麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年5月13日(金)9時35分~9時48分)

【冒頭発言】

平成28年度の補正予算につきましては、先程の閣議でその概算を決定して、直ちに国会に提出をしております。今回の補正予算は、平成28年熊本地震からの復旧・復興に、一層、機動的に対応していくためのもので、4月24日の総理指示に基づいて速やかに編成を進めてきたものです。内容として、まずは被災者の支援のため、自治体による仮設住宅の提供、家屋の応急措置を進めていくための経費、被災者生活再建支援金の支給に要する経費等、災害救助等関係経費として780億円を計上しております。また、熊本地震復旧等予備費を7,000億円計上しております。予備費にしているのは、まだ地震が継続しておりますので、最終確定ができていないというのが背景です。これをしっかり活用して、道路や橋といったインフラの復旧、中小企業者などの事業再建、がれき処理など、今後必要となる経費に対して迅速に対応してまいりたいと考えております。財源としては国債費、国債費というのは国債の利払費ということですが、7,780億円を減額ということになりますので、28年度の当初予算の96兆7,200億円につきましては、その数字は変わらないということです。一日も早い復旧復興に向けてとにかく国会においても早期に成立をしていただけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

【質疑応答】

問)

地震の補正予算についてですけれども、政府の方では熊本地震の被害額というのがまだ公表されていませんけれども、今回この予算規模になった理由と背景というのを教えてください。

答)

7,780億円というものになったのは、新たに創設した予備費については、先程も言いましたように、個別の内容というものにいて、まだ震度3とか2とかということになる地震が続いています。もう1,300回を超えて、1,400回になったかと思いますから、まだ余震が続き、今まで止まっていた天井がそれによって落ちたとか、崖が崩れたとかというのがまだ続いているという状況で、最終的な被害の把握ができていないのに予算というのはなかなか組めませんが、ただ対応は急ぎますので、そういった見込みがたい経費についても必要が生じた時点では迅速に支出ができるようにしておくということで、私共としては予備費という項目にさせていただいています。既にインフラとか農林水産業の被害額として4,000億円程度が見込まれておりますので、余震も続いている中で被害額が今後拡大する傾向もありますので、多めにということで7,000億円を計上しているということです。また、災害救助等関連経費については、現時点で明らかになっている被害に対応するだけではなくて、今後の被害拡大にも十分対応できるよう、780億円を見込んでおります。今般の補正予算は、とにかく一日も早い復旧・復興に向けて十分に備えを整えるというものなので、迅速かつ万全な対応を進めていかなければならないということで、今日、補正予算の提出ということになりました。

問)

今回の補正予算案の閣議決定というのは、過去の東日本大震災とか他の災害に比べて提出がかなり早い、1カ月もかかっていないというふうに伺っているのですけれども、それだけ早く対応された政府としての狙い、考えというのを教えてください。

答)

東日本大震災の対応は遅過ぎたということの反省もあると思います。私達は与党にいなかったが、その時のように混乱がないようにしたということです。各省が一斉に対応した大きな理由は、一番大きかったのは、すぐに対応しろという指示が総理から早く下りてきたということだと思います。熊本における対応も、熊本市長、知事等の反応も極めて早かったと思いますし、それに対応して総理の指示も早かった、その2つですかね。

問)

今回の熊本地震の復旧に絞った補正予算ではなくて、景気対策としての補正予算とG7の関係についてお尋ねします。大臣はこれまで国際会議の場などではG20で合意した世界経済を下支えするためには財政政策、金融政策、構造改革を個別または総合的に使うという合意についての日本の取組としては過去最大の当初予算を組んでおり、それを実行することであるというお話をされていました。一方で今週の参議院の決算委員会では来年4月の消費増税の反動の影響を緩和するための措置として補正予算を含めて何らかの検討をしなければならないと発言されています。来週のG7仙台会議ではこうした一歩踏み込んだ具体的な日本の財政出動の取組を各国に説明される予定ですか。

答)

来週のG7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議の時にこれが具体的に出てくるというところはないと思いますが、少なくとも日本としては96兆7,000億円という戦後最大の予算を組んでいますので、そういった予算というものを我々としてはきちんと対応していくということを、また予算の執行に当たって、公共事業を含めて、それを前倒しで約8割をやるという話を含めて、そういったものをやるというようなことを今の段階として言えるところだと思いますけれども。まずはこの熊本の補正に集中することになりますけれども、それ以後、今後のことを考えてきちんと対応していくということは当然なので、そういったようなことも含めて説明をするということになるのだと思います。G7の財務大臣はG20とは違って、先進諸国としてかなり成熟した民主主義国家であり、世界の中で、BRICSという言葉があったけれども、BRICSに変わってやっぱりG7がきちんとしていかなければいけないという意識はG7の財務大臣にはそこそこみんなあるという感じがしていますので、協調して財政を含めて経済をきっちりさせていかなければいけないということに関しては、これはみんな意識がしっかりしているという感じがずっとしています。そういった意味では議長としてそこのところはきっちりやっていこうということを言わなければいけないと思います。

問)

アベノミクスで増えた税収の使い道についてお尋ねいたします。経済財政諮問会議などでは、底上げされた税収を一億総活躍社会の実現などに充てるべきだといった議論が行われていると思います。一方で財政制度等審議会などでは財政収支の改善に充てるべきだというような議論の方向性だと伺っております。大臣は想定以上に増えた税収の使い道についてどのようにすべきだとお考えでしょうか。

答)

税収が増えた分というのは、今までの分は、財政の再建という点からいったら基礎的財政収支の2020年度の黒字化の発射台が高く上がった分だけ、既に織り込んでいます。これから出てくる分が幾らかというのは極めて未確定ですから、そういったものが出てくるか出てこないかわからない段階で、入ってくるのを前提としてというような予算は、普通は考えられませんので、実際出てきたものをどうするかということだと思いますけれども。少なくとも2020年度までの基礎的財政収支黒字化をきちんとしていくという大きな旗印を我々は掲げて、少なくとも2015年度までには半分にしますということをやって、それが達成できるようなところまでできましたので、引き続き2020年度までその目標をきちんとやっていくためには、経済は上がったり下がったりする生き物みたいなものですから、そういった意味では余裕ができた分は返済に充てる等、いろいろなことを考えなければいけないでしょうし、傍ら経済が成長しないと財政再建ができないということがはっきりしていますので、我々はこの3年間、二兎を追ったわけですから、財政再建か経済拡大か、どっちか二者択一みたいな話ということはありません。そういった意味ではバランスをとりながらやっていくということだと思います。

(以上)

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