3 運用型信託会社

3-1 行政報告

  • (1)財務局長は、各四半期末現在における運用型信託会社の状況について、別紙様式9により各四半期末の翌月20日までに監督局長へ報告するものとする。

  • (2)財務局長は、次に掲げる委任事項について行政処理を行ったときは、その結果を遅滞なく監督局長に報告するものとする。

    • マル1法第6条の規定による資本金の減少の認可

    • マル2法第11条第4項の規定による供託の命令

    • マル3法第13条第1項の規定による業務方法書の変更の認可

    • マル4法第16条第1項の規定による取締役の兼職の承認

    • マル5法第18条(法第20条において準用する場合を含む。)の規定による主要株主に対する措置命令

    • マル6法第21条第2項の規定による兼業の承認

    • マル7法第21条第4項の規定による兼業業務の業務方法書の変更の承認

    • マル8法第41条第1項(第1号に係る部分に限る。)及び第4項並びに規則第48条第1項(第5号及び第10号に係る部分に限る。)の規定による届出の受理

    • マル9法第42条第1項(法第50条第3項において準用する場合を含む。)から第3項までの規定による報告及び資料の提出の命令

    • マル10法第43条の規定による業務改善命令

    • マル11法第50条第2項の規定による意見の陳述

3-2 免許申請書の審査に際しての留意事項

申請者より、法第4条に基づく免許の申請があった場合には、以下の点に留意するものとする。

3-2-1 免許申請書及び添付書類の受理に当たっての留意事項

  • (1)規則別紙様式第1号の「記載上の注意」にある署名によることができる場合には、代表者が印章を用いる慣習がない外国人である場合が該当する。

  • (2)免許申請書に記載する営業所とは、信託業の全部又は一部を営むために開設する一定の施設を指し、駐在員事務所、連絡事務所その他営業以外の用に供する施設は除くものとする。

  • (3)官公署が証明する書類については、申請の日前3ヶ月以内に作成されたものを提出させるものとする。

  • (4)法第4条第2項第5号の「収支の見込みを記載した書類」とは、具体的には、業務の開始を予定する日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度から起算して3事業年度における別紙様式10により作成した信託会社単体ベース及び規則第8条第1項第1号に規定する子会社等を含めた連結ベースの業務の収支見込み並びにその根拠を記載した書類とする。

  • (5)規則第5条第2項第3号の住民票の抄本には、次の項目が記載されているものを提出させるものとする。

    • マル1住所

    • マル2氏名

    • マル3生年月日

    • マル4本籍

  • (6)国内に居住しない外国人が提出した本国の住民票に相当する書面の写し又はこれに準ずる書面は、規則第5条第2項第3号の「これに代わる書面」に該当する。

  • (7)規則第5条第2項第5号に掲げる「取締役、執行役、会計参与及び監査役が法第5条第2項第8号イからチまでのいずれにも該当しない者であることを当該取締役、執行役、会計参与及び監査役が誓約する書面」には、同号イからチまでのいずれにも該当しないことを誓約する旨のほか、「当該誓約が虚偽の誓約であることが判明した場合には、法第44条第1項第4号に掲げる免許取消し事由に該当すること及び同条第2項の規定による解任命令の対象となることを認識している」旨が記載されたものを提出させるものとする。

  • (8)規則第5条第2項第7号に掲げる「主要株主が法第5条第2項第9号イ及びロ並びに第10号イからハまでのいずれにも該当しない者であることを免許申請者が誓約する書面」には、主要株主が同項第9号イ及びロ並びに第10号イからハまでのいずれにも該当しないことを誓約する旨のほか、「当該誓約が虚偽の誓約であることが判明した場合には、法第44条第1項第4号に掲げる免許取消し事由に該当すること及び法第91条2号の規定による罰則の適用があり得ることを認識している」旨が記載されたものを提出させるものとする。

  • (9)規則第5条第2項第10号に掲げる「信託業務に関する知識及び経験を有する者の確保の状況並びに当該者の配置の状況を記載した書面」には、以下の事項を記載するものとする。

    • マル1信託業務に関する知識を有する者並びに信託業務及び信託関係法令に関する知識を有する者の知識を習得した方法(知識を有することを証する書面がある場合には当該書面を含む。)並びに当該者の配置予定先

      • (注)「信託業務に関する知識」とは、信託業を営む上で必要となる信託業務全般の基礎的な知識のことをいい、例えば、信託の仕組み、信託法、信託業法のほか、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)、個人情報の保護に関する法律など信託業務を行う上で必要となる関係法令、信託業の実務(既存の信託商品の内容、信託の税制等)についての基礎知識が考えられる。

        また、「信託関係法令に関する知識」とは、当該知識を習得した者が主に法令等遵守部門に配置されることを前提とした信託関係法令についての専門的な知識のことをいい、例えば、信託法、信託業法その他関係法令(民法、刑法等の基本法の関連部分を含む。)についての(過去の重要判例等も含めた)専門的知識が考えられる。

        なお、「知識を有することを証する書面」とは、例えば、信託業務の経験を示す履歴書や信託業務・信託関係法令に関する知識習得研修の受講証明書などが考えられる。

    • マル2信託業務に携った経験を有する者並びに管理及び処分を行う財産の管理・処分業務に携った経験を有する者の経歴及び配置予定先

  • (10)規則第5条第2項第11号に掲げる「その他法第5条の規定による審査をするため参考となるべき事項を記載した書面」とは、具体的には以下のとおり取り扱うものとする。

    なお、マル2については、引受けを行おうとする全ての信託財産について記載される必要があることに留意するものとする。

    • マル1規則第7条第3号に規定する業務の執行方法を定めた社内規則(業務マニュアルその他これに準ずるものを含む。以下同じ。)

    • マル2取り組みを予定している信託スキームの概要図(委託者、受託者、受益者、投資家等の関係者間における時系列順の取引内容等の説明の記載を含む。)

    • マル3信託業務の一部を第三者に委託する場合には、委託先の業務遂行能力を継続的に確認するための体制(委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策を含む。)を明らかにした書面

    • マル4その他審査の参考となる書類

3-2-2 業務方法書の審査

法第5条第1項第1号に基づく定款及び業務方法書の審査のうち、業務方法書の規定が法令に適合し、信託業務を適正に遂行するために十分なものであるか否かの審査については、法第4条第3項各号及び規則第6条第2項各号に掲げる必要記載項目ごとに、以下の点に留意するものとする。

  • (1)引受けを行う信託財産の種類

    規則第6条第1項各号に掲げる区分ごとに記載されているか。細目が必要とされる区分の財産については細目が記載されているか。

  • (2)信託財産の管理又は処分の方法

    信託契約に基づき受託者として行う管理行為、処分行為の内容を信託財産の種類ごとに具体的に列挙しているか。

    • (例1) 金銭の管理又は処分の方法

      • 株式の取得
      • 貸出の実行
      • 不動産の取得
    • (例2) 有価証券の管理又は処分の方法

      • 有価証券の保管、配当金等の収受
      • 有価証券の貸付け
      • 有価証券を担保とする借入れ
      • 有価証券の売却
  • (3)信託財産の分別管理の方法

    管理又は処分を行う信託財産の種類ごとに信託法第34条の規定に基づき信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財産に属する財産との分別管理の方法が記載されているか。

    また、信託財産の管理を第三者に委託する場合には、委託先に求める信託財産に属する財産と自己の固有財産その他の財産とを区分する等の管理方法が記載されているか。

  • (4)信託業務の実施体制

    組織図及び各組織が担当する業務の概略等が記載されているか。また、これにより以下の事項が明らかにされているか。

    • マル1営業統括、商品開発、信託財産の運用、信託財産の管理(受益者への運用状況の通知、収益金の計算及び支払い等のバックオフィス業務を含む。)、顧客管理(委託者の知識、経験及び財産の状況に照らした適切な信託の引受け並びに取引時確認を行うために必要な顧客管理をいう。以下同じ。)、電算システム管理、苦情・紛争処理、社内教育・研修、信託業務の委託先管理、信託契約代理店の管理、法令等遵守の管理、内部監査、財務管理等を的確に行うことができる組織体制となっているか。

    • マル2法令等遵守の管理、内部監査、財務管理を行う部門は、営業統括、商品開発、信託財産の運用、信託財産の管理を行う部門から独立した体制となっているか。また、内部監査部門は、信託業務を行う全ての部門に対して十分な牽制機能が働く独立した体制となっているか。

    • マル3行おうとする信託業務の規模・特性に応じて、各部門に求められる役員又は従業員の能力の基準が明らかになっているか。(例えば、信託財産運用部門には、運用を行う財産の運用業務に3年以上携わった経験を有する者を配置する等)

    • マル4信託業務を担当する役員の担当業務並びに信託業務を担当する組織及びその事務分掌について、社内規則に規定する旨が定められるとともに当該社内規則が整備されているか。

      • (注) 上記の担当部門はあくまでも例示であり、その行うべき体制整備等は、申請者が行おうとする信託業務の規模・特性により異なることに留意する。また、組織図には部署名を記載する必要はない。(「営業の本部機能を有する部門」、「信託財産運用部門」等の記載でよい。)

  • (5)信託業務の一部を第三者に委託する場合には、委託する信託業務の内容並びに委託先の選定に係る基準及び手続(法第22条第3項各号に掲げる業務を委託する場合を除く。)

    委託先の選定に係る基準及び手続きについては、委託先が法第22条第1項第2号に掲げる要件を満たすよう、例えば以下のような委託先の選定基準が記載されているとともに、選定に係る手続きが具体的に記載されているか。

    • マル1委託する信託業務の類型ごとに、当該委託する業務に関して規制する法律に基づく免許、登録等を受けている者であること。

    • マル2信用力等に照らし、委託する業務の継続的な遂行が可能である者であること。

    • マル3委託する業務に係る実績や業務の内容に即した人材の確保の状況等に照らし、委託する業務を的確に遂行する能力がある者であること。

    • マル4委託される信託財産に属する財産と自己の固有財産その他の財産とを区分する等の管理を行う体制や内部管理に関する業務を適正に遂行するための体制が整備されている者であること。

  • (6)信託受益権売買等業務(金融商品取引法第65条の5第1項に規定する信託受益権の売買等を行う業務をいう。)を営む場合には、当該業務の実施体制

    信託受益権売買等業務の実施体制として以下の事項が、原則として(4)に併せて記載されているか。

    • マル1行おうとする信託受益権売買等業務の規模・特性に応じて、顧客管理、苦情・紛争処理、社内教育・研修、法令等遵守の管理(誤認防止体制の確保を含む。)、内部監査等を的確に行うための体制が記載されているか。また、内部監査部門は、信託受益権売買等業務を行う全ての部門に対して十分な牽制機能が働く独立した体制となっているか。

      なお、信託受益権売買等業務を担当する組織及びその事務分掌について、業務方法書に詳細を記載していない場合には、社内規則に規定する旨が定められるとともに当該社内規則が整備されているか。

    • マル2誤認防止のための体制として、例えば、規則第72条第2項第1号及び第2号に掲げるような体制が記載されているか。

    • マル3取り扱う信託受益権に係る受託者である信託会社、外国信託会社又は信託兼営金融機関に対して、必要に応じて当該信託受益権の内容に関する照会を行うこととしているか。

    • マル4法令等を遵守し、信託受益権の適切な説明を顧客に行えるよう営業の担当者に適切に研修等を実施することとしているか。

  • (7)信託業務の運営の基本方針

    信託業務の運営に当たって、信託法、信託業法その他の関連法令を遵守する旨が記載されているか。

  • (8)信託契約締結の勧誘、信託契約の内容の明確化及び信託財産の状況に係る情報提供に関する基本方針

    顧客に対して勧誘を行う際には、顧客の知識、経験及び財産の状況に応じ、商品内容について十分な情報提供と説明を行い、契約内容を明確化する旨が記載されているか。また、規則第38条各号に掲げる場合を除き、受託する信託財産の計算期間ごとに信託財産状況報告書を顧客に対し交付する旨が記載されているか。

3-2-3 財産的基礎の審査

法第5条第1項第2号に掲げる信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有しているか否かの審査に当たっては、以下の点に留意するものとする。

  • (1)貸借対照表及び規則第5条第2項第1号に掲げる純資産額及びその算出根拠を記載した書面を精査し、純資産額が正確に算出されているかを確認すること。

  • (2)収支見込対象期間における純資産額の審査においては、収支見込みの根拠となる諸条件について十分に精査すること。また、信託報酬は確実かつ将来にわたり安定的と見込まれるか、収支見込みの前提となる諸条件が見込みを下回った場合でも経常経費を賄う程度の収益を見込めるか等についても審査すること。

3-2-4 人的構成に照らした業務遂行能力の審査

申請者が法第5条第1項第3号並びに規則第7条第3号及び第4号に掲げる業務遂行能力等に関する基準を満たしているか否かについては、業務方法書等の記載内容に照らして、以下により判断することとする。なお、これらはあくまでも例示であり、その行うべき体制整備等は申請者が行おうとする信託業務の規模、特性により異なることに留意し、申請者が以下の基準を満たしていない場合には、満たす必要がない合理的理由について聴取することとする。

  • (1)顧客保護の観点からの信託業務の執行方法の審査

    • マル1信託財産の分別管理の執行方法

      信託財産の分別管理に関する社内規則に、分別管理の執行方法が具体的に定められており、信託財産が自己の固有財産及び他の信託財産と明確に区分され、かつ、当該信託契約の種類に応じた方法により、当該信託財産に係る受益者を判別できることとしているか。また、その遵守状況について適切に検証することとしているか。

    • マル2信託契約の締結の勧誘及び信託契約の内容の明確化の執行方法

      顧客への勧誘・説明に関する社内規則に、顧客への勧誘、信託契約の内容の明確化及び説明並びに信託契約締結時の書面交付の方法が具体的に定められており、法令等を遵守した適切な信託の引受けを行うこととしているか。特に、法第24条第2項に規定する委託者の知識、経験及び財産の状況に照らした適切な信託の引受けを行うため、顧客の知識、投資意向、投資経験等の顧客属性について把握し、顧客属性に照らした勧誘、説明、引受けを行うための具体的な方法が記載されているか。また、顧客属性の把握の状況及び信託の引受けの際の法令等の遵守状況について適切に検証することとしているか。

    • マル3信託財産の状況に係る情報提供及び信託財産の経理に関する業務の執行方法

      信託財産の状況に関する情報提供に関する社内規則に、受益者への運用状況の情報提供方法が具体的に定められているか。また、規則第5条第2項第8号イに掲げる信託財産に関する経理に関する社内規則に、信託財産の経理に関する基準(信託財産の評価方法、収益金の計算方法等)が定められているか。なお、受益者への運用状況の情報提供、収益金の計算及び実際の支払い等は、信託財産運用部門、営業の本部機能を有する部門から独立した部門が行うなど相互牽制機能が十分に働く執行体制となっているか。

    • マル4帳簿書類の作成及び保存並びに閲覧の方法

      規則第5条第2項第8号ロに掲げる帳簿書類の作成及び保存並びに閲覧に関する社内規則に、信託法第37条第1項に規定する帳簿等及び同条第2項に規定する貸借対照表、損益計算書等の作成及び保存並びに閲覧の方法が具体的に記載されているか。

  • (2)経営体制等に照らした業務遂行能力の審査

    • マル1経営体制(役員又は従業員の確保状況)

      • イ.営業の本部機能を有する部門に、信託業務に関する知識を有する者を複数名配置することとなっているか。うち少なくとも1名は、信託業務に3年以上携った経験を有する者であるか。

      • ロ.信託財産運用部門及び信託財産管理部門のそれぞれに、管理又は処分を行う財産の管理・処分業務に3年以上携った経験を有する者を配置することとなっているか。

      • ハ.内部監査部門及び財務管理部門のそれぞれに、信託業務に関する知識を有する者を配置することとなっているか。

      • ニ.法令等遵守の管理部門に、信託業務及び信託関係法令に関する知識を有する者を配置することとなっているか。

      • ホ.信託業務に係る営業の担当者は、信託業務に関する知識を有する者であるか。

      • ヘ.信託業務を担当する役員が、その経歴及び能力等に照らして、信託業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有しているか。

    • マル2業務運営体制

      • イ.法令等を遵守し、信託商品の適切な勧誘、説明及び書面交付を顧客に行えるよう営業の担当者に適切に研修等を実施できる体制が整備されているか。

      • ロ.信託約款等を策定・変更する際に、営業の本部機能を有する部門とは独立した部門において法令及び会計上の検討を行うなど相互牽制機能が十分に働く体制が整備されているか。

      • ハ.法令等及び信託契約に基づく信託業務の適正な履行が可能な信託の引受けを行うための信託引受審査に関する社内規則(注)が整備されているか。また、当該規則に基づく適正な信託引受審査を確保するための体制が整備されているか。

        • (注) 受託者責任の観点から、例えば次のような事項が規定されているか

          • a.受託者責任に関する基本的考え方(善管注意義務及び忠実義務の遵守等)を定めているか。

          • b.信託引受審査が委託者及び受益者の保護並びに信託会社の業務の健全かつ適切な運営の確保に直接関わる業務であることを十分に認識し、適正な信託引受審査の実施に向けた方針及び信託財産の特性等を踏まえた審査基準を定めているか。

          • c.信託契約が委託者の不適切な目的に基づくものではないこと等を確認・検証するための具体的な手続きを定めているか。

          • d.信託の利用目的・機能、契約の内容等を踏まえた信託受託者としての役割や責任に応じて、引受けを行おうとする財産が信託財産として適法性や適切性を備えていることを確認・検証するための具体的な手続きを定めているか。特に、資産の流動化・証券化取引に信託が用いられる場合には、信託財産となる原資産の特性及び正味価値を踏まえ、受益者の利益が損なわれることのないよう、受託時の信託元本額の妥当性等を確認・検証するための具体的な手続きを定めているか。

      • ニ.信託財産を市場で運用する場合には、信託財産の運用に関する社内規則(注)が整備されているか。また、当該規則に基づく運用を確保するための体制が整備されているか。

        • (注) 受託者責任の観点から、例えば次のような事項が規定されているか。

          • a.受託者責任に関する基本的考え方(善管注意義務及び忠実義務の遵守等)を定めているか。

          • b.運用方針・運用内容等(貸株取引に関する事項も含む。)について、委託者に対する説明義務を定めているか。

          • c.市場取引において遵守すべき原則(例えば価格操作・風説の流布の禁止、引値保証取引に関する事項等)を定めているか。

          • d.取引執行能力、法令等遵守、信用リスク、取引コスト等を勘案した取引証券会社等の選定に関する基準を定めているか。

      • ホ.運用の判断プロセスの適切性を含め、信託財産が信託約款等に則り適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)について、信託財産運用部門から独立した部門による定期的な検証ができる体制が整備されているか。

      • ヘ.法第29条第2項各号に掲げる取引を行おうとする場合には、社内規則において、同条第2項柱書きに規定する自己取引等が許容される要件を満たすことを検証できる形で定められているか。

        • 例えば、信託勘定から固有勘定への運用に際し、受託者の信用リスクを適切に評価することとしているか。特に、受託者の財務の健全性低下が懸念される場合には、より慎重な検証が必要であることを踏まえた社内規則となっているか。
        • 当該取引を実施する部門から独立した内部監査部門による定期的かつ実効性のある検証・監査ができる体制が整備されているか。
    • マル3業務管理体制

      • イ.犯収法に基づく取引時確認及び疑わしい取引の届出が適切に行われる体制が整備されているか。

      • ロ.委託先の管理体制

        信託会社が信託業務の一部を第三者に委託する場合には、信託会社は、委託先が業務遂行能力や委託に係る契約に記載された条件を満たしているかを継続的に確認できる体制を整備しているか。また、委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策(業務の改善の指導、委託の解消等)を明確に定めているか。なお、信託会社の委託先の業務遂行能力の確認については、委託先において以下の体制が整備されているか留意する。

        • a.委託される業務の内容に即した人材(管理・処分を行う資産に関する知識・経験を有する者、受託者責任に習熟した者等)が確保されているか。

        • b.委託を受けた信託財産に属する財産と自己の固有財産その他の財産とを区分する等の方法により管理する体制が整備されているか。

        • c.内部管理に関する業務を適正に遂行するための体制が整備されているか。

      • ハ.内部管理体制の整備

        • a.規則第5条第2項第8号ハに掲げる内部管理に関する業務の運営に関する社内規則に、当該業務の具体的な運営方法及び社内における責任体制が明確に記載されているか。

        • b.信託業務に関する社内規則の内容を信託業務に携わる全役職員に周知徹底することとしているか。

3-2-5 免許拒否事由の審査

法第5条第2項各号に掲げる事由に該当しないことを確認するものとする。なお、同項第7号の審査については、3-4-4に準じるものとする。

3-2-6 その他

  • (1)主要株主の届出に係る留意事項

    • マル1免許を受けたときに、法第5条第5項に規定する主要株主である者は、法第17条第1項に規定する対象議決権保有届出書を、遅滞なく提出しなければならないことに留意する。

    • マル2法第17条第2項に掲げる「主要株主が法第5条第2項第9号及び第10号イからハまでのいずれにも該当しない者であることを誓約する書面」には、同号のいずれにも該当しないことを誓約する旨のほか、「当該誓約が虚偽の誓約であることが判明した場合には、法第18条に掲げる当該信託会社の主要株主でなくなるための措置命令の対象となること及び法第96条第2号の規定による罰則の適用があり得ることを認識している」旨が記載されたものを提出させるものとする。

    • マル3規則第27条第3項第1号の住民票の抄本には、次の項目が記載されているものを提出させるものとする。

      • イ.住所

      • ロ.氏名

      • ハ.生年月日

      • ニ.本籍

3-3 経営管理の評価に関する留意事項

  • (1)意義

    信託制度が健全に発展していくためには、信託会社自らが法令等遵守態勢の整備等に努め、利用者保護に欠けることのないよう経営を行うことが重要である。日常の監督事務においては、信託会社の業務執行に対する経営陣の監督が有効に機能しているか、経営陣に対する監視体制が有効に機能しているかといった観点から、望ましい信託会社の経営管理のあり方について検証していく必要がある。

  • (2)主な着眼点

    信託会社に経営管理が有効に機能するためには、その組織の構成要素がそれぞれ本来求められる役割を果たしていることが前提となる。具体的には、取締役会、監査役会といった組織が経営をチェックできていること、各部門間のけん制や内部監査部門が健全に機能していること等が重要である。また、代表取締役、取締役、監査役及び全ての職階における職員が自らの役割を理解し、そのプロセスに十分関与することが必要となる。

    また、信託業法は、信託業務の公共性に鑑み、信託の委託者及び受益者の保護を図る観点から、信託業務の健全かつ適切な運営を求めていることを踏まえ、信託業務の常務に従事する取締役には、その資質について高いものが求められている。

    信託会社の経営管理態勢の機能が適切に発揮されているかどうかを検証するに当たっては、例えば以下の着眼点に留意するものとする。なお、信託会社の求められる態勢は、当該信託会社が行う信託業務の規模、特性により異なることに留意するものとする。

  • (注1)指名委員会等設置会社である場合については、取締役会、各委員会、執行役等の機関等、また、監査等委員会設置会社である場合については、取締役会、監査等委員会等の機関等が、それぞれ与えられた権限等を適切に行使しているかどうかといった観点から検証する必要がある。この場合においては、本監督指針の趣旨を踏まえ、実態に即して検証を行うものとする。

  • (注2)検証に当たっては、必要に応じ、信託検査マニュアル及び金融検査マニュアルの「経営管理(ガバナンス)態勢-基本的要素-」に掲げられるチェック項目を参照するものとする。

    • マル1代表取締役

      • イ.法令等遵守を経営上の重要課題の一つとして位置付け、代表取締役が率先して法令等遵守態勢の構築に取り組んでいるか。

      • ロ.代表取締役は、リスク管理部門を軽視することが企業収益に重大な影響を与えることを十分認識し、リスク管理部門を重視しているか。

      • ハ.代表取締役は、財務情報その他企業情報を適正かつ適時に開示するための内部管理態勢を構築しているか。

      • ニ.代表取締役は、内部監査の重要性を認識し、内部監査の目的を適切に設定するとともに、内部監査部門の機能が十分発揮できる態勢を構築(内部監査部門の独立性の確保を含む。)し、定期的にその機能状況を確認しているか。また、内部監査態勢に関し、監査役監査又は当局検査等で指摘された問題点を踏まえ、実効性ある態勢整備に積極的に取り組んでいるか。

        さらに、内部監査の結果等については、速やかに適切な措置を講じているか。

      • ホ.代表取締役は、監査役監査の重要性及び有用性を十分認識し、監査役監査の有効性確保のための環境整備が重要であることを認識しているか。特に、監査役監査を取り巻く環境の変化に対応した動き、例えば監査役監査基準(社団法人日本監査役協会:昭和50年3月25日)の改定(平成19年1月12日)等を理解し、監査役の円滑な監査活動を保障しているか。

      • へ.代表取締役は、断固たる態度で反社会的勢力との関係を遮断し排除していくことが、信託会社に対する公共の信頼を維持し、信託会社の業務の適切性及び健全性の確保のため不可欠であることを十分認識し、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ。以下3-3において「政府指針」という。)の内容を踏まえて取締役会で決定された基本方針を社内外に宣言しているか。

    • マル2取締役及び取締役会

      • イ.取締役は、業務執行にあたる代表取締役等の独断専行をけん制・抑止し、取締役会における業務執行の意思決定及び取締役の業務執行の監督に積極的に参加しているか。

      • ロ.取締役会は、例えば、法令等遵守やリスク管理等に関する経営上の重要な意思決定・経営判断に際し、必要に応じて、外部の有識者の助言、外部の有識者を委員とする任意の委員会等を活用するなど、その妥当性・公正性を客観的に確保するための方策を講じているか。

      • ハ.取締役会は、信託会社が目指すべき全体像等に基づいた経営方針を明確に定めているか。さらに、経営方針に沿った経営計画を明確に定め、それを組織全体に周知しているか。また、その達成度合いを定期的に検証し必要に応じ見直しを行っているか。

      • ニ.取締役及び取締役会は、法令等遵守に関し、誠実に、かつ率先垂範して取組み、全社的な内部管理態勢の確立のため適切に機能を発揮しているか。

      • ホ.取締役会は、リスク管理部門を軽視することが企業収益に重大な影響を与えることを十分認識し、リスク管理部門を重視しているか。特に担当取締役はリスクの所在及びリスクの種類を理解した上で、各種リスクの測定・モニタリング・管理等の手法について深い認識と理解を有しているか。

      • へ.取締役会は、戦略目標を踏まえたリスク管理の方針を明確に定め、社内に周知しているか。また、リスク管理の方針は、定期的又は必要に応じ随時見直しているか。さらに、定期的にリスクの状況の報告を受け、必要な意思決定を行うなど、把握したリスク情報を業務の執行及び管理体制の整備等に活用しているか。

      • ト.取締役会は、あらゆる職階における職員に対し経営管理の重要性を強調・明示する風土を組織内に醸成するとともに、適切かつ有効な経営管理を検証し、その構築を図っているか。

      • チ.取締役及び取締役会は、信託の受託者として遵守すべき最も基本的かつ重要な原則である、善管注意義務、忠実義務、分別管理義務等の履行を信託業務に係る経営方針に定めているか。

      • リ.取締役及び取締役会は、善管注意義務等の信託の受託者としての義務について、信託種別や信託契約ごとに異なり得ることを踏まえた上で、遵守すべき事項を具体的に内部規定に定めるなどして、実効的に受託者としての義務を履行する態勢を整備しているか。

      • ヌ.取締役会は、内部監査の重要性を認識し、内部監査の目的を適切に設定するとともに、内部監査部門の機能が十分発揮できる態勢を構築(内部監査部門の独立性の確保を含む。)し、定期的にその有効性を検証しているか。また、内部監査態勢に関し、監査役監査又は当局検査等で指摘された問題点を踏まえ、実効性ある態勢整備に積極的に取り組んでいるか。

        また、被監査部門等におけるリスク管理の状況等を踏まえた上で、監査方針、重点項目等の内部監査計画の基本事項を承認しているか。

        さらに、内部監査の結果等については、速やかに適切な措置を講じているか。

      • ル.取締役又取締役会は、監査役監査の重要性及び有用性を十分認識し、監査役監査の有効性確保のための環境整備が重要であることを認識しているか。

        また、監査役選任議案を決定するに際し、監査役としての独任性・適格性等を慎重に検討しているか。

      • ヲ.法令等遵守態勢、リスク管理態勢及び財務報告態勢等の内部管理態勢(いわゆる内部統制システム)を構築することは、取締役の善管注意義務及び忠実義務の内容を構成することを理解し、その義務を適切に果たそうとしているか。

      • ワ.取締役会は、政府指針を踏まえた基本方針を決定し、それを実現するための体制を整備するとともに、定期的にその有効性を検証するなど、法令等遵守・リスク管理事項として、反社会的勢力による被害の防止を内部統制システムに明確に位置付けているか。

      • カ.信託会社の常務に従事する取締役の選任議案の決定プロセス等においては、その適格性について、法第5条第1項第3号に規定する「人的構成に照らして、信託業務を的確に遂行できる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有していること」等として、例えば以下のような要素が適切に勘案されているか。

        • 信託業務を的確に遂行できる知識及び経験

          信託業法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、信託業務の健全かつ適切な運営に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験、その他信託会社の行うことができる業務を適切に遂行することができる知識・経験を有しているか。

        • 十分な社会的信用

          • a.反社会的行為に関与したことがないか。

          • b.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(過去に暴力団員であった者を含む。以下「暴力団員」という。)ではないか、又は暴力団と密接な関係を有していないか。

          • c.金融商品取引法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたことがないか。

          • d.禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたことがないか。

          • e.過去において、所属した法人等又は現在所属する法人等が金融監督当局より法令等遵守に係る業務改善命令、業務停止命令、又は免許、登録若しくは認可の取消し等の行政処分を受けており、当該処分の原因となる事実について、行為の当事者として又は当該者に対し指揮命令を行う立場で、故意又は重大な過失(一定の結果の発生を認識し、かつ回避し得る状態にありながら特に甚だしい不注意)によりこれを生ぜしめたことがないか。

          • f.過去において、金融監督当局より役員等の解任命令を受けたことがないか。

          • g.過去において、金融機関等の破綻時に、役員として、その原因となったことがないか。

    • マル3監査役及び監査役会

      • イ.監査役及び監査役会は、制度の趣旨に則り、その独立性が確保されているか。

      • ロ.監査役又は監査役会は、付与された広範な権限を適切に行使し、会計監査に加え業務監査を実施しているか。

      • ハ.監査役及び監査役会は、監査の実効性を高め監査職務を円滑に遂行するため、監査役の職務遂行を補助する体制等を確保し有効に活用しているか。

      • ニ.監査役会が組織される場合であっても、各監査役は、あくまでも独任性の機関であることを自覚し、自己の責任に基づき積極的な監査を実施しているか。

      • ホ.監査役会は、外部監査の内容に応じてその結果の報告を受けるなどして、自らの監査の実効性の確保に努めているか。

      • へ.監査役会は、取締役が株主総会に提出する監査役の選任議案について、同意の審議に際し、その独立性・適格性等を慎重に検討しているか。

      • ト.信託会社の監査役は業務監査の職責を担っていることから、取締役が内部管理態勢(いわゆる内部統制システム)の構築を行っているか否かを監査する職務を担っており、これが監査役としての善管注意義務の内容を構成することを理解し、その義務を果たそうとしているか。

    • マル4内部監査部門

      内部監査は、信託会社の経営目標の実現に寄与することを目的として、被監査部門から独立した立場で、業務執行状況や内部管理・内部統制の適切性、有効性、合理性等を検証・評価し、これに基づいて経営陣に対して助言・勧告等を行うものであり、信託会社の自律的な企業運営を確保していく上で、最も重要な企業活動の一つである。このような重要性に鑑み、信託会社の内部監査が有効に機能しているかどうかを、例えば以下の点に留意するものとする。

      • イ.内部監査部門は、被監査部門に対して十分な牽制機能が働くよう被監査部門から独立し、かつ実効性ある内部監査が実施できる体制となっているか。

      • ロ.内部監査部門は、信託会社の全ての業務を監査対象として、被監査部門におけるリスク管理状況及びリスクの種類等を把握した上で、内部監査計画を立案しているか。

      • ハ.内部監査部門は、内部監査計画に基づき、被監査部門に対して効率的かつ実効性ある内部監査を実施しているか。

      • 二.内部監査部門は、内部監査において把握・指摘した重要な事項を遅滞なく代表取締役及び取締役会に報告しているか。

      • ホ.内部監査部門は、内部監査における指摘事項に関する被監査部門の改善状況を適切に管理し、その後の内部監査計画に反映させているか。

    • マル5外部監査の活用

      外部監査の活用については、信託会社に制度上会計監査人の設置が義務付けられている場合を除き、信託会社の規模・特性に応じて信託会社自身がその必要性及び有効性を判断すべきである。会計監査人等による外部監査を活用する場合は、企業収益の獲得及びリスク管理、あるいは内部管理態勢の実効性を確保するために、信託会社自らの内部監査と同様に、その有効な活用が確保されることが望ましいことから、例えば以下の点に留意するものとする。

      • イ.外部監査において把握・指摘された重要な事項は、遅滞なく取締役会又は監査役会に報告されているか。

      • ロ.被監査部門は、外部監査における指摘事項を一定期間内に改善しているか。また、内部監査部門は、その改善状況を適切に把握・検証しているか。

3-4 監督に係る事務処理上の留意事項

3-4-1 営業保証金に係る留意事項

  • (1)信託会社が既に供託している供託物の差し替えを行うため、新たに供託をした後、当該供託書正本を届け出てきた場合は、既に受理保管していた供託書正本について、別紙様式11による供託書正本の下付証明を行うとともに、既に受理保管していた供託書正本を信託会社に返還する。

  • (2)令第10条第3号の規定による保証契約の変更又は解除の承認をした場合には、別紙様式12により作成した保証契約変更承認書又は別紙様式13により作成した保証契約解除承認書を申請者に交付するものとする。

  • (3)供託書正本を受領した場合は、別紙様式14による保管証書を交付する。

  • (4)営業保証金取戻し公告は、別紙様式15により行う。

  • (5)信託会社及び免許申請者に対して、法第11条第9項の規定に基づき国債により営業保証金を供託している場合、国債に関する法律(明治39年法律第34号)により一定期間経過後に消滅時効が完成し、供託が無効となることがある旨を周知する。

3-4-2 業務方法書の変更認可

法第13条第1項に規定する業務方法書の変更認可については、以下の点に留意するものとする。また、審査に当たっては、その変更内容に応じて、本監督指針の免許の審査基準を満たさないこととならないかどうかに留意するものとする。

  • (1)規則第24条第2項第4号に掲げる「その他次項に規定する審査をするため参考となるべき事項を記載した書類」については、業務方法書の変更内容に応じて、3-2-1(9)及び(10)に記載した書面の提出を求めるものとする。

3-4-3 取締役の兼職の制限

  • (1)法第16条に規定する「常務に従事する取締役」とは、取締役会の出席回数、拘束時間の多少にかかわらず、会社の実務に携わる取締役をいう。

    したがって、代表権のある取締役は全て承認の対象となるほか、代表権のない取締役でも会長、副会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事しているとみられるものは承認の対象となる。

  • (2)法第16条に規定する「他の会社」とは、会社法上の会社を問わず全ての「会社」をいい、公益法人、組合等は含まない。また、「他の会社の常務に従事し」とは、他の会社の取締役であることを要せず、他の会社の実務に携わる場合をいう。

    したがって、他の会社の代表権のある取締役に就任する場合は全て承認の対象となるほか、代表権のない取締役でも会長、副会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事しているとみられるものは承認の対象となる。

  • (3)法第16条の「事業を営む」とは、自己の名をもって事業を営むことのほか、経営の主体となり又は実務に携わっていることを含む。

3-4-4 兼業承認

  • (1)承認申請書の添付書類のうち、法第21条第3項に規定する「営む業務の内容及び方法を記載した書類」には、営もうとする兼業業務の内容及び方法が具体的に記載されているか。(特定の業種名を記載した包括的な兼業承認申請は行わないこと。)また、本書類には、規則第28条第2項第1号に掲げる「兼業業務が信託業務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼす恐れがないこと」が明確となるよう、業務執行体制、内部管理体制の整備状況等が記載されているか。

  • (2)兼業業務に係る財産と信託財産との間の取引を行おうとする場合には、3-2-4(2)マル2ヘに記載した社内規則の整備の状況について確認するものとする。

3-4-5 信託業務の委託

  • (1)法第22条第3項第1号に規定する「信託財産の保存行為に係る業務」とは、信託財産の現状を維持するために必要な一切の行為をいう。

    例えば、以下のような行為にとどまっているか。

    • マル1知的財産権等に対する侵害を排除するための行為

    • マル2未登記不動産等について登記等を行う行為

    • マル3消滅時効の中断等財産権の消滅を防止する行為

    • マル4配当、利息の受取り等財産権からの予定された収益を収受する行為

    • マル5建物の修繕を行う行為

    • マル6信託財産の保管

    • マル7第三者が行う金銭債権の回収事務の内容が、債務者から当該第三者の預金口座に入金された弁済金を受託者の預金口座に入金する行為

  • (2)法第22条第3項第2号に規定する「信託財産の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする業務」とは、物や権利の性質を変更しない範囲で、収益を図る行為(利用行為)又は利用価値若しくは交換価値を増加させる行為(改良行為)をいう。

    • マル1財産の性質を変えない範囲内における利用行為

      財産の通常の用法により収益を得ることを図る行為になっているか。また、長期にわたり他の方法による利用ができなくなるなど実質的に財産の処分を行っていることがないか。

      例えば、以下のような行為にとどまっているか。

      • イ.信託財産の管理又は処分により生じた金銭を普通預貯金により管理する行為

      • ロ.民法(明治29年法律第89号)第602条に規定する短期賃貸借に該当する行為

      • ハ.知的財産権に関し他者の利用を制限しない通常実施権を設定する行為

      • ニ.知的財産権に関し他者の利用を制限する専用実施権を短期間(3年以内)設定する行為

      また、例えば、以下のような行為を行っていないか。

      • イ.預貯金を貸付債権に変更する行為

      • ロ.上記ロの短期賃貸借に該当しない賃貸借に該当する行為

      • ハ.知的財産権に関し専用実施権を長期間設定する行為

    • マル2財産の性質を変えない範囲内における改良行為

      財産の価値を増加させる行為になっているか。また、財産の内容を実質的に変更するものとなっていないか。

      例えば、以下のような行為にとどまっているか。

      • イ.無利息債権を利息付債権に変更する行為

      • ロ.財産権から担保権という負担を除去する行為

      また、例えば、以下のような行為を行っていないか。

      • イ.農地を宅地に変更する行為

      • ロ.預貯金を株式に変更する行為

  • (3)法第22条第3項第3号

    • マル1規則第29条第1号及び第2号に規定する「指図」の内容は、信託財産の管理又は処分の方法を受託者又は委託先の裁量を生じないように特定する必要がある。

    • マル2規則第29条第3号に規定する「信託会社が行う業務の遂行にとって補助的な機能を有する行為」とは、「定型的なサービス提供者がそのサービスを提供する行為」、「単純な事務を処理する行為」、「弁護士・会計士等が専門家として提供する行為」のように、信託会社から委託を受けた業務が、信託の目的、信託会社が行う業務の内容等に照らして、信託事務処理の手段である行為を補助するに過ぎないものをいう。

    • (注)例えば、以下のような行為が「信託会社が行う業務の遂行にとって補助的な機能を有する行為」に該当すると考えられる。

      • イ.運送会社が信託財産を運搬する行為

      • ロ.証券会社が有価証券を補助的に売買する行為

      • ハ.不動産会社が不動産を補助的に処分する行為

      • ニ.振替機関及び口座管理機関が社債等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)に規定する振替口座簿の記載又は記録(これに類似するものを含む。)をする行為

      • ホ.日本銀行又は証券保管振替機構が有価証券の預託を受ける行為

      • ヘ.弁護士が訴訟の委託を受ける行為

3-4-6 産業競争力強化法に関する留意事項

事業再編の実施に関する指針(平成26年1月17日付財務省、経済産業省告示第1号)について、信託会社への適用に際しては、以下の点に留意するものとする。

  • (1)「売上高」については、「信託報酬」と読み替えて適用するものとする。

  • (2)「当該商品又は役務の提供に係る販売費」は、例えば、経費を指す。

  • (3)「従業員1人当たりの付加価値額の値」は、例えば、従業員1人当たりの付加価値額(営業利益、給料、固定資産減価償却費の和)を指す。

3-5 業務運営の状況に関して報告・改善を求める場合の留意事項

運用型信託会社の業務運営の適切性、健全性に疑義が生じた場合には、必要に応じ、法第42条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第43条に基づく命令を行うことが必要となる。その際の着眼点については、法令及び本監督指針に規定する免許申請の際の審査基準を満たしているか、法令、定款、業務方法書、社内規則等を遵守した適切な業務運営が行われているか否かのほか、以下の点にも留意するものとする。

3-5-1 業務運営状況の評価に関する留意事項

  • (1)総論

    信託の委託者及び受益者の保護を図るためには、運用型信託会社の業務の全てにわたり、信託業法その他の法令、定款、業務方法書、社内規則等が遵守され、健全かつ適切に運営されていることが重要である。こうした観点から、運用型信託会社の業務運営状況の評価に当たっては、委託者に対する契約内容の説明や契約締結前の信託引受審査、受託後の信託財産の管理・運用等の信託業務を適正に行うための態勢が整備され、かつ、当該信託業務に関する適切な内部管理を行うための態勢が確保されているか否かについて検証することとする。なお、運用型信託会社に求められる上記態勢は、当該信託会社が行う信託業務の規模、特性により異なることに留意するものとする。

    • (注)検証に当たっては、必要に応じ、信託検査マニュアルに掲げられるチェック項目を参照するものとする。

  • (2)改正前厚生年金保険法の規定による信託契約についての留意事項

    特に、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63号。以下「平成25年厚生年金等改正法」という。)附則第5条第1項の規定によりなおその効力を有するものとされる平成25年厚生年金等改正法第1条の規定による改正前の厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第130条の2第1項の規定による信託契約(以下「年金信託契約」という。)に基づく業務運営についての検証に当たっては、例えば以下の点に留意するものとする。

    • ・存続厚生年金基金(平成25年厚生年金等改正法附則第3条第11号に規定する存続厚生年金基金をいう。以下同じ。)の知識、経験、財産の状況及び年金信託契約を締結する目的等について把握し、当該存続厚生年金基金から運用指針が示された際、これらの事情に照らして必要と認められる場合には、当該存続厚生年金基金に対し、当該運用指針に基づき運用を行った場合に発生する可能性のあるリスクの説明を行うための適切な態勢が整備されているか。

  • (3)契約締結前交付書面についての留意事項

    • マル1規則第30条の23第1項第12号に規定する「業務又は財務に関する外部監査」には、以下のもの(これらに相当するものを含む。)が該当する。

      • ・金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明に係るもの(3-5-1(4)マル1において「財務諸表監査」という。)及び同条第2項の規定に基づく監査証明に係るもの(3-5-1(4)マル1において「内部統制監査」という。)

      • ・会社法に基づく会計監査人による監査

      • ・監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」(日本公認会計士協会)、Statement on Standards for Attestation Engagements (SSAE) No.16「Reporting on Controls at a Service Organization」(米国公認会計士協会)、International Standard on Assurance Engagements (ISAE) No. 3402 「Assurance Reports on Controls at a Service Organization」(国際監査・保証基準審議会)等の基準に基づく受託企業の内部統制に関する保証業務(3-5-1(4)マル1において「内部統制保証業務」という。)

      • ・資産運用業務を行う会社のパフォーマンス開示がグローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)に準拠しているかに関する検証

    • マル2規則第30条の23第3項第3号に規定する「当該信託会社とファンド関係者との間の資本関係」については、ファンド関係者が当該信託会社の令第2条第1項第2号から第8号までに掲げる者に該当する場合に、その旨を記載する。

    • マル3規則第30条の23第3項第3号に規定する当該信託会社とファンド関係者との間の「人的関係」については、合理的と認められる一定の時点における役職員の兼職状況を記載する。

  • (4)信託財産状況報告書についての留意事項

    • マル1規則第37条第1項第15号に規定する「業務又は財務に関する外部監査」には、以下のもの(これらに相当するものを含む。)が該当する。

      • ・財務諸表監査及び内部統制監査

      • ・会社法に基づく会計監査人による監査

      • ・内部統制保証業務

      • ・資産運用業務を行う会社のパフォーマンス開示がグローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)に準拠しているかに関する検証

    • マル2規則第37条第7項に基づき、信託財産状況報告書に規則第30条の23第3項各号に掲げる事項を記載する場合、同項第3号に規定する「当該信託会社とファンド関係者との間の資本関係」については、ファンド関係者が当該信託会社の令第2条第1項第2号から第8号までに掲げる者に該当する場合に、その旨を記載する。

      また、規則第30条の23第3項第3号の当該信託会社とファンド関係者との間の「人的関係」については、合理的と認められる一定の時点における役職員の兼職状況を記載する。

  • (5)その他の留意事項

    規則第40条第9項に基づき価額等の照合結果を権利者に対して通知するに当たり、社内規則等において、当該権利者が理解できるような方法によって当該照合結果を遅滞なく通知するための手続きを定めているか否かについて検証することとする。

3-5-2 忠実義務及び善管注意義務の遵守状況の評価に関する留意事項

法第28 条第1 項及び第2 項において信託会社の忠実義務、善管注意義務が規定されており、忠実義務に違反する行為として、法第29 条第1 項各号に掲げる取引及び同条第2項の規定に違反する取引が該当するが、忠実義務及び善管注意義務の遵守状況の評価に当たっては、これらの行為以外にも、例えば、同一内容の受益権を有する複数の受益者に対して合理的な理由なく異なる取扱いをし、受益者間の公平を損ねるような場合など、忠実義務又は善管注意義務に違反することとなる場合があることに留意する。また、信託会社が信託受託者として善管注意義務を十分に果たし得るには、信託受託のための調査・審査・管理が適正に行われている必要があるが、当該調査等の状況の検証に当たっては、例えば以下の点に留意する。

  • マル1信託契約が委託者の不適切な目的に基づくものではないこと等を確認・検証しているか。

  • マル2信託の利用目的・機能、契約の内容等を踏まえた信託受託者としての役割や責任に応じて、引受けを行おうとする財産が信託財産として適法性や適切性を備えていることを確認・検証しているか。特に、資産の流動化・証券化取引に信託が用いられる場合には、信託財産となる原資産の特性及び正味価値を踏まえ、受益者の利益が損なわれることのないよう、受託時の信託元本額の妥当性等を確認・検証しているか。

  • マル3環境リスク等問題のある土地・建物を受託した場合には、所有者責任及び受託者責任の観点から、当該問題に係る状況変化を把握するための監視や当該問題の治癒など、必要な方策を講じているか。

  • マル4特に、年金信託契約に基づく業務運営についての検証に当たっては、例えば以下の点に留意するものとする。

    • イ.存続厚生年金基金は、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成26年政令第74号)第3条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされる公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成26年政令第73号)第1条の規定による廃止前の厚生年金基金令(昭和41年政令第324号)第39条の15第1項の規定により、特定の運用方法に集中しない方法により年金給付等積立金を運用するよう努めなければならないとされていること(以下「分散投資義務」という。)を踏まえ、存続厚生年金基金により分散投資義務が履行されていないおそれがあることを認識した場合に、当該存続厚生年金基金に対してその旨を通知するための適切な態勢が整備されているか。また、当該通知を行ったにもかかわらず、なお分散投資義務に違反するおそれが解消しない場合において、例えば、運用指針の変更の検討を当該存続厚生年金基金に対して求める等、協議を行っているか。更に、当該協議を経てもなお分散投資義務に違反するおそれが解消しない場合においては、最終的に年金信託契約の受託者を辞任することを含めて検討を行う等、当該存続厚生年金基金が分散投資義務を履行することを確保するための必要な方策を講じることとしているか。

    • ロ.存続厚生年金基金により、信託財産の運用に関して運用方法の特定があった場合、これに応じないための態勢が整備されているか。また、存続厚生年金基金による運用方法の特定を促すような商品勧誘や説明を行わないよう適切な態勢が整備されているか。

    • ハ.運用成績の説明等のため、金融商品取引法第2条第8項に規定する金融商品取引業を行う者を帯同して存続厚生年金基金を訪問する際、当該訪問における説明等が、実質的に当該金融商品取引業を行う者の組成する商品等の勧誘とならないよう適切な態勢が整備されているか。

    • ニ.年金給付等積立金の運用に関して、存続厚生年金基金に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げることのないよう適切な態勢が整備されているか。

    • ホ.規則第30条の23第3項第2号に規定するファンド資産及びその運用に係る重要な業務を行う者に係るデューディリジェンス及び継続的なモニタリングを行うに当たり、その具体的な基準及び手法を定めた社内規則を整備するとともに、コンプライアンス部門やリスク管理部門が当該デューディリジェンス及びモニタリングの実施状況につき検証を行う等、必要に応じた適切な態勢が整備されているか。

  • (注1)検証に当たっては、必要に応じ、信託検査マニュアルに掲げられるチェック項目を参照するものとする。

  • (注2)受託者は、委託者である存続厚生年金基金に対し、必要なリスク説明等を行うことが求められているが、当該リスク説明等を行ったことのみによって、受託者としての善管注意義務を免れるわけではないことに留意するものとする。

3-5-3 届出受理の際の留意事項

法令に基づく届出を受理した場合には、届出の内容を十分精査し、法令に違反することとならないか、業務運営の適切性、健全性に問題が生じることとならないかについて確認する必要がある。確認の結果、問題があると認められるときは、報告徴求や業務改善命令等の措置を適切に講じることとする。

3-5-4 信託業務の再委託

信託業務の委託先が委託を受けた業務を再委託しようとする場合には、委託先は、法第22条第1項第2号の要件を満たす者を再委託先に選定しているか。

また、委託先は、委託が繰り返される過程で法第22条第1項第2号の趣旨が損なわれることのないよう、再委託契約の締結に当たって、法令遵守の観点から十分な検討を行っているか。

なお、必要に応じ、信託会社又は委託先に対して法第42条に基づく報告を求め、さらに、重大な問題があるときは、信託会社に対して法第43条に基づく業務改善命令を発出することとする。

3-5-5 顧客等に関する情報管理態勢

顧客に関する情報は金融取引の基礎をなすものである。したがって、その適切な管理が確保されることが極めて重要であり、顧客情報の適切な取扱いが確保される必要がある。

特に、個人である顧客に関する情報については、規則、個人情報の保護に関する法律、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)、同ガイドライン(外国にある第三者への提供編)、同ガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)及び同ガイドライン(匿名加工情報編)(以下、合わせて「保護法ガイドライン」という。)、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(以下「金融分野ガイドライン」という。)及び金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針(以下「実務指針」という。)の規定に基づく適切な取扱いが確保される必要がある。

また、クレジットカード情報(カード番号、有効期限等)を含む個人情報(以下「クレジットカード情報等」という。)は、情報が漏えいした場合、不正使用によるなりすまし購入など二次被害が発生する可能性が高いことから、厳格な管理が求められる。

さらに、信託会社は、法人関係情報(金融商品取引業等に関する内閣府令第1条第4項第14号)を入手し得る立場であることから、その厳格な管理と、インサイダー取引等の不公正な取引の防止が求められる。

以上を踏まえ、信託会社は、顧客に関する情報及び法人関係情報(以下「顧客等に関する情報」という。)を適切に管理し得る態勢を確立することが重要である。

  • (1)顧客等に関する情報管理態勢に係る留意事項

    • マル1経営陣は、顧客等に関する情報管理の適切性を確保する必要性及び重要性を認識し、適切性を確保するための組織体制の確立(部門間における適切なけん制の確保を含む。)、社内規程の策定等、内部管理態勢の整備を図っているか。

    • マル2顧客等に関する情報の取扱いについて、具体的な取り扱い基準を定めた上で、研修等により役職員に周知徹底しているか。特に、当該情報の他者への伝達については、コンプライアンス(顧客に対する守秘義務、説明責任)及びレピュテーションの観点から検討を行った上で取り扱い基準を定めているか。

    • マル3顧客等に関する情報へのアクセス管理の徹底(アクセス権限を付与された本人以外が使用することの防止等)、内部関係者による顧客等に関する情報の持ち出しの防止に係る対策、外部からの不正アクセスの防御等情報管理システムの堅牢化、店舗の統廃合等を行う際の顧客等に関する情報の漏えい等の防止などの対策を含め、顧客等に関する情報の管理が適切に行われているかを検証できる体制となっているか。

      また、特定職員に集中する権限等の分散や、幅広い権限等を有する職員への管理・けん制の強化を図る等、顧客等に関する情報を利用した不正行為を防止するための適切な措置を図っているか。

    • マル4顧客等に関する情報の漏えい等が発生した場合に、適切に責任部署へ報告され、二次被害等の発生防止の観点から、対象となった顧客等への説明、当局への報告及び必要に応じた公表が迅速かつ適切に行われる体制が整備されているか。

      また、情報漏えい等が発生した原因を分析し、再発防止に向けた対策が講じられているか。更には、他社における漏えい事故等を踏まえ、類似事例の再発防止のために必要な措置の検討を行っているか。

    • マル5独立した内部監査部門において、定期的又は随時に、顧客等に関する情報管理に係る幅広い業務を対象にした監査を行っているか。

      また、顧客等に関する情報管理に係る監査に従事する職員の専門性を高めるため、研修の実施等の方策を適切に講じているか。

  • (2)個人情報管理に係る留意事項

    • マル1個人である顧客に関する情報については、規則第40条第6項に基づき、その安全管理、従業者の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置として、それぞれ以下に掲げる措置が講じられているか。

      (安全管理について必要かつ適切な措置)

      • イ.金融分野ガイドライン第8条の規定に基づく措置

      • ロ.実務指針 I 及び別添2の規定に基づく措置

      (従業者の監督について必要かつ適切な措置)

      • イ.金融分野ガイドライン第9条の規定に基づく措置

      • ロ.実務指針 II の規定に基づく措置

    • マル2個人である顧客に関する人種、信条、門地、本籍地、保健医療又は犯罪経歴についての情報その他の特別の非公開情報(注)を、規則第40条第8項に基づき、保護法ガイドライン第6条第1項各号に列挙する場合を除き、利用しないことを確保するための措置が講じられているか。

      (注)その他の特別の非公開情報とは、以下の情報をいう。
      イ.労働組合への加盟に関する情報
      ロ.民族に関する情報
      ハ.性生活に関する情報
      ニ.個人情報の保護に関する法律施行令第2条第4号に定める事項に関する情報
      ホ.個人情報の保護に関する法律施行令第2条第5号に定める事項に関する情報
      へ.犯罪により害を被った事実に関する情報
      ト.社会的身分に関する情報

    • マル3クレジットカード情報等については、以下の措置が講じられているか。

      • イ.クレジットカード情報等について、利用目的その他の事情を勘案した適切な保存期間を設定し、保存場所を限定し、保存期間経過後適切かつ速やかに廃棄しているか。

      • ロ.業務上必要とする場合を除き、クレジットカード情報等をコンピューター画面に表示する際には、カード番号を全て表示させない等の適切な措置を講じているか。

      • ハ.独立した内部監査部門において、クレジットカード情報等を保護するためのルール及びシステムが有効に機能しているかについて、定期的又は随時に内部監査を行っているか。

  • (3)法人関係情報を利用したインサイダー取引等の不公正な取引の防止に係る留意事項

    • マル1役職員による有価証券の売買その他の取引等に係る社内規則を整備し、必要に応じて見直しを行う等、適切な内部管理態勢を構築しているか。

    • マル2役職員によるインサイダー取引等の不公正な取引の防止に向け、職業倫理の強化、関係法令や社内規則の周知徹底等、法令等遵守意識の強化に向けた取組みを行っているか。

    • マル3法人関係情報を入手し得る立場にある信託会社の役職員が当該法人関係情報に関連する有価証券の売買その他の取引等を行った際には報告を義務付ける等、不公正な取引を防止するための適切な措置を講じているか。

  • (4)顧客等に関する情報の取扱を委託する場合の留意事項

    • マル1個人である顧客に関する情報の取扱いを委託する場合には、施行規則第40条第6項に基づき、その委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又はき損の防止を図るために必要かつ適切な措置として以下の措置が講じられているか。

      • イ.保護法ガイドライン第12条の規定に基づく措置

      • ロ.実務指針 III の規定に基づく措置

    • マル2委託先における目的外使用の禁止も含めて顧客等に関する情報管理が整備されており、委託先に守秘義務が課せられているか。

    • マル3委託先の管理について、責任部署を明確化し、委託先における業務の実施状況を定期的又は必要に応じてモニタリングする等、委託先において顧客等に関する情報管理が適切に行われていることを確認しているか。

    • マル4委託先において漏えい事故等が発生した場合に、適切な対応がなされ、速やかに委託元に報告される体制になっていることを確認しているか。

    • マル5委託先による顧客等に関する情報へのアクセス権限について、委託業務の内容に応じて必要な範囲内に制限しているか。

      その上で、委託先においてアクセス権限が付与される役職員及びその権限の範囲が特定されていることを確認しているか。

      さらに、アクセス権限を付与された本人以外が当該権限を使用すること等を防止するため、委託先において定期的又は随時に、利用状況の確認(権限が付与された本人と実際の利用者との突合を含む。)が行われている等、アクセス管理の徹底が図られていることを確認しているか。

    • マル6二段階以上の委託が行われた場合には、委託先が再委託先等の事業者に対して十分な監督を行っているかについて確認しているか。また、必要に応じ、再委託先等の事業者に対して自社による直接の監督を行っているか。

    (注)法第22条第1項の「信託業務の委託先」に委託する場合に限られないことに留意する。

3-5-6 不祥事件に対する監督上の対応

不祥事件等に対する監督上の対応については以下のとおり取り扱うこととする。

  • (1)不祥事件の発覚の第一報

    信託会社において不祥事件が発覚し、第一報があった場合は、以下の点を確認するものとする。

    • マル1本部等の事務部門、内部監査部門への迅速な報告及びコンプライアンス規定等に則った取締役会等への報告。

    • マル2刑罰法令に抵触している恐れのある事実については、警察等関係機関等への通報。

    • マル3事件とは独立した部署(内部監査部門等)での事件の調査・解明の実施。

  • (2)不祥事件届出の受理

    法第41条第1項第3号及び規則第48条第1項第8号に基づき、信託会社が不祥事件の発生を知った日から遅滞なく不祥事件届出が提出されることとなるが、当該届出の受理時においては、法令の規定に基づき報告が適切に行われているかを確認する。

    なお、信託会社から第一報がなく届出の提出があった場合は、上記(1)の点も併せて確認するものとする。

  • (3)主な着眼点

    不祥事件と業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証する。

    • マル1当該事件への役員の関与はないか、組織的な関与はないか。

    • マル2当該事件の内容が信託会社の経営等に与える影響はどうか。

    • マル3内部牽制機能が適切に発揮されているか。

    • マル4改善策の策定や自浄機能が十分か。

    • マル5当該事件の発覚後の対応が適切か。

  • (4)監督上の措置

    不祥事件届出があった場合には、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等についてヒアリングを実施し、必要に応じ、法第42条に基づき報告を求め、さらに、重大な問題があるときは、法第43条に基づく業務改善命令を発出することとする。

  • (5)標準処理期間

    不祥事件届出に係る法第42条に基づく報告徴求や法第43条に基づく業務改善命令を発出する場合は、当該届出書(法第42条に基づく報告徴求を行った場合は、当該報告書)の受理の日から原則として概ね1ヶ月以内を目途に行うものとする。

3-5-7 信託契約代理店の管理体制

信託契約代理店との間で信託契約代理業に係る委託契約を締結するに当たって、当該代理店の信託業務又は信託契約代理業務に関する知識、信託契約代理業務の遂行能力、他に営む業務の内容等が審査されているか。

また、自己を所属信託会社とする信託契約代理店の適切な運営を確保するため、法令等の遵守、信託業務に関する知識、内部管理体制等について、適切な管理、指導を行っているか。また、信託契約代理店の法令等遵守体制及び業務運営の適切性について定期的に監査を実施しているか。

3-5-8 企業の社会的責任(CSR)についての情報開示等

  • (1)意義

    • マル1CSRは、一般的に、企業が多様な利害関係者(ステークホルダー)との関係の中で認識する経済・環境・社会面の責任と、それに基づく取組みと解されており、それを通じて企業の持続可能性を高めることにその意義があると考えられている。

    • マル2信託会社のCSRについては、その取組みはもとより、情報開示についても、本来、私企業である信託会社が自己責任原則に則った経営判断に基づき行うものであり、その評価も市場規律の下、利用者を含む多様なステークホルダーに委ねられているものである。

    • マル3しかしながら、CSRについての情報開示が分かりやすい形で適時適切に行われることは、利用者が信託会社を選択する際、その信託会社及び提供されている金融商品・サービスの持続可能性等を判断する上での有用な情報を得やすくなることに繋がると考えられる。そのような観点から、信託会社がCSRについての情報開示を行う場合の着眼点を明らかにし、最低限の枠組みを示すことで、利用者にとって有益かつ適切な情報開示を促すこととする。

  • (2)主な着眼点

    信託会社のCSRについて、利用者を含む多様なステークホルダーが適切に評価でき、信託会社の利用者の利便性の向上に資するよう、以下のような点から適切な情報開示がなされているか。

    • マル1目的適合性

      CSR報告が、経済・環境・社会の各分野にわたる包括的なものであり、記述内容についても網羅的かつ社会的背景等を反映しているなど、利用者を含む多様なステークホルダーのニーズに的確に対応するという目的に適合したものとなっているか。また、適切なタイミングで効果的な開示がなされているか。

    • マル2信頼性

      CSR報告が、透明性が高いプロセスを通じて作成され、データや情報が正確かつ中立的で検証可能なものとなっているなど、多くのステークホルダーに受け入れられる信頼性の高いものとなっているか。

    • マル3分かりやすさ

      CSR報告が、利用者を含む多様なステークホルダーに理解されるよう、可能な限り分かりやすいものとなっているか。また、内容の一貫性が維持されるなど、当該信託会社の過去の報告との比較可能性に十分留意したものとなっているか。

  • (3)監督手法・対応

    信託会社によるCSRを重視した取組みやその情報開示は、信託会社が自己責任原則に則った経営判断に基づき任意に行うものであり、上記着眼点を踏まえた報告がなされていない場合においても、監督上の措置を講ずることはない。

    ただし、利用者の誤解を招きかねないような、不正確かつ不適切な情報開示を行っている場合については、業務の適切性の観点から検証することとする。

3-5-9 取引時確認、疑わしい取引の届出義務

  • (1)意義

    • マル1総論

      公共性を有し、経済的に重要な機能を営む信託会社が、例えば総会屋利益供与事件、いわゆるヤミ金融や、テロ資金供与、マネー・ローンダリング等の組織犯罪等に関与し、あるいは利用されることはあってはならないことである。信託会社が犯罪組織に利用され犯罪収益の拡大に貢献すること等を防ぐには、全社的に堅牢な法務コンプライアンス体制を構築する必要があるが、特に、犯収法に基づく取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(犯収法第11条に定める取引時確認等の措置をいう。以下「取引時確認等の措置」という。)に関する内部管理態勢を構築することが求められている。

    • マル2「犯収法」制定・改正の経緯

      • イ.我が国における反社会的勢力による民事介入暴力等の組織犯罪への対応策の変遷をみると、昭和57年に総会屋への利益提供を禁止する改正商法が施行され、平成4年には暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律が施行される等の法制整備等が積み重ねられてきたところである。

      • ロ.また、国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)規制の変遷をみると、昭和63年の国連・麻薬新条約の採択等を契機として、まず薬物犯罪収益等が対象とされ、金融機関に本人特定事項の確認や疑わしい取引の届出が求められるようになった。その後、冷戦終結後の国際情勢の変化に対応し、国際社会の関心も組織犯罪撲滅へと拡大し、資金洗浄規制の前提犯罪も、薬物犯罪から重大犯罪に拡大された。

      • ハ.こうした情勢下、我が国の代表的な銀行を含む一連の総会屋への利益提供事件の発覚を受け、平成9年9月に関係閣僚会議において「いわゆる総会屋対策要綱」の申し合わせがなされた。この中で、当面の対応策に加え、「組織犯罪対策のための刑事法の検討」が取り上げられ、検討が進められた結果、平成12年2月から組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組犯法」という。)が施行されている。

      • 二.他方、平成13年9月の米国の同時多発テロ以降の、テロ資金供与に関する国際的な厳しい対応姿勢を受け、テロ資金供与の疑いがある取引についても組犯法の疑わしい取引の届出対象に含められるとともに、平成15年1月から、新たに「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」(以下「本人確認法」という。)が施行された。

      • ホ.その後、改正信託業法の施行により、信託業の担い手が拡大され、平成16年12月には信託会社が、平成19年9月には法第50条の2第1項の登録を受けた者が、組犯法及び本人確認法の適用を受ける金融機関等に加えられた。

      • へ.そして、近年におけるテロ資金その他の犯罪収益の流通に係る国内の実態及びFATF勧告に基づく国際的な対策強化の動向にかんがみ、本人確認法及び組犯法第5章を母体として、本人特定事項の確認及び疑わしい取引の届出の義務対象事業者を金融機関等以外にも広げること等を定めた犯収法の規定が、平成20年3月に施行された。

      • ト.さらに、最近のマネー・ローンダリングを巡る犯罪への対策やFATF勧告に基づく対策の一層の強化を図る観点から、取引時の確認事項の追加並びに取引時確認及び疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うための体制の整備等を定めた改正犯収法が平成25年4月から施行され、平成26年11月には、疑わしい取引の届出に関する判断の方法や上記体制整備の拡充等を定めた改正犯収法が成立した。

    • マル3我が国の組織犯罪規制の概要と金融機関等のコンプライアンスにとっての意義

      • イ.我が国の組織犯罪規制は、組犯法における組織的な犯罪に対する刑の加重、犯罪収益の隠匿・収受の処罰(金融機関等にも適用)及び犯罪収益の没収・追徴の規定等並びに犯収法における金融機関等を含めた特定事業者に対する顧客等に対する取引時確認及び疑わしい取引の届出の義務付け等からなる(なお、平成15年1月から施行されている改正外為法においても、一定の本人特定事項の確認義務が課されていることにも留意する必要がある。)。

      • ロ.組犯法及び犯収法は、組織的犯罪に対する刑事法としての意義、及びテロ資金の供与や国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)規制の要請に適う国内実施法制としての意義があるが、金融機関等にとっては、

        • a.取引時確認や確認記録・取引記録の作成・保存義務は、テロ資金の供与やマネー・ローンダリングが金融機関等を通じて行われることの防止に資する金融機関等の顧客管理体制の整備の促進であり、「テロ資金の供与やマネー・ローンダリングの防止」を単なる取引時確認等の事務手続きの問題からコンプライアンスの問題(金融機関等が犯罪組織に利用され犯罪収益の拡大に貢献することを防ぐための態勢整備)へと位置付け直すとともに、

        • b.いわゆる総会屋への対応等を含め、民事介入暴力・組織犯罪に対する全社的なコンプライアンス態勢を構築することが必要になったという点で極めて重要な意義を有するものである。

      • ハ.金融機関等においては、犯収法が広く組織犯罪一般に対する厳正な対応を義務付ける枠組みであることを真剣に受け止め、万全の態勢を構築する必要がある。

    • マル4金融サービス悪用防止にとっての意義

      各金融機関等が、犯収法により義務付けられた取引時確認等の措置を的確に実施しうる内部管理態勢を構築することは、組織犯罪による金融サービスの悪用を防止し、我が国金融システムに対する信頼を確保するためにも重要な意義を有している。

  • (2)主な着眼点

    信託会社の業務に関して、取引時確認等の措置を的確に実施し、テロ資金供与やマネー・ローンダリングといった組織犯罪等に利用されることを防止するため、以下のような態勢が整備されているか。

    なお、信託会社に求められる態勢は、当該信託会社が行う業務の規模、特性により異なることに留意するものとする。

    • (注)取引時確認等の措置の的確な実施に当たっては、「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(平成24年10月金融庁)を参考にすること。
       

    • マル1取引時確認等の措置を的確に行うための法務問題に関する一元的な管理態勢が整備され、機能しているか。

      特に、一元的な管理態勢の整備に当たっては、以下の措置を講ずるよう努めているか。
       

      • イ.管理職レベルのテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のコンプライアンス担当者など、犯収法第11条第3号の規定による統括管理者として、適切な者を選任・配置すること。
        また、信託財産を不正な手段や不適切な仕組み等を使って国内外で隠匿・移管させる取引など、マネー・ローンダリングやテロ資金の供与が疑われる取引を審査・検証する経験者の配置、並びに営業部署等の不正な関与を抑止・けん制することが可能な態勢を構築すること。
        テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて調査・分析し、その結果を勘案した措置を講じるために、以下のような対応を行うこと。
         

      • ロ.テロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて調査・分析し、その結果を勘案した措置を講じるために、以下のような対応を行うこと。

        • a.犯収法第3条第3項に基づき国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転 危険度調査書の内容を勘案し、取引・商品特性や取引形態、取引に関係する国・地域、顧客属性等の観点から、自らが行う取引がテロ資金供与やマネー・ローンダリング等に利用されるリスクについて適切に調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(以下「特定事業者作成書面等」という。)を作成し、定期的に見直しを行うこと。

        • b.特定事業者作成書面等の内容を勘案し、必要な情報を収集・分析すること、並びに保存している確認記録及び取引記録等について継続的に精査すること。

        • c.犯収法第4条第2項前段に定める厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引若しくは犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(以下「犯収法施行規則」という。)第5条に定める顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引又はこれら以外の取引で犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案してテロ資金供与やマネー・ローンダリング等の危険性の程度が高いと認められる取引(以下「高リスク取引」という。)を行う際には、統括管理者が承認を行い、また、情報の収集・分析を行った結果を記載した書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存すること。

      • ハ.適切な従業員採用方針や顧客受入方針を策定すること。

      • ニ.必要な監査を実施すること。

      • ホ.取引時確認等の措置を含む顧客管理方法について、マニュアル等の作成・従業員に対する周知を行うとともに、従業員がその適切な運用が可能となるように、適切かつ継続的な研修を行うこと。

      • へ.取引時確認や疑わしい取引の検出を含め、従業員が発見した組織的犯罪による金融サービスの悪用に関連する事案についての適切な報告態勢(方針・方法・情報管理体制等)を整備すること。

      • ト.信託契約代理店を通じて信託引受を行なう信託会社においては、取引時確認等の措置の的確な実施、組織犯罪等の利用防止及び信託取引からの排除の実効性を確保するために、当該信託契約代理店と連携する態勢を整備すること。

    • マル2法人顧客との取引における実質的支配者の確認や、外国PEPs(注)該当性の確認、個人番号や基礎年金番号の取扱いを含む本人確認書類の適切な取扱いなど、取引時確認を適正に実施するための態勢が整備されているか。
      (注)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(以下「犯収法施行令」という。)第12条第3項各号及び犯収法施行規則第15条各号に掲げる外国の元首及び外国政府等において重要な地位を占める者等をいう。
      とりわけ、犯収法第4条第2項前段及び犯収法施行令第12条各項に定める、下記イ~ニのような厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引を行う場合には、顧客の本人特定事項を、通常と同様の方法に加え、追加で本人確認書類又は補完書類の提示を受ける等、通常の取引よりも厳格な方法で確認するなど、適正に(再)取引時確認を行う態勢が整備されているか。また、資産及び収入の状況の確認が義務づけられている場合について、適正に確認を行う態勢が整備されているか。

      • イ.取引の相手方が関連取引時確認に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引

      • ロ.関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引

        ハ.犯収法施行令第12条第2項に定める、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との特定取引等

        ニ.外国PEPsに該当する顧客等との特定取引
        このほか、敷居値以下であるが1回当たりの取引の金額を減少させるために一の取引を分割したものであることが一見して明らかな取引(犯収法施行令第7条第3項各号に掲げる取引に限る。)については、特定取引とみなして、取引時確認を適切に実施することとしているか。

    • マル3疑わしい取引の届出を行うに当たって、顧客等の属性、取引時の状況その他信託会社の保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案した上で、犯収法第8条第2項及び犯収法施行規則第26条、第27条に基づく適切な検討・判断が行われる態勢が整備されているか。当該態勢整備に当たっては、特に以下の点に十分留意しているか。

      • イ.顧客等の資産背景、資金源泉、取引関係者等の相互関係、並びに、個別に取り組まれる金融取引等の真の取引目的や取引背景を的確かつ十分に把握し、取引時確認事務の確実な実行と、顧客等及び取引等の適否について十分な審査が適時・適切に行われること。
        特に、資産の流動化・証券化取引に信託が用いられる場合には、単に委託者の取引時確認にとどまらず、スキームのアレンジャー、委託者から委任を受けた指図権者、委託者又は受益者の指名により信託業務を委託される第三者及び受益者といった信託スキームの関係者の相互関係、受託財産の取得経緯や信託の利用目的、契約の内容等も総合的に勘案し、当該信託スキームが組織犯罪等に利用されるものではないことを確認・検証すること。

      • ロ.信託会社の行っている業務内容・業容に応じて、システム、マニュアル等により、疑わしい顧客等や取引等を検出・監視・分析する態勢を構築すること。また、犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案の上、国籍(例:FATFが公表するマネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域)、外国PEPs該当性、顧客が行っている事業等の顧客属性や、外為取引と国内取引との別、顧客属性に照らした取引金額・回数等の取引態様その他の事情を十分考慮すること。さらに、既存顧客との継続取引や高リスク取引等の取引区分に応じて、適切に確認・判断を行うこと。
        例えば、信託財産の移転や信託受益権の譲渡には犯罪収益の移転に寄与するリスクが伴うことを踏まえ、信託受益権の額の多寡や受益者の属性等に照らして、受益者の検出等を行なうこと。

    • マル4コルレス契約について、犯収法第9条、第11条及び犯収法施行規則第28条、第32条に基づき、以下の体制が整備されているか。また、カストディアンとの取引に係る契約についても、以下に準じた体制の整備に努めているか。
       (注)犯収法第9条の「外国所在為替取引業者との間で、為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約」とは、国際決済のために外国所在為替取引業者(コルレス先)との間で電信送金の支払、手形の取立、信用状の取次、決済等の為替業務、資金管理等の銀行業務について委託又は受託する旨の契約(コルレス契約)をいう。

      • イ.コルレス先の顧客基盤、業務内容、テロ資金供与やマネー・ローンダリングを防止するための体制整備の状況及び現地における監督当局の当該コルレス先に対する監督体制等について情報収集し、コルレス先を適正に評価した上で、統括管理者による承認を含め、コルレス契約の締結・継続を適切に審査・判断するよう努めているか。

      • ロ.コルレス先とのテロ資金供与やマネー・ローンダリングの防止に関する責任分担について文書化する等して明確にするよう努めているか。

ハ.コルレス先が営業実態のない架空銀行(いわゆるシェルバンク)でないこと、及びコルレス先がその保有する口座を架空銀行に利用させないことについて確認することとしているか。
   また、確認の結果、コルレス先が架空銀行であった場合又はコルレス先がその保有する口座を架空銀行に利用されることを許容していた場合、当該コルレス先との契約の締結・継続を遮断することとしているか。
 

⑤ 海外営業拠点(支店、現地法人等)のテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を的確に実施するための態勢が整備されているか。

イ.海外営業拠点においても、適用される現地の法令等が認める限度において、国内におけるのと同水準で、テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を適切に行うよう努めているか。

(注)特に、FATF勧告を適用していない又は適用が不十分である国・地域に所在する海外営業拠点においても、国内におけるのと同水準の態勢の整備が求められることに留意する必要がある。

ロ.現地のテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策のために求められる義務の基準が、国内よりも高い基準である場合、海外営業拠点は現地のより高い基準に即した対応を行うよう努めているか。

ハ.適用される現地の法令等で禁止されているため、海外営業拠点が国内におけるのと同水準の適切なテロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を講じることができない場合には、以下のような事項を速やかに金融庁又は本店所在地を管轄する財務局に情報提供するよう努めているか。

・ 当該国・地域

・ テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策を講じることができない具体的な理由

・ テロ資金供与及びマネー・ローンダリングに利用されることを防止するための代替措置を取っている場合には、その内容
 

  • (3)監督手法・対応

    検査結果、不祥事件等届出書等により、上記(2)①~④の着眼点等に照らして、取引時確認等の措置を確実に履行するための内部管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ法第42条に基づき報告(追加の報告を含む。)を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第43条に基づき、業務改善命令の発出を検討するものとする。

    また、法令又は法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反し、又は公益を害する行為をしたと認められる場合には、法第44条に基づく業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

3-5-10 反社会的勢力による被害の防止

  • (1)意義

    反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを推進していくことは、企業にとって社会的責任を果たす観点から必要かつ重要なことである。特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む信託会社においては、信託会社自身や役職員のみならず、顧客等の様々なステークホルダーが被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を信託制度の活用の枠組みから排除していくことが求められる。

    もとより信託会社として公共の信頼を維持し、業務の適切性及び健全性を確保するためには、反社会的勢力に対して屈することなく法令等に則して対応することが不可欠であり、信託会社においては、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の趣旨を踏まえ、平素より、反社会的勢力との関係遮断に向けた態勢整備に取り組む必要がある。

    特に、近時反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業を使い通常の経済取引を装って巧みに取引関係を構築し、後々トラブルとなる事例も見られる。こうしたケースにおいては経営陣の断固たる対応、具体的な対応が必要である。

    なお、役職員の安全が脅かされる等不測の事態が危惧されることを口実に問題解決に向けた具体的な取組みを遅らせることは、かえって信託会社や役職員自身等への最終的な被害を大きくし得ることに留意する必要がある。

    • (参考)「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)

      • 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則

        • 組織としての対応
        • 外部専門機関との連携
        • 取引を含めた一切の関係遮断
        • 有事における民事と刑事の法的対応
        • 裏取引や資金提供の禁止
      • 反社会的勢力のとらえ方

        暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である(平成23年12月22日付警察庁次長通達「組織犯罪対策要綱」参照)。

  • (2)主な着眼点

    反社会的勢力とは一切の関係をもたず、反社会的勢力であることを知らずに関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点で可能な限り速やかに関係を解消するための態勢整備及び反社会的勢力による不当要求に適切に対応するための態勢整備の検証については、個々の取引状況等を考慮しつつ、例えば以下のような点に留意することとする。

    • マル1組織としての対応

      反社会的勢力との関係の遮断に組織的に対応する必要性・重要性を踏まえ、担当者や担当部署だけに任せることなく取締役等の経営陣が適切に関与し、組織として対応することとしているか。また、信託会社単体のみならず、グループ一体となって、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。さらに、グループ外の他社(信販会社等)との提携による金融サービスの提供などの取引を行う場合においても、反社会的勢力の排除に取り組むこととしているか。

    • マル2反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築

      反社会的勢力との関係を遮断するための対応を総括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備し、反社会的勢力による被害を防止するための一元的な管理態勢が構築され、機能しているか。

      特に、一元的な管理態勢の構築に当たっては、以下の点に十分留意しているか。

      • イ.反社会的勢力対応部署において反社会的勢力に関する情報を積極的に収集・分析するとともに、当該情報を一元的に管理したデータベースを構築し、適切に更新(情報の追加、削除、変更等)する体制となっているか。また、当該情報の収集・分析等に際しては、グループ内で情報の共有に努め、業界団体等から提供された情報を積極的に活用しているか。さらに、当該情報を取引先の審査や当該信託会社における株主の属性判断等を行う際に、適切に活用する体制となっているか。

      • ロ.反社会的勢力対応部署において対応マニュアルの整備や継続的な研修活動、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関との平素からの緊密な連携体制の構築を行うなど、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みの実効性を確保する体制となっているか。特に、平素より警察とのパイプを強化し、組織的な連絡体制と問題発生時の協力体制を構築することにより、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報する体制となっているか。

      • ハ.反社会的勢力との取引が判明した場合及び反社会的勢力による不当要求がなされた場合等において、当該情報を反社会的勢力対応部署へ迅速かつ適切に報告・相談する体制となっているか。また、反社会的勢力対応部署は、当該情報を迅速かつ適切に経営陣に対し報告する体制となっているか。さらに、反社会的勢力対応部署において実際に反社会的勢力に対応する担当者の安全を確保し担当部署を支援する体制となっているか。

    • マル3適切な事前審査の実施

      反社会的勢力との取引を未然に防止するため、反社会的勢力に関する情報等を活用した適切な事前審査を実施するとともに、契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入を徹底し、必要に応じて委託者の反社会的勢力の排除に向けた取組み状況を検証するなど、反社会的勢力が委託者・受益者等の信託契約の関係者となることを防止しているか。

      提携ローン(4者型)(注)を行う場合は、暴力団排除条項の導入を徹底の上、信託会社が自ら事前審査を実施する体制を整備し、かつ、提携先の信販会社における暴力団排除条項の導入状況や反社会的勢力に関するデータベースの整備状況等を検証する態勢となっているか。

      • (注)提携ローン(4者型)とは、加盟店を通じて顧客からの申込みを受けた信販会社が審査・承諾し、信販会社による保証を条件に信託会社が当該顧客に対して資金を貸付ける信託をいう。

    • マル4適切な事後検証の実施

      反社会的勢力との関係遮断を徹底する観点から、既存の債権や契約の適切な事後検証を行うための態勢が整備されているか。

    • マル5反社会的勢力との取引解消に向けた取組み

      • イ.反社会的勢力との取引が判明した旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に取締役等の経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

      • ロ.平素から警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関と緊密に連携しつつ、株式会社整理回収機構のサービサー機能を活用する等して、反社会的勢力との取引の解消を推進しているか。

      • ハ.事後検証の実施等により、取引開始後に委託者・受益者等の信託契約の関係者が反社会的勢力であると判明した場合には、可能な限り信託契約の解除を図るなど、反社会的勢力への利益供与にならないよう配意しているか。

      • ニ.いかなる理由であれ、反社会的勢力であることが判明した場合には、資金提供や不適切・異例な取引を行わない態勢を整備しているか。

    • マル6反社会的勢力による不当要求への対処

      • イ.反社会的勢力により不当要求がなされた旨の情報が反社会的勢力対応部署を経由して迅速かつ適切に取締役等の経営陣に報告され、経営陣の適切な指示・関与のもと対応を行うこととしているか。

      • ロ.反社会的勢力からの不当要求があった場合には積極的に警察・暴力追放運動推進センター・弁護士等の外部専門機関に相談するとともに、暴力追放運動推進センター等が示している不当要求対応要領等を踏まえた対応を行うこととしているか。特に、脅迫・暴力行為の危険性が高く緊急を要する場合には直ちに警察に通報を行うこととしているか。

      • ハ.反社会的勢力からの不当要求に対しては、あらゆる民事上の法的対抗手段を講ずるとともに、積極的に被害届を提出するなど、刑事事件化も躊躇しない対応を行うこととしているか。

      • ニ.反社会的勢力からの不当要求が、事業活動上の不祥事や役職員の不祥事を理由とする場合には、反社会的勢力対応部署の要請を受けて、不祥事案を担当する部署が速やかに事実関係を調査することとしているか。

    • マル7株主情報の管理

      定期的に自社株の取引状況や株主の属性情報等を確認するなど、株主情報の管理を適切に行っているか。

  • (3)監督手法・対応

    検査結果、不祥事件等届出書等により、反社会的勢力との関係を遮断するための態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて法第42条に基づき報告を求め、当該報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題があると認められる場合等には、法第43条に基づく業務改善命令の発出を検討するものとする。その際、反社会的勢力への資金提供や反社会的勢力との不適切な取引関係を認識しているにもかかわらず関係解消に向けた適切な対応が図られないなど、内部管理態勢が極めて脆弱であり、その内部管理態勢の改善等に専念させる必要があると認められるときは、法第44条に基づく業務改善に要する一定期間に限った業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

    また、反社会的勢力であることを認識しながら組織的に資金提供や不適切な取引関係を反復・継続するなど、重大性・悪質性が認められる法令違反又は公益を害する行為などに対しては、法第44条に基づく厳正な処分について検討するものとする。

3-5-11 苦情等への対処(金融ADR制度への対応も含む)

3-5-11-1 意義

  • (1)相談・苦情・紛争等(苦情等)対処の必要性

    金融商品・サービスは、リスクを内在することが多く、その専門性・不可視性等とも相俟ってトラブルが生じる可能性が高いと考えられる。このため、金融商品・サービスの販売・提供に関しては、トラブルを未然に防止し顧客保護を図る観点から情報提供等の事前の措置を十分に講じることに加え、苦情等への事後的な対処が重要となる。

    近年、金融商品・サービスの多様化・複雑化により金融商品・サービスに関するトラブルの可能性も高まっており、顧客保護を図り金融商品・サービスへの顧客の信頼性を確保する観点から、苦情等への事後的な対処の重要性もさらに高まっている。

    このような観点を踏まえ、簡易・迅速に金融商品・サービスに関する苦情処理・紛争解決を行うための枠組みとして金融ADR制度(ADRについて(注)参照)が導入されており、信託会社においては、金融ADR制度も踏まえつつ、適切に苦情等に対処していく必要がある。

    (注)ADR(Alternative Dispute Resolution)

    訴訟に代わる、あっせん・調停・仲裁等の当事者の合意に基づく紛争の解決方法であり、事案の性質や当事者の事情等に応じた迅速・簡便・柔軟な紛争解決が期待される。

  • (2)対象範囲

    信託会社の業務に関する申出としては、相談のほか、いわゆる苦情・紛争などの顧客からの不満の表明など、様々な態様のものがありうる。信託会社には、これらの様々な態様の申出に対して適切に対処していくことが重要であり、かかる対処を可能とするための適切な内部管理態勢を整備することが求められる。

    加えて、信託会社には、金融ADR制度において、苦情と紛争のそれぞれについて適切な態勢を整備することが求められている。

    もっとも、これら苦情・紛争の区別は相対的で相互に連続性を有するものである。特に、金融ADR制度においては、指定ADR機関において苦情処理手続と紛争解決手続の連携の確保が求められていることを踏まえ、信託会社においては、顧客からの申出を形式的に「苦情」「紛争」に切り分けて個別事案に対処するのではなく、両者の相対性・連続性を勘案し、適切に対処していくことが重要である。

3-5-11-2 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立

3-5-11-2-1 意義

苦情等への迅速・公平かつ適切な対処は、顧客に対する説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ重要な活動の一つでもあり、金融商品・サービスへの顧客の信頼性を確保するため重要なものである。信託会社は、金融ADR制度において求められる措置・対応を含め、顧客から申出があった苦情等に対し、自ら迅速・公平かつ適切に対処すべく内部管理態勢を整備する必要がある。

3-5-11-2-2 着眼点

信託会社が、苦情等対処に関する内部管理態勢を整備するに当たり、業務の規模・特性に応じて、適切かつ実効性ある態勢を整備しているかを検証する。その際、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮しつつ、例えば、以下の点に留意することとする。

  • (1)経営陣の役割

    取締役会は、苦情等対処機能に関する全社的な内部管理態勢の確立について、適切に機能を発揮しているか。

  • (2)社内規則等

    • マル1社内規則等において、苦情等に対し迅速・公平かつ適切な対応・処理を可能とするよう、苦情等に係る担当部署、その責任・権限及び苦情等の処理手続(事務処理ミスがあった場合等の対応も含む。)を定めるとともに、顧客の意見等を業務運営に反映するよう、業務改善に関する手続を定めているか。

    • マル2苦情等対処に関し社内規則等に基づいて業務が運営されるよう、研修その他の方策(マニュアル等の配布を含む。)により、社内に周知・徹底をする等の態勢を整備しているか。

      特に顧客からの苦情等が多発している場合には、まず社内規則等(苦情等対処に関するものに限らない。)の営業所に対する周知・徹底状況を確認し、実施態勢面の原因と問題点を検証することとしているか。

  • (3)苦情等対処の実施態勢

    • マル1苦情等への対処に関し、適切に担当者を配置しているか。

    • マル2顧客からの苦情等について、関係部署が連携のうえ、速やかに処理を行う態勢を整備しているか。特に、苦情等対処における主管部署及び担当者が、個々の職員が抱える顧客からの苦情等の把握に努め、速やかに関係部署に報告を行う態勢を整備しているか。

    • マル3苦情等の解決に向けた進捗管理を適切に行い、長期未済案件の発生を防止するとともに、未済案件の速やかな解消を行う態勢を整備しているか。

    • マル4苦情等の発生状況に応じ、受付窓口における対応の充実を図るとともに、顧客利便に配慮したアクセス時間・アクセス手段(例えば、電話、手紙、FAX、eメール等)を設定する等、広く苦情等を受け付ける態勢を整備しているか。また、これら受付窓口、申出の方式等について広く公開するとともに、顧客の多様性に配慮しつつ分かりやすく周知する態勢を整備しているか。

    • マル5苦情等対処に当たっては、個人情報について、個人情報の保護に関する法律その他の法令、金融分野ガイドライン等に沿った適切な取扱いを確保するための態勢を整備しているか(「3-5-5 顧客情報管理」参照)。

    • マル6信託代理業者を含め、業務の外部委託先が行う委託業務に関する苦情等について、信託会社への直接の連絡体制を設けるなど、迅速かつ適切に対処するための態勢を整備しているか。

    • マル7反社会的勢力による苦情等を装った圧力に対しては、通常の苦情等と区別し、断固たる対応をとるため関係部署に速やかに連絡し、必要に応じ警察等関係機関との連携を取った上で、適切に対処する態勢を整備しているか。

  • (4)顧客への対応

    • マル1苦情等への対処について、単に処理の手続の問題と捉えるにとどまらず事後的な説明態勢の問題として位置付け、苦情等の内容に応じ顧客から事情を十分にヒアリングしつつ、可能な限り顧客の理解と納得を得て解決することを目指しているか。

    • マル2苦情等を申し出た顧客に対し、申出時から処理後まで、顧客特性にも配慮しつつ、必要に応じて、苦情等対処の手続の進行に応じた適切な説明(例えば、苦情等対処手続の説明、申出を受理した旨の通知、進捗状況の説明、結果の説明等)を行う態勢を整備しているか。

    • マル3申出のあった苦情等について、自ら対処するばかりでなく、苦情等の内容や顧客の要望等に応じて適切な外部機関等を顧客に紹介するとともに、その標準的な手続の概要等の情報を提供する態勢を整備しているか。

      なお、複数ある苦情処理・紛争解決の手段(金融ADR制度を含む。)は任意に選択しうるものであり、外部機関等の紹介に当たっては、顧客の選択を不当に制約することとならないよう留意する必要がある。

    • マル4外部機関等において苦情等対処に関する手続が係属している間にあっても、当該手続の他方当事者である顧客に対し、必要に応じ、適切な対応(一般的な資料の提供や説明など顧客に対して通常行う対応等)を行う態勢を整備しているか。

  • (5)情報共有・業務改善等

    • マル1苦情等及びその対処結果等が類型化の上で内部管理部門や営業部門に報告されるとともに、重要案件は速やかに監査部門や経営陣に報告されるなど、事案に応じ必要な関係者間で情報共有が図られる態勢を整備しているか。

    • マル2苦情等の内容及び対処結果について、自ら対処したものに加え、外部機関が介在して対処したものを含め、適切かつ正確に記録・保存しているか。また、これらの苦情等の内容及び対処結果について、指定ADR機関より提供された情報等も活用しつつ、分析し、その分析結果を継続的に顧客対応・事務処理についての態勢の改善や苦情等の再発防止策・未然防止策に活用する態勢を整備しているか。

    • マル3苦情等対処機能の実効性を確保するため、検査・監査等の内部けん制機能が十分発揮されるよう態勢を整備しているか。

    • マル4苦情等対処の結果を業務運営に反映させる際、業務改善・再発防止等必要な措置を講じることの判断並びに苦情等対処態勢の在り方について検討及び継続的な見直しについて、経営陣が指揮する態勢を整備しているか。

  • (6)外部機関等との関係

    • マル1苦情等の迅速な解決を図るべく、外部機関等に対し適切に協力する態勢を整備しているか。

    • マル2外部機関等に対して、自ら紛争解決手続の申立てを行う際、自らの手続を十分に尽くさずに安易に申立てを行うのではなく、顧客からの苦情等の申出に対し、十分な対応を行い、かつ、申立ての必要性につき社内で適切な検討を経る態勢を整備しているか。

3-5-11―3 金融ADR制度への対応

3-5-11-3-1 指定紛争解決機関(指定ADR機関)が存在する場合

3-5-11―3-1-1 意義

顧客保護の充実及び金融商品・サービスへの顧客の信頼性の向上を図るためには、信託会社と顧客との実質的な平等を確保し、中立・公正かつ実効的に苦情等の解決を図ることが重要である。そこで、金融ADR制度において、指定ADR機関によって、専門家等関与のもと、第三者的立場からの苦情処理・紛争解決が行われることとされている。

なお、金融ADR制度においては、苦情処理・紛争解決への対応について、主に信託会社と指定ADR機関との間の手続実施基本契約(信託業法第2条第15項)によって規律されているところである。

信託会社においては、指定ADR機関において苦情処理・紛争解決を行う趣旨を踏まえつつ、手続実施基本契約で規定される義務等に関し、適切に対応する必要がある。

3-5-11―3-1-2 着眼点

信託会社が、上記意義を踏まえ、金融ADR制度への対応に当たり、業務の規模・特性に応じて適切かつ実効性ある態勢を整備しているかを検証する。その際、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮しつつ、例えば、以下の点に留意することとする。

なお、「3-5-11―2 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立」における留意点も参照すること。

  • (1)総論

    • マル1手続実施基本契約

      • イ.自らが営む信託業務(信託業法第2条第11項に定義する「手続対象信託業務」を指す。)について、指定ADR機関との間で、速やかに手続実施基本契約を締結しているか。

        また、例えば、指定ADR機関の指定取消しや新たな指定ADR機関の設立などの変動があった場合であっても、顧客利便の観点から最善の策を選択し、速やかに必要な措置(新たな苦情処理措置・紛争解決措置の実施、手続実施基本契約の締結など)を講じるとともに、顧客へ周知する等の適切な対応を行っているか。

      • ロ.指定ADR機関と締結した手続実施基本契約の内容を誠実に履行する態勢を整備しているか。

    • マル2公表・周知・顧客への対応

      • イ.手続実施基本契約を締結した相手方である指定ADR機関の商号又は名称、及び連絡先を適切に公表しているか。

        公表の方法について、例えば、ホームページへの掲載、ポスターの店頭掲示、パンフレットの作成・配布又はマスメディアを通じての広報活動等、業務の規模・特性に応じた措置をとることが必要である。仮に、ホームページに掲載したとしても、これを閲覧できない顧客も想定される場合には、そのような顧客にも配慮する必要がある。

        公表する際は、顧客にとって分かりやすいように表示しているか(例えば、ホームページで公表する場合において、顧客が容易に金融ADR制度の利用に関するページにアクセスできるような表示が望ましい。)。

      • ロ.手続実施基本契約も踏まえつつ、顧客に対し、指定ADR機関による標準的な手続のフローや指定ADR機関の利用の効果(時効中断効等)等必要な情報の周知を行う態勢を整備しているか。

  • (2)苦情処理手続・紛争解決手続についての留意事項

    信託会社が手続実施基本契約により手続応諾・資料提出・特別調停案尊重等の各義務を負担することを踏まえ、検証に当たっては、例えば、以下の点に留意することが必要である。

    • マル1共通事項

      • イ.指定ADR機関から手続応諾・資料提出等の求めがあった場合、正当な理由がない限り、速やかにこれに応じる態勢を整備しているか。

      • ロ.指定ADR機関からの手続応諾・資料提出等の求めに対し拒絶する場合、苦情・紛争の原因となった部署のみが安易に判断し拒絶するのではなく、組織として適切に検討を実施する態勢を整備しているか。また、可能な限り、その判断の理由(正当な理由)について説明する態勢を整備しているか。

    • マル2紛争解決手続への対応

      • イ.紛争解決委員から和解案の受諾勧告又は特別調停案の提示がされた場合、速やかに受諾の可否を判断する態勢を整備しているか。

      • ロ.和解案又は特別調停案を受諾した場合、担当部署において速やかに対応するとともに、その履行状況等を検査・監査部門等が事後検証する態勢を整備しているか。

      • ハ.和解案又は特別調停案の受諾を拒絶する場合、業務規程(信託業法第85条の7第1項)等を踏まえ、速やかにその理由を説明するとともに、訴訟提起等の必要な対応を行う態勢を整備しているか。

3-5-11―3-2 指定ADR機関が存在しない場合

3-5-11―3-2―1 意義

金融ADR制度においては、指定ADR機関が存在しない場合においても、代わりに苦情処理措置・紛争解決措置を講ずることが法令上求められている。信託会社においては、これらの措置を適切に実施し、金融商品・サービスに関する苦情・紛争を簡易・迅速に解決することにより、顧客保護の充実を確保し、金融商品・サービスへの顧客の信頼性の向上に努める必要がある。

3-5-11―3-2―2 着眼点

信託会社が苦情処理措置・紛争解決措置を講じる場合、金融ADR制度の趣旨を踏まえ、顧客からの苦情・紛争の申出に関し、業務の規模・特性に応じ、適切に対応する態勢を整備しているかを検証する。その際、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮しつつ、例えば、以下の点に留意することとする。

なお、「3-5-11―2 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立」における留意点も参照すること。

  • (1)総論

    • マル1苦情処理措置・紛争解決措置の選択

      • イ.自らが営む信託業務(信託業法第2条第11項に定義する「手続対象信託業務」を指す。)の内容、苦情等の発生状況及び営業地域等を踏まえて、法令で規定されている以下の各事項のうちの一つ又は複数を苦情処理措置・紛争解決措置として適切に選択しているか。なお、その際は、例えば、顧客が苦情・紛争を申し出るに当たり、顧客にとって地理的にアクセスしやすい環境を整備するなど、顧客の利便の向上に資するような取組みを行うことが望ましい。

        • a.苦情処理措置

          • i .苦情処理に従事する従業員への助言・指導を一定の経験を有する消費生活専門相談員等に行わせること

          • ii .自社で業務運営体制・社内規則を整備し、公表等すること

          • iii .金融商品取引業協会、認定投資者保護団体を利用すること

          • iv .国民生活センター、消費生活センターを利用すること

          • v .他の業態の指定ADR機関を利用すること

          • vi .苦情処理業務を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること

        • b.紛争解決措置

          • i. 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に定める認証紛争解決手続を利用すること

          • ii. 金融商品取引業協会、認定投資者保護団体を利用すること

          • iii .弁護士会を利用すること

          • iv. 国民生活センター、消費生活センターを利用すること

          • v .他の業態の指定ADR機関を利用すること

          • vi .紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人を利用すること

      • ロ.苦情・紛争の処理状況等のモニタリング等を継続的に行い、必要に応じ、苦情処理措置・紛争解決措置について検討及び見直しを行う態勢を整備しているか。

      • ハ.苦情処理業務・紛争解決業務を公正かつ的確に遂行できる法人(a vi 、b vi )を利用する場合、当該法人が苦情処理業務・紛争解決業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人であること(規則第29条の2第1項第5号、同条第2項第5号)について、相当の資料等に基づいて、合理的に判断しているか。

      • ニ.外部機関を利用する場合、必ずしも当該外部機関との間において業務委託契約等の締結までは求められていないが、標準的な手続のフローや、費用負担に関する事項等について予め取決めを行っておくことが望ましい。

      • ホ.外部機関の手続を利用する際に費用が発生する場合について、顧客の費用負担が過大とならないような措置を講じる等、苦情処理・紛争解決の申立ての障害とならないような措置を講じているか。

    • マル2運用

      苦情処理措置・紛争解決措置の適用範囲を過度に限定的なものとするなど、不適切な運用を行っていないか。なお、苦情処理措置と紛争解決措置との間で適切な連携を確保しているかについても留意する必要がある(「3-5-11―1(2)対象範囲」参照)。

  • (2)苦情処理措置(自社で態勢整備を行う場合)についての留意事項

    • マル1消費生活専門相談員等による従業員への助言・指導態勢を整備する場合

      • イ.定期的に消費生活専門相談員等による研修を実施する等、苦情処理に従事する従業員のスキルを向上させる態勢を整備しているか。

      • ロ.消費生活専門相談員等との連絡体制を築く等、個別事案の処理に関し、必要に応じ、消費生活専門相談員等の専門知識・経験を活用する態勢を整備しているか。

    • マル2自社で業務運営体制・社内規則を整備する場合

      • イ.苦情の発生状況に応じ、業務運営体制及び社内規則を適切に整備するとともに、当該体制・規則に基づき公正かつ的確に苦情処理を行う態勢を整備しているか。

      • ロ.苦情の申出先を顧客に適切に周知するとともに、苦情処理にかかる業務運営体制及び社内規則を適切に公表しているか。

        周知・公表の内容として、必ずしも社内規則の全文を公表する必要はないものの、顧客が、苦情処理が適切な手続に則って行われているかどうか自ら確認できるようにするため、苦情処理における連絡先及び標準的な業務フロー等を明確に示すことが重要であることから、それに関連する部分を公表しているかに留意する必要がある。

        なお、周知・公表の方法について、3-5-11―3-1-2(1)マル2を参照のこと。

  • (3)苦情処理措置(外部機関を利用する場合)及び紛争解決措置の留意事項

    • マル1周知・公表等

      • イ.信託会社が外部機関を利用している場合、顧客保護の観点から、例えば、顧客が苦情・紛争を申し出るに当たり、外部機関を利用できることや、外部機関の名称及び連絡先、その利用方法等、外部機関に関する情報について、顧客にとって分かりやすいように、周知・公表を行うことが望ましい。

      • ロ.苦情処理・紛争解決の申立てが、地理又は苦情・紛争内容その他の事由により、顧客に紹介した外部機関の取扱範囲外のものであるとき、又は他の外部機関等(苦情処理措置・紛争解決措置として信託会社が利用している外部機関に限らない。)による取扱いがふさわしいときは、他の外部機関等を顧客に紹介する態勢を整備しているか。

    • マル2手続への対応

      • イ.外部機関から苦情処理・紛争解決の手続への応諾、事実関係の調査又は関係資料の提出等を要請された場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかにこれに応じる態勢を整備しているか。

      • ロ.苦情処理・紛争解決の手続への応諾、事実関係の調査又は関係資料の提供等の要請を拒絶する場合、苦情・紛争の原因となった部署のみが安易に判断し拒絶するのではなく、苦情・紛争内容、事実・資料の性質及び外部機関の規則等を踏まえて、組織として適切に検討を実施する態勢を整備しているか。

        また、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、可能な限り拒絶の理由について説明する態勢を整備しているか。

      • ハ.紛争解決の手続を開始した外部機関から和解案、あっせん案等の解決案(以下、「解決案」という。)が提示された場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかに受諾の可否を判断する態勢を整備しているか。

      • ニ.解決案を受諾した場合、担当部署において速やかに対応するとともに、その履行状況等を検査・監査部門等が事後検証する態勢を整備しているか。

      • ホ.解決案の受諾を拒絶する場合、当該外部機関の規則等も踏まえつつ、速やかにその理由を説明するとともに、必要な対応を行う態勢を整備しているか。

3-5-11-4 各種書面への記載

信託会社は、各種書面(契約締結前交付書面等)において金融ADR制度への対応内容を記載することが、法令上、義務付けられている。それら書面には、指定ADR機関が存在しない場合は苦情処理措置・紛争解決措置の内容を記載する必要があるが、例えば、信託会社が外部機関を利用している場合、当該外部機関(苦情処理・紛争解決にかかる業務の一部を他の機関に委託等している場合、当該他の機関も含む。)の名称及び連絡先など、実態に即して適切な事項を記載するべきことに留意する。

3-5-11-5 行政上の対応

金融ADR制度への対応を含む苦情等対処態勢が構築され機能しているかどうかは、顧客保護・信託会社への信頼性確保の観点も含め、信託会社の健全かつ適切な業務運営の基本にかかわることから、関係する内部管理態勢は高い実効性が求められる。

当局としては、信託会社の対応を全体的・継続的にみて、業務の健全かつ適切な運営を確保するため問題があると認められる場合は、必要に応じ、信託業法第42条に基づき報告を求め、また、重大な問題があると認められる場合は、信託業法第43条に基づく業務改善命令の発出を検討するものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、業務停止命令等の発出も含め、必要な行政処分を検討するものとする。

この点、指定ADR機関が存在する場合において、信託会社に手続応諾義務等への違反・懈怠等の問題が認められた場合であっても、一義的には信託会社と指定ADR機関との手続実施基本契約にかかる不履行であるため、直ちに行政処分の対象となるものではなく、当局としては、前述のように、信託会社の対応を全体的・継続的にみて判断を行うものとする。

なお、一般に顧客と信託会社との間で生じる個別の紛争は、私法上の契約に係る問題であり、基本的にADRや司法の場を含め当事者間で解決されるべき事柄であることに留意する必要がある。

3-5-12 障害者への対応


⑴ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)により、事業者には、障害者に対する不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の努力義務が課せられているところである。
また、信託会社については、「金融庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成28年告示第3号。以下「障害者差別解消対応指針」という。)において、これらの具体的な取扱いが示されている。
障害者への対応に当たって、顧客保護及び利用者利便の観点も含め、障害者差別解消法及び障害者差別解消対応指針に則り適切な対応を行う、対応状況を把握・検証し対応方法の見直しを行うなど、内部管理態勢が整備されているかといった点に留意して検証することとする。
 
⑵ 監督手法・対応
日常の監督事務や、障害者からの苦情等を通じて把握された信託会社における障害者への対応に係る課題については、深度あるヒアリングを行うことにより内部管理態勢の整備状況を確認することとする。また、信託会社の内部管理態勢の整備状況に疑義が生じた場合には、必要に応じ、報告(法第42条に基づく報告を含む。)を求めて検証することとする。当該整備状況に問題が認められる場合には、改善状況を促すこととする。

3-6 行政処分を行う際の留意事項

3-6-1 法第43条及び法第44条に基づく行政処分(業務改善命令、業務停止命令等)

監督部局が運用型信託会社に対して不利益処分(行政手続法第2条第4号にいう不利益処分をいう。以下同じ。)を検討する際には、以下(1)から(3)までに掲げる要因を勘案するとともに、それ以外に考慮すべき要素がないかどうかを吟味することとする。

  • (1)当該行為の重大性・悪質性

    • マル1公益侵害の程度

      運用型信託会社が、例えば、顧客の財務内容の適切な開示という観点から著しく不適切な商品を組成・提供し、金融市場に対する信頼性を損なうなど公益を著しく侵害していないか。

    • マル2受益者等被害の程度

      広範囲にわたって多数の受益者等が被害を受けたかどうか。個々の受益者等が受けた被害がどの程度深刻か。

    • マル3行為自体の悪質性

      例えば、受益者等から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の商品を販売し続けるなど、運用型信託会社の行為が悪質であったか。

    • マル4行為が行われた期間や反復性

      当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の行為が行われたことがあるか。

    • マル5故意性の有無

      当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。

    • マル6組織性の有無

      当該行為が現場の営業担当者個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたのか。更に経営陣の関与があったのか。

    • マル7隠蔽の有無

      問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。

    • マル8反社会的勢力との関与の有無

      反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。

  • (2)当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性

    • マル1代表取締役や取締役会の法令等遵守に関する認識や取組みは十分か。

    • マル2内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。

    • マル3コンプライアンス部門やリスク管理部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。

    • マル4業務担当者の法令等遵守に関する認識は十分か、また、社内教育が十分になされているか。

  •  
  • (3)軽減事由

    以上の他に、行政による対応に先行して、運用型信託会社自身が自主的に受益者等保護のために所要の対応に取り組んでいる、といった軽減事由があるか。

3-6-2 行政手続法との関係等

  • (1)行政手続法との関係

    行政手続法第13条第1項第1号に該当する不利益処分をしようとする場合には聴聞を行い、同項第2号に該当する不利益処分をしようとする場合には弁明の機会を付与しなければならないことに留意する。

    いずれの場合においても、不利益処分をする場合には同法第14条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(不利益処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    また、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には同法第8条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(許認可等を拒否する処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    その際、単に根拠規定を示すだけではなく、いかなる事実関係に基づき、いかなる法令・基準を適用して処分がなされたかを明らかにすること等が求められることに留意する。

  • (2)行政不服審査法との関係

    不服申立てをすることができる処分をする場合には、行政不服審査法第82条に基づき、不服申立てをすることができる旨等を書面で教示しなければならないことに留意する。

  • (3)行政事件訴訟法との関係

    取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、行政事件訴訟法第46条に基づき、取消訴訟の提起に関する事項を書面で教示しなければならないことに留意する。

3-6-3 意見交換制度

  • (1)意義

    不利益処分が行われる場合、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続とは別に、信託会社からの求めに応じ、監督当局と信託会社との間で、複数のレベルにおける意見交換を行うことで、行おうとする処分の原因となる事実及びその重大性等についての認識の共有を図ることが有益である。

  • (2)監督手法・対応

    法第42条に基づく報告徴求にかかるヒアリング等の過程において、自社に対して不利益処分が行われる可能性が高いと認識した信託会社から、監督当局の幹部(注1)と当該信託会社の幹部との間の意見交換の機会の設定を求められた場合(注2)であって、監督当局が当該信託会社に対して聴聞又は弁明の機会の付与を伴う不利益処分を行おうとするときは、緊急に処分をする必要がある場合を除き、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行う前に、行おうとする不利益処分の原因となる事実及びその重大性等についての意見交換の機会を設けることとする。

    • (注1) 監督当局の幹部の例:金融庁の担当課長

    • (注2) 信託会社からの意見交換の機会の設定の求めは、監督当局が、当該不利益処分の原因となる事実についての法第42条に基づく報告書等を受理したときから、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間になされるものに限る。

3-6-4 監督処分に係る公告の留意事項

法第48条の規定に基づき監督処分の公告を行う場合は、以下の事項を掲載するものとする。

  • マル1商号

  • マル2本店の所在地

  • マル3行政処分の年月日

  • マル4行政処分の内容

3-6-5 信託法に基づく手続き

信託会社の免許を取り消した場合においても、当然に受託者たる地位を失うわけではないことから、法第49条第1項の規定により読み替えて適用する信託法第58条第4項の規定に基づき、裁判所に対して受託者の解任の申請を申し立てるものとする。

また、法第49条第2項の規定により読み替えて適用する信託法第62条第2項の規定に基づき、信託行為に新受託者となるべき者を指定する定めがあるときは、新受託者となるべき者として指定された者に対し、就任の承諾の催告を行うものとする。

3-7 廃業等に係る留意事項

信託会社から、法第41条第1項第1号及び規則第48条第1項第5号の規定による破産手続開始等の申立てに係る届出並びに法第41条第4項の規定による公告の届出(合併、会社分割及び事業譲渡に係るものを除く。)を受理した場合には、ヒアリング、法第42条に基づく報告徴求又は検査等を実施し、以下の点を確認するものとする。確認の結果、問題が認められた場合には業務改善命令を行うほか、免許取消事由が確認された場合には、直ちに免許取消しを行うこととする。

  • マル1届出を行った信託会社が法第44条第1項各号に掲げる免許取消の事由に該当していないか。

  • マル2法第41条第4項の規定による公告の届出(合併、会社分割及び事業譲渡に係るものを除く。)を受理した場合であって上記マル1に該当しない場合には、受託者の地位を辞することに関し、信託法第57条第1項の規定に基づき委託者及び受益者の同意を得ているか又は信託法第57条第2項の規定に基づき裁判所の許可を得ているか。また、合併及び破産以外の解散の場合には、解散事由が発生しているか。

    • (注) 信託法上、信託の受託者については、マル1委託者及び受益者の同意がある場合(第57条第1項)、マル2信託行為に別段の定めがある場合(第57条第1項但書)、マル3やむを得ない事由があるときに裁判所の許可を得た場合(第57条第2項)にのみ辞任が認められている。

3-8 検査部局との連携

検査部局との連携を以下のとおり行うものとする。

3-8-1 検査部局による検査着手前

検査着手に当たって、監督部局(財務局検査の場合には財務局信託会社担当課、検査局検査の場合には監督局信託会社担当課)は、検査班主任検査官に対し、信託会社の現状等についての説明を行うものとする。

3-8-2 検査部局による検査結果通知後

  • (1)検査結果通知書の交付日と同日付けで、信託会社に対し、当該通知書において指摘された事項についての事実確認、発生原因分析、改善策、その他をとりまとめた報告書を1ヶ月以内(必要に応じて項目ごとに短縮するものとする。)に提出することを、法第42条第1項に基づき求めるものとする。(財務局監理信託会社について検査局検査が行われた場合にも、法第42条報告発出及び受理は財務局信託会社担当課が行うこととする。)

    また、合併等によりシステム統合等を予定している信託会社において、システム統合リスクの管理態勢に関する指摘がある場合のうち、必要かつ適当と認められる場合には、当該システム統合等の計画を的確に履行するための方策、システムリスクに係る内部管理体制(内部監査を含む。)等ついても、同項に基づき報告書の提出を命ずるものとする。

  • (2)検査結果通知後、上記(1)の報告書の提出を受ける前に、検査結果通知書の審査担当者等から、検査結果通知書の内容、背景について説明を受けるものとする。(財務局監理信託会社について検査局検査が行われた場合には、財務局信託会社担当課は、原則として金融庁において、検査局審査担当者から説明を受けるものとする。この際、財務局検査担当課の同席を求めるものとする。)

  • (3)上記(1)の報告書が提出された段階で、信託会社から十分なヒアリングを行うものとする。ヒアリングに当たっては、検査部局とも緊密な連携を図るものとし、検査結果通知書の審査担当者等(注)の出席を原則として確保するものとする。

    • (注)財務局監理信託会社について検査局検査が行われた場合には、財務局信託会社担当課は、財務局検査担当課審査担当者の出席を原則として確保し、必要に応じ、検査局審査担当者の同席を求めるものとする。

  • (4)検査結果及び法第42条第1項に基づく報告書の内容等により、改善策の実施に一定の期間を要すると認められる場合には、同項に基づき次回検査までの間定期的に報告を求めるものとする。また、自主的な改善努力に委ねたのでは当該信託会社の業務運営の適切性、健全性に支障を来すと認められる場合には、法第43条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

  • (5)財務局信託会社担当課は監督局信託会社担当課との十分な連携によりこれらの事務を行うものとし、検査局との連携は財務局検査担当課を通じて行うものとする。

3-8-3 標準処理期間

法第43条に基づき業務改善命令を発出する場合には、3-8-2(1)の報告書を受理したときから、原則として概ね1ヶ月(処分が財務局を経由して金融庁において行われる場合、処分が財務局において行われるが金融庁との調整を要する場合は概ね2ヶ月)以内を目処に行うものとする。

  • (注1) 「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。

    • 複数回にわたって法第42条に基づき報告を求める場合(直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。)には、最後の報告書を受理したときを指すものとする。
    • 提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等(軽微なものを除く。)を求める場合には、当該資料の訂正、追加提出等が行われたときを指すものとする。
  • (注2) 弁明・聴聞等に要する期間は、標準処理期間には含まれない。

  • (注3) 標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報ごとに適用する。

3-9 金融商品取引法に係る留意事項

3-9-1 適格機関投資家の届出を行った信託会社に係る留意事項

金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令第10条第1項第21号に定める届出を行った信託会社がある場合には、金融商品取引法第2条第3項第1号において、適格機関投資家が有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者と定められていることを踏まえ、以下の体制が整備されているかを確認し、問題があると認められるときは、体制を整備するよう求めることとする。

  • (1)業務方法書に有価証券の管理又は処分の方法が記載されている信託会社の場合、信託財産運用部門及び信託財産管理部門のそれぞれに、有価証券の管理・処分業務に3年以上携わった経験を有する者を配置し、有価証券の管理・処分業務に係る内部規程を備えているか。

  • (2)業務方法書に有価証券の管理又は処分の方法が記載されていない信託会社の場合、有価証券投資に係る専門的知識及び経験を有する役職員を有価証券運用を行う部門に配置し、有価証券運用に係る内部規程を備えているか。

    • (注)「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する役職員」については、上記(1)に準じるものとする。

3-9-2 特定信託契約に係る留意事項

信託会社が行う信託契約のうち、金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動により、信託の元本について損失が生ずるおそれがある信託契約(以下、「特定信託契約」という。施行規則第30条の2第1項参照。)については、金融商品取引法の行為規制が準用され、広告等の規制等が適用されることにも留意する必要がある。

  • (1)広告等の規制

    信託会社が行う広告等(規則第30条の16第1項に規定する広告等をいう。以下同じ。)の表示は、顧客への投資勧誘の導入部分に当たり、明瞭かつ正確な表示による情報提供が、適正な投資勧誘の履行を確保する観点から最も重要であるが、その徹底に当たっては、以下の点に特に留意するものとする。

    • (注)なお、広告等には、勧誘資料やインターネットのホームページ、郵便、信書便、ファックス、電子メール、ビラ、パンフレット等による多数の者に対する情報提供が含まれるが、実際に広告等に該当するか否かの判断は、顧客との電子メール等のやり取り、イメージCM、ロゴ等を記載した粗品の提供などの外形ではなく、実態をみて個別具体的に判断する必要がある。

    • マル1顧客判断に影響を及ぼすこととなる重要事項に関する留意事項

      • イ.顧客が支払うべき手数料、報酬、その他の対価又は費用が無料又は実際のものよりも著しく低額であるかのように誤解させるような表示をしていないか。

      • ロ.損失が生ずるおそれがある場合には、その旨を明確に表示しているか。

    • マル2明瞭かつ正確な表示

      広告等において法第24条の2において準用する金融商品取引法第37条に規定する項目(金融商品取引法第37条第1項第2号を除く)を表示する場合に、規則第30条の16第1項に規定する明瞭かつ正確な表示がなされているか否かの判断に当たっては、具体的に以下の点に留意することとする。

      • イ.当該広告等に表示される他の事項に係る文字と比較して、使用する文字の大きさ、形状及び色彩において、不当に目立ちにくい表示を行っていないか。

        特に、金利や相場等の指標の変動を直接の原因として損失が生ずることとなるおそれのある場合の当該指標、損失が生ずるおそれがある旨・その理由は、広告上の文字又は数字の中で最も大きなものと著しく異ならない大きさで表示しているか。

      • ロ.取引の長所に係る表示のみを強調し、短所に係る表示が目立ちにくい表示を行っていないか。

      • ハ.当該広告等を画面上に表示して行う場合に、表示すべき事項の全てを判読するために必要な表示時間が確保されているか。

    • マル3誇大広告に関する留意事項

      • イ.当該特定信託契約に係る運用の成果等について断定的に表現したり、確実に利益を得られるように誤解させて、投資意欲を不当に刺激するような表示をしていないか。

      • ロ.利回りの保証若しくは損失の全部若しくは一部の負担を行う旨の表示又はこれを行っていると誤解させるような表示をしていないか。

      • ハ.申込みの期間、対象者数等が限定されていない場合に、これらが限定されていると誤解させるような表示を行っていないか。

      • ニ.免許を受けていること等により、内閣総理大臣、金融庁長官、その他の公的機関が、信託会社を推薦し、又はその広告等の内容を保証しているかのように誤解させるような表示をしていないか。

      • ホ.不当景品類及び不当表示防止法、屋外広告物法に基づく都道府県の条例その他の法令に違反する又は違反するおそれのある表示をしていないか。

      • ヘ.社会的に過剰宣伝であるとの批判を浴びるような表示をしていないか。

    • マル4顧客を集めての勧誘

      • イ.セミナー等(講演会、学習会、説明会等の名目の如何を問わない。以下同じ。)を開催して、一般顧客等を集め、当該一般顧客等に対して特定信託契約の締結の勧誘(勧誘を目的とした具体的商品の説明を含む。)を行う場合には、当該セミナー等に係る広告等及び送付する案内状等に、特定信託契約の締結を勧誘する目的があることをあらかじめ明示しているか。

      • ロ.上記イの「特定信託契約の締結を勧誘する目的があることをあらかじめ明示」することには、セミナー等の名称が、特定信託契約に関連するものであることを明確に表していることのみでは足りず、勧誘する目的がある旨を明確に表示している必要がある。

    • マル5広告等審査体制

      法第24条の2において準用する金融商品取引法第37条の規定を遵守する観点から、広告等の審査を行う広告等審査担当者が配置され、審査基準に基づいた適正な審査が実施されているか。

  • (2)説明方法

    契約締結前交付書面又は契約変更書面の交付に関し、特定信託契約を締結する前に、あらかじめ、顧客(特定投資家(準用金融商品取引法第34条の2第5項の規定により特定投資家以外の顧客とみなされる者を除き、準用金融商品取引法第34条の3第4項(準用金融商品取引法第34条の4第4項において準用する場合を含む。)の規定により特定投資家とみなされる者を含む。)を除く。)に対して、その知識、経験、財産の状況及び特定信託契約を締結する目的に照らし、書面の内容が当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によって説明を行っているか。

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