午後2時0分開会

○神崎座長
 皆様方がおそろいでございまして、予定の時間も参りましたので、ただいまから「試験制度に関する検討小グループ」の第1回会合を開催いたします。
 私は、公認会計士審査会委員を務めております神崎でございます。
 この「試験制度に関する検討小グループ」の座長につきましては、公認会計士審査会長の御指名を受けましたことから、私が務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、この「試験制度に関する検討小グループ」の設置に至る経緯でございますが、公認会計士審査会は、昨年4月に、「近年の会計士監査を取り巻く環境等を踏まえると、会計士監査のあり方についてもその見直しが必要になっているとの認識の下に、公認会計士審査会及び企業会計審議会の委員の方々を中心とする「会計士監査に関するワーキンググループ」を発足させて、同ワーキンググループにおいて、外国の会計士監査に関する制度・現状等も参考にしながら、公認会計士監査のあり方について幅広い検討を進めてきました。
 同ワーキンググループでは、5回の審議の後、7月に「会計士監査の在り方についての主要な論点」を公表し、6項目の主要な論点とその考え方を明らかにいたしました。
 第6回会合において、主要な論点の中の個別項目の検討については、各項目に関係が深く、責任をもって御審議いただける関係審議会等において具体的・専門的な検討を行っていただくこととし、ワーキンググループは関係審議会等における検討状況等についてフォローアップを行うこととされました。
 個別項目を審議する関係審議会等については、その項目の内容により、公認会計士審査会、企業会計審議会、日本公認会計士協会の三つに分けております。
 このうち、公認会計士審査会において検討すべき項目については、昨年9月の公認会計士審査会において、監査制度に関する項目については、「監査制度小委員会」を設置して、具体的・専門的な検討を進めることとされましたが、試験制度のあり方については、「試験制度の見直しは、受験者等に与える影響が大きく慎重な検討が必要であり、まず、現行公認会計士試験制度全般にわたる問題整理が必要である。」とされたところであります。
  このような観点から、平成10年6月に公認会計士審査会に設置されておりました 「外国公認会計士検討小グループ」を改組して、外国公認会計士試験のみならず、公認会計士試験制度全般にわたり、有識者からのヒアリング等を通じ、具体的な問題整理を行うこととし、必要に応じて小委員会を立ち上げることとしたものであります。 なお、後ほど事務局より御説明いただきますが、昨年8月に自民党の金融問題調査会に設置されております「企業会計に関する小委員会」の議論の動向や行政改革推進本部の「規制改革推進3カ年計画」の内容も踏まえながら具体的な問題整理を行ってまいりたいと考えております。
 このような御趣旨を内々に皆様に御相談申し上げましたところ、御賛同いただくことができ、本日ここに最初の会合を開催することができましたことについて、厚く御礼申し上げます。
 ここで、当小グループの委員の方々を御紹介いたします。
 加古宜士委員を御紹介いたします。

○加古委員
 加古でございます。どうぞよろしくお願いします。

○神崎座長
 木下徳明委員を御紹介いたします。

○木下委員
 どうぞよろしくお願いいたします。

○神崎座長
 関 哲夫委員を御紹介いたします。

○関委員
 関でございます。よろしくお願いします。

○神崎座長
 福田眞也委員を御紹介いたします。

○福田委員
 福田です。よろしくお願いします。

○神崎座長
 三原英孝委員を御紹介いたします。

○三原委員
 三原です。よろしくお願いします。

○神崎座長
 森田哲彌委員を御紹介いたします。

○森田委員
 森田です。よろしくお願いします。

○神崎座長
 なお、大蔵省では、各種審議会における審議の透明性を確保する等の観点から、その議事録及び会議資料を原則として公表することとしております。当小グループにおきましても、事務局にて議事録を作成し、皆様に内容の御確認をいただいた後公表することといたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 配付させていただきます会議資料につきましては、非公表のものにつきましては、委員限りでお願いいたします。
 ここで、本日は、新原東京証券取引所監理官に御出席いただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。

○新原東証監理官
 座長、どうも恐縮でございます。ただいま御紹介をいただきました新原でございます。
 皆様方には大変御多忙の中をこの「試験制度に関する検討小グループ」の委員をお引き受けをいただきまして、また、本日はこの会合に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。心より厚くお礼を申し上げます。座長も本当にありがとうございます。
 ただいま座長からもお話がありましたように、公認会計士審査会「会計士監査に関するワーキンググループ」におきまして公認会計士監査のあり方について幅広い検討をお進めいただきまして、「会計士監査の在り方についての主要な論点」として、6項目の論点とその考え方が取りまとめられたところでございます。その主要な論点・考え方の一つとして「公認会計士の質と数の充実のため、試験制度等のあり方について、改善すべき点はないか」との御指摘がなされております。
 私ども公認会計士法を所管し、公認会計士試験の事務局を担当する立場にある者といたしましては、「公認会計士の質と数の充実」は、公認会計士監査を一層充実させ、市場機能を有効に発揮させるなどの観点から、重要な検討事項であると認識しております。
 この「試験制度に関する検討小グループ」において、公認会計士試験制度のあり方について幅広く検討を進めていただきたいと考えております。どうかよろしく御審議のほどお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○神崎座長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に移らせていただきます。
 最初に、事務局の方から、現在の「公認会計士試験制度等の概要」を簡単に説明していただきます。
 よろしくお願いいたします。

○福地課長補佐
 公認会計士担当の課長補佐をしております福地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元に配付してございます資料1-1「公認会計士試験制度等の概要」の資料に沿いまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページでございますけれども、「公認会計士及び監査法人の概要」ということで取りまとめてございます。
 各委員の皆様方におかれましては、もう既に御承知のことと思いますけれども、公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査証明の業務、法2条1項業務でございます。それから、財務書類の調製、財務に関する調査、立案、相談の業務、法2条2項業務を行うことを業としております。
 公認会計士として業務を行うためには、公認会計士第3次試験に合格いたしまして、公認会計士名簿に登録を受ける必要があることが公認会計士法に定められております。
 ちなみに、平成11年3月末現在におきます公認会計士の登録者数は、1万 2,178名となっております。
 なお、法2条1項の財務書類の監査証明業務につきましては、公認会計士の独占業務となっております。
 次に、2 の監査法人でございますけれども、監査法人につきましては、複数の公認会計士による組織的な監査を推進するため、昭和41年6月に公認会計士法の改正によりまして制度が創設されております。
 監査法人の要件といたしましては、社員は公認会計士のみであること等の要件が定められておりまして、特徴といたしましては、社員の無限連帯責任等の商法の合名会社の規定を大幅に準用しているところでございます。
 監査法人の数につきましては、平成11年3月末現在で 142法人となっております。ちなみに、12年1月末の監査法人数につきましては、2法人増えまして、 144法人になっているところでございます。
 監査法人の業務範囲につきましても、法2条1項業務を行うほか、その業務に支障ない限り、法2条2項業務、それから、会計士補に対する実務補習の業務を行うことができることになっております。
 これが概ね公認会計士及び監査法人の概要でございます。
 続きまして、1枚めくっていただきまして2ページでございますが、公認会計士、監査法人が行う監査証明業務のうち、主要な監査証明業務をこちらに整理してございます。
 まず一つは、証券取引法に基づく監査でございまして、証券取引所に上場されている有価証券の発行会社等は、証券取引法 193条の2に基づきまして、有価証券報告書等に添付される財務書類につきまして監査証明を受けなければならないとされております。その対象会社数につきましては、平成10年3月末現在で 4,110社になっております。
 また、2.でございますが、商法監査特例法に基づく監査。これは資本金5億円以上又は負債総額 200億円以上の株式会社につきましては、その財務書類等につきまして、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないと法定されております。
 これらが法律により監査証明を受けることが義務付けられているものの主要なものでございます。
 そのほかに3にございますように、信用金庫法、協同組合による金融事業に関する法律等、そういった各法律によって公認会計士又は監査法人の監査証明が義務付けられているものがございます。
 そのほか、法律の義務付けではございませんけれども、団体等の規定で監査証明が必要とされているものや、相対、個々の契約によりまして行われる任意監査といったものが監査証明業務としてございます。
 3ページにつきましては参考条文等でございますので、説明等を省略させていただきます。
 4ページに移っていただきまして、近年、公認会計士の行う業務の範囲といいましょうか、内容が拡大しておりまして、その特徴的なものにつきまして、この4ページに1から10まで整理してみた資料でございます。
 まず、一つ目でございますが、新興企業向け新市場(マザーズ)における四半期財務情報のレビューでございますけれども、これは平成11年12月から開始されております。これにつきましては、東京証券取引所のマザーズの上場会社の行う四半期における業績概況の開示につきまして、公認会計士又は監査法人によります四半期財務諸表の監査と意見表明が義務付けされているものでございます。
 それから、主なものだけを御説明したいと思いますけれども、2番の未登録・未上場株式等の投資勧誘に係る公認会計士又は監査法人の監査でございますが、これにつきましては、証券会社が投資勧誘を行う場合に、発行会社の財務諸表等について公認会計士又は監査法人の監査が要件となっております。
 そのほか、3番にございますように、PFI推進法により設立されたプロジェクト事業会社が発行する有価証券の上場に関する監査。
 4にございます地方公共団体包括外部監査・個別外部監査といったような形で、公認会計士が行う監査、業務というものが拡大してきているところでございます。
 続きまして、5ページでございますが、5ページの資料につきましては、公認会計士の登録状況についてまとめてございます。
 お手元の資料の一番最後の行でございますけれども、12年1月末現在の公認会計士の登録者数は1万 2,706名となっております。また、会計士補の登録者数につきましては 4,076名。監査法人の会社数につきましては、 144法人となっております。
 ちなみに、11年3月、それから、12年1月の監査法人の所属公認会計士数あるいは被監査会社数につきましては、データがございませんので入れてございません。御了承いただきたいと思います。
 公認会計士につきましては、10年3月の数字を見ていただきたいと思うのでございますが、公認会計士の登録者数は1万 1,723名でございまして、監査法人のところの所属公認会計士数を見ていただきたいと思いますが、 5,987名となっております。従いまして、登録者数の約半分は監査法人に所属しているというような状況になっております。
 続きまして、6ページの資料に移らせていただきたいと思いますが、「公認会計士までのコース」ということでございまして、公認会計士試験、最終的には公認会計士としての資格を得るまでの試験等の流れを説明した資料でございます。
 まず、公認会計士試験につきましては、第1次試験、第2次試験、第3次試験とございまして、第2次試験に合格すれば会計士補となる資格を、それから、第3次試験に合格すれば公認会計士となる資格を得ることができます。
 具体的な試験の目的、受験資格等につきましては、次の7ページに資料を用意してございますので、そちらの方で御説明したいと思います。
 まず、第1次試験でございますが、目的は、一般的学力を有するか否かの判定でございまして、受験資格の制限はございません。
 試験科目につきましては、国語、数学、外国語。これは省令で英語と規定しております。それから論文。計4科目が試験科目となっております。
 試験方法につきましては、筆記試験でございます。
 第1次試験が免除され、第2次試験から受験できる者につきましては、試験免除のところにございますように、大学卒業者、4年制大学に2年以上在学し、44単位以上修得した者、司法試験第1次試験又は不動産鑑定士試験第1次試験に合格した者、専修学校の専門課程を修了した者といった方につきましては、この第1次試験が免除されることになります。
 次に、第2次試験でございますが、第2次試験につきましては、会計士補となるのに必要な専門的学識を有するか否かの判定を目的としておりまして、受験資格は、第1次試験の合格者、それから、先ほどの第1次試験を免除された者となっております。 試験科目につきましては、まず短答式試験。これは会計学。具体的には、簿記、財務諸表論、原価計算、監査論の4科目及び商法、計5科目になります。この短答式試験を実施いたしまして、これに合格した者につきましては、その下にあります論文式試験を受験することができる形になっております。
 試験科目につきましては、必須科目は、短答式試験科目と同じでございまして、そのほかに選択科目といたしまして、経営学、経済学及び民法の中から2科目選択していただく。合計7科目の受験科目になっております。
 試験方法につきましては、ただいま説明いたしましたように択一式を含む短答式試験、それから、短答式試験に合格した者に対しては論文式による筆記試験を行っておるところでございます。
 第2次試験の試験免除者につきましては、3年以上大学等の教授、助教授の職にあった者及び博士号を授与された者、司法試験及び不動産鑑定士試験の第2次試験合格者ということでございまして、その者の直接関連する科目のみ免除されるという形になっております。
 次に、第3次試験でございますけれども、試験の目的は公認会計士となるのに必要な高等の専門的応用能力を有するか否かの判定。
 受験資格でございますが、第2次試験に合格し、1年以上の実務補習及び2年以上の業務補助又は実務従事を経た者となっております。実務補習につきましては、公認会計士協会が行っております実務補習所で行っているケースが大部分でございます。また、業務補助につきましては、公認会計士又は監査法人の監査証明業務を直接補助するという内容でございます。また、実務従事につきましては、一般の企業で原価計算その他の財務分析に直接従事しているとか、国や地方地方公共団体等におきまして検査に直接従事している場合、あるいは銀行における融資業務に直接従事しているといった者がこの実務従事という形で受験資格を満たすことになります。
 試験科目につきましては、財務に関する監査実務、財務に関する分析実務、その他の会計実務。これは税に関する実務を含みます。それと論文が試験科目になっておりまして、試験方法につきましては、まず筆記試験を行いまして、筆記試験の一定の得点を取った者に対して口述試験を実施するという形になっております。
 なお、筆記試験で公認会計士審査会が相当と認める成績を得た者については、申請によりその後行われる2年間の筆記試験が免除されます。
 次に、8ページでございますけれども、過去10年間の公認会計士試験の実施状況につきまして取りまとめてございます。
 まず、第1次試験でございますけれども、第1次試験につきましては、平成7年以降、受験者が大幅に減少しております。この理由につきましては、受験者の高学歴化もございますけれども、1次試験に平成7年度より外国語である英語が追加されたというのも一つの要因になっているというようでございます。従いまして、平成6年の 700名から12年の今年でございますけれども、受験者数は 141名ということで大幅に減少しているところです。
 次に、第2次試験でございますけれども、受験者数を見ていただきますと、平成6年以降1万人を超える受験者がございます。第2次試験につきましては、平成7年より短答式試験を導入しておりまして、この合格者が次の論文式試験に進めるという流れになっております。
 ちなみに、最終合格率、2次試験の合格率でございますが、直近におきましては、6.6 %から 7.7%。昨年は10年に比較いたしまして、約 110名程度の増加になっておるところです。
 次に、第3次試験でございますけれども、第3次試験につきましては、平成7年度までは年2回実施しておりましたけれども、平成8年度からは年1回ということになっております。従いまして、8、9、10、11と見ていただきますと、約 1,100名程度の受験者がございまして、筆記と口述を経まして、最終的なその合格率は8年の62%から昨年は56%ということで、大体半分くらいが3次試験に合格しているところでございます。
 9ページ以降の資料につきましては、9ページ、10ページにつきましては、第2次試験と第3次試験につきまして、年別の願書提出者、それから、短答式試験の合格者数、最終合格者数、合格率とか、あるいは年齢等を整理してございます。平成6年からは男女別のデータもとっているところでございまして、平成11年で見ますと、願書提出者が1万 265名でございまして、そのうち男性が 8,465名、女性が 1,800名の願書提出がございまして、最終的な合格者(C)でございますけれども、合計 786名のうち、男性が 650名、女性が 136名という形になっております。女性の合格者につきましては、平成6年以降ほぼ 130名程度の合格者になっているところでございます。3次試験につきましては、省略をさせていただきます。
 次に、11ページでございますけれども、現在登録をされております公認会計士、外国公認会計士、会計士補の方の年齢別の構成を整理した表でございます。
 公認会計士で見ますと、下段の方にございますように最小年齢は24歳、最大年齢は99歳でございまして、平均年齢は 47.87歳になっております。
 また、外国公認会計士のところを見ますと、最小年齢が56歳、最大年齢が70歳、それから、平均年齢が 63.40歳ということになっておりますけれども、外国公認会計士の資格承認につきましては、昭和50年を最後に、それ以後は行っておりませんので、その関係もございまして、非常に平均年齢は高くなっているところでございます。
 次に、1枚めくっていただきまして12ページでございますが、12ページの資料につきましては、公認会計士試験がどのような実施計画で行われているかというものを御説明するために用意させてもらった資料でございます。
 第1次試験につきましては、ほぼ大体毎年1月に試験、3月に合格発表という形になっております。
 それから、第2次試験につきましては、真ん中辺にございますように12年の5月が短答式試験の期日でございまして、この短答式試験に合格した者に対しては、7月頃に論文式試験を実施しているところでございまして、最終合格につきましては10月に行っているところでございます。
 それから、第3次試験につきましては、大体11月に筆記試験を実施しておりまして、その筆記試験の合格者に対して、1月より口述試験を実施しているところでございまして、最終的には3月に合格者を発表しているところでございます。
 次に、13ページでございますけれども、それぞれ第1次試験、第2次試験、第3次試験につきましては、試験委員を任命しているところでございまして、試験委員の方々に出題あるいは採点等を行ってもらっているところでございます。第1次試験の試験委員の名簿につきましては、13ページにございますように、国語、数学、外国語、論文につきまして、大学の先生にお願いしているところでございます。
 次に、14ページにつきましては、第2次試験の試験委員名簿でございまして、簿記、財務諸表論、原価計算、監査論、商法、経営学、経済学、民法につきまして、大学の先生、公認会計士の先生等にお願いしているところでございます。
 次に、15ページにつきましては、第3次試験の試験委員名簿でございまして、監査、分析、会計実務、会計実務(税)、それから論文につきまして、公認会計士の先生、大学の先生、実務界といたしまして経済界の方からもお願いしているところでございます。
 次に、16ページでございますけれども、16ページには、「指導公認会計士等の分布状況」ということでございまして、平成12年1月末現在の状況を取りまとめてございます。
 先ほど説明いたしました第3次試験の受験資格要件であります実務補習、それから、業務補助等のインターン制度がございますけれども、インターン制度につきましては、単に試験に合格するだけでなく、豊富な実務経験が必要であるとの観点から、第3次試験の受験資格要件として取り入れていると言われておりまして、医師のインターン、あるいは弁護士等の司法修習等にも同様の制度が見られているところでございます。具体的には、1年間の実務補習と2年間の業務補助又は実務従事の計3年間のインターン期間を経なければ第3次試験は受験できないこととなっております。
 現状の実務補習の状況につきましては、この16ページの表にございますように、指導公認会計士としては全国で 159名、それから、実務補習団体としては22団体。これには公認会計士協会の実務補習所も含まれております。
 それから、実務補習機関といたしましては1機関ございます。次に17ページを御覧になっていただきたいと思いますけれども、これは各年度におきまして、実務補習修了者がどのような形で実務補習を修了しているかというのを整理した表でございます。
 10年度を見ていただきますと、日本公認会計士協会とございますが、これにつきましては先ほどの実務補習所での受講者でございまして、10年度では 626名、全体の約75%は日本公認会計士協会の実務補習所で実務補習を修了しているところでございます。そのほか指導公認会計士の下で実務補習を修了している者。あるいは監査法人におきまして実務補習を行っているというものもございますが、その大部分につきましては、協会の実務補習所で実務補習を行っているのが現状でございます。
 次に、18ページを御覧いただきたいと思いますが、「業務補助等修了者の推移」ということでございまして、平成10年度で見ますと、業務補助、これは公認会計士又は監査法人におきまして監査証明業務を直接に補助することでございますけれども、人数で 669名でございまして、全体の9割程度を占めております。また、実務従事につきましては36人でございまして、全体の構成比といたしましては9%程度になっておりまして、大部分は監査法人ないしは会計事務所に勤務して、公認会計士又は監査法人の監査証明業務を直接に補助しているということが窺われます。
 次に、19ページでございますが、先ほどちょっと説明させていただきましたが、外国公認会計士資格の承認状況でございまして、昭和25年以降、書類選考あるいは一般面接、口述試験といった方法によりまして、外国公認会計士としての資格を承認してきているところでございますけれども、昭和50年12月以降は、この外国公認会計士資格の試験等は実施しておりません。これにつきましては、このような資格承認のための要望等がないことが要因でございます。
 次に、20ページを開いていただきますと、公認会計士試験制度の主な法律改正を整理してございます。
 まず、20ページの上段でございますけれども、公認会計士法は昭和23年8月に制定されております。その後、昭和24年に第2次試験の試験科目の整理等が行われております。また、26年におきましては、第3次試験科目中に税に関する実務を含める。それから、昭和39年におきましては、第3次試験に口述試験を新設する等の試験制度の改正が行われているところでございます。そのほか、試験規則等の改正等は、以下のような形で行われております。
 試験制度の大きな改正といたしましては、平成4年に行われておりまして、その資料が21ページにございます。
 主要な改正点につきましては、まず第1次試験でございますけれども、一番右側の欄が改正後の内容でございまして、第1次試験について見ますれば、現行科目に外国語が加えられております。
 それから、第2次試験につきましては、改正前は会計学(簿記、財務諸表論、原価計算及び監査論)、経営学、経済学及び商法について、筆記の方法により行うという試験になっておりましたけれども、筆記試験に短答式を導入致しました。
 具体的には、短答式による試験と論文式による試験に分けまして、論文式による試験は、短答式による試験に合格した者が受験できることとされました。
 これにつきましては、受験者数の増加等もございまして、論文式試験における採点の精度を高めるという観点などから導入されたものであります。
 そのほか、第3次試験につきましては、従来年2回実施しておりましたが、年1回の実施にしております。
 それから、インターン制度の改善につきましては、従前は実務補習1年、業務補助等2年といたしまして、期間の重複を認めておりませんでしたが、平成4年の改正によりまして、インターンの期間は3年は維持することといたしましたが、実務補習と業務補助等の期間重複を認める等の改正を行っております。
 以上が平成4年の主な改正事項でございまして、そのほか、試験委員の定数の法定制を改めて、公認会計士審査会で決められるようにする等の所要の改正等も行われているところでございます。
 次に、22ページにつきましては、公認会計士法でございますので、コピーを付けておりますが、参考までに御覧いただければと思います。
 以上が公認会計士試験制度等の概要に基づく説明でございまして、そのほか資料1-2がございますが、「司法試験制度等改革の経緯」ということでございまして、司法試験制度につきましては、合格者数の増加あるいは修習期間の変更、それから、試験科目の見直し等、具体的な司法試験制度改革が進められてきているところでございますので、御参考までにその経緯と概要につきまして、資料としてお配りさせていただいたところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきたいと思います。

○神崎座長
 ありがとうございました。
 続きまして、当小グループにおいて御検討いただく項目やスケジュール等について事務局の方から御説明いただきたいと思います。
 当小グループの検討項目に関しましては、ワーキンググループにおける論点に限らず、現行公認会計士試験制度全般にわたる問題整理が必要であると考えられます。
 具体的には、先ほども申し上げましたが、自民党の金融問題調査会に「企業会計に関する小委員会」が設けられ、「企業会計・監査制度のあり方」について幅広く検討が行われているようであり、また、行政改革推進本部・規制改革委員会の「規制緩和推進3カ年計画」においても、規制緩和の観点から監査・公認会計士制度が取り上げられているようであります。これらは、当小グループの検討項目にも関係があると思われますので、併せて事務局より説明していただきたいと思います。
 事務局よろしくお願いいたします。

○大藤大臣官房参事官
 参事官をしております大藤でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、説明させていただきます。資料は、「資料1-3」から「資料1-7」を使いまして御説明させていただきます。
 今回、検討をお願いするに当たりまして、いろいろ背景がございますが、まず、これまでの御説明にありましたように、「資料1-5」を御覧いただきたいと思います。これは公認会計士審査会の下に設けられました「会計士監査に関するワーキンググループ」で、平成11年、昨年の7月2日に主要な論点を整理していただいております。 大きく分けまして六つの論点がございますが、その資料の6ページを御覧いただきますと、5番目の論点といたしまして、「公認会計士の質及び数の充実」という項目が掲げられております。主要な論点といたしまして、「公認会計士の質及び数の充実のため、試験制度や研修制度の在り方について、改善すべき点はないか。」ということで問題提起がされているところでございます。
 (考え方)として四つに分けて掲げられておりますけれども、その中で2)でございますが、「公認会計士試験については、社会人も含めて多数の多様な人材に受験しやすくすることにより、公認会計士の間での競争を促進し、公認会計士全体としての水準の向上が図られるような制度の在り方を検討する必要がある。その際、このことは、単に試験の水準を下げ、合格者の質を下げることとは、異なることに留意するべきである。」ということで考え方が述べられているところでございます。
 ただし、ワーキンググループにおきましても、試験制度に関しましては、このような問題意識で個別具体的に必ずしも論点が掘り下げされているところではございませんので、この点につきまして御検討をお願いしたいということでございます。
 それから、資料1-6を御覧いただきますと、行政改革推進本部規制改革委員会に関する資料でございますが、「規制緩和推進3カ年計画」というものが平成10年3月に閣議決定されております。この計画につきましては平成11年3月に改定されておりまして、その中で、横断的検討・見直しの推進という観点から、公認会計士資格も含めまして、「業務独占資格等」につきまして、16項目の見直しの基準・視点及び考え方が提示されまして、いろいろ見直しを行うということになっているわけでございます。その結果に基づいて、規制緩和推進3カ年計画の計画期間内(平成12年度まで)に所要の措置を講ずることとされているところでございます。
 公認会計士に関係する項目、指摘されております論点は、以下のとおりでございます。
 「明確で合理的な理由のない受験資格要件の廃止」ということでございまして、これは公認会計士試験だけではございませんけれども、具体的には第1次試験についてどう考えるかという問題提起がございます。
 第1次試験につきましては、先ほど御紹介させていただきましたように受験者も激減している状況にございまして、そのようなことも含めまして、第1次試験というものの必要性も含めまして御検討いただきたいということでございます。
 それから、2番目が、受験前の実務経験のあり方の見直しということでございまして、いわゆるインターン制度でございますが、公認会計士第3次試験を受験するためには、会計士補となる資格を得た後、1年以上の実務補習と2年以上の実務経験が必要とされているわけでございますが、このような受験要件のあり方について検討すべきであるという御提言をいただいております。必要性、あるいはどのような時期にどういう形で行うかという点も含めた問題でございます。
 それから、「関連・類似資格の統合、試験の共通化」という問題提起もいただいております。具体的には、税理士試験の財務諸表論、簿記論の合格者について、公認会計士第2次試験の会計学のうちの簿記及び財務諸表論を免除できないか検討すべきであるという問題提起をいただいているところでございます。
 それから、「合格判定基準の公表」。合格判定基準であるとか、配点、模範解答等の公表をすべきであるということでございます。これらにつきましては、ほかの試験についても同様の問題提起がされているところでございます。
 それから、「資格取得の容易化」ということでございまして、公認会計士試験について、例えば科目合格制による合格方式を採用すべきであるという問題提起をいただいております。
 あと、「登録・入会制度のあり方」、「報酬規定のあり方の見直し」、「広告規制のあり方の見直し」という提起をいただいておりますが、これは「監査制度小委員会」等で御検討いただくことになっております。
 それから、最後に、「資格者数の増大」という一番大きな問題提起でございますけれども、公認会計士についても、社会的要請の高まり、業務内容の多様化等を踏まえ、資格者の増大を図ることを検討すべきであるという問題提起をいただいているところでございます。
 それから、資料1-7でございますが、自民党の方で昨年8月に金融問題調査会に「企業会計に関する小委員会」というものが設けられておりまして、小委員長は参議院の塩崎先生でございますが、いろいろ広範な角度から御検討いただいているところでございます。
 1ページが今までの開催実績でございます。ただ、今までは「会計基準の設定のあり方」を中心に小委員会では議論が行われてきておりまして、必ずしも試験制度に関しましては議論が行われ、あるいは論点が整理されているということではございません。
 2ページを御覧いただきますと、「監査制度に関係する主な指摘事項」ということで掲げておりますけれども、この中では、公認会計士数のあり方につきまして、やはり数を増やして、競争を促進するべきであるというような問題意識、考え方が一部の議員から強く出されているところでございます。
 以上のような背景の中で、とりあえず事務局として、この小グループにおいて御検討いただいてはいかがかということでまとめたものが、資料1-3でございます。
 「公認会計士の質及び数の充実に向けて」ということで、三つの大きな切り口で御議論いただいてはいかがかというように考えております。
 まず第1が、「試験制度改善の基本的な考え方について」ということで、基本的な哲学の整理ということでございます。公認会計士の質と数の関係、特に、業務内容との位置づけにおいて、どの程度の公認会計士数が必要かといった基本的な考え方について、公認会計士の登録制度のあり方等も踏まえ、議論を深めていただいてはいかがかと思っております。
 このような基本的な哲学の整理の上に立ちまして、2番目の切り口といたしまして、「試験制度のあり方」について御議論いただいてはいかがかということでございまして、個別の論点といたしましては、1)インターン制度の見直しについて、2)第1次試験の廃止、あり方について、3)試験科目の見直しについて、4)試験科目免除の検討について、5)科目合格制等の採用について、6)外国公認会計士試験制度のあり方についてというような論点が考えられるのではないかと考えております。
 それから、3番目の切り口が、「試験実施のあり方」という切り口でございまして、この切り口では、合格判定基準、配点等の公表について、出題内容の改善についてといったような論点が考えられるのではないかと思っております。
 必ずしもここに掲げた論点には限られないと思っておりますが、一つの整理としてまとめたものでございます。
 それから、今後の審議スケジュールの、これも大まかなイメージでございますが、これが資料1-4でございまして、本日、第1回ということでお集まりいただいたわけでございますけれども、第2回目は、引き続き実態の御説明、それから、参考人から意見聴取等をさせていただいて、第3回から第5回にかけまして、御議論をいただき、問題整理をさせていただいてはいかがかと思います。それから、第6回目、第7回目で総括的な御議論、個別論点の掘り下げを行っていただいてはいかがかというように考えており、5月下旬を目処に審議結果を取りまとめていただいてはいかがかと考えているところでございます。
 私からの御説明は、以上でございます。

○神崎座長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、何か御質問や当小グループの検討項目として取り上げた方がよいと思われる項目、スケジュール等について、御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
 それでは、当小グループの当初の検討項目といたしまして、ワーキンググループの論点の一つであります「公認会計士の質及び数の充実」につきまして、まず、「試験制度改善の基本的な考え方」を御検討いただき、その基本的な考え方を踏まえ、マル1試験制度のあり方、マル2試験実施のあり方を検討してまいりたいと思います。
 なお、今後、自民党の「企業会計に関する小委員会」の審議等に関連した項目など、追加的に当小グループで審議していただく可能性がございます。その場合には、皆様にお諮りした上で、必要に応じて検討項目として追加させていただくことでよろしいでしょうか。
 また、今後の検討スケジュールにつきましても、概ね、事務局から説明のありましたような日程で進めることといたしたいと思いますが、いかがでございましょう。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○神崎座長
 ありがとうございます。
 続きまして、ただいま御同意いただきました検討項目等の御審議をしていただく参考といたしまして、諸外国における公認会計士試験制度がどうなっているかについて、日本公認会計士協会の常務理事でもあります福田委員より、日本の試験制度と比較する形で御説明いただきたいと思います。
 福田委員お願いいたします。

○福田委員
 日本公認会計士協会の福田です。会計士補担当ということで、会計士試験の2次試験を受験者を増やすというような業務と、2次試験を受かった後の会計士補の段階の実務補習、それ以外の会計士補の関連を担当しています。試験制度に関係があるということで、公認会計士協会の立場でお話しさせて頂きます。よろしくお願いします。
 「公認会計士試験の主要国比較」ということで資料をお配りしていますのが、「資料2」です。
 アメリカあたりについては非常によく分かっているところがあるわけですが、ドイツやフランスについては余りよく分からない部分がありまして、必要に応じ再度問い合わせを行い、追加して御報告するということにさせていただきたいと思います。とりあえず会計士協会にあった資料で作っております。国別に御説明したいと思います。 まず、アメリカですが、アメリカについては、試験の名前としては、日本語の訳でいきますと、統一公認会計士試験ということで、アメリカの公認会計士協会と各州の公認会計士審査会の共同でやっているということです。試験問題については、基本的にAICPAが作りますから全州同じ試験ですが、受験資格その他について、州によって異なっているということです。
 受験資格は、概ね大学卒業者で特定の科目を専攻した者ということで、特定の科目というのが、会計学の関連単位に関するもの、ビジネス関連単位というように分かれていまして、それについて州によって必要な単位数が異なっているということになっています。日本で米国の公認会計士試験を受けるときに一番日本人が受けやすいという州があるそうで、それぞれの州によって受験資格等が異なっていまして、特に会計学の関連単位、ビジネス関連単位については、必要な単位数が異なっています。
 実務経験の要件ですけど、試験を受けるための実務経験の要件はありません。ただし、合格後の免許取得には2~4年。これも州によって異なっていますが、実務経験が必要だということです。
 その他の要件として、州によっては、居住要件などの受験要件があるということで、そこの州に住んでいる人しかその州の試験は受けられないという制限がある州があります。
 使用言語は、英語です。
 試験の実施頻度については、年2回。5月と11月で、第1の水曜日と木曜日ということに決まっています。
 試験内容としては、1次試験1回だけの試験になっていまして、筆記試験のみです。商事法、監査、会計と報告、財務会計及び報告という、この4種類の試験科目があり、試験は、いわゆる短答式と記述式の両方から構成されています。
 その次のページに試験時間を書いていますが、合計で15時間30分。日本の2次試験の場合は14時間ですから、ほとんど同じような時間ということです。
 出題数、試験のうち、短答式と記述式の出題率が出ていまして、例えば、商事法の関係でいけば、60%が基本問題、個別問題が20%、記述式の問題が20%。監査については、基本問題が50%、個別問題が30%、記述式が20%というような形に、それぞれについて出題の割合が決まっております。
 口述試験はありません。
 それで、合格基準としては、各科目75%ということで、ここには書いてないですけど、採点するときに75%以上なら、まず合格と。それで、72~73から74点までの場合は、もう一回再チェックするというような形で、試験の点数の採点の仕方をもう一回チェックするというような形の基準が公表されています。
 その次のページにいきまして、難易度ということで、全科目一括で合格する人は約3%。その後にも書いてありますが、科目別合格制度ですから、約20%ぐらいということです。
 これは、今、日本で米国公認会計士試験を受けるときのパンフレットがありまして、どのくらいのレベルかといいますと、例えば、必要な会計知識については、日商の検定試験の2級ぐらいのレベルが必要だというようにパンフレットに記載されています。したがって、余り大したレベルではないというような感じもします。今お話ししましたように科目別の合格制度がありまして、その合格制度は、3年程度有効となっております。3年から5年、これも州によって異なっていまして、それだけ有効だというような制度、科目合格制度があります。
 受験回数については、制限がありません。
 この試験の免除についての規定もありません。
 外国人用の特別試験についてもありません。
 相互承認の相手先には、特別な試験があるということです。
 アメリカについては、以上のとおりです。
 また戻っていただいて、イギリスについては、今のこの表と、最後のところに「別紙1」という表で、この表に書きにくいということがありまして、「別紙1」を付けてあります。
 イギリスの場合は、会計士団体が少なくとも六つありまして、それぞれについて試験をやっております。これに書いてあるのは、イングランド・ウェールズのICAEWという、イギリスについては一番大きな会計士団体の試験制度です。
 ICAEWの試験制度は最近変わりましたが、また2000年にも試験制度が変更になるということで、前回の日本の公認会計士試験制度の改正になった時と今も違いますが、これからまた今年改正になるということで、イギリスの場合はよく試験制度が改正になっています。
 現行の試験制度は、基礎コースの1次試験、基礎コースの2次試験というのをやりながら、会計事務所とトレーニング契約(最低3年間)を必要とし、それと、もう一つは、自己学習ということで、会計事務所、個人指導の教師による自己学習という一般科目について、それぞれについてやりながら、最終試験に進むということで、最終試験が終わりますと、2年間の実務経験を経て、勅許会計士協会の会員になれるというような、非常に複雑な制度になっています。
 それで、受験資格要件としては、最終試験は、先ほど言ったように受験前までに会計事務所等とトレーニング契約を結んで、最低3年間のトレーニングを受けるという制度があります。それで、最終試験後、言ったように2年間の実務経験が必要だということです。
 使用言語は英語だということで、あと、実施頻度のところに、基礎コース1、基礎コース2と書いてありますけど、これについて、年何回やるかという情報が分かりませんで、ここは空欄で、これから調べて、また御報告します。最終試験は年2回、7月と11月です。自己研修はずっとやるということです。
 あと、試験内容としては、基礎コース1、基礎コース2、最終試験、自己研修という形でここに書いてあるような科目があります。最終試験についてはケーススタディによる試験ということです。
 試験時間というのは、前の制度だったら分かっていたんですが、今の制度は、現在、時間が分からないということで、空欄になっています。
 それから、合格基準については非公開で分かりません。
 3ページ目で、科目別合格制度というのはありません。
 免除規定については、基礎コース1についてはありますけど、基礎コース2、最終試験については免除規定がないということです。
 その次のドイツについてですが、ドイツも幾つか制度がありますけど、経済監査士という制度について調べてあります。
 これは受験資格としては、大学卒業者で、経営経済学・国民経済学・法律学の学位を有する者、又は工科大学・農業経済大学・経済諸科学開設大学の卒業者ということが受験資格です。そういう人で、なおかつ2番目のところに書いてある実務経験の要件がありまして、受験資格として実務経験5年を要するということで、大学の学位を持って、なおかつ実務経験5年を要するというのがドイツの経済監査士試験受験の要件です。大学卒業者以外については、経済監査士補助等の経験10年以上であるか、宣誓帳簿監査士・税務顧問士の職業5年以上を有する者ということで、大学卒業者以外については長い補助業務が必要だということです。
 使用言語については、ドイツ語です。
 試験は年1回やられています。
 試験内容としては、監査制度2科目、経済法1科目、経営経済学・国民経済学2科目、税法2科目ということで、計7科目になっております。
 試験時間は、筆記試験については、1科目5時間で計35時間です。
 口述については3~4時間ということです。
 それで、合格基準としては、1~6評価で4以上。ただし、1科目のみ4未満の場合、当該科目の再受験可ということで、どちらかというと科目別合格制度というような形になっています。
 難易度は、合格率約50%です。
 科目別合格制度については原則としてなしと書いてありますけど、先ほど言ったように、1科目のみ評価4未満の場合は再受験可ということです。
 受験回数制限がありまして、3回までしか受けられない。
 免除規定は、税務顧問士については税法免除ということです。
 外国に対する特例については、外国者用の特別試験はありませんけど、相互承認相手国についてはありますということです。
 フランスについては、専門会計士試験という形で、監督官庁と会計士協会がやっております。
 受験資格等は「別紙2」を見ていただきたいんですけど、これは大学入学資格を有する者及び大学進学者と、大学を終了した者と二つに分かれていまして、大学を終了しない人については1次試験、2次試験。2次試験については筆記と口述の試験があり、ここに書いてあるマル6マル14の筆記試験とマル15の口述試験が必要だということです。
 大学で上級会計教育を終了した者。これは日本で言うと修士みたいな形だと思われますけど、このマル1マル12マル15マル16は免除されますから、マル13の法律・会計の総合と経済・会計の総合という試験だけを受ければいいということで、これだけの試験になっております。
 その合格者については上級会計過程終了資格という資格が取れまして、3年間の実務補習の後、この段階で一定の要件を満たせば、専門会計士補というような称号で呼ばれることになっております。最終試験として論文試験を受けて、それに合格すれば専門会計士になれる。そういう試験制度になっています。
 使用言語としてはフランス語ということで、試験内容は先ほど御説明したような内容です。
 口述試験についてもあるということですが、ここに書いてあるような合格基準とか試験時間は、現在協会に資料がありませんで、空白になっております。
 他に、相互承認相手国の資格者用の試験が別個にあります。
 日本と比較しますと、受験資格でいけば、どちらかというと大学卒業者というような人を前提にして試験制度ができているというのが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの制度ではないかと思います。
 それと、実務経験についても、イギリスとかドイツについては実務経験が受験資格になっているということと、日本とドイツ、フランスについては、最初の試験が終わった後、日本で言うと、2次試験と3次試験の間に実務補習をやらなければいけないというように、似たような制度になっているという感じがします。
 それで、科目別合格制度については、アメリカが基本的にあるということで、それ以外については科目別合格制度については原則としてないということです。
 受験回数制限を設けているのは、ドイツだけだということです。
 以上、今分かっている範囲をまとめて、各国の試験制度の比較ということで御報告します。

○神崎座長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました「公認会計士試験の主要国比較」につきまして、御質問がございましたらお伺いしたいと存じます。いかがでしょうか。
 関委員、どうぞ。

○関委員
 会計士の数というのはどういうことなんでしょうか。アメリカと各国。日本は1万 2,000名人ぐらいだというお話をお伺いしたんですけど。

○福田委員
 この試験制度を一緒に調べたときには、その数字そのものは調べてないんですけど。

○大藤大臣官房参事官
 今手持ちの資料で大体の感じの数字だけ申し上げます。
まず、日本でございますけれども、1999年ベースで公認会計士が1万 2,178名、会計士補が 3,939名ということで、その両者を合わせますと、大体1万 6,000名程度のボリュームがございます。
 それに対しましてアメリカは、AICPA登録者で1998年ベースで33万 2,355名。ただし、このうち監査業務に従事しているのは39.6%で概ね4割ということでございますので、大体12~13万人のオーダーが監査業務に従事しているというふうに思っております。
 それから、イギリスでございますが、1996年の数字でございますけれども、13万 3,665 名というような報告でございます。イギリスにつきましても、アメリカと大体同様に4割程度が監査業務に従事にしているのではないかということでございます。
 それから、ドイツでございますが、経済監査士という概念でございますと1万7,031 名ということでございます。そのほかに宣誓帳簿監査士というのがありまして、これが 4,238名ということでございます。日本と人数的にはそれほど違わない感じでございます。
 それから、フランスは1万 5,638名で1万 5,000名程度ということでございます。
 以上でございます。

○神崎座長
 関委員、よろしいでしょうか。

○関委員
 もう一つは、相互承認相手国有資格者試験というのは、日本だけないわけですね。これを見ますと、米・英・独・仏はみんなある。我が国はないということなんですが、これはどういうふうに理解しておいたらいいのか、こういう質問でありまして、私はこれよく分からないんですが、こういうことも含めてこの場で検討することになるような問題なのかどうかということを知りたいんですけれども。

○福田委員
 よろしいですか。

○神崎座長
 はい、どうぞ。

○福田委員
 アメリカの場合はそういう制度がありますけど、どこの国とあるかというと、カナダとか特定の国しかないので、例えば日本と相互承認があるかといえば、それはないわけです。

○関委員
 それはないわけですね。

○福田委員
 日本の今やられてないという外国公認会計士制度は、どちらの国の公認会計士でも受けられるような制度だったはずですが、他国は相互承認があるといっても、どこの国とでもということではありません。例えばイギリスだと、オーストラリアはいいとか、もともとの英国の。

○関委員
 大体英国の植民地みたいな。

○福田委員
 相手国がすごく制限されている制度で、例えば日本の人が受けられるかというと、受けられないですね。

○関委員
 分かりました。ドイツもフランスもそうだと、こういうことですか。

○福田委員
 特定の国だけということですね。

○神崎座長
 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。

○新原東証監理官
 皆さん考えている間、私が質問していいでしょうか。

○神崎座長
 はい、お願いいたします。

○新原東証監理官
 事務方から質問して恐縮なんですが、福田先生に二つ教えていただきたい。
 一つは念のための確認なんですけれども、イギリスの会計士試験制度の「別紙1」の図で↓が三つあるんですが、これは三つとも受けなきゃいけないという意味なんですね。

○福田委員
 そうです。

○新原東証監理官
 三つとも全部。

○福田委員
 1次だけは免除があるから飛ぶという可能性がありますが、3年間のトレーニング契約と自己研修というのは必ずやるわけですから、この三つをやらなければならない。

○新原東証監理官
 1次というのは基礎コース1のことですね。

○福田委員
 例えばトレーニングだけで受けられるということはないです。

○新原東証監理官
 この三つとも通らなければいけないという意味ですね。

○福田委員
 はい。

○新原東証監理官
 それから、もう一つは、ちょっとびっくりしたんですけど、ドイツで合格率が50%というんですが、これはほかの国は日本だと1割以下ですし、アメリカでも3年間で20%というので、かなり厳しい試験なんですけど、ドイツはそういう意味では、できるだけ通すというのか、考え方がちょっと違うんでしょうか。もし分かれば教えていただければと思います。

○福田委員
 受けられる人が少ないということだと思います。受験資格が非常に厳しいので、例えば日本の3次試験、今50何%の合格率ですが、そういうような形で受験資格を満たすのが非常に厳しい試験になっています。この受験資格を満たすのが、1の方でいくと、学位を有していると書いてありますし、実務経験5年というようになっており、また、3回しか受けられないということを考えますと、試験を受けるのに、相当合格の可能性がある人しか受けないような試験だと思っています。3回という制限もありますからね。それで50%というような数字が出てきているということで、非常に試験水準も厳しいし、受験資格も非常に大変だということで、その下に先ほどの宣誓帳簿監査士とかいう制度もありますから、経済監査士というのは相当なレベルの資格だということで、余り簡単には受けられない制度だというように理解しています。

○新原東証監理官
 どうもありがとうございました。

○神崎座長
 加古委員、どうぞ。

○加古委員
 試験の難易度ですが、我が国の場合は第2次試験が大きな山でして、2次試験に受かると3次試験は何とかなるだろうということで、ここに山があるんですが、よその国はどうなんでしょうか。

○福田委員
 アメリカは、そういう意味では1回の試験ですけど、先ほどの表でいくと、フランスなんかでも、あとは論文の試験だけですから、結局、上級会計過程の終了資格を取れば会計士になれるというような制度です。
 日本の制度は、どちらかというと2次試験と3次試験の間はインターンと書いてありますけど、法律的には独立した資格みたいの形になっているわけですね。何ができるかと、それほどできることはないんですけど、本来は、看板上げて会計士補の事務所だということで営業ができる制度になっていますから、そういう意味でいくと、2次試験制度というのはほかの国のインターン期間中のというのと大分違う制度だと思います。

○加古委員
 アメリカでは試験が1回ということですけれども、わずかな経験で恐縮ですけれども、例えばニュージーランドなんかでもやっぱり試験が1回なんだそうですね。それは大学レベルで相当高い水準の勉強をしてきて、従って、2次試験にほぼ匹敵するような教育を受けているというようなことを、ニュージーランドからの留学生の一人が言ったりしているんですが。
 例えば、イギリスなんかで特定の大学卒業者を前提にして試験を受けさせていますね。この特定というのはどういう意味なんでしょうか。ちゃんとした教育を受けている大学であればというような意味なのか、どうなのでしょうか。例えば商学部とか。

○福田委員
 大学の種類がそんなに分かれているのか、よく分かりませんが、少なくともほかより違うというのは、今は日本の大学制度と同じなら、日本の大学の場合は3年になれば受けられるわけですね。ところが、ほかは一応卒業者ということで、卒業の直前に受けられるというところが多いわけですが、大学卒業者を基準に、通常の大学卒業者と、大学卒業予定者でやっている。日本みたいに大学3年になったら、今ちょっと名前が変わりましたけど、昔で言えば、教養課程が終わったところで受けられるというところが大分違うような気がします。

○加古委員
 特定の大学を指定すると書いてありますけれども、どこの大学というように、例えば種類で言えば商学部だとか経済学部だとか、あるいはオックスフォード、ケンブリッジでなければだめだとか、どういう意味なんですか、大学を指定するというのは。

○福田委員
 どういうことだか、もう一回具体的に調べてみますけど、この資料では指定の大学卒業者ということで、大学の制度と一緒に、次回までに調べておきます。

○神崎座長
 ほかに御質問、御意見。
 森田委員お願いいたします。

○森田委員
 これもお聞きしたいんですが、アメリカの場合に、概ね大学卒業者で特定の科目を専攻した者というように書かれていますけれども、これは必ずしもグラジュアルコースではないんですか。例えばMBAコースか何かを出ている必要がるということですか。

○福田委員
 そこまではいってないんです。4年制の大学で会計学をと、基本的にはそうだと思います。

○加古委員
 先走って恐縮ですけれども、調べるときに、今の森田先生の御発言とも関連するのかもしれませんけれども、アメリカやニュージーランドなんかでは学部の教育をちゃんとしていると、言ってみれば2次試験合格相当というように評価されて、非常に実践的な第3次試験、我が国で言えば第3次試験のような試験を1回行うというようなことになっているような気もするんですね。
 ですから、大学卒の評価、あるいは特定の科目の評価というのが、これは僕らがやらなければいけないのかもしれませんが、大学教育のあり方なり、レベルなりについて、どんな実情にあるのかお教えいただければ非常にありがたいんですが。

○福田委員
 次回までに、そのような形のものをできるだけ調べて御報告します。

○関委員
 最後のページの日米の比較のところをちょっと御説明していただきたい。アメリカの方が随分広範囲の問題をカバーしているという感じがあるんですが、それはどういう観点からそうなっているのかという問題意識ですね。あるいは実務に重点が置かれているということであれば、それは一体どういうことなのですか。

○福田委員
 いろいろなところから聞きますと、アメリカの試験はどちらかというと、変な例で申し訳ないんですけど、自動車免許の試験みたいな形で、試験委員からたくさんの問題をプールしておきまして、それからその年その年で、その中から適当な問題を選んでいるということで、余り偏った問題、この試験委員の問題だというような形ではないようになっていると聞いています。だから、問題の数も多いということになります。

○神崎座長
 それでは、どうもありがとうございました。
 予定の時刻も参りましたので、本日の会合はこのあたりで終了させていただきたいと思います。
 次回は、公認会計士協会及び参考人の方々から説明及び意見をお伺いした上で、意見交換をいたしたいと思います。
 なお、次回会合は2月28日(月曜日)に開催させていただきたいと思いますので、御出席いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

午後3時29分閉会

 

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