金融庁 採用案内 2013-2014
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3838佐々木  今私が担当している検査は、外から見ると金融庁の中でも一番ドメスティックなイメージをもたれているところかもしれません。ただ、国内の検査だけでやればいい話ではなくて、日本の国内の金融機関が海外にも拠点を出している以上、やはり海外にも検査へ行くわけです。ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港などに検査班を送ったり、駐在検査官を派遣してちゃんとリスク管理ができているか海外でもチェックしています。また、日本の金融機関を監督する海外の当局とも密接に連携していて、アメリカやイギリスなどの当局とは定期的に協議・意見交換する必要があります。こうした点でも、海外とのつながりは非常に強いのです。三井  自分は、実は元々英語に対する苦手意識が強く、ドメスティックな人間でした。それは今も変わりませんが、金融庁では、いつの間にか、海外の情報の洪水の中に身をおき、海外当局者や海外の金融機関の幹部と日常的なコミニュケーションをとる環境にあります。この中で、特に、国際的に通用するロジック、ということを強く意識するようになりましたね。また、リーマンショック後の国際的な金融規制当局間の綱引きを見るに、日本の金融庁の発言力や調整力は非常に高いところにあるのではないでしょうか。―過去30年、激動の時代を生きた4人に、今後30年について考えを聞いた。小野  日本の将来を考えると、国内では少子化・高齢化という大きな問題がありますが、これについての対応も、金融審議会でまさに議論しています。保険の世界では、少子化・高齢化の進展を踏まえて、どうすべきか、今年の前半までに何らかの答えを出そうと議論を行っています。例えば、少子化対策という観点から、民間の保険で果たせる役割はないか、あるいは、高齢化が進む中で高齢者のニーズをもっと満たせるような、新たなタイプの保険を提供できないか、などの検討を行っています。氷見野  審議会のほかにも官民ラウンドテーブルという、ブレインストーミング的な議論を民間金融機関と役所が一緒になってやる試みがあります。これは小野の発案で始まったものだったと思いますが、①高齢化社会の中での金融のあり方、②地域や中小企業、③アジアへの金融機関の進出をテーマに開催しています。 規制監督当局と被規制業種という局面で話すこともありますが、そういう関わりだけではなく、将来のことを自由に話せるように、ということで、ラウンドテーブルを作って、今後の金融のありかたをざっくばらんに話し合う場を設けたんですね。小野  去年の秋から課長、課長補佐クラスと民間の方が集まって開催しています。お互い今後の日本の金融業をどうするかについて、喧喧諤諤の議論をしているようです。残念ながら我々のようなロートルは、その場にいれてもらえず、後からどのような議論が行われたのか寂しく話を聞くだけなのですが(笑)三井  そうですね。自分も後からこんな議論があったという話を聞いて若手職員や関係者の意欲の強さと頭の柔らかさに関心しています。小野  ぼくらが経験した30年のような激しい動きが、今後30年で起こるかは分かりません。ただ、人間というのは失敗を重ねるごとに学んでいきます。リーマンショックみたいな振れ幅が大きいのはよくない、この幅を抑えていこう、というのが今の流れですので、少しは安定するのではと期待しています。氷見野  それでも、成長と安定を両立させるための答えは、まだ世界で誰も見出せていないんだと思います。今や、金融市場は、ある意味で1つの主権国家を超えるような力を持ってしまったわけですが、この中でどう成長と安定をバランスさせていくか、こうした基本設計みたいなものは、た

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