麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年6月21日(火)10時47分~11時03分)

【質疑応答】

問)

英国のEU離脱の国民投票について、23日に投票が迫りましたが、もし離脱が現実化した場合には円が急騰するなどの指摘もあります。もし離脱が現実化した場合にどのような対応を御検討されますでしょうか。

答)

まず英国がEUを離脱するかということに関しての個別具体的な政策対応についてコメントすることはありません。為替の話にもつながりますので。また、この英国の国民投票というもの、これはこれまであまり予想は当たっていません。これまでもスコットランドの独立、保守党惨敗といった世論調査の結果というのは、2回続けて大きく外しているのではないですか。ですから正直あまり世論調査というものに関して、2回も続けてあれだけ大きく外されるとちょっとどうかなという感じを持って見てはいますけれども。いずれにしても、為替市場というものに関しては、我々として見れば最近のように急激にいきなり2~3日間で何円も、例えば3円も5円も動いてみたりするというような急激な変化というのは望ましくないということをずっと申し上げてきております。為替の安定は極めて重要なものだと思っていますから、その意味では今言われたようにこれに対して直ちにどうのこうのというような話はありませんし、その種のことについてコメントを今この場ですることはありません。

問)

昨日発表されたIMFの対日審査後の声明は、日本政府が掲げている名目成長率ですとか2020年度PB黒字化が現実的でないという趣旨でした。自民党の公約でも、それから政府の見解としても、2020年度PB黒字化を堅持すると掲げていらっしゃいますけれども、今後、財政健全化目標を見直す、それを検討するお考えはありますでしょうか。

答)

内閣府の試算では、消費税率の来年4月の引き上げ、名目成長率3%、実質2%、そういう前提としても歳出改革を行わないと2020年度で6.5兆円の赤字が残る見通しであるというのが内閣府の試算だと記憶しています。消費税の延期が決められた今、決して簡単な目標でないということははっきりしています。しかし我々としては歳出努力もずっとしてきて、この3年間、毎年1兆円ずつの伸びを約5,000億円に抑えてきたというのも実績で、プライマリーバランス、基礎的財政収支赤字の半減目標というのはよく達成不可能と言われていたと思いますけれども、結果としては達成できた。そういった意味では達成できたのは事実ですから、歳出削減等、いろいろ努力をするということを引き続き我々はやっていかないといけない。社会保障制度を次の世代に確実に引き継いでいくという責任が我々の世代にはあるのだと思いますので、安倍総理も言われましたように、プライマリーバランス、基礎的財政収支の目標というものはこれまでどおり維持していこうという、この方針に何ら変わることはありません。今、政府としては、いわゆる経済再生を目標に改革工程表をつくって、それに基づいて聖域なき歳出・歳入改革を取り組んでいくというのをこれまでどおり続けていくことであり、経済成長による税収増と合わせて、我々としてはきちんとこの線を今の段階で崩す、取り替えるとか変更するというつもりはありません。

問)

イギリスの国民投票をにらんで今日も為替が1ドル103円台まで急速に進んでいます。こうした市場の乱高下は生活者にとっても不安を感じさせる要因になるのではないかと思うのですけれども、こうした不安を払拭するために何らかの手を打つ用意はありますか。また、そうした不安を払拭する手があるとすればどういったことでしょうか。

答)

円ドル交換レートが103円になったといって、それに関心を示している人というのはそんなに世の中でいるのかというと、私の周りではほとんどいませんでした。記者さんでも、今日幾らかと聞いて、そんなに細かく今103円95銭ですと即答できる人はいません。そんなに普段の生活に直結しているわけではないと思いますよ。しかし、今の段階でテレビ等であおられると何となくそういったようなことになるのかもしれませんけれども、私共としては商売をしている、物を輸出したり輸入したりすることによってその為替が直接影響してくるという人ならともかく、それが直接普段の生活に響いているというように感じている人というのは、私は正直これまであまり会ったことがないけれども。是非そういった意味で、Brexitが決まったり、残留が決まったりした途端に、急に103円がまた103円より対ドル交換レートが円安に落ちてみたりするということは十分にあり得るし、仮に出るということが決まっても、今の段階は出るという前提を織り込んで、ある程度動いていると思われますから、そういった意味では今すぐこれに対してどうこう対応するということを決めているわけではありません。

問)

大臣の週末の小樽市での御講演について伺います。小樽市で大臣は、御講演の中で個人消費について言及されたときに、90歳になって老後が心配という方がテレビに出ていたと。いつまで生きているつもりだよと思いながら見ていましたと御発言されています。この御発言の真意と、もう一方で野党から、平たく言うとひどい発言だというような批判が上がっていて、国としては高齢者の不安に医療介護制度等で応えなければいけないなどという発言が野党側から出ていますが、この野党の批判について御所感をいただければと思います。

答)

中に記者さんが何人もいたと思いますけれども、前後の文脈を見ていただければお分かりと思いますが、まず経済の浮揚には消費の拡大というものが絶対必要ということを申し上げたのだと思っています。全世帯の24%の高齢者の世帯が、過度な将来不安を持たずに積極的に消費をしてもらえるように意識を変えていくことが重要という話の文脈から始まって、私の祖母の話もして、91歳で亡くなりましたけれども、私の親父のお金は当然自分のお金と思って、使いたいだけ使って亡くなりましたので、そういうような私の例も引いて、そういったような環境を整える、安心しているという環境を整えるというような趣旨で申し上げたと記憶しますので、御指摘のような高齢者を侮蔑するといったものではなかったと記憶しています。

問)

税制調査会についてお尋ねします。現在の政府税制調査会の委員は今月6月23日に3年の任期を迎えます。特にその後メンバーを一新するようなお話も聞いておりませんし、私の取材では中里会長を含め全員が再任されるのではないかと伺っています。再任されるのかということと再任の理由についてお尋ねしたいと思います。と申しますのも、中里会長は先月の会見で所得税改革は委員の中でも考え方が違うし、単純にこうするべきだというふうに言えるものでもないと。そういう課題を抱えていることを国民の皆さんに伝えることが税制調査会の誠意であると言われています。そうなると再来月にも予定されている第1回の税制調査会ではこれまでとは違った調査会の位置付けになるのでしょうか。その点を含めて教えてください。

答)

御存じかと思いますけれども政府税制調査会の人事は財務省ではなく、内閣府の人事です。内閣府の人事の話を財務省に聞かれても答えの仕方は極めて限られた答えしかできませんし、まだその話は内閣府から聞いているわけではありませんとしか答えようがありません。

問)

先程の質問の続きで申し訳ないのですけれども、生活している人がレートは知らなくても、この乱高下に対しては不安を抱いていると思います。そういった人達に対してはどういうふうな用意でいるということを伝えたいでしょうか。

答)

乱高下に関しては、直接その日幾らで契約したかという商売をしている人は103円で契約したのが急に105円になっていたというような話で、得したと思うか、損したと思うか、人によって違うのだと思います。そういった意味で一々額が10銭上がった下がったという話で動いている間はともかく、それが例えば2日で5円とかというような話になってくると、何となく為替が安定していないという話になるのだと思いますけれども。もともとリーマンブラザーズのときに、あのときは120円だったと記憶しますが、それが70円台に下がって、野田内閣から安倍内閣になったときは80円台だったと記憶するのですけれども、そういったような話の中で幅のずれ方がゆっくり確実に上がってくるとか下がってくるというならまだ対応がありますけれども、乱高下という話が、機械やアルゴリズムのせいとかいろいろなことをみんな言うけれども、そういった意味で急に上がったり下がったり、それがまた戻ったりするというのは、現場にいる人にとっては結構振れ幅が大きい。今は株と為替が連動して、株が上がるときは円が安くなっている、そして円が高くなってくると株は下がってくるという、この2つの曲線の折れ線グラフがかなりオーバーラップしていますから、そういった意味ではいろいろな影響が出てきているということがあり得ると。こじつければ多分そういうことを言いたいのでしょう。今の話だけでは数字の上っ面を見ているだけになってしまうから、そういったようなところまできちんと詰めた上で我々としては対応を考えなくてはいけない。いずれにしても為替の介入というような話というのは、我々として安易にやるつもりはありませんけれども、しかしこういった話はきちんとG7、G20でも為替等に対しては急激な変動は望ましくない、きちんと安定したものが望ましいということを合意していますので、そういった範疇の中で対応していくということだと思います。

(以上)

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