II  指定紛争解決機関の監督に係る事務処理上の留意点等

II -1 紛争解決等業務の運営状況等のヒアリング

 
  • (1)定期的なヒアリング

    金商法第156条の57の規定に基づき、指定機関より紛争解決等業務に関する報告書の提出を受けた際に、当該事業年度の業務運営状況、業務運営態勢及び収支状況等についてヒアリングを実施する。

  • (2)随時のヒアリング

    指定機関に関する問題や最近の業務運営状況等を速やかに把握する必要が生じた場合等においては、オフサイト・モニタリングの一環として、随時、ヒアリングを実施する。

II -2 検査部局との連携等

  • (1)検査部局による検査着手前の連携

    指定機関に対する検査着手に当たり、企画市場局総務課金融トラブル解決制度推進室(以下「金融ADR室」という。)は指定機関の検査を行う検査部局に対し、検査着手先の指定機関に係る以下の事項について説明を行うものとする。

    • マル1前回検査から当該時点までの当該指定機関の主な動き(業務運営状況、業務運営態勢等)

    • マル2直近の収支状況等

    • マル3各種ヒアリングの結果

    • マル4監督上の措置(報告徴求、行政処分等)の発動及びフォローアップの状況

    • マル5金融ADR室として検査で重視すべきであると考える点

    • マル6その他

  • (2)検査を通じて把握された問題点に係る監督上の対応

    検査部局が実施した指定機関に対する検査における問題点等について、その検査結果を監督業務に適切に反映させる観点から、II-6に基づき行政処分その他の措置を検討する。

II -3 指定紛争解決機関に関する相談・苦情等への対応

II -3-1 指定紛争解決機関に関する相談・苦情等を受けた場合の対応

指定機関に関する相談・苦情等について、金融庁においては金融サービス利用者相談室(以下「相談室」という。)が第一義的な受付窓口となるが、申出人に対しては、当局は個別事案に関してあっせん等を行う立場にないことを説明する。

なお、寄せられた指定機関に関する相談・苦情等のうち、申出人が指定機関側への情報提供について承諾している場合には、原則として、金融ADR室において、当該指定機関への情報提供を行うものとする。

II -3-2 金融サービス利用者相談室との連携

金融ADR室においては、相談室に寄せられた指定機関に関する相談・苦情等の監督業務への適切な反映を図るため、以下の対応をとるものとする。

  • マル1相談室から回付される相談・苦情等の分析

  • マル2相談室との情報交換

II -4 法令照会を受けた場合の対応

  • (1)照会を受ける内容の範囲

    金融ADR室においては、金商法等金融庁が所管する法令のうち、指定機関に関するものに係る照会を受けるものとする。なお、照会が権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとする。

  • (2)照会に対する回答方法

    • マル1本監督指針や既存資料等により回答可能なものについては、適宜回答する。

    • マル2金融ADR室長は、(1)の法令に関し、指定機関から受けた、以下のイ及びロの項目で定める要件を満たす一般的な照会であって、書面による回答及び公表を行うことが法令適用の予測可能性向上等の観点から適切と認められるものについては、これに対する回答を書面により行い、その内容を公表する。

      • イ.本手続の対象となる照会の範囲

        本手続の対象となる照会は、以下の要件の全てを満たすものとする。

        • a.特定の指定機関における個別の紛争解決等業務に対する法令適用の有無を照会するものではない、一般的な法令解釈に係るものであること(法令適用事前確認手続制度の利用が可能でないこと。)。

        • b.事実関係の認定を伴う照会でないこと。

        • c.照会内容が、(1)の法令の適用を受ける指定機関に共通する紛争解決等業務に係る照会であって、多くの指定機関からの照会が予想される事項であること。

        • d.過去に公表された金融ADRガイドライン等により、明らかになっているものでないこと。

      • ロ.照会書面(電子的方法を含む。)

        本手続の利用を希望する照会者からは、以下の内容が記載された照会書面の提出を受けるものとする。また、照会書面のほかに、照会内容及び上記イに記載した事項を判断するために、記載事項や資料の追加を要する場合には、照会者に対して照会書面の補正及び追加資料の提出を求めるものとする。

        • a.照会の対象となる法令の条項及び具体的な論点

        • b.照会に関する照会者の見解及び根拠

        • c.照会及び回答内容が公表されることに関する同意

      • ハ.照会窓口

        照会書面の受付窓口は、金融ADR室とする。

      • ニ.回答

        • a.金融ADR室長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として2ヵ月以内に、照会者に対して回答を行うよう努めるものとし、2ヵ月以内に回答できない場合には、照会者に対してその理由を説明するとともに、回答時期の目途を伝えるものとする。

        • b.回答書面には、以下の内容を付記する。

          「本回答は、照会対象法令を所管する立場から、照会書面に記載された情報のみを前提に、照会対象法令に関し、現時点における一般的な見解を示すものであり、個別具体的な事例への適用を判断するものではなく、また、もとより捜査当局の判断や司法判断を拘束しうるものではない。」

        • c.本手続による回答を行わない場合には、金融ADR室長は、照会者に対し、その旨及び理由を説明する。

      • ホ.公表

        上記ニの回答を行った場合には、速やかに照会及び回答内容を金融庁ホームページ上に掲載して、公表する。

    • マル3上記マル3に該当するもの以外のもので照会頻度が高いもの等については、必要に応じて応接箋を作成した上で、関係部局に回覧し、金融ADR室に保存する。

II -5 行政指導等を行う際の留意点等

II -5-1 行政指導等を行う際の留意点

指定機関に対して、行政指導等(行政指導等とは、行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号にいう行政指導に加え、行政指導との区別が必ずしも明確ではない情報提供、相談、助言等の行為を含む。)を行うに当たっては、行政手続法等の法令等に沿って適正に行うものとする。特に行政指導を行う際には、以下の点に留意する。

  • (1)一般原則(行政手続法第32条)

    • マル1行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されているか。 例えば、以下の点に留意する。

      • イ.行政指導の内容及び運用の実態、担当者の対応等について、相手方の理解を得ているか。

      • ロ.相手方が行政指導に協力できないとの意思を明確に表明しているにもかかわらず、行政指導を継続していないか。

    • マル3相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはいないか。

      • イ.行政指導に従わない事実を法律の根拠なく公表することも、公表することにより経済的な損失を与えるなど相手方に対する社会的制裁として機能するような状況の下では、「不利益な取扱い」に当たる場合があることに留意する。

      • ロ.行政指導を行う段階においては処分権限を行使するか否かは明確でなくても、行政指導を行った後の状況によっては処分権限行使の要件に該当し、当該権限を行使することがあり得る場合に、そのことを示して行政指導をすること自体を否定するものではない。

  • (2)申請に関連する行政指導(行政手続法第33条)

    申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず、当該行政指導を継続すること等により、当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。

    • マル1申請者が、明示的に行政指導に従わない旨の意思表示をしていない場合であっても、行政指導の経緯や周囲の客観情勢の変化等を勘案し、行政指導の相手方に拒否の意思表示がないかどうかを判断する。

    • マル2申請者が行政指導に対応している場合でも、申請に対する判断・応答が留保されることについて任意に同意しているとは必ずしもいえないことに留意する。

    • マル3例えば、以下の点に留意する。

      • イ.申請者が行政指導に従わざるを得ないようにさせ、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。

      • ロ.申請者が行政指導に従わない旨の意思表明を明確には行っていない場合、行政指導を行っていることを理由に申請に対する審査・応答を留保していないか。

      • ハ.申請者が行政指導に従わない意思を表明した場合には、行政指導を中止し、申請に対し、速やかに適切な対応をしているか。

  • (3)許認可等の権限に関連する行政指導(行政手続法第34条)

    許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合にもかかわらず、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせていないか。

    例えば、以下の点に留意する。

    • マル1許認可等の拒否処分をすることができないにもかかわらず、できる旨を示して一定の作為又は不作為を求めていないか。

    • マル2行政指導に従わなければすぐにでも権限を行使することを示唆したり、何らかの不利益な取扱いを行ったりすることを暗示するなど、相手方が行政指導に従わざるを得ないように仕向けてはいないか。

  • (4)行政指導の方式(行政手続法第35条)

    • マル1行政指導を行う際には、相手方に対し、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示しているか。

      例えば、以下の点に留意する。

      • イ.相手方に対して求める作為又は不作為の内容を明確にしているか。

      • ロ.当該行政指導をどの担当者の責任において行うものであるかを示しているか。

      • ハ.個別の法律に根拠を有する行政指導を行う際には、その根拠条項を示しているか。

      • ニ.個別の法律に根拠を有さない行政指導を行う際には、当該行政指導の必要性について理解を得るため、その趣旨を伝えているか。

    • マル2行政指導について、相手方から、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められた時は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しているか(ただし、行政手続法第35条第3項各号に該当する場合を除く。)。

      • イ.書面の交付を求められた場合には、できるだけ速やかに交付することが必要である。

      • ロ.書面交付を拒み得る「行政上特別の支障」がある場合とは、書面が作成者の意図と無関係に利用、解釈されること等により行政目的が達成できなくなる場合等、その行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を書面で示すことが行政運営上著しい支障を生じさせる場合をいう。

      • ハ.単に処理件数が大量であるだけの場合や単に迅速に行う必要がある場合であることをもって、「行政上特別の支障」がある場合に該当するとはいえないことに留意する。

II -5-2 面談等を行う際の留意点

職員が、指定機関の役職員等と面談等(面談、電話、電子メール等によるやりとりをいう。以下同じ。)を行うに際しては、以下の事項に留意する。

  • マル1面談等に参加する職員は、常に綱紀及び品位を保持し、穏健冷静な態度で臨んでいるか。

  • マル2面談等の目的、相手方の氏名・所属等を確認しているか。

  • マル3面談等の方法、面談等を行う場所、時間帯、参加している職員及び相手方が、面談等の目的・内容からみてふさわしいものとなっているか。

  • マル4面談等の内容・結果について双方の認識が一致するよう、必要に応じ確認しているか。特に、面談等の内容・結果が守秘義務の対象となる場合には、そのことが当事者双方にとって明確となっているか。

  • マル5面談等の内容が上司の判断を仰ぐ必要のある場合において、状況に応じあらかじめ上司の判断を仰ぎ、又は事後に速やかに報告しているか。また、同様の事案について複数の相手方と個別に面談等を行う場合には、行政の対応の統一性・透明性に配慮しているか。

II -6 行政処分を行う際の留意点

II -6-1 検査結果等への対応

  • (1)検査結果への対応

    検査部局が実施した指定機関に対する検査については、検査結果を以下のとおり監督業務に適切に反映させるものとする。

    • マル1検査結果通知書又は検査報告書において指摘された事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項を取りまとめた報告書を概ね1ヵ月以内(必要に応じ項目ごとに短縮する。)に提出することを、指定機関に対して金商法第156条の58第1項の規定に基づき命ずる。

    • マル2報告書が提出された段階においては、指定機関に対し十分なヒアリングを行うものとする。ヒアリングに当たっては、検査部局とも緊密な連携を図るものとする。

    • マル3検査結果及び金商法第156条の58第1項の規定に基づく報告書の内容等により、改善・対応に一定の期間を要すると認められる場合には、定期的なヒアリングを実施するなど、フォローアップを行うものとする。

    • マル4証券取引等監視委員会事務局が行う検査において、証券取引等監視委員会より、金融庁設置法(平成10年法律第130号)第20条第1項の規定に基づき「行政処分その他の措置」について勧告があった場合、金融ADR室においては、その内容について検討を行った上で、金商法第156条の58第1項の規定に基づく報告徴求命令、同法第156条の59第1項又は第156条の61第1項の規定に基づく行政処分その他の適切な措置を検討する。

    • (注)金融庁総合政策局リスク分析総括課が行う検査においても、その内容について検討を行った上で、上記の行政処分その他の適切な措置を検討する。

  • (2)オフサイト・モニタリング等に基づく報告徴求

    • マル1オフサイト・モニタリング等を通じて、指定機関における公正かつ適確な紛争解決等業務の遂行に関し問題があると認められる場合においては、金商法第156条の58第1項の規定に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めるものとする。

    • マル2報告を検証した結果、更に精査する必要があると認められる場合においては、金商法第156条の58第1項の規定に基づき、追加報告を求めるものとする。

    • マル3上記報告を検証した結果、紛争解決等業務の公正性・適確性の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、指定機関の自主的な改善への取組を求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて、報告された改善・対応策のフォロ-アップを行うものとする。

    • マル4必要があれば、金商法第156条の58第1項の規定に基づき、定期的な報告を求め、フォローアップを行うものとする。

II -6-2 行政処分

上記II-6-1に掲げる、指定機関からの報告書又は証券取引等監視委員会からの勧告書の内容について、本監督指針に掲げた評価項目等に照らして総合的に検証した結果、紛争解決等業務の公正性・適確性の観点から重大な問題が認められる場合、以下の(1)から(3)までに掲げる要素を勘案するとともに、これら以外に考慮すべき要素がないかどうかを吟味した上で、

  • マル1改善に向けた取組を指定機関の自主性に委ねることが適当かどうか。

  • マル2改善に相当の取組を要し、一定期間業務改善に専念・集中させる必要があるかどうか。

  • マル3紛争解決等業務を継続させることが適当かどうか。

等の点について検討を行い、金商法第156条の59第1項(業務改善命令)、同法第156条の61第1項(業務停止命令又は指定の取消し)の規定に基づく行政処分の内容を決定する。

なお、行政処分を行うに当たって、当該処分が金商法第156条の59第2項又は同法第156条の61第2項に該当する場合は、法務大臣への協議が必要となることに留意する。

  • (1)当該行為の重大性・悪質性

    • マル1公益侵害の程度

      当該指定機関のみならず、金融ADR制度に対する信頼性を損なうなど公益を著しく侵害していないか。

    • マル2被害の程度

      広範囲にわたって多数の利用者が被害を受けたかどうか。個々の利用者が受けた被害がどの程度深刻か。

    • マル3行為自体の悪質性

      例えば、利用者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の行為を繰り返すなど、当該行為が悪質であったか。

    • マル4行為が行われた期間や反復性

      当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、1回限りのものか。また、過去に同様の行為が行われたことがあるか。

    • マル5故意性の有無

      当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。

    • マル6組織性の有無

      当該行為が現場の個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたのか。更に役員の関与があったのか。

    • マル7隠蔽の有無

      問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。

    • マル8反社会的勢力の関与の有無

      反社会的勢力の関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。

  • (2)当該行為の背景となった業務運営態勢の適切性

    • マル1役員の法令等遵守に関する認識や取組は十分か。

    • マル2内部監査部門又はそれに代わる検証態勢は十分か、また適切に機能しているか。

    • マル3法令等遵守態勢は十分か、また適切に機能しているか。

    • マル4紛争解決等業務に従事する役職員等の法令等遵守に関する認識は十分か、また教育が十分になされているか。

  • (3)軽減事由

    上記(1)及び(2)のほかに、行政による対応に先行して、指定機関自身が自主的に利用者保護のために所要の対応に取り組んでいる、といった軽減事由があるか。

II -6-3 標準処理期間

上記II-6-2の行政処分をしようとする場合には、

  • マル1上記II-6-1に掲げる、指定機関からの報告書又は証券取引等監視委員会からの勧告書を受理したときから、1ヵ月(法務大臣への協議が必要な場合又は処分が他省庁との共管法令に基づく場合は2ヵ月)以内を目途に行うものとする。

  • マル2マル1の勧告書において指摘された事項につき、事実確認等のため指定機関やその他の者に対して報告徴求を行った場合は、報告書を受理したときから1ヵ月(法務大臣への協議が必要な場合又は処分が他省庁との共管法令に基づく場合は2ヵ月)以内を目途に行うものとする。

    • (注1)「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。

      • マル1複数回にわたって、金商法第156条の58第1項の規定に基づき報告を求める場合(直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。)には、最後の報告書を受理したときを指すものとする。

      • マル2提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等(軽微なものは除く。)を求める場合には、当該訂正、追加提出等が行われたときを指すものとする。

    • (注2)弁明・聴聞等に要する期間は、標準処理期間に含まれない。

    • (注3)標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報ごとに適用する。

II -6-4 金商法第156条の59第1項の規定に基づく業務改善命令の履行状況の報告義務の解除

金商法第156条の59第1項の規定に基づき業務改善命令を発出する場合には、当該命令に基づく指定機関の業務改善に向けた取組をフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該指定機関の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求めることとなっているが、以下の点に留意する。

  • マル1金商法第156条の59第1項の規定に基づき業務改善命令を発出している指定機関に対して、当該指定機関の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めて報告を求めている場合には、期限の到来により、当該指定機関の報告義務は解除される。

  • マル2金商法第156条の59第1項の規定に基づき業務改善命令を発出している指定機関に対して、当該指定機関の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めることなく継続的に報告を求めている場合には、業務改善命令を発出する要因となった問題に関して、業務改善計画に沿って十分な改善措置が講じられたと認められるときには、当該計画の履行状況の報告義務を解除する。その際、当該報告等により把握した改善への取組状況に基づき、解除の是非を判断する。

II -6-5 行政手続法等との関係

  • (1)行政手続法との関係

    行政手続法第13条第1項第1号に該当する不利益処分をしようとする場合には聴聞を行い、同項第2号に該当する不利益処分をしようとする場合には弁明の機会を付与しなければならないことに留意する。

    いずれの場合においても、不利益処分をする場合には同法第14条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(不利益処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    また、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には同法第8条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(許認可等を拒否する処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    その際、単に根拠規定を示すだけではなく、いかなる事実関係に基づき、いかなる法令・基準を適用して処分がなされたかを明らかにすること等が求められることに留意する。

  • (2)行政不服審査法との関係

    不服申立てをすることができる処分をする場合には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条に基づき、不服申立てをすることができる旨等を書面で教示しなければならないことに留意する。

  • (3)行政事件訴訟法との関係

    取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条に基づき、取消訴訟の提起に関する事項を書面で教示しなければならないことに留意する。

II -6-6 不利益処分の公表に関する考え方

  • マル1上記II-6-2の不利益処分のうち、金商法第156条の61第1項の規定に基づく指定の取消しを行ったときは、同法第156条の61第4項の規定に基づき、官報で公示しなければならない。

  • マル2上記II-6-2の不利益処分については、他の指定機関における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、経理的基礎に関する不利益処分等、公表により対象指定機関の運営改善に支障が生ずるおそれのあるものを除き、処分の原因となった事実及び処分の内容等を公表する。

  II -7 電子申請可能な申請書等を提出するに当たっての留意点

II -7-1 書面・対面による手続きについての留意点

  • 指定機関等による当局への申請・届出等及び当局から指定機関等に対し発出する処分通知等については、それぞれ情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下「デジタル手続法」という。)第六条第一項及び第七条第一項の規定により、法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されている場合においても、当該法令の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができることとされている。

    こうしたデジタル手続法の趣旨を踏まえ、同法の適用対象となる手続きに係る本監督指針の規定についても、当該規定の書面・対面に係る記載にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるものとする。

    また、経済社会活動全般において、デジタライゼーションが飛躍的に進展している中、政府全体として、書面・押印・対面手続きを前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続きができるリモート社会の実現に向けた取組みを進めている。

    金融庁としても、こうした取組みを着実に進めるため、指定機関等から受け付ける申請・届出等について、全ての手続きについてオンラインでの提出を可能とするための金融庁電子申請・届出システムを更改したほか、押印を廃止するための内閣府令及び監督指針等の改正を行うこと等により、行政手続きの電子化を推進してきた。

    更に、民間事業者間における手続についても、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」を開催し、業界全体での慣行見直しを促すことにより、書面の電子化や押印の不要化、対面規制の見直しに取り組んできた。

    このような官民における取組みも踏まえ、本監督指針の書面・対面に係る記載のうち、デジタル手続法の適用対象となる手続きに係るもの以外についても、以下のⅡ-7-2に掲げる原本送付を求める場合を除き、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるものとする。

    以上のような取扱いとする趣旨に鑑み、本監督指針の規定に基づく手続きについては、手続きの相手方の意向を考慮した上で、可能な限り、書面・対面によらない方法により行うことを慫慂するものとする。

II -7-2 申請書等を提出するに当たっての留意点

  • Ⅱ―7-1を踏まえ、指定機関等による当局への申請・届出等については、原則として、金融庁電子申請・届出システムを利用して法令に定める提出期限までに提出を求めることとする。

    ただし、公的機関が発行する添付書類(住民票の写し、身分証明書、戸籍謄本、税・手数料等の納付を証する書類等)については、原本送付を求めることとする。

サイトマップ

ページの先頭に戻る