麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成31年4月19日(金)11時06分~11時26分)

【質疑応答】

 
問)

昨日、自民党の萩生田幹事長代行がインターネットのテレビ番組で、10月の消費税増税に関しまして、6月の日銀短観の数字によっては延期もあり得ると。また、その際には解散・総選挙もあると示唆する発言をされておりますが、まず実際にこういったことがあり得るのかというのと、与党の幹部がこのように発言されたことを大臣としてどのようにとらえているのかをお願いします。

答)

萩生田(議員)が日銀短観という言葉を知っていた。萩生田(議員)から初めて日銀短観という言葉を聞いたような気がするけどね。私の方ではそういう話がどういうふうにあったかの詳細を全然知らないから、今の話を聞いたというのだったら、そうだということなのだと思いますけれども、これは前々から言っているとおり、消費税10%という話は、少子高齢化というような、日本にとっての中長期的には最大の問題だと思いますけれども、この問題に対応していくための全世代型の社会保障制度というものをやっていくということを考えても、消費税の10%というものは安定財源を確保していくという意味においても必要なものだと思っていますので、たびたび申し上げているようにリーマンショックのような出来事でも起こらない限りという、後の話は同じことです。これまで申し上げてきたとおり。

問)

今月下旬にアメリカのムニューシン財務長官と会談するという報道が一部出ていますけれども、その際にアメリカが意欲を示している為替条項に話が及んだ場合、どのように対応されるかをお願いいたします。

答)

4月末にアメリカに行くというと決まって、財務長官との間で会談を行うかどうかということに関してまだ決まっているわけではありません。
為替の話ですけれども、ライトハイザー通商代表と茂木大臣との話でも、その点に関してはスティーブン・ムニューシン長官と麻生の間で話をされる、専門家の間で話をするという話で言われているのと同じことだと思いますので、こういった話でコミュニケーションを行っていくというのは、2年前の2月からこの話はずっと続いている話なので、その点に関しては為替については同じことなので、2人でやっていくということになるのだと思います。日本にとって為替というのは極めて大きな意味を有するのだと思いますけれども、ただ、一般的に、為替レートが下がると、円が安くなると輸出が増えて、円が高くなると貿易の輸出額は減るという話になっているだろう。だけど現実問題、これまでの約10年間を見てみると一番円が強くなって75円32銭、一番安くて120円ぐらいのところまであるのだけれども、約80円と約120円で3割ぐらい違うのだけれども、それだけ下がっても貿易額というのはほとんど変わらなかったのだよね。これをアメリカにはもう見せて、はい、何回も見せたろうがと。何も言うことはないですもんね。だから為替の変動と貿易収支の額との相関性は低いというのは、このところ答えははっきりしていますので、そういった意味ではその種の話は出てこないというような感じがしますけれども、一般的には君と同じように、アメリカの議員はそれを知っているかといえば、それは知らない、いつものとおりでしょう。だけど、アメリカの世論を代表してという立場なりでいえば、今言ったような感じで円安のおかげで輸出が増えて、円高になるとアメリカに対する輸出が減るというような意識を普通一般的に持たれている人達から言うと、そこのところは少し違ってくると思います。けれども、基本的にはそういったことに関しては財務長官と私との間では、その点はかなり共通の認識ができ上がっています。これは日本の資料だから自分のところでも調べろ、俺達の資料だから信用できないと言うかもしれない、そっちでも調べてみろという話はしてありますから、そういった意味では私共として両方とも国益を踏まえてやっていくという立場にありますので、そこらのところはきっちりやれるのだと思っていますけれどもね。

問)

確認ですけれども、萩生田議員の言ったことは事実と違うということでよろしいでしょうか。

答)

それは本人に聞くのが一番じゃないの。

問)

日銀短観が悪くなったら消費増税延期もあり得るとおっしゃっているわけですけれども、リーマンショック級が起きるということと日銀短観が悪化するというのは必ずしもイコールではないので、増税延期の判断のハードルを下げたのではないかとも受け取れますが、そこは違うということですね。

答)

さっき答えたじゃないですか。

問)

事実と違うことであるならば、今まさに企業などが増税の準備を進めている中でこうした発言が出てくることに対して大臣はどう思われますか。

答)

企業は迷惑するのではないですかね。商工会議所、昨日、朝ご飯が一緒でしたけれども、正副会頭そろって各地域出てきておられましたけれども、そういった意味に関して、その後の三村さんの記者会見というのも行ったのだろう。何て言っていた。

問)

信じられないというふうにおっしゃっていました。

答)

同じような答えですな。

問)

これで世の中に少なくともまた延期されるかもしれないという疑心暗鬼が広がっていますが、大臣として改めて何か国民に伝えるようなことはありますでしょうか。

答)

ここでしゃべっても伝わるかどうかわからないしね、あなたに答えても。でも、少なくとも言っていることは、ずっと同じことしか言っていませんから、特別に変わったことはありません。

問)

昨日、月例経済報告がありまして関係閣僚会議が開催されましたけれども、消費税率引き上げに当たりまして大臣として国内の景気認識を改めてお聞かせください。国内の景気認識です、今後の先行きについて。

答)

国内の経済情勢、景気ということですね。昨日でしたか、内閣府が出された月例経済報告では前月と表現は全く変わっていないという具合に理解していますので、日銀短観等において一部製造業において慎重さが見られるというのは事実ですけれども、判断についてそういった意味では、業況判断について下方修正されたというのが出ていましたけれども、月例というのは動きますので、別にそれによって特に景気が悪くなっている、よくなっている数字もありますので、そういった意味では特にそれによって大きな変更が出ているというわけではありません。

問)

そうしますと今年1月に戦後最長を更新したと言われておりますけれども、その戦後最長の景気拡大が続いているという認識と消費増税に当たっての環境は醸成されているというお考えでよろしいでしょうか。

答)

景気はずっと伸びていっている感じというのは、ある程度こうしながら伸びていくので、傾向としては変わっていないと思っていますけれども、それが1カ月下がった、2カ月下がったからといってもそれですぐというような感じではないのは当たり前の話ですけれども。

問)

経団連が新卒の学生の採用について通年での採用にシフトしていくという方針を固めました。財務省を始めとして官公庁での学生の採用のあり方についてもこれまでよりも柔軟にしていくべきとのお考えはお持ちでしょうか。

答)

特にありません。

問)

先程の為替の話なのですけれども、以前のTPPの合意のときには別の文書の形で為替について言及していたかと思うのですけれども。

答)

アメリカ側がですか。

問)

アメリカと、12カ国で合意したときですね。そのときは為替について触れていたと思うのですが、今回貿易協定に入ることになるかどうかはちょっとわかりませんけれども、日本として入れるべきかどうかというお考えと、日銀の金融政策に影響を与えるのではないかというご意見もあったりするのですけれども、それについてのお考えがもしあれば教えてください。

答)

これは交渉ですからね。何か日本の話というのは、マスコミの書き方は既にこれで決まったみたいに書くけど、これは今から交渉する話だから。相手と話していろいろありますから。ちょっと違うと「違ったじゃないですか」と言うけれども、交渉する前から答えなんか出せませんから、そんなことを聞かれたら一切答えなんか出せないのですよ。「まだわかりません」としか答えようがない。だからその点はよく前提に置いて考えておいてもらわないと困るけれども、この種の話というのは、アメリカは為替条項を入れろ、何とか入れろと必ず言うのですよ、それは当たり前の話なのであって。こっちはそれは入れられない、その代わり、これをどうしろとかああしろとか、みんないろいろなことを言うのは常の話なのですけれども、そういった意味では、私共としては、間違いなくこの種の交渉事をやっていくにあたって、少なくとも向こうが何と言ってくるか今の段階ではわかりませんけれども、その話を入れろとか、紙に書けという話を今からしていくのだと思いますので、それは何とも言えない、そのところは。もし仮に出たとして、それで為替条項を入れて交渉した結果、現状どおりということになるか、ならないか、そこのところはわからない話なので、今我々としては基本的に為替が上がったり下がったりするようなことによって貿易収支がどうたらということはないというのは過去、証明が終わっているでしょうがと。それによって、入ったからといって日銀の景気判断にどうとかというような影響が出てくるとは私は思いません。

問)

金融政策についても影響なくするという。

答)

まだ入れられるとは思いませんから、結果的には、今の段階で金融政策に影響があるだろうかというのは、ないと思いますけれどもね。金融政策は言っておきますけれども、これは日銀の話であって、俺に聞いても、それは黒田さんのところで決まる話だから。

問)

ADBによる対中融資についてお伺いします。中国の国民所得が一定基準を満たす水準まで上昇したことなどから融資の打ち切りを求める声もあるようですけれども、また一方、融資先としては優良なので当面維持する必要があるとの意見もあるようでして、大臣の御見解をお伺いします。

答)

ADBによる支援の話というのは、これは何も今に始まった話じゃありませんよ。ずっと前から言っている話で、私共としては、ADBによる支援というのは、所得の低い発展途上国とか低開発とかいろいろな表現があるのだろうけれども、そういったところに重点的に行われていることが重要なんじゃないのですかと。これはアジア開発銀行を50年前につくったときからそれですからね、この基本は変わっていないのだから。ところが、そのときは低開発国並みの扱いだった国がADBの指導がよかったか、いろいろな表現はあるだろうけれども、よくなって、そのときの条件と同じで今までどおり頂戴って、それは話が違うだろうがと。あんたらはむしろこっちに、お世話になったADBに金を出して、融資を助けてやる立場なんじゃないのと。まだお金を借りようとしているのはおかしくないというのは、日本が言っているのではない、みんなそう思っているのですから。そういった意味で、これは卒業すると言うのだけれども、卒業に当たっての所得基準を超えた国については支援というものを量から質に変えるべきなのではないのと。少なくとももうちょっとで卒業できる、卒業できるというそのポイントに融資するのはまだわかるけれども、今までと同じような基準でやるのはおかしいということをずっと申し上げてきていますので、昨年、「戦略2030」という名前だったかな、そんな名前のいわゆる長期戦略を立てたのですけれども、ADBの支援というものはそういったものに重点的にやっていくようにしてもらわなければいけないというのが書いてありますからね、あれには。そういった意味では日本が申し上げてきたようなことが書いてあるのだと思っているので、国別支援の戦略というものの中で議論されていくことになるのだと思いますけれども、いずれもそういったものは着実に実行されていかれてしかるべきなのだと思いますけれどもね。

問)

先程の萩生田議員の発言に関して、昨日、日商の三村会頭が会見で、政府や与党とすり合わせた上での発言なのか、という感じで不快感を示していたのですけれども、事前にこういう話をするということが大臣だったり財務省の中で情報としてあったのかどうかというのをまずお伺いしたいのですけれども。

答)

それこそ萩生田(議員)に聞いてもらわなければいけないだろうけれども、少なくとも二階さんあたりがそのことをあらかじめ理解していた、という状況にはないね。

問)

こうした中でそういう発言をしていて、萩生田さんは崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかないというふうに話していましたけれども、政府は崖にならないように平準化対策などをしていたはずなのに与党からそういう発言が出たということは、その政策の効果に疑問符が投げかけられているのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。

答)

わからんね、それは。どういうつもりで言っているのだか。我々は少なくともこれだけ同じような質問を同じように言われて迷惑しているだけで。

問)

リーマンショック級が起きない限りというお話だったのですけれども、それこそ10月の直前になって、もしもそういう話になった場合に、やめる判断というのはどこまでのタイミングであれば筋が通る話だというのは。

答)

リーマンブラザーズみたいな話が起きるというような話を前提として、たらればの話はとても付き合いきれんですな、それは。いくら何でも。いかにもこれを書いたら、また麻生は予測しているなどと書かれて、とても危なくて、その種の誘導尋問に引っかからないような習慣はこの6年間でつきましたので、なかなか、その話はちょっとお答えしかねますね。

問)

為替と貿易収支の相関が小さいことはムニューシンも理解されているというお話ですが、なぜムニューシンは通商で文言を、為替条項が入るだろうみたいに発信されているのか、その辺をちょっと。

答)

さあ、これまで彼に代わってから、ジャック・ルーから彼に代わって数年たちますけれども、少なくともこの人はいわゆる金融の世界から財務省というところに来ておられる方なので、為替とかというものの実態をよくご存じの方ですね、この方は。しゃべっていてもわかりますけれども。だからそういった意味ではこの人の話はいろいろ言われるのは、多分そういった役所というか、議会とか政府とかその他のところなり、いろいろなところから言われるから言っておられることだとは思いますけれども、現実問題としてはこういうもので動いていない。それに、為替はほとんど輸出数量に影響を与えないということはよく知っている人ですから、この人はそういった話で、言われる話と私共の交渉の中でこれにしつこくこだわって言われたというような記憶はありませんね。いろいろな話できちんと数字で説明するとわかる方だというのがこの数年間、私なりの理解ですけれども、極めて冷静な、この種の話に関して、こと、金融・為替の話に関しては冷静な人だと思いますけれどもね。

問)

21日から靖国神社の例大祭がありますが、参拝や真榊奉納などのご予定はありますか。

答)

靖国神社の例大祭に行かれるかと言っているのですか。予定はありません。

(以上)

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