金融庁 採用案内 2013-2014
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PROJECTREPORT_1対談:金融・資本市場を巡る制度整備「金融・資本市場を巡る制度整備」という漠たるテーマについて語り合うべく集まった二人。まずは、それぞれの担当領域について聞いてみた。小長谷ーー今泉さんとは、この十年間のうちに二度も同部署で働いたことがあるけど、最近は酒席以外では接点が無いね。共通の話題って、ありましたっけ?今泉ーーそうですねぇ。二人とも、金融機関の監督や規制の設計といった「金融庁」と言われて思い浮かべるような仕事というよりは、「金融・資本市場を巡る制度整備」という背景を持ちながらも、金融に限られない、一般社会・一般企業に影響がある仕事に携わっているという点で共通点があるんじゃないでしょうか。小長谷ーーなるほどね。では早速、今泉さんから担当業務について紹介をどうぞ。今泉ーー私がやっている仕事は、金融庁の税制改正要望の窓口です。税制というのは、財務省・総務省が所管しているわけですが、金融に関する税制であれば金融庁、教育に関する税制であれば文部科学省、というように、それぞれ関係する省庁が税制当局に「要望」して変えてもらうという形になっています。 そこで、私の部署、政策課総合政策室では、金融業界に関するものから個人投資家に関するものに至るまで、広く金融に関係する税制について「ここを変えてほしい」といった話を財務省や総務省にもって行き、認めてもらうように折衝することを仕事にしています。 小長谷さんのご担当は、広く上場企業全般に対するルールを作るお仕事ですよね。小長谷ーーそうですね。金融商品取引の世界では「投資者の自己責任」が原則となっていますが、投資者が自己の責任において投資判断を行うためには、取引のリスクを理解する上で必要となる情報がタイムリーに開示されることが前提となります。私の所属する企業開示課は、市場において投資者から資金調達をしようとする上場企業などが従うべき情報開示ルールを定めることを、その業務の一つとしています。 金融庁というと、先ほど今泉さんが言ったとおり、銀行を中心とする間接型金融システムの監督者といったイメージが強いのではないかと思いますが、金融・資本市場のルール整備や取引監視も、重要な任務の一つですよね。我が国の金融・資本市場の活性化に向けて、具体的にどのような課題に取り組んでいるのだろうか。今泉ーー私が今回携わった仕事は、「金融証券税制の抜本的見直し」というものでした。平成15年以降、日本の株式市場を活性化させる観点から、株取引からの収益に課される税金は、預金利子等への税金よりも低い税率(20%⇔10%)となっていました。 この「証券軽減税率」が25年末で期限切れになることから、これを単純に延長するのが良いのか、もっと違ったアプローチを考えるのかについて、有識者、実務家、投資家等、様々な人たちとも議論しながら検討しました。その際、我々が念頭においていたのは、個々人が将来に備えた資産形成をするための仕組みにするということと、投資された資金が経済成長に役立てられる仕組みにすると言うことでした。 その結果、「証券軽減税率」を延長するよりも、1500兆円に及ぶ家計金融資産をしっかり増やしながら、経済成長に必要なリスクマネーの供給も行われるためのツールとして、日本版ISA(毎年100万円までの少額投資につき、収益への税金を非課税とする制度)の拡充に行今泉宣親総務企画局政策課課長補佐(平成15年入庁)小長谷章人総務企画局企業開示課課長補佐(平成14年入庁)18

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