麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成29年5月19日(金)9時20分~9時35分)

【質疑応答】

問)

教育の無償化についてお聞きします。安倍晋三首相が今月初旬の改憲を目指す集会で自民党総裁の立場ということですけれども、高等教育を全ての国民に真に開かれたものにしなければならないとコメントする等、高等教育の無償化に対する関心が高まっています。その後の財政制度等審議会でも議題となり、委員から教育国債の活用に反対する声や既存の奨学金で対応するべきだという意見も出てきました。この高等教育の無償化について大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これはいつも言われる話ですけれども、教育というのは将来への投資、国として将来の投資という観点でこれまでも財源を確保しながら、奨学金制度の充実とか大学授業料の減免等の拡大等をやってきたのだと思っているのですが、今後とも財源というものを確保しながら教育の充実というのを進めていくというのが基本なのだと思います。問題は大学を出た人の生涯賃金というのは中学卒、高校卒の人の生涯獲得賃金より多い、その人が大学を出るための税金を中学卒、高等学校卒の人の納めた税金で賄っているわけです。公平だと思いますか。

問)

ちょっと微妙なところかなと思います。

答)

微妙ってどういう意味でしょうか。

問)

望んで中学・高卒でやっていない人も、できれば大学まで行きたかったなという人もいるかなと思うので。

答)

でも、将棋のプロや何とかのプロになりたい人もいるでしょう。中学に行きたくないのに行かされている人もいます。それについてはどう思いますか。

問)

中には。逆に何とか高校まで卒業してという方もいらっしゃるし、いろいろお考えがあるかなと思います。

答)

だから難しいのです、この話は。そういった意味では公平感というのは極めて難しいという話が1つ。もう1つは大学で学生の充足率を満たしていない学校が44%ぐらい、それぐらいになっているという実態が傍らあります。そういった意味では大学というもの自体も考えないといけないという問題もあると思います。だから質の向上とか大学改革というものの加速ということを考えなければいけないところですから、いろいろなものを考えなければいけないでしょう、この話は。いずれにしてもそういったものを考えながら今後さらに検討していくということだと思います。

問)

自治体の貯金に当たる基金の残高が積み上がっている問題です。前回も質問が出ましたけれども、財政制度等審議会とか諮問会議で。

答)

地方交付税の話でしょうか。

問)

基金残高の話です。15年度に21兆円まで積み上がっていると。これが国・地方を通じた財政改革議論の課題として浮上しています。来年度の予算編成の過程でも交付税の圧縮も絡んだ大きな論点になると思いますけれども、財務省、かつて総務省のお立場でもありましたけれども、現在の基金残高の推移、ずっと増加傾向にあるのですけれども、この状況をどう見ているのか、御見解をお聞かせください。

答)

10年間平均で毎年8,000億円ぐらい伸びていると思いますが、今21兆円と言ったでしょうか、だから10年前は13兆円ということでしょうか。間違いなく増えていることは事実だと思いますけれども、これは地方公共団体というのが個別に積み立てている話なので、その内容を調査・分析しないと、一律全部平均なんていうのでやっていたら大きな間違いをします。佐賀と福岡と内容が違うでしょう。地方公共団体によって差があるから一概には言えないので、民間の会社だってこの3年間で、安倍内閣になって内部留保が約75兆円増えていますという話を私がすると、みんないろいろ言いますけれども、じゃあ給料払っているのと。3%伸びています、何%伸びていますと言うでしょう。総額幾らって言うと2兆6,000億です、3年間で。一方、75兆円も内部留保が増えているわけでしょう。何のためでしょうか。

問)

将来の事業展開であるとか。

答)

内部留保は378兆円。これと同じではないでしょうか。何のためにためているのという話と同じ話で、地方公共団体の長も各企業の長も抱えている状態は同じです。だから将来不安のためって、それは聞こえはいいですが、何が不安なのですか。 事業内容がいいなら金を借りればいいのではないですか、金利は安いのだからという話を詰められたら、みんな、うーんと困ってしますのです。だから、そういった話はよく聞かないと、そういった意味では各地方公共団体によって違うので、一概な話はできないところですので、一律に何とかしてしまうという発想でやると間違える感じはします。

問)

まさに大臣の御指摘のとおりだと思うのですけれども、諮問会議の民間議員の発言等を聞きますと、総額が積み上がっていること自体が問題であると。国が借金をする形で交付税として分配している現状がある、それなのに地方は全体として見てお金が余っていて、基金を積んでいるのが問題であると、そういう主張も聞かれます。財務省内からも、いわゆる地方財政計画、これがブラックボックス化しているから、そこに無駄とか余剰が生まれる背景があると。国が借金しているのにそれでいいのかという声も聞こえるのですけれども、その点はいかがでしょうか。

答)

それも今言った話と同じで、基本的には地方公共団体の中でそういったものが積み上がっている県で、不交付団体と交付団体とどうやって分けているの、その話は。不交付団体と交付団体とその話はどうやって分けて聞いているのでしょうか。

問)

今のところは、分けずに総額ベースの議論というところで議論の出発点になっています、現段階では。

答)

分けずに議論ですか。それでは、不交付団体というところまで差し込めません。それは国から金が行っていない団体なのですから、その使い方について政府が何を言うのと不交付団体側だったら言います、多分。交付団体はまた別の話で、そのところも区別できない範囲で一律でやろうとしても、話になりません。もうちょっときちんと話を詰めて、交付団体に対してはどうと言って、その交付団体もこれまでの、小泉内閣のときに交付税をばさっと切られている。あのときの人件費を減らした分、その後麻生内閣で交付税が戻ってきました。その戻ってきたときにもばさっと切った分、そのまま人件費やら何やら、採用を控えるなんていうのをやった分で地方公共団体で人件費が減っているというのに、努力して減っているところ、そうじゃないところ、どうやって差をつけるのでしょうか。みんな数字の話しかしていないから個別の話で具体的な話を考えていないで話すのです、そういう話というのは。経営者ではないからしようがないのかもしれないですけれども、いろいろな違いがあるのだという点を考えた上での発言をしないと、一律に何とかしましょうという話で片づけられるような簡単な話ではありません。1,700を超える団体なのですから、個別にいろいろありますから、なかなかです、それは。そんな簡単にいく話ではないので、総務省等とよく詰めないといけないところでしょう。

問)

加計学園の件でお尋ねします。獣医学部新設をめぐって総理の御意向等と書かれた文書が国会で問題になっておりますが、一連の文書の中に昨年10月の福岡6区の補選の結果を見極める必要があるのではないかというような記述も見受けられるわけですが。

答)

福岡6区と加計学園と何の関係があるのでしょうか。

問)

大臣やあるいは獣医学学会が支援している候補が結果的に補選では敗れたわけですけれども、こうした補選の結果がこの新設の決定に影響があったかどうか、このあたりどういうふうにお考えでしょうか。

答)

全くありません。

問)

1問目の教育無償化の関連なのですけれども、同時に安倍総理は2020年の施行を目指す改正憲法で高等教育の無償化を書き込みたいという意向も示されているわけですけれども、先程の公平性の問題ですとか、先程伺ったお話からするとそういった問題が解消しない限り、当然憲法に書き込むことも難しいということになるのでしょうか。

答)

教育費というものを何をもって無償化というのかという話になって、国立は無償化だけど私立は違いますかとか、何をもって無償化するのかという話はなかなか難しい話です。私立学校に補助金が行っているが、憲法には公の支配に属さない私立学校には国が助成できないと書いてあるし、教育といってもいろいろあります。いろいろな話で教育というのを、教育国債を出せとか、いろいろ書いてあったけれども、それは借金じゃないかと。借金をツケ回すのかと。同じことではないかと。それだったら保険の方がまだ筋が通るのではないかとか、いろいろな話があるでしょう、この話は。その話をきちんと財源を、安定した財源というのをきちんとした上でないとなかなかそういった話はできないという点をきちんと腹におさめておかないと、目先借金でごまかして行うなんていう話には乗れないということだと思いますけれども。

問)

20日からAPECの貿易大臣会合が開かれて、ベトナムで世耕経産大臣がアメリカのライトハイザー米通商代表と会合する方向で調整しているというふうに伺っています。ここでライトハイザー米通商代表が、従来から日本に対して厳しい市場開放の要求を求める発言をしていますが、日米ハイレベル経済対話のトップとして今回の会談はどのような内容になることを期待したいかというのをお伺いしたいのですが。

答)

それは世耕経産大臣に聞いてもらわないと何とも言えません。ライトハイザー米通商代表と会ってどういうことを日本側として言って期待したいかということについては、日本の国益に沿うように発言してもらいたいと思います。

(以上)

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