正確につかめていないので迂闊なことは言えません。とにかく租税回避ということが非合法的に行われているという場合と合法的に行われている場合と2つありますから。倫理観からいっていかがなものかという話は合法性・非合法性にかかわらず言える話ですが、そういったような話ではなくて非合法的に行われているということになってくると、これはいろいろ問題なので。脱税とかということになりますので、これは国際的な基準というものを我々はつくらなければいけないと。3年前の5月にバッキンガムシャーで日本が言い始めてBEPSをスタートさせた経緯がありますので、2年数カ月かけて昨年10月にOECDで合意がとりまとめられましたので、これがきちんとやっていけるような形で広げていかなければいけないということなのだと思います。いずれにしても非居住者に係る金融口座情報は連絡し合う、パナマに日本人の口座があれば、その口座を日本に通報する等、各国の税務当局では自動的にそういったものを交換するという国際基準が策定されているのは御存じのとおりなので、そういったようなものをやっていく。今後このBEPSプロジェクトの成果をさらに途上国に広めていく。例えばパナマに広げるということです。パナマさん入りませんかと。入らなければ国際的に孤立しますよと。孤立しますか、情報を出しますか、どっちにしますかという話をしていくというのが、多分OECDの対応になってくるのだと思います。日本としてはこういった租税回避とか脱税の防止というものに関しては、今言われたように今週開かれますワシントンDCでのG20の会議でもいろいろな議論が出されてくると思いますし、日本もこれは最初からリードしてきましたので、この話は今後ともやっていかなければならないところだと思っています。

問)

明日、国際金融経済分析会合が最後の会になると思うのですけれども、この会合の意義について大臣としてどうお考えになっているか、それからこの会議を開いたことでもし何か新たにわかったことがあれば教えてください。

答)

国際金融経済分析会合を開いたというのはG7伊勢志摩サミットを開催するに当たって、少なくとも日本の新聞を読んでいるとドメスティックな話しか書いていないから、世界経済等についてどういったことになっているのか広く意見をということで、国際的な経済学者の方に意見を聞こうという話で始まったのだと聞いています。何がわかったかと言われれば、いろいろな意見があるということはわかりました。いろいろ意見があるということは理解しないと、みんな金太郎飴みたいな世の中になっているなんて思ったら大きな間違いをしますから。

(以上)

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