麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年11月11日(金)9時36分~9時52分)

【質疑応答】

問)

アメリカの大統領選挙についてなんですが、トランプ候補、これまでにTPPからの離脱ですとか、あるいはアメリカ国内で大規模な減税を行うということを明言していますけれども、日本経済、あるいはアメリカ経済、世界経済に与える影響について大臣の御所見をお伺いします。

答)

日米関係、いろいろありますけれども、経済面においても日米間の協力というのは極めて重要と思っていますので、これまで長い間に築いてきた日米関係、経済の面においても新政権ともきちんと継続していきたいと考えています。1月20日ぐらいまで待って、人が決まって、その人がどういう政策をやるかというのは、ファースト・ハンドレッド・デイズとよく言いますから、100日間待って、それからゆっくりきちんとやっていくということなのだと思います。

問)

為替についてお尋ねします。トランプ大統領の誕生を受けて外国為替市場は非常に荒い動きとなりました。背景には投機的な動きというのもあると思われますけれども、大臣はこの為替動向に関してどのように分析されていますでしょうか。

答)

為替の水準についてはコメントいたしません。為替というのは安定しているのが重要なので、円が円高になりますとか、新聞でいろいろ書いてありましたけれども、外れましたから、今日は106円になっているでしょう。為替というのは急激に乱高下する、ボラティリティとか最近カタカナが増えてきていますけれども、乱高下するというようなことは望ましくないのだと思っていますので、きちんとした監視というか、緊張感を持って見ていかないといけないものだと思っています。

問)

関連で、トランプさんの税政策について伺います。1月を待ちたい気持ちもあるのですけれども、やはり気になるので教えていただきたいのですが、法人税をまず15%に下げるという公約を掲げていらっしゃいます。先進国の中で本当に実現すれば低い水準になるわけで、法人減税の競争を招くのではないかという懸念が1つあります。この点に関して大臣、今どう考えておられるかということが1点と、税の関連で言うと日本が主導してきた租税回避、BEPSとかを初めとした租税回避の動き、これに対してトランプさんがどう向き合われるのか、まだ見えてこない部分もあるのですけれども、それについて御懸念ないしトランプさんに求めること、何かあれば教えてください。

答)

法人税を下げるという話は、大統領選に勝利した後のニューヨークでの記者会見のときも、随分英語の種類も変わっていましたし、いろいろ表現もきちんとした表現に変わってきて、ちゃんとペーパーというものが用意されて、きちんとそれに対応しているのだなという感じがしましたので、少し違ってきた状況にあると思って聞かなければいけないのだと思っています。その前、選挙中に言った話は、あまり気にする話でもありません。BEPSの話は3年前の5月にバッキンガムシャーで、日本からの提案でBEPSの話が始まった。その頃から、ヨーロッパ等、G7でみんなそれぞれが発言しましたけれども、アメリカだけが発言しなかったという場面がありましたので、アメリカはきついのだろうなとは思いました。あれがもしうまくいったときに、一番税収が上がるのは、そういった企業の多いアメリカだと思いましたが、それにもかかわらず、発言したくないというのは、その業界からいろいろ反対の圧力がかかっているのだろうなと思って、それはよくある話だから、と思って聞いてしまいましたけれども、去年の最後のトルコ、G20のときには発言が前向きに変わって、11月のG20の首脳会議のときには全面認めますという話を首脳ですることになるのです。だからOECDプラスG20でOECDに入っていない国を含めて全部の首脳がゴーサインを出しましたから、それで今年6月に日本で第1回の事務的な会合をやったのですけれども、アメリカは来ました。そして積極的にいろいろ事務作業等、膨大な量の事務手続の開始に参加してきましたから、アメリカにとっても決して悪い話じゃありません。アイルランドとアップルの問題に関して、ヨーロッパとアメリカといろいろやり合ったりしているのは1つの例です。そういったようなものが幾つも今から起きてくるのだとは思ってはいますけれども、決してアメリカ自体にとって悪い話でもありませんし、世界にとってはもちろんまともな話ですから、ちゃんとしかるべき人達はきちんと税金を払うべきところへ払ってくださいという話をしているのであって、これまで二重課税じゃない、二重非課税になっていたところが問題なのだということを正しているだけの話ですから、トランプさんはビジネスマンやっていますから、話はよく理解はされる可能性というのは高いと思います。

問)

8日に開かれた経済財政諮問会議のことについてお伺いします。麻生大臣は社会保障などの伸び率を年5,300億円程度に抑制して予算編成をするという従来の方針を改めて示されたのに対して、民間議員からは、それはあくまでも目安であると、柔軟な予算編成を求める声がでました。財政健全化よりも足元の景気への配慮を求める考えというのが出てきていることに対してどうお考えか教えてください。

答)

前からの話であり、特に今回だけの話ではありませんから、特段のコメントはありません。

問)

トランプさんの話に戻ってしまうのですけれども、次期トランプ新政権の布陣をめぐって憶測が広がっています。中でも財務長官候補にはJPモルガンのダイモンCEOの名前が挙がっています。まだ正式には決まっていないので一般論としてお聞かせいただければありがたいのですけれども、次期財務長官に期待をすることと、今後どういった関係を築いていかれるお考えか教えてください。

答)

誰になるかというのが決まった上でないと、ほかの名前も挙がっているのは知っていますから、私共としては決まった人ときちんとやっていくということだと思っています。いずれにしてもアメリカの場合、ドル高になるのをえらく嫌っていたのは、私達も感じていましたけれども、それ以後、株価が急激に乱高下したのは日本の東証で、アメリカはそんなに下がったりしませんでした。1,000円下げて、1,000円上がって、関係者は儲かったのだと思います。だけれども、アメリカの場合は別に下がらず上がっていったわけですし、円はどんと上がって101円とかというところまででしたけれども、結果的には今日105円とか106円とかになっています。我々から見ると1日、2日で5円も動くというのは異常だとは思いますけれども、安定した方向、乱高下の少なく、安定しているという状態が一番なのだということを毎回言っています。今回、どなたがなられても我々が期待するのはそういったことに関してきちんとした経済運営をされること、そしてアメリカの国内において地方連銀、サンフランシスコの連邦銀行にしてもシカゴにしても、みんな今、金利は上げるべきだということを言って、上げるのはいかがなものかと言っているのがFRBですから、これでどうされるのか。イエレンFRB議長が12月に向かって決められるのでしょうけれども、どうされるのか知りませんけれども、アメリカの景気がこれでよくなってくるとなったら間違いなく土地の値段が上がりますから、それに向かって金利を上げて、それを抑えようとするという動きが出てくる可能性というのがよく言われています。新しい人になって多分悩むのはそこだと思いますので、そこが国際社会に与える影響は、ドル高イコール、世界中に行っているドルがアメリカに戻ってくることを意味しますから、新興国の経済に与える影響というのを考えるのがFRBの立場でしょうから、なかなか国内で難しいことになる、ハンドリングが難しくなるだろうという想像はつきますけれども、他国の話ですからよくわかりません。

(以上)

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