麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年5月31日(火)10時15分~11時02分)

【冒頭発言】

今日、熊本地震復旧などの予備費の第一弾の使用について閣議決定しております。中小企業、農業、観光業などの事業再開支援については、夏に向けて早急な対応が求められる事業について対応するために、共同で復興を目指す事業者の復旧などを支援するグループ補助金、また被災した畜舎、いわゆる牧畜等の畜舎やハウスなどの再建修繕、また失われた旅行需要を喚起するための九州観光支援旅行券の創設などに915億円を計上しております。また、災害査定などが終わり、復旧に着手できる道路、山地の復旧事業等に対応するための経費として、109億円を計上しています。これら、今般、決定された金額の合計は1,023億円なのですが、引き続き準備が整ったものから順次、予備費を使用できるよう対応していきます。

【質疑応答】

問)

消費税の増税についてお伺いいたします。総理はこれまでリーマンショックや東日本大震災のような事態が起きない限り再延期はしないとおっしゃっておりました。昨日の総理との会談で消費増税についてどのような話し合いがされたのでしょうか。また増税を2年半延期した場合、2020年に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標、また増税分の財源で行う社会保障の充実策への影響について大臣どのようにお考えでしょうか、お教えください。

答)

総理はサミットにおいて、いわゆる新興国等の世界経済、G7はともかくとして世界経済の中で新興国についてのリスクなどをしっかりと認識を共有して適切な対応をとることの重要性を指摘されたものだと理解していますが、私としても世界経済の不確実性、特にいわゆる新興国等の資源輸出国なのですが、そういった不確実性の高まりというものに留意をしながらしっかり対応していく必要があるだろうと、その点は考えております。消費税の取り扱いについては、政府・与党内で今調整中ですから、2020年度のPBの黒字化目標とか社会保障への充実の影響といったような話については、仮定の質問ということになりますのでお答えは差し控えることにさせていただきます。いずれにしても、消費税の是非については総理が適切に判断をされるということなのだと思いますが、今の内容で何を話したかを話すはずがありませんから。総理との間で普段、常日頃から様々な話をよくしているところですけれども、いわゆる意見交換を密接に行って、その都度、必要に応じて意見を具申させていただくことはよくあるということだとは思いますが、具体的なやりとりについてコメントすることはありません。消費税の引き上げについては、総理が最終的に適宜適切に判断をされるものだと思っておりますので、そういうものだと思って見ておいていただければいいのだと思っております。

問)

当初おっしゃっていたことを転じた形で総理の決断を3回容認されてきたかと思います。2014年の増税延期のときに、上げるべきだとおっしゃられていましたけれども結局延期となりました。軽減税率については、面倒くさいというふうにみんな思っているという発言をされて、結局与党として軽減税率を導入するということになりました。そして今回については、ダブルで信を問うべきだ、解散するべきだというふうにおっしゃられていましたけれども、今回参院選だけになる可能性が濃厚です。その容認された、発言を転じられたことについて、大臣御自身としてどういうお気持ちかをお聞かせいただけますか。

答)

結果が大事なので、私の気持ちは関係ありません。基本的に自由民主党というのはいろいろな意見が出る。その意見を踏まえて最終的に総裁、総理大臣が最終決定をする、それに従う、それがルールです。

問)

そのとおりだと思うのですけれども、理由がわからないとどうしても出来レースではないかというふうに思ってしまうので、今回決断というか、総理の姿勢を容認された理由を教えていただきたいのですが。

答)

理由を説明する必要もないと思いますけれども、いろいろ意見を交換して最終的に総理が決められたということに関して従います。その経緯についてお話しするつもりはありません。

問)

先程、大臣は世界経済の不確実性の高まりに留意して対応を考えていると述べられました。大臣は現在、国内経済及び世界経済の状況を踏まえて来年4月の消費税を引き上げるのは難しいとお考えでしょうか。

答)

日本経済のファンダメンタルズは総じて悪くない、数字というものは倒産件数が減ったとか金利が下がったとかというもの以外は上がっていますから。その中で唯一、伸び率が少ないというのだったら個人消費です。この3年間で消費総合指数が105から106ですから、そういった意味ではこれが一番、伸び率が少ない。企業収益、雇用等、いずれも上がっていますし、就業地別の有効求人倍率は今日で沖縄も1を超えましたから、47都道府県全県で1を超えました。この間まで沖縄が1を下回っていましたけれども、今日で全部1を超えていますから、そういった意味では数字としては悪くないと思います。世界経済に関しては、G7でアメリカが金利を上げると言うのですが、上げるということは景気が過熱しているから上げるということでしょうから、そういった意味で、アメリカ経済を踏まえて悪くないということでしょうし、ドイツはもちろん悪くないですから。世界経済という中で、G7に関して言わせてもらえば決して悪くないと思いますが、新興国の中においては、鉄、原油、石炭、いずれも下がっていますので、資源輸出国等においては輸出価格というものが下がっているでしょうから、経済は厳しいものになっているという面は、常に注意を払っておかなければいけないというのは間違いなく正しいと思いますけれども。

問)

総理は昨日までに大臣を含め与党幹部に消費増税の2年半先送りとそれに伴う衆院の解散はしないことを伝えたと。2年半先送りについては、私共も確認しておりますし、衆院を解散しない姿勢は結果どうなるかわかりませんが、今多くのメディアが解散しないと伝えています。大臣は29日に富山の講演でもう1回先延ばしするならば選挙をして信を問わなければ筋が通らないと発言されています。筋が通らないというお考えは同意見です。また、この発言は大変重い覚悟でのご発言だと勝手に想像しています。昨夜、総理とお話しした上で、このように筋の通らない事態になった場合に麻生大臣は大臣を続ける御意思はありますか。

答)

一昨日の講演で私は、谷垣幹事長も一緒だったのですが、自由民主党の少なくとも衆議院議員というのは、一昨年12月14日の選挙において、2017年4月に消費税を2%上げますというのを公約にして当選してきています。それを引き延ばすということなのであれば、今、少なくとも国民の60%近くが賛成とか、信を問う必要がないのが70%近くとか報道されていますけれども、仮に消費税の引き上げを再延期するというのであれば、国民がそう言おうと何であろうと選挙で国民に信を問わないのは筋が通らないのではないですかという考えを申し上げたのです。しかし、その点に関しては、解散というものに関しては、総理大臣の専権事項であり、副総理が持っているわけではありませんから、基本的には、当然のこととして総理が適切に判断されたら、それに従うということなのだと思いますけれども。賛成もいれば反対もいて自分の意見としては言っても、いろいろな人と考えて、最終的に総理が判断をされることに従う、これが自由民主党の昔からのルールだと思っています。

問)

改めて世界経済の大臣の認識についてお伺いしたいのですけれども、安倍総理大臣は伊勢志摩サミット後の議長としての会見で、リーマンショックのときの状況を例示しながら世界経済は通常の景気循環を超えて危機に陥る大きなリスクに直面しているというふうに述べています。これについて大臣も同様の考えなのか、御見解をお聞かせください。

答)

仙台の財務大臣・中央銀行総裁会議のときにも言いましたけれども、少なくとも今の経済というものは決して悪くないということを申し上げましたし、総理も殊更、悲観的な話をされているというわけではなくて、リスクというものをしっかり認識しておかないと何が起きるかわからないと指摘したと承知しています。新興国が世界経済に占める比率は大きなものになってきていますから、そういった意味では、事実そういった可能性、適切な対応をとることの重要性を指摘したものなのだと、私はそう理解しているのですけれども。いずれにしても、不確実なものというのはいろいろあることは確かですから、そういったものにしっかりと対応していくというのは私共としては、心構えとして常に持っておかなければいけないということなのだと、私自身もそう思っています。我々としては、少なくとも雇用というのは大きな部分ですから、その雇用というものがこれだけ110万人も増え、今日また有効求人倍率が1.34倍まで上がっていますから、そういった意味では日本の内容というのを見れば間違いなくこの3年間確実に伸びつつあると思っています。ただ、消費総合指数が105から106にしか伸びていないというところが一番引っかかるところで、金融政策、財政政策と来たので、民需主導という3本目の矢、このところが一番大きな問題点かもしれません。その点に関しては私共も、個人消費が伸びていないという点は確かだと、これは率直にそう思います。

問)

先々週、仙台での大臣の記者会見で、G7の中では2011年の東日本大震災かリーマンショックがない限りは消費税を予定どおりに引き上げるというふうにおっしゃったのですけれども、10日経って日本の政策が一転したということで、今後のG20とかG7の中では大臣もしくは日本政府の言っていることに、信認が薄くなっているのではないかとか、信頼がなくなるのではないかということで、経済がそんなに変わっていないのにこの重大な判断について一転したということについて、大臣はどう思いますか。

答)

おっしゃっている意味はわからないわけではありませんし、他の6カ国にとっては、G7の会合において日本の財務大臣の言っていた話が1週間後に変わっているではないかという点に関しては、御指摘を受けるというのは確かだと思いますけれども。我々としては、一番肝心なことは、これによって財政再建をあきらめているわけではなくて、少なくともこの4年間で10兆円の新規国債発行を減らしてきました。GDPに対する政府のPBというものの比率は下げてきていますから。その方向は今後とも変わることはありませんし、我々としては景気というか、個人消費に注意を払って、もう1回これを上げることで資産のデフレ不況の逆戻り、もしくは消費等が減退することによっての景気の腰折れ、そういったことの危険性を避けるということを優先していますけれども、我々として財政支出、財政規律に関して従来どおり、その方向を維持し続けていくので、2020年度のプライマリーバランスについても最大限努力をしていくという姿勢は変わりませんから。その点に関して、他国からいろいろ意見はあるとは思いますけれども、それによって信用がなくなるというような話ではない、そう思っています。

問)

大臣は先程、世界経済の認識のところで不確実性を踏まえて、それに留意して考えていくことが必要だという趣旨のことをおっしゃって、今の世界経済下で消費増税が難しいのではないかという総理のお考えに理解を示されたというふうに思います。一方で、富山の講演のときに世界経済にやはり触れられていて、アメリカが利上げをするというような見通しというところも語られた上で、そういった今の状況の中で我々としてもう1回、消費税を延ばす、延ばさないという話をするのであれば信を問うべきだと。要するに、富山のときは、今の世界経済状況下においても消費増税は可能だという認識を示されたと理解しています。今日の先程の発言と富山の発言が違うのはどうしてなのか、ちょっとまだよく理解していないので教えてください。

答)

私共は極めてはっきりしていて、少なくとも富山での発言に関しましては全くそう思っていますよ、流れとして。しかし今、最終的に判断するときに一番は世界経済も特に新興国に関しては不透明性があるということは確かだと思いますけれども、日本の場合、3年5カ月の間の経済指標を見た中で、一番伸びていないのは消費なのです。個人消費なのです。あとは、2015年度の名目GDPが500兆円を超えたり、軒並み上がっていますけれども、消費総合指数だけは、105が106しか伸びていないというのは、これは正直申し上げて我々としては予想外だったと思っていますし、それが消費税率引き上げの3%によるものだと言われると、そうではないという反論をしたくても、1%という差は正直なところ、なかなか我々としては難しいところです。個人消費というのはGDP、国内総生産の中に占める比率は、個人消費、設備投資、政府支出、この3つがGDPの3本柱ですから、その3本柱の一番大きい個人消費が伸びていないというのは、引き続きGDPが伸びないということを意味しますので、そういったものに影響を与えるという判断の方が優先するというのであれば、そっちはもう1回きちんと、106をはるかに超えるようなところまで、前より伸びるようなところまでいかないとGDPは伸びませんから、政府支出だけで賄うのは限度がありますので、いわゆる個人消費というものを引き続き堅調に伸ばしていくためには消費税率引き上げの延期というのは1つの選択肢だというのは、反論することはありません。そういう判断を最終的に総理がされる、自民党の中でもそういった意見がまとまるというのであれば、それに従わなければいけないところだと思いますので、いろいろ意見の分かれるところだと思いますが、その点に関しては、私の意見が違っただけのことなのであって、決まればそれに従って、我々としては最善の努力をしていくということだと思いますけれども。

問)

あえて伺います。前回、安倍総理が消費増税の延期を決断して解散ということになったときに、会見で、アベノミクスの3本の矢を駆使して、今度増税を延期することは絶対ないと。必ず増税できる環境をつくるのだと明言されたと記憶しています。麻生大臣はもちろん安倍総理のすぐ近くでずっと政策を担われてきたわけで、今回その状況が作り出せなかったということになるのだろうと思うので、アベノミクスがその面では失敗したという論調もあるかと思いますがいかがでしょうか。

答)

アベノミクスが失敗したという形にしたいのは、みんな昔からそうで、言わない人の方が少ないのだから驚くことはないのだけれども、少なくともこのアベノミクスに関する中で言えば、指標は全てプラスですから。マイナスになったのは金利と倒産件数と自殺件数と、そういったようなものはありましたけれども、あとは全てプラス。唯一、個人消費だけがプラスだったけれども消費総合指数が105から106というのは、他のものに比べて伸びが少ない。その分だけ貯蓄が増えているのですけれども、資金循環統計の家計貯蓄が約4%になっているという事態は、これは我々としてはもう少し消費に回るというところが残念ながらその期待ではなかったということ以外は全ての指標をクリアしていますから、しかも大幅にクリアしていますから、その意味で失敗したという意識はありません。

問)

仮に2019年10月に消費増税を延期した場合に、今度は確実に2019年10月には引き上げることが大事だとは思うのですけれども、そのためには先程大臣がおっしゃっていたように個人消費をどうしっかり喚起していくか、あるいは成長戦略の3本目の矢というのが大事だと思うのですけれども、そのために政府としては何を取り組んでいけばいいのかということを教えてください。その中で財政出動は大事だというお考えでしょうか。

答)

基本的に個人消費が伸びるためには幾つかの条件があるのだと思います。今より明日の方が安いとなれば買いません。買い物に行って、100円だった大根が次の週に行ったら97円になっていた、次の週に行ったら95円になっていたという話はデフレというのですけれども、そういった物価下落状況になるときには消費は伸びません。なぜなら、もう少し待ったらもっと安くなると思うから、人は物を買わない。カバンを買うにしても靴を買うにしても同じことです。そういった意味で言えば、デフレという状況はまず止めなければいけない、これが第一です。次に可処分所得を増やさなければいけないということになると、給料が増えなければいけない。給料が増えるということは企業が利益を出し、かつ企業の中の生産性が上がらない限り利益は出ませんから。そういった意味では企業が生産性を上げるような設備投資を行って、結果として20年近く止まっている設備投資の多くをこの際金利の安いときに新しく買い換えていく、設備投資を作り直していく等、いろいろなことをやった結果、生産性が上がる、企業の収益が増える、結果として給料に回るということをやらない限りは、6,300万とか6,400万の就業者の個人消費が増えないということだと思います。この世代の個人消費が増えないと、高齢者の個人消費が増えるということはなかなか、買いたいものもない世代としてなかなか出てこないということになろうかと思います。15歳から64歳までの勤労世帯の消費が伸びるようにするためには、今言ったような可処分所得が増えるための給与のアップ、それとこの先、間違いなくデフレから脱却しているという2つが極めて大きな要素になるのだと、私はそう思います。財政出動がそれに対して特に関係あるわけではありませんけれども、財政出動が関係するとするならば、設備投資を、今すれば間違いなく一括償却が認められるとか、税制等の援助によって設備投資をしやすくなる環境は結果として個人消費の支出に関係してくるという面はあります。

問)

消費税が延期された場合、消費税の増税分によって社会保障の充実に充てる部分というのがあったと思います。特に子育ての支援など関心の高い分野もあったかと思うのですけれども、大臣は消費税を仮に延期した場合、社会保障の充実分については併せて延期されるべきだとお考えか、何か財源を確保してやるべきとお考えか、教えてください。

答)

これは社会保障と税の一体改革ということで野田内閣のときのスタートしたもので、消費税の増税を決めたのは安倍さんではなく野田さんのときに決めている。実施したのが安倍さんという、形としてはそうなるのですが、社会保障の充実については給付と負担のバランスというものを考えていくのは当然のことなので、そういった観点から消費税の増収額に応じて措置すべきものなのだと、私自身はそう思っています。いずれにしても今の段階でまだ決まっていませんので、仮定の質問にそれ以上の答えはできません。

問)

世界経済の認識について、総理が殊更悲観的な話をされているわけではないとの話がありましたけれども、サミットの議長国会見ではリーマンショックという言葉を何度も繰り返し、最も懸念されるのは世界経済の収縮という表現も使われました。首相が強い危機感を共有したとする一方で、各国の首脳の中では危機ではないと明言する方もいるなど、結局何が本当なのかよくわかりません。大臣としてはこの認識についてどのように整理されていらっしゃるのでしょうか。

答)

世界経済というものを考えたときには、G7では、アメリカが金利を来月にも上げようかというのは、景気は過熱しているというように思い始めている、その兆候があるから。特に不動産等を見ればそうなっている。またドイツも決して悪くないという話等を見れば、今、世界経済は先進国の中で悪いというような兆候があるわけでない、これははっきりしています。しかし、一方で新興国を見ると、例えば鉄とか原油とか、またその他ガス等を大量に中国に輸出していたオーストラリア等の経済がどんと下がりましたし、また原油の輸出大国であった多くの国々は、原油価格が約110ドルから20何ドルまで下がって、今、40ドルを超えるまで上がってきていますけれども、そういったような国々にとっては、少なくともこれまでの売上げが、ほぼ3分の1まで落ちたというような形になっているという状態は明らかに、極めて深刻な事態になっています。そこの経済が昔は、世界経済の中で占めるシェアが少なかったから大した話ではなかったけれども、今は極めて大きなものになっていますから、そういったことが回り回って与える影響というのは、我々は今までよりよほど注意しておかなければいけない。それに関しては、みんなそれぞれ思いがありますし、特に日本の場合はそういった新興国の多いアジアに位置していますので、新興国の少ないヨーロッパと訳が違いますので、そういった意味では意識としては極めて高いものが我々にはあると思っています。今言われたように世界経済がどう転がっていくかというのは、少なくとも110ドルの原油が40ドルに下がるなんて予想したことはみんななかったでしょう。そういった意味では何が起きるかわからないので常に見識を持っておかなければいけないというふうに思いますけれども、少なくとも世界経済の先行きが極めて悲観的だというわけではありません。

問)

3党合意のことについてお伺いします。今回、民進党も消費税を見送ることを話して、仮に自民党も公明党も今回先送りをするという決断をした場合に、3党合意の有効性というのはどうなるのか、完全になくなったというふうな指摘もありますけれども、大臣はどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。

答)

この間のQTのときに、消費税を延期だ、その財源については赤字公債で充てろと、これは岡田代表のQTにおける質問でしたよね。共産党は民進党とそこまで話ができているのかと思って感心して聞いていたのですけれども。私共は消費税を延期することに関しては、仮に今日党内で決着がつけば、岡田さんの案と似た案ということになりますので、自公民と似た意見になるという、結果論としてはそういう形になり得る可能性が出てきていると思います。3党合意についてどう考えるかはいろいろ、3党合意は破棄されたみたいなものだと民主党もそう言っていましたし、いろいろな御意見が前からありましたから、今回これによって、また同じ結論になっていますから、そうなれば引き続き3党合意というのが成り立っていくというふうに思いますけれども、あのときサインしたあの紙の内容と今とは違ったものになっていると思いますが。

問)

幾つか質問としても出ているわけですが、サミットで安倍総理がリーマンショック以来の状況にあるとおっしゃいました。その根拠に4枚の資料を出されているということですけれども、麻生大臣はその4枚の資料を実際に御覧になったのでしょうか。あるいはそれを承認されたのでしょうか。その4枚の資料は一体どこが作成したのか。財務省が作成したのでしょうか。

答)

今の参考資料の話ですけれども、財務省で作った資料ではないです。財務省で作成したものでないので、それについてのコメントはできません。どこかで作られたのでしょうけれども、他省庁の作られた資料に関してコメントすることはありません。

問)

大臣はこの資料を御覧になったのでしょうか。

答)

ありません。

問)

今出た4枚の資料についてなのですけれども、その4枚の資料の中には原油価格が55%下落したというのがリーマンショックと今と似ているですとか、新興国から資金が流出しているというのがリーマンショックと今と似ているというような趣旨の指摘をする資料だったと思うのですけれども、今は、先進国も含めて世界的な需要不足ですし、資金流出も今はアメリカの経済がよくなって、利上げだから資金が流出している。リーマンショックのときは全く違うと思いますけれども、その資料の指摘自体について国際経済に詳しい大臣はどのように思ったかということをぜひ教えていただきたいのですが。

答)

リーマンショックの時は、ある日突然に基軸通貨のドルが市場から消えるなど金融収縮が一挙に起きた。従って、日本としてはIMFに対して10兆円の融資を行い、あの状況を救った。今はお金が足りないということはありません。今足りないのは、需要が足りないかもしれないが、資金が足りないということではないから、置かれている状況というのは、いろいろな意味で経済というのは生き物ですから、資金がなくて経済が悪い、需要がなくて景気が悪い、いろいろなことが考えられますけれども、今は資金がなくて景気が悪いわけではない。あのときの状況とは根本的によって立つ基準が違っていると思います。景気が悪くなる、ならないということは金融だけに限りませんから、ほかのものでも十分にあり得るとは思いますけれども。

問)

世界経済の認識のところなのですけれども、先程大臣はG7の経済は決して悪くないと。新興国経済に不安要素があるということをおっしゃいました。とすると日本が増税延期の決断をしたのは新興国経済に不安要素があるからだと、そういう理解でいいのか。また、日本が増税を延期して新興国経済が好転すると大臣はお考えでしょうか。

答)

少なくとも我々は新興国経済に問題があるというのを主たる理由として挙げているわけではありません。日本の立場としては、世界で、新興国等を含めて、景気の不確実性というものがあるから、それに対応して財政をある程度機動的に出動させる必要があるということをずっと言ってきているわけです。従って、私共としては、それを機動的に出動させるに当たって、日本においては一番の問題点は何かと言えば、個人消費が伸びていない。GDPの約6割を占める個人消費が伸びていないということに対応するために消費税をここでもう1回上げるというのは今の時期ではないと。財政を再建するために消費税の増税は避けて通れないけれども、今の時期にやってもう1回デフレに落ちるとか、さらに個人消費が減退するということのないように、少なくとも財政出動をして断固経済を持続的に成長させていくべきだと主張している日本としてきちんとやるべきことをやらなければならないということの一環がこの消費税の増税延期ということにつながっているのであり、世界経済というものが主か従かと言えば、主たる原因はそちらではなくて従の方の原因の方が大きい。はっきりしていると思います。

問)

大臣から今非常に重要な、個人消費を伸ばすことが大切だというお話が繰り返しございました。そのために勤労所得層の個人消費、特にこれが大事だと。しかも所得を受けた場合に、いわゆる可処分所得が増えることが大事だと。これが景気の好循環につながるという御趣旨のお話がありましたが、一方で今足元、この勤労所得層とほとんど同じ生産年齢人口が年に100万人減少しているという状況があります。こういう中で2年半後にもう一度消費税を上げるという、そういう状況にできるのかどうか、私はちょっと疑問に感じるのですが、大臣はどういう御認識でしょうか。

答)

一番の問題は可処分所得が増えたからといって使うか使わないかという点を含めて、可処分所得が増えたから使うとは限らない。なぜなら先行き景気が悪くなると思えば使いません。貯めておこうとしますから。可処分所得が上がれば全て良いというわけではない、これははっきりしています。しかし、今言われたように景気が良くなっていくというためにはどうしてもGDPというもの、GDPの3つの要素のうちの一番大きな個人消費という部分が大きく伸びていくという傾向値を示さない限りは、景気という気の部分が良くなっていかないというのは全ての数字ではっきりしています。従って、そういったものを良くさせていくためにどうするかということを考えたときに、少なくとも先行き景気は良くなる、デフレではなくてインフレ。インフレでも不況はあります。デフレでも好景気があるのと同じです。インフレでもデフレでも好景気、不景気、両方あります。デフレという状況は我々としては1930年代以来やったことがありません。日本だけではなく、デフレということをやった経験は世界中ありません。我々としてはこのデフレ不況対策というのを間違えた。日本が最初に直面する、先進国に限らず課題を一番最初に引き受けることになったのは事実だと思いますが、それを我々は少なくとも失敗したのだから、それに対して金融は緩和する、財政は機動的に動かす等のことをやって、やっとデフレという図式から脱するところまで来たのですが、やはり20年の間、少なくともデフレーションによる不況、特に資産のデフレというのは個人にとっては、株という動産、土地という不動産を含めて、そういう資産の下落によって損害を被っているわけですから、それをきちんとした形で取り戻して、これから株が上がる、土地も上がる、持っている資産も上がる等のことが確実になっていくという方向が見えてこないと、なかなか財布のひもは緩まない。少なくとも20数年間、株の下落からいったら1989年が3万8,900ですから、それが90年からどんと下がり始めて、一時期、7,000円とか8,000円までいったわけですから、今戻ってきたといえ、まだ1万7,000幾らという状況で、もっとという思いを持っている人もいるでしょう。3万8,000円から比べれば、まだ1万7,000円ですから、そういった意味ではまだ足りないと。2万1,000円足りていないではないかという気持ちもある人もおられるだろうし、気分的な問題からいったらなかなか簡単な話ではないので、3年ではまだまだ足りない。経営者も同じように、設備投資をしないでお金さえ持っていれば、お金の価値が上がっていくというのがデフレですから、そういった意味ではお金をじっと持っていたまま何もしなかった経営者はきちんと利益を出したわけです。借入金の返済だけやって、新たにお金は借りないで。従ってお金を借りられなかったから銀行はみんな倒産したということになった、それが背景ですから、お金を借りてでも設備投資をする、お金を借りてでも住宅を買うという意欲をどうやって喚起していくかというのは極めて重要なことだと思います。住宅ローン減税や設備投資減税等、いろいろなことを財政としてはやってきていますけれども、そういったものが引き続きやっていけるかということに関しては、政権の安定が絶対だったと思います。政権がどうやら安定するという感じが出始めてからこの政策に対しての反応が少しずつ出てき始めたというのがこの1年間ぐらいだと思います。まだまだ時間がかかるかなと思いますから、あと2年たったらそうなるかと言われれば、そこのことに関しては、今言われたような消費者の心理がどのように影響していくかということに関しては、それは一番見えないところです。

(以上)

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