英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年12月9日(金)9時16分~9時33分)

【冒頭発言】

平成28年度3次補正について、一言申し上げさせていただきます。今年は、台風や大雨等による被害が相次いでいるところでもありますので、災害復旧に係る経費が不足になる可能性が大きいということで、こうした経費をはじめとする追加財政需要を盛り込んだ平成28年度第3次補正予算を編成することといたしております。日程につきましては、平成29年度の当初予算と同時に22日に概算決定をすることを目指して、今作業を進めているということをご報告申し上げておきます。

【質疑応答】

問)

昨日、与党の税制調査会が2017年度の税制改正大綱を取りまとめました。大綱には配偶者控除、配偶者特別控除の見直しを所得税改革の第1弾として明記し、今後も所得税改革を進める考えを示しました。今回の配偶者控除の見直しと今後の所得税改革について大臣の所感を教えてください。

答)

昨日、与党の税制調査会において、見直し案を取りまとめていただいた。これは前からの話でもあり、随分いろいろ時間がかかって、精力的に議論をいただいたことに感謝を申し上げたいと思っています。与党の税制大綱においては、就業調整をやるということで、10月になったらスーパーでアルバイトがいなくなる、ゴルフ場でキャディーがいなくなる等、昔からよく言われた話なのですけれども、こういった喫緊の課題がありましたものですから、配偶者控除については、配偶者の収入制限を103万円から150万円に見直しするということにされております。今般の見直しによって働きたいと思っているけれども、この制限があるから働けないというような人達が、就業調整というものを意識せずに働くことができるという環境づくりに良い意味での影響を与えるのではないかと思っています。同時に人手不足等の話につきましても関連しますので、日本経済の成長にも資するということが期待されるのではないかと考えています。

問)

同じく大綱の中で積立NISAの新設も盛り込まれました。現行NISAと比べて非課税期間を20年間へと大幅に延長する内容となっておりますけれども、どういった効果を期待されますか。

答)

今1,760兆円とか1,790兆円、個人金融資産の総額です。そのうち現預金が約900何十兆円だったと思いますけれども、現預金が、金利もつかないからじっと寝ている、これが今、日本における最大の問題です。企業においてもそうですけれども、個人金融資産においても現預金で多額の金が寝た形になっています。前にこれを始めたときにそういった金がきちんと動いていくようなことをするというのは大事なところなのですけれども、投資とかそういったものに関して何となく、投機と投資の区別もつかないとか、いろいろよく言われていたところです。そういった人達に少なくとも少額からの積立とか、分散投資というものを促進していくところから始めないといけないという話で、このNISAというものを始めさせていただいたのがこの前の話だったのですけれども、新たに積み立てる期間を延ばす、継続も20年にするというふうな話が新たに盛り込まれたというのは承知しています。基本的には家計というものを、何となく預金といっても金利はつかない、1万円の金利を稼ぐために一体幾らの普通預金の積立をすればいいんだと計算したことがありますか。12億何千万円かかるのです。普通預金で稼ぐためには、税金が20%差し引かれたりしますから、12億円かかるそうです。それが事実で、引き落としたら手数料がかかりますとかいう話になったら、途中でとてもやっていられないということですから、家計というものの安定的な資産形成というと何となく、それなら、引き下ろすのに経費や手間賃、手数料を取られるから壺の中に入れておこうとか、自宅で金庫に預けておこうとかタンス預金とかということになっていきますから、私共としてはこういったような形で少額から安定した資産形成、安定したこういったNISAみたいなものをやられるというのは、私は1つの流れとしていいことだと思っていますので、与党の議論を踏まえてこの取り組みは進めていくという方向にしていくべきだと思っています。

問)

昨日の税制改正大綱のことなのですけれども、先程、所得税の改革に関して、今般の見直しに関しての評価はされておりましたが、パートの方には減税になって働きやすくなるという効果がありそうな一方で、低所得者だけど共働きの世帯のこととかは今回の改正ではあまり考えられていないような気がします。来年度以降の所得税の抜本改正でどういった点に留意しながら検討を進めていくべきか、お考えを教えてください。

答)

所得税の再分配機能の回復という点があるのだと思うのです。したがって基礎的控除等の人的控除と言われるものの控除方式を見直したらどうかと。簡単に言えば、所得控除から税額控除にしますとか、また多様な働き方になっている時代なのだから、給与所得の控除等の、所得の種類に応じた控除というものと基礎控除等人的控除のあり方というものを基本的に見直したらどうか、これもよくある話なのです。老後の生活を支えるために自助努力というものも支援していくためには私的年金とか、また金融所得等にかかわる税制の見直しというものの中で、1億円以上になったら、以下になったらという話を含めて、やらなければいけない話はいろいろあります。個人所得課税改革の方向性が明記されているのが与党の税制調査会の中に出てきているところなので、こうした方向も踏まえていろいろ検討をしていかなければいけないところだろうと思っています。昔と違ってフローじゃなくてストックで物を考えられる人も増えてきたという面と、今言った共働きの中で、2人で稼いだ金にだって、その分だけいろいろなものを犠牲にして働いたはいいけど、税金で回り回ってみたら働いても旦那の控除された分が減ってしまってというような話になります。いろいろな問題があるのは前からの話なので、そういったものも含めて、時代に合わせていろいろな税額を、簡単に言えば500万円の旦那の所得があって、専業主婦だったのが旦那の所得は400万円に下がって、奥さんが稼いでいるのが100何十万円でというような形が普通、標準というような形になってくる、そういった働き方自体が変わってきている、一家庭の中の所得のあり方が5対0だったものが3対2になってみたり、4対1になってみたり、いろいろな形になって、共働きが前提みたいな形になってくる時代に合わせた税制になっていますかというように、いろいろなことを考えなければいけない時代になっているのだというのはわかりながらもこの間、手直し程度のことしかしてきていませんから、根本的なことを考えたらどうだというところまで来たのだというふうに、私はそう思います。

問)

冒頭にあった3次補正についてお伺いします。大臣は災害関係の経費ということを挙げられましたけれども、現在検討中の中で、災害の関係経費以外のもので検討されている経費があるのかというのが1点と、16年度の税収の見通しについて、この間の党首討論では見通しを引き下げるというような話が出ていたと思うのですけれども、どの程度引き下げが必要となると大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。

答)

税収が下がるであろうというのは、基本的に10月にいろいろなモニタリングというか、いろいろ調査をさせていただいた結果、年度前半の収入が下がっている、その下がった内容を分析してみると、為替が100円切るという話になっていましたので税収が下がっていたということです。会社の法人税収です。ところがご存じのように11月、大統領選挙が終わって、今日114円というところまで円安に振れていますから、前半の100円切るとか105円とかというところから10円違ってしまっていますと、輸出関連企業の収益は大きくと変わってしまいますので、正直どれくらいいくのかというのは、前期で立てた予想と後期での状況は、100円と115円では全然違ってしまいますので、予測が立てにくいというので、現時点で確たることは言えないというのが今の答えです。

問)

歳出の方で災害関連経費以外に盛り込む予定のものとかは。

答)

大きいのは、例えば国連分担金とか、そういったようなものは年度途中に決まるものもありますので、その分だけ増やさなければいけないとか、そういったものがあります。

問)

来年度当初予算の議論の中で社会保障費について、今、政府と与党の間で協議が大詰めを迎えていますが、高額療養費等で与党から反対の意見もあって、政府が目標とする年間の社会保障の伸び、5,000億円の目標というものが達成できるかどうかというところが焦点になると思いますが、この議論に関して大臣は。

答)

年間約1兆円というぐらいの額で伸びていくであろうという社会保障関係費をこの3年間の予算でいくと大体年5,000億円ぐらいで、3年間で約1兆5,000億円というふうな形になっていますので、私共としてはこの問題はこのベースを基本としていきたいと思っています。ただ、基本的に日本の場合は少子高齢化という人口構成がありますので、皆保険等の社会保障というものと財政というものをある程度持続可能なものにしていかないと無責任なことになりかねませんから、私共は医療とか介護の制度についていろいろ改革ということで改革工程表をつくって出しています。私共はその工程表に沿ってしっかり進めていかなければならないというのが私の立場です。したがって財政制度等審議会等においてもいろいろな御議論がなされているのですが、年齢でなっているけれども、年齢でもいろいろ人によって違うじゃないか、所得のある人もあれば、いわゆる所得はなくても資産収入等によって収入があるという人もありますので、負担能力に応じてある程度公平にやった方がいいのではないか、年齢だけでやるというのはいかがなものかという御意見もあり、いろいろな改革を進めるべきだという御意見を私共はいただいています。したがって、これらを踏まえて今から年末に向けて厚生労働省とかいろいろ話を詰めていかなければいけない中の1つに今言われた高額医療、薬価等の話が出ているところです。昨年は薬価改定の年でもありましたのでいろいろやることになりましたけれども、昨年同様、本年もその点については最終の詰めを厚生労働省等とやらせていただいて、基本的には目標であります約1兆5,000億円の3年間の目安を、均等割すれば5,000億円というところで、きちんとその内におさめていくということだと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る