部 金融庁の組織及び行政運営

章 金融庁の組織

節 金融庁の組織(資料1-1-1~3参照)

I 概要

金融庁は、平成12年7月に、金融再生委員会に置かれていた金融監督庁と大蔵省金融企画局を統合して設置され、さらに、13年1月の中央省庁再編に当たり、金融再生委員会は廃止され、改めて内閣府の外局として設置された。

金融庁には、内閣府設置法第53条第2項の内部部局として、総務企画局、検査局及び監督局の3局のほか、同法第54条の審議会等として、証券取引等監視委員会、公認会計士・監査審査会、金融審議会、自動車損害賠償責任保険審議会、金融機能強化審査会及び企業会計審議会が置かれており、27年度末現在、全体で一般職1,566名及び特別職5名(証券取引等監視委員会の委員長及び委員2名、公認会計士・監査審査会の会長及び常勤委員1名)の体制となっている。

II 特命担当大臣

内閣府設置法第11条により、金融庁の所管する事項及び内閣補助事務たる金融の円滑化を図るための環境の総合的な整備に関する事項については特命担当大臣を必置とし、当該特命担当大臣がこれらの事務を掌理することとされている。

III 所掌事務

金融庁は、金融制度の企画立案から検査・監督・監視の実施機能までを一貫して担うとともに、銀行、保険及び証券等の分野を横断的に所管し、金融行政を一元的に遂行している。

なお、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画立案及びそれに関連する事務は、金融庁と財務省との共管とされたが、財務省が所掌するそれらの事務は、財政、国庫、通貨・外国為替等の観点からのものとされている。

IV 組織編成の特徴

金融庁は、金融システム改革の進展等を踏まえ、従来型の銀行・保険・証券といった縦割り型の組織ではなく、企画・検査・監督・監視といった機能別組織編成を採用している。これにより、制度の企画立案・検査・監督・監視の各部局が相互に適切な緊張関係を確保しつつ、密接な連携を図る組織的基礎が作られている。

節 平成28年度の体制整備(資料1-2-1~2参照)

現下の政策課題に的確に対応すべく、19名(グロス)の増員(5名の純増)並びに審議官(サイバーセキュリティ担当)及び参事官(マクロプルーデンス担当)の設置等の体制整備を図った。

  • 1.「日本再興戦略」の金融面からの推進等〔8人〕

    • コーポレートガバナンスの更なる推進を図るための体制整備

    • 金融分野のサイバーセキュリティ対策に対応するための横断的組織の整備 等

  • 2.金融インフラ・金融サービスが安心して利用されるようにするための体制整備〔6人〕

    • 金融市場のインフラ構築に係る対応のための体制強化

    • 適格機関投資家等特例業務届出者(「プロ向けファンド」)等に対する検査・監督体制の強化 等

  • 3.金融モニタリングの拡充・高度化に向けた対応〔5人〕

    • マクロプルーデンスの視点に立った金融行政を推進するための体制整備 等

【定員の推移】

定員の推移

24年度

25年度

26年度

27年度

28年度

増員 (A)

32

33

25

22

19

定員合理化減等 (B)

▲21

▲34

▲16

▲12

▲14

純増 (A-B)

11

▲1

9

10

5

   

年度末定員

1,548

1,547

1,556

1,566

1,571

章 金融庁の行政運営

節 「金融行政方針」の策定・公表(資料2-1-1参照)

金融庁においては、検査・監督の基本方針を「検査基本方針」(平成25事務年度においては「金融モニタリング基本方針」)や業態毎の「監督方針」として策定・公表してきた。また、平成26事務年度においては、これらを統合した共通の方針として「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」を取りまとめ、公表した。

さらに、27事務年度においては、検査・監督のみならず、金融制度の企画立案や国際連携等を含め、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかについて、27年9月、「平成27事務年度金融行政方針」(以下、「金融行政方針」)として公表した。

「金融行政方針」では、金融を取り巻く環境が急激に変化する中においても、

マル1景気のサイクルに大きく左右されることなく、質の高い金融仲介機能(直接金融・間接金融)が発揮されること、

マル2こうした金融仲介機能の発揮の前提として、将来にわたり金融機関・金融システムの健全性が維持されるとともに、市場の公正性・透明性が確保されること、

を通じ、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大がもたらされることが重要であり、金融庁としては、このような姿の実現を目指し、金融行政を行っていくこととした。

節 財務局との連携

金融庁長官は、法令に基づき、地域の民間金融機関等の検査・監督に係る権限の一部を財務省財務(支)局長に委任しており、委任した権限に係る事務に関しては、金融庁長官が財務(支)局長を直接指揮監督することとなっている。

これを受け、金融庁と財務省財務(支)局との間で十分な連携を図る観点から、金融庁主催の以下の会議を開催しているほか、金融行政に対する理解を得るとともに地域経済の現状や課題等を把握することを主眼として、金融庁幹部等が各地域に赴き、業務説明会を開催し、地域金融機関や中小企業経営者等との間で意見交換を行っている。

  • 1.財務局長会議

    財務(支)局長及び沖縄総合事務局長をメンバーとする会議で、年4回(平成27事務年度は7、10、1、4月)、定例的に開催している。会議には、関東及び近畿財務局金融安定監理官並びに東京財務事務所長もオブザーバーとして参加している。

  • 2.理財部長会議

    財務(支)局理財部長及び沖縄総合事務局財務部長をメンバーとする会議で、年2回(27事務年度は11、3月)、定例的に開催している。

    (上記のほか、必要に応じ、各局等において、財務(支)局の幹部・課長クラス等を対象とした会議等を開催している。)

  • 3.地方における業務説明会

    金融庁幹部等が各地域に赴き、年1回(27事務年度は10~11月)、地域金融機関の役員や中小企業経営者等を対象として、金融庁が取り組んでいる施策等の概要説明を行うほか、意見交換を実施している。

    27事務年度は、「金融行政方針」等について説明を行ったほか、企業経営者や経済団体役員、経営支援の担い手等との間で、地域経済の現状・課題や地域金融機関に対する評価・期待等について意見交換を行った。

節 職員の任用等

I 高度な専門知識を有する職員の確保・育成

高度に専門化するとともに、経済活動・国民生活に多大な影響を与え得る金融行政に的確に対応するためには、高い専門性と幅広い視野を持った多様な職員を確保し、その資質の向上を図ることが必要である。

こうした観点から、以下のとおり、組織として力を発揮できる体制に向けた取組み、金融行政を担う人材の確保と資質向上に係る方針に基づく取組みについて、これまでに整理した中長期的かつ包括的な枠組み・方向性等に基づき、着実に取組みを行った。また、国家公務員法の一部を改正する法律により26年8月から施行された幹部候補育成課程について、当庁における運用を実施した。

  • 1.組織として力を発揮できる体制に向けた取組み

    金融庁職員の基本的な取組姿勢をまとめた「金融庁職員のあり方」について、定期的な人事ヒアリングで管理職から課室職員へ周知・徹底を促したほか、庁内ポータルサイトのトップページに掲載する等、様々な機会を捉えて職員への浸透を図った。

    また、全職員を対象とした組織活性化アンケート調査等を通じて、金融庁の人材育成、職場環境等についての職員の意識把握を行い、課題解決のために出来るものから順次取り組み始めたほか、業務の効率化・職場環境の改善策等について、各課室で議論・策定するとともに、事後的に評価し更なる改善に繋げていくPDCAサイクルによる業務改善を行う仕組みを継続して実施した。

    さらに、「第4次男女共同参画基本計画」(27年12月25日閣議決定)を踏まえ、女性職員の採用・登用、男性職員の育児休業取得率並びに配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇について、数値目標を設定し、28年3月に「金融庁 女性職員活躍と職員のワークライフバランス推進のための取組計画」を改定・公表した。

  • 2.金融行政を担う人材の確保と資質向上に係る方針に基づく取組み

    金融行政を担う人材の確保と資質向上について、幹部クラスで議論を行った上で整理した以下の各項目についての中長期的かつ包括的な方針に基づき人事配置等を行った。

    • )各専門分野における計画的任用

      職員の専門性をより高めるため、職員の希望・適性等を勘案しつつ、各職員を金融行政の各専門分野(銀行・保険・証券・市場・開示及び官房)に振り当てるとともに、各専門分野において特に重要なポストを洗い出し、それらのポストを中心に、各職員の専門分野及び関連分野を軸とした計画的な人事・任用を行った。

      また、能力・実績主義に基づく公平・公正な人事を推進しており、採用形態・年齢等にとらわれず、管理職への登用や課長補佐への早期登用を引き続き行った。

    • )民間専門家の採用・登用等

      高い専門的知識を有する人材を積極的に任用するとの方針に基づき、金融機関をはじめとする民間企業経験者や弁護士・公認会計士などの専門家を、官民人事交流法や任期付職員法を活用して、年間を通じて積極的に採用した。

      また、より適切な人事配置や育成に活用するため、民間専門家の詳細なスキル等の把握に努めるとともに、中期的に金融行政に必要とされる専門知識・スキルを洗い出し、それらを担う人材の採用・育成方針について検討を行い、当該方針に基づき人事・任用を行った。

      【民間専門家の登用状況】
      (単位:人)
       

      27年3月1日現在

      28年3月1日現在

      弁護士

      34

      28

      公認会計士

      59

      63

      不動産鑑定士

      6

      4

      アクチュアリ-

      7

      8

      研究者

      0

      1

      情報処理技術者

      30

      34

      金融実務経験者

      235

      222

         

      371

      360

    • )官民人材交流等の促進

      高い専門性と幅広い視野を持った人材を育成するため、国際機関、海外監督当局、在外公館や、民間企業、地方自治体、大学等への出向等の拡大を図る等の取組みを行った。

      【出向の状況】
      (単位:人)
       

      27年3月1日現在

      28年3月1日現在

      国際機関、海外監督当局、在外公館等

      25

      25

      民間企業等

      13

      17

      地方自治体

      2

      3

      大学教授

      2

      2

         

      42

      47

      (国内新規派遣先)東急不動産(株)、有限責任監査法人トーマツ、(株)日本人材機構、南さつま市

    • )職員の国際面での対応力強化

      金融行政を遂行していく上で、職員の国際面での対応力の向上が必要であることから、国際機関等への出向や海外の大学院への留学を積極的に行うとともに、職員の国際面での対応力を更に強化するため、マル1海外留学経験者については、帰国後概ね5年以内を目途に国際機関等への出向を行うこととし、そのための出向先の拡大を図る、マル2「国際人材育成コース(通信研修)」の新設、マル3国際会議への随行や海外セミナーへの出席などにより経験を積ませる等の取組みを実施した。

    • )大学院への留学等

      職員に専門知識を習得させ、専門的見地からの分析能力等を有する者を養成するため、また、海外監督当局等とのコミュニケーション能力を向上させ、国際化する行政に対応し得る者等を養成するため、国内外の大学院に職員の派遣を行っており、引き続き海外大学への客員研究員の派遣も行った。

      【大学院への留学等の状況】
      (単位:人)
       

      26年度

      27年度

      国内大学院(法科、会計、IT、金融等)

      8

      7

      海外大学・大学院(法科、MBA等)

      18

      19

         

      26

      26

  • 3.幹部候補育成課程に基づく職員の育成

    将来において幹部職員の候補となり得る管理職員としての職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するため、国家公務員法及び当庁の実施規程等に基づき、幹部候補育成課程の対象者を選定し、多様な勤務経験の機会の付与や、育成課程対象者向けの研修を実施する等、課程の運用に取り組んだ。

II 服務規律の確保

職員の綱紀の保持については、以下のような取組みを行い、その周知徹底を図っている。

)非違行為等発生時の報告及び法令等の遵守について、全職員に周知した(27年12月、28年6月)。

)全職員を対象に、倫理監督官(長官)が、金融庁職員としての心構えやその考え方などについて、講話を実施した(27年10月)。

)全職員を対象に、具体的事例を用いた倫理・服務・セクハラ研修を実施した(全17回)。

(27事務年度における懲戒処分等の件数)

懲戒処分

矯正措置

1件

3件

III 法令等遵守調査室における情報受付

金融庁職員の法令遵守に万全を期し、金融行政の透明性、公正性を担保する観点から、15年6月13日に法律の専門家4名により構成される「コンプライアンス対応室」を設置し、情報の受付を始めるとともに、同室顧問である久保利弁護士が郵便により直接情報を受け付ける、いわゆる「ヘルプライン」としての窓口も別途設けた。

公益通報保護法(平成16年法律第122号)の施行(18年4月1日)等に伴い、同室の機能の拡充・強化を図り、外部の労働者からの公益通報を適切に処理する一環として、同室に「外部労働者からの公益通報を受付ける窓口」を設置した。なお、これらの体制整備に合わせ、名称を「法令等遵守調査室」に変更した。

○法令等遵守調査室のメンバー(28年6月1日現在)

室長 田中 豊 (総務企画局参事)
  石田 哲也 (検査局総務課)
  大井 修平 (監督局証券課)
  大村 由紀子 (監督局保険課)
  小川 惠輔 (総務企画局企業開示課)
  君島 直之 (審判官)
  久保庭 幸之介 (検査局総務課)
  髙橋 瑛輝 (監督局総務課)
  船越 涼介 (総務企画局市場課)
顧問 久保利 英明 (総務企画局参事)

節 研究

I 金融庁における研究

金融庁内での先端的な金融理論・金融技術等に関する知識を蓄積することを目的として、平成13年7月、研究開発室及び研究官を設置。同時に金融庁における研究と研修を効果的に連携させるため、これらと開発研修室を束ねる、金融研究研修センターを発足させた。22年9月からは、研究機能強化の一環及び海外における地位向上を目的として、名称を金融研究センター(以下「センター」という。)、英語名Financial Services Agency Institute(略称:FSA Institute)へ変更した。

センターの研究部門では、金融行政の適切な運営を学術面から支援していくため、民間有識者やアカデミズムと相互交流を行い、庁内の関係部局と学術研究との架け橋となるよう、金融行政の理論的基盤をなす質の高い調査研究を行うとともに、金融行政現場への研究の還元・普及に努めている。

II 金融行政の参考となる調査研究の実施

センターでは、庁内各部局の要望に基づいた調査・研究・分析を行っており、その実施にあたっては、「研究」と「行政」の橋渡し役を任命するリエゾン制度を活用している。

28年6月末現在における研究官・特別研究員については、資料2-4-1参照。

27事務年度におけるセンターでの主な調査・研究・分析には、「銀行勘定の金利リスク管理モデル-修正期間収益アプローチと経済価値アプローチの比較-」、「諸外国における市場構造とHFTを巡る規制動向」等がある。前者については、銀行における銀行勘定の金利リスク管理の手法として、期間収益アプローチと経済価値アプローチの関係について分析し、銀行勘定の特性を十分に反映させるためには経済価値だけでなく期間収益もあわせて管理する必要があることを示した。後者では、HFTが有する特徴や取引戦略の基礎等を概説した上で、証券市場が抱える市場構造の課題のHFTへの作用、及び諸外国における規制動向等を紹介している。

27事務年度の調査研究の成果は、計6本の研究成果報告書としてまとめ、ウェブサイト上にセンター・ディスカッションペーパー(以下「DP」という。)として公表した。なお、各DPの公表に先立ち、庁内関係者の出席を得て、研究成果の発表と検討を行う研究成果報告会を開催することで、庁内へのフィードバックを行った。

27事務年度に取りまとめたDPについては、資料2-4-2参照。

III 産・官・学の連携強化

  • 1.シンポジウムの開催(資料2-4-3参照)

    諸外国の金融法制・規制の比較・分析の一環として、また、各国の研究者、政府関係者、実務家等とのネットワーク強化を目的として、望ましい金融規制・監督のあり方等をテーマに、シンポジウム等を開催している。

    27年度は、28年5月に、神戸大学大学院経営学研究科、大阪大学社会経済研究所、京都大学経済研究所及びアジア開発銀行研究所(ADBI)との共催により、金融庁金融研究センター・グローバル金融連携センター主催シンポジウム「日本及びアジアにおける地方創生に貢献する金融業のあり方」を開催し、日本における地方創生に関する取組みを、間接金融部門・直接金融部門それぞれの観点から議論するとともに、アジアにおける地域金融について主に金融包摂の観点から議論を行った。本シンポジウムでは、金融機関関係者、公的機関関係者、研究者等、産・官・学から131名の参加者を得て、活発な議論がなされた。

  • 2.研究会等の開催

    主に中堅・若手研究者が金融に関する最先端の研究内容を発表し、また庁内の中堅・若手職員が金融行政の実務を説明し、その両者の議論を通じて、金融行政・アカデミズムの両方に必要な新たな視点・論点を探求することを目的とする「金融経済学勉強会」を、大学等研究機関に所属する研究者及び庁内職員の参加を得て開催している。27事務年度は合計8回開催した。

  • 3.昼休み勉強会(金曜ランチョン)の開催(資料2-4-4参照)

    様々な分野において専門的知見を持つ外部講師を招き、主に金融・経済等の研究・実務の最前線に当たる内容をテーマにした勉強会を開催している。27事務年度は合計30回開催した。

節 研修

I 金融庁における研修

「我が国の金融機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑化を図る」という金融庁任務の的確な遂行に資するため、職員に対する研修の充実を図っている。

金融行政は、極めて高い専門性が求められる分野であり、金融技術の進展や市場の動向に的確に対応し、金融行政の質を高めていくためには、職員の一層の資質の向上を図ることが重要である。

こうした観点から、多様なバックグラウンドを有する職員がそれぞれの専門性と資質に、さらに磨きをかけられるように人材の育成に努めている。

II 研修の実績

  • 1.概要

    研修体系は、一般研修・実務研修・通信研修の3区分で構成される。

    なお、一部の研修については、財務(支)局等の職員も受講することから、財務省との共同研修を開催している。

  • 2.平成27年度の研修方針及び研修計画(資料2-5-1参照)

    • )27年度の研修についても、職員の専門能力の向上、業務に必要な知識・スキルの習得に資する研修の充実を図ることを、基本的な方針とした。

    • )27年度の研修計画については、計81コースの研修を計画した。研修計画の策定に当たっては、実務研修について、業務に合わせた研修スケジュールの弾力化を図るほか、引続き受講科目を選択できるような仕組みとするなど、研修生がより参加しやすい環境とした。また、金融実務にかかる専門的な分野については、受講機会の拡大や研修内容の充実・強化を図った。

  • 3.27事務年度の研修実施状況(資料2-5-2参照)

    • )概況

      職員の資質の向上を図るため、金融実務にかかる専門的な研修を充実させることに注力しつつ、概ね研修計画のとおり実施した。

    • )研修区分ごとの研修実施状況

      • 一般研修

        金融の一層のグローバル化に対応するため、実践的な語学力の維持・向上等を目的とした「英語研修」、「中国語研修」を実施したほか、世界経済の全体像を理解した上で金融庁の政策(金融行政)がどのように関係しているかを理解することを目的とした「グローバル経済と金融行政研修」などを実施した。

      • 実務研修

        金融庁の業務に必要な専門的知識、技能の習得及び向上を目的として実施する実務研修については、会計制度にかかる基礎及び専門的知識の付与を目的とした「企業会計実務研修」や、先端金融商品にかかる基礎及び専門的知識の付与を目的とした「先端金融商品研修」などを実施した。

        また、金融モニタリングの基礎となる銀行業務を理解するため、銀行の内情や実例等を踏まえた基礎的な知識を付与することを目的とした「銀行業務研修」を新たに実施した。

      • 通信研修

        通信教材等を用いて習得させる研修として、IT・セキュリティ人材の育成に向け、職員のITに関する知識向上を目的とした「IT研修」や、職員のグローバルな観点でのスキル向上を目的とした「国際人材育成研修」などを実施した。

    • )検査局に所属する職員を対象とした研修の特徴的な取組み

      検査局では、所属する職員に対して、資料2-5-2に記載した金融検査課程研修の機会を活用し、金融モニタリング等の実施に際し必要な知識・スキルの習得に関する研修を実施した。また、各モニタリングチーム主催による専門研修や、外部団体が主催する研修会等への職員の派遣、さらに組織マネジメントスキル向上等に関する研修等を実施した。

      • 各モニタリングチーム主催による専門研修

        各モニタリングチームでは、各モニタリングチームの業務内容に見合った専門人材の継続的育成を図るため、専門性を高める研修メニューを企画・立案し、研修会や勉強会等を実施した。

      • 外部団体が主催する研修会等への職員の派遣

        各モニタリングチームでは、ベストプラクティスや業態毎のベンチマーク等についての知見を蓄積・充実させるため、外部団体が主催する研修会等へ職員を派遣した。

      • 組織マネジメントスキル向上等に関する研修等の実施

        各階層に応じた組織マネジメントスキル向上等に関する研修を実施しているほか、自立的・主体的な職員の育成を図るため、職員の意識改革や成長のきっかけを提供するような研修を実施した。

節 行政情報化の推進

I 概要

「世界最先端IT国家創造宣言」(平成28年5月20日閣議決定)では、今後5年程度の期間(平成32年まで)に安全・安心・快適な国民生活を実現することを目標に、国・地方の行政情報システム改革と成果の横展開や、国全体のデータ流通環境の整備などに取り組むこととしている。

金融庁においても、情報化統括責任者(CIO:Chief Information Officer)、専門的な知識を有するCIO補佐官等を構成員とする金融庁PMOの統括のもと、以下の取組みを行っている。

マル1IT化に対応した業務の最適化、コスト削減への取組み

マル2情報セキュリティ対策の推進

マル3オンライン手続の利用促進

マル4IT人材育成の推進

II 取組み実績

  • 1.IT化に対応した業務の最適化、コスト削減への取組み

    • )「業務・システム最適化計画」による減量・効率化等の取組み

      効率化・合理化などの効果が見込まれる業務・情報システム分野において、「業務・システム最適化計画」を策定し、減量・効率化等の取組みを進めているところである。

      No.

      最適化計画

      効果測定時期

      金融検査及び監督並びに証券取引等監視等業務に関する業務・システム最適化計画

      27年度

      有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画

      26年度

      金融庁ネットワーク(共通システム)最適化計画

      26年度

      各最適化計画の27事務年度の実施状況については、次のとおりである。

      マル1No.1に関しては、システムの安定運用を行い、最適化による効果が得られた。

      マル2No.2に関しては、システムの安定運用を行い、最適化による効果が得られた。

      マル3No.3に関しては、システムの安定運用を行い、最適化による効果が得られた。

    • )情報システム調達の適正化

      情報システムの調達にあたっては、その仕様及びコストの妥当性等を十分に検証することが重要である。

      そのため、情報化統括責任者(CIO)である総括審議官、各局総務課長及びCIO補佐官等をメンバーとする「情報システム調達会議」において、政府調達に該当する情報システム調達案件について、マル1システムの仕様が使途・目的に照らして適切なものとなっているか、マル2調達予定価格が過去のSE単価や工数などの実績に照らして適切なものとなっているかを審議するなど、適正な情報システムの調達に取り組んでいる。

    • )コスト削減への取組み

      「政府情報システム改革ロードマップ」に基づき、金融庁においても、情報システムの統廃合や政府共通プラットフォームへの移行に取り組んでいる。また、一定条件の調達案件については、情報システム投資計画書を策定のうえ、投資による効果を明らかにし、予算執行過程における適切な目標管理に取り組んでいる。

  • 2.情報セキュリティ対策の推進

    最近の政府機関等を対象としたサイバー攻撃等による情報漏えい事案等の発生を踏まえ、金融庁においては、27事務年度では、以下のような情報セキュリティ対策を実施した。

    • )職員の情報セキュリティ対策水準の向上

      全職員に対して、情報セキュリティに関する知識を習得するための研修を実施したほか、職員が標的型メール攻撃に対して適切に対応できるか、不審メール訓練を実施するなど、セキュリティ意識の向上を図った。その他、情報セキュリティ対策の実施状況について点検を実施した。

    • )技術的情報セキュリティ対策の強化

      金融庁の情報システムを対象に、高度サイバー攻撃対処のためのシステムリスク評価及び情報セキュリティ監査を行い、監査結果を踏まえた対策を実施した。

      また、昨今のウェブサイトシステムへの攻撃を踏まえ、改めて、セキュリティに係るリスクを網羅的に把握・評価し、多様なサイバー攻撃に対する技術的な対策の多層化及び多重化に取り組んでいる。

    • )金融庁情報セキュリティポリシー等の改定

      政府機関が準拠する共通基準の「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」に準じて金融庁情報セキュリティポリシー関連規則等を整備し、その運用の徹底を図った。

    • )緊急対応体制の強化

      情報システムのセキュリティに関する脅威が発生した際の対応体制を強化するため、金融庁CSIRT(Computer Security Incidents Response Team:情報セキュリティ事案に関する緊急時対応の機能を有した専門的な部隊)のメンバーが内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)のサイバー攻撃への対策に関する訓練に参加し、CYMAT(Cyber Incident Mobile Assistant Team:情報セキュリティ緊急支援チーム)の研修員が、NISCの情報セキュリティに関する研修に参加した。

  • 3.オンライン手続の利用促進

    • )オンライン手続の利便性向上に向けた改善

      「オンライン手続の利便性向上に向けた改善方針」(平成26年4月1日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づき、改善促進手続(公認会計士試験受験願書の提出、公認会計士試験免除申請書の提出の2手続)の利便性向上に向け、「改善取組計画」を改定した。

    • )オンライン申請・届出等の利用状況

      金融庁における近年のオンラインによる申請・届出等手続件数は下表のとおり。

      (参考 オンラインによる申請・届出等手続件数)
      (単位:件)
       

      24年度

      25年度

      26年度

      オンライン申請・届出等手続件数

      1,315,200

      1,450,662

      1,456,437

      ※27年度の申請・届出等手続件数は、28年度中に公表予定。

  • 4.IT人材育成の推進

    金融行政を遂行するうえでIT知識を身につけることが必要と認識し、新入職員及び受講希望の職員を対象に「IT基礎知識研修」を開催しており、受講者にはITパスポート試験の受験を推奨しているほか、全職員を対象に、総務省主催の情報システム統一研修への参加を推奨した。

    また、情報システムの専門知識を習得させることを目的として、継続的に職員をIT大学院のほか、NISC等に派遣した。

節 報道・広報

I 報道対応

  • 1.報道発表及び記者会見等の実施

    毎週2回の閣議後に実施している大臣記者会見(83回)に加えて、重要な報道発表時に実施している記者向け説明(29回)を開催し、当庁の施策・考え方を積極的に発信・説明する機会の充実に取り組んだ(報道発表件数:448件)。

II 広報活動

  • 1.金融庁ウェブサイト等による広報の充実(資料2-7-1参照)

    国民にとって特に重要と考えられる施策、あるいは関心が高い施策については、金融庁ウェブサイトへの特設サイトの設置による施策の周知・注意喚起などの取組みを行っている。

    平成27事務年度は、NISA(少額投資非課税制度)について、制度のさらなる普及・定着と金融リテラシー向上のための取組みの1つとして、28年5月、NISA特設ウェブサイトを開設したほか、政府広報の活用、マスコミからの取材対応を積極的に行った。

    また、平成28年熊本地震においては、被災者に有益と思われる情報を掲載するための特設サイト「平成28年熊本地震関連情報」を立ち上げた。

    このほか、27年11月には、政務三役が地域に赴き、重要政策について説明し、現場の方々と意見交換する「車座ふるさとトーク」を実施した。

  • 2.海外に対する情報発信の強化

    英語版ウェブサイトについて、英語で発信すべき情報等を検討し、コンテンツの充実を図ったほか、タイムリーな情報発信を目的として、一週間の日本語での新着情報(報道発表)の概要を英訳した「FSA Weekly Review」を週1回発行するとともに、サイバーセキュリティなどの海外からも関心が高い公表物については、ウェブサイトのトップページに常時掲載するなどの取組みを行った。

  • 3.政府広報の活用(資料2-7-2参照)

    金融行政に係る広報を限られた予算の中で他省庁とも連携しつつ効率的・効果的に行うため、金融庁所管の各種施策を政府の重要施策として、資料2-7-2のとおり、政府広報各種媒体で取り上げ、広く国民への理解浸透に努めている。

節 情報公開等

I 開示請求の動向

  • 1.行政文書の開示

    • )開示請求の受付状況

      行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号、13年4月1日施行)に基づく、27年度の開示請求の受付件数は135件となっている。

    • )主な開示請求

      開示請求の主な内容は、以下のとおりである。

      マル1行政処分等に関する文書

      マル2金融機関等所管する法人に関する文書

      マル3調査・検査先に関する文書

      開示請求の受付及び処理状況(27年度)

      部局

      前年度
      繰越

      開示請求
      の受付

      開示決定等

      請求の
      取下げ

      翌年度
      繰越

      開示決定

      不開示
      決定

      全面
      開示

      一部
      開示

      小計

      総務企画局

      2

      31

      10

      14

      24

      2

      6

      1

      検査局

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      監督局

      7

      76

      3

      69

      72

      7

      2

      2

      小計

      9

      107

      13

      83

      96

      9

      8

      3

      証券取引等監視委員会

      0

      21

      5

      6

      11

      8

      0

      2

      公認会計士・監査審査会

      0

      7

      0

      0

      0

      0

      7

      0

         

      合計

      9

      135

      18

      89

      107

      17

      15

      5

      (注)本表は、27年4月から28年3月末までの計数を取りまとめたものである。

      (注)「翌年度繰越」5件については、28年6月末までに全て開示決定等済。

      (注)27年度における6月末までの開示請求の受付件数は41件である。

      ※うち35件は6月末までに開示決定等済。

    • )不服申立等

      平成27年度における不服申立受理件数は1件、前年度繰越分と併せて2件について、同年度中に情報公開・個人情報保護審査会に対して諮問を行っている。

      また、平成27年度における当庁事案に係る情報公開・個人情報保護審査会の答申は6件(全て前年度以前からの繰越事案)。うち、5件については、同年度中に裁決・決定を行っている。

  • 2.行政機関の保有する個人情報の開示

    • )開示請求の受付状況

      行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号、17年4月1日施行)に基づく、27年度の開示請求の受付件数は1,017件となっている。

    • )主な本人情報の開示請求

      主な開示請求の内容は、以下のとおりである。

      マル1公認会計士試験における請求者本人の点数、請求者の会計士試験の答案

      マル2請求者本人の個別金融機関に対する申立ての応接記録等

      開示請求の受付及び処理状況(27年度)

      部局

      前年度
      繰越

      開示請求
      の受付

      開示決定等

      請求の
      取下げ

      翌年度
      繰越

      開示決定

      不開示
      決定

      全面
      開示

      一部
      開示

      小計

      総務企画局

      0

      25

      4

      3

      7

      0

      0

      18

      検査局

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      監督局

      1

      16

      3

      11

      14

      0

      0

      3

      小計

      1

      41

      7

      14

      21

      0

      0

      21

      証券取引等監視委員会

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      0

      公認会計士・監査審査会

      1

      976

      970

      0

      970

      0

      0

      7

         

      合計

      2

      1017

      977

      14

      991

      0

      0

      28

      (注)本表は、27年4月から28年3月末までの計数を取りまとめたものである。

      (注)「翌年度繰越」28件については、28年6月末までに全て開示決定等済。

      (注)27年度における6月末の開示請求の受付件数は29件である。

      ※うち27件は6月末までに開示決定等済。

    • )不服申立等

      平成27年度における不服申立受理件数は5件となっており、うち4件は同年度中に情報公開・個人情報保護審査会に対して諮問を行い、1件は取下げられている。平成27年度における当庁事案に係る情報公開・個人情報保護審査会の答申は2件であり、同年度中に裁決・決定を行っている。

II 文書管理等の状況

  • 1.内部管理体制

    • )研修

      非常勤職員を含めた全職員を対象として、情報管理研修を実施(合計14回)。

    • )自主点検・内部監査

      行政文書の管理状況等について、27年10月~11月に自主点検を実施。

      また、自主点検後、27年12月~28年1月にかけて監査を実施。

      さらに、28年5月にフォローアップ監査を実施。

  • 2.文書管理の状況

    • )概要

      金融庁においては、1.内部管理体制に示したとおり、研修や自主点検・監査を通じて、保有する情報の管理徹底に努めている。

      しかしながら、27事務年度(27年7月~28年6月)において、保有する情報について、取扱いが不適切であると認められる事例が8件発生した(メール誤送信、ファックスの誤送付、行政文書の紛失など)。

      ただし、誤送信は相手方にメール削除を依頼し、対応いただいており、誤送付は文書を後日回収している。行政文書の紛失についても、外部に漏えいした可能性は極めて低く、いずれも2次被害は確認されていない。

    • )再発防止策

      発生原因を踏まえた上で、主に以下の再発防止策を講じている。

      マル1庁外へのメール送信時に確認画面を表示し、より詳細な条件で注意喚起を行う機能の導入・職員への周知徹底

      マル2情報管理研修の事務年度早期の受講の励行

      ⇒文書管理・情報管理の重要性を認識させるため、可能な限り全職員が夏季期間中に研修を受講するよう、励行する。

節 金融機関等との意見交換

金融機関等との率直な意見交換は、金融機関等から見た行政対応の予測可能性の向上に資するだけでなく、当局にとっても、市場や金融セクターの動向を迅速に把握する上で重要と考えている。このため、金融機関等の業態毎に幹部レベルでの意見交換会を随時実施して、金融機関等との意思疎通に努めている。

(参考)金融機関等との意見交換会の開催実績(平成27年7月~28年6月)

主要行

地方銀行

第二地方銀行

信用金庫

10回

11回

11回

4回

労働金庫

信用組合

生命保険会社

損害保険会社

4回

3回

5回

5回

証券会社

投資信託会社

投資顧問業者

金融先物取引業者

4回

2回

2回

1回

信託

外資系事業者団体

貸金業者

 

4回

1回

2回

 

第10節 パブリック・コメント手続の実績(資料2-10-1参照)

行政手続法において、行政運営の更なる公正の確保と透明性の向上を図る観点から、政省令などの命令等を定める際に、原則として最低30日以上の意見提出期間を置き、広く一般の意見や情報の公募を行う意見公募手続(いわゆるパブリック・コメント手続)が義務付けられている。

当庁においては、27年7月から28年6月末までの1年間に、行政手続法を踏まえ、同法に基づく意見公募手続32件のほか、任意の意見公募手続1件、計33件について、幅広く意見・情報の募集を行った。

第11節 金融行政アドバイザリー制度

I 制度の概要

金融行政アドバイザリー制度は、国民から広く金融行政に関する意見や反響を的確に収集・把握することにより、金融行政の企画・立案及び事務運営の改善に役立て、金融行政サービスの一層の向上を図るとともに、国民に対して積極的な情報提供を行うことにより、金融行政に対する国民の理解の向上を図ることを目的としている。

具体的業務は、各財務(支)局に5名配置された金融行政アドバイザリーがマル1金融行政に関する意見等を報告するほか、マル2金融行政に関する広報に参画することである。

(参考)金融行政アドバイザリーの委嘱状況

委嘱者数は各財務(支)局5名、合計55名。内訳は次のとおり。

マル1 金融機関の利用者(中小企業経営者等) 15名
マル2 商工会議所の経営相談員、中小企業診断士、税理士、公認会計士等 18名
マル3 消費者団体職員、地方公共団体(消費者相談窓口担当)の職員等 5名
マル4 大学教授等の教育関係者、コンサルタント、ファイナンシャルプランナー等 17名

(参考)金融行政アドバイザリーの選定基準

マル1金融機関等の利用者や商工会議所等の経営相談員等で、金融行政に関心を持ち公平かつ率直に意見等を報告できる者、及び金融知識の普及活動、金融経済教育、利用者保護策等に素養のある者。

マル2財務(支)局管轄内に住所または勤務先のいずれかを有する者。

II 平成27事務年度における取組み

  • 1.金融行政に関する意見等を報告

    27年7月~28年6月、財務(支)局において「金融行政アドバイザリー連絡会議」を開催し、アドバイザリーから金融行政に関するご意見を頂いた。

    寄せられたご意見等は、今後の金融行政の企画・立案及び事務運営の改善のための貴重な材料として役立てるほか、検査・監督の実務において重要な情報として活用することとしている。

  • 2.金融行政に関する広報に参画

    財務(支)局が開催する地域密着型金融に関するシンポジウムにパネリストとして参加頂いているほか、アドバイザリーが参加する各種会合において金融行政に関する説明等を行って頂いている。

第12節 金融行政モニター制度

I 制度の概要(資料2-12-1参照)

金融庁では、金融行政に対する外部からの提案や批判等を取り入れるため、これまでも様々な手法により金融機関や一般の方々から、金融行政に関するご意見等を伺ってきたが、金融機関などからは、聴き手が金融庁職員であることにより、必ずしも率直な意見等を言うことは難しいとの指摘もあった。

このような点に鑑み、金融庁職員ではなく中立的な第三者である外部専門家が直接にご意見・ご提言・ご批判などを伺う「金融行政モニター受付窓口」を設置し、平成28年1月29日より運用を開始した。

また、引き続き、金融庁に対して直接ご意見等を伺うための「金融行政ご意見受付窓口」も設置した。

こうした窓口を通じて、外部からのご意見・ご提言・ご批判などを受けることによって、よりよい金融行政の遂行を目指している。

II 提出された意見等の公表(資料2-12-2参照)

金融行政モニター制度の実効性・透明性を図る観点から、運用開始(28年1月29日)から28年2月29日までに「金融行政モニター受付窓口」に寄せられた主なご意見等の概要及び金融庁の対応を金融庁ウェブサイトにおいて公表した。

同期間に、「金融行政モニター受付窓口」に寄せられた意見等は7件、「金融行政ご意見受付窓口」に寄せられた意見等は47件となっている。

第13節 金融サービス利用者相談室

I 概要(資料2-13-1参照)

金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ウェブサイト・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する「金融サービス利用者相談室」を開設している。

当相談室は、金融サービス利用者の利便性向上の観点から、主として以下の役割を担うこととしている。

  • 1.金融サービスに関する利用者からの金融庁への質問・相談・意見等に、消費者相談のノウハウや金融の専門的知識を有する金融サービス相談員を配置し、一元的に対応する。

  • 2.「事前相談(予防的なガイド)」窓口において、金融サービス利用に伴うトラブルの発生の未然防止などに向けた事前相談の提供を行う。

  • 3.金融機関と利用者の間の個別取引に係るあっせん・仲介・調停は行わず、業界団体等の紹介や論点整理等のアドバイスを行う。

  • 4.相談内容・対応状況等は体系的に記録・保管するとともに、関係部局に回付し、企画立案・検査・監督等において活用する。

  • 5.相談件数や主な相談事例等のポイント等について、当庁ウェブサイトで四半期毎に公表する。

II 相談等の受付状況(資料2-13-2参照)

平成27年4月1日から28年3月31日までの間に受け付けた相談等の状況は、以下のとおりとなっている。

  • 1.総受付件数は35,843件となっている。1日当たりの平均受付件数は148件となっており26年度(161件)に比べて減少している。そのうち、事前相談の受付件数は1,195件となっている。

  • 2.分野別では、預金・融資等が10,868件(30%)、保険商品等が10,465件(29%)、投資商品等が9,969件(28%)、貸金等が3,298件(9%)、金融行政一般・その他が1,243件(3%)となっている。

    分野別の事前相談の受付件数は、預金・融資等が141件(12%)、保険商品等が7件(1%)、投資商品等が861件(72%)、貸金等が177件(15%)、金融行政一般・その他が9件となっている。

  • 3.各分野の特徴は、以下のとおりとなっている。

    • )預金・融資等については、行政に対する要望等が減少したことなどから、受付件数は26年度(11,574件)に比べてやや減少している。

    • )保険商品等については、個別取引・契約の結果に関する相談等が増加したことなどから、受付件数は26年度(12,178件)に比べて減少している。

    • )投資商品等については、一般的な照会・質問に関する相談等が減少したことなどから、受付件数は26年度(10,209件)に比べてやや減少している。このうち、詐欺的な投資勧誘に関する情報は1,813件あり、そのうち940件が何らかの被害があったものである。

    • )貸金等については、行政に対する要望等が増加したことなどから、受付件数は26年度(3,654件)に比べてやや減少している。

  • 4.寄せられた相談等のうち利用者に注意喚起する必要があるものについては、ウェブサイト上に掲載している「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として紹介している。

    (参考)「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等

    27年日~月30日 ・・・ 27年月31日公表(第40回)

    27年日~月30日 ・・・ 27年10月30日公表(第41回)

    27年10月日~12月31日 ・・・ 28年月29日公表(第42回)

    28年日~月31日 ・・・ 28年月28日公表(第43回)

III その他の活動状況

  • 1.地域住民を対象に、仙台市、さいたま市、名古屋市、大阪市、広島市の計5箇所で開催した「金融トラブルから身を守るためのシンポジウム」において、講演及び会場での出張相談会を開催。また、27年10月からは、総務省関東行政評価局が常設している「東京総合行政相談所」への参加を決定し、定期的(月1回(常設)及び特例相談日)に出張相談会を開設している。

  • 2.28年4月14日に発生した「熊本地震」への対応として、被災者等からの各種金融機関の窓口の問い合せや金融機関等との取引に関する相談等への対応のためのフリーダイヤルによる「平成28年熊本地震金融庁相談ダイヤル」を開設し、被災者等からの相談対応を実施している。

第14節 政策評価への取組み(資料2-14-1~3参照)

金融庁においては、平成14年4月施行の「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づき、

マル1金融庁としての政策評価の実施に関する方針などを規定した「金融庁における政策評価に関する基本計画」(計画期間:5ヵ年)

マル2毎年度の評価対象とする政策などを定めた「金融庁政策評価実施計画」(計画期間:4月~翌年3月)

を策定し、毎年「金融庁政策評価実施計画」の計画期間終了後に評価を実施している。

現在、「金融庁における政策評価に関する基本計画」については、24年4月から29年3月を計画期間とし、「基本政策」及び「施策」の体系、基本計画を実施するに当たって全ての政策及び施策に共通する考え方や姿勢を明らかにするため、「「金融庁における政策評価に関する基本計画」の考え方」を示している。

また、計画の策定や評価書の作成に当たっては、客観性の確保、多様な意見の反映等を図るため、政策評価や金融庁所管の政策について知見を有する学識経験者をメンバーとする「政策評価に関する有識者会議」を開催し、意見を頂いている。

このほか、上記法律に基づき、これまでに実施した実績評価等について、政策評価結果の政策への反映状況についても毎年度公表している。

※金融庁における政策評価の詳細に関しては、金融庁のウェブサイト「公表物」中の「政策評価」を参照。

なお、24年度までは、3~5月頃に新年度の実施計画を定め、8月頃に前年度の評価を実施していたが、PDCAサイクルを有効に機能させるため、25年度からは、5~6月に前年度の実績評価を実施すると共に、その評価を踏まえた上で、新年度の実施計画を策定している。

また、25年度には、総務省の主導により「目標管理型の政策評価の実施に関するガイドライン」(平成25年12月20日政策評価各府省連絡会議了承)が改正され、各府省で区々だった評価区分の共通化が図られた。金融庁もこれに従い、25年度実績評価から、従来3段階の区分で評価していたものを、各府省共通の5段階区分で評価を実施することとした。

(参考)「金融庁における政策評価に関する基本計画」の考え方

  • 1.今回、平成24年4月から5年間にわたる基本計画を策定するにあたって、以下の3つの基本政策を定めることとした。

    • )経済成長の礎となる金融システムの安定

    • )利用者の視点に立った金融サービスの質の向上

    • )公正・透明で活力ある市場の構築

  • 2.金融行政が目指すのは、これらの基本政策の追求により金融仲介機能が十全に発揮されること、すなわち、

    ○顧客に対し、顧客のニーズを踏まえた資金が円滑に供給されるとともに、

    ○顧客の実態に応じ、資金調達において、成長・発展に向けた最適な解決策が提供され、

    ○顧客の将来の成長可能性を踏まえた適切なリスクテイクが行われること、

    を通じて、経済の持続的成長と国民生活の安定に貢献していくことである。

  • 3.それぞれの基本政策の下に位置づけられる施策の策定・実施に際しては、

    ○「金融システムの健全性確保」と「金融の円滑化」

    ○「利用者の保護」と「利用者利便の向上」

    ○「市場の公正性・透明性の確保」と「市場の活性化」

    の要請を両立させることを目指していく。

  • 4.具体的な施策の実施に際しては、

    ○金融システムの安定性確保や利用者保護等をおびやかすリスクを早期に把握し、それに適切に対応するなど、リスク感応度の高い行政を目指す。

    ○中長期的な経済社会の構造変化も見据え、金融機関の活動や市場の働きが、国民の資産の適切な運用、資金需要者の発展、資金の流れの改善等につながっていくことを目指す。

    ○質の高い金融仲介機能の発揮に向けた金融機関等の自主的な努力を尊重するとともに、金融機関等の活動が、経済や国民の観点からみて、より信頼され、満足度の高いものとなるよう促す。

  • 5.これらの施策を進めるため、金融庁としては、国民の立場に立ち、金融行政の専門性・先見性の向上に努めるとともに、限られた行政資源を上記の目標に照らし重要性の高い分野に使い、より効率的・効果的な行政を目指す。

(参考 )評価の実施状況

年度

実績評価

事前事業評価

事後事業評価

総合評価

規制の事前評価(RIA)

租税特別措置等に係る政策評価

14年度

26件
(13年度計画に掲げた政策)

   

15年度

27件
(14年度計画に掲げた政策)

6件

   

16年度

36件
(15年度計画に掲げた政策)

5件

   

17年度

43件
(16年度計画に掲げた政策)

7件

1件

   

18年度

28件
(17年度計画に掲げた政策)

4件

5件

   

19年度

26件
(18年度計画に掲げた政策)

3件

3件

11件

 

20年度

25件
(19年度計画に掲げた政策)

1件

6件

1件

23件

 

21年度

24件
(20年度計画に掲げた政策)

1件

4件

25件

 

22年度

24件
(21年度計画に掲げた政策)

3件

19件

7件

23年度

24件
(22年度計画に掲げた政策)

2件

15件

7件

24年度

24件
(23年度計画に掲げた政策)

1件

2件

6件

9件

25年度

20件
(24年度計画に掲げた政策)

1件

31件

9件

26年度

20件
(25年度計画に掲げた政策)

6件

8件

27年度

20件
(26年度計画に掲げた政策)

2件

20件

10件

28年度

20件
(27年度計画に掲げた政策)

1件

(注)28年度については、平成28年4月1日から同年6月30日までの間に実施したものを記載。

(備考)

○実績評価:行政の幅広い分野において、あらかじめ達成すべき目標を設定し、それに対する実績を測定しその達成度を評価するもの。(例:金融機関の健全性確保)

○事業評価:事前の時点で評価を行い、あらかじめ期待される効果やそれらに要する費用などを分析・検討。また、必要に応じ、途中や事後の時点で検証するもの。(例:金融庁業務支援統合システムの開発)

○総合評価:特定のテーマを設定し、様々な角度から掘り下げて総合的に評価するもの。(例:「金融システム改革(日本版ビッグバン)」)

○規制の事前評価(RIA:Regulatory Impact Analysis):規制の導入や修正に際し、実施に当たって想定されるコストや便益といった影響を客観的に分析し、公表することにより、規制制定過程における客観性と透明性の向上を目指す手法。19年10月より評価の実施が義務化された。

○租税特別措置等に係る政策評価:租税特別措置等の新設、拡充又は延長の要望を行うに際し、その必要性、有効性及び相当性の基準により評価し、公表することにより、要望内容の適切性を担保するための手法(事前評価)。また、過去に要望した租税特別措置等についても同様に評価する(事後評価)。22年5月より評価の実施が義務化された。

第15節 金融庁業務継続計画の策定

  • 1.金融庁業務継続計画の概要

    金融庁では、「首都直下地震対策大綱」(平成17年9月策定、22年1月修正)に基づき、首都直下地震発生時に優先的に実施する業務の継続のための体制を整備する観点から、20年6月に「金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)」を策定し、その後も必要に応じて見直しを行っている。

    本計画には、首都直下地震発生時における金融庁の非常時優先業務(金融市場や金融機関等における状況の確認、国民・金融機関・海外当局等への情報発信、金融機関に対する被災者支援の要請等)を規定しているほか、これらの非常時優先業務を実施・継続するための執行体制や執務環境を規定している。

    なお、金融庁における業務継続計画としては、上記の他、新型インフルエンザ発生時における業務継続の方法や手順を規定した「金融庁業務継続計画(新型インフルエンザ対応編)」を22年8月に策定している。

  • 2.業務継続体制の更なる充実・強化

    「金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)」について、より実践的な記載とするとの観点から、発災時の行動を時系列で一覧できるようにするとともに、行動の主体を明確化するなど、本計画の構成を整理して、27年12月に改正した。(資料2-15-1参照)

  • 3.災害等発生時に備えた訓練

    • )災害対応

      政府防災訓練への参加に加え、業務継続計画の実効性を検証・確認するため、職員の安否確認訓練、徒歩等参集訓練及び金融庁災害対策本部の設置・運営訓練などを行った。また、一般社団法人全国銀行協会と連携した訓練を行った。

    • )新型インフルエンザ等対応

      新型インフルエンザ等の国内感染期における対応について、政府対策本部運営訓練と連携して、金融庁新型インフルエンザ等対策本部幹事会の運営訓練等を行った。

第16節 英語による行政対応・発信力強化に向けた取組み

I 経緯

「日本再興戦略」(25年6月14日閣議決定)、「『日本再興戦略』改訂2014」(26年6月24日閣議決定)、及び金融庁・財務省が共同で開催した「金融・資本市場活性化有識者会合」が取りまとめた「金融・資本市場活性化に向けての提言」(25年12月13日公表)、「金融・資本市場活性化に向けて重点的に取り組むべき事項(提言)」(26年6月12日公表)において、「金融関係法令・ガイドライン等の英語化の徹底」や「金融に係る行政手続について、英語によるワンストップでの対応」を実現すべきとの提言が行われた。

II 概要

上記提言を受け、26年4月より、以下のとおり、英語による行政対応や発信力の強化に向け、以下の取組みを実施している。

)FSA Weekly Review

26年4月22日に公表されたFSA Weekly Reviewより、庁内の各部署が日々ホームページに掲載する対外公表物について、英語により概要を作成し、週次でFSA Weekly Reviewとして公表。また、定期的に公表される事案については、日英同時公表を行なった。

)英語による法令等に関する照会へのワンストップでの対応(ワンストップ窓口)

英語による法令等に関する照会に対するワンストップ窓口を設置し、一元的な対応を実施している。平成27年7月から28年6月末までに、371件の照会が寄せられ、そのうち142件の回答を行った。照会内容の内訳としては、詐欺的な証券投資等の勧誘行為に関する照会が134件、法令・行政手続等に関する照会が98件、その他の照会が139件寄せられた。

)法令やガイドライン等の主要な公表物の英語版の作成・公表

27事務年度において、以下の法令やガイドライン等のほか、金融モニタリングレポートの概要や金融行政方針の概要等の英語版の作成・公表を行った。また、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議の資料・意見書・議事録の英語版を会議と並行して公表するとともに、内外に広く意見を募集し、英文でのコメントも多数受け付けた。そのほか、金融審議会「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」に関しても、報告書の英語版を公表した。

【英語版を作成した主な法令・ガイドライン等】

  • 銀行法(平成二十三年法律第四十九号による改正まで反映)

  • 銀行法施行令(平成二十六年政令第三百四十二号による改正まで反映)

  • 銀行法施行規則(平成二十二年内閣府令第四十二号による改正まで反映)

  • 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(平成二十六年法律第九十一号による改正まで反映)

  • 保険業法施行規則(平成二十二年内閣府令第二十三号による改正まで反映)

  • 社債、株式等の振替に関する法律(平成二十四年法律第五十三号による改正まで反映)

  • 社債、株式等の振替に関する命令(平成二十六年内閣府・法務省令第二号による改正まで反映)

  • 株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令(平成二十一年内閣府令第七十八号による改正まで反映)

  • 平成27年度監査事務所等モニタリング基本計画(審査・検査基本計画)

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