麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成28年8月3日(水)14時18分~14時34分)

【質疑応答】

問)

先程総辞職された内閣について伺います。去年の10月に発足して以降、特に今年に入って原油価格の急落や中国など新興国経済の減速、あと最近で言うとブレグジットなどの世界経済が不安定な状況となりました。国内では消費税の先送りの判断などもあったと思うのですけれども、内閣を振り返られての大臣の所感を改めてお願いいたします。

答)

第3次安倍改造内閣ということになるのですけど、1次の時に外務大臣、2次になって財務大臣ということを拝命してから1,300日程度になります。4回予算を連続で編成した人は、これまで戦後いらっしゃいませんし、補正が5回、暫定が2回ということになったのだと記憶しますけれども、そういった意味で、あんまり長いこと連続でやられた方がおられませんから、大きな問題があった割には、企業の収益というのはこの1年間見ていましてもよくなってきていますから、そういった意味では間違いなく雇用者報酬も上がりましたし、有効求人倍率も一段と上がりましたから、その意味では結果として、それなりのものが出ていると思います。

消費税の延期もありましたし、国際的にはブレグジットという話がありましたけれども、一般の予想では、離脱しない方の確率が高かったにもかかわらずイギリスは外れました。そしてその後、金融がリーマンブラザーズの破綻の時以来の大騒ぎになるだろうと言われていましたけれども、G7の議長国をやっています関係から、日本の発案でG7の財務大臣の緊急電話会談というのをやって対応をあっという間に決めて、結果として為替等の乱高下というのが防げたというのはやっぱり大きかったと思いますし、全体としては27年度に基礎的財政収支の半減目標というのは、マスコミではまず無理と書いてありましたが、ちゃんと出来ないはずはないかなと思ったら出来たのでうまくいきましたし、診療報酬の改定も1,490億円ぐらいのものが削減出来ることになりましたし、法人税の改革も色々な意味で、これは下げますけどこっちは上げさせてもらいますよ、廃止しますというようなことで、大体プラスマイナスゼロぐらいのところになりましたし、色々な意味でうまくいったのと、G7の仙台の会議も少なくともテロ資金の話と、今度日本がOECDの租税委員長として例のBEPSという税源浸食、利益移転の話の国際協定というのをG20で取り上げ、OECDで取り上げ、そしてこの間京都で会議をさせていただいて85カ国だったと思いますが、参加してこれが出来るようになったというのは大きかった。この1年で言えば大きかったというのはそんなところですかね。もうちょっと整理をしないといけないのかもしれませんけれども、大体そんなところかなという感じはしています。

問)

今の冒頭のお話で、在任期間を振り返っていただいたのですが、そうは言ってもやっぱり個人消費の低迷とか設備投資の弱さという課題もまだ残っていると思いますし、財政再建という意味で言えば、消費税の先送りがあってこれからどう20年度の黒字化をやっていくかという課題もあると思います。こういった課題に関して、どなたがこの先やるにせよ、政府としてどういう課題認識を持ってどう取り組めばいいとお考えか、大臣の考えを教えてください。

答)

誰がやられてもやることは同じです。基本的に今言った路線で経済を成長させて、そして歳入増を図って、それによって税収を増やす。それによって、社会保障関係1兆円伸びるというのをこの3年間約5,000億円で出来ましたから、そういった流れをきっちり踏まえながらやっていく、また消費税というものの延期を決めていますので、その間消費が伸びるためには、いわゆる個人の所得というものが増えないといけません。少なくとも安倍内閣になってから、間違いなくいわゆる雇用の面で言えば給与水準は上がりましたし、最低賃金も上がりましたし、いわゆるベースアップと言われるものも3年連続出来ましたし、そういったものを確実に続けていかないといけません。企業も利益が出た分は内部留保に50兆円貯めている割には、設備投資は5兆円、給料は3,000億円だろうと。何となくそういった流れというのがおかしいと思いませんか。

問)

企業がしっかり投資していく原資があるとしたら、やり方はまだあると思いますけど、なかなか。

答)

私は少なくとも意識の変革というのが、経営者側に起きてこないと難しいと思います。今設備投資をしたら一括償却を認めますといってしないのだから、それは意識の変革というのはこちら側から言う話は出来る状況には税制とかいうのでは、色々それなりにしたとは思いますけれども、給与も今上げたらその分もしましたし、色々なことはしたと思っているのです。けれども、意識の改革というのは1930年代を見ても同じように長い時間がかかっています。だから、その意味ではそんなに簡単には貸し渋り、貸し剥がし、その目に遭った当時の経理課長は今社長している年代ですから、忘れられないのでしょう。だから、その意識が変わらない限りは民間の設備投資は増えません。それから設備投資が増えない限りはなかなか難しい。給与が伸びない限りは消費もなかなか伸びにくい。はっきりしていると思います。従って政府でやるGDPの三大要素の残りの1つの政府支出は、今の低金利状態を利用してやろうとしているのが、この間出た経済対策の、いわゆる補正予算関連の内容ですけれども、あまりよく理解されておらんというような感じはしました。まあ、追々そういったようなものが出てくるのだと思いますが、どなたがなさるにしても、そういったものを引き続いてやっていく以外に、今のデフレというものが全ての元凶ですから、デフレという元凶から立ち直っていくというところに二十数年かかったというふうに言われていますから、それを3年ぐらいでなかなか脱却できると思っているほど甘くはないけど、時間をかけて、そういった意識を変えていってもらう努力を双方、民間も一生懸命やらないとなかなかうまくいかないということだけははっきりしていると思いますね。

問)

昨日、黒田総裁との会談もあったかと思うのですけれども、改めて今後アベノミクスを推進するに当たって日銀と政府の関係性ですとか、連携といった部分でどうあるべきかという点についてお聞かせ願えますか。

答)

日銀と政府というのは法律が変わって独立体制が出来るようになって、明治以降、法律が何回か変わっていますけれども、今回の新しいのになってからの関係を模索しながら、今の状況になって日銀と直接、白川さんの時が麻生内閣でしたのであの時から色々やっていますけれども、日銀との間の共同声明が出来て以降、3年前の1月22日に出来たのですが、あの時以降を比べれば、少なくともその前の5年に比べて、はるかに日銀と政府の関係は会話が成り立つようになりましたし、色々な意味でよかったのではないですかね。少なくとも国際金融の世界の中で、日本というのはかつてに比べれば圧倒的に力を持ちましたので、円も安定している。政権も安定している。経済もということになってくると、嫌でも注目されることになりますので、その中にあって黒田総裁というアジア開発銀行の総裁経験8年という人がそこにおられることによって、国際社会の中においても政府・日銀との関係、メッセージははっきりしていますから、昔に比べたら圧倒的に連携はよくなってきたかなという感じはします。

(以上)

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