金融庁における法令適用事前確認手続に関する細則

平成13年3月27日の閣議決定(行政機関による法令適用事前確認手続の導入について)においては、「IT・金融等新規産業や新商品・サービスの創出が活発に行われる分野について、民間企業等がある行為を行うに際し、法令に抵触するかどうかについての予見可能性を高めるため、当該行為について特定の法令の規定との関係を事前に照会できるようにするとともに、行政の公正性を確保し、透明性の向上を図るため、当該照会内容と行政機関の回答を公表することとする」とされ、このため、「上記の分野に関し、民間企業等が、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する手続の指針」が定められたところである。

金融庁は、この閣議決定を踏まえ、当該手続を本年7月16日より実施することとし、下記のとおり細則を定めたところである。

1.対象

(1) 対象法令(条項)の範囲

金融庁における本手続の対象となる法令(条項)は、金融庁が所管する法律及びこれに基づく政府令の条項のうち次のいずれかであって、平成13年3月27日の閣議決定(行政機関による法令適用事前確認手続の導入について)における、「民間企業等が、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する」との趣旨に該当するものとする。

  • マル1当該条項が申請(行政手続法(平成5年11月12日法律第88号)第2条第3号にいう申請をいう。)に対する処分の根拠を定めるものであって、当該条項に違反する行為が罰則の対象となる場合

  • マル2当該条項が届出等行政機関に対し一定の事項を通知する行為の根拠を定めるものであって、当該条項に違反する行為が罰則の対象となる場合

  • マル3当該条項が不利益処分(行政手続法第2条第4号に定める不利益処分をいう。)の根拠を定めるものである場合

  • マル4当該条項が民間企業等に対して直接に義務を課し又はこれらの権利を制限するものであって、照会の対象とすべきものと判断される場合

(2) 対象となる法律の公表

本手続の対象となる法律を担当する課室については、一覧表を作成し、金融庁のホームページにおいて公表することとする。なお、当該一覧表については、法律改正等の事情変更があった場合には、これを随時見直すこととする。

2.照会

(1) 照会窓口

照会窓口は、金融庁監督局総務課(専用メールアドレスnal-01@fsa.go.jp)とし、財務(支)局・沖縄総合事務局所管の金融機関は、財務局等に照会する。財務局等は照会を受けた場合には、金融庁監督局総務課に対し、照会書(当該照会書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下同じ。)を速やかに送付する。

なお、照会窓口たる金融庁監督局総務課は、下記(3)照会書の記載要領に示す要件を満たした照会書が到達した場合は速やかに受け付け、照会事案に係る法令を所管する担当課室に回付する。

(2) 照会者の範囲

照会者は、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、上記1.の対象法令(条項)の適用に係る照会を行う者及び当該者から依頼を受けた弁護士等であって、下記(3)の記載要領を満たした照会書を提出し、かつ、照会内容及び回答内容が公表されることに同意している者とする。

(注) 照会者が法人(及び業界団体)である場合には、役員名で行うことを原則とし、弁護士等である場合には委任状(照会者が法人である場合には役員名によるもの)の提出を求めることとする。なお、法人と弁護士等との連名による照会も可能とし、この場合には、委任状の提出は要しないこととする。

弁護士等とは、弁護士、公認会計士等、照会事項につき高い専門的知見を有する者とする。

(3) 照会書の記載要領

照会書は、下記の要件を満たしているものでなければならない(参考:別紙様式1)。

  • マル1将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実が記載されていること。

  • マル2上記1.(2)に基づき金融庁がホームページにおいて公表した法律及びこれに基づく政府令の条項のうち、適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項が特定されていること。

  • マル3照会及び回答内容が公表されることに同意していることが記載されていること。

  • マル4上記マル2において特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びその根拠が明確に記述されていること。

(4) 照会書の補正及び追加資料の提出

金融庁は、照会書の記載内容が不十分な場合、照会者の本人確認をする場合等、必要な限度において照会者に対し、照会書の補正、追加資料の提出等所要の対応を求めることができる。

ただし、追加資料は必要最小限とし、照会者の過度な負担とならないよう努めることとする。

(5) 照会書の名宛人

照会書における名宛人は、照会案件に係る法令を所管する担当課室の長とする。

3.回答

(1) 回答期間

上記2.の照会を受けた課室の長は、照会者からの照会書が照会窓口に到達してから原則として30日以内に照会者に対する回答を行うものとする。ただし、次に掲げる場合には、各々の定める期間を回答期間とする。なお、いずれの場合においても、補正期間を含めた全体としての処理期間の短縮に努めることとする。

  • マル1高度な金融技術等に係る照会で慎重な判断を要する場合 原則60日以内

  • マル2担当部局の事務処理能力を超える多数の照会により業務に著しい支障が生じるおそれがある場合 30日を超える合理的な期間内

  • マル3他府省との共管法令に係る照会の場合 原則60日以内

上記2.(4)により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、回答期間に算入しないものとする。

30日以内に回答を行わない場合には、照会者に対して、その理由及び回答時期の見通しを通知することとする。

(2) 回答書の名義人

回答書(当該回答書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)の名義人は、照会案件に係る法令を所管する担当課室の長とする。

(3) 回答の方式

照会に対する回答は、書面又は電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うものとする(参考:別紙様式2)。ただし、照会者が口頭で回答することに同意する場合には、この限りでない。

回答に当たっては、当該事実が照会に係る法令の適用の対象となるか否かに関する見解及び根拠を明示するほか、以下のような注を付することとする。

「(注)本回答は、照会対象法令(条項)を所管する立場から、照会者から提示された事実のみを前提に、照会対象法令(条項)との関係のみについて、現時点における見解を示すものであり、事実が記載と異なる場合、記載されていない関連事実が存在する場合、関係法令が変更される場合などには、考え方が異なるものとなることもある。また、本回答は、もとより、捜査機関の判断や罰則の適用を含めた司法判断を拘束しうるものではない。」

(4) 回答を行わない事案

課室の長は、以下に掲げる要件に該当する照会に対しては、回答を行わないことができる。この場合において、課室の長は、照会者に対し、遅滞なく、回答を行わない旨及びその理由を通知することとする。

  • マル1判断の基礎となる事実関係に関する情報が不明確である又は不足している照会

  • マル2民間における自主ルール、取り決めに関する照会

  • マル3既に公表されている告示等により法令適用についての考え方が明らかな事案に係る照会

  • マル4既に金融庁のホームページにおいて回答が公表されている照会と同種類似の照会

  • マル5照会者について、法令を執行するための調査等が行われている事案、又は現に法令の執行が行われている事案に係る照会

  • マル6類似の事案が争訟(訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立て及びその他の法令に基づく不服申立て)の対象となっている照会

(5) 照会の取下げ

課室の長は、回答を行うまでの間に照会者から照会の取下げの申出があった場合には、上記3.(1)ないし(3)の規定にかかわらず、当該申出に係る照会に対する回答を行わないものとする。この場合において、下記4.の規定は適用しない。

4.照会及び回答についての公開の方法

照会及び回答の内容は、原則として回答を行ってから30日以内に全て金融庁ホームページに掲載して公開する。

ただし、照会者が、照会書に、回答から一定期間を超えて公開を希望する理由及び公開可能とする時期を付記している場合であって、その理由が合理的であると認められるときは、回答から一定期間を超えてから公開することができる。この場合においては、必ずしも照会者の希望する時期まで公開を延期するものではなく、公開を延期する理由が消滅した場合には、公開する旨を照会者に通知した上で、公開することができる。また、照会及び回答内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年5月14日法律第42号)に定める不開示事由に該当しうる情報が含まれている場合、必要に応じ、これを除いて公表することができる。

5.実施時期

平成13年7月16日より実施する。

(改正)

  • 平成15年7月4日 上記4.改正、実施。
  • 平成16年5月14日 上記3.(3)、(5)改正、実施。
  • 平成17年10月7日 上記2.(3)、3.(1)、(3)、(4)改正、実施。
  • 平成19年7月2日 上記1.(1)、2.(1)、(2)、(3)、(4)、3.(1)、4.改正、実施。
  • 令和3年6月30日 上記2.(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、3.(1)、(2)、(3)改正、実施。

(参考)

  • 別紙様式1(PDFPDFWORDWord
  • 別紙様式2(PDFPDF

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