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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年9月16日(金)10時10分~10時25分)

【質疑応答】

問)

昨日、金融庁が地方の銀行が地域経済の活性化にどれだけ貢献しているかというのを図るためのベンチマークの導入を発表されました。地方創生には地方の金融機関の役割は非常に重い役割を持っていると思いますが、地域の金融機関にどのような期待をお持ちか、大臣の考えをお聞かせください。

答)

地方銀行の場合、なかんずく信用組合、信用金庫、第二地銀等、いわゆる地方にある銀行の特徴は、都市銀行と違うところは何かと言うと、簡単なことは資金量だという話ではなくて転勤がないことです。だからその地域に転勤なくそこにいるはずですので、一番地域の事情に詳しい組織がしっかりしているのは地域金融機関と言われています。信用金庫や地方の金融機関だと思うのです。したがってその人達は今回の指標、いわゆるベンチマークと称する指標を見てもらったらわかるとおりに、俺のところはしっかりやっていますとみんな言うのですが、1人で何件持っているか、担保なしでどれくらいやっているか、どれくらい目利きをやって、どれだけ育ったか、答えを全部数字で出せという話は自分自身で1つの反省になるし、自分のいい勉強になると思っています。仲介機能というのを考えたときに、取引先というものを考えたときに、今一生懸命やっています。確かにこの3年間で随分やられるようになっていることは確かです。それは間違いないとは思いますけれども、自己満足になるというのは、とても信用できる話ではないので、現実問題、数字で書いて出したら自分で自己反省にもなると思っていますので、地域経済の活性化、地域の今でも相変わらず担保とってなければお金を貸さない、質屋と変わらないじゃないかとよく批判が出ているところですけれども、そういったところが変わり得るチャンスになるのではないかなとは思っています。

問)

日銀の金融政策決定会合について伺います。この間、前回の大臣の会見以降、地銀と大手銀行、経済団体もマイナス金利の幅の拡大について割と否定的な意見が出されたと思います。大臣は金融担当大臣でもいらっしゃいますので、こうした銀行とか業界団体の声についてどのように受け止められているか、また、日銀が政策決定に際してこういった声をどのぐらい考慮する必要があるとお考えか教えてください。

答)

この種の話は何十回も言ったと思いますが、日銀の金融政策の手法について、これは日銀に委ねられるべきというのが基本的な立場なので、私共としてはその点に対して介入するつもりはありません。マイナス金利という話については、イールドカーブの全体が下がっていることは確かですから、そういった意味では貸し出し金利というものとか、いろいろなものが金利が下がっているというのは、効果があることは確かなのだと思いますので、金融業界というか、銀行の収支が悪くなっているというのは、別の努力でよくなっているところもあります。そういった意味では総括的な検証というような意味を、マイナスばかりだとは全然思いませんから、我々としては、要はデフレからの脱却というのは最終目標ですから、正確に言えばデフレ不況からの脱却、もっと正確に言えば資産デフレーションによる不況からの脱却というのが我々の目的なので、少なくとも物価安定の目標、いわゆる2%を目指していますけれども、そういったものにどれだけ役に立つかというのが最大の問題なので、今から日本銀行でいろいろさらに検討されていかれるのだと思いますけれども、金がないという状況でいかに対応するかということが、さきの戦争に負けてこの方、一番大きかったんですけれども、今は金はある、需要がないという時代になっているのははっきりしているので、それがデフレのもとですから、需要を喚起するのは金融だけではなくて財政でもやらなければいけない、これははっきりしていると思います。だから両方でやっていかなければいけないと思っていますので、金融政策、日銀との間で少なくとも政府として財務省としては連絡を密にして引き続きやっていかなければいけないと思っています。

問)

今の日銀の総括検証に絡むのですけれども、財政当局から見てこれまでの日銀の政策についてどのような御所見がありますかということをお伺いしたいと思います。経済対策でリニアなど長期の投資に対して後押しをしやすくなったという環境が整ったという見方もあれば、低金利になって、金利の急騰というところでのリスクといいますか、マネジメントの難しさというのもあろうかと思いますが、様々な論点あろうと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

答)

経営をやるなら悲観的に見ていても経営はできませんから、少なくともある程度のリスクをとってやるというものがなければ経営なんてものはとてもできるものではないのだと、自分は経営者だったときのことを考えてそう思っています。安全パイだけでいったら経営なんかとてもじゃないという感じはしますけれども、しかし現実問題として今言われたように金利が安くなったというのをいかに利用してやるかといったら、金は借りて使うことだと思います。ためておいても金利はつかないのですから。仕事ができるのだったら金は借りて使う。そしてそれが結果として新しい仕事を生み出していく、新しい需要を拡大していくということになるというように、そっちの方に考えないと企業の経営なんかできないのだと思いますので、そういった意味では基本的に今の日本銀行のやろうとしているのは、少なくとも1989年12月の株価最高値の3万8,900円をつけてこの方、90年以降、土地は上がっていました。90年、91年、土地は上がったけれども、92年からどんと下がってきた。あれ以降、デフレ対策を間違えたわけですから、日銀も間違えたし、政府も間違えた、両方間違えたのだと思います。だからそういった意味では両方、その反省に立ち返って3年前の1月に日銀との間の共同声明を出した、あの背景のときには金融政策、財政政策ともに1本目の矢、2本目の矢というのをやって、両方でこれまでやってきましたので、そういった意味では引き続き日銀との連絡は少なくとも過去に比べればはるかによくなっていますし、いろいろな形で連絡はスムーズにいくようになったし、国際的にもリーマンブラザーズの破綻の後、連絡は密になりましたし。日銀というか、中央銀行と財政当局が一緒になって、最近で言えばイギリスのブレグジットの話だって蔵相・中央銀行電話会議というのをぱっとセットして対策はあっという間にまとめていますから、連絡を密にして対応をよくしているということに関しては、少なくともこの十数年の中で最もうまくやってきていると思いますし、黒田さんという人もアジア開発銀行の総裁におられたこともこれありで、海外との人脈等も広くおありなので、今、他の国の中央銀行から見て日銀というのは極めてそういった意味の指針、頼りになる銀行になっているのだというように見えます。

問)

所得税の改革の話をお伺いしたいのですけれども、先日、自民党の茂木政調会長が配偶者控除をやめて夫婦控除を導入すべきだというお話とその際に年収制限として800万円か900万円、1,000万円ぐらいかなということをおっしゃっていたんですけれども、こうやってちょっとずつ議論が活発になっていく中で改めて大臣は今の時点で夫婦控除をどう考えるか、そして茂木政調会長がおっしゃった年収の800万円から1,000万円ということについてはどう見ていらっしゃるか、現時点でのご見解を教えてください。

答)

税制調査会長ではなくて政調会長の発言として聞いているのですね。まず、それをどう思いましたか。

問)

与党の要職の方が公の場でおっしゃっていることにはそれなりの重みがあると思いました。

答)

税調の話ではなくて政調会長から来たのは過去何十年間で初めてではないでしょうか。何十年もいた人はみんなそう思ったはずです。えっ、茂木さん、税調会長になったのかと一瞬思った人もいたぐらいだと思います。だから政調会長として言われたというのは珍しいケースだと思ったのが最初の印象ですけれども、配偶者の就労というものに関して、これをいろいろな意味で抑制するのではないかと言われたものが配偶者に対する税制の話だったので、この控除については配偶者の就労を抑制する効果があるのではないかという指摘があるというのは事実です。しかし同時に忘れてもらっては困るのは、これは価値観の話になるから、配偶者が祖父、祖母の面倒を見て、子供の世話を全部きちんとしているがゆえに働く時間がない、しかしそれによって政府全体として見れば高齢者福祉の経費は少ない、保育園の経費も少ない。しかしそれは配偶者が家庭できっちり全部していること、家事一切含めてのほかにそういったことも全部やっているおかげでやっているという、その労働の価値をどう評価するか。国全体として見たら大きい。そういった意味では価値観の話が入ってきますので、これは簡単な話ではないのであって、いろいろな御意見があるところなので、この間政府税調でもこの問題の話が始まったばかりですから、今からいろいろ話がされていくのだと思いますけれども、価値観の話が返ってきますので、そんな軽々に、はい、配偶者控除なし、103万円、130万円の壁なしというような話、簡単な話、だったらこっちはという話になると働いた方がよくて、両親は老人ホームに入居してもらい、子供は保育園に行って、自分は働いて金を稼いで収入が増えました、その分だけ所得が増えるわけだけれども、可処分所得は増えることになるけれども、傍ら高齢者福祉の経費、保育園の経費は逆に余計にかかっていくという事態との差をどう考えるかという話は、これは昔からよく出ている話ですから、そういったところも含めてどのように考えるかというのを考えないと、迂闊な論議というのは危ないなという感じはします。これは昔からの話です。

(以上)

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