II . 貸金業者の監督に当たっての評価項目

II -1 経営管理等

貸金市場が健全な発展を実現していくためには、貸金業者の経営陣(代表者、取締役会のほか代表者等で構成される経営に関する事項を決定する組織等をいう。以下同じ。)が率先して法令等遵守態勢の整備等に努めるなど、資金需要者等の利益の保護に問題が生じることのないよう経営を行うことが重要である。

貸金業者の監督に当たっては、経営陣が健全な業務運営の実現に配慮し、指揮・監督機能を適切に発揮して、与えられた責務を全うしているか、法令等遵守を重視する企業風土を醸成する責任を果たしているかといった観点等に留意するものとする。

また、上場会社は、金融商品取引所の規程において、コーポレートガバナンス・コードを尊重してコーポレート・ガバナンスの充実に取り組むよう努めることとされており、非上場会社に比べ、より高い水準の経営管理(ガバナンス)が要求されていることを踏まえ、上場会社である貸金業者については、例えば、顧客、取引先をはじめとする様々なステークホルダーとの適切な協働に努めているかといった観点にも併せて留意するものとする。

なお、監督に当たっては、貸金業者の自主性を尊重するとともに、貸金業者に対しては専業規定がなく、業態や規模等が多岐にわたっていることに留意し、当該貸金業者の業務運営の実態を踏まえて対応する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1経営陣は、業務推進や利益拡大といった業績面のみならず、法令等遵守や適正な業務運営を確保するため、内部管理部門及び内部監査部門の機能強化など、内部管理態勢の確立・整備に関する事項を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、その実践のための具体的な方針の策定及び周知徹底について、誠実かつ率先して取組んでいるか。

      (注) 本監督指針でいう「内部管理部門」とは、法令及び社内規則等を遵守した業務運営を確保するための内部事務管理部署、法務部署等をいう。また、「内部監査部門」とは、営業部門から独立した検査部署、監査部署等をいい、内部管理の一環として被監査部門等が実施する検査等を含まない。
    • マル2経営陣は、利益相反が生じる可能性のある業務に係る内部牽制や営業店長の権限に応じた監視などについて、内部管理部門が顧客対応を行う部署に対し、適切な業務運営を確保するためのモニタリング・検証及び改善策の策定等を行う態勢を整備しているか。

    • マル3経営陣は、貸金業務に関する内部監査部門による内部監査(以下「内部監査」という。)の重要性を認識し、内部監査の目的を適切に設定するとともに、内部監査部門の機能が十分に発揮できる態勢を構築しているか。また、内部監査の結果について、改善策を策定・実施するなど適切な措置を講じているか。

    • マル4経営陣は、断固たる態度で反社会的勢力との関係を遮断し排除していくことが、貸金業者に対する公共の信頼を維持し、貸金業者の業務の適切性のため不可欠であることを十分認識し、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ。以下 II -1において「政府指針」という。)の内容を踏まえて決定した基本方針を社内外に宣言しているか。

      さらに、政府指針を踏まえた基本方針を実現するための体制を整備するとともに、定期的にその有効性を検証するなど、法令等遵守・リスク管理事項として、反社会的勢力による被害の防止を明確に位置付けているか。

    • マル5内部管理部門において、業務運営全般に関し、法令及び社内規則等に則った適正な業務を遂行するための適切なモニタリング・検証が行われているか。また、重大な問題等を確認した場合、経営陣に対し適切に報告が行われているか。

    • マル6内部監査部門は、被監査部門に対して十分な牽制機能が働くよう、被監査部門から独立した実効性のある内部監査が実施できる態勢となっているか。また、原則として内部監査部門の態勢整備を行うことが必要であるが、貸金業者の規模等を踏まえ、外部監査を導入する方が監査の実効性があると考えられる場合には、内部監査に代え外部監査を利用しても差し支えない。この場合においては、外部監査人に対して、監査目的を明確に指示し、監査結果を業務改善に活用するための態勢を整備しているか。

      なお、他に貸金業の業務に従事する者がいない個人の貸金業者、又は貸金業の業務に従事する者が1名で且つ当該者が常務に従事する唯一の役員として代表者となっている法人形態の貸金業者においては、これらの者が法に規定された主任者(法第24条の25第1項の登録を受けた貸金業務取扱主任者をいう。以下同じ。)であることをかんがみ、内部監査に代わる措置を利用する場合には、以下のような態勢を整備しているか。

      • イ. 外部監査を利用する場合は、外部監査人に対して、監査目的を明確に指示し、監査結果を業務改善に活用するための態勢を整備しているか。

      • ロ. 協会が協会員に対して行う監査を利用する場合には、監査結果を業務改善に活用するための態勢を整備しているか。

      • ハ. 自己の行う貸金業に関する業務の検証を行う場合には、以下の点を踏まえ、業務の適切性を確保するために十分な態勢を整備しているか。

        • a. 自己検証を実施するために十分な時間が確保されているか。

        • b. 自己検証を実施するに際し、別添自己検証リストに基づき自社の社内規則等を参考に自己検証項目を設定しているか。

        • c. 自己検証を実施する頻度が少なくとも月1回以上となっているか。

        • d. 実施した自己検証を記録し、少なくとも3年間保存することとされているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の経営管理等の課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

    なお、上記(1)マル6ハ.により自己検証を行っている貸金業者に対しては、業務報告書に当該年度に行った自己検証の記録を添付させることとするほか、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することとする。

II -2 業務の適切性

II -2-1 法令等遵守(コンプライアンス)態勢等

貸金業者が貸金市場の担い手としての自らの役割を十分に認識して、法令及び社内規則等を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めることは、貸金業者に対する資金需要者等からの信頼を確立することとなり、ひいては貸金市場の健全性を確保する上で極めて重要である。

(注) 本監督指針でいう「法令及び社内規則等」には、「経営者保証に 関するガイドライン」(平成25 年12 月5日に「経営者保証に関するガイドライン研究会」が公表したものをいう。以下同じ。)が含 まれる。

また、貸金業者は、適正な業務運営を確保する観点から、業務に関して適切な社内規則等を定め、不断の見直しを行うとともに、役員及び貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者(以下「役職員」という。)に対して社内教育を行うほか、その遵守状況を検証する必要がある。

なお、社内規則等については、貸金業者のそれぞれの規模・特性に応じて、創意・工夫を生かし、法令及び法の趣旨を踏まえ自主的に策定する必要があるが、その内容については協会の策定する自主規制規則に則った内容が求められる。

また、本監督指針の各着眼点に記述されている字義どおりの対応が貸金業者においてなされていない場合であっても、当該貸金業者の規模や特性などからみて、資金需要者等の利益の保護の観点から、特段の問題がないと認められれば、不適切とするものではない。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1コンプライアンスに係る基本的な方針、具体的な実践計画(コンプライアンス・プログラム)や行動規範(倫理規程、コンプライアンス・マニュアル)等が策定され、定期的又は必要に応じ、見直しが行われているか。特に、業績評価や人事考課等において収益目標(ノルマ)に偏重することなく、コンプライアンスを重視しているか。また、これらの方針等は役職員に対して周知徹底が図られ、十分に理解されるとともに、日常の業務運営において実践されているか。

    • マル2社内規則等は、協会の自主規制規則に則った内容となっているか。

    • マル3法令及び社内規則等に則った適切な業務運営が行われているか、不適切な取扱いについて速やかに改善しているか。

    • マル4主任者の機能や主任者の機能の発揮状況について、その評価及びフォローアップが行われているか( II -2-9 貸金業務取扱主任者を参照)。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の法令等遵守態勢の課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-2 顧客等に関する情報管理態勢

資金需要者等に関する情報については、当該情報が漏えいした場合に、それを無登録貸金業者が悪用するなど資金需要者等への影響が懸念されるため、その適切な取扱いについては、貸金業法施行規則(昭和58年大蔵省令第40号。以下「施行規則」という。)第10条の2、第10条の3及び第10条の4の規定に加え、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(以下「保護法ガイドライン」という。)及び金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針(以下「実務指針」という。)の規定に基づく措置が確保される必要がある。

また、クレジットカード情報(カード番号、有効期限等)を含む個人情報(以下「クレジットカード情報等」という。)は、情報が漏えいした場合、不正使用によるなりすまし購入など二次被害が発生する可能性が高いことから、厳格な管理が求められる。

さらに、貸金業者は、法人関係情報(金融商品取引業等に関する内閣府令第1条第4項第14 号)を入手し得る立場であることから、その厳格な管理と、インサイダー取引等の不公正な取引の防止が求められる。

以上を踏まえ、貸金業者は、資金需要者等に関する情報及び法人関係情報(以下「顧客等に関する情報」という。)を適切に管理し得る態勢を確立することが重要である。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、適切な顧客等に関する情報管理のための方法及び組織体制の確立(部門間における適切なけん制の確保を含む。)等を具体的に定めているか。特に、情報の当該貸金業者以外の者への伝達については、上記の法律、保護法ガイドライン及び実務指針の規定に従い手続きが行われるよう十分な検討を行った上で取扱基準を定めているか。

    • マル2法令等を踏まえた顧客等に関する情報管理に係る実施態勢の構築

      • イ. 社内規則の周知・徹底

        役職員が社内規則等に基づき、適切に顧客等に関する情報の管理を行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      • ロ. 顧客等に関する情報管理態勢に係る着眼点

        • a. 顧客等に関する情報へのアクセス管理の徹底(アクセス権限を付与された本人以外が使用することの防止等)、内部関係者による顧客等に関する情報の持出しの防止に係る対策、外部からの不正アクセスからの防御等情報管理システムの堅牢化、営業所等の統廃合等を行う際の顧客等に関する情報の漏えい等の防止などの対策を含め、顧客等に関する情報の管理状況を適時・適切に検証できる態勢となっているか。

          また、特定役職員に集中する権限等の分散や、幅広い権限等を有する役職員への管理・けん制の強化を図る等、顧客等に関する情報を利用した不正行為を防止するための適切な措置を図っているか。

        • b. 顧客等に関する情報の漏えい等が発生した場合に、適切に責任部署へ報告され、二次被害等の発生防止の観点から、対象となった資金需要者等への説明、当局への報告及び必要に応じた公表が迅速かつ適切に行われる体制が整備されているか。

          また、情報漏えい等が発生した原因を分析し、再発防止に向けた対策が講じられているか。更には、他社における漏えい事故等を踏まえ、類似事例の再発防止のために必要な措置の検討を行っているか。

          ※ 指定信用情報機関から提供を受けた信用情報(法第2条第13項に規定する信用情報をいう。以下同じ。)についてはII-2-14(1)マル3を参照。

      • ハ. 個人情報保護に関する着眼点

        • a. 個人である資金需要者等に関する情報については、施行規則第10条の2に基づき、その安全管理及び役職員の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置として以下の措置が講じられているか。

          (安全管理について必要かつ適切な措置)

          • 保護法ガイドライン第10条の規定に基づく措置。
          • 実務指針 I 及び別添2の規定に基づく措置。

          (役職員の監督について必要かつ適切な措置)

          • 保護法ガイドライン第11条の規定に基づく措置。
          • 実務指針 II の規定に基づく措置。
        • b. 個人である資金需要者等の人種、信条、門地、本籍地、保健医療又は犯罪経歴についての情報その他の特別の非公開情報(注)を、保護法ガイドライン第6条第1項各号に列挙する場合を除き、利用しないことを確保するための措置が講じられているか。

          (注)その他特別の非公開情報とは、以下の情報をいう。

          イ. 労働組合への加盟に関する情報。

          ロ. 民族に関する情報。

          ハ. 性生活に関する情報。

        • c. クレジットカード情報等については、以下の措置が講じられているか。

          • クレジットカード情報等について、利用目的その他の事情を勘案した適切な保存期間を設定し、保存場所を限定し、保存期間経過後適切かつ速やかに廃棄しているか。
          • 業務上必要とする場合を除き、クレジットカード情報等をコンピューター画面に表示する際には、カード番号を全て表示させない等の適切な措置を講じているか。
          • 独立した内部監査部門において、クレジットカード情報等を保護するためのルール及びシステムが有効に機能しているかについて、定期的又は随時に内部監査を行っているか。
      • ニ. 法人関係情報を利用したインサイダー取引等の不公正な取引の防止に係る着眼点

        • a. 役職員によるインサイダー取引等の不公正な取引の防止に向け、職業倫理の強化、関係法令や社内規則の周知徹底等、法令等遵守意識の強化に向けた取り組みを行っているか。

        • b. 法人関係情報を入手し得る立場にある役職員が当該法人関係情報に関連する有価証券の売買その他の取引等を行った際には報告を義務付ける等、不公正な取引を防止するための適切な措置を講じているか。

    • マル3内部管理部門等による実効性確保のための措置

      顧客等に関する情報管理について、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、顧客等に関する情報管理の実効性が確保されているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の顧客等に関する情報管理態勢に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

    (注)  個人情報の取扱いについては、必要に応じて別途、金融庁において、個人情報の保護に関する法律に基づき、必要な措置をとる場合があることに留意すること。

II -2-3 外部委託

貸金業者が貸金業の業務を第三者に委託(以下「外部委託」という。)するに際しては、施行規則第10条の5の規定に基づく措置を構築し、外部委託に伴う様々なリスクを的確に管理し、業務の適切な運営を確保する必要がある。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1委託先の選定基準や外部委託リスクが顕在化したときの対応などを規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2委託先における法令等遵守態勢の整備について、必要な指示を行うなど、適切な措置が確保されているか。また、外部委託を行うことによって、検査や報告命令、記録の提出など監督当局に対する義務の履行等を妨げないような措置が講じられているか。

    • マル3委託契約によっても当該貸金業者と資金需要者等との間の権利義務関係に変更がなく、資金需要者等に対しては、当該貸金業者自身が業務を行ったものと同様の権利が確保されていることが明らかとなっているか。

      (注)  外部委託には、形式上、外部委託契約が結ばれていなくともその実態において外部委託と同視しうる場合や当該外部委託された業務等が海外で行われる場合も含む。
    • マル4委託業務に関して契約どおりサービスの提供が受けられない場合、貸金業者は顧客利便に支障が生じることを未然に防止するための態勢を整備しているか。

    • マル5委託先における目的外使用の禁止も含めて顧客等に関する情報管理が整備されており、委託先に守秘義務が課せられているか。

    • マル6個人である資金需要者等に関する情報の取扱いを委託する場合には、当該委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置として、保護法ガイドライン第12条の規定に基づく措置及び実務指針 III の規定に基づく措置が講じられているか。

    • マル7外部委託先の管理について、責任部署を明確化し、外部委託先における業務の実施状況を定期的又は必要に応じてモニタリングする等、外部委託先において顧客等に関する情報管理が適切に行われていることを確認しているか。

    • マル8外部委託先において漏えい事故等が発生した場合に、適切な対応がなされ、速やかに委託元に報告される体制になっていることを確認しているか。

    • マル9外部委託先による顧客等に関する情報へのアクセス権限について、委託業務の内容に応じて必要な範囲内に制限しているか。

      その上で、外部委託先においてアクセス権限が付与される役職員及びその権限の範囲が特定されていることを確認しているか。

      さらに、アクセス権限を付与された本人以外が当該権限を使用すること等を防止するため、外部委託先において定期的又は随時に、利用状況の確認(権限が付与された本人と実際の利用者との突合を含む。)が行われている等、アクセス管理の徹底が図られていることを確認しているか。

    • マル10二段階以上の委託が行われた場合には、外部委託先が再委託先等の事業者に対して十分な監督を行っているかについて確認しているか。また、必要に応じ、再委託先等の事業者に対して貸金業者自身による直接の監督を行っているか。

    • マル11委託業務に関する苦情等について、資金需要者等から委託元である貸金業者への直接の連絡体制を設けるなど適切な苦情相談態勢が整備されているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等により、貸金業者の貸金業務の外部委託に係る内部管理態勢、貸金業者の外部委託先の業務運営態勢若しくは業務運営の適切性に問題があると認められる場合には、貸金業者や外部委託先に対する深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

    (注)  ヒアリングは、委託者である貸金業者を通じて事実関係等を把握することを基本とするが、事案の緊急性や重大性等を踏まえ、必要に応じ、外部委託先からのヒアリングを並行して行うことを検討することとする。
     また、外部委託先に対してヒアリングを実施するに際しては、必要に応じ、委託者である貸金業者の同席を求めるものとする。

II -2-4 システムリスク管理態勢

システムリスクとは、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等、システムの不備若しくはコンピュータが不正に使用されることにより、資金需要者等又は貸金業者が損失を被るリスクをいう。

仮に、貸金業務をコンピュータシステムを用いて大量に処理する貸金業者においてシステム障害やサイバーセキュリティ事案が発生した場合は、資金需要者等の社会経済生活等に影響を及ぼすおそれがあるほか、その影響は単に一貸金業者にとどまらないことから、システムが安全かつ安定的に稼動することは、これらの貸金業者の信頼を確保するための大前提であり、システムリスク管理態勢の充実強化は極めて重要である。

(注)  ここでいう「貸金業務」とは、金銭の交付・債権の回収(弁済の受領)、貸付けに係る契約の締結、返済能力調査、帳簿の作成、個人信用情報の登録等を含み、貸金業務をコンピュータシステムを用いて大量に処理する貸金業者(以下II-2-4において単に「貸金業者」という。)としては以下のようなものが想定される。
  • 自社において自動契約受付機又は現金自動設備を設置している貸金業者
  • 受払等業務委託先(銀行、長期信用銀行、協同組織金融機関及び株式会社商工組合中央金庫を含む。以下II-2-4において同じ。)と自動契約受付機又は現金自動設備の利用提携をしている貸金業者

なお、以下の各着眼点に記述されている字義どおりの対応が貸金業者においてなされていない場合にあっても、当該貸金業者の規模、貸金業務の処理におけるコンピュータシステムの占める役割などの特性からみて、資金需要者等の保護の観点から、特段の問題がないと認められれば、不適切とするものではない。

(注)  「サイバーセキュリティ事案」とは、情報通信ネットワークや情報システム等の悪用により、サイバー空間を経由して行われる不正侵入、情報の窃取、改ざんや破壊、情報システムの作動停止や誤作動、不正プログラムの実行やDDoS攻撃等の、いわゆる「サイバー攻撃」により、サイバーセキュリティが脅かされる事案をいう。
  • (1)主な着眼点

    システムリスク管理態勢の検証については、貸金業者の業容に応じて、例えば以下の点に留意して検証することとする。

    • マル1システムリスクに対する認識等

      • イ.システムリスクについて経営陣をはじめ、役職員がその重要性を十分認識し、定期的なレビューを行うとともに、全社的なシステムリスク管理の基本方針が策定されているか。

      • ロ.経営陣は、システム障害やサイバーセキュリティ事案(以下「システム障害等」という。)の未然防止と発生時の迅速な復旧対応について、経営上の重大な課題と認識し、態勢を整備しているか。

      • ハ.経営陣は、システムリスクの重要性を十分に認識した上で、システムを統括管理する役員を定めているか。なお、システム統括役員は、システムに関する十分な知識・経験を有し業務を適切に遂行できる者であることが望ましい。

      • ニ.経営陣は、システム障害等発生の危機時において、果たすべき責任やとるべき対応について具体的に定めているか。

        また、自らが指揮を執る訓練を行い、その実効性を確保しているか。

    • マル2システムリスク管理態勢

      • イ.経営陣は、システムリスクが顕在化した場合、資金需要者等や自社の貸金業務に影響を与える可能性があるほか、指定信用情報機関を通じて他の貸金業者の貸金業務にも影響を与える可能性があることを踏まえ、システムリスク管理態勢を整備しているか。

      • ロ.システムリスク管理の基本方針には、セキュリティポリシー(組織の情報資産を適切に保護するための基本方針)及び外部委託先に関する方針が含まれているか。

      • ハ.システムリスク管理態勢の整備に当たっては、その内容について客観的な水準が判定できるものを根拠としているか。

        また、システムリスク管理態勢については、システム障害等の把握・分析、リスク管理の実施結果や技術進展等に応じて、不断に見直しを実施しているか。

    • マル3システムリスク評価

      • イ.システムリスク管理部門は、リスクが顕在化した場合、資金需要者等や自社の貸金業務に影響を与える可能性があるほか、指定信用情報機関を通じて他の貸金業者の貸金業務にも影響を与える可能性があることを踏まえ、定期的に又は適時にリスクを認識・評価しているか。

        また、洗い出したリスクに対し、十分な対応策を講じているか。

      • ロ.システムリスク管理部門は、例えば1日当たりの取引可能件数などのシステムの制限値を把握・管理し、制限値を超えた場合のシステム面・事務面の対応策を検討しているか。

      • ハ.新商品の導入時又は商品内容の変更時には、ユーザー部門はシステムリスク管理部門と連携しているか。また、システムリスク管理部門はシステム開発の有無にかかわらず、関連するシステムの評価を実施しているか。

    • マル4情報セキュリティ管理

      • イ.情報資産を適切に管理するために方針の策定、組織体制の整備、社内規程の策定、内部管理態勢の整備を図っているか。また、他社における不正・不祥事件も参考に、情報セキュリティ管理態勢のPDCAサイクルによる継続的な改善を図っているか。

      • ロ.情報の機密性、完全性、可用性を維持するために、情報セキュリティに係る管理者を定め、その役割・責任を明確にした上で、管理しているか。また、管理者は、システム、データ、ネットワーク管理上のセキュリティに関することについて統括しているか。

      • ハ.コンピュータシステムの不正使用防止対策、不正アクセス防止対策、コンピュータウィルス等の不正プログラムの侵入防止対策等を実施しているか。

      • ニ.貸金業者が責任を負うべき資金需要者等の重要情報を網羅的に洗い出し、把握、管理しているか。

        資金需要者等の重要情報の洗い出しにあたっては、業務、システム、外部委託先を対象範囲とし、例えば、以下のようなデータを洗い出しの対象範囲としているか。

        • 通常の業務では使用しないシステム領域に格納されたデータ
        • 障害解析のためにシステムから出力された障害解析用データ
        • 現金自動設備(店舗外含む。)等に保存されている取引ログ 等
      • ホ.洗い出した資金需要者等の重要情報について、重要度判定やリスク評価を実施しているか。

        また、それぞれの重要度やリスクに応じ、以下のような情報管理ルールを策定しているか。

        • 情報の暗号化、マスキングのルール
        • 情報を利用する際の利用ルール
        • 記録媒体等の取扱いルール 等
      • ヘ.資金需要者等の重要情報について、以下のような不正アクセス、不正情報取得、情報漏えい等を牽制、防止する仕組みを導入しているか。

        • 職員の権限に応じて必要な範囲に限定されたアクセス権限の付与
        • アクセス記録の保存、検証
        • 開発担当者と運用担当者の分離、管理者と担当者の分離等の相互牽制体制 等
      • ト.機密情報について、暗号化やマスキング等の管理ルールを定めているか。また、暗号化プログラム、暗号鍵、暗号化プログラムの設計書等の管理に関するルールを定めているか。

        なお、「機密情報」とは、暗証番号、パスワード、クレジットカード情報等、資金需要者等に損失が発生する可能性のある情報をいう。

      • チ.機密情報の保有・廃棄、アクセス制限、外部持ち出し等について、業務上の必要性を十分に検討し、より厳格な取扱いをしているか。

      • リ.情報資産について、管理ルール等に基づいて適切に管理されていることを定期的にモニタリングし、管理態勢を継続的に見直しているか。

      • ヌ.セキュリティ意識の向上を図るため、全役職員に対するセキュリティ教育(外部委託先におけるセキュリティ教育を含む。)を行っているか。

      • ル.定期的に、データのバックアップを取るなど、データが毀損した場合に備えた措置を取っているか。

      • ヲ.指定信用情報機関に提供する個人信用情報の正確性を確保するための方策を取っているか。

    • マル5サイバーセキュリティ管理

      • イ.サイバーセキュリティについて、経営陣は、サイバー攻撃が高度化・巧妙化していることを踏まえ、サイバーセキュリティの重要性を認識し必要な態勢を整備しているか。

      • ロ.サイバーセキュリティについて、組織体制の整備、社内規程の策定のほか、以下のようなサイバーセキュリティ管理態勢の整備を図っているか。

        • サイバー攻撃に対する監視体制
        • サイバー攻撃を受けた際の報告及び広報体制
        • 組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)等の緊急時対応及び早期警戒のための体制
        • 情報共有機関等を通じた情報収集・共有体制 等
      • ハ.サイバー攻撃に備え、入口対策、内部対策、出口対策といった多段階のサイバーセキュリティ対策を組み合わせた多層防御を講じているか。

        • 入口対策(例えば、ファイアウォールの設置、抗ウィルスソフトの導入、不正侵入検知システム・不正侵入防止システムの導入 等)
        • 内部対策(例えば、特権ID・パスワードの適切な管理、不要なIDの削除、特定コマンドの実行監視 等)
        • 出口対策(例えば、通信ログ・イベントログ等の取得と分析、不適切な通信の検知・遮断 等)
      • ニ.サイバー攻撃を受けた場合に被害の拡大を防止するために、以下のような措置を講じているか。

        • 攻撃元のIPアドレスの特定と遮断
        • DDoS攻撃に対して自動的にアクセスを分散させる機能
        • システムの全部又は一部の一時的停止 等
      • ホ.システムの脆弱性について、OSの最新化やセキュリティパッチの適用など必要な対策を適時に講じているか。

      • ヘ.サイバーセキュリティについて、ネットワークへの侵入検査や脆弱性診断等を活用するなど、セキュリティ水準の定期的な評価を実施し、セキュリティ対策の向上を図っているか。

      • ト.インターネット等の通信手段を利用した非対面の取引を行う場合には、例えば、以下のような取引のリスクに見合った適切な認証方式を導入しているか。

        • 可変式パスワードや電子証明書などの、固定式のID・パスワードのみに頼らない認証方式
        • 取引に利用しているパソコンのブラウザとは別の携帯電話等の機器を用いるなど、複数経路による取引認証
        • ログインパスワードとは別の取引用パスワードの採用
        • 同一ユーザーIDからの同時ログインの禁止措置
        • リスクベース認証やキャプチャー認証 等
      • チ.インターネット等の通信手段を利用した非対面の取引を行う場合には、例えば、以下のような業務に応じた不正防止策を講じているか。

        • 不正なIPアドレスからの通信の遮断
        • 取引時においてウィルス等の検知・駆除が行えるセキュリティ対策ソフトの利用者への提供
        • 利用者のパソコンのウィルス感染状況を貸金業者側で検知し、警告を発するソフトの導入
        • 利用者の口座に振り込む方法による貸付けに当たっては、利用者の本人名義の口座に限定するなど、貸付金の詐取を防ぐ措置の導入
        • 不正なログイン・異常な取引等を検知し、速やかに利用者に連絡する体制の整備 等
      • リ.サイバー攻撃を想定したコンティンジェンシープランを策定し、訓練や見直しを実施しているか。また、必要に応じて、業界横断的な演習に参加しているか。

      • ヌ.サイバーセキュリティに係る人材について、育成、拡充するための計画を策定し、実施しているか。

    • マル6システム企画・開発・運用管理

      • イ.現行システムに内在するリスクを継続的に洗い出し、その維持・改善のための投資を計画的に行っているか。

        なお、システムの企画・開発に当たっては、経営戦略の一環としてシステム戦略方針を明確にした上で、経営陣の承認を受けた中長期の開発計画を策定することが望ましい。

      • ロ.開発案件の企画・開発・移行の承認ルールが明確になっているか。

      • ハ.開発プロジェクトごとに責任者を定め、開発計画に基づき進捗管理されているか。

      • ニ.システムの企画・開発に当たっては、当該システムの機能が法令の規定に沿ったものとなっているか、法令に基づく手続に不備はないか等を検証しているか。

      • ホ.システム開発に当たっては、テスト計画を作成し、ユーザー部門も参加するなど、適切かつ十分にテストを行っているか。

      • ヘ.現行システムの仕組みに精通し、システム企画・開発・運用管理について専門性を持った人材を確保しているか。

        なお、現行システムの仕組み及び開発技術の継承並びに専門性を持った人材の育成のための具体的な計画を策定し、実施することが望ましい。

    • マル7システム監査

      • イ.システム部門から独立した内部監査部門において、システムに精通した監査要員による定期的なシステム監査が行われているか。

        (注) 外部監査人によるシステム監査を導入する方が監査の実効性があると考えられる場合には、内部監査に代え外部監査を利用して差し支えない。
      • ロ.監査の対象はシステムリスクに関する業務全体をカバーしているか。

      • ハ.システム監査の結果は、適切に経営陣に報告されているか。

    • マル8外部委託管理

      • イ.外部委託先(システム子会社を含む。)の選定に当たり、選定基準に基づき評価、検討のうえ、選定しているか。

      • ロ.外部委託契約において、外部委託先との役割分担・責任、監査権限、再委託手続、提供されるサービス水準等を定めているか。また、外部委託先の役職員が遵守すべきルールやセキュリティ要件を外部委託先へ提示し、契約書等に明記しているか。

      • ハ.システムに係る外部委託業務(二段階以上の委託を含む。)について、リスク管理が適切に行われているか。

        特に外部委託先が複数の場合、管理業務が複雑化することから、より高度なリスク管理が求められることを十分認識した体制となっているか。

        システム関連事務を外部委託する場合についても、システムに係る外部委託に準じて、適切なリスク管理を行っているか。

      • ニ.外部委託した業務(二段階以上の委託を含む。)について、委託元として委託業務が適切に行われていることを定期的にモニタリングしているか。

        また、外部委託先任せにならないように、例えば委託元として要員を配置するなどの必要な措置を講じているか。

        さらに、外部委託先における資金需要者等に係るデータの運用状況を、委託元が監視、追跡できる態勢となっているか。

      • ホ.重要な外部委託先に対して、内部監査部門又はシステム監査人等による監査を実施しているか。

      • ヘ.受払等業務委託先についても、システムに係る外部委託先に準じて、適切な管理を行っているか。

        特に、受払等業務委託先がシステムの更改を行う場合について、当該受払等業務委託先と自社の双方において、適切なシステム上の対応がなされているかを十分に評価・確認し、必要に応じて、当該受払等業務委託先に対して適切な対応を求めるなどの対応がなされているか。

    • マル9コンティンジェンシープラン

      • イ.コンティンジェンシープランが策定され、緊急時体制が構築されているか。

      • ロ.コンティンジェンシープランは、自社の貸金業務の実態やシステム環境等に応じて常時見直され、実効性が維持される態勢となっているか。

      • ハ.コンティンジェンシープランの策定に当たっては、その内容について客観的な水準が判断できるもの(例えば「金融機関等におけるコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)策定のための手引書」(公益財団法人金融情報システムセンター編))を根拠としているか。

      • ニ.コンティンジェンシープランの策定に当たっては、災害による緊急事態を想定するだけではなく、貸金業者の内部又は外部に起因するシステム障害等も想定しているか。

        また、バッチ処理が大幅に遅延した場合など、十分なリスクシナリオを想定しているか。

      • ホ.コンティンジェンシープランは、他の貸金業者におけるシステム障害等の事例や中央防災会議等の検討結果を踏まえるなど、想定シナリオの見直しを適宜行っているか。

      • ヘ.コンティンジェンシープランに基づく訓練を定期的に実施しているか。

        なお、コンティンジェンシープランに基づく訓練は、全社レベルで行い、外部委託先等と合同で実施することが望ましい。

      • ト.貸金業務への影響が大きい重要なシステムについては、オフサイトバックアップシステム等を事前に準備し、災害、システム障害等が発生した場合に、速やかに業務を継続できる態勢を整備しているか。

    • マル10障害発生時等の対応

      • イ.システム障害等が発生した場合に、資金需要者等に無用の混乱を生じさせないための適切な措置を講じているか。

        また、システム障害等の発生に備え、最悪のシナリオを想定した上で、必要な対応を行う態勢となっているか。

      • ロ.システム障害等の発生に備え、外部委託先を含めた報告態勢、指揮・命令系統が明確になっているか。

      • ハ.貸金業務に重大な影響を及ぼすシステム障害等が発生した場合に、速やかに経営陣に報告するとともに、報告に当たっては、最悪のシナリオの下で生じうる最大リスク等を報告する態勢(例えば、資金需要者等に重大な影響を及ぼす可能性がある場合、報告者の判断で過小報告することなく、最大の可能性を速やかに報告すること)となっているか。

        また、必要に応じて、対策本部を立ち上げ、経営陣自らが適切な指示・命令を行い、速やかに問題の解決を図る態勢となっているか。

      • ニ.システム障害等の発生に備え、ノウハウ・経験を有する人材をシステム部門内、部門外及び外部委託先等から速やかに招集するために事前登録するなど、応援体制が明確になっているか。

      • ホ.システム障害等が発生した場合、障害の内容・発生原因、復旧見込等について公表するとともに、資金需要者等からの問い合わせに的確に対応するため、必要に応じ、コールセンターや相談窓口を設置するなどの措置を迅速に行っているか。

        また、システム障害等の発生に備え、関係業務部門への情報提供方法、内容が明確になっているか。

      • ヘ.システム障害等の発生原因の究明、復旧までの影響調査、改善措置、再発防止策等を的確に講じているか。

        また、システム障害等の原因等の定期的な傾向分析を行い、それに応じた対応策をとっているか。

      • ト.システム障害等が発生した場合に、書面交付義務違反や指定信用情報機関への個人信用情報提供義務違反等の法令違反が発生していないかを検証する態勢となっているか。

        また、法令違反が認められるときには、真正な書面の再交付や指定信用情報機関に提供した個人信用情報の訂正など、速やかに問題が解消される態勢となっているか。

      • チ.システム障害等の影響を極小化するためのシステム的な仕組みを整備しているか。

    • マル11現金自動設備に係るシステムのセキュリティ対策

      現金自動設備に係るシステムは、簡単・迅速に金銭の交付及び債権の回収(弁済の受領)を可能にするものであり、資金需要者等にとって利便性が高く、広く活用されている。一方で、現金自動設備に係るシステムを通じた取引は、非対面で行われるため、異常な取引態様を確認できないなどの特有のリスクを抱えている。

      したがって、資金需要者等の利便を確保しつつ、資金需要者等の保護の徹底を図る観点から、貸金業者には現金自動設備に係るシステムのセキュリティ対策を十分に講じることが要請される。

      また、他の貸金業者等と現金自動設備の利用提携をしている場合において、セキュリティ対策が脆弱な現金自動設備に係るシステムを放置している貸金業者が存在したときは、他の貸金業者等に影響が及ぶことにも留意する必要がある。

      • イ.内部管理態勢の整備

        犯罪技術の巧妙化等の情勢の変化を踏まえ、ローンカード(貸金業者が発行する貸付け専用のカードをいい、キャッシング機能付きのクレジットカードを含む。以下II-2-4において同じ。)の偽造等の犯罪行為に対する対策等について、貸金業者が取り組むべき経営課題の一つとして位置付け、セキュリティ・レベルの向上に努めているか。

      • ロ.セキュリティの確保

        ローンカードや現金自動設備に係るシステムについて、セキュリティ・レベルを一定の基準に基づき評価するとともに、当該評価を踏まえ、セキュリティ・レベルを維持・向上するために適切な対策を講じているか。

        • (参考) セキュリティに関する基準としては、「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」(公益財団法人金融情報システムセンター編)などがある。

      • ハ.資金需要者等への対応

        スキミングの可能性、暗証番号の盗取の可能性、類推されやすい暗証番号の使用の危険性等、現金自動設備の利用に伴う様々なリスクについて、資金需要者等に対する十分な説明態勢が整備されているか。

        また、資金需要者等への周知(公表を含む。)が必要な場合、速やかに周知できる態勢が整備されているか。特に、被害にあう可能性がある資金需要者等を特定可能な場合は、可能な限り迅速に資金需要者等に連絡するなどして被害を最小限に抑制するための措置を講じることとしているか。

        被害発生後の資金需要者等に対する対応や捜査当局に対する協力に関する対応について必要な検討を行っているか。不正な取引に関する記録を適切に保存するとともに、資金需要者等や捜査当局から当該資料の提供を求められたときに、これに誠実に協力することとされているか。

      • ニ.現金自動設備に係るシステムの運用・管理を外部委託している場合の対策

        現金自動設備に係るシステムに関し、外部委託がなされている場合、外部委託に係るリスクを検討し、必要なセキュリティ対策が講じられているか。

    • マル12システム統合リスク

      合併やシステムの共同化に伴うシステム統合(システム更改を含む。以下同じ。)の実施に当たっては、システム統合における事務・システム等の統合準備が不十分なことにより、事務の不慣れ等から役職員が正確な事務を誤り、あるいはコンピュータシステムのダウン又は誤作動等が発生し、その結果、サービスに混乱を来たすリスク(以下「システム統合リスク」という。)の顕在化を防止するため、システム開発会社だけでなく、貸金業者においても、実効性のあるプロジェクト管理態勢の構築(いわゆる「プロジェクトマネジメント」の実施)が不可欠であると考えられる。プロジェクトマネジメントの検証に当たっての具体的な着眼点を以下に例示する。

      • イ.経営陣の責任分担及び経営姿勢の明確化

        経営陣は、システム統合リスクについて十分に認識し、プロジェクトマネジメントの重要性を正確に理解しているか。

        また、システム統合に係る役職員の責任分担を明確化するとともに、自らの経営姿勢を明確化しているか。

      • ロ.システム統合計画の策定

        システム統合計画の策定に際しては、徹底したリスクの洗出しが行われ、その軽減策が講じられるとともに、十分かつ保守的な移行判定項目・基準が定められているか。また、移行判定項目・基準等においては、全ての役職員がいつまでに何をすべきかが明確に定められているか。

        さらに、システム統合計画の妥当性について、第三者機関による評価等も活用して、客観的・合理的に検証しているか。

      • ハ.システムの企画・開発

        システム統合に係るシステムの企画・開発に当たっては、当該システムの機能が法令の規定に沿ったものとなっているか、法令に基づく手続に不備はないか等を検証しているか。

      • ニ.十分なテスト・リハーサル体制の構築

        レビューやテスト不足が原因で、資金需要者等に影響が及ぶような障害が発生しないような十分なテスト・リハーサル体制を構築しているか。具体的には、レビュー実施計画は、工程ごとの品質状況を管理するものとなっているか。また、テスト計画はシステム統合に伴う開発内容に適合したものとなっているか。

      • ホ.事務手続の習得教育・障害訓練

        システム統合により、事務処理の方式に変更が生じる場合には、事務手続の習得教育・障害訓練は十分行われているか。さらに、その進捗状況を把握・評価する体制が整備されているか。

      • ヘ.資金需要者等への説明等

        システム統合により、取り扱うサービスに変更がある場合には、資金需要者等の利便性に配慮した検討を行ったうえで、資金需要者等への周知が適切に行われているか。

      • ト.外部委託先の管理態勢

        システム開発等に係る業務を外部委託する場合であっても、貸金業者自らが主体的に関与する態勢を構築しているか。

      • チ.プロジェクトの進捗管理

        経営陣はシステム統合計画の進捗管理に際し、残存課題等の問題点を把握するとともに、その解消予定の見定めを十分に行っているか。

        システム統合が遅延した場合にスケジュールを見直す基準を策定するなど、不測の事態が生じた場合に適切に対応できる体制を整備しているか。

      • リ.厳正な移行判定の実施

        移行判定時までに、必要なテスト・リハーサル、研修及び訓練等(コンティンジェンシープランの訓練及びその結果を踏まえたプランの見直しまで含む。)が終了し、移行判定に不可欠な材料が揃うスケジュール・計画となっているか。

      • ヌ.コンティンジェンシープランの策定等

        システム障害等の不測の事態に対応するため、システム統合に係るコンティンジェンシープランが策定され、十分な回数の訓練が行われているか。障害の内容・原因、復旧見込み等について公表するとともに、コールセンターの迅速な開設等、資金需要者等からの問い合わせに的確に対応する体制が整備されているか。

      • ル.実効性のある内部監査・第三者評価

        • a.内部監査部門によるシステム統合計画の進捗状況のモニタリング・検証がシステム統合リスク管理態勢の実効性等の観点から行われているか。また、内部監査部門にシステムの開発過程等プロセス監査に精通した要員を確保しているか。

          • (注)外部監査人によるシステム監査を導入する方が監査の実効性があると考えられる場合には、内部監査に代え外部監査を利用して差し支えない。

        • b.システム統合に係る重要事項の判断に際して、システム監査人による監査等の第三者機関による評価を効果的に活用しているか。

    • (参考)システムリスクについての参考資料として、例えば「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」(公益財団法人金融情報システムセンター編)などがある。

  • (2)監督手法・対応

    • マル1問題認識時

      日常の監督事務等を通じて把握された貸金業者のシステムリスク管理態勢上の課題については、貸金業者又はその外部委託先に対し深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な改善状況を把握することとする。

      また、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、法第24条の6の3又は第24条の6の4に基づき業務改善命令等を発出する等の対応を行うものとする。

    • マル2障害発生時

      • イ.コンピュータシステムの障害やサイバーセキュリティ事案の発生を認識次第、直ちに、その事実についての当局あて報告を求めるとともに、「障害発生等報告書」(別紙様式1)にて当局あて報告を求めるものとする。

        また、復旧時、原因解明時には改めてその旨報告を求めることとする(ただし、復旧原因の解明がされていない場合でも1か月以内に現状について報告を行うこと。)。

        なお、財務局は貸金業者から報告があった場合は直ちに監督局金融会社室に連絡すること。

        • (注)報告すべきシステム障害等

          その原因の如何を問わず、貸金業者又は貸金業者から業務の委託を受けた者等が現に使用しているシステム・機器(ハードウェア、ソフトウェア共)に発生した障害(受払等業務委託先が設置した自動契約受付機又は現金自動設備に係るシステムにおいて発生した障害を除く。)であって、借入れ・返済、契約の締結、書面の交付その他資金需要者等の利便等に影響があるもの又はそのおそれがあるもの。

          ただし、一部のシステム・機器にこれらの影響が生じても他のシステム・機器が速やかに代替することで実質的にはこれらの影響が生じない場合を除く。

          なお、障害が発生していない場合であっても、サイバー攻撃の予告がなされ、又はサイバー攻撃が検知される等により、資金需要者等や業務に影響を及ぼす、又は及ぼす可能性が高いと認められる時は、報告を要するものとする。

      • ロ.必要に応じて法第24条の6の10に基づき追加の報告を求め、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、法第24条の6の3に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令違反行為が認められる等のときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

    • マル3システム統合時

      貸金業者がシステム統合を決定した場合には、必要に応じて、システム統合に向けたスケジュール等及びその進捗状況について、システム統合を円滑に実施するための具体的な計画、システム統合リスクに係る内部管理態勢(内部監査を含む。)、その他の事項について資料の提出を求めるとともに、システム統合の決定後から当該システム統合完了までの間、法第24条の6の10に基づく報告を定期的に求めるものとする。

II -2-5 取引時確認、疑わしい取引の届出

犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)に基づく取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(犯収法第11条に定める取引時確認等の措置をいう。以下「取引時確認等の措置」という。)に関する内部管理態勢を構築することは、組織犯罪による金融サービスの濫用を防止し、我が国金融市場に対する信頼を確保するためにも重要な意義を有している。貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

(注)  取引時確認等の措置の的確な実施に当たっては、「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(平成24年10月金融庁)を参考にすること。
  • (1)主な着眼点

    • マル1取引時確認等の措置を的確に実施するための態勢が整備されているか。

      • イ.管理職レベルのテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のコンプライアンス担当者など、犯収法第11条第3号の規定による統括管理者として、適切な者を選任・配置するよう努めているか。

      • ロ.テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて調査・分析し、その結果を勘案した措置を講じるために、以下のような対応を行うことに努めているか。

        • a.犯収法第3条第3項に基づき国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、取引・商品特性や取引形態、取引に関係する国・地域、顧客属性等の観点から、自らが行う取引がテロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて適切に調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(以下「特定事業者作成書面等」という。)を作成し、定期的に見直しを行うこと。

        • b.特定事業者作成書面等の内容を勘案し、必要な情報を収集・分析すること、並びに保存している確認記録及び取引記録等について継続的に精査すること。

        • c.犯収法第4条第2項前段に定める厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引若しくは犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(以下「犯収法施行規則」という。)第5条に定める顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引又はこれら以外の取引で犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案してテロ資金供与やマネー・ローンダリング等の危険性の程度が高いと認められる取引(以下「高リスク取引」という。)を行う際には、統括管理者が承認を行い、また、情報の収集・分析を行った結果を記載した書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存すること。

      • ハ.社内規則等において、取引時確認等の措置を行うための社内態勢や手続きが明確に定められているか。また、役職員に対して、その内容について周知徹底を行い、その理解が十分に図られているか。

      • ニ.取引時確認等の措置を行うに当たって、生年月日や住所等の資金需要者等の属性を適切に把握するとともに、本人確認書類の提出等により、その信ぴょう性・妥当性の確認が行われているか。資金需要者等に関して特に問題等が認められた場合、適正に対応・管理を行っているか。

        また、資金需要者等から取得した取引時確認情報については、取引の継続的なモニタリング等を通じて、その属性の把握に常時努め、最新のものとすることが確保されているか。

      • ホ.法人顧客との取引における実質的支配者の確認や、外国PEPs(注)該当性の確認、個人番号や基礎年金番号の取扱いを含む本人確認書類の適切な取扱いなど、取引時確認を適正に実施するための態勢が整備されているか。

        • (注)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(以下「犯収法施行令」という。)第12条第3項各号及び犯収法施行規則第15条各号に掲げる外国の元首及び外国政府等において重要な地位を占める者等をいう。

        とりわけ、犯収法第4条第2項前段及び犯収法施行令第12条各項に定める、下記a.~d.のような厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引を行う場合には、顧客の本人特定事項を、通常と同様の方法に加え、追加で本人確認書類又は補完書類の提示を受ける等、通常の取引よりも厳格な方法で確認するなど、適正に(再)取引時確認が行われているか。また、資産及び収入の状況の確認が義務づけられている場合について、適正に確認が行われているか。

        • a.取引の相手方が関連取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引

        • b.関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引

        • c.犯収法施行令第12条第2項に定める、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との特定取引等

        • d.外国PEPsに該当する顧客等との特定取引

          このほか、敷居値以下であるが1回当たりの取引の金額を減少させるために一の取引を分割したものであることが一見して明らかな取引(犯収法施行令第7条第3項各号に掲げる取引に限る。)については、特定取引とみなして、取引時確認を適切に実施することとしているか。

      • ヘ.資金需要者等の取引時確認に当たって、取引形態(例えば、インターネットによる非対面取引等)を考慮した措置が講じられているか。

      • ト.役職員の採用に当たって、テロ資金供与やマネー・ローンダリング対策の適切な実施の観点も含めて選考が行われているか。

      • チ.役職員に対して、取引時確認に関する研修・教育が定期的かつ継続的に実施されているか。また、研修等を受けた役職員の理解状況について、日常業務における実践も踏まえ、評価及びフォローアップが適宜行われているか。

      • リ.取引時確認の実施に関して、社内における定期的な点検や内部監査を通じて、その実施状況を把握・検証し、実施方法の見直しを行う等、その実効性が確保されているか。

    • マル2疑わしい取引の届出を的確に実施するための態勢が整備されているか。

      • イ.社内規則等において、疑わしい取引の届出を行うための社内態勢や手続きが明確に定められているか。また、役職員に対して、その内容について周知徹底を行い、その理解が十分に図られているか。

      • ロ.疑わしい取引の届出に該当するか否かの判断を行うに当たって、貸金業者が取得した取引時確認情報、取引時の状況その他貸金業者が保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案した上で、犯収法第8条第2項及び犯収法施行規則第26条、第27条に基づいた届出の必要性の判断が行われているか。また、その取引等に関して特に問題等が認められた場合、適正に対応・管理を行っているか。なお、判断に当たっては、特に以下の点に留意しているか。

        • a.貸金業者の行っている業務内容・業容に応じて、システム、マニュアル等により、疑わしい顧客や取引等を検出・監視・分析すること。

        • b.犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案の上、国籍(例:FATFが公表するマネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域)、外国PEPs該当性、資金需要者等の属性等を考慮すること。また、既存顧客との継続取引や高リスク取引等の取引区分に応じて、適切に確認・判断を行うこと。

      • ハ.疑わしい取引に該当すると判断された場合には、統括部署において、速やかに当局に届出を行うこととされているか。

      • ニ.役職員の採用に当たって、テロ資金供与やマネー・ローンダリング対策の適切な実施の観点も含めて選考が行われているか。

      • ホ.役職員に対して、疑わしい取引の届出に関する研修・教育が定期的かつ継続的に実施されているか。また、研修等を受けた役職員の理解状況について、日常業務における実践も踏まえ、評価及びフォローアップが適宜行われているか。

      • ヘ.疑わしい取引の届出に関して、社内における定期的な点検や内部監査を通じて、その実施状況を把握・検証し、実施方法の見直し等を行う等、その実効性が確保されているか。

    • マル3取引時確認と疑わしい取引の届出が相互に関連性を有していることを十分に認識し、取引時確認の的確な実施により資金需要者等の基礎的な情報を把握し、その上で当該情報及び資金需要者等の取引態様等を総合的に勘案のうえ判断し、疑わしい取引の届出が行われるよう、一体的、一元的な社内体制等が構築されているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された取引時確認等の措置に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、顧客管理態勢に不備があるなど資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対し、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令等を発出するものとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項はIII-5-1による)。

    (注)  取引時確認の取扱いについては、別途、犯収法に基づき必要な措置をとることができることに留意する。

II -2-6 反社会的勢力による被害の防止

反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを推進していくことは、企業にとって社会的責任を果たす観点から必要かつ重要なことである。特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む貸金業者においては、貸金業者自身や役職員のみならず、顧客等の様々なステークホルダーが被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を金融取引から排除していくことが求められる。

もとより貸金業者として業務の適切性を確保するためには、反社会的勢力に対して屈することなく法令等に則して対応することが不可欠であり、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の趣旨を踏まえ、平素より、反社会的勢力との関係遮断に向けた態勢整備に取り組む必要がある。

特に、近時反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業を使い通常の経済取引を装って巧みに取引関係を構築し、後々トラブルとなる事例も見られる。こうしたケースにおいては経営陣の断固たる対応、具体的な対応が必要である。

なお、役職員の安全が脅かされる等不測の事態が危惧されることを口実に問題解決に向けた具体的な取組みを遅らせることは、かえって貸金業者や役職員自身等への最終的な被害を大きくし得ることに留意する必要がある。

(参考)  「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)
  • マル1反社会的勢力による被害を防止するための基本原則

    • 組織としての対応

    • 外部専門機関との連携

    • 取引を含めた一切の関係遮断

    • 有事における民事と刑事の法的対応

    • 裏取引や資金提供の禁止

  • マル2反社会的勢力のとらえ方

    暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である(平成23年12月22日付警察庁次長通達「組織犯罪対策要綱」参照)。

  • (1)主な着眼点

    反社会的勢力とは一切の関係をもたず、反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点で可能な限り速やかに関係を解消するための態勢整備及び反社会的勢力による不当要求に適切に対応するための態勢整備の検証については、個々の取引状況等を考慮しつつ、例えば以下のような点に留意することとする。

    • マル1組織としての対応

      反社会的勢力との関係の遮断に組織的に対応する必要性・重要性を踏まえ、担当者や担当部署だけに任せることなく経営陣が適切に関与し、組織として対応することとしているか。また、貸金業者単体のみならず、貸金業における反社会的勢力との関係遮断のため、グループ一体となって、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。さらに、グループ外の他社(信販会社等)との提携により貸付けを行う場合においても、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。

    • マル2反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築

      反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築され、機能しているか。

      特に、一元的な管理態勢の構築に当たっては、以下の点に十分留意しているか。

      • イ.反社会的勢力対応部署において反社会的勢力に関する情報を積極的に収集・分析するとともに、当該情報を一元的に管理したデータベースを構築し、適切に更新(情報の追加、削除、変更等)する体制となっているか。また、当該情報の収集・分析等に際しては、グループ内で情報の共有に努め、業界団体等から提供された情報を積極的に活用しているか。さらに、当該情報を取引先の審査や当該貸金業者における株主の属性判断等を行う際に、適切に活用する体制となっているか。

      • ロ.反社会的勢力対応部署において対応マニュアルの整備や継続的な研修活動、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関との平素からの緊密な連携体制の構築を行うなど、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みの実効性を確保する体制となっているか。特に、平素より警察とのパイプを強化し、組織的な連絡体制と問題発生時の協力体制を構築することにより、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報する体制となっているか。

      • ハ.反社会的勢力との取引が判明した場合及び反社会的勢力による不当要求がなされた場合等において、当該情報を反社会的勢力対応部署へ迅速かつ適切に報告・相談する体制となっているか。また、反社会的勢力対応部署は、当該情報を迅速かつ適切に経営陣に対し報告する体制となっているか。さらに、反社会的勢力対応部署において実際に反社会的勢力に対応する担当者の安全を確保し担当部署を支援する体制となっているか。

    • マル3適切な事前審査の実施

      反社会的勢力との取引を未然に防止するため、反社会的勢力に関する情報等を活用した適切な事前審査を実施するとともに、契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入を徹底するなど、反社会的勢力が取引先となることを防止しているか。

      提携ローン(4者型)(注)については、暴力団排除条項の導入を徹底の上、貸金業者が自ら事前審査を実施する体制を整備し、かつ、提携先の信販会社における暴力団排除条項の導入状況や反社会的勢力に関するデータベースの整備状況等を検証する態勢となっているか。

      • (注)提携ローン(4者型)とは、加盟店を通じて顧客からの申込みを受けた信販会社が審査・承諾し、信販会社による保証を条件に貸金業者が当該顧客に対して資金を貸付けるローンをいう。

    • マル4適切な事後検証の実施

      反社会的勢力との関係遮断を徹底する観点から、既存の債権や契約の適切な事後検証を行うための態勢が整備されているか。

    • マル5反社会的勢力との取引解消に向けた取組み

      • イ.反社会的勢力との取引が判明した旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

      • ロ.平素から警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と緊密に連携しつつ、株式会社整理回収機構のサービサー機能を活用する等して、反社会的勢力との取引の解消を推進しているか。

      • ハ.事後検証の実施等により、取引開始後に取引の相手方が反社会的勢力であると判明した場合には、可能な限り回収を図るなど、反社会的勢力への利益供与にならないよう配意しているか。

      • 二.いかなる理由であれ、反社会的勢力であることが判明した場合には、資金提供や不適切・異例な取引を行わない態勢を整備しているか。

    • マル6反社会的勢力による不当要求への対処

      • イ.反社会的勢力により不当要求がなされた旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

      • ロ.反社会的勢力からの不当要求があった場合には積極的に警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関に相談するとともに、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等を踏まえた対応を行うこととしているか。特に、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報を行うこととしているか。

      • ハ.反社会的勢力からの不当要求に対しては、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、積極的に被害届を提出するなど、刑事事件化も躊躇しない対応を行うこととしているか。

      • 二.反社会的勢力からの不当要求が、事業活動上の不祥事や役職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査することとしているか。

    • マル7株主情報の管理

      定期的に自社株の取引状況や株主の属性情報等を確認するなど、株主情報の管理を適切に行っているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された反社会的勢力との関係遮断態勢等の課題については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4の規定に基づく厳正な処分について、必要な対応を検討するものとする。

    (行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-7 苦情等への対処(金融ADR制度への対応も含む)

貸金業者が資金需要者等からの相談、苦情、紛争等(以下「苦情等」という。)に迅速かつ適切に対応し、資金需要者等の理解を得ようとすることは、資金需要者等に対する説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ重要な活動の一つである。

また、資金需要者等からの苦情等が当該貸金業者の業務運営に係る問題提起であり、業務改善や資金需要者等へのサービス向上のために有益な情報であることを認識することも重要である。

近年、資金需要者等の保護を図り貸金業務(法第2条第19 項で規定する「貸金業務」を指す。以下同じ。)への資金需要者等の信頼性を確保する観点から、苦情等への事後的な対処の重要性はさらに高まっている。

このような観点を踏まえ、簡易・迅速に苦情処理・紛争解決を行うための枠組みとして金融ADR制度(ADRについて(注)参照)が導入されており、貸金業者においては、金融ADR制度も踏まえつつ、適切に苦情等に対処していく必要がある。

(注)ADR(Alternative Dispute Resolution)

訴訟に代わる、あっせん・調停・仲裁等の当事者の合意に基づく紛争の解決方法であり、事案の性質や当事者の事情等に応じた迅速・簡便・柔軟な紛争解決が期待される。

貸金業務に関する申出としては、相談のほか、いわゆる苦情・紛争などの資金需要者等からの不満の表明など、様々な態様のものがありうる。貸金業者には、これらの様々な態様の申出に対して適切に対処していくことが重要であり、かかる対処を可能とするための適切な内部管理態勢を整備することが求められる。

加えて、貸金業者には、金融ADR制度において、苦情と紛争のそれぞれについて適切な態勢を整備することが求められている。

もっとも、これら苦情・紛争の区別は相対的で相互に連続性を有するものである。特に、金融ADR制度においては、指定ADR機関(注)において苦情処理手続と紛争解決手続の連携の確保が求められていることを踏まえ、貸金業者においては、資金需要者等からの申出を形式的に「苦情」「紛争」に切り分けて個別事案に対処するのではなく、両者の相対性・連続性を勘案し、適切に対処していくことが重要である。

(注)指定ADR機関とは、法第2条第18 項に規定する「指定紛争解決機関」をいう。

II -2-7-1 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立

貸金業者は、金融ADR制度において求められる措置・対応を含め、資金需要者等から申出があった苦情等に対し、自ら迅速・公平かつ適切に対処すべく内部管理態勢を整備する必要がある。

また、経営陣は、苦情等対処機能に関する内部管理態勢の確立について、適切に機能を発揮し、業務の規模・特性に応じて、適切かつ実効性ある態勢を整備する必要がある。

貸金業者の監督に当たっては、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮しつつ、例えば、以下の点に留意することが必要である。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、苦情等に対し迅速・公平かつ適切な対応・処理を可能とするよう、苦情等に係る担当部署、その責任・権限及び苦情等の処理手続を定めるとともに、資金需要者等の意見等を業務運営に反映するよう、業務改善に関する手続を定めているか。

    • マル2法令等を踏まえた苦情等対処の実施態勢の構築

      • イ.社内規則等の周知・徹底

        役職員が社内規則等に基づき、苦情等への対処を適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        特に資金需要者等からの苦情等が多発している場合には、まず社内規則等(苦情等対処に関するものに限らない。)の営業所等に対する周知・徹底状況を確認し、実施態勢面の原因と問題点を検証することとしているか。

      • ロ.苦情等対処の実施態勢

        • 貸金業者は、苦情等への対処に関し、適切に担当者を配置しているか。
        • 資金需要者等からの苦情等について、関係部署が連携のうえ、速やかに処理を行う態勢を整備しているか。特に、苦情等対処における主管部署及び担当者が、個々の役職員が抱える資金需要者等からの苦情等の把握に努め、速やかに関係部署に報告を行う態勢を整備しているか。
        • 苦情等の解決に向けた進捗管理を適切に行い、長期未済案件の発生を防止するとともに、未済案件の速やかな解消を行う態勢を整備しているか。
        • 苦情等の発生状況に応じ、受付窓口における対応の充実を図るとともに、資金需要者等の利便に配慮したアクセス時間・アクセス手段(例えば、電話、手紙、FAX、eメール等)を設定する等、広く苦情等を受け付ける態勢を整備しているか。また、これら受付窓口、申出の方式等について広く公開するとともに、資金需要者等の多様性に配慮しつつ分かりやすく周知する態勢を整備しているか。
        • 苦情等対処に当たっては、個人情報について、個人情報の保護に関する法律その他の法令、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン等に沿った適切な取扱いを確保するための態勢を整備しているか(「 II -2-2 顧客情報管理」を参照)。
        • 代理店を含め、業務の外部委託先が行う委託業務に関する苦情等について、貸金業者への直接の連絡体制を設けるなど、迅速かつ適切に対処するための態勢を整備しているか(「 II -2-3 外部委託」を参照)。
        • 反社会的勢力による苦情等を装った圧力に対しては、通常の苦情等と区別し、断固たる対応をとるため関係部署に速やかに連絡し、必要に応じ警察等関係機関との連携を取った上で、適切に対処する態勢を整備しているか。
      • ハ.資金需要者等への対応

        • 苦情等への対処について、単に処理の手続の問題と捉えるにとどまらず事後的な説明態勢の問題として位置付け、苦情等の内容に応じ資金需要者等から事情を十分にヒアリングしつつ、可能な限り資金需要者等の理解と納得を得て解決することを目指しているか。
        • 苦情等を申し出た資金需要者等に対し、申出時から処理後まで、資金需要者等の特性にも配慮しつつ、苦情等対処の手続の進行に応じた適切な説明(例えば、苦情等対処手続の説明、申出を受理した旨の通知、進捗状況の説明、結果の説明等)を必要に応じて行う態勢を整備しているか。
        • 申出のあった苦情等について、貸金業者自身において対処するばかりでなく、苦情等の内容や資金需要者等の要望等に応じ、資金需要者等に対して適切な外部機関等(金融ADR制度において貸金業者が利用している外部機関も含む。)を紹介するとともに、その標準的な手続の概要等の情報を提供する態勢を整備しているか。
          なお、複数ある苦情処理・紛争解決の手段(金融ADR制度を含む)は任意に選択しうるものであり、外部機関等の紹介に当たっては、資金需要者等の選択を不当に制約することとならないよう留意する必要がある。
        • 外部機関等(金融ADR制度において貸金業者が利用している外部機関も含む。)において苦情等対処に関する手続が係属している間にあっても、当該手続の他方当事者である資金需要者等に対し、必要に応じ、適切な対応(一般的な資料の提供や説明など資金需要者等に対して通常行う対応等)を行う態勢を整備しているか。
      • ニ.情報共有・業務改善等

        • 類型化した苦情等及びその対処結果等が内部管理部門や営業所等に報告されると共に、重要案件と認められた場合、速やかに内部監査部門や経営陣に報告されるなど、事案に応じ必要な関係者間で情報共有が図られる態勢を整備しているか。
        • 苦情等の内容及び対処結果について、自ら対処したものに加え、外部機関が介在して対処したものを含め、適切かつ正確に記録・保存しているか。また、これらの苦情等の内容及び対処結果について、指定ADR機関より提供された情報等も活用しつつ、分析し、その分析結果を継続的に資金需要者等対応・事務処理についての態勢の改善や苦情等の再発防止策・未然防止策に活用する態勢を整備しているか。
      • ホ.外部機関等(金融ADR制度において貸金業者が利用している外部機関も含む。)との関係

        • 迅速な苦情等解決を図るべく、外部機関等に対し適切に協力する態勢を整備しているか。
        • 外部機関等に対して、自ら紛争解決手続の申立てを行う際、自らの手続を十分に尽くさずに安易に申立てを行うのではなく、資金需要者等からの苦情等の申出に対し、十分な対応を行い、かつ申立ての必要性につき適切な検討を行う態勢を整備しているか。
      • ヘ.利息制限法に定める制限利率を超える利息・賠償額の支払が約定された債権について、債務者等又は債務者等であった者から、当該制限利率に基づく引き直し計算による債権の減額又は制限利率を超える利息・賠償額の返還を求められた場合に、当該相手方の法律的知識に十分配慮した上で、可能な限り誠実な対応に努める態勢が整備されているか。

    • マル3内部管理部門等による実効性確保のための措置

      苦情等対処に関して、内部管理部門等における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、苦情等対処機能の実効性が確保されているか。

      さらに、苦情等対処の結果を業務運営に反映させる際、業務改善・再発防止等必要な措置を講じることの判断及び苦情等対処態勢の在り方についての検討及び継続的な見直しについて、経営陣が指揮する態勢が整備されているか。

II -2-7-2 金融ADR制度への対応

II -2-7-2-1 指定紛争解決機関(指定ADR機関)が存在する場合

資金需要者等の利益の保護の充実及び貸金業務への資金需要者等の信頼性の向上を図るためには、貸金業者と資金需要者等との実質的な平等を確保し、中立・公正かつ実効的に苦情等の解決を図ることが重要である。そこで、金融ADR制度において、指定ADR機関によって、専門家等関与のもと、第三者的立場からの苦情処理・紛争解決が行われることとされている。

なお、金融ADR制度においては、苦情処理・紛争解決への対応について、主に貸金業者と指定ADR機関との間の手続実施基本契約(法第2条第23項に規定する「手続実施基本契約」をいう。以下同じ。)によって規律されているところである。

貸金業者においては、指定ADR機関において苦情処理・紛争解決を行う趣旨を踏まえつつ、手続実施基本契約で規定される義務等に関し、適切に対応する必要がある。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    貸金業者は、上記意義を踏まえ、金融ADR制度への対応に当たり、業務の規模・特性に応じ、適切かつ実効性ある態勢を整備しているか。

    なお、「苦情等対処に関する内部管理態勢の確立」( II -2-7-1)における留意点も参照すること。

    • マル1手続実施基本契約

      • 自らが営む貸金業務について、指定ADR機関との間で、速やかに手続実施基本契約を締結しているか。
      • また、例えば、指定ADR機関の指定取消しや新たな指定ADR機関の設立などの変動があった場合であっても、資金需要者等の利便の観点から最善の策を選択し、速やかに必要な措置(新たな苦情処理措置・紛争解決措置の実施、手続実施基本契約の締結など)を講じるとともに、資金需要者等へ周知する等の適切な対応を行っているか。

      • 指定ADR機関と締結した手続実施基本契約の内容を誠実に履行する態勢を整備しているか。
    • マル2公表・周知・資金需要者等への対応

      • 手続実施基本契約を締結した相手方である指定ADR機関の商号又は名称、及び連絡先を適切に公表しているか。
      • 公表の方法について、例えば、ホームページへの掲載、ポスターの店頭掲示、パンフレットの作成・配布又はマスメディアを通じての広報活動等、業務の規模・特性に応じた措置をとることが必要である。仮に、ホームページに掲載したとしても、これを閲覧できない資金需要者等も想定される場合には、そのような資金需要者等にも配慮する必要がある。

        公表する際は、資金需要者等にとって分かりやすいように表示しているか(例えば、ホームページで公表する場合において、資金需要者等が容易に金融ADR制度の利用に関するページにアクセスできるような表示が望ましい。)。

      • 手続実施基本契約も踏まえつつ、資金需要者等に対し、指定ADR機関による標準的な手続のフローや指定ADR機関の利用の効果(時効中断効等)等必要な情報の周知を行う態勢を整備しているか。
  • (2)苦情処理手続・紛争解決手続についての留意事項

    貸金業者が手続実施基本契約により手続応諾・資料提出・特別調停案尊重等の各義務を負担することを踏まえ、検証に当たっては、例えば、以下の点に留意することが必要である。

    • マル1共通事項

      • 指定ADR機関から手続応諾・資料提出等の求めがあった場合、正当な理由がない限り、速やかにこれに応じる態勢を整備しているか。
      • 指定ADR機関からの手続応諾・資料提出等の求めに対し拒絶する場合、苦情・紛争の原因となった部署のみが安易に判断し拒絶するのではなく、組織として適切に検討を実施する態勢を整備しているか。また、可能な限り、その判断の理由(正当な理由)について説明する態勢を整備しているか。
    • マル2紛争解決手続への対応

      • 紛争解決委員から和解案の受諾勧告又は特別調停案の提示がされた場合、速やかに受諾の可否を判断する態勢を整備しているか。
      • 和解案又は特別調停案を受諾した場合、担当部署において速やかに対応するとともに、その履行状況等を内部管理部門等が事後検証する態勢を整備しているか。
      • 和解案又は特別調停案の受諾を拒絶する場合、業務規程(法第41 条の44 第1項で規定する「業務規程」を指す。)等を踏まえ速やかにその理由を説明するとともに、訴訟提起等の必要な対応を行う態勢を整備しているか。

II -2-7-2-2 指定ADR機関が存在しない場合

金融ADR制度においては、指定ADR機関が存在しない場合においても、代わりに苦情処理措置・紛争解決措置を講ずることが法令上求められている。貸金業者においては、これらの措置を適切に実施し、貸金業務に関する苦情・紛争を簡易・迅速に解決することにより、資金需要者等の保護の充実を確保し、資金需要者等の信頼性の向上に努める必要がある。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    貸金業者は、苦情処理措置・紛争解決措置を講じる場合、金融ADR制度の趣旨を踏まえ、資金需要者等からの苦情・紛争の申出に関し、業務の規模・特性に応じ、適切に対応する態勢を整備しているか。

    なお、「苦情等対処に関する内部管理態勢の確立」( II -2-7-1)における留意点も参照すること。

    • マル1苦情処理措置・紛争解決措置の選択

      • イ.自らが営む貸金業務の内容、苦情等の発生状況及び営業地域等を踏まえて、法令で規定されている以下の各事項のうちの一つ又は複数を苦情処理措置・紛争解決措置として適切に選択しているか。なお、その際は、例えば、資金需要者等が苦情・紛争を申し出るに当たり、資金需要者等にとって地理的にアクセスしやすい環境を整備するなど、資金需要者等の利便の向上に資するような取組みを行うことが望ましい。

        • a.苦情処理措置

          • 苦情処理に従事する役職員の助言・指導を一定の経験を有する消費生活専門相談員等に行わせること
          • 貸金業者自身で業務運営体制・社内規則を整備し、公表等すること
          • 貸金業協会を利用すること
          • 国民生活センター、消費生活センターを利用すること
          • 他の業態の指定ADR機関を利用すること
          • 苦情処理業務を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること
        • b.紛争解決措置

          • 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に定める認証紛争解決手続を利用すること
          • 弁護士会を利用すること
          • 国民生活センター、消費生活センターを利用すること
          • 他の業態の指定ADR機関を利用すること
          • 紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること
      • ロ.苦情・紛争の処理状況等のモニタリング等を継続的に行い、必要に応じ、苦情処理措置・紛争解決措置について検討及び見直しを行う態勢を整備しているか。

      • ハ.苦情処理業務・紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人(上記イのaの「苦情処理業務を公正かつ的確に遂行できる法人」又はbの「紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人」)を利用する場合、当該法人が苦情処理業務・紛争解決業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人であること(施行規則第10 条の6の2第1項第5号、同条第2項第4号に規定する法人をいう。)について、相当の資料等に基づいて、合理的に判断しているか。

      • ニ.外部機関を利用する場合、必ずしも当該外部機関との間において業務委託契約等の締結までは求められていないが、標準的な手続のフローや、費用負担に関する事項等について予め取決めを行っておくことが望ましい。

      • ホ.外部機関の手続を利用する際に費用が発生する場合について、資金需要者等の費用負担が過大とならないような措置を講じる等、苦情処理・紛争解決の申立ての障害とならないような措置を講じているか。

    • マル2運用

      苦情処理措置・紛争解決措置の適用範囲を過度に限定的なものとするなど、不適切な運用を行っていないか。なお、苦情処理措置と紛争解決措置との間で適切な連携を確保しているかについても留意する必要がある。

  • (2)苦情処理措置(貸金業者自身で態勢整備を行う場合)についての留意事項

    • マル1消費生活専門相談員等による役職員への助言・指導態勢を整備する場合

      • 定期的に消費生活専門相談員等による研修を実施する等、苦情処理に従事する役職員のスキルを向上させる態勢を整備しているか。

      • 消費生活専門相談員等との連絡体制を築く等、個別事案の処理に関し、必要に応じ、消費生活専門相談員等の専門知識・経験を活用する態勢を整備しているか。

    • マル2貸金業者自身で業務運営体制・社内規則を整備する場合

      • 苦情の発生状況に応じ、業務運営体制及び社内規則を適切に整備するとともに、当該体制・規則に基づき公正かつ的確に苦情処理を行う態勢を整備しているか。

      • 苦情の申出先を資金需要者等に適切に周知するとともに、苦情処理にかかる業務運営体制及び社内規則を適切に公表しているか。

        周知・公表の内容として、必ずしも社内規則の全文を公表する必要はないものの、資金需要者等が、苦情処理が適切な手続に則って行われているかどうか自ら確認できるようにするため、苦情処理における連絡先及び標準的な業務フロー等を明確に示すことが重要であることから、それに関連する部分を公表しているかに留意する必要がある。

        なお、周知・公表の方法について、 II -2-7-2-1(1)マル2を参照のこと。

  • (3)苦情処理措置(外部機関を利用する場合)及び紛争解決措置の留意事項

    • マル1周知・公表等

      • 貸金業者が外部機関を利用している場合、資金需要者等の保護の観点から、例えば、資金需要者等が苦情・紛争を申し出るに当たり、外部機関を利用できることや、外部機関の名称及び連絡先、その利用方法等、外部機関に関する情報について、資金需要者等にとって分かりやすいように、周知・公表を行うことが望ましい。

      • 苦情処理・紛争解決の申立てが、地理又は苦情・紛争内容その他の事由により、資金需要者等に紹介した外部機関の取扱範囲外のものであるとき、又は他の外部機関等(苦情処理措置・紛争解決措置として貸金業者が利用している外部機関に限らない。)による取扱いがふさわしいときは、他の外部機関等を資金需要者等に紹介する態勢を整備しているか。

    • マル2手続への対応

      • 外部機関から苦情処理・紛争解決の手続への応諾、事実関係の調査又は関係資料の提出等を要請された場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかにこれに応じる態勢を整備しているか。

      • 苦情処理・紛争解決の手続への応諾、事実関係の調査又は関係資料の提供等の要請を拒絶する場合、苦情・紛争の原因となった部署のみが安易に判断し拒絶するのではなく、苦情・紛争内容、事実・資料の性質及び外部機関の規則等を踏まえて、組織として適切に検討を実施する態勢を整備しているか。また、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、可能な限り拒絶の理由について説明する態勢を整備しているか。

      • 紛争解決の手続を開始した外部機関から和解案、あっせん案等の解決案(以下、「解決案」という。)が提示された場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかに受諾の可否を判断する態勢を整備しているか。

      • 解決案を受諾した場合、担当部署において速やかに対応するとともに、その履行状況等を内部管理部門等が事後検証する態勢を整備しているか。

      • 解決案の受諾を拒絶する場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかにその理由を説明するとともに、必要な対応を行う態勢を整備しているか。

II -2-7-2-3 各種書面への記載

貸金業者は、各種書面において金融ADR制度への対応内容を記載することが、法令上、義務付けられている(法第16 条の2に規定する契約締結前の書面等)。それらの書面には、指定ADR機関が存在しない場合は苦情処理措置・紛争解決措置の内容を記載する必要があるが、例えば、貸金業者が外部機関を利用している場合、当該外部機関(苦情処理・紛争解決にかかる業務の一部を他の機関に委託等している場合、当該他の機関も含む)の名称及び連絡先など、実態に即して適切な事項を記載するべきことに留意する。

II -2-7-3 監督手法・対応

検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の金融ADR制度への対応を含む苦情等対処態勢の課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

この点、指定ADR機関が存在する場合において、貸金業者に手続応諾義務等への違反・懈怠等の問題が認められた場合であっても、一義的には貸金業者と指定ADR機関との手続実施基本契約にかかる不履行であるため、直ちに行政処分の対象となるものではなく、当局としては、貸金業者の対応を全体的・継続的にみて判断を行うものとする。

なお、一般に資金需要者等と貸金業者との間で生じる個別の紛争は、私法上の契約に係る問題であり、基本的にADRや司法の場を含め当事者間で解決されるべき事柄であることに留意する必要がある。

II -2-8 不祥事件に対する監督上の対応

施行規則第26条の25第1項第4号に規定する「役員又は使用人に貸金業の業務に関し法令に違反する行為又は貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為」(以下「不祥事件」という。)が発生した場合の監督上の対応については、以下のとおり取扱うこととする。

なお、不祥事件とは、貸金業の業務に関し法令に違反する行為の外、次に掲げる行為が該当する。

  • 貸金業の業務に関し、資金需要者等の利益を損なうおそれのある詐欺、横領、背任等。

  • 貸金業の業務に関し、資金需要者等から告訴、告発され又は検挙された行為。

  • その他貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為であって、上記に掲げる行為に準ずるもの。

  • (1)主な着眼点

    • マル1貸金業者において不祥事件が発覚し、当該貸金業者から第一報があった場合は、以下の点を確認するものとする。なお、貸金業者から第一報がなく届出書の提出があった場合にも、同様の取扱いとする。

      • イ. 社内規則等に則った内部管理部門への迅速な報告及び経営陣への報告。

      • ロ. 刑罰法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報。

      • ハ. 独立した部署(内部監査部門等)での不祥事件の調査・解明の実施。

    • マル2不祥事件と貸金業者の業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証を行うこととする。

      • イ. 不祥事件の発覚後の対応は適切か。

      • ロ. 不祥事件への経営陣の関与はないか、組織的な関与はないか。

      • ハ. 不祥事件の内容が資金需要者等に与える影響はどうか。

      • ニ. 内部牽制機能が適切に発揮されているか。

      • ホ. 再発防止のための改善策の策定や自浄機能は十分か、関係者の責任の追及は明確に行われているか。

      • ヘ. 資金需要者等に対する説明や問い合わせへの対応等は適切か。

  • (2)監督手法・対応

    不祥事件の届出があった場合には、事実関係(当該行為が発生した営業所等、当該行為者の氏名・職名・職歴(貸金業務取扱主任者である場合にはその旨)、当該行為の概要、発覚年月日、発生期間、発覚の端緒)、発生原因分析、改善・対応策等について深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者の自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-9 貸金業務取扱主任者

主任者に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      • イ. 法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、主任者を適正に設置するための社内規則等が整備されているか。

      • ロ. 法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、主任者の果たすべき役割、その権限などを規定した社内規則等が整備されているか。

    • マル2主任者の役割等に関する実施態勢の構築

      • イ. 社内規則等に基づき、主任者の適正な設置及び主任者が適切に助言・指導を行うことができるよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      • ロ. 主任者を、法令及び社内規則等に則って営業所等ごとに適正に設置するための態勢が整備されているか。

        (注1)営業所等ごとに設置する主任者数は、法第12条の4第2項の従業者名簿に記載されるべき従業者の数で除した数が50分の1以上になることに留意すること。

        (注2)施行規則第10条の8に規定する「営業所等において貸金業の業務に従事する者」とは、法第12条の4第2項に規定する従業者名簿に記載されるべき従業者数の数と一致することに留意すること。

      • ハ. 社内規則等に則り、主任者の役割等を適正に確保するための態勢が整備されているか。

        例えば、資金需要者等から苦情の申出があった場合、申出内容を確認の上、当該苦情等に関係する使用人その他の従業者を指導するなど、主任者が適切に助言・指導を行うことができる態勢が整備されているか。

    • マル3内部管理部門等における実効性確保のための措置

      主任者の設置や主任者の果たすべき役割、その権限に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、主任者の適正な設置や主任者の果たすべき役割、その権限について実効性が確保されているか。

  • (2)留意事項

    • マル1施行規則第10条の7第1号の「常時勤務する者」とは、営業時間内に営業所等に常時駐在する必要はないが、単に所属する営業所等が1つに決まっていることだけでは足りず、社会通念に照らし、常時勤務していると認められるだけの実態を必要とする。

    • マル2従業者が従業者名簿の記載対象となるか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断することになるが、勧誘や契約の締結を含む営業、審査、債権の管理・回収及びこれらに付随する事務に従事する者であれば雇用関係・雇用形態を問わず、該当すると考えられる一方、人事、総務、経理、システム管理等その業務遂行の影響が、通常、資金需要者等に及ばない業務に従事する者は、原則として該当しないと考えられる。

    • マル3法第12条の3第3項に定める「予見し難い事由」とは、個別具体的に判断されるが、急な死亡や失踪など限定的に解釈されるべきである。

      会社の都合や定年による退職など会社として予見できると思われるものは含まれない。

    • マル4法第12条の3第3項に定める「必要な措置」とは、営業所等への主任者の設置又は当該営業所等の廃止などが該当する。

  • (3)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された主任者に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-10 禁止行為等

法第12条の6(禁止行為)に係る監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1資金需要者等に虚偽を告げることや不確実な事項について断定的判断を提供することを禁止するなど、法第12条の6の禁止行為に関し規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2内部管理部門において、社内規則等に基づき、適正な業務が行われているか検証する態勢が整備されているか。

  • (2)留意事項

    • マル1法第12条の6第1号に規定する「貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない」行為に該当するかどうかは、個々の事実関係に則して判断する必要があるが、例えば、次のような行為を行う場合には、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、同号から第3号に規定する「告げる」又は「告げない」行為とは必ずしも口頭によるものに限られない。

      • イ. 資金需要者等から契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えること。

      • ロ. 資金需要者等が契約の内容について誤解していること又はその蓋然性が高いことを認識しつつ正確な内容を告げず、資金需要者等の適正な判断を妨げること。

    • マル2法第12条の6第4号の規定は、貸金業者が業務を運営するに当たり不適切な行為を禁止するものであり、「偽りその他不正又は著しく不当な行為」に該当するかどうかは、個別の事実関係に則して、資金需要者等の利益を害する程度や業務の不適切性の程度を総合的に勘案して判断することとなるが、例えば、貸金業者が次のような行為を行う場合は、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、「不正な」行為とは違法な行為、「不当な」行為とは客観的に見て、実質的に妥当性を欠く又は適当でない行為で、不正(違法)な程度にまで達していない行為をいう。

      • イ. 契約の締結又は変更に際して、次に掲げる行為を行うこと。

        • a. 白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。

        • b. 白地手形及び白地小切手を徴求すること。

        • c. 印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。

        • d. 貸付け金額に比し、合理的理由がないのに、過大な担保又は保証人を徴求すること。

        • e. クレジットカードを担保として徴求すること。

        • f. 資金需要者等に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなど虚偽申告を勧めること。

      • ロ. 人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払を要求すること。なお、一切の金銭の支払とは、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするかを問わない。

      • ハ. 顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった貸付けの金額や貸付日などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること。

      • ニ. 貸金業者が、架空名義若しくは借名で金融機関等に口座を開設し又は金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振込みを行うよう要求すること。

      • ホ. 資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、契約を締結すること。

      • ヘ. 資金需要者等が障害者である場合であって、その家族や介助者等のコミュニケーションを支援する者が存在する場合に、当該支援者を通じて資金需要者等に契約内容を理解してもらう等の努力をすることなく、単に障害があることを理由として契約締結を拒否すること。

      • ト. 資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、次に掲げる行為を行うこと。

        • a. 資金需要者等に一方的に不利となる契約の締結を強要すること。

        • b. 今後の貸付けに関して不利な取扱いをする旨を示唆すること等により、株式、出資又は社債の引受けを強要すること。

        • c. 貸付けの契約の締結と併せて自己又は関連会社等の商品又はサービスの購入を強制すること。

      • チ. 確定判決において消費者契約法(平成12年法律第61号)第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む貸付けに係る契約(消費者契約に限る。)を締結すること。

  • (3)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の業務に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-11 契約に係る説明態勢

契約に係る説明態勢に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      資金需要者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえた説明態勢に関し、具体的かつ客観的な基準を定めた社内規則等を整備し、役職員が社内規則等に基づき適正な貸付けの契約(貸付けに係る契約又は当該契約に係る保証契約をいう。以下同じ。)に係る説明を行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      また、貸付けの契約に係る説明を行った際の状況に係る記録の方法を定めるなど、事後検証が可能となる措置が講じられているか。

      (注)「貸付けの契約に係る説明」とは、貸付けの契約の締結の勧誘時、貸付けの契約締結時等、取引関係の見直し時等における説明をいう。

    • マル2法令等を踏まえた契約に係る説明等の対応を行う態勢の構築

      社内規則等に則り、貸付けの契約に係る説明が的確に実施されているか。例えば、以下の点に留意する。

      • イ. 貸付けの契約の締結の勧誘時

        • a. 資金需要者等に対する勧誘状況及び過去の取引状況等について、 例えば、顧客カード(勧誘者リスト等、勧誘を行う基となった資料を含む。)を整備し、特に、被勧誘者から貸付けの契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)の表示の有無について、明確に記録されているか。

          • (注1)勧誘者リストの整備においては、II-2-14に記載した、信用情報の目的外利用に該当しないよう留意すること。

          • (注2)「勧誘」とは、電話や戸別訪問に限らず、電子メール、ダイレクトメールによるものを含む。

        • b. 資金需要勧誘者等にを行った際、再勧誘を希望しない旨の意思表示があった場合は、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について資金需要者等に確認し、適切に記録しているか。

          なお、資金需要者等から、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について確認ができない場合には、勧誘を行った資金需要者等の属性や貸付商品の特性等に応じて再勧誘を希望しない期間等を個別に判断する必要があるが、一般的には、当該貸金業者が行う一切の勧誘について、少なくとも概ね3ヶ月間、再勧誘を希望しないと推定されるものと考えられる。

      • ロ. 貸付けの契約の締結時等

        • a.  貸付けの契約を締結しようとする場合は、契約内容を口頭で十分に説明することになっているか。口頭で十分な説明ができない場合は、例えば顧客等(資金需要者である顧客又は保証人となろうとする者をいう。以下同じ。)からの電話による問合せ窓口の設置や説明内容のホームページへの掲載等の補完的手段が講じられているか。

          貸金業者がインターネット等の口頭での説明が困難である手段を通じて貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等が貸金業者のホームページ上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする方法等で、顧客等が理解した旨を確認することにより、口頭による説明の代替措置が講じられているか。

        • b. 契約の意思形成のために、資金需要者等の十分な理解を得ることを目的として必要な情報(商品又は取引の内容及びリスク等)を的確に提供することとし、特に以下の点に留意しているか。

          • 保証人となろうとする者に当該保証契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、保証契約の形式的な内容にとどまらず、保証人の法的効果とリスクについて、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明(注)を行う)とともに、保証人となろうとする者が、十分な時間的余裕を持ってあらかじめ保証契約の内容及びこれに伴う危険性について十分理解した上で契約を締結することが可能な態勢となっているか。

            • (注)個別の契約内容に即し、相手方の理解力に応じた説明を行う必要があるが、例えば、以下の点について十分な説明を行う必要がある。

              • 保証人は、主たる債務者が債務を履行できない場合には、債務不履行額に遅延損害金を付した額(特約により主たる債務者が一部の債務不履行により残債務の一括返済を行わなければならなくなる場合は当該金額)のうちその保証の範囲内の額を支払わなければならなくなるおそれがあること。

                また、経営に実質的に関与していない第三者と保証契約を締結する場合には、契約締結後、法第19条の2の規定に基づき、主たる債務者の弁済状況について貸金業者が保存する帳簿により確認することができること。

              • 経営に実質的に関与していない第三者と根保証契約を締結する場合には、契約締結後、保証人の要請があれば、定期的又は必要に応じて随時、被保証債務の残高・返済状況について情報を提供すること。

              • 保証人は、保証債務を履行できない場合には、強制執行により、財産を差押えられるおそれがあること。

              • 連帯保証人は、民法第452条に規定する催告の抗弁及び同法453条に規定する検索の抗弁が主張できないことや分別の利益がないことなど、通常の保証人とは異なること。

                • (注)「分別の利益」とは、複数人の保証人が存在する場合、各保証人は債務額を全保証人に均分した部分(負担部分)についてのみ保証すれば足りるという性質をいう。

          • 中小企業・小規模事業者等の経営者等(以下「経営者等」という。)との間で保証契約を締結する場合、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、以下の点について、主債務者と保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行うこととしているか(II-2-13-3(2)参照)。

            • (i)保証契約の必要性

            • (ii)原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること

            • (iii)経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の 変更・解除等の見直しの可能性があること

          • 物的担保を徴求する場合、物的担保を提供する者が当該担保契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、物的担保権が行使されうる場合等、物上保証の法的効果とリスクについて説明を行い、特に、物的担保契約の形式的な内容にとどまらず、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に物的担保権が行使されうる事態を想定した説明を行う)など、物的担保契約の内容を十分理解した上で契約を締結することとなっているか。

          • いわゆる「おまとめローン」を目的とする契約を締結しようとする場合は、資金需要者等に対し、完全施行前の法第43条第1項のみなし弁済の適用に関する説明を行うとともに、必要に応じ、貸金業協会や消費生活センターなど適切な相談窓口を紹介しているか。

      • ハ. 取引関係の見直し時等

        • a. 法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更する場合その他債務者等にとって不利となる契約の見直しを行う場合

          契約の変更箇所について説明を行うとともに、これまでの取引関係や、債務者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえ、債務者等の理解と納得を得ることを目的とした説明態勢が整備されているか。

        • b. 顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合

          これまでの取引関係や、資金需要者等の知識、経験及び財産の状況に応じ可能な範囲で、謝絶の理由等についても説明する態勢が整備されているか。

          例えば、長期的な取引関係を継続してきた顧客に係る手形貸付について更なる更改を謝絶する場合、信義則の観点から顧客の理解と納得が得られるよう、原則として時間的余裕をもって説明することとしているか。

        • c. 経営者等から既存の保証契約の解除等の申入れがあった場合

          「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、真摯かつ柔軟に検討を行うとともに、その検討結果について主債務者及び保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行う態勢が整備されているか(II-2-13-3(2)参照)。

          特に、借り手企業の事業承継時においては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、前経営者が負担する保証債務について、後継者に当然に引き継がせるのではなく、必要な情報開示を得た上で、保証契約の必要性等について改めて検討するとともに、その結果、保証契約を締結する場合には、保証契約の必要性等について主債務者及び後継者に対して丁寧かつ具体的な説明を行う態勢が整備されているか。

          また、前経営者から保証契約の解除を求められた場合には、前経営者が引き続き実質的な経営権・支配権を有しているか否か、当該保証契約以外の手段による既存債権の保全の状況、法人の資産・収益力による借入返済能力等を勘案しつつ、保証契約の解除についての適切な判断を行う態勢が整備されているか(II-2-13-3(2)参照)。

        • d. 延滞債権の回収(担保処分及び個人保証の履行請求によるものを含む。)、企業再生手続(法的整理・私的整理)及び債務者等の個人再生手続等の場合

          • (i) これまでの取引関係や、債務者等の知識、経験及び財産の状況に応じ、かつ、法令に則り、一連の各種手続を段階的かつ適切に執行する態勢が整備されているか。

            例えば、主債務者の経営に実質的に関与していない第三者の保証人に保証債務の履行を求める場合は、保証人が主債務者の状況を当然には知り得る立場にないことに留意し、事後の紛争等を未然に防止するため、必要に応じ、一連の各種手続について通知を行う等適切な対応を行う態勢となっているか。

          • (ii) 手続の各段階で、債務者等から求められれば、その客観的合理的理由を説明することとしているか。

          • (iii) 特に経営者保証における保証債務の履行に際しては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、保証人の手元に残すことのできる残存資産の範囲について、必要に応じ支援専門家とも連携しつつ、保証人の履行能力、経営者たる保証人の経営責任や信頼性、破産手続における自由財産の考え方との整合性等を総合的に勘案して決定する態勢となっているか(II-2-13-3(2)参照)。

    • マル3内部管理部門等による実効性確保のための措置

      貸付けの契約に係る説明に関して、定期的な内部管理部門における当該説明を行った際の状況に関する記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等及び内部監査に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、貸付けの契約に係る説明の実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、貸付けの契約に係る説明の実効性が確保されているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の勧誘・説明態勢等の課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-12 利息、保証料等に係る制限等

貸金業者は、利息制限法に規定する金額を超える利息の契約締結や受領、又はその支払を要求してはならない。

利息、保証料等に係る制限等に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、利息、保証料等に係る制限等を具体的に定めているか。

    • マル2法令等を踏まえた利息、保証料等の制限等に係る実施態勢の構築

      • イ. 役職員が社内規則等に基づき、利息、保証料等の制限等に係る取扱いを適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      • ロ. 貸付けに係る契約を締結するとき、以下の点に留意して、契約内容の確認等を行う態勢の整備がなされているか。

        • a. 法第12条の8第2項に規定する「みなし利息」についても利息に含めて貸付けの契約を締結しているか。

        • b. 法第12条の8第2項に規定する「契約の締結及び債務の弁済の費用」、施行令第3条の2の2に規定する「利息と見なされない費用」及び第3条の2の3に規定する「利用料」は、実費相当額(法令上の上限がある場合にはその範囲内)となっているか。

        • c. 債務履行担保措置に係る契約を、債務履行担保措置を業として営む者と締結することを貸付けに係る契約の条件とする場合、当該債務履行担保措置の対価として支払われる金銭の額と利息を合算した金額が、利息制限法に規定する金額を超えないものとなっているか。

        • d. 同一の債務者に追加的に貸付けを行うにあたっては、利息制限法の上限利率は、同法第5条に基づき、債務者の自社貸付残高に応じて変化することを踏まえ、利率を決定しているか。

        • e. 保証業者と保証契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該保証契約を締結するまでに、当該保証業者への照会その他の方法により、当該保証業者と当該貸付けに係る契約の相手方又は相手方となろうとする者との間における保証料に係る契約の締結の有無及び当該保証料の額を確認しているか。

          また、確認に関する記録を作成し、保存しているか。

        • f. 施行規則第10条の13に規定する保証料に係る契約を、保証業者との間で締結することを貸付けに係る契約の締結の条件とはしない措置を講じているか。

        • g. 保証業者と根保証契約を締結する際に、当該根保証契約が施行規則第10条の14に規定するものであるときは、当該根保証契約の締結をしない措置を講じているか。

        • h. 金銭の貸借の媒介を行った貸金業者は、当該媒介により締結された貸付けに係る契約の債務者から当該媒介の手数料を受領した場合において、当該貸付けに係る契約の更新(施行規則第10条の15の規定を含む。)があったときは、これに対する新たな手数料を受領し、又はその支払いの要求をしない措置を講じているか。

    • マル3内部管理部門等による実効性確保のための措置

      利息、保証料等に係る契約の締結等に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、適正な利息、保証料等に係る契約の締結等その実効性が確保されているか。

  • (2)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の利息・保証料の徴求に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

    なお、法第12条の8第1項、第3項及び第4項の規定により、出資法の上限金利を下回る金利帯であっても、利息制限法の上限金利を上回る利息の契約、受領又は支払の要求をした場合、行政処分の対象となることに留意する。

II -2-13 過剰貸付けの禁止

貸金業者は、過剰貸付けの抑制のために導入された、個人顧客の年収等から算定される当該個人顧客に係る基準額を超える貸付け等を原則禁止する総量規制(本監督指針において「総量規制」という。)を遵守することをはじめ、貸付けの契約を締結するに当たっては、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力を十分に調査する義務があり、調査の結果、その顧客等の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならない。

上記を踏まえ、貸金業者においては、過剰貸付けの防止のための適切な態勢を構築する必要がある。

II -2-13-1 返済能力調査

顧客等の返済能力調査(保証人となろうとする者の返済能力調査を含む。以下同じ。)に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1共通事項

      • イ.法令等を踏まえた社内規則等の整備

        社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、返済能力調査のための社内体制や方法等を具体的に定めているか。

      • ロ.法令等を踏まえた返済能力調査の実施態勢の構築

        • a.役職員が社内規則等に基づき、返済能力調査を適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        • b.社内規則等に則り、返済能力調査を適切に実施する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば以下の点に留意する。

          • i )顧客の収入又は収益、保有資産、家族構成、生活実態などの属性を十分に調査・把握しているか。

          • ii )借入申込書に借入希望額、既往借入額(例えば、他の貸金業者、銀行等からの借入れの額。以下同じ。)、年収額等の項目を顧客自身に記入させること等により、顧客の借入れの意思を確認しているか。

            • (注)顧客が障害者である場合であって、その家族や介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して代筆対応等を行う場合にも、顧客本人の借入れの意思が適切に反映されていることを慎重に確認する必要があることに留意する。

          • iii )物的担保を徴求する場合には、主債務者の属性、事業計画、当該貸付けの返済計画の条件等にかんがみて、当該担保物件を換価しなくても返済しうるか否かを確認しているか。

            また、担保権が実行され、当該担保物件を失うこととなった場合の物的担保提供者の具体的な認識を確認しているか。

          • iv ) 保証を付した貸付けに係る契約を締結する場合には、主債務者の属性、事業計画、当該貸付けの返済計画の条件等にかんがみて、保証人からの代位弁済がなくとも返済しうるか否かを調査しているか。

            また、保証人となろうとする者について、収入又は収益、保有資産、家族構成、生活実態、既往借入額及びその返済状況等の調査を行い、実際に保証債務を履行せざるを得なくなった場合の履行能力及び保証人の具体的な認識を確認しているか。

          • v ) 顧客等の返済能力の調査に関する記録について、法令に則り、また、必要に応じて、顧客等ごとに、適時・適切な作成・保存がなされているか。

      • ハ.内部管理部門等による実効性確保のための措置

        返済能力調査に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、返済能力調査の実効性が確保されているか。

    • マル2個人向貸付けの調査に関する事項

      個人顧客を相手方として貸付けを行う貸金業者については、上記(1)マル1に加え、以下の態勢が整備されているか。

      • イ.個人である顧客等との間で、貸付けの契約を締結しようとする場合又は極度方式基本契約の極度額を増額しようとする場合には、指定信用情報機関と信用情報提供契約を予め締結のうえ、同機関が保有する信用情報を使用して、顧客等の返済能力調査を行うこととしているか。

      • ロ.個人顧客と極度方式基本契約を締結している場合には、法第13条の3第1項及び第2項の規定に基づく調査(以下「途上与信」という。)を適時・適切に行うこととしているか。

        特に、途上与信のうち定期的な調査(法第13条の3第2項の規定による調査)は、施行規則第10条の25第3項の規定により、新たな極度方式貸付けの停止措置を講じている場合(延滞以外を理由とする場合は、当該理由が合理的であり、かつ、当該措置を講じた旨、その年月日及び当該理由が法第19条の帳簿に、施行規則第16条第1項第7号に規定する「交渉の経過の記録」として記載されている場合に限る。)には課されないが、当該貸付けの停止措置を解除しようとする場合には、施行規則第10条の24第1項第2号の規定により、途上与信(法第13条の3第1項の規定による調査)を行わなければならないことに留意する必要がある。

      • ハ.法第13条第3項本文各号のいずれか又は法第13条の3第3項本文に該当することを確認した場合には、当該個人顧客から、施行規則第10条の17第1項に規定される源泉徴収票その他の当該個人顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする書面等(以下「年収証明書」という。)の提出又は提供を適時・適切に受けているか。

        なお、年収証明書の提出を受けられないなど当該個人顧客の年収を把握できないときは、当該個人顧客の返済能力を確認できないことから、法第13条の2第1項により貸付けの契約(極度方式貸付けに係る契約を含む。)を締結できないことに留意する必要がある。

        また、事業所得について、直近の年を含む複数年の連続した期間の事業所得の金額を用いて基準額を算定する場合には、当該算定に用いたすべての年の年収証明書の提出又は提供を受ける必要がある。

      • ニ.途上与信に関する記録について、法令に則り、また、必要に応じて、顧客等ごとに、適時・適切な作成・保存がなされているか。

  • (2)留意事項

    • マル1共通事項

      • イ.施行規則第10条の18第1項第4号に定める「顧客等の借入れの状況に関する調査結果」については、借入額のほか、借入件数、各貸付けに係る契約の内容(除外貸付・例外貸付となる契約であれば、その旨)等、調査の結果判明した「借入れの状況」に関するあらゆる事項を記録する。

      • ロ.施行規則第10条の18第2項第1号に定める「当該貸付けに係る契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したとき」には、債権譲渡は含まれないと考えられる。

    • マル2個人向貸付けに関する事項

      • イ.施行規則第10条の17第1項各号に規定された各書面については、それぞれ下記の法令を根拠として交付されたものであれば、書面の名称の如何を問うものではない。

        • a.源泉徴収票・・・・・・・・・所得税法第226条第1項

        • b.支払調書 ・・・・・・・・・・所得税法第225条第1項

        • c.給与の支払明細書・・・所得税法第231条

        • d.確定申告書・・・・・・・・・所得税法第120条第1項、地方税法第317条の2第1項

        • e.青色申告決算書・・・・・所得税法第143条

        • f.収支内訳書 ・・・・・・・・・所得税法第120条第4項

        • g.納税通知書 ・・・・・・・・地方税法第1条第1項第6号

        • h.納税証明書 ・・・・・・・・地方税法第20条の10

        • i.年金証書 ・・・・・・・・・・・国民年金法第16条、国民年金法施行規則第65条、厚生年金保健法施行規則第82条等

        • j.年金通知書・・・・・・・・・所得税法第231条等

      • ロ.施行規則第10条の17第1項第8号に規定される「所得証明書」には、例えば、以下のようなものが含まれる。

        • a.根拠法令なく、行政サービスの一環として、地方公共団体が交付する所得・課税証明書

        • b.当該個人顧客の勤務先が発行する所得証明書(ただし、当該勤務先の代表者その他の権限を有する者の記名・押印により真正であると認められるものに限る。)

  • (3)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された返済能力調査に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-13-2 貸付審査

貸付審査(貸付けに係る契約の締結に係る審査及び当該契約に係る保証契約の締結に係る審査をいう。以下同じ。)に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1共通事項

      • イ.法令等を踏まえた社内規則等の整備

        社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、貸付審査のための社内体制や客観的かつ具体的な貸付基準を定めているか。

        特に、経営者等と保証契約を締結する場合においては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、適切な保証金額の設定を行っているか(II-2-13-3(2)参照)。

      • ロ.法令等を踏まえた貸付審査の実施態勢の構築

        • a.役職員が貸付基準に基づき、貸付審査を的確に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        • b.貸付基準に則り、貸付審査を的確に実施する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば以下の点に留意する。

          • i ) 保証人や物的担保(※)を徴求する貸付けにおいて、主債務者自身の返済能力ではなく、保証の履行や担保権実行を主な回収の手段とする貸付けの契約の締結を防止する措置が講じられているか。また、保証人及び物的担保提供者の適格性審査について明確な基準が整備されているか。

            (※)予めその不動産その他の物的担保の売却代金により弁済される予定であることが客観的に明らかな貸付けを除く。

          • ii ) 指定信用情報機関が保有する信用情報を使用する場合において、顧客等に係る信用情報の照会が同機関に対して同日中に繰り返し行われているなど借回りが推察される場合には、より慎重な貸付審査を行うなど、過剰貸付けの防止に努めているか。

      • ハ.内部管理部門等による実効性確保のための措置

        貸付審査に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて貸付基準の見直しを行うなど、貸付審査の実効性が確保されているか。

    • マル2個人向貸付けの貸付審査に関する事項

      個人顧客を相手方として貸付けを行う貸金業者については、上記(1)マル1に加え、以下の態勢が整備されているか。

      • イ.個人顧客の基準額及び当該個人顧客に係る個人顧客合算額又は極度方式個人顧客合算額の各算定方法、並びに当該基準額の超過により、個人過剰貸付契約又は基準額超過極度方式基本契約に該当する場合の対応方法等が貸付基準において明確に定められているか。

      • ロ.極度方式貸付けに係る貸付けの返済を銀行等口座の引き落としにより受けている場合には、その返済期日において返済(引落)の事実を確認する前に追加貸付けを行うことにより総量規制を上回る貸付けをしない措置を講じているか。

      • ハ.法第13条の2第2項に規定される住宅資金貸付契約等(本監督指針において「除外貸付」という。)について、その要件に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。例えば、返済能力調査等により得られた情報その他貸金業者自ら保有する情報を総合的に勘案して、提出を受けた書面(施行規則第10条の21第2項各号に掲げる書面を含む。)の信ぴょう性・妥当性を通常の注意義務をもって確認しているか。

      • 二.除外貸付に該当する契約を締結した場合における施行規則第10条の21第2項に掲げる書類等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

      • ホ.法第13条の2第2項及び法第13条の3第5項に規定される個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるもの(本監督指針において「例外貸付」という。)について、その要件に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。例えば、返済能力調査等により得られた情報その他貸金業者自ら保有する情報を総合的に勘案して、提出を受けた書面(施行規則第10条の23第2項各号に掲げる書面を含む。)の信ぴょう性・妥当性を通常の注意義務をもって確認しているか。

      • へ.施行規則第10条の23第1項第3号に定める貸付けに係る契約及び施行規則第10条の28第1項第2号に定める極度方式基本契約(以下「配偶者貸付契約」という。)を締結している個人顧客の配偶者を相手方として、貸付けに係る契約を締結する場合又は極度方式基本契約を締結している場合において、施行規則第10条の23第3項に定める要件に該当するかどうか又は施行規則第10条の28第2項及び第3項に定める「配偶者合算基準額超過極度方式基本契約」に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。

      • ト.例外貸付に該当する契約を締結した場合における施行規則第10条の23第2項に掲げる書類等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

  • (2)留意事項

    • マル1法第13条の2第2項に規定する年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額は、施行規則第10条の22第2項に基づき、年収証明書に記載された事項を用いて算出されるが、法第13条第3項又は法第13条の3第3項において、貸金業者が年収証明書の提出又は提供を受ける必要がない場合は、個人顧客が自ら年収証明書の記載事項を基にこれを算出し、申告することとなる。

    • マル2施行規則第10条の21第1項第1号における「不動産の改良に必要な資金の貸付けに係る契約」には、当該不動産を担保としない契約も含まれる。 

    • マル3施行規則第10条の21第1項第5号における「有価証券の購入」には、新株予約権の権利行使による取得も含まれる。

    • マル4配偶者貸付契約を行うために配偶者の同意書を取得する場合には、当該同意が真正なものであるか否かについて、慎重に判断する必要がある。   

    • マル5施行規則第10条の23第1項第2号の2に定める「特定緊急貸付契約」である極度方式基本契約については、施行規則第10条の24第1項第1号において定める「1月ごとの期間」における極度方式貸付けの当該期間内の実行額及び当該期間末日の残高がいずれも零を超える場合に、途上与信が必要となる。

    • マル6施行規則第10条の23第2項第3号における「事実上の婚姻関係と同様の事情にあることを証明する書面」とは、住民票(続柄に、「夫(未届)」、「妻(未届)」など未届の配偶者である旨の記載があるもの)を指す。

    • マル7施行規則第10条の23第1項第4号に基づき、個人顧客から提出を受ける「事業計画」、「収支計画」及び「資金計画」については、協会の自主規制規則等も踏まえ、当該個人顧客の返済能力を合理的・客観的に確認するために必要な事項の記載があれば、必ずしも各計画が形式的に独立していることを要しない(施行規則第10条の23第1項第5号、施行規則第10条の28第1項第3号及び第4号について同じ)。

    • マル8施行規則第10条の23第2項第6号ロに定める「照会の結果を記載した書面」には、例えば、照会を行った担当者の氏名・所属部署、照会を行った日時・手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)、照会の相手方(正規貸付けを行う者)の商号又は名称、応答者の氏名・所属部署・電話番号等の連絡先、及び応答者の回答内容(正規貸付けの予定金額・予定実行日を含む。)等を記載する必要がある。

  • (3)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸付審査に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-13-3 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等

  • (1)意義

    中小企業・小規模事業者等(以下「中小企業」という。)の経営者による個人保証(以下「経営者保証」という。)には、中小企業の経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や創業を志す者の起業への取組み、保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、経営者保証の契約時及び履行時等において様々な課題が存在する。

    こうした状況に鑑み、中小企業の経営者保証に関する中小企業、経営者及び金融機関(貸金業者を含む。以下II-2-13-3において同じ。)による対応についての自主的自律的な準則として「経営者保証に関するガ イドライン」(以下「ガイドライン」という。)が定められた。

    このガイドラインは、経営者保証における合理的な保証契約の在り方等を示すとともに主たる債務の整理局面における保証債務の整理を公正かつ迅速に行うための準則であり、中小企業団体及び金融機関団体の関係者が中立公平な学識経験者、専門家等と共に協議を重ねて策定したものであって、主債務者、保証人及び対象債権者によって、自発的に尊重され、遵守されることが期待されている。

    金融機関においては、経営者保証に関し、ガイドラインの趣旨や内容を十分に踏まえた適切な対応を行うことにより、ガイドラインを融資慣行として浸透・定着させていくことが求められている。

  • (2)主な着眼点

    • マル1経営陣は、ガイドラインを尊重・遵守する重要性を認識し、主導性を十分に発揮して、経営者保証への対応方針を明確に定めているか。また、ガイドラインに示された経営者保証の準則を始めとして、以下のような事項について職員への周知徹底を図っているか。

      • イ.経営者保証に依存しない融資の一層の促進(法人と経営者との関係の明確な区分・分離が図られている等の場合における、経営者保証を求めない可能性等の検討を含む。)

      • ロ.経営者保証の契約時の対応(適切な保証金額の設定を含む。)

      • ハ.既存保証契約の適切な見直し(事業承継時の対応を含む。)

      • 二.保証債務の整理に関する対応(経営者の経営責任の在り方、残存資産の範囲及び保証債務の一部履行後に残存する保証債務の取扱いを含む。)

      • ホ.その他(ガイドラインにより債務整理を行った保証人に関する情報の取扱いを含む。)

    • マル2ガイドラインに基づく対応を適切に行うための社内規程やマニュアル、契約書の整備、本部による営業店支援態勢の整備等、必要な態勢の整備に努めているか。

    • マル3主債務者、保証人からの経営者保証に関する相談に対して、適切に対応できる態勢が整備されているか。

    • マル4主債務者たる中小企業等から資金調達の要請を受けた場合には、当該企業の経営状況等を分析した上で、法人個人の一体性の解消等が図られているか、あるいは、解消を図ろうとしているかを検証するとともに、検証の結果、一体性の解消が図られている等と認められる場合は、経営者保証を求めない可能性等を債務者の意向も踏まえた上で検討する態勢が整備されているか。

    • マル5保証債務の整理に当たっては、ガイドラインの趣旨を尊重し、関係する他の金融機関、外部専門家(公認会計士、税理士、弁護士等)と十分連携・協力するよう努めているか。

    • マル6定期的かつ必要に応じ、内部監査等を実施することにより、ガイドラインに基づく対応が適切に行われていることを確認しているか。また、当該監査等の結果を踏まえ、必要に応じて態勢の改善・充実を図るなど、監査等を有効に活用する態勢が整備されているか。

  • (3)監督手法

    上記の取組みについては、「主債務者、保証人及び対象債権者がガイドラインに基づく対応に誠実に協力することによって継続的かつ良好な信頼関係が構築・強化されるとともに、各ライフステージにおける中小企業や創業を志す者の取組意欲の増進が図られ、ひいては中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業等の活力が一層引き出され、日本経済の活性化に資するよう、金融機関等による積極的な活用を通じて、本ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくことが重要」との政策趣旨に鑑み、適切に取り組む必要がある。

    こうした取組態勢や取組状況を踏まえ、監督上の対応を検討することとし、内部管理態勢の実効性等に疑義が生じた場合には、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする(行政処分を行う際に留意する事項はIII-5-1による)。

II -2-14 個人信用情報の提供等

指定信用情報機関と信用情報提供等契約を締結した貸金業者については、法第41条の35第2項の規定により個人信用情報(法第2条第14項に規定する個人信用情報をいう。以下同じ。)の遅滞ない提供が義務づけられている。また、当該貸金業者又はその役職員は、法第41条の38第1項の規定により、返済能力等調査以外の目的で、指定信用情報機関に信用情報の提供を依頼し、又は指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を使用し、若しくは第三者に提供すること(以下「信用情報の目的外使用等」という。)が禁止されている。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、個人信用情報が遅滞なく提供され、かつ、信用情報の目的外使用等を防止するための社内体制や方法等を具体的に定めているか。

    • マル2法令等を踏まえた遅滞ない提供等態勢の構築

      • イ.役職員が社内規則等に基づき、個人信用情報が遅滞なく提供されるよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      • ロ.社内規則等に則り、個人信用情報が遅滞なく提供される態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば、以下の点に留意する。

        • a. 指定信用情報機関に加入した際は、加入日前までの貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び施行規則第30条の12で定めるものを除く。)に係る個人信用情報(貸付けの残高があるものに限る。)を、確実に同機関に提供する態勢が整備されているか。

        • b. 貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び施行規則第30条の12で定めるものを除く。)を締結したときは、個人信用情報を遅滞なく指定信用情報機関に提供する態勢が整備されているか。

        • c. 上記a、bにおいて指定信用情報機関に提供した個人信用情報に変更があったときも、遅滞なく変更内容を同機関に提供できる態勢が整備されているか。

        • d. 新たに貸付けに係る契約を締結するにあたって、資金需要者等から法第41条の36第1項、第2項に定める同意を確実に取得し、当該同意に関する記録を作成・保存する態勢が整備されているか。また、新たに配偶者貸付契約を締結するにあたっては、施行規則第30条の15第1項、第2項に定める同意を確実に取得し、当該同意に関する記録を作成・保存する態勢が整備されているか。

        • e. 加入した指定信用情報機関の商号又は名称を、例えば、自社の店頭でのポスター掲示や自社のホームページへの掲載など常時閲覧可能な状態で公表しているか(法第41条の37)。

        • f. 除外貸付及び例外貸付に係る情報(施行規則第10条の23第1項第3号に定める貸付けに係る契約を締結している場合には、施行規則第30条の13第1項第8号に定めるものを含む。)が指定信用情報機関に全て提供されていなければならないことを踏まえ、所要の態勢が整備されているか。

          (注)所要の態勢整備の内容として、例えば以下が考えられる。

          • i ) 既往の貸付契約について、一般貸付・除外貸付・例外貸付を区別し、除外・例外貸付に係る情報を指定信用情報機関に提供するための態勢。

          • ii ) 除外・例外貸付の要件を満たすことを明らかにする書面(施行規則第10条の21第2項、第10条の23第2項に規定する書面)を入手・保存するための態勢。

    • マル3法令等を踏まえた信用情報の目的外使用等の防止に係る態勢の構築

      • イ.経営陣は、信用情報の目的外使用等が重大な法令違反行為であることを認識し、自ら率先して信用情報の目的外使用等の防止に係る態勢の構築に取り組んでいるか。

      • ロ.役職員が社内規則等に基づき、信用情報の適正な使用等が行われるよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      • ハ.社内規則等に則り、信用情報の目的外使用等を防止する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば、以下の点に留意する。

        • a.指定信用情報機関への信用情報の提供依頼に係るアクセス管理の徹底(アクセス権限を付与された本人以外が使用することの防止等)を図り、使用目的を返済能力等調査に限定して提供依頼を行う態勢が整備されているか。

        • b.指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を使用する役職員が特定され、返済能力等調査に限定して使用する態勢が整備されているか。

          • (注)例えば、途上与信を行うために取得した信用情報を勧誘に二次利用した場合や信用情報を内部データベースに取り込み当該内部データベースを勧誘に利用した場合等(債権の保全を目的とした利用を含む。)であっても、返済能力の調査以外の目的による使用に該当することに留意する必要がある。

        • c.信用情報の提供依頼及び使用等に関して、貸付けの契約の申込状況、信用情報の提供依頼の目的、資金需要者等からの同意及び使用状況等について事後的に確認できる態勢が整備されているか。

        • d.役職員の異動、退職又は営業所等の統廃合等の際など、関係者による信用情報の漏えい等の防止などの対策が講じられているか。

        • e.信用情報の提供依頼及び使用等に関して、特定役職員に集中する権限等の分散や、幅広い権限等を有する役職員への管理・けん制の強化を図る等、信用情報の目的外使用等を防止するための適切な措置を図っているか。

    • マル4内部管理部門等による実効性確保のための措置

      個人信用情報の提供及び信用情報の使用等に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、個人信用情報の適正な提供及び信用情報の適正な使用等の実効性が確保されているか。

  • (2)留意事項

    • マル1貸付けに係る契約を締結した際に取得した個人信用情報の指定信用情報機関への提供(法第41条の35第2項)については、以下の点に留意することとする。

      • イ. 取得した個人信用情報については、取得当日中に指定信用情報機関に提供することを原則とする。

      • ロ. 上記イ.の対応が困難な場合(貸付け業務を深夜まで行っている場合等)には、翌日の指定信用情報機関の情報提供開始時刻までに情報登録が行われるよう、各機関が信用情報提供契約等で定める締切り時刻までに当日取得した情報を提供することとする。

    • マル2指定信用情報機関に提供している個人信用情報に変更があった場合(法第41条の35第3項)についても、上記マル1と同様の態勢で情報提供を行うこととする。

  • (3)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された個人信用情報の提供及び信用情報の使用等に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-15 広告規制

広告規制に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    不適切な広告の防止など、広告の取扱いに関する規定を規定した社内規則等を定め、担当役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

  • (2)留意事項

    • マル1法第15条第1項に規定する「貸付けの条件について広告をする」とは、法第15条第1項第2号、施行規則第12条第1項第1号及び第2号に掲げる事項(担保の内容が貸付けの種類名となっている場合にあっては、施行規則第11条第3項第1号ロの「担保に関する事項」には当たらない。)又は貸付限度額、その他の貸付けの条件の具体的内容を1つでも表示した広告をすることをいう。

    • マル2法第15条第2項に規定する「広告」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、ある事項を随時又は継続して広く宣伝するため、一般の人に知らせることをいい、例えば、次に掲げるものをいう。

      • イ. テレビコマーシャル。

      • ロ. ラジオコマーシャル。

      • ハ. 新聞紙、雑誌その他の刊行物への掲載。

      • ニ. 看板、立て看板、はり紙、はり札等への表示。

      • ホ. 広告塔、広告板、建物その他の工作物等への表示。

      • ヘ. チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の配布。

      • ト. インターネット上の表示。

    • マル3施行規則第12条第4項に規定する「多数の者に対して同様の内容で行う勧誘」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、特定の名あて人に対して、同様の内容のものを送付することをいい、例えば、次に掲げるものをいう。

      • イ. ダイレクトメール、チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の送付。

      • ロ. 電子メールの送信。

    • マル4法第16条第2項第3号に規定する「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」に該当するかどうかは、個別具体的な事実関係に即して判断する必要があるが、例えば、次のような表示がある場合には、これに該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。

      • イ. 貸付審査を全く行わずに貸付けが実行されるかのような表現。

      • ロ. 債務整理を行った者や破産免責を受けた者にも容易に貸付けを行う旨の表現。

      • ハ. 他社借入件数、借入金額について考慮しない貸付けを行う旨の表現。

    • マル5 III -3-7の規定により、非協会員から提出された広告に関する資料等については、協会の自主規制規則を勘案した検証を行い、不適切な広告を確認した場合は、協会員との衡平性を確保しつつ、資金需要者等の利益の保護等の観点から速やかに適切な対応を行うものとする。

  • (3)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された広告等に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-16 書面の交付義務

書面交付義務に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1資金需要者等に対する書面交付に関して規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

      (注)完全施行後の「資金需要者等に対する書面交付」には、次の書面交付が追加されることに留意する。

      • 法第16条の2に規定する契約締結前の書面を貸付けに係る契約の締結までに保証人に加え当該契約の相手方になろうとする者にも交付すること。
      • 取引関係を見直すことにより、法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更した際は、法第17条に規定する書面を契約の相手方および保証人がいる場合には当該保証人に交付すること。
    • マル2内部管理部門等において、社内規則等に基づき、適正な書面の交付が行われているか検証を行う態勢が整備されているか。

    • マル3書面の記載内容は、資金需要者等にとって明確でわかり易い内容となっているか、また、記載内容について、必要に応じ見直す態勢が整備されているか。

      極度方式基本契約に基づく個々の貸付けに係る法第17条書面の各記載事項については、契約書と同一文言での記載になっていない場合、必要な事項が明確かつわかり易く記載されているか。

    • マル4一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面の交付に際しては、当該書面が交付される旨及び個別書面の記載事項が簡素化される旨を示したうえで、あらかじめ書面又は電磁的方法により承諾を得ているか。なお、債務者等から電磁的方法により承諾を受けた場合には、当該承諾を行った債務者等に対し、承諾を受けた旨を書面又はその他適切な方法により通知しているか。

      また、債務者等から、当該書面での交付の承諾を撤回したい旨の意思表示があった場合、当該書面以外の方法による書面交付の適用開始の時期等について、適切な説明が行われているか。

    • マル5書面の交付に代えて電磁的方法により提供する場合又は一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面を交付することについて承諾若しくは撤回の意思表示を受ける場合には、債務者等の承諾等があったことを記録しているか。

  • (2)留意事項

    • マル1法第16条の2の契約締結前の書面として、申込書一体型のパンフレットを契約締結前の書面とすることを排除するものではないが、記載事項が法令の要件(貸付けの金額、貸付けの利率、極度額等)を満たす必要があることに留意する。

    • マル2契約締結前の書面交付後、契約締結前に法令で定められた記載事項の内容に変更が生じた場合には、再度、当該契約の相手方となろうとする者に対し契約締結前の書面を交付する必要がある。

  • (3)監督手法

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された書面交付に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-17 帳簿の備付け等

帳簿の備付け等に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1帳簿の作成及び備付け等について規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2債務者以外の者(保証人を含む。)から返済金を受領した場合、当該返済者と債務者との関係や当該返済者が返済するに至った経緯等について、交渉経過の記録等に正確に記載され、担当者以外の第三者がその内容を容易に把握できる態勢が整備されているか。

    • マル3内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、正確な帳簿の作成及び保存が履行されるための態勢が整備されているか。

      (注)  施行規則第16条第1項第7号に規定する「交渉の経過の記録」とは、債権の回収に関する記録、貸付けの契約(保証契約を含む。)の条件の変更(当該条件の変更に至らなかったものを除く。)に関する記録等、貸付けの契約の締結以降における貸付けの契約に基づく債権に関する交渉の経過の記録であり、当該記載事項は以下の事項とする。
      • イ. 交渉の相手方(債務者、保証人等の別)。

      • ロ. 交渉日時、場所及び手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)。

      • ハ. 交渉担当者(同席者等を含む)。

      • ニ. 交渉内容(催告書等の書面の内容を含む)。

      • ホ. 施行規則第10条の25第3項第3号に規定する極度方式基本契約に基づく新たな極度方式貸付けの停止に係る措置を講じている場合、当該措置を講じた旨、年月日及びその理由。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された帳簿の備付け等に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-18 帳簿の閲覧、謄写

帳簿の閲覧又は謄写に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1債務者等又は債務者等であった者(以下「帳簿の閲覧等の請求者」という。)から帳簿の閲覧又は謄写を求められた際の対応について、帳簿の閲覧等の請求者が本人又は正当な委任を受けた代理人等であるか確認したうえで、過度の負担を課すことなく迅速に帳簿の閲覧又は謄写に応じるよう社内規則等を定めているか。

      なお、本人又は正当な委任を受けた代理人等であるかの確認及び閲覧又は謄写の方法に関し、正当な理由なく過度な負担を課す場合は、帳簿の閲覧又は謄写の拒否に該当するおそれがあることに留意する必要がある。

    • マル2帳簿の閲覧又は謄写に必要な物的設備を確保し、閲覧又は謄写の方法等が帳簿の閲覧等の請求者にわかるようになっているか。また、帳簿の閲覧等の請求者から帳簿の閲覧又は謄写に関する問合せ等があった場合、迅速かつ適切に対応できる態勢となっているか。

    • マル3無人契約機やインターネットなど、対面以外の方法で契約の締結等を行う貸金業者については、帳簿の閲覧等の請求者が遠隔地に居住するなど来店が困難である場合に際して、帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているか。

      帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか。また、帳簿の閲覧又は謄写の請求者から当該実費の内容について説明を求められた場合、その内容を説明する態勢が整備されているか。

    • マル4内部管理部門において、社内規則等に基づき、帳簿の閲覧等の請求者に対し適切な帳簿閲覧又は謄写が行われているか検証する態勢が整備されているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された帳簿の閲覧、謄写に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項はIII-5-1による)。

II -2-19 取立行為規制

取立行為に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1債務者等に対する取立て・督促については、客観的な基準及び手順等を規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、取立て・督促の実態を把握し、検証を行うことができる態勢が整備されているか。

  • (2)留意事項

    • マル1法第21条第1項各号の規定は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」の例示であり、個々の取立て行為が同項に該当するかどうかは、個別の事実関係に即して判断する必要がある。当該規定に定める事例のほか、例えば、次のような事例は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。

      • イ. 反復継続して、電話をかけ、電報を送達し、電子メール若しくはファクシミリ装置等を用いて送信し又は債務者、保証人等の居宅を訪問すること。

      • ロ. 保険金による債務の弁済を強要又は示唆すること。

    • マル2法第21条第1項第1号、第3号及び第9号に規定する「正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。

      • イ. 法第21条第1項第1号

        • a. 債務者等の自発的な承諾がある場合。

        • b. 債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合。

      • ロ. 法第21条第1項第3号

        • a. 債務者等の自発的な承諾がある場合。

        • b. 債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合。

        • c. 債務者等の連絡先が不明な場合に、債務者等の連絡先を確認することを目的として債務者等以外の者に電話連絡をする場合。なお、この場合においても、債務者等以外の者から電話連絡をしないよう求められたにも関わらず、更に電話連絡をすることは「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。

      • ハ. 法第21条第1項第9号

        • a. 弁護士若しくは弁護士法人又は司法書士若しくは司法書士法人(以下「弁護士等」という。)からの承諾がある場合。

        • b. 弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合。

    • マル3法第21条第1項第2号に規定する「その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。

      • イ. 債務者等からの弁済や連絡についての具体的な期日の申し出がない場合。

      • ロ. 直近において債務者等から弁済や連絡に関する申し出が履行されていない場合。

      • ハ. 通常の返済約定を著しく逸脱した申出がなされた場合。

      • ニ. 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が申出内容に反して他社への弁済行為等を行った場合。

      • ホ. 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が支払停止、所在不明等となり、債務者等から弁済を受けることが困難であることが確実となった場合。

    • マル4法第21条第1項第5号は、債務者等に心理的圧迫を加えることにより弁済を強要することを禁止する趣旨であり、債務者等から家族に知られないように要請を受けている場合以外においては、債務者等の自宅に電話をかけ家族がこれを受けた場合に貸金業者であることを名乗り、郵送物の送付に当たり差出人として貸金業者であることを示したとしても、直ちに該当するものではないことに留意することとする。

    • マル5法第21条第1項第6号に規定する「その他これに類する方法」とは、クレジットカードの使用により弁済することを要求すること等が該当すると考えられる。

    • マル6法第21条第1項第9号に規定する「司法書士若しくは司法書士法人」に委託した場合とは、司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士に委任した場合をいう。

    • マル7法第21条第2項に規定する支払を催告するための書面又はこれに代わる電磁的記録については、次によるものとする。

      • イ. 法第21条第2項第1号に規定する「住所」及び「電話番号」については、それぞれ、当該債権を管理する部門又は営業所等に係るものを記載すること。

      • ロ. 法第21条第2項第2号に規定する「当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名」については、当該債権を管理する部門又は営業所等において、当該債権を管理する者の氏名を記載すること。

    • マル8貸金業者以外の者が貸付けた債権について、貸金業者が、保証契約に基づき求償権を有する場合(保証履行により求償権を取得した場合を含む)、その取立てに当たっては、法第21条が適用され得ることに留意する。

  • (3)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された取立行為に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-20 債権譲渡等

貸金業者の貸付債権の譲渡については、法令を遵守するほか、民法や債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号)等の規定に留意し、適切に対応する必要があり、債権譲渡先の選定に当たっては、資金需要者等の利益の保護に関して、特段の注意を払う必要がある。

貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

  • (1)主な着眼点

    • マル1債権譲渡を行うに当たって、債権譲渡先の選定基準及び選定方法、譲渡対象債権の選定基準、債権譲渡に関する手続きや債権譲渡の際の顧客情報の取扱いについて規定した社内規則等を定め、担当する役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2債権譲渡先及び譲渡対象債権の選定に当たって、弁護士法(昭和24年法律第205号)や法第24条第3項(暴力団員等への譲渡の禁止)等の規定に抵触しないか確認を行っているか。

    • マル3貸金業者が、貸付債権について委託又は譲渡を受けて、管理又は回収を業として行う場合には、弁護士法等の規定に抵触しないか確認を行っているか。

    • マル4債権譲受人との債権譲渡契約において、債務者等からの問い合わせや取引履歴の開示請求などがある場合を想定し、債権譲受人との明確な責任分担のもとに債務者等に適切に対応するための規定が置かれているか。また、債権譲受人が債務者等に対し法第24条第2項に基づく債権譲渡通知を遅滞なく送付することや法令を遵守した債権管理及び回収を行うこと等、債務者等の保護の確保に努めるための規定が置かれているか。

  • (2)監督手法・対応

    検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された債権譲渡に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-21 非営利特例対象法人である貸金業者の監督について

施行規則第5条の3の2第2項に定める非営利特例対象法人(以下「非営利特例対象法人」という。)が貸金業の登録を受ける場合には、施行令第3条の2で規定する最低純資産額及び施行規則第5条の4第1項第2号及び第3号で規定する登録拒否の審査基準について、一定の特例措置が認められている。

また、施行規則第1条の2の4第2項に規定する特定非営利金融法人(以下「特定非営利金融法人」という。) が行う同条第3項に規定する特定貸付契約(以下「特定貸付契約」という。)については、法第13条第2項で規定する返済能力調査にあたっての指定信用情報機関が保有する信用情報の使用義務等について、一定の特例措置が認められている。

このように非営利特例対象法人である貸金業者には、一定の特例措置が認められていることを踏まえ、非営利特例対象法人である貸金業者の監督にあたっては、本監督指針の他の規定に加え、例えば、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1法令等を踏まえた社内規則等の整備

      社内規則等において、法令に則り、協会の自主規制規則等も参考にしつつ、特例措置適用の前提となる各種要件を満たすための社内体制や方法等を具体的に定めているか。

    • マル2社内規則等を踏まえた実施態勢の構築

      • イ.共通事項

        • a.役職員が社内規則等に基づき、特例措置の適用を受けるための各種要件を満たした適切な業務運営を行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        • b.非営利特例対象法人である貸金業者が特例措置を受ける場合には、貸金業の登録(更新登録を含む。)を受けた日以降行うすべての貸付けに関し、年7.5%を超える割合による利息(みなし利息(法第12条の8第2項に規定するみなし利息をいう。)を含む。)の契約をし、又はその貸付けに関し当該割合を超える割合による利息を受領し、若しくはその支払を要求しない態勢が整備されているか。

        • c.施行規則第5条の3の2第1項第2号の要件を満たす必要がある場合には、そのために、同号に定める特定非営利活動として行われる貸付け及び生活困窮者(施行規則第1条の2の4第6項に規定する「生活困窮者」をいう。以下同じ。)を支援するための貸付けと他の貸付けを区分して管理する態勢が整備されているか。

      • ロ.登録拒否の審査基準に係る特例措置の適用に関する事項

        施行規則第5条の4の2の規定により施行規則第5条の4第1項各号に掲げるすべての基準に適合するとみなされ、貸金業の登録を受けた者にあっては、上記マル2イ.に加え、例えば契約に基づき、貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者から、適時に貸金業の業務に関する必要な助言又は指導を受けることができる態勢が整備されているか。

      • ハ.特定非営利金融法人のうち特定非営利活動貸付け(施行規則第1条の2の4第4項に掲げる「特定非営利活動貸付け」をいう。以下同じ。)を行う者に対する特例措置の適用に関する事項

        上記マル2イ.に加え、以下の態勢が整備されているか。

        • a.社内規則等において、自ら行う特定非営利活動貸付けが、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第1項別表に規定する特定非営利活動のうちいずれかの類型に該当するのかを具体的に規定しているか。また、施行規則第1条の2の4第4項第1号及び第2号に基づき、財務の状況、債務の総額等を把握する方法、同項第3号に基づき、返済期間を通じて債務の総額等を定期的に把握する方法及び必要に応じた契約の相手方に対する助言又は指導の内容を具体的に定めているか。

        • b.役職員が社内規則に基づき、適切に特定非営利活動貸付けを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        • c.特定非営利活動貸付けに該当する契約を締結した場合における施行規則第1条の2の4第4項第5号に掲げる書面等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

      • ニ.特定非営利金融法人のうち生活困窮者支援貸付け(施行規則第1条の2の4第5項に掲げる「生活困窮者支援貸付け」をいう。以下同じ。)を行う者に対する特例措置の適用に関する事項

        上記マル2イ.に加え、以下の態勢が整備されているか。

        • a.社内規則等において、生活困窮者に対し、同条第5項第1号に基づき、アセスメントを行い、生活再建のための計画(以下「生活再建計画」という。)を策定する方法、同項第3号に基づき、返済期間を通じて生活再建計画の進捗状況、債務の総額等を定期的に把握する方法及び必要に応じた助言又は指導の内容等を具体的に定めているか。

        • b.役職員が社内規則に基づき、適切に生活困窮者支援貸付けを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

        • c.生活困窮者支援貸付けに係る契約を締結するまでに、当該貸付けに係る契約の相手方となろうとする者(以下「相談者」という。)の生活状況、借入先、借入額等を確認し、生活困窮者に陥った事情を丁寧に聴取した上で、債務の整理として考えられる解決方法の選択肢(任意整理、特定調停、個人再生、自己破産等)を検討・助言し、必要に応じ専門機関(弁護士等)を紹介する等、当該相談者が既に負担している債務の可能な限りの整理に努めているか。

        • d.アセスメントに際しては、客観的な生活状況を確認し、家計簿診断を行う等返済計画のシミュレーションを行っているか。

        • e.生活再建計画の策定にあたっては、現在の生活状況についての課題を明確にし、今後の生活再建に向けた改善策を具体的に記載しているか。また、その際、施行規則第1条の2の4第5項第1号の「借入れ及び返済に関する相談について専門的な知識及び経験を有する者」として次に掲げるいずれかの資格を有し、かつ、借入れ及び返済に関する相談に応ずる業務に従事した期間が通算して一年以上の者又は、これらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者を資金需要者と面談させているか。

          • i )独立行政法人国民生活センターが付与する消費生活専門相談員の資格

          • ii )一般財団法人日本産業協会が付与する消費生活アドバイザーの資格

          • iii )一般財団法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタントの資格

        • f.相談者に対して貸付けを行おうとする場合には、法第16条の2の契約締結前書面を交付し、対面の上で契約の相手方が十分に貸付け条件等を理解できるように、書面に記載された事項を明瞭かつ正確に説明しているか。また、その際、できる限り相談者の家族等の親族も同席させているか。

        • g.返済期間を通じて生活再建計画の進捗状況並びに契約の相手方及び保証人が負担する債務の総額の定期的な把握及び必要に応じた助言又は指導が行われているか。また、返済が滞ったことのみをもって過度の取立てを行うのではなく、その原因を分析の上、対応しているか。

        • h. 生活困窮者向け貸付けに該当する契約を締結した場合における施行規則第1条の2の4第5項第5号に掲げる書面等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

    • マル3内部管理部門等における実効性確保のための措置

      内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、特例措置適用の前提である各種要件の充足状況について把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、適切な業務運営が確保されているか。

  • (2)留意事項

    • マル1施行規則第5条の4の2の規定により施行規則第5条の4第1項各号に掲げるすべての基準に適合するとみなされ、貸金業の登録を受けた者から法第4条第1項に基づき法第3条第2項の登録の更新の申請が行われた場合、常務に従事する役員のうちに現に受けている登録を受けたときから継続して貸付けの業務に従事した者がある場合には、施行規則第5条の4第1項第2号に掲げる基準に適合するものとして取り扱って差し支えない。

    • マル2上記(1)マル2ニe.の「これらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者」について、例えば、公益法人又は営利を目的としない法人において、資金需要者等に対して、借入及び返済に関する相談に応ずる業務に1年以上従事した経験を有する者などは、これに該当するものとして取り扱って差し支えない。

  • (3)監督手法・対応

    III -1-1(1)マル4等のオフサイトモニタリング、検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督業務を通じて把握された課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

    更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III -5-1による)。

II -2-22 障害者への対応

  • (1)障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)により、事業者には、障害者に対する不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の努力義務が課せられているところである。

    また、貸金業者については、「金融庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成28年告示第3号。以下「障害者差別解消対応指針」という。)において、これらの具体的な取扱いが示されている。

    障害者への対応に当たって、資金需要者等の保護及び利用者利便の観点と合わせ、障害者差別解消法及び障害者差別解消対応指針に則り適切な対応を行うとともに、対応状況を把握・検証し対応方法の見直しを行うなど、内部管理態勢が整備されているかといった点に留意して検証することとする。

  • (2)監督手法・対応

    日常の監督事務や、障害者からの苦情等を通じて把握された貸金業者における障害者への対応に係る課題については、深度あるヒアリングを行うことにより内部管理態勢の整備状況を確認することとする。

    また、貸金業者の内部管理態勢の整備状況に疑義が生じた場合には、必要に応じ、報告(法第24条の6の10の規定に基づく報告を含む。)を求めて検証することとする。当該整備状況に問題が認められる場合には改善を促すこととする。

II -3 業務の透明性の確保

貸金業者の業務方法の変更や不祥事件の発生等については、資金需要者等に対し重大な影響を与える可能性がある。貸金業者は、資金需要者等の視点に立った正確かつ公正な情報を資金需要者等に迅速に伝達する必要があり、貸金業者が業務の透明性を確保し、説明責任を果たすことは、ひいては貸金業者の信頼性が高まることとなる。

このような観点から、貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)主な着眼点

    • マル1業務方法の変更(営業所等の閉鎖の決定や債務者等からの返済資金の受入方法の変更等)や不祥事件の発生等において、資金需要者等の利益の保護に影響をもたらすと判断した場合の情報開示の方法等を規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

    • マル2資金需要者等の利益の保護に影響をもたらす情報が迅速かつ適切に公表されているか。また、公表する情報は、資金需要者等に必要な情報がわかり易く表示され、また、資金需要者等からの問合せに対し十分な説明がなされるなど、適切に対応するための態勢が整備されているか。

  • (2)監督手法・対応

    情報開示については、法令等で規定されているほかは、貸金業者が自己責任原則に則り、経営判断に基づき行うものであり、上記着眼点の対応がなされていない場合においても、直ちに監督上の措置を講ずることはない。

    しかしながら、資金需要者等の利益の保護の観点から、資金需要者等に不利益をもたらす可能性がある情報について、故意に情報開示を行っていない場合等については、業務の適切性の観点から検証することとする。

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