11 信託兼営金融機関関係

11−1 信託兼営金融機関の監督事務の取扱い

11−1−1 信託兼営認可申請の処理

兼営法第1条第1項に基づく信託兼営の認可申請があったときは、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行規則(昭和57年大蔵省令第16号。以下「兼営法規則」という。)第43条の規定により、事情を調査の上、財務局の意見を付して、監督局長に進達するものとする。

11−1−2 行政報告

財務局長は、次に掲げる委任事項についての行政処理を行ったときは、その結果を遅滞なく監督局長に報告するものとする。

  • マル1兼営法第3条の規定による業務方法書の変更の認可

  • マル2兼営法第5条の規定による定型的信託契約約款の変更の認可

  • マル3兼営法第2条第1項において準用する法第11条第4項の規定による供託の命令

  • マル4兼営法第2条第1項において準用する法第42条第1項及び第2項の規定による報告又は資料の提出の命令

  • マル5兼営法第9条の規定による業務方法の変更等の命令(信託業務の全部又は一部の停止の命令を除く。)

11−1−3 監督体制

信託兼営金融機関の監督については、兼営法が銀行等への認可制に立脚している趣旨に鑑み、原則として、当該銀行等の銀行法(昭和56年法律第59号)等に基づく監督を担当する者が併せて実施するものとする。なお、やむを得ず担当を分ける場合においては、十分な連携のもとに事務を実施するものとする。

11−2 信託兼営認可申請書の審査に際しての留意事項

申請者より、兼営法第1条第1項に基づく兼営の認可の申請があった場合には、以下の点に留意するものとする。

(注) 兼営法の趣旨に鑑み、兼営法第1条第1項各号に掲げる業務のみを行うことは認められないことに留意する。

11−2−1 添付書類の受理に当たっての留意事項

兼営法規則第1条第1項第12号に掲げる「その他法第1条第3項に規定する審査をするため参考となるべき事項を記載した書類」とは、具体的には以下のとおり取り扱うものとする。

なお、マル4については、引受けを行おうとする全ての信託財産について記載される必要があることに留意するものとする。

  • マル1信託業務に関する知識を有する者並びに信託業務及び信託関係法令に関する知識を有する者の知識を習得した方法(知識を有することを証する書面がある場合には当該書面を含む。)並びに当該者の配置予定先を記載した書面

    • (注) 「信託業務に関する知識」、「信託関係法令に関する知識」及び「知識を有することを証する書面」の具体的内容については、3−2−1(9)マル1(注)に準じるものとする。

  • マル2信託業務に携った経験を有する者並びに管理及び処分を行う財産の管理・処分業務に携った経験を有する者の経歴及び配置予定先を記載した書面

  • マル3業務の執行方法を定めた社内規則

  • マル4取り組みを予定している信託スキームの概要図(委託者、受託者、受益者、投資家等の関係者間における時系列順の取引内容等の説明の記載を含む。)

  • マル5信託業務の一部を第三者に委託する場合には、委託先の業務遂行能力を継続的に確認するための体制(委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策を含む。)を明らかにした書面

  • マル6その他審査の参考となる書類

11−2−2 業務の種類及び方法書の審査

兼営法規則第4条第1項に規定する業務の種類及び方法書については、同項各号に掲げる必要記載項目ごとに以下の点に留意するものとする。

  • (1)兼営法第6条の規定による元本の補てん又は利益の補足に関する事項

    以下の項目が記載されているか。

    • マル1元本の補てん又は利益の補足をすることのある金銭信託の種類

    • マル2元本の補てん又は利益の補足をする場合及びその程度

    • マル3元本の補てん又は利益の補足の時期

    • マル4元本の補てん又は利益の補足の計算方法及びその額

    • マル5信託財産の評価損益の処理方法

  • (2)併せ営む兼営法第1条第1項各号に掲げる業務の種類(信託受益権売買等業務を営む場合には、当該業務の実施体制を含む。)

    兼営法第1条第1項各号の区分により記載されているか。

    また、信託受益権売買等業務を営む場合には、当該業務の実施体制について、3−2−2(6)に準じ、原則として「信託事務の実施体制」に併せて記載されているか。

  • (3)上記(1)及び(2)以外の必要記載項目

    3−2−2に準じるものとする。

11−2−3 財産的基礎の審査

兼営法第1条第3項第1号に掲げる信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有しているか否かの審査に当たっては、収支見込みの根拠となる諸条件について十分に精査すること。また、信託報酬は確実かつ将来にわたり安定的と見込まれるか、収支見込みの前提となる諸条件が見込みを下回った場合でも経常経費を賄う程度の収益を見込めるか等についても審査することに留意するものとする。

11−2−4 人的構成に照らした業務遂行能力の審査

申請者が兼営法第1条第3項第1号並びに兼営法規則第1条第2項第2号及び第3項第4号に掲げる業務遂行能力等に関する基準を満たしているか否かについては、業務の種類及び方法書の記載内容に照らして、以下により判断することとする。なお、これらはあくまでも例示であり、その行うべき体制整備等は当該金融機関が行おうとする信託業務の規模、特性により異なることに留意し、申請者が以下の基準を満たしていない場合には、満たす必要がない合理的理由について聴取することとする。

  • (1)顧客保護の観点からの信託業務の執行方法の審査

    3−2−4(1)に準じるものとする。

  • (2)経営体制等に照らした業務遂行能力の審査

    3−2−4(2)に準じるものとするが、さらに以下の点について確認することとする。

    • マル1兼営法第2条第1項において準用する法第29条第2項各号に掲げる取引を行おうとする場合には、社内規則において、法第29条第2項柱書きに規定する自己取引等が許容される要件を満たすことを検証できる形で定められているか。

      • 例えば、信託勘定から固有勘定への運用(いわゆる銀行勘定貸)に際し、受託者たる金融機関の信用リスクを適切に評価することとしているか。特に、受託者たる金融機関の自己資本比率の大幅な低下、株価の急落、外部格付機関による信用格付の悪化など、受託者の財務の健全性低下が懸念される場合には、より慎重な検証が必要であることを踏まえた社内規則となっているか。
      • 当該取引を実施する部門から独立した内部監査部門による定期的かつ実効性のある検証・監査ができる体制が整備されているか。
    • マル2信託兼営金融機関が元本補てん契約付信託商品を取り扱うこととしている場合には、銀行勘定に与えるリスクに鑑み、適切なリスク管理を行える体制とすることとなっているかについても確認することとする。

11−3 経営管理の評価に関する留意事項

3−3に準じるほか、以下の点に留意するものとする。

  • (1)取締役及び取締役会は、信託兼営金融機関が自己の固有財産と信託財産双方の財産を管理・運用している業務環境にあることを踏まえた上で、信託財産に損害を与える利益相反行為を防止する態勢の整備について信託業務に係る内部管理基本方針等に定めているか。

11−4 監督に係る事務処理上の留意事項

11−4−1 営業保証金に係る留意事項

3−4−1に準じるものとする。

11−4−2 信託業務の委託

3−4−5に準じるものとする。

11−4−3 業務の種類及び方法の変更認可

兼営法第3条に規定する業務の種類及び方法の変更認可については、以下の点に留意するものとする。また、審査に当たっては、その変更内容に応じて、本監督指針の兼営認可の審査基準を満たさないこととならないかどうかに留意するものとする。

兼営法規則第32条第1項第4号に掲げる「その他次項に規定する審査をするため参考となるべき事項を記載した書類」については、業務の種類及び方法の変更内容に応じて、11−2−1に記載した書類の提出を求めるものとする。

11−4−4 信託業務のみを営む支店等の設置

兼営法第8条第2項第1号に掲げる信託業務の全部若しくは一部のみを営む支店その他の営業所若しくは事務所(以下「信託業務のみを営む支店等」という。)の設置に当たっては、以下の点に留意するものとする。

  • マル1銀行業を営まないことにより顧客利便に支障が生じないよう、取り扱う業務内容の実効的な周知を行う必要があること。

  • マル2信託業務のみを営む支店等においては、兼営法第1条第1項各号に掲げる業務のみを行うことはできないこと。

  • マル3銀行法第12条等に定める他業禁止規定の趣旨に鑑み、信託業務のみを営む支店等においては、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行令(平成5年政令第31号)第3条各号に掲げる金融機関が営むことができない業務については、法附則第16条第7項の規定にかかわらず取り扱えないこと。

  • マル4信託業務のみを営む支店等については、銀行法第15条の規定の適用はないこと。

  • マル5信託業務のみを営む支店等を他の金融機関、信託会社、外国信託会社又は信託契約代理店の本店その他の営業所、事務所若しくは代理店と同一の建物に設置する場合には、顧客が当該信託業務のみを営む支店等を当該他の金融機関、信託会社、外国信託会社又は信託契約代理店であると誤認することを防止する体制を整備する必要があること。

11−4−5 議決権の取得制限

  • (1)信託兼営金融機関が金融商品取引法第33条の2に基づき登録をした登録金融機関である場合には、投資一任契約に基づき顧客のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等に係る議決権は、銀行法第16条の3等において信託兼営金融機関が取得し又は保有する議決権に含まれるものではないことに留意する。

  • (2)信託兼営金融機関が信託財産として議決権を保有することについては、議決権の行使権限が金融機関側に留保される場合には、銀行法等による規制がなされているところ(銀行法第16条の3関係)。

    本規制に関し、特に、銀行法第16条の3第2項ただし書の承認に当たっては、基準議決権数を超過し、かつ1年を超えて保有しようとする場合には、その都度承認申請が必要であるが、その超過理由が銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10号。以下「銀行法規則」という。)第17条の6第10号の「元本の補てんのない信託に係る信託財産以外の財産における議決権数が基準議決権数以内となる場合における株式等の取得」の場合には、インデックス運用等の実態及び独禁法上の運営との平仄も踏まえ、原則以下の手続きにより、その届出受理、承認を行うこととする。なお、以下の取扱いについては、元本補てんのない信託に係る信託財産以外の財産において保有する議決権数が5%以内となっている場合にのみ適用することに留意する。

    • マル1届出

      銀行法規則第35条第1項第11号に基づく届出(以下「11号届出」という。)及び同項第13号に基づく届出は、前年1月1日から12月末日までの状況について、1月末日までに別紙様式24によりまとめて行うものとする。

    • マル2承認(銀行法第16条の3第2項ただし書き)

      承認申請は、11号届出を行った議決権のうち、その取得し、又は保有することとなった日から1年を超えて保有しようとするもの及び、承認期限が到来するものについて、当該届出を行った年の2月の第10営業日までに申請を受理し、3月の第7営業日までに承認を行うものとする。承認に当たっては、原則として2年後の3月末日を期限とするものとする。

      申請書の添付書類は銀行法規則第17条の7第1項によるものとし、以下の要件を満たす場合には、銀行法規則第17条の7第2項の「やむを得ないと認められる理由」があるものと判断して差し支えないものとする。

      • 元本の補てんのない信託に係る信託財産以外の財産において保有しようとする議決権数が総株主の議決権の5%以内であること。

      • 元本の補てんのない信託に係る信託財産及びそれ以外の財産を合算した議決権数につき、1年を超えて保有しようとする議決権数が総株主の議決権の10%以内であること。

        • (注) 1月1日から承認申請までの間に、当該届出を行わなかった国内の会社の議決権を基準議決権数を超えて取得し、又は保有したときは、当該届出書に追記して再度11号届出を行えば当該申請の際に併せて申請を行うことができることとし、その他の議決権についてはその都度11号届出及び承認申請を行うよう求めることとする。

11−5 業務運営の状況に関して報告・改善を求める場合の留意事項

信託兼営金融機関の業務運営の適切性、健全性に疑義が生じた場合には、必要に応じ、兼営法第2条第1項において準用する法第42条により報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、兼営法第9条に基づく命令を行う必要がある。その際の着眼点については、法令及び本監督指針に規定する認可申請の際の審査基準を満たしているか否か、3−5(3−5−1及び3−5−8を除く。)に記載した事項のほか、以下の点にも留意するものとする。

11−5−1 業務運営状況の評価に関する留意事項

信託の委託者及び受益者の保護を図るためには、信託兼営金融機関の業務の全てにわたり、兼営法、信託業法その他の法令、定款、業務方法書、社内規則等が遵守され、健全かつ適切に運営されていることが重要である。こうした観点から、信託兼営金融機関の信託業務運営状況の評価に当たっては、信託兼営金融機関が金融機関として信託業務を営むものであり、金融機関としての法令等遵守及びリスク管理も求められることに留意し、委託者に対する契約内容の説明や契約締結前の信託引受審査、受託後の信託財産の管理・運用等の信託業務を適正に行うための態勢が整備され、かつ、当該信託業務に関する適切な内部管理を行うための態勢が確保されているか否かについて検証することとする。なお、信託兼営金融機関に求められる上記態勢は、当該信託兼営金融機関が行う信託業務の規模、特性により異なることに留意するものとする。

11−5−2 元本補てん付信託勘定に係る留意事項

元本補てん付信託勘定については、銀行勘定の有するリスクが、信託法の趣旨や信託約款を踏まえ、明確に元本補てん契約の範囲に限定されるとともに、適切な業務運営が行われているか。

11−5−3 財産の取得、処分又は貸借に関する代理又は媒介に係る留意事項

不動産を信託財産とする信託の引受け又は不動産を信託財産とする信託の受益権の売買の代理及び媒介を行うにあたっては、施行令第3条第3号の規定の趣旨を踏まえ、実質的に不動産の売買及び貸借の代理及び媒介を業として営むこととならないよう、法令等遵守の観点から事前に十分な検討・検証を行うこととしているか。

11−5−4 苦情等への対処(金融ADR制度への対応を含む)

3−5−11に準ずるものとする。

11−6 行政処分を行う際の留意事項

3−6(3−6−4を除く。)に準じるものとする。

11−7 検査部局との連携

信託兼営金融機関のうち、主要行等にあっては主要行等向けの総合的な監督指針 II −1−3に準じるものとし、地域銀行等にあっては中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針 III −1−3に準じるものとする。

11−8 金融商品取引法に係る留意事項

3−9−2に準じるものとする。