麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年9月20日(火)10時39分~10時46分)

【質疑応答】

問)

多国籍企業の課税逃れに関してお伺いします。先週アメリカアップル社の日本法人が120億円の追徴課税という報道がありました。ヨーロッパでも同じアップルの納税をめぐりましてアメリカ、アイルランド、EUが対立しております。国境を越えた過度な税逃れ防止の必要性が叫ばれる一方で、主要な国や地域の足並みがそろわないというのはこれまで日本が主導してきましたBEPSの議論を実効性ある形で実現していく上で障害になるのではないか、大臣のお考えをお願いいたします。

答)

今お尋ねのあったアイルランドの話については、報道に限らず知っていますけれども、個別の係争中の案件ですから、これについてコメントというのは差し控えさせていただきたいと思っております。ただ一般論でいえば、多国籍企業というものによる租税の回避というのは公正な競争の原則というような課税の公平性というものを損ないますので、納税している人にとっては何でというような話になりかねないというので信頼性を大きく損なうという問題があるのだと思っています。その問題に対処すべく例のBase Erosion and Profit Shifting、通称BEPSというものを3年前の5月に私の方からバッキンガムシャーでしたか、G7の蔵相会議でこちらの方から提案したのが最初で、かれこれ3年かかってOECDでまとめて、G20でも認めて、そして今年6月会議をやってスタートしてきています。そういったものでみんなきちんと積み上げてきたときに、EUでそれとはまた別で、もっとさらに突っ込んだような形にすれば騒ぎになる、だからそういったもので少しずつ少しずつやらなければいけないのに、いきなりバーンというような話になるとこういうことになるということなのではないのかなと、あの話を聞きながらそう思っていたので、BEPSの合意事項をまずは着実に実行してもらいたいという感じはします。それで外国子会社の合算制度という話、合算税制というものなのですけれども、その見直しというものを始めて、各国の国内法の整備というものを我々としてはきちんと整備をしていかなければいけないところだと思いますので、最初からこういった話というのは各国の租税というものは課税自主権とかこれまで国家の主権に片手を突っ込んだような話をして、それで合意しているのですから、だから二重課税の防止ではなくて二重非課税の防止というのを我々は目的として、いかがなものかというのでスタートさせましたので、まずはそういったところから確実にやっていく方がこういったものは着実に定着していくのだと思いますので、最初からそんなにすぐ全部が全部うまくいくなんてはずはないので、少しずつやれるところから確実にやっていくというスタートにしていかないと、なかなか難しいのだと思っています。

問)

今日、大臣、76回目のお誕生日ということでおめでとうございます。

日銀の政策決定会合について伺います。先週、会見で伺ったときに大臣はマイナス金利の効果についてイールドを下げて金利を下げるということで一定の効果があるのではないかというお話をいただきました。週末いろいろ報道が出ていましたけれども、マイナスをさらに拡大したときの効果について大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。

答)

それは日本銀行の金融政策の手法についての話になりますので、そこのところについては日銀に委ねるべき話だと思います。引き続いて、アメリカのFRBは日本時間22日午前3時に公表されますので、日銀の方が先に答えが出ることになるのだとは思います。物価安定というものを目標にして、我々がやっているのはデフレによる不況が問題なのですから、普仏戦争、プロシアとフランスの戦争ですけれども、普仏戦争が終わったのが明治維新の3年後、1871年、それから第一次世界大戦が始まるまではヨーロッパはデフレですけれども好況ですから、そういった意味ではデフレーションが悪いのではない、デフレによる不況というのに問題があって、正確には日本の場合、資産によるデフレーションによる不況ですから、そういったものがきちんと直っていくということが大切なので、私共としてはそういったものを目標として、きちんと掲げてやっていくという日銀の姿勢というのは正しいのだと思っていますので、それをどういう手法でやられるのかについては私の方としては介入するかのごとき話になりかねないからお答えいたしかねます。

(以上)

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