I  金融コングロマリット監督に関する基本的考え方

I -1 金融コングロマリットの定義

「金融コングロマリット」とは、金融庁組織規則(以下「規則」という。)第8条第4項第1号に規定する金融コングロマリットをいう。具体的には、以下の4つのグループに分類される。

  • (1)金融持株会社グループ

    「金融持株会社グループ」とは、規則第8条第4項第1号ニに規定する企業集団のうち、金融持株会社(注1)を経営管理会社(注2)とするグループをいう。

    • (注1) 「金融持株会社」とは、銀行法第2条第13項に定める「銀行持株会社」、長期信用銀行法第16条の4に定める「長期信用銀行持株会社」、保険業法第2条第16項に定める「保険持株会社」、同法第272条の37第2項に定める「少額短期保険持株会社」、若しくは金融商品取引法第56条の2第1項に定める金融商品取引業者等を子会社とする持株会社のうち金融商品取引業者(第一種金融商品取引業(有価証券関連業に限る。)又は投資運用業を行う者に限る。以下同じ。)を子会社とする持株会社の複数に該当する持株会社又はこれらのいずれかであって、銀行(長期信用銀行を含む。)、保険会社(少額短期保険業者を含む。)、金融商品取引業者(以下「金融機関」という。)のうち、いずれか2以上の異なる業態の者を子会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第3項に規定する子会社をいう。)とする会社をいう。

    • (注2) 「経営管理会社」とは、「金融持株会社」、「事実上の持株会社」、「金融機関親会社」又は「外国持株会社等」のいずれかに該当するもので、金融コングロマリットの経営を管理している会社(会社以外の法人を含む。)をいう。また、グループ内の経営管理会社以外の会社を「グループ内会社」という。

  • (2)事実上の持株会社グループ

    「事実上の持株会社グループ」とは、規則第8条第4項第1号ニに規定する企業集団のうち、事実上の持株会社(注3)を経営管理会社とするグループをいう。

    • (注3) 「事実上の持株会社」とは、金融持株会社に該当しない会社で、金融機関のうち、いずれか2以上の異なる業態の者を子会社とする金融機関以外の会社をいう。

  • (3)金融機関親会社グループ

    「金融機関親会社グループ」とは、規則第8条第4項第1号ニに規定する企業集団のうち、金融機関親会社(注4)を経営管理会社とするグループをいう。

    • (注4) 「金融機関親会社」とは、金融機関のいずれかに該当する者であって、金融機関のうち、自らと異なる業態の者を子会社とする会社をいう。

  • (4)外国持株会社等グループ

    「外国持株会社等グループ」とは、規則第8条第4項第1号ホに規定する企業集団であり、外国持株会社等(注5)を経営管理会社とするグループをいう。

    • (注5) 「外国持株会社等」とは、外国に本店又は主たる事務所を有する法人で、国内に子会社又は支店として金融機関を有し、かつ、当該法人及びその国内又は外国の子会社のうちに、金融機関のうちいずれか2以上の異なる業態の者を含む者をいう。

(参考)

金融庁組織規則(平成10年総理府令第81号)

第8条

  • コングロマリット室は、総務課の所掌事務のうち次に掲げる事務をつかさどる。

    • 次のイからハまでに掲げる者(以下この項において「銀行等」という。)であって、金融コングロマリット(次のニ又はホに規定する企業集団をいう。以下同じ。)を構成する者についての監督事務に関する総合調整に関すること。

      • 銀行業を営む者

      • 保険業を行う者

      • 金融商品取引法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業(同条第八項に規定する有価証券関連業に限る。)又は投資運用業(同条第四項に規定する投資運用業をいう。第十条の二第二項第二号において同じ。)を行う者

      • 次の(1)及び(2)に掲げる者((3)又は(4)に掲げる者がある場合には当該者を含む。)で構成される企業集団

        • (1)国内に本店又は主たる事務所を有する法人であって、当該法人及びその子会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号。(3)において「財務諸表等規則」という。)第八条第三項に規定する子会社をいう。以下同じ。)のうちに、イからハまでに掲げる者のうちいずれか二以上の者を含む者

        • (2)(1)に掲げる者の子会社

        • (3)(1)に掲げる者の関連会社(財務諸表等規則第八条第五項に規定する関連会社をいう。ホ(3)において同じ。)

        • (4)(1)から(3)までに掲げる者のほか、内部管理に関する業務(金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第百五十一条第四項各号に掲げる業務をいう。以下この号において同じ。)を(1)に掲げる者又はその子会社である銀行等と共通の役員又は使用人が行っている会社

      • 次の(1)及び(2)に掲げる者((3)又は(4)に掲げる者がある場合には当該者を含む。)で構成される企業集団

        • (1)外国に本店又は主たる事務所を有する法人であって、国内に子会社又は支店として銀行等を有し、かつ、当該法人及びその子会社のうちに、イからハまでに掲げる者のうちいずれか二以上の者を含む者

        • (2)(1)に掲げる者の国内の子会社又は支店

        • (3)(1)に掲げる者の国内の関連会社

        • (4)(1)から(3)までに掲げる者のほか、内部管理に関する業務を(1)に掲げる者又はその国内の子会社若しくは支店である銀行等と共通の役員又は使用人が行っている国内の会社

    • 金融コングロマリットを構成する銀行等の監督事務に関する指針の策定に関する事務の総括に関すること。

    • 金融コングロマリットを構成する銀行等の監督事務に係る施策(金融コングロマリットの業務又は財産に関するリスクの管理に係る施策を含む。)に関し総合的な処理を要する事項に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。

I -2 監督目的・監督手法

  • (1)監督目的

    我が国では、銀行は銀行業、保険会社は保険業、証券会社は証券業にそれぞれ従事するという専業主義がとられてきたが、平成5年の金融制度改革による業態別子会社での相互参入の解禁や、平成10年の金融持株会社の解禁、金融システム改革法による子会社規定の整備等を通じ、現在の我が国金融においては、コングロマリット化の進展等の新たな展開を示している状況にある。

    いわゆる3大銀行グループについてみると、全てのグループにおいて持株会社制のもと銀行を中核として証券会社等(金融商品取引業者)を保有しており、また、3大銀行グループ以外においても、銀行と保険会社を含むグループや、証券会社又は保険会社が中核となって他業態の金融機関とグループを形成しているものなど、業態をまたがるグループ形態が多く見られる。さらに我が国に進出している外資系金融機関についても、グループに複数の業態の金融機関を含むコングロマリットの形態をとるものが多く見られるところである。このような新たな潮流に対し、金融監督行政はどのような視点に立って行うべきかを明確にする必要がある。

    複数の業態の金融機関を含む複合体を形成したとしても、グループ内の金融機関はそれぞれ独立した法人であり、自己責任原則と市場規律に基づき、自ら財務の健全性の確保、利用者保護・利用者利便の向上に努めることが求められる。金融監督が目指すところも、第一義的にはグループ内の金融機関の財務の健全性及び業務の適切性等の確保であり、それを通じて金融システム全体の健全性や金融の円滑を確保していくことである。

    従って、個々の金融機関や金融システム全体の健全性等に問題が生じ得る状況にない限り、各金融機関がその業務を展開していく上でどのような経営形態を採るかは、金融機関の自己責任に基づく経営判断の問題であって、金融当局としては、基本的にその判断を尊重するものであり、当局の側から意図的にコングロマリット化を促すこと、或いは反対にコングロマリット化の動きを抑制するということはない。金融監督当局としては、金融機関の健全性等の確保の観点から、金融コングロマリット化に伴って発生する特有のリスクを認識し、それに適切に対応していくことが重要であると考えている。

    金融におけるコングロマリット化は、一方で金融機関の経営体質の強化やサービスの向上に寄与する可能性があるが、他方で、グループ化に伴う新たなリスクが顕在化するおそれもある。例えば、金融コングロマリットのリスクとして、組織の複雑化による経営の非効率化、利益相反行為の発生、抱き合せ販売行為の誘因の増大、グループ内のリスクの伝播、リスクの集中等が指摘されているところである。

    金融監督の基本は、上述の通り、グループ内の個別の金融機関の健全性等の確保であるが、このようなリスクの存在により、個々の金融機関の健全性等を追求するのみでは、グループ全体の財務の健全性、業務の適切性の確保ができず、結果として、グループ内の金融機関及び金融システム全体に影響が及ぶ可能性がある。そのため、各金融機関、あるいはグループにおいて、上記のような金融コングロマリットに伴うリスクに的確に対応し得るよう、本監督指針に掲げる留意点等に基づき、グループ全体の経営管理態勢やグループとしての財務の健全性、業務の適切性について、当局として十分な実態把握を行うとともに、必要に応じ適時適切に監督上の措置を講じていくことが重要となる。

  • (2)監督手法

    本監督指針に掲げられる監督上の留意点について、金融コングロマリットのグループとしての経営管理、財務の健全性又は業務の適切性に疑義が生じた場合には、経営管理会社又はグループ内の金融機関等に対し、原因及び改善策等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には、法令に基づく報告を求めること等により着実な改善を促すものとする。更に、グループ内の金融機関の健全性の確保等に重大な問題があると認められる場合には、経営管理会社又はグループ内の金融機関等に対し、法令に基づき業務改善命令等を発出するものとする。

  • (3)留意点

    金融コングロマリットの態様は様々であり、グループが抱えるリスクの特性やリスクの波及過程も異なる。その結果、グループにおける管理態勢や経営管理会社が担う役割も異なる特色を有している。本監督指針は、こうした金融コングロマリットの実態を十分に踏まえ、様々なケースに対応できるように作成したものであり、本監督指針に記載されている監督上の評価項目の全てを各々の経営管理会社及びグループ内会社に一律に求めているものではない。

    従って、本監督指針の適用に当たっては、各評価項目の字義通りの対応が行われていない場合であっても、グループとしての対応がグループ内の金融機関の財務の健全性及び業務の適切性等の確保の観点から問題のない限り、不適切とするものではないことに留意し、機械的・画一的な運用に陥らないように配慮する必要がある。一方、評価項目に係る機能が形式的に具備されていたとしても、グループ内の金融機関の財務の健全性又は業務の適切性等の確保の観点からは必ずしも十分とは言えない場合もあることに留意する必要がある。

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