V  一般監督に関する事項

V -1 法令解釈等の照会

  • (1)照会を受けた場合、権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとし、本監督指針等の既存資料により回答可能なものについては、適宜回答する。

  • (2)回答にあたって判断がつかないもの等については、「連絡箋」(様式・参考資料編 様式 V -1(2))を作成し、金融庁監督局及び中小企業庁の担当課室と電子メール等により協議する。

  • (3)照会事例集については、金融庁監督局及び中小企業庁の間で必要に応じ回覧するものとする。

V -2 信用保証協会に関する苦情等

  • (1)信用保証協会に関する苦情等を受けた場合には、申出人に対して、当局は個別取引に関して仲裁等を行う立場にないこと及び信用保証協会の制度を確立、運営することが職務であることを説明するものとする。

  • (2)信用保証協会の制度運営を改善する上で参考になると考えられるものについては、その内容を記録(様式・参考資料編 様式 V -2(2)参照)するものとし、特に有力な情報と認められるものについては、速やかに金融庁監督局及び中小企業庁の担当課室に報告するものとする。

  • (3)地方支分部局及び関係地方公共団体においては、1年間の苦情等の件数を、毎年3月末現在で取りまとめ、これを4月末日までに金融庁監督局及び中小企業庁の担当課室に報告するものとする。(関係地方公共団体においては地方支分部局を経由するものとする。)

V -3 決算経理

信用保証協会の経理処理に当たっては、経営の効率化及び経営基盤の確立に資するため、真実性、明瞭性及び継続性の原則を尊重するとともに、収入及び支出は原則発生主義により計上し、その期の経営状態を明らかにするものとし、次に掲げる点について留意の上、指導するものとする。

  • (1)未収利息は正確に計算のうえ、当期の収入に計上されているか。

  • (2)未経過保険料及び未経過保証料は正確に計算のうえ、翌期に繰越されているか。

  • (3)未払保険料は正確に計算のうえ、経過分について当期の支出に計上されているか。

  • (4) 有価証券は、「金融商品に関する会計基準(企業会計基準第10号)に準じて評価・計上されているか。

  • (5)諸償却は適正に行われているか。

    • マル1期末時点において回収不能と判定される求償権は、各信用保証協会の定める基準に従い償却されているか。

    • マル2求償権に準ずるその他の債権については、求償権に準じて償却されているか。

    • マル3動産・不動産については、税法基準により直接償却の方法をもって行われているか。

    • マル4恣意的に償却を調整することによって、経理の操作を行っていないか。

  • (6)諸準備金及び引当金は適正に繰り入れられているか。

    • マル1収支差額変動準備金

      毎事業年度末の収支差額の剰余は、その100分の50の範囲内で、事業年度末における基本財産の2分の1相当額を限度として繰り入れられているか。

    • マル2責任準備金

      事業年度末における保証債務について、保証債務の状態に応じた以下の算定方法に基づき算定し、合算した額を責任準備金勘定に繰り入れられているか。

      • イ.保証債権者が保証債務の履行を請求しうる期日(各信用保証協会が業務方法書に定めるところによる。以下「所定期限」という。)を経過している保証債務の額及び所定期限を経過していないが保証債権者から代位弁済請求を受けている保証債務の額のそれぞれ10分の1に相当する額。但し、上記各保証債務の額の中に株式会社日本政策金融公庫の保険に付されていない保証債務(以下「無保険保証債務」という。)がある場合には、本文の規定にかかわらずその保証債務の額の100分の33に相当する額。

        ロ.保証債権者から被保証債権について債務履行を困難とする事実を予見又は認知したことについての報告(以下「事故報告」という。)を受けている保証債務の額(但し、上記イ.に該当するものを除く。以下同様。)に、事故報告を受けている保証債務の額の遷移率(保険の有無に関係なく、各年の1月1日時点の保証債務の額のうち1年間で代位弁済へ推移した額の割合について、事業年度末から遡り3カ年分を保証債務の額で加重平均したものをいう。以下同様。)を乗じた金額の10分の1に相当する額。但し、上記保証債務の額の中に無保険保証債務がある場合には、本文の規定にかかわらずその保証債務の額に、事故報告を受けている保証債務の額の遷移率を乗じた金額の100分の33に相当する額。

        ハ.返済方法の変更を目的とした保証契約の変更(以下「条件変更」という。)を行った保証債務の額(但し、イ.及びロ.に該当するものを除く。以下同様。)に、条件変更を行った保証債務の額の遷移率を乗じた金額の10分の1に相当する額。但し、上記保証債務の額の中に無保険保証債務がある場合には、本文の規定にかかわらずその保証債務の額に、条件変更を行った保証債務の額の遷移率を乗じた金額の100分の33に相当する額。

        ニ.上記ロ.の保証債務の額に(1-遷移率)を乗じた額、上記ハ.の保証債務の額に(1-遷移率)を乗じた額及び上記イ.~ハ.に該当しない保証債務の額の、それぞれ1,000分の6に相当する額。但し、上記各保証債務の額の中に無保険保証債務がある場合には、本文の規定にかかわらずその保証債務の額の、それぞれ100分の1に相当する額。

    • マル3求償権償却準備金

      事業年度末における求償権(求償権補てん金額及び求償権補てん金の受領予定額を除く。)のうち、当該年度において代位弁済を行ったものに対してはその100分の33に相当する額、前年度に代位弁済を行ったものに対しては100分の67に相当する額、前々年度以前に代位弁済を行ったものに対しては全額に相当する額を繰り入れているか。

    • マル4退職給与引当金

      事業年度末において役職員が自己の都合により退職した場合の退職給与規程による要支給額を繰り入れているか。

  • (7)収支差額変動準備金及び基本財産の取崩しを行う場合は適正に処理されているか。

    • マル1収支差額変動準備金

      収支差額変動準備金をもって毎事業年度の収支差額の欠損を補てんした場合又は毎事業年度末に収支差額変動準備金を基本財産の基金準備金に振り替えるために取り崩した場合、その取崩しが協会業務の円滑な遂行を確保する上で真に必要なものであったか。

    • マル2基本財産

      収支差額変動準備金をもって毎事業年度末の収支差額の欠損を補てんし、なお不足する場合は、基金準備金、基金の順で取り崩されているか(国の施策に基づき特別に出えんされた金額に相当する基金の取崩しを除く。)。

V -4 同一の中小企業者等に対する保証金額の最高限度

信用保証協会の同一の中小企業者等に対する保証金額の最高限度は、財務内容の健全性の確保や保証利用者の利用機会の公平性を確保した上で、中小企業者等の金融の円滑化を期する必要があることから、次に掲げる点に留意の上、指導を行うこととする。

  • (1)同一の中小企業者等に対する保証金額の最高限度は、基本財産並びに当該年度の出えん金及び金融機関等負担金の合計額の100分の20に相当する額又は保険限度額の2倍に相当する額のいずれか低い額を限度としているか。

  • (2)業務方法書に個別に規定する保証については、これらの制度の趣旨にかんがみ、中小企業信用保険法の保険限度額を限度としているか。

    • (注)保証の名義が異なっていても、実質的に同一人に対する保証と認められるものについては、保証金額の最高限度の指導上は合算して取り扱うものとする。

V -5 役員の選任及び役員の役割等に関する留意事項

信用保証協会の役員による協会運営に対する信頼を確立するためには、役員構成、役員の選任及び役員による業務運営等について適正化が図られることが重要である。他方、信用保証協会の役員は、信用保証協会の経済的基盤が地方公共団体に大きく依存しており、また、信用保証協会の業務が地方の中小企業施策に密接な関係があることから、現在、その任命は関係地方公共団体の長によって行われているところである。このような現状を踏まえ、信用保証協会に対しては、役員の任命に際し、役員構成及び役員選任が適正なものとなるよう、関係地方公共団体その他の関係者に対して申し入れを行うなど、適切な対応を行うよう指導するものとする。

V -5-1 役員構成

役員構成については、信用保証協会の利用者の視点を適切に反映させる観点から、また、信用保証協会の客観的かつ公正な業務運営を確保するため、中小企業経営に関し識見を有する者を選任する等、その構成については全体のバランスが重要であることにかんがみ、特定の分野や出身母体に偏ることなく、出来る限りその多様化が図られているか。

V -5-2 関係地方公共団体関係者の役員選任及び透明化

  • マル1 信用保証協会における関係地方公共団体関係の理事については、任命権者の説明責任を踏まえつつ、原則として、公募や複数の候補者からの選定等の透明性の高い手続が経られたものとして選任が行われるようにしているか。

  • マル2 信用保証協会に対する主務大臣の権限の一部が関係地方公共団体の長に委任されており、日常監督は関係地方公共団体の長が行っていることから、信用保証協会代表者(代表権を有する者すべて)は現職関係地方公共団体職員(特別職を含む。)以外から選任されているか。

  • マル3 V-5-1における留意点を踏まえ、役員構成について、特定の分野や出身母体に偏ることなく、出来る限りその多様化を図るべきであることから、関係地方公共団体関係者からの役員選任数は必要最小限にとどめられ、特に、常勤役員については関係地方公共団体関係者からの選任者を半数以内にとどめられているか。

V -5-3 会長・理事長の常勤化

会長・理事長職は信用保証協会の業務運営に係る最高責任者であることから、十分な指導監督が可能となるよう常勤化されているか。

V -5-4 金融機関出身者の理事就任等

金融機関出身者の理事就任に当たっては、信用保証協会の客観的かつ公正な業務運営を確保するため、V-5-1における留意点を踏まえ、特定の分野や出身母体に偏ることがないよう理事の構成の多様化等に留意し、地域中小企業者等の不信感を招かないものとなっているか。一方で、リスク管理を適切に行えるように、利害関係のない金融の専門家が理事に加わっていることが望ましい。

V -5-5 理事会の運営

理事会は信用保証協会の重要事項を審議・決定する機関であることから、各理事が、多様な意見の反映や意思決定の客観性を確保する等の観点から自らの意義を認識し、積極的に理事会に参加することが重要である。

このような観点から、特に、非常勤理事は積極的に理事会に参加しているか。

また、理事会において、地域経済や中小企業の活性化等に向けた中小企業者等に対する金融の円滑化の観点から、信用保証協会における保証審査や経営支援のあり方、金融機関における適切な保証利用のあり方等について議論し、金融機関に対する働きかけ等も含め、必要な対応を行うよう指導するものとする。

V -5-6 理事会等の重要会議の審議記録の作成、保存

信用保証協会の公共性に鑑み、重要事項等の決定プロセスが適切なものであるかについて事後的に検証が可能となるように、次に掲げる点に留意の上、適正化を図るよう指導するものとする。

  • マル1 理事会等(常勤役員会、幹部会等重要会議を含む。)は、理事等の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する態勢を整備しているか。

    例えば、理事会等の議事録を適切に作成し、保存及び管理するほか、必要に応じ理事等の指示や決裁書類を記録し保存及び管理しているか。

  • マル2 議事録は、原資料と併せて、理事会等に報告された内容や、理事会等の承認・決定の内容(理事会等の議論の経過及び議論の内容を含む。)等、議案及び議事の内容の詳細が確認できるものとなっているか。また、原資料は、議事録と同期間保存及び管理しているか。

  • マル3 監事が理事会等の議事録その他理事等の職務の執行に係る情報に容易にアクセスできるようにしているか。

V -5-7 監事の常勤化及び選任

  • マル1 監事は、信用保証協会の業務運営の適正化を図る上で重要な役職であり、その業務が財産の状況の監査のみならず、理事の業務の執行状況等についても監査を行う必要があることや、問題があった場合には主務省に報告する義務があることにかんがみ、そのための知見を有する者が選任され、適切な監査が可能となるよう常勤化されているか。

  • マル2 利害関係者からの監事の選任にあたっては、適正な監査業務の遂行について、地域中小企業者等から不信感を招かないよう留意する必要がある。

    特に、金融機関が経由保証の当事者であることにかんがみ、利害関係のある金融機関関係者からの選任が行われていないか。

    また、関係地方公共団体や信用保証協会出身者等のその他の利害関係者については、常勤監事に選任されないことが望ましい。但し、やむを得ない事情があるとして、これらの者から常勤監事を選任する場合は、適切な監査業務の遂行を確保するために、V-5-8(2)の取組みを行っているか。

V -5-8 監事及び監事会の役割

  • (1)監事の役割の重要性にかんがみ、監事の機能については、次に掲げる点に留意の上、適正化を図るよう指導するものとする。

    • マル1 監事は、制度の趣旨に則り、その独立性が確保されているか。

    • マル2 監事は、独立の機関として理事の業務執行を監査することにより、信用保証協会の健全な業務の遂行を確保することが基本責務であることを認識し、付与された広範な権限を適切に行使し、会計監査に加え業務監査を的確に実施し必要な措置を適時に講じているか。

    • マル3 監事は、監査の実効性を高め監査職務を円滑に遂行するため、監事の職務遂行を補助する体制等を確保し有効に活用しているか(例えば、監事監査を補佐する者を確保できる体制となっていること等)。

    • マル4 常勤監事は、監査環境の整備及び情報収集に積極的に努めるなど、理事の業務の執行状況等を日常的に監視・検証しているか(例えば、監事監査の実施のほか、重要会議への出席等を適切に行っているか。)。

    • マル5 常勤監事は、監事会の開催や各々の非常勤監事への訪問等により、常勤監事の実施した監査の結果等の非常勤監事との情報共有を行っているか。また、非常勤監事からの助言も含め、監査の概要を書面により残すよう努めているか。

  • (2)関係地方公共団体や信用保証協会出身者等の利害関係者(金融機関関係者を除く。)から常勤監事が選任される場合は、監事の機能について、上記(1)に加え、次に掲げる点に留意の上、適正化を図るよう指導するものとする。

    • マル1 年複数回の監事会を開催し、監事会において、常勤監事が実施した監査の結果等を非常勤監事に報告し情報を共有するとともに、非常勤監事は、常勤監事が実施した監査の結果等の報告に対して、積極的に助言等を行っているか。また、監事会の議事録を上記V-5-6に準じた内容で作成しているか。

    • マル2 非常勤監事に監査の専門家を入れた監査体制としているか。

V -6 資金の運用及び管理に関する留意事項

信用保証協会の資金運用の健全性を確保する観点から、次に掲げる点に留意のうえ、指導するものとする。

  • (1)資金運用及びリスク管理に関する担当部署及び決裁権限等が資金運用規程その他の内部規程の中で明確になっているか。

  • (2)内部規程の中において、リスク管理手続その他のリスク管理のための規定(例えば、債券取得に係る格付基準、株式等の保有に係る損失限度額及び損失限度額遵守のためのロスカットルール等)が定められているか。

  • (3)資金運用及びその管理については、理事会等にて定期的に状況の報告を行うことにより透明性の確保が図られているか。特に、予算審議に係る理事会においては運用方針について、決算審議に係る理事会においては保有する有価証券の運用状況について、明らかにしているか

サイトマップ

ページの先頭に戻る