平成12年2月28日(月)

 
公認会計士審査会

第2回試験制度に関する検討小グループ議事録


於 大蔵省第四特別会議室
(本庁舎4階)

大蔵省金融企画局市場課
  


午後2時0分開会

神崎座長  それでは、予定の時間も参りましたので、ただいまから「試験制度に関する検討小グループ」の第2回会合を開催いたします。
 本日は、公認会計士協会及び参考人の方々から説明及び意見をお伺いした上で、意見交換を行いたいと存じます。
 最初に、「実務補習」の現状につきまして、日本公認会計士協会の常務理事でもあります福田委員より御説明いただきたいと思います。
 前回会合におきまして、事務局より御説明いただきましたが、第3次試験の受験要件としては、第2次試験合格等の後、1年以上の実務補習と2年以上の業務補助等が必要とされているところです。このうち、実務補習については、現在、大多数の方が日本公認会計士協会の設置している実務補習所において行っておりますので、その現状につきまして、福田委員から御説明をいただきます。
 福田委員、よろしくお願いいたします。


福田委員  福田です。資料ナンバー1の「実務補習の現状」というペーパーで御説明したいと思います。
 日本公認会計士協会は、実務補習団体として、東京と東海、近畿は大阪ですが、その3カ所に実務補習所を設置しておりまして、第2次試験合格者のうち、大部分の合格者について実務補習を実施しております。
 このペーパーに沿って御説明しますが、1ページ目に実務補習所の名称及び所在地がございまして、今ご説明したように東京と東海と近畿に実務補習所がございます。
 在籍者は、後で御説明しますが、2年間にわたって実務補習をしている関係で、1学年目が737名、2学年目が647名、合計1,384名の実務補習生が在籍しております。
 実務補習の期間としては、平成4年の公認会計士法の改正を受けて実務補習期間が1年以上ということになりましたが、協会で実施する実務補習は2年間ということにしております。
 学年は、原則として10月1日から翌々年の9月30日までということですが、11年10月の入所生の補習期間は合格発表が10月7日ですから、11年の10月13日から13年10月12日まで。10月7日に合格発表がありまして、それから案内を出して、実務補習が始まるのが10月13日ということで、10月13日から翌々年の10月12日までの2年間ということになっております。
 実務補習の内容は、資料1ページの3の(1)から(7)に書いてあるような会計、監査、経営、税、コンピュータ、公認会計士の業務に関連ある法規、その他必要と認める事項、こういう内容になっております。
 この内容は、8ページにある「実務補習講義カリキュラム」というような形のカリキュラムを作っております。
 その次の9ページ以降にありますように「監査教科」、「会計教科」、「税務教科」、「分析・MCS・情報システム教科」、「法規・その他教科」、「特別講義」というような形の科目を割り振っておりまして、それぞれに共通科目、選択科目というような分類した形ができています。
 これはどうしてこういう形になるかと申しますと、実務補習所は先ほど申しましたように3カ所ありまして、それぞれの実務補習所で独自の運営というより、独自なカリキュラムを組むということになっております。そのため、共通科目と選択科目という形で、どこの実務補習所でもやらなければいけないというものを共通科目、それぞれの実務補習所で選択して行う科目を選択科目という形にしてあります。特に講師がその実務補習所にはいないとか、そこの実務補習所に特別な講師がいるというようなこともある関係で、実務補習については選択科目というものを設けております。
 例えば13ページに、「特別講義」ということで「企業財務行政」というテーマがございますが、これは大藤参事官に講師をお願いしましたが、これは東京だけで行っておりまして、ほかのところではお願いしてないというように、独自にやるというところが選択科目となっています。
 カリキュラムそのものは、実務補習協議会というところで作っておりまして、その協議会は東京、東海、近畿という三つの実務補習所長と、会長、その他実務補習の正副運営委員長がメンバーとなり、このカリキュラムを決めて、毎年運営しています。次に、このカリキュラムに沿った教材も、教材検討会で作っていまして、共通の教材を使って行っているところであります。
 ただ、共通の教材といっても、外部の方にお願いする科目、そのほか経営関係は、講師によって相当内容が違うということで、独自の教材を使うことが多いわけですけど、それ以外の科目については、統一の教材を使って、各講師にそれに沿って講義をしてもらうというような運営方針を作っております。
 4番目の実務補習の方法及び単位ということですが、実務補習の方法ですが、実務学習、実地研修という形に分けていまして、実務学習は、1学習3単位以上ということで、講義、自己学習、ディスカッション、泊まり込み補習というような内容になっております。それ以外に、実務補習運営委員会が認定した研修会、例えば協会の統一研修会等に出席すれば、その分についても実務学習の単位に認定するというような制度も作っております。
 あと、実地研修というのは工場見学を主にしておりまして、それを3回以上。先ほどの実務学習は116回以上というようなことを決めまして、3実務補習所でこれに沿ってやっているということです。
 それ以外に考査ということで、考査も点数によって単位が違うということで、満点の場合は10単位、40点未満の場合は0単位ということになっています。これも2年間で10回以上実施することになっています。
 あと、研究報告としては、2年間で6テーマ以上、6回研究報告をさせるということで、これも満点の場合は10単位、40点未満の場合は0単位ということです。
 こういうような考査とか研究報告は、考査の場合は、その講義を行った講師にお願いするということですけど、研究報告の採点は、運営委員会が分担してやるということになっています。
 この実務補習の中で特殊なことといえば、2ページの〈参考〉というところに書いてありますけど、講義は今の場合は、原則として平日の夜間に実施する。特に月曜日が休みの場合が多いので、その場合は集中的に土曜日にやるということもありますが、原則として平日の夜間に実施しています。
 あとはディスカッションというような形で、クラス分けをしまして、そこで与えられたテーマでレポート方式とか、ディベート方式によって、班単位でディスカッションを行うということ。
 その次に、泊まり込み補習ということで、1泊2日の日程で、1学年の12月にビジネスゲーム。これは今年から変えましたが、2学年の7月に連結財務諸表の作成実務の演習を行うということで、泊まり込みをして夜までやるというような、泊まり込み補習というのもやっています。
 実地研修というのは、先ほど言いましたように工場見学ということで、東京の場合は川崎製鉄、日産自動車、アサヒビール等の工場見学をして、主として原価計算的なことの勉強をするという内容ですが、人数が多くなった関係もありまして、行く場所が非常に限られたということと、もう一つは、ここにも書いてありますが、工場が移転するということで行く場所がだんだんなくなったということもありまして、非常に苦労しているというような状況です。
 考査、研究報告というのは、これは一般的なものです。
 その次に、実務補習の実施日時というのは、1年目が週2回、2年目が週1回ということで、2年間になる前は週3回やっていたわけですが、それをある程度間隔をあけてやった方が効果的だというようなこともありまして2年にいたしましたが、最初の年は週2回、翌年2年目は週1回ということで、夜6時から9時という時間を設定しています。実際は、休み時間を取らないということもありまして、9時よりも早い時間に終わりにしています。
 全体のカリキュラムは、今言ったような形になっています関係で、1年目が6割、2年目が4割ということになっています。
 それで、先ほどのカリキュラムがいろいろ書いてある後に、実際の内容が19ページから22ページまで書いてあります。19ページが1学年の平成10年10月から11年3月のカリキュラムで、これはA班、B班、C班と分かれていますけど、3クラスに分けて、原則として同じ内容を3回やっていただいています。この一番左のA班で科目と講師の名前が書いてありますけど、こういうような内容で実際はやっているということで、先ほどのカリキュラムですと、監査とか法人税とか、そういう形になっていますが、これが実際のカリキュラムで、この内容に沿ってやっているということです。
 21ページ、22ページ目が2学年目のカリキュラムで、これが実際のテーマで、こういう形でやっているということです。2年目になりますと、1学年と比べて少なくなっています。
 実務補習の修了要件というのが2ページの6に書いてあります。
 実務補習を受けた期間が2年に達することと、実務学習及び実地研修を268単位以上取得すること。毎四半期の実務学習の総単位数の3分の2以上の単位を取得すること。全考査の満点単位の合計単位数の60%以上、かつ各考査につき4単位以上の単位を取得すること。全研究報告の満点単位の合計単位数の60%以上、かつ各テーマにつき4単位以上の単位を取得することというような、実務補習の修了要件があります。
 特に(3)の毎四半期の実務学習の総単位数の3分の2以上の単位を取得するというのが、2年生ぐらいになりますと仕事が忙しくなり、欠席しがちになりますと、この修了要件が達成できず、3年目に修了をずらす落第みたいな形が相当多くなっています。昔は実務補習が1年、業務補助が2年ということで、その期間重複が認められていなかったことから、実務補習を落第しますと、3次試験の受験が自動的に遅れるというようなことがあったわけですが、今は期間重複が認められているため、3年目になっても余り影響がないということもあって、実務補習そのものを厳しくするということもありまして、修了要件を厳しくしています。
 次に、実務補習所の運営ということが2ページの7に書いてあります。
 実務補習所の運営は、先ほどもちょっと申し上げましたように、実務補習協議会という全国的な組織と三つの実務補習所のそれぞれの運営を担当している実務補習運営委員会があります。この実務補習協議会は、会長、中地会長ですけれど、あと実務補習所の所長、各実務補習所運営委員会の正副委員長、20名で構成されています。
 それぞれの実務補習所の運営委員は、規模に応じて、東京の場合が61名、東海が21名、近畿が31名となっております。
 この実務補習所運営委員会は、委員が教材を作り、なおかつ講師もします。講師そのものは運営委員以外の人にも頼んでいますが、教材は少なくとも運営委員が作っている、そういうような内容になっています。
 協会の実施する実務補習所の特徴ということで、実務補習所は公認会計士となるのに必要な専門的能力を涵養し、高い品位、広い見識及び円満な常識を会得させることに特に注力しております。
 当実務補習所の講師陣は、公認会計士協会の会員の中から理論及び実務に造形の深い会員をもって構成されており、必要に応じて大蔵省、会計検査院等の担当官あるいは学識経験者のうちから委嘱することもございます。
 公認会計士制度発展のため自主的に将来有為の公認会計士を育成すべきだとの信念に基づき、現職の公認会計士が直接指導に当たることが、当実務補習所の大きな特徴であるということです。
 また、熱意と誠意のある講義とグループ別ディスカッション、泊まり込み方式による実務的指導等、将来公認会計士として活躍することを志す補習生との間に、他では得られない身近な迫力ある授業を行っている。こういう認識でやっております。
 9が入所料及び補習料ということです。
 入所料は1万円。補習料は毎月6,000円で、2年間、24カ月で14万4,000円ということです。
 10が実務補習所の予算ということで、実務補習所の予算が書いてあります。平成10年ですと、収入が補習料等で9,200万円ございますけど、実際にかかった支出の数字が2億2,500万円ございます。これには会場費、講師謝礼とか協会の補習所のための人件費なども含んでいます。そのため、協会から、約1億3,000万円補助しています。毎年このくらいの金額を補助しています。
 この中に平成8年、会場費が安くなって、また9年から高くなっているとか、補習料が平成8年は少なくなっていますけど、これは、補習期間を1年から2年制度に変えたということで、平成8年の場合は、例えば会場費が、前年までは週3回やっていた会場費が、8年には週3回のうち、2年に繰り延べたということがありまして、週2回分となっています。決算は4月から3月なんで、少しずれていますが、そういうような形で、平成8年、9年は影響があるわけですけど、平成10年は平年ベースということです。
 入所の状況が23ページに書いてありますように、平成11年度、先ほどお話しした数字がここに載っています。毎年度の入所の数、補習生の数を示しております。
 これが今の実務補習の状況なわけですが、実務補習については、前回、平成3年5月16日に公認会計士審査会の「公認会計士試験制度小委員会」というのがありまして、「公認会計士試験制度の見直しについて」という中間報告に、「地方在住者や一般会員等が受講しやすくするための通信教育、スクーリング制度の導入を含め、より効果的な実務補習のあり方について、日本公認会計士協会を中心に検討を行う必要がある」というような報告を承っておるわけですけど、その後、通信教育、スクーリング制度というのは具体化をしておりませんで、その理由、過去のことも含めてですけど、一つは、通信教育というものが、協会がもしやるとしますと、今説明したような実務補習と同じレベルを通信教育でやるというのが非常に難しいということもあると思うんです。
 もう一つは、その間、先ほど申し上げたように、教材を相当充実させるという方向に注力をしたということがありまして、実務補習そのものの教材と通信教育の教材は同じようなわけにはいかないということで、通信教育用の教材をどうやって作るかということも含めまして、通信教育については、前回御指摘いただいているわけですけど、具体化してないということをまず御報告しなければいけないと思います。
 もう一つは、そのかわりというのも変なんですけど、その他に書いてありますように、協会では、協会の実務補習所に通えない会計士補、会計士補となる資格を有する者に、会計士補教育に対する支援の一環として、次の方策を実施しています。
 実務補習講義の資料と、これは教材ですけど、講義の録画テープ等を提供するということで、地方の会計士補に対して実務補習所の教材と実際のビデオもしくはテープという場合もありますけど、そういうものを提供して、それを参考にして勉強してもらうということと、もう一つは実務補習所に先ほど申しましたように泊まり込み研修というのがありますが、実務補習所に行けない地方の人がそれに参加するような制度を作っています。
 実務補習所のない札幌、仙台、静岡、浜松、広島、福岡に会計士補がいるということもありまして、その人達を対象に研修の受入れをしているというような形で、実務補習所がないところの会計士補に対する教育もしている。ただ、それは協会自体が通信教育をして実務補習をやっているということではなくて、それぞれの地域の監査法人とか指導公認会計士が実務補習をやっているのをお手伝いするということをしているというのが現状です。
 先ほど御説明した中で、修了できなかった人の数は、平成9年10月の合格者、11年の10月、去年の10月12日に修了しなければいけなかったわけですが、修了できなかった人が34名、その前の年は24名となっており、そういう人を継続生と呼んでいますけど、落第をさせています。
 以上、簡単ですが、実務補習所の現状ということで御説明しました。


神崎座長  ありがとうございました。
 続きまして、試験委員を御経験された立場から、「公認会計士試験制度のあり方」等について、明治大学商学部の森川八洲男教授から御意見をお伺いしたいと思います。
 森川教授は、昭和57年~61年にわたって第2次試験の「簿記論」、平成4年~平成7年にわたって第3次試験の「論文」を御担当いただいております。
 それでは、森川教授、よろしくお願いいたします。


森川参考人  森川でございます。よろしくお願いします。
 お手元に、「公認会計士試験制度の見直し」という「資料2」のペーパーが参っていると思います。大変簡単なもので恐縮ですけれども、一応それに基づきまして、この見直しについて、日頃考えていることをまとめてみたわけです。
 この見直しの問題を考える場合の問題意識として二つの点が挙げられます。一つは、今回の改正における要請ですね。つまり合格者の数の増大、量的増大、そういうような要請を満たしながら、他方において、質の維持をどういう形で図ることができるのか、このいわば二律背反の要請をどういうように調整し得るのかということです。
 いま一つは、大学で会計教育に携わる者といたしまして、現在は試験制度と大学における会計教育が乖離しているというような感じを強く受けているわけですが、そういう点から、大学の会計教育をレベルアップするという前提の下で、両者をリンクするというような形のものが考えられないだろうかということです。
 日頃、ゼミナールの学生諸君などとの話し合いの中でいろいろ指摘があったことを参考にしているわけであります。以下、見直しにつきまして、ペーパーには I 、 II 、 III と三つに分けて、ごく簡単な項目が列挙してあるわけです。
 まず第1に、現在の試験実施面における改善ということになるわけでありますけれども、まず、2次試験のうちの短答式試験につきましては、そこに四つ項目が列挙してあるわけでありますが、(1)の出題内容については、学生の声をいろいろ聞いてみますと、一つは、試験時間に比べて出題数が多過ぎはしないか、というような声がかなり強くあるようです。
 それから、(2)が、五つの選択肢があって、その中から正答を見つけるということになりますけれども、その正答が必ずしも明確でないような問題が見受けられる。あるいは2個以上の正答があると思われる問題が見受けられるというような指摘もございます。
 次に、(3)でありますけれども、五つの選択肢の中から正答数を問うという問題が多いようですけれども、この場合には誤りが相殺される可能性があるのではないか。そのために実力の正確な把握ができるんだろうかという疑問が出されております。
 それを踏まえて、(2)のところでありますが、まず、短答式の問題につきまして、問題が多様である、バラエティーに富んでいるという点が見受けられ、そのため、問題の標準化ないしは出題範囲の明確化という点についての工夫が欲しいということです。
 例えば、日商簿記などにつきましては、各級別に出題の範囲とか項目の明確化という点が出題区分表を通して明らかにされているわけですが、そういうような工夫ができないだろうかということであります。
 さらに、(3)ですけれども、短答式の合格者につきまして、一定期間、例えば2年間、あるいは3年間、短答式の試験を免除する、というような措置が考えられないだろうかということであります。2次試験というのは受験負担がかなり大きいという点に対しての配慮であります。
 それから、(4)でありますが、模範解答やその配点につきまして、適当な時期に、できるだけ速やかに公表されるということが必要ではないか。受験生は、特に短答式の問題につきまして、いろいろな疑問を抱えているようでありまして、そういう声に対して応えるという意味を含めまして、模範解答等について公開できないかということであります。
 論文式につきましては、平成4年の制度改革以来、科目の出題者の複数化に伴いまして、全体的に特殊な、あるいは特異な問題は姿を消しつつあるというように思われるわけで、その面で改善が見受けられるように思うわけでありますけれども、まだ科目によっては依然としてそのようなタイプの問題が見受けられる。特に必修科目に対して、選択科目についてはその傾向が明確にあるんじゃないかということが一応指摘されているわけですが、そういう指摘を受けまして、論文式試験についても問題をできるだけ標準化する。特に選択科目についての問題を標準化するという方向が考えられていいんじゃないかということです。
 いま一つは、特に現在の受験教育とか、受験勉強との関係でありますけれども、暗記といいますか、あるいは断片的な暗記といいますか、そういうものを前提にした問題の出題ではなくして、基本的には思考能力。会計士業務の基礎には一定の思考能力、あるいは問題解決能力や、判断力が必要であるわけですから、論文式の試験につきましてもできるだけ思考能力を育成する点に重点を置いた基本的な問題の出題が望ましいのではないかということであります。
 それから、(3)でありますけれども、これは要するに、特に論文式の問題につきまして、権威ある第三者機関の批判に待つ、あるいは評価に待つということでありまして、第三者機関、例えば日本会計研究学会とか日本公認会計士協会等、そういうものによる事後のレビューが行われる必要がありはしないかということであります。この第三者の評価を受ける試験の例については、例えば入学試験で入試センターテストがあるわけでありますけれども、そういうような形のものが会計士の論文式試験においても取り入れることができないんだろうかということであります。
 2の3次試験につきましては、これは3次試験の委員を経験しまして、特に筆記試験と口述試験という場合に、口述試験について改善する面が幾つかありはしないかということですが、一つは、現行の口述試験は、筆記試験受験者の合格内定点以下のものを特に救済するという措置に止まっているのではないか、そういうような感じを当時強く持ったわけであります。この口述試験というものが筆記試験と並んで取り入れられているとすれば、それはどういう意味があるんだと、そういうものが現行の試験の中で生かされているのかどうかということについての検討をしていただく必要がありはしないかということであります。
 それから、口述試験の出題でありますけれども、これが非常に試験委員によって多様でありまして、やはりある程度の問題の調整とか、標準化が必要ではないかいうふうに思われるわけであります。
 次に、 II の試験制度の見直しについてであります。
 これは2次試験につきまして「制度全体」と書いてあるところでありますが、(1)は暗記中心の専門学校偏重受験教育に伴う弊害を何らかの形で是正する必要があるのではないか。特に暗記一辺倒といいますか、断片的知識の詰め込みに受験教育とか受験勉強がなっていはしないか、そういう疑問を日頃学生の学習を見ていまして、強く感じます。
 そういう中で、会計士業務に必要不可欠な思考能力とか判断力の育成という面が阻害されつつあるんじゃないかというような懸念を持っているわけです。これについて、どういう形で是正するのかというようなことが問題になるわけですが、その問題と(2)(3)(4)とは関連するわけです。
 先ほど問題意識の一つとして挙げました試験制度と大学の教育というものをどのようにリンクさせるかという問題でありますが、先ほどお話しいたしましたように、大学教育に携わっておりまして、会計士試験の受験と大学の教育というものが大変乖離している、かけ離れているという点を強く感じるわけです。この場合に特に大学教育を、これは良い知恵はないんですけれども、改善ないしレベルアップをすることを前提として、何らかの形で両者をリンクさせるという方向を追求することが必要ではないかということになるわけであります。
 それとの関連で、(3)のいわばアカウンティング・スクールというようなものを試験制度の中に取り入れることはできないんだろうか。このアカウンティング・スクールというのは、御承知のように、今日もお話があると思いますけれども、司法試験制度の改正のところでかなりクローズアップされてきますロースクール構想に学んだものでありまして、特に学部の教育と大学院の前期課程の教育とを接合する。そうして、そこで、特に会計とか監査等を中心として、思考能力とか、問題解決能力を養うような専門的教育を実施するというような方向が考えられないんだろうかということであります。この点についての詳細は、ロースクール構想を取り入れていくという方向でありますから、司法試験制度の改革の中で、特にどういう点が今問題になっているかということをぜひお聞きしたいと思っております。
 これが実現した場合には、試験制度は、アカウンティング・スクールの履修者が受験するシステムというのが一つ考えられる。
 それから、この制度の外にある受験者、社会人を含めた層に対しても試験制度は残しておく必要があるというような形で、いわば2本立ての方向になると思います。この問題は、同僚などと話し合っている中で出ている点です。
 次のB.科目合格制の採用という問題でありますけれども、これは先ほどの問題意識の第1の量的増大に対応する一つの方策、措置として考えられるように思います。学生と話し合っておりますと、7科目一度に合格することは、受験負担という点で大変重い。一方においては大学の教育を受けなければならないというようなことをよく聞くわけでありますけれども、そういう中で、これは一つには受験生の負担軽減ということにつながるのではないか。それから、受験者数の増加ということにも結び付く可能性があるのではないかということであります。
 (2)は、それとの関係で、全体の合格者の増加と結び付くのではないかということですが、これによって量的拡充の方向に結び付くのではないかということであります。
 それから、いま一つ注意する点は、社会人受験生がこのような科目合格制をとることによって増加することが期待されるわけです。特に科目合格制の採用の仕方によりましては、受験負担が大変重いために、現在の2次試験は受けられない社会人の層が受験する可能性はかなりあるんじゃないかということであります。そのような形で受験生の合格者の増という量的増大の要請に対応しながら、他面において、質をどう保持するかという問題があるわけですね。
 特にこの質の問題につきましては、会計制度がかなり大きく変革する中で監査人の質の充実とか向上が不可欠であるという要請が一方においてあるわけで、この問題をどのように考えたらいいのかということですが、この問題について考える場合に一つのヒントになるのは、現在の税理士試験において、すでに科目合格制が採用されている点ですね。
 この税理士試験の先例によりますと、科目合格制を採用しても全体としての質の低下には必ずしもつながっていないのではないかということを言われる方がかなりいるわけですが、この点が一つの参考になるように思うわけです。
 ただし、その場合でも、科目合格者について、一定の期間に限定する必要があるのではないかということです。科目合格の有効性について、期間限定をするというような配慮をすれば、質を維持するという面からの歯止めにもつながるのではないかと思われます。それが科目合格制の問題です。
 2次試験について、いま一つの問題は、試験科目の見直しの問題であります。
 これは選択科目として追加される項目が何かあるのかということですが、一つは、特に財務論という科目を選択科目として追加してはどうか。特に現在、会計制度改革の一つの大きな柱になっております複雑な金融商品とか金融取引の増大の中で、その仕組みなどについて、学ぶ必要があるのではないかという点を勘案して、これを選択科目として追加することが考えられるのではないかということであります。
 (2)につきましては、選択科目を短答式の形式で出題してはどうかということでありまして、特に、先ほどもお話しいたしましたように、平成4年の制度改正が行われて、問題の出題についてはかなり改善されている面が見受けられるわけでありますけれども、他面において、選択科目については、まだまだ非常に特殊な個々の学説に基づいてしか解答できないような問題が多いというようなことがございます。受験生はそれをキャッチしておりますから、それに対して備える勉強についても、試験委員が決まってからでないとできない。試験委員が決まってからスタートするというような形をとっているようであります。このような問題に対する対応として、短答式の形式での出題というものが考えられないだろうかという点であります。
 このように考えた場合には、2次試験は論述式と短答式、必修科目については論述式により、選択科目については短答式によるという形になるわけでありますが、このような方向も一つのアイデアとして考えられるのではないかということであります。
 それから、2は、3次試験についてであります。
 3次試験は、言うまでもなく、公認会計士になるための実務能力の育成を目的としたものでありますが、現在の3次試験は、中には実務の修得内容を問う問題も出ておりますけれども、形の上では筆記試験が中心になっているということです。そういうものに代えて、実務補習を拡大・充実させるということを前提として、その修了をもって公認会計士となるようにしてはどうかということも考えられはしないかということであります。
 次に、 III でありますけれども、研修制度、インターン制度の見直しにつきまして、二つの項目が列挙してあるわけでありますが、一つは、監査人の責任並びに倫理に関する研修を重視することです。
 先ほど実務補習所での補習のことについて御説明がございましたけれども、そのカリキュラムの後ろの方に、例えば「職業倫理」というのが一つだけ、「法規・その他教科」というところに掲げられておりますけれども、これをベースにしながらも、さらにその徹底を図る。その背景には言うまでもなく、今日の監査をめぐる不祥事件に対応という意識があるわけです。その研修を、研修制度を通して強化できないんだろうかということであります。
 それから、いま一つは2番目で、「業務補習」と書いてありますが、これは正確には「業務補助」と言うのだと思いますが、個々の事務所レベルで行われていて、事務所によってかなりまちまちの形で行われていると聞いております。これにつきまして、業務補助の標準化を通してその制度の充実が図れないだろうかということであります。
 以上、かなり長期的な視点からの改革の問題も含めまして、日頃考えていることをお話しさせていただきました。
 以上です。


神崎座長  ありがとうございました。
 続きまして、当検討小グループの検討事項として、「試験制度改善の基本的な考え方」があり、公認会計士の質と数の関係について議論を深めていただく必要があるわけでございますが、司法試験においては、司法試験合格者の増加、試験科目の変更、司法修習期間の短縮等の改革が行われていると伺っております。
 この司法試験制度改革における考え方等をお伺いすることは、当小グループにおける議論においても大変参考になると考えられますので、「司法試験制度等改革」の状況につきまして、法務省の方から御説明をお伺いしたいと存じます。
 本日は、大臣官房司法法制調査部の小林昭彦参事官、同じく司法法制調査部の中川深雪部付検事、大臣官房人事課の樋口昭吉試験管理官に御出席いただいておりますので、御紹介し御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。


小林参考人  今紹介いただきました小林でございます。私の方から代表して、司法試験の制度改革につきましてお話を申し上げたいと思います。
 初めにまず、今、森川先生のお話を聞いていて、例えば暗記中心の専門学校偏重受験教育というようなことをお聞きしますと、司法試験もまさにそのような問題を抱えております。法的思考力を養う、あるいはそれを問うという試験制度が理想だと思いますけれども、そういう問題を抱えておりまして、今後ともなお司法試験の方も改革をしなければいけないという状況ですけれども、その将来的なことは最後にお話しすることといたしまして、まず、ここ10年の間に2回ほど司法試験制度について改革を行いましたので、その状況をお話ししたいと思います。
 今日お配りした、予め用意させていただきました資料3「司法試験制度等改革の経緯」、それから、今日新たに追加させていただきまして、「司法試験制度の概要」というペーパーを付け加えさせていただきました。
 司法試験制度、まず、その概要について若干お話をした方が御理解いただきやすいかなと思いまして、神崎座長は前に法務省の司法試験の考査委員を長年務めていただきましたので、その必要はないかもしれませんけれども、2回の改革を経て、現在の制度はこうなっていますということをまず御説明し、その後に2回の改革の内容についてお話をし、最後に現在抱えている問題と今後の展望ということでお話ししたいと思います。
 まず、司法試験制度の概要、現在の司法試験制度。
 実は、2回の改革を経て、今年から一番新しい司法試験制度が実施されるということになっております。基本的なところは変わっておりませんで、司法試験の目的といたしましては、司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験。通常ですと、大学のとりわけ法学部を卒業ないし法学部に行きまして司法試験に合格する。司法試験に合格した後は、実は司法修習1年6カ月というのは去年から実施されているんですけれども、それまでは2年間ですが、現在は1年6カ月間の司法修習。これは前期と後期とその真ん中にある実務修習というのに分かれているんですけれども、前期というのは、和光にございます司法研修所に全員が、司法修習生、今年4月採用は多分1,000名ぐらいいると思いますけれども、全員が和光の研修所に集まって、講義あるいは起案等の修習を受ける。その後、3カ月ぐらいですけれども、全国50程度の実務修習地に分かれまして、各地裁、日本にある地裁の所在箇所全部ですけれども、行きまして、地方裁判所、その地方裁判所の間に家庭裁判所にも参りますけれども、それから検察庁、地方検察庁、各弁護士会、とりわけ具体的に法律事務所に行って、実際に裁判官としての仕事、裁判官でありませんけれども、裁判官と同様に法廷に入って記録を見て判決の起案を書く、あるいは検察であれば取調べをする、弁護士であればクライアントと直接会って契約等の相談に当たる、そういう修習がございます。その修習が1年間ございまして、その後、最後にまた3カ月、和光にある研修所に戻りまして、そこで全体のまた講義、起案等の修習を受ける。この1年6カ月の修習が終わった後に試験、「2回試験」と我々呼んでおりますけれども、試験がございまして、それに合格をすると初めて判事補あるいは検事、弁護士になる資格を得る。こういう仕組みをとっております。
 司法試験とその内容について申し上げますと、まず、運営といたしましては、司法試験管理委員会というのがございます。この管理委員には、現在、法務事務次官、最高裁判所事務総長、それから、日弁連の推薦する弁護士、現在は日弁連の事務総長が任命されておりますけれども、この3人によって構成されているということで、我々要するに法務、検察、それから最高裁あるいは裁判官、あるいは日弁連、弁護士、これを「法曹三者」というふうに呼んでおりますけれども、現在の管理委員会はこの法曹三者によって構成されているということでございます。
 それから、具体的な司法試験自体は、この管理委員会の推薦に基づいて、法務大臣が任命する司法試験考査委員が実際に試験自体は行うということでございます。
 一次試験、これは省略しまして、二次試験。法律の専門的な試験は二次試験でございますので、これには平成12年の場合、148名の考査委員が任命されておりますけれども、約半分ぐらいが大学の教授、あとの半分は法曹、実務家。実は私も憲法の考査委員をさせていただいておりますけれども、法務省の検事の身分を有する者であったり、あるいは裁判所の裁判官の身分を有する者、あるいは弁護士、そういう実務家が半分ぐらい入っております。これは大体各科目約半々、大学の教授と実務家が半々というような構成をとっております。
 司法試験の実際に問題を作るのはこの考査委員が考査委員会議というのを開いて、例えば憲法であれば、憲法の委員が全員集まって問題を作る。採点をする。最終的には全考査委員が集まって、それぞれの試験ごと、つまり短答式、論文式、口述というふうにありますけれども、それぞれの合格者を決める。こういう仕組みになっております。
 試験自体ですけれども、第一次試験というのは司法試験の場合、大学の教養課程を経ていれば免除されるということで、大学の教養課程も経ていない方、例えば高校を卒業しただけの方が司法試験を受けられるようにということで行う試験で、非常に数は少のうございますので、この点はちょっと省略させていただきます。
 第二次試験については、御承知のとおり、短答式試験、論文式試験、それから口述試験とございます。1年間、まず5月の始めから始まって、10月の下旬まで長く続く試験ですけれども、短答式試験というのは、憲法、民法、刑法。現在は各20問ごと、多肢選択式、1から5の中の正解を選ぶという方式で、各科目20問、合計60問ございます。
 それから、論文式試験というのは、今年からは憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法ということになりまして、通常ですと各2問、論文式の試験を行います。
 それから、さらにそれを経て口述試験。これは憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法。ただし、今年からですけれども、民法と民事訴訟法、刑法と刑事訴訟法は一緒に行おうということで、三つのコマで行うということになっております。
 出願者・受験者数・合格者数が「資料3」の2枚目にございますけれども、具体的に数がどうなっているのかということで、昭和24年度から平成11年度までの一覧表を掲げてございます。
 一番最後、昨年の平成11年度で見ていただきますと、出願者数が3万3,983名。出願者数はここ数年非常に増えてきておりまして、今年はこれを上回る勢いです。それから、受験者数が2万9,887名。ですから約3万名が受ける。そのうちの短答式で合格するのが5,717名。大体6,000名程度合格する。それから、論文式試験が1,038名。ですから1,000名ちょっと合格する。最終合格者数が昨年の場合はちょうど区切りになりましたけれども、これは偶然ですけれども、1,000名。最終合格者の平均年齢が26.82歳。対出願者の合格率が2.94%、対受験者の合格率が3.35%。こういう試験でございます。
 続きまして、ここ10年の間に2回行われた改革につきまして、これは「資料3」の1枚目にその概要を書いておりますけれども、まずこの話を申し上げたいというふうに思います。
 平成3年に改革が行われましたけれども、実は昭和62年ぐらいからいろいろな形で延々と議論をしてきて、最終的に平成3年に改革に至ったということでございます。昭和62年頃からどういう問題があって、どういう問題意識で改革が行われたのかと申しますと、端的に申しますれば、合格までの受験期間が非常に長期化して、合格者の平均年齢が当時は平均28歳、それから、合格までの平均受験回数が6回。つまり平均的に見ても6回受験しないと合格しない、そういう長期化をしまして、逆に言うと、やや難しくなり過ぎて受験生離れ。優秀な受験生が司法試験を回避するようになってしまった。非常に長期化する。これは非常に問題だということで、これを何とか緩和できないだろうか、これを何とかもう少し早期に合格できるようにできないだろうかという問題意識から、第1次改革が始まりました。
 法務省としては、その危機意識から、法曹基本問題懇談会というのを開催し、その提言を受けて、人事課長が試案を公表したということがございました。それから、先ほど申しました最高裁、日弁連とともに、昭和63年12月から法曹三者会議、法曹三者の間で、このままでは司法試験の状況が危機的であるから、何とかこれを改善しようじゃないかということで話し合いを行いまして、その話し合いの結果、平成2年の10月に司法試験制度改革に関する基本的合意に至りました。この合意に基づいて、翌平成3年に司法試験法の改正等の第1次改革が行われたということでございます。
 その改革の内容ですけれども、まず第1には、合格者の増員。従前、先ほどの一覧表で御覧になっていただければ分かりますけれども、最終合格者数というのは、昭和39年に508名、500名を超えて以降、ずっと大体500名から400名程度。つまり 500名前後で20年間以上推移してまいりました。これをもう少し増やそうということで、平成3年から600人程度に、平成5年から700人程度に増やそうじゃないかというのが第1でございます。
 第2は、論文式試験における合格枠制の立法化。これは受験期間が3年以内の受験生について一定枠の合格枠。つまり論文式試験について7分の5は、今までどおり全受験者から合格させます。7分の2は、3回以内の受験者だけから合格させます。現在これが9分の7と9分の2というふうに数字が変わっておりますけれども、そういう合格枠制を設けて、少しでも早期に合格できるような仕組みにしようということ。ただし、これを直ちに実施するのではなくて、先ほど申し上げた平成3年から5年間合格者を増員して、平成7年の試験結果が一定の割合、つまり早期合格者の割合が一定の基準に達するかどうかで合格枠制の実施を決めようということになりました。立法化自体は、平成3年のときに立法化しております。
 もう一つは、論文式試験と口述試験における非法律選択科目。これは実は、私が受験した昭和53年にもございましたけれども、政治学、経済言論、財政学、会計学、心理学、経済政策、社会政策の中から1科目を選択しなさいということで、いわゆる教養科目というのがあったんですけれども、これを廃止して受験生の負担を少しでも減らそうということで、これは平成4年の司法試験から実施されております。
 それから、もう一つは、今申し上げた改革というのは、やはり抜本的な改革ではない。もっと国民的見地に立った抜本的改革を協議しようじゃないかということで、法曹養成制度等改革協議会というのを設置いたしました。これは法曹三者の代表、それから大学関係者、学識経験者。これはマスコミの方とか、消費者団体の方とか、いろいろな方から入っていただきましたけれども、20人の委員で抜本的改革を話し合おうじゃないかということとなりました。
 まず、結果ですけれども、この第1次改革の結果、平成3年度から、ここに見ていただければお分かりのとおり、平成3年度の合格者を605人、4年度が630人、5年度が712人、6年度が740人、7年度が738人というふうに合格者を実際に増やすことになりました。
 それから、合格枠制につきましては、先ほど申しました3年以内の受験生を特別枠を作って合格させるという制度。これは結局、平成7年に一定の基準に達しないということから、平成8年から現在に至るまで実施されております。
 それから、法曹養成制度等改革協議会、これは平成3年6月にスタートいたしまして、結局、平成7年11月まで議論をし、平成7年の11月に意見書を取りまとめました。この意見書に基づいて第2次の改革が行われたということでございます。
 この意見書はどういうことを言っているかといいますと、「司法の機能を充実し、国民の法的ニーズに応えるため、法曹人口を増加させる必要があり、そのために、司法試験合格者を増加させる措置をとるべきである」ということで意見が出ております。具体的な合格者の数字は、1,000人に増加させるという点では一致いたしましたけれども、多数意見は、これを中期的には1,500人程度にすべきである。少数意見としては、すぐにはそういくわけではなくて、さらに検討をする必要がある。こういう結論でございました。
 この意見を受けまして、さらに先ほど言いました法曹三者協議会が平成8年7月から始まりまして、平成9年10月に司法試験制度と法曹養成制度に関する合意というのに至りました。
 この合意に基づいて、翌平成10年に司法試験法と裁判所法の改正の第2次改革が行われたということでございます。
 この内容ですけれども、この意見書が1,000人に合格させるべきだという点で全委員の一致を見たということから平成10年度には800人程度に、平成11年度からは1,000人程度に増加させようと。これは一度に1,000人合格させると、司法研修所等の対応が間に合わないということで、二段階に分けて1,000人に持っていこうということでございます。
 それから、司法修習制度を見直して、より効率的、効果的なカリキュラムの編成等によって、修習期間を従前の2年から1年6カ月に変更する。これは平成11年度から実施されております。
 それから、論文式試験の試験科目につきまして、従前は民事訴訟法と刑事訴訟法の中、どちらからか一つ選ぶということでしたけれども、今後の法律家として、どちらかだけでは不十分じゃないかということから、民事訴訟法と刑事訴訟法を両方とも受験科目にする。それに伴って、従前ございました法律選択科目は、民事訴訟法、刑事訴訟法で選ばなかった方と、それから、行政法、破産法、労働法、国際公法、国際私法、刑事政策、この中から1科目を選択するというのがございましたけれども、これを廃止して、受験生の負担が過重にならないようにしようと。
 それから、口述試験から商法が除かれることになりましたけれども、憲法、民法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法の5科目で口述試験を行おう。これは先ほど申しましたように今年から実施されるということでございます。
 この平成10年の改革の結果、平成10年度の合格者は812人、それから、11年度の合格者は先ほど申し上げたとおり1,000人ということになっております。
 最後に、今後の展望ということですけれども、先ほど森川先生もおっしゃったとおり、法曹人口の増加というのが国民の法的ニーズに応えるという意味から、ぜひ必要だろうという点はほぼ一致しているんですけれども、併せて質をどうやって確保したらいいかということが実は司法試験制度でも大きな問題となっております。
 それで、まず、1,500人程度への増加ということが今いろいろなところで議論されているわけですけれども、政府の規制緩和推進3カ年計画におきましても、「司法試験合格者の1,500人程度への増加については、修習の内容や方法の改善、司法修習生の修習先への受入体制等について継続的に調査検討を行った上で、国民各層からの意見を反映した新たな中立的立場で行う検討の結果をも踏まえて、適切かつ迅速に検討を進め、早急に結論を得て所要の措置を講ずる」というようになっております。
 それから、昨年12月14日に公表された規制改革委員会の第2次見解につきましても、「司法試験合格者の1,500人程度への増加については、既往の閣議決定に従い、その着実な推進を図るべきである」とした上で、「なお、法曹人口の大幅増員については、現在司法制度改革審議会において検討が進められており、その検討結果をも踏まえて、適切かつ迅速に実現を図る必要があり、同審議会において前向きの改革案を可能な限り早期に取りまとめられることを強く期待する」というようにされております。
 この司法制度改革審議会というのは、御承知のことと思いますけれども、昨年の7月に内閣に設置されまして、「21世紀の我が国社会において、司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹のあり方とその機能の充実・強化、その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し、必要な基本的政策について調査、審議する」ということで、委員13名からなりまして、今審議をしているところでございます。最終的には来年の7月までには意見書を内閣に提出する。内閣としては、その意見を最大限に尊重して実施する。こういうことになっております。
 ここで間違いなく「法曹養成制度」、「法曹人口の適正な増加」という項目がございますので、司法試験の合格者を何人にしたらいいだろうかということが議論されることが予定されております。
 それから、先ほどちょっと森川先生も触れましたロースクール構想というのがございます。これは文部省の大学審議会が一昨年、平成10年の10月に答申を出しまして、「法曹養成のための専門教育を修了した者に、法曹への道が円滑に開ける仕組み、例えばロースクール構想などについて広く関係者の間で検討していく必要がある」ということで、新たにロースクール構想というのが出されました。これをきっかけに各大学、現在まで、先週の金沢大学まで含めて約20近い大学がシンポジウムを開きまして、ぜひ法科大学院、4年制の上にさらに2年ないし3年の法曹養成専門の法科大学院を作って、そこで法律家の養成をすべきである、あるいは法律家養成の一環として専門的な法学教育を行うべきである、こういう主張でございます。
 先ほど申し上げた司法制度改革審議会におきましても、論点整理として、大学法学教育の役割というのが取り上げられる予定でございまして、「法曹養成のためのプロフェッショナルスクールの設置を含め、法学教育のあり方について抜本的な検討を加えるべきである」というふうに昨年12月に公表された論点整理では整理されております。従いまして、今後かなり早い時期に、司法制度改革審議会では、このロースクール、日本型ロースクールですけれども、法科大学院の設置の問題も含めまして、法曹養成制度全般について、そのあり方が審議され、何らかの意見、結論が来年7月までには出るのではないかというふうに考えております。
 ちょっと駆け足でいろいろ申し上げて申し訳ございませんけれども、私からの御報告、御説明は以上のとおりでございます。


神崎座長  どうもありがとうございました。
 御参考人として御出席賜りました方々には、大変御多忙のところ貴重な御意見等をいただき、ありがとうございます。
 折角の機会でございますので、参考人の方々の御意見等に関し、御質問等がございましたらお伺いしたいと存じます。
 なお、「司法試験制度等改革の状況」につきまして御説明いただきました法務省の参考人の方々は、この後、所用があり、会議終了予定時間の少し前に中座されるとのことでございますので、最初に「司法試験制度等改革の状況」につきまして、御質問等をお願いいたしたいと存じます。
 いかがでございましょうか。
 どうぞ、三原委員。


三原委員  それでは、小林さんに2点ほどお伺いしたいんです。
 第1点は、この資料で見ましても、平成8年度あるいは10年度に最終合格者の数は増えておりますけれども、具体的にどういう方法で、あるいはどういう方法が効果があったのか、合格者の数の増加に対するやり方ですね。その辺を聞かせていただけたらというのが第1点。
 それと、もう一つは、科目別の合格制を採用するお気持ちは全然ないのか。もしないとすれば、どういう理由でその辺は採用する気持ちがないのか。その2点をお聞かせいただきたいと思います。


小林参考人  まず第1点、どういうふうな手段によって増加させたかということなんですけれども、これは先ほど申し上げたとおり、合格者を決めるのは司法試験考査委員で考査委員会議というので決まります。従って、法曹三者が単に合格者数を増やしましょうと言ったからといって、直接その効果として合格者が増えるというものではございません。
 ただ、その司法試験の合格者どうするかというのは、一定水準、その後1年半なり、当時だったら2年なりの修習を経た後に、いわば判事補、検事、それから弁護士としてちゃんと訓練ができる、それだけの法律的な資質を備えているだろうかということが問題になるわけですけれども、それについて国民のニーズが非常に高い、あるいは受験生の質がレベルが非常に高いということから、一定程度の政策的な判断を法曹三者が示して、司法試験の考査委員というのはその判断を受けて、それをも考慮に入れて最終的な合格者を決めるということで、司法試験管理委員会の方から法曹三者としてこういう法曹養成について意見を持っているということを考査委員の先生方に伝えまして、考査委員の先生方は、そういうことも考慮に入れて最終的な合格者を決めたということで、必ずしも法曹三者の合意が決定的といいますか、拘束されるわけではありませんけれども、現在の司法試験の状況から見て、考査委員の先生方から見て、私自身も考査委員ですけれども、その程度の合格をさせても質が落ちることはない。十分1年半なり2年の修習後には一人前の法律家になれるだろうと、そういう基準で合格者数が増えていったということでございます。
 それから、もう一つは科目別合格制ですか、これは内々にはそういう議論もないわけではございません。先ほど申し上げたとおり司法試験制度というのも、司法制度改革審議会の審議に単に委ねるということではなくて、私ども法務省あるいは司法試験考査委員の間でも、何とか新しいよりよい制度にしていこうということで委員会などを開いて運用改善をしております。その中ではそういう意見を述べられる方もいて、司法試験の場合も検討した上でそれをとらないということではなくて、今後検討すべき課題の一つかなと。ただ、今のところ、そんなに強い意見としては出ていないのじゃないかなという印象ですけれども。


三原委員  どうもありがとうございました。


神崎座長  どうぞ。


加古委員  今のお話で、量的な増大と質的な向上を同時に維持していきたいということなんですけれども、これを見ていますと、1,000人に増えたのが11年度ですけれども、「資料3」の2ページ目の一番下ですけれども、8年度の合格率が3.35%で768名になっています。その意味では合格率が変わってないわけで、受験者が圧倒的に増えて母数が増えたので、1,000人採っても従来の合格率どおりに合格させることはできた。従って、質も低下しなかったという意味で、誤解かもしれませんけれども、何らかの政策が働いてこうなったというよりも、母数が増えたことがこういう結果になって、質も余り落ちなかった。もし政策が働くとすれば、この母数の方が、応募者の方が増えたということに何らかの政策的な効果が働いたのかとも思われますが、この辺の解釈はどのようにしていらっしゃいますでしょうか。


小林参考人  正直申し上げると、やはりある程度政策的判断の方が優先してあったのかなと私自身は思っています。
 ただ、もう一つは、合格者を増やすことによって、司法試験というのは今までよりも合格しやすくなったんじゃないかというイメージを与えて、より受験生が増えている。先ほど申しましたとおり、今年は昨年よりももっと増えそうで、これは司法試験の歴史上、昨年が最大だったと思いますので、それをさらに超える勢いだということでございます。
 それから、もう一つは、平成8年度から採用した合格枠制、3年目までの受験生に特別枠があって、合格しやすくなっている。これの効果もかなりあって、今までですとほかの道へ進んだ優秀な方が司法試験を受けてみようということで司法試験の方にトライしていただいている。そういう状況もあるのかなというふうに思います。


神崎座長  関委員、どうぞ。


関委員  先ほど森川先生から、監査人の責任・倫理に関する研修の重視ということをおっしゃられたんですが、そういう観点から、この司法試験の場合には特別な措置とかいうようなことをお考えになったんでしょうか、その点ちょっと。私はこれは大変大事なことだと思います。


小林参考人  では、中川参考人の方から説明します。


中川参考人  司法試験というのは、司法試験法2条にありますように、法曹にふさわしい資質能力を踏まえているかという点ですけれども、基本的には知識を問うというようになっておりますので、その人の信条でありますとか、理念的なものというのは一切試験では問わないというふうになっております。その倫理面でありますとか、法曹として本当にふさわしい教育を受けるかどうかというのは、司法試験を合格した後の司法修習がございますので、そちらの方で実際の倫理面については教育を受けるというようになっておりまして、平成10年度の第2次改革の際には、司法修習制度が1年6カ月ということに短縮にはなるんですけれども、その中に社会修習というものを入れましょうということで、社会の実相に触れさせるものが新たに導入されております。
 具体的には、例えば、修習生のときにいろいろなボランティアをするとか、実際の社会で働いている現場を見て、法曹としてどのようなニーズがあるのかということも実体験として把握をするというようなものが具体的に必要であるということで、昨年度の修習から新たに社会修習制度が設けられておりますので、そちらの方で手当てをしていくということでございます。


神崎座長  森田委員、お願いいたします。


森田委員  これは試験自体の問題ではないんですけれども、司法試験の合格者を増やすということは、その後の司法修習生がそれだけ増えるということですよね。それは全部国の予算で養成するわけですね。そうすると、例えば500人であったときと、現在1,000人、それから1,500人、それがちゃんと予算の裏付けがあるわけですよね。公認会計士の場合には、国から予算は出ているんですか、実務補習について。


福田委員  実務補習については、先ほども資料で説明しましたように、補習生からもらう分と協会が負担している分です。


森田委員  そうですね。協会が負担する分が非常に多いわけですね。そうすると、この辺は、我々そこまで考えないでいいのかどうか分かりませんけれども、多少違う問題がそこにありますね。
 これは司法試験制度の参考人としていらした方にお聞きする問題ではないかもしれないんですけれども、我々の方が公認会計士試験の合格者といいましょうか、公認会計士の人数を増やすということでは、やっぱり問題になるんじゃないんですかね。
 今のは感想なんですけど、もう一つ、先ほどのお話で、一番最後の口述試験がありますね。口述試験の不合格者というのは、はっきり言うとほとんどないと。非常に少ないですよね。1,030何人受けて30人ぐらいが不合格になった。これはどの程度のウェイトを持たせているのか。これは公認会計士で言うと、ちょうど3次試験の口述試験による不合格者はほとんどいないというのと似ているように感じましたので、どういう意図でこの口述試験をおやりになっているのか、この辺を聞かせていただけたらと思うんです。


小林参考人  この論文式試験の合格者は1,038名ですけれども、この論文式試験というのは、その年と翌年2回口述試験を受けられるという資格でございまして、端的に申しますれば、11年度の口述試験は、この1,038名の方と、それから、その前の年、平成10年に論文は合格したけれども、口述は合格しなかったという方が、正確な数字は分かりませんけど、30~40名ぐらいいまして、ですから、約1,080名ぐらいの方で行われて、結論は余り変わらないんですけれども、1,000名合格で80名ぐらい、約1割弱ぐらいの方が不合格になったということでございます。
 この口述試験と申しますのは、法律家というのはやはり法廷でもそうですし、あるいは当事者同士で示談等の交渉をする、あるいは契約等の交渉することもそうですけれども、やはり口頭でディスカッション等ができないといけないだろうということで、口頭でのやりとり、口頭でディスカッションする、あるいはディベートする、そういう能力を確かめるという試験でございます。
 現実にはそれぞれの科目ごとに行われますけれども、それぞれの科目ごとに採点をし、総合的に全部の点数の中から合格、不合格を決めているということです。大体具体的な事例を出しまして、その事例に答えていただいて、さらに質問していくということで、考査委員と受験者との間の口頭のやりとり、法律的なやりとりをしていく。法律的な思考能力、あるいは法律的な表現能力、討論をする力があるのかどうか、そういうのを見ていくということでございます。
 現実にどの程度合格させるかというのは、全体的なバランス等もあって、司法試験は、従前から口述試験というのは余り極端に不合格者の数は多くしない。レベルとしても、論文式試験まで合格した方々ですので、私自身考査委員をしていても、そんなに不合格にするべき人は数は多くないなというのが正直なところでございます。


森田委員  ありがとうございました。
 時間はどのくらい、1人について。これは1人ずつですか。


小林参考人  必ずしも何分と決まっているわけではないんですけれども、私自身の感じですと、1人15分~30分とか、ある程度の時間をやる。それから、考査委員の方も2人いて、それについて受験者が1人で、個室で行っているのが実情です。


森田委員  ありがとうございました。


神崎座長  木下委員、どうぞ、お願いいたします。


木下委員  司法試験で短答式、会計士試験の方でもございますけれども、司法試験の方では短答式の試験問題そのものも実際には試験場から持ち帰れないというように聞いていたのですけど、そういうことなんですか。


小林参考人  昨年から試験問題を持ち帰ってもよろしいということで、公表する、公開することにしております。


木下委員  それで、模範答案というのはどうなんでしょうか。


小林参考人  短答式については、解答の公表は現在しておりません。ただ、これは多岐選択式ですので、模範答案といいますか、正解、不正解があるんですけれども。それから、論文式試験につきましても、もちろん問題文を公表しておりますけれども、模範答案というものは現在は作成しておりませんし、従って、公表もしていないという状況です。


木下委員  公表しない理由というのは何かあるんですか。


小林参考人  論文式試験ですか。論文式試験は模範答案を作っておりませんので、そもそも公表もしようがないということです。


木下委員  短答式の場合はしないのですか、テストとして。


中川参考人  この点は司法試験の運用について検討する考査委員の方々の委員会がございまして、そちらの方で問題の公表も含めて、昨年度あたりから議論をしております。昨年度は問題については公表しましょうということで同意いただいたのですが、正解の公表につきましては、まだまだやはりいろいろと検討する必要性があると。
 これまで司法試験というのは、一方で予備校に依存して、勉強してしまうということで、短答式問題についても、仮に正解を公表することによって、受験生が一定の方向での勉強しかしないのではないかということで、非常にその点の危惧もありますし、将来的な事務の支障という点もまだ慎重に検討しなければいけないということで、その面から、正解についてはまだ検討中という段階でございます。
 それから、論文につきましては模範答案がないということなんですけれども、やはりこれにつきましても、仮に一定の方向を持ったものを答案として公表するといたしますと、それに沿った勉強しかしなくなるということで、偏った勉強のおそれが出てくるものですから、そういうものではないであろうということで、現時点では公表するという方向にも非常に消極論が強いということです。


木下委員  もう一つ。そうしますと、先ほどの森田先生の方から出ている出題範囲の明確化、そして問題の標準化というようなことをやりますと、非常に受験学校レベルではやりやすくなって、勉強の方向が一定の方向になってくるということにもなりかねないんですね。その辺は、勉強する側からすれば非常に勉強しやすくはなるんですけれども、特に短答式の場合には非常にその傾向が強くなるというように思われますね。
 司法試験の場合には標準化とか出題要領があって、その出題範囲の中で出しますというようになっているんですか。


小林参考人  はい、出題範囲は決まっております。
 それで、一つ申し上げたいのは、昨年から正式に公表しておりますけれども、実は受験予備校が再現をしておりまして、私が受験した昭和53年当時もそうですけれども、受験予備校が今年の問題はこういう問題だったというようなことを再現集、どの程度のものかはともかく、再現集というのを出しておりまして、現実には多くの受験生の方々が、再現された過去の問題を練習してきているというのが実情です。
 それから、もう一つは、ちょっと道がそれるかもしれませんけど、私たちも司法試験の内容、特に短答式については、単なる知識だけではなくて、できるだけ法的思考力あるいは論理力といったものを問う問題を作ろうということで、これはかなり前から努力して、いろいろそういう傾向の問題を作っているんですけれども、やはり予備校で新しい問題を作ると、そういう対策をするということがありまして、余り論理力を重視すると、今度、基礎的な知識のない人でも合格しかねない傾向になってしまうということで、その辺のところは、私どもも試験の内容を少しでも改善して、本当に質の高い、ちゃんとした、司法試験であれば法的思考力、法的問題解決能力がある人を選びたいということで、単なる受験のテクニックで合格する試験にはならないようにということは心がけているつもりです。


神崎座長  福田委員お願いします。


福田委員  合格者を増やすという、ある意味では試験を易しくしたということになる可能性もあるわけですけれど、そういうときに司法修習期間を短くするという。試験を易しくしたら、修習期間をもっと長くするなり、今までどおりというような考え方はなかったんですか。


小林参考人  もちろんそういう考え方もあり得るかもしれませんけれども、実際、受け入れる方からすると、非常に多くの司法修習生を受け入れるのは大変だということで、やはりカリキュラム等を見直して、合理化できるところは合理化して、期間を短くして、受け入れる方の負担も併せて考えたということで、私どもとしては、1年半にはなりましたけれども、実質的な内容は決して変わっていない。今まで2年でやってきたことを内容を見直して1年半でできるようにしたと。それは受け入れる数が非常に増えてきたということから、そういうふうな見直しをしたというように考えております。


神崎座長  関委員お願いします。


関委員  私は、数を増やす、それから、質も維持するということなんですが、公認会計士の場合、一体どれぐらいの量を、どれぐらいの人たちを期待するのかということを試験制度の検討の前提として、ある程度の合意を形成しておかないと大変議論が混乱するのではないか。どの程度の規模とどの程度の質を本当に世の中のニーズからいって期待するんだということは、ぜひ明確にしておく必要があるんではないかと、こう思っておるんですが、折角司法試験の先生方がいらしておりますので、1,500という中期的な規模というのは、一体どういう考え方で決めたのか。
 むしろこれは質を落とさないということから制約がかかったのか、全然それとは独立に1,500という数が決まってきて、そしてできるだけ質を落とさないようにしようと、こういう話なのか。人数を増やそうじゃないかということなんですが、どういう考え方でその増やす人数を決めていくのかということは私大変大事なことだと思うので、司法試験制度改革のときにその辺はどういう物の考え方の整理をされたのか、お聞かせいただければありがたいと、こういう質問です。


小林参考人  端的に申し上げまして、第1次改革のときは、司法試験の深刻な状況を少しでも緩和するために合格者を増やすという方法が考えられるという方に、より重点があったんじゃないかなと思います。国民の需要、ニーズというよりは、それももちろんあったと思いますけれども、重点がそちらの方に、よりあったのかなと。少なくとも議論を始めたときは、そうだったというふうに理解しております。
 第2次改革。これは先ほど申し上げました法曹養成制度等改革協議会を非常に長い間、4年以上にわたって行いました。
 実は私も当時、その事務局におりまして関係しましたので、当時どういうふうな議論したのかと申しますと、一つには、日本の法的ニーズがどれぐらいあるのか、これをある程度客観的につかめないだろうかということで、いろいろなアンケート調査も行いました。国民の方が法的問題を抱えたときに、一体どうしたいのか、あるいはどうしたいけれども、できないのか。つまり弁護士さんのところへ行って相談したいけれども、それができない。できないとすれば、なぜか。裁判を起こして解決したい。しかし、それができないのはなぜか。そういった大々的なアンケート調査を行ったりとか、それから、もちろんユーザーの側の方々。ユーザーといっても国民一般ということになりますので、いろいろな団体。消費者団体とか、労働団体とか、経済団体の方々にお話を聞いて、一体法律家に何を期待しているのか。数をどこまで増やすということを期待しているのか。あるいは学識経験者の方からもいろいろ話を聞きました。
 それから、先進諸外国の中で法律家がどれぐらいいるんだろうか。これは有名ですけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等の先進諸国において法律家がどれぐらいいるんだろうか。それが過剰になっていないか、あるいは足りない。どういう議論しているか。例えば、端的に言えば、アメリカは当時も90万人ぐらいいたと思いますけれども、それは非常に多過ぎるのではないかというような議論しているとか、そういった諸外国の事情も実際に諸外国の法律専門家の方に来ていただいて、お話を聞きました。
 それで、いろいろなことを総合してと言うと、何が何だか分からないじゃないかと言われてしまうんですけれども、やはり日本の法律家の数、法曹人口というのは少な過ぎるんじゃないか、もうちょっと増やすべきだというところで、あとは意見が分かれまして、最低限1,000人にまではすべきだというところから1,500人、あるいは意見の中には2,000人、3,000人というような意見もあったと思います。その委員会に出席していた方々の相当数が最低でも1,500人ぐらい、中期的には1,500人ぐらいにすべきだという意見をおっしゃって、それは今申し上げたようないろいろな調査検討を経て、そういうことになった。
 これは数字的にぱっと表すのはなかなか難しくて、やはり1,000人、1,500人に増やして、これは私の意見になってしまうかもしれませんけど、様子を見て、社会がなお法律家を求めるのか、求めないのか。過剰による何か弊害等が出るのか、出ないのか。それを見ていかないといけないんじゃないかなというような気がしております。
 ちょっと取り止めないことで申し訳ございませんけれども。


神崎座長  どうぞ、木下委員


木下委員  司法の場合には試験科目を基本的のものに、むしろ従来あった一般教養的なものを絞りましたよね。ただ、社会的な要請からすると、経済社会でのニーズが非常に多くなっている。例えば、我々との関係においては、合併の問題だとか、ファイナンスの問題だとか、必ず弁護士さんが出てくる。それから、海外との取引関係だとそれに関連した問題が出てくる。
 今我々の方の試験の改革の中では、我々の職業領域の広がりがあるので、試験科目にもっと選択科目を増やせとか、そういう意味では、基本的な会計だけじゃないよと、もっと違った領域の試験科目を増やすべきと、むしろ増やすような意見の方が強いんですね。
 この絞り込んだのは、むしろ実務の中で経験させるということでしょうか。


小林参考人  端的に申しまして、これからの法律家について、基本的な科目だけでいい、ほかの先端的な法律科目は要らないというわけではもちろんございません。あくまでも基本は、大学の法学部で幅広く先端的な科目を含めて勉強していただいているだろうと。ただ、司法試験に全部の科目を入れると非常に負担が重くなるので、やはり基本的な科目で御本人の力を試したいという趣旨です。
 ただ、先ほどちょっと申し上げたとおり、最近の受験生は、司法試験科目は一生懸命勉強するけれども、ほかの科目は勉強しないという傾向がありまして、先生御指摘の問題は、司法試験制度も抱えている問題です。
 最終的にどうなるか分かりませんけど、そういう問題を解決する意味でも専門的な大学院、ロースクールで幅広く法律を深く勉強させなければいけないといった意見も出ておりまして、現在司法試験が抱えている問題ですし、それについてどういう対応が一番いいんだろうかということでまさに議論している最中でございます。


大藤大臣官房参事官  ちょっとよろしいでしょうか。


神崎座長  はい、どうぞ。


大藤大臣官房参事官  事務局でございまして、恐縮ですが、ただいまも触れられましたロースクール構想との関係でございますけれども、これはロースクール構想が出てきているというのは、司法試験制度との関係だけではないんだろうと思いますけれども、司法試験の方ではロースクールの卒業者等について、例えばこういうことでメリットを与えるとか、フェーバーを与えるとか、そういうようなことで考えておられるのか。その辺の具体的なイメージがありましたら教えていただきたいんですけれども。


小林参考人  正直申し上げると、正式にはまだ全く何も決まっていないという状況です。先ほど申し上げましたとおり、一昨年の大学審議会の答申をきっかけに、各大学、20ぐらいの大学、これから後まだ6月ぐらいまで大学のシンポジウムが予定されておりまして、それぞれの大学がワーキンググループ等の名前ですけれども、大学院構想というのを今公表されて、議論している最中です。
 私たちが一番感ずるのは、どういう大学院ができて、どういう内容の、どういう教育がどういう方法で、誰によって行われるのか。それによって本当に質の高い卒業生が生まれてくるのかどうか。もしそうであるということであれば、司法試験との何らかの関連ということは考えられるけれども、今のところは、各大学の構想、似ている部分もあるし、違う部分もあるということで、まだ一致したものではありませんし、具体化というのも、最近ある程度具体化された案も出つつありますけれども、本当の意味で、こういうロースクールができるんだというところがまだ目に見えるほどは分かっていないという状況です。
 ですから、ある程度ロースクール構想の細部、先ほど申しましたどういう教育が誰によって、どういう方法で行われるのか、それによって本当に質の高い卒業生が生まれてくるのかどうかというところをある程度見極めませんと、司法試験との関連は何とも言えないというのが今のところの立場です。


神崎座長  どうぞ。


加古委員  確認ですが、先ほどの特別枠ですね、9分の2ですか、合格させる。その特別枠の合格最低点と一般の合格最低点との間に相当の差がありますでしょうか。


中川参考人  実際のところは1科目当たりも0.幾らというような点差で、それほど差はございません。


神崎座長  どうもありがとうございました。


小林参考人  大変申し訳ございません。私ども4時から別の会議がございまして、途中ですけれども、退室させていただきたいと思います。大変申し訳ございません。
 今日はどうもありがとうございました。

〔法務省退室〕

神崎座長  それでは、森川先生の御報告、あるいは福田委員の報告に関連して、御質問がございましたら、ぜひお願いしたいと思います。
 どうぞ、関委員お願いします。


関委員  これはもうお聞きしたことかも分かりませんが、実務補習というのは、ある程度の人を対象にやっているということで3カ所に分けてできているわけですが、増やす人数にもよるんですけれども、極端に公認会計士の皆さんが多い例えばアメリカのようなところでは、実務補習のようなものは全くやっていないと考えておいていいのかと、こういう質問であります。


神崎座長  福田委員お願いいたします。


福田委員  前回の比較にも確かありましたけど、実務補習があるのは日本だけで、実務経験を登録の要件にするところはアメリカにもありますが、実務補習そのものはありません。


関委員  考え方のようなものは、日本だけ実務補習があると、こういうことなんですか。


福田委員  例えば、日本は2次試験、3次試験という制度がありますから、その間に実務修習があります。先ほどの司法試験の試験制度のように、1回だけの試験の場合は実務補習という制度が基本的にないわけです。


木下委員  インターン期間というのは日本固有の制度でしょう。2次試験という制度を改定して、3次試験だけにするという考えはないのですか。


福田委員  アメリカの場合は、試験を受ける前、受けた後でもいいんですけど、試験に受かって、実務経験があれば登録できるということですから、実務補習の期間はないわけです。ただ、多くの人は、ビッグ・ファイブというようなところに入りますから、そこの実務経験に実務補習的な内容が一つあるのと、大学卒ということですから、アメリカの大学の場合は、そういう教育の機会が多いということもあるのかもしれません。


木下委員  英国の場合はちょっと違う。


神崎座長  三原委員お願いします。


三原委員  今の御意見に関連して、森川先生が3次試験の制度に代えて、実務補習を拡大・充実してその修了をもって公認会計士となるようにしたらどうかという御意見なんですが、森川先生の頭の中にはどういうふうな拡充・拡大の方法があるか、お聞かせ下さい。


森川参考人  そういう具体的な点はないんですけど、ただ、実務補習というのは、その目的が、やっぱり実務能力の養成という点にあるとすれば、現在の3次試験というものが今のような形で行われているという点では、適切であると言えるのかどうか、そういう疑問を持っているんですね。だから、試験制度のどこかに、非常に業務内容が多様化して高度化してきている、いろいろな取引形態などが増大してきている中で、やはり理論的な素養を持つと同時に、実務能力を涵養するような道が用意されなければならないというように思うんです。そういう点から見て、3次試験がそれに沿ったような形で行われているのかについては、多少疑問を感じる点があるから、そういうことを申し上げたわけなんです。


神崎座長  木下委員お願いします。


木下委員  今の御指摘のように森川先生がおっしゃられた点は、我々の方もすごく望ましい形態だという意見が多いんですね。実務補習所を運営している側においても、むしろ卒業試験として3次試験があっていいんじゃないかというぐらいに思うんですが、まだ協会として、実務補習に対する充実強化などいろいろな問題を抱えていますが、相当改善してきたのですけど、先ほど御意見ありましたように、相変わらずまだ講義中心で行っていますし、仕事が終わってから補習に出席しているという点が、これは福田先生担当でやられているんですけれども、実務補習の実効がどれだけ上がっているのかというと、問題ありと言えます。カリキュラム編成なんかは非常に整備されてきている。教材なんかも相当の時間をかけて作り上げましたから、相当のレベルのものができていると思うのですけれども、ただ、受ける側からしてみますと、非常にきつい環境で受けているということが言えるんですね。
 ですから、講義に出席して、失礼なんですけれども、寝てしまう。だから、知識の習 得に実効が上がらないだろう。この辺が最大のネックで、もっと短縮しても、昼間の段階でやれる。例えば、2次試験に受かって3カ月は昼間。それから、今度は3次試験の直前に3カ月昼間というふうに組み替えられれば、もっと違った効果が出てくるだろうというふうに言えるんですけれども、今のような夕方又は土曜日を、疲れた中で土曜日を出てこいということですと、監査の実務はそんな生易しいことでないし、相当体力を使います。
 ですから、彼らが本当に勉強して、身につけて効果を上げるとなると、その辺の点も改革していけば、森川先生おっしゃられたような最終試験としての3次試験という方向付けも可能なのかないうように思うんです。


森川参考人  その点、現在の実務補習というものが、必ずしも標準的な形で行われていない。地域別の問題もございますし、充実したものが行われているかという疑問は、結局、卒業生などとの話し合いの中で、時々出てくるんですね。そういう点からして、実務補習を何らか実効の上がるような形で改善するためにはどうしたらいいか。これについてはいろいろな問題があるのではないかと思いますが、それはもう公認会計士協会の方で検討されているのではないでしょうか。


神崎座長  福田委員お願いいたします。


福田委員  実務補習と司法修習生の一番の違いは、司法修習生は先ほど言ったように国家公務員みたいな形で、給料をもらってやっているわけで、会計士補の実務補習というのは、個人負担という形でやっているわけです。
 例えば、今、木下さんがおっしゃるように3カ月間、10月ですから、12月まではずっと実務補習をやるという制度でも入れると、その3カ月は誰が給料を払うかというような問題がすぐ出てきちゃうわけです。だから、今の場合ですと、勤めながら受けるよという制度ですから、どうしても夜やるというような形。それは土曜日でもいいわけですけれど、勤めながらやるのと、司法修習みたいに全く1日中それだけのためにやるという制度とはちょっと違うというような形だと思うんですね。
 それと、少ないですけど、もしそういう形でやるんでしたら、公認会計士協会で全面的にやらなければいけないということもあるかも分からないですけれど、今、去年の合格者786名いるわけですが、そのうち、協会の補習所に入っている人は731名ということで、あと、地方で実務補習をやっている人、それは大手法人の地方事務所も含めてですけど、38名ぐらいいるし、実務補習を受けていない人、この人たちは、いつかの段階で受けなければ3次試験を受けられませんが、そういう人もいるということで、全部が会計士協会でコントロールできれば、そういう制度に変えることできるかも分からないですけど、それぞれの監査法人なり、指導公認会計士という人も実務補習ができるわけで、その辺のところの手当てができないと、3次試験をやめるというところまで、なかなかいきにくいんだろうと思っているんです。


森川参考人  当然実務補習につきましては、やはり協会のように一定の組織力等を持った機関によって運営されるのが望ましいというふうに思いますが。


福田委員  そういう意味で、協会の実務補習は3カ所でやっていますけど、実質的には同じカリキュラムでやっていますし、相互に連絡とり合ってやっていますから、基本的に同じだというふうに考えていますけど、地方の実務補習は、監査法人なり、指導公認会計士の人がやっている実務補習は、それが同じかというと、必ずしも同じではないと思います。


神崎座長  加古委員お願いいたします。


加古委員  2次試験の試験科目の見直しについてですけれども、特に選択科目について問題を標準化したり、出題の範囲を明確にしていきたいというお話で、大変感銘を受けたんですけれども、これは例えば、選択科目によっては、特異な学説が出題されて、その試験委員の本を読まないと合格しないというようなケースがあって、そのような弊害を排除するために、標準化するとか、むしろ短答式というような形で出題したらいいのではないかというような御意見だろうというように拝聴したんですけれども、逆に、最近では新しい会計基準が相次いで制定された会計科目の出題範囲が非常に広がってきており、その分量が増えてきています。そこで、選択科目を少し制限して、縮小して、肝心要の会計学の方の比重を増やしていくという考え方もあろうかと思います。このような選択科目の縮小というような考え方について、先生どのようにお考えでしょうか。


森川参考人  選択科目の縮小といっても、今3科目中、2科目選択という形ですね。それはできれば維持した方がいいということを前提として、試験科目としてどういうものが追加し得るのか。特にその背景となる現在の経済的な環境からくる要請を考えた場合には、財務論、あるいは場合によっては、先ほどは申し上げませんでしたけれども、情報処理を追加し得る余地はあるのではないかというのが私のお話した点です。
 ですから、選択科目数の縮小につきましては、考えてはいないということです。


神崎座長  関委員お願いいたします。


関委員  科目の話が出ましたので、森川先生どうお考えになっておられるのかということをお聞きしたいんですが、経済のビジネス社会がこれだけ複雑になって、しかもグローバルになってくると、これはやや失礼な話なんですが、語学のできない人では、やっぱり使いものにならないということに率直に言ってなってくるんですよね。これは何も公認会計士の先生の問題だけでなくて、日本の語学教育そのものの問題だと思いますけれども、語学というか、特に英語力ですね。英語力のようなものはどういうようにこの試験制度の中で考えておいたらいいのかという、極めて基礎的な話なんですけれども。


森川参考人  確かに業務の国際化、あるいはグローバリゼーションの進展の中で、世界に通用する言葉をマスターすることが望ましいということは十分分かるんですけれども、そういうものを試験制度の中に試験科目としてどういう形で追加するか、どういう形で採用するか、そういう点につきましては、なかなか良いアイデアは出てきません。ですから、この問題については申し上げませんでした。ただ、語学力というのは大変必要であるというのは、十分認識しております。


神崎座長  どうぞ。


木下委員  今の件ですが、これは実は、各法人が非常にその辺の意識を持ちまして、いわゆる法人などの教育制度の中で、語学研修を強制というか、資金的にも援助して実際にはやらせているという実態が出てきておりますし、あえて試験科目でやることではない。というのは、1万人の会計士がいて、1万人が語学を使うわけではない。ただ、国際的なグローバルな会社に関与している人達はかなりいますし、彼らは自己研修で英語をしゃべっていっていますので、反対するわけではないですけれど、むしろ必要性というのは、監査法人の方が非常に重視しているので、これを今度試験科目に入れると、恐らく受験者がグンと減る要因になっちゃうんじゃないかと思うんです。


森川参考人  今おっしゃったような動きがもし研修のレベルであるということになれば、やっぱりその研修のレベルでそういう教育を制度化していく、取り入れていくというような方向が考えられるんじゃないか。筆記試験を中心とした試験の中に取り入れることには、そう簡単にはいかないんじゃないかというような感じがします。


神崎座長  どうもありがとうございました。
 予定の時間が参りましたので、本日の会合はこの辺で終了させていただきます。


福田委員  この間の御質問が残っていたのをちょっとお答えしてよろしいですか。


神崎座長  はい、時間がありませんので手短にお願いいたします。


福田委員  前回、各国の公認会計士の試験制度を御説明したときに二つばかり御質問がありまして、一つは、英国の公認会計士の試験制度の受験資格の学歴要件に、通常指定の大学卒業者というような、「指定の」という文章が入っていまして、それについて御質問があったわけですけど、もともと翻訳した元の文章に入っていたみたいですけれど、特別な意味がなくて、いわゆるユニバーシティーでもカレッジでも、どちらでもいいよというようなことが調べて分かりましたので、まず、それは御報告いたします。
 それと、もう一つは、アメリカだと思いましたけど、加古先生の方から、大学卒の評価とか、大学教育のあり方、レベルについての御質問があったわけですけど、公認会計士協会で御質問のようなことを調べるときには、各国の公認会計士の団体に問い合わせるというようなことになるわけですが、今の大学卒の評価とか、大学教育のレベルとかあり方、そういうような内容を公認会計士団体に聞くのが非常に聞きにくいのと、例えば、日本に同じような質問が来ても、回答はしないよなんていうことになっていまして、そちらの方の御質問には答えられないということなので、御勘弁願いたいと思います。
 以上です。


神崎座長  どうもありがとうございました。
 予定の時間が過ぎましたので、本日の会合はこのあたりで終了させていただきます。
 次回は、「試験制度改善に関する基本的な考え方」について御討議いただきたいと考えております。
 なお、次回会合の日程につきましては、事務局の方から御連絡させていただきます。
 また、皆様の席上に第1回会合の議事録(未定稿)をお配りさせていただいております。御覧いただきまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、3月10日(金曜日)までに事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

午後4時6分閉会

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