平成12年5月16日(火)

 
公認会計士審査会

第5回試験制度に関する検討小グループ議事録


於 共用第2特別会議室
(合同庁舎第四号館4階)

大蔵省金融企画局市場課
 


午後2時0分開会

神崎座長 予定の予定の時間も参りましたので、ただいまから、「試験制度に関する検討小グループ」の第5回会合を開催いたします。
 本日は、前回に引き続きまして、「試験制度のあり方」「試験実施のあり方」について御討議いただきたいと思います。前回、事務局の方から、委員の皆様の参考になるよう、それぞれの考えられる論点につきまして御説明いただき、そのうちの幾つかの項目につきまして皆様の御意見をお伺いしたところであります。
 当小グループの設置目的といたしましては、「現行公認会計士試験制度全般にわたる具体的な問題整理を行う。」ことにございますので、本日は、引き続き、それらの論点及び追加すべき論点等の有無につきまして御意見をお伺いしたいと存じます。
 なお、本日は、最初に、前回会合でお話をさせていただきましたが、参考人の方から、「試験制度のあり方」「試験実施のあり方」につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
 本日は、東京大学経済学部の斎藤静樹教授に御出席いただいております。斎藤教授は、試験委員として、平成5年~8年にかけて第2次試験の「財務諸表論」、平成11年からは第3次試験の「論文」を御担当いただいております。
 それでは、斎藤教授お願いいたします。


斎藤参考人 御紹介いただきました斎藤でございます。「公認会計士試験のあり方」という非常に重要な問題につきまして意見を申し述べさせていただきますことを大変ありがたく、光栄に存じております。
 既に提出いたしました2枚紙のレジュメに沿ってお話をさせていただきたいと存じますけれども、最初にお断りを2点ほど申し上げます。
 一つは、やや御依頼がショート・ノーティスでありましたものですから、十分な準備ができておりませんで、特にこのレジュメにつきましてはいろいろと抜けているところとか首尾一貫してないところが、あるいはあるかもしれません。その点はどうかお許しをいただきたいと思います。
 それから、もう一点でございますけれども、前回といいますか、昔、平成3年にこの試験制度の検討が行われましたときに、当時、私は試験委員未経験者という妙なカテゴリーで参考人でお招きをいただきまして意見を申し述べたことがございました。その折には、本日御出席の森田先生、木下先生、両先生が委員としておられまして、その両先生に対しては二度目になりますので、少し変わったことを申し上げなければいけないんですが、同じ人間でございますので、そうそう変わったことは申し上げられないということもお許しをいただきたいと思います。
 事務局から三、四十分話をしろということでございますので、大体その辺をめどにお話を申し上げたいと思います。
 初めの部分でありますけれども、最近、私はいろいろな機会に公認会計士の方々と接触をすることが大変増えてまいりました。その私の比較的限られた印象にすぎませんけれども、どうも公認会計士の方々というのは一部の方は別なんですけれども、比較的多くの方は会計の専門家という前に監査の専門家じゃないかという印象を受けることが大変多うございます。しかも監査の専門家というのは従来型の監査ですね、そういう専門家だという感じを受けることがございます。
 しかし、そこにも書きましたように、昨今におきます金融市場等におけるイノベーションが、従来型の監査業務で育まれた公認会計士の方の専門知識をかなりオブソリートさせているという感じがいたします。
 最近は会計の専門知識はもとよりでありますけれども、それだけではなくて、隣接する経済学、あるいは金融工学、あるいは企業法務等に明るい人材をもう少しこの会計士の業界に惹き付けないと、多分やっていけないのではないかという感じを強く受ける次第であります。そういう人たちを惹き付けて、全体として質を落とさずに公認会計士の増員を図るということが必要でありまして、そのためには、そこに書きましたような大ざっぱに言って三つぐらいの考え方が試験制度の検討に当たってどうしても必要ではないかというように考えております。
 第1点目に大変大事だと思いますのは、そもそも質を落とさないというときの「質」は何であるかという問題でございます。
 従来、公認会計士の質という議論をいたしますときに、ともすれば会計の知識、特に会計制度の知識とか、あるいは簿記的な計算能力ということを一つの判断の基準にしてきたように思いますけれども、そこで質を維持をすることはもちろん大事でありますが、どうもそれだけを見てもしようがないんじゃないか。むしろ大事なのはディスクロージャー制度を自ら主体的に担う、そういう一種の知的な能力でありまして、その能力を維持し、あるいは高めるということは非常に大事な観点ではないかと思うんですね。
 ディスクロージャー制度のプレーヤーというのは一つは開示する企業の経営者、あるいは経理担当者であります。もう一方のプレーヤーは、これは情報のユーザーであります。例えば、アナリストであるとか機関投資家のような情報のユーザーが一方におります。そしてその間に入って両者をいろいろリードし、調整するのが公認会計士でありまして、そういう開示企業の経営者とか情報のユーザーといわば協力をし、話をしながらディスクロージャー制度というものを自分で担っていくという、そういう知的な能力が一番大事なんだろう。その面で質を維持しなければいけないという感じがいたします。
 次に、2点目でありますけれども、受験者層を拡大しないことには、増員をさせても質を維持できないわけでありまして、どうやって受験者層を拡大するかということでございます。
 伝統的には公認会計士になりやすい学部というのは大学の商学部・経営学部の学生ないし卒業生でありましたけれども、昨今の先ほど申し上げましたような状況では、それだけではやはりまずいんだろう。例えば、法学部・経済学部はもとよりでありますけれども、理工系の学部ですね。特に御承知のように昨今、例えば、アナリスト等には理系の大学院の修了者が大挙して入っておりまして、そういう人たちと対等に議論ができるという意味では、やはり理工系の学部の卒業生を惹き付けるということも大事なのではないかと思うんですね。
 それから、もう一つは現役の社会人であります。企業に行っていろいろ仕事をしておられる、その中で専門知識を育まれた方々というのも、これは公認会計士の仲間に引き入れていく非常に有力な資源であるというように私は考えております。
 それと、伝統的な商学部・経営学部以外の経済学部・法学部、あるいは理工系学部、さらには現役の社会人の方々が、やはり受けやすいような試験でないと困るのではないかという感じがしております。
 また、そこに付け加えましたけれども、学生が就職活動で受験を断念するというケースでありますが、これは御承知のように昨今、就職の時期が非常に早まっておりまして、私の周辺でありますと就職活動が3年生の終わりぐらいから始まりまして、大銀行の内定は4月下旬ぐらいには全部出てしまいます。ちょうどその時期が短答式の準備の時期に重なるものですから、どうしても企業訪問をして就職活動をしようとする学生は公認会計士の受験の方は断念するということになりがちでありまして、どうすればいいかと言われますと非常に難しいのですけれども、その時期の問題を含めていろいろ配慮は必要ではないかという感じがしております。
 さらに、第3点目に、合格した後の進路の問題でありますけれども、従来の試験制度というのは、特に2次試験に合格した人が監査法人へ行って監査業務に就くという、そういうイメージを持って試験制度を設計していたような感じがしないわけではありませんが、先ほど申しましたように、今後は企業とか官公庁等で専門知識を活かす方がこれからはもっと増えると思いますので、そういう方面に試験合格者が進んでいく、その可能性を十分視野に置いて試験制度をデザインする必要があるだろうと思うんです。そのなかには試験科目の問題もありますし、それから、受験資格等の問題も当然含まれてまいります。それが基本的に考えなければいけない、差し当たり三つぐらいの観点であろうと思います。
 ただ、そうは申しましても、では、野放図に会計士の守備範囲を広げていろいろな人を引き入れて数を増やせばいいということはもちろんないわけでありまして、質を維持するということは当然大事でありますが、どこまで範囲を広げるかという議論をするときに当然検討すべきことがいろいろございます。私の非常に狭い経験で申しますと、例えば、カナダに私がおりましたときに、あそこはチャータード・アカウンタントというのとゼネラル・アカウンタトというのと二つあるんですね。チャータード・アカウンタントが恐らく日本で言う公認会計士だと思いますが、ゼネラル・アカウンタントという資格がございまして、それはかなり大きな組織でございます。私がカナダにおりますときの滞在資金のファイナンスはゼネラル・アカウンタントの協会からカナダ政府を経由して来た資金でございまして、かなり規模の大きいウェルシーな財団であったというふうに覚えておりますが、そういう公認会計士以外の、それに準ずる資格のようなものを場合によっては考える可能性もあり得るのではないか。これは蛇足でありますけれども、たまたま気のついたこととして申し上げておきたいと思います。
 続いて、2番目に試験制度の枠組みと申しましょうか、大枠の話でありますけれども、現在の試験では御承知のように理論中心の第2次試験と、実務中心の第3次試験とを役割分担させるという体制がとられております。それが本当にベストかどうかという議論をし出しますと、これはいろいろな議論ができると思います。私はそれが本当にベストだと言い切るだけの自信はもちろんございません。しかし、制度というのはいつも白地に絵を描くような作り方はできないわけでありまして、先行する一種の条件が存在するわけでありますので、この2次試験と3次試験を使い分ける制度というのは、日本の公認会計士制度発足以来長年にわたって既に定着してきたやり方ではないかと思いますので、そこをコストをかけて無理に変えなくてもいいのではないかという感じがいたしております。
 ところで、最近、法学部を中心にしてロースクール構想というのが大分盛んでございまして、御多分に漏れず私どもの大学でもそういう議論をしております。ロースクール構想をまねて、大学の教育を何かきちんとさせることによって試験に代える、つまり大学で、ある単位を取れば資格を与える、そういう制度が議論がされているように仄聞いたしておりますけれども、これは大変私は心配な制度であると思います。法学部とは全く条件が違うと思うんです。御承知のように法学部というのは数も少のうございます。日本の大学で法学部を持っている大学はそうたくさんございません。また、ロースクールでありますとかなり広うございますので、法律学だけで一つのスクール形成できますが、アカウンティングで一つのスクールを作るということは、ちょっと無謀ではないかというように考えております。その結果として資格取得者の質が非常に下がってくるということは、やはり避けられないという感じがいたしますので、大学教育だけで試験に代えるということは、私は余り賛成はできないと思います。
 また、非常に多忙な社会人等のために全部の科目を一遍に取らずに科目別の合格制をとってはという構想もございますが、これも私は一つ間違えると資格のレベルを下げる、ダイリューションを生じさせるきっかけになるのではないかという感じがいたしております。例えば、税理士のように科目合格制をとっている制度もございますけれども、社会的にランクの高い資格を維持しようと思えば、なるべくなら科目合格制というのは避けた方がいいような感じもしております。
 また、現在の2次試験、3次試験の体制を維持するといたしまして、2次試験に短答式が導入されているわけでありますけれども、この短答式というのはちょっと問題が多いのではないかという印象を強く持っております。いろんなところで話を聞きますと、短答式を導入して以来、合格までに余計な時間がかかるようになったという指摘が非常に多くございます。例えば、私のゼミの学生とか卒業生をずっと見ておりますと、非常に良くできて非常に良く考えるタイプの人が短答式で失敗してしまうというケースがよくございます。
 この短答式についていろんな評価はもちろんあり得ると思いますけれども、少なくとも短答式のために特別の準備をしなければいけないという体制はやはり疑問ではないかというふうに考えております。
 それから、この間、こちらの会議の御議論の中で出たと聞いておりますけれども、短答式の試験合格者に対して、その後一定期間、短答式試験を免除するという措置がアイデアとしてはあると承っておりますが、その制度は私は大変良い制度ではないかと思っております。毎年毎年短答式を受け直すというのはむだなことではないかという感じがいたしております。
 さて、今度は第2次試験の科目でございます。これは何よりも基本的にはランクの高い専門職として社会に認知されていくということが大事でありますので、本業の会計学を中心にして経済学と法律学というのは私は試験の科目として不可欠だろうと思っております。これは何も経済学や法律学の試験がある、そういう資格が格好がいいということではもちろんございません。会計だけ知っているという専門職は非常に困るわけでありまして、会計の問題を常に経済との関係で捉える、あるいは法律との関係で捉える、そういう視野の広さがどうしても必要でございます。そうでなければ、これは専門職としてはかなりランクの低いところに甘んぜざるを得ないというふうに私は思っております。
 もちろん、先ほど申しましたような、例えば、専門が会計とはかなり離れた学部の学生さんとか、あるいはお忙しい社会人の方が受験するときに、余りごりごりと試験科目をそろえるというのはいいことではありません。
 ただ、私が基本的に申し上げたいのは、実務に就いてから実務を通じて自然に身につくような科目は、これは試験に出さなくても済むんじゃないか。それは実務に就いて勉強してくださればいいのではないかと思うんですね。しかし、そういうところでは勉強できないような、若いときにきちんとしたトレーニングを受けなければどうしても身につかないようなもの、これはやはり試験に出してちゃんと能力をチェックすべきだと私は思うんです。特に経済学とか法律学というのは、これは入口の段階できちんとした試験を課して、一定程度の能力、水準、あるいはトレーニングを要求しないと、実務に就いてからでは身につかないというふうに私は思います。
 会計学につきましては、実務に就いてからでも身につく分は多分にございますけれども、しかし、これは公認会計士という専門職でございますので、そこはある程度入口の段階でチェックしてもいいという感じがしております。
 その意味で、私は会計学と経済学、法律学は不可欠だというふうに考えております。経済学と言っても非常に広うございまして、いろんな分野がございますけれども、私はミクロ、マクロ両方をきちんと問うということはどうしても必要だ。ミクロというのは分析力を試す分野ですね。マクロというのはもちろん分析力もございますけれども、同時に経済常識みたいなものがいっぱいございます。その辺は両方にわたってある程度の知識を、あるいは能力を確かめるということはどうしても必要だと思っております。
 他方、法律学は現行どおり商法(会社法)から出すのが一番いいのではないかと思います。
 また、現在の2次試験の中に経営学が選択科目でございますけれども、やや思い切った言い方をすれば、私は経営学はなくてもいいんじゃないかと思っております。
 ただ、経営学の中に、本当は経営学の一部ではないんですけれども、ファイナンスの分野がございます。ファイナンスと言っても経営学の中でやるようなコーポレート・ファイナンスと、むしろ経済学の分野でやるような証券市場における均衡価格の形成問題との両方にわたっておりますけれども、そういうファイナンスの知識は、これからの会計士にとってますます大事になってくると思います。恐らく現在の会計士の方がオブソリートしかかっているのはこの分野だと思いますので、ファイナンスの知識というのは、これからの会計士の方にどうしても勉強していただきたい。その意味で、場合によってはこのファイナンスの分野の問題を選択科目に含める可能性は否定はいたしません。もし選択科目という制度をとるんですと、ファイナンス一つだけではどうしようもありませんので、現在のように民法を一定の範囲をきちっと限定して出題するということがあってもいいのかもしれないと思っております。民法というのは非常に広うございますので、親族法まで含めて出してしまってはどうしようもないので、きちんと範囲を限定して選択科目に加える工夫はあり得ると思っております。
 それから、よく話に出る税法でございますが、税法は私は理論試験の科目としては適当でないと思います。毎年コンスタントに標準的な問題を出すということは、税法分野では難しいと私は思います。他の分野のことをとやかく言うほどの資格はございませんが、そもそも日本に租税法の講座ができたのは、戦後のシャウプ勧告を受けて東大、京大にできたわけでありまして、大学できちっとした講義をやって標準的な試験をするという歴史が民法、商法ほど長くはありません。その意味で公認会計士試験のように毎年コンスタントに標準的な問題を出さなければいけない、そういう試験にとって税法というのは必ずしも適当ではないんじゃないかと思っております。
 また、会計学の試験問題でありますけれども、御承知のように現在は簿記、財務諸表、原価計算、監査という科目の立て方をしているわけでありますが、これは率直に申し上げて知的な学生を非常にディスカレッジしている可能性が高いと思います。私どもの周囲でも公認会計士という資格試験があるということでおもしろいから、試験の好きな学生が東大は多うございますので、やり始めるんですけれども、専門学校に行って簿記や原価計算の計算問題ばかりやらされて、こういう言い方はよくありませんけれども、男子一生の仕事ではないと言ってやめてしまう学生がかなり多うございます。知的な学生が一生の仕事と思えるような試験であってほしいと私は思います。
 これは誤解のないように申し上げますが、私は簿記が必要でないということを申し上げているわけでは全くありません。しばしば私が言うとそういうふうに誤解されるんですけれども、簿記の知識というのは大変有用なツールでございますので、これは知っておいた方がいい。ただ、簿記の試験というのはパソコンの試験みたいなものでありまして、もっとパソコンを簡単にしたような試験ですね。これは知識は必要でありますけれども、理論試験の論述で出すような問題とはとても思えないわけであります。原価計算についても同じであります。私の感じでは、現在ある短答式試験という制度を活かすのであれば、短答式は簿記、原価計算レベルの計算問題に限る、それだけにするということで、むしろ論述試験で従来出してきた簿記や原価計算を短答式に移してしまったらどうかという感じがいたします。短答式であれば足切り的なものでございますので、そこで基本的な計算の能力をためすということでよろしいのではないかという感じがいたします。
 他方、論述式の問題では、やはり財務会計が公認会計士という仕事柄欠かせないわけでありますので、会計基準の知識とかその基礎概念の理解、あるいは特定の基準を選択した場合に、その結果として会計情報がどういう影響を受けるのか。つまり、ある基準の選択によって会計情報にどういう特性が与えられるのかということを分析させる、そういう財務会計をまず中心にして試験の体制を組むべきだと思います。財務会計のほかに管理会計からも理論的な問題を出題するということがあっていいだろうと私は思います。原価計算以外にも管理会計に理論的な問題領域はございますので、そういうところから問題を出したらいいのではないかと思います。
 財務会計でも従来は公認会計士が会計情報を作る方の仕事でございますので、専らどうやって情報を作るかという観点の問題が多く出されておりますが、これは場合によっては与えられた情報を使って実際の企業を分析する、企業のファンダメンタルズを分析するという、そういう財務分析、あるいは財務諸表分析というような領域からも出題されてもいいのではないかと私は思うんですね。
 アメリカのあるランク以上のビジネス・スクールの生活をした方は共通の実感として持っていると思いますけれども、そういう大学のビジネス・スクールで教える会計というのは、どちらかというと会計情報を使ったファンダメンタル・アナリシスなんですね。どうやって会計情報を作るかという教育は余りしておりません。アメリカの第一級のビジネス・スクールで育ったアカウンタントと日本のアカウンタントとの物の考え方、あるいは基礎的な素養がどんどん離れていくということを私は心配いたしますので、そういうファイナンシャル・ステートメント・アナリシスの分野からも出題されていいのではないかと思っております。
 財務会計と管理会計のウェイトは、これは会計士の職業柄、やはり財務会計の方が高くてもいいのではないかと思います。どのくらいの比率かということは即答できませんけれども、やはり管理会計の比重は相対的に低くていいだろうと思っております。
 現在出題されております監査でありますけれども、監査というのは、受験生に聞きますと非常に始末の悪い科目らしくて、標準的な理論問題を想定できないと言うんですね。そういう試験は私は2次試験から外した方がいいんじゃないかと思います。3次試験に移せばいいんじゃないか。3次試験で聞いてもちっとも遅くはないと思います。
 ついでに、全く余分なことでありますけれども、自分が2次試験の試験委員をやってみた経験でございますが、採点が非常に難しいんですね。
 最後に3次試験の問題点についてでございますけれども、まず3次試験の受験資格では、現時点のやり方では、監査業務とか経理業務の経験を少し要求し過ぎてはいないかという感じがいたします。企業でいろいろ仕事をしていらっしゃる方の中には、経理以外のキャリアでもうちょっと会計士の業務に貢献してくれそうな方はたくさんいると思いますので、そういう経理以外のキャリアについてもう少し考慮する余地があってもいいんじゃないかと思います。
 それから、試験科目でありますけれども、私はそう詳しくは分かりませんけれども、どちらかというと監査や税務をやってきた人が有利で、そればかりやってこなかった人はちょっと不利なんじゃないかという感じがいたしております。先ほど申しましたファイナンシャル・ステートメント・アナリシスですね、企業のファンダメンタルズをきちんと分析してくれるようなアナリスト的な仕事をしてきた人にとっても受けやすい試験であってほしいと私は思っております。
 また、仮に監査法人に勤務している人であっても、だから3次試験を受けやすいかというと、そうでもない。よく卒業生に聞きますと、監査法人で国際部とか金融の部門というのは非常に人気が高いらしいんですけれども、そこに行くときに非常に学生は迷うというんですね。3次試験を受けるには非常に不利だ、だけど仕事はおもしろい、どうしようということを考え込んじゃう学生が多いと聞いておりますので、もうちょっと3次試験の試験科目がフレキシブルであっていいような気がしております。
 それから、口述試験が現在ございますが、私は試験委員をやってみて非常に強く実感いたしましたけれども、これは合否にほとんど影響してないという感じがするんですね。合否にほとんど影響しないような試験を全員に課するという現在のやり方は、ちょっと時間のむだじゃないかという感じがしております。
 これはいろいろな方法があると思いますけど、一つは、筆記試験で合格点の上下何点かの幅に入っている人を対象にして、少し時間をかけて口述試験をするというのも一つの方法かもしれません。ただ、それだと筆記試験の段階で一部の人は口述試験がなくて一部の人だけ口述があるというのがまずいというのであれば、場合によってはもっと口述試験のウェイトを高めて合否に影響させるという手もあると思います。ただ、その場合には試験委員によって非常に評価がばらつきますので、その調整は難しいかもしれないと思います。もちろん筆記試験でも試験委員によって採点がばらつくんですけれども、口述はもっと難しいですね。時間が短いですし、それから、じっくり考えて紙に書いて回答するんじゃありませんから、クイック・レスポンスのできない学生に対する評価が試験委員で非常に分かれます。たまたま自分の難しいと考えている問題についてクイック・レスポンスできないと試験委員はやむを得ないと考えるかもしれませんが、自分がある一つの答えだけしか頭に浮かんでないときに、その答えを学生が言わないということで苛立つ試験官がいるかもしれない。そういう試験委員による結果のばらつきを何とか調整するという方法を考慮すれば、口述試験のウェイトを少し高めて合否に影響させる方法もあるのではないかというふうに考えております。
 最後に、口述試験を自分がやってみた印象でございますが、これは甚だ不遜な言い方でお許しいただきたいんですが、どうもよく聞いていると、自分たち会計士の社会的な役割とか、あるいは最近のディスクロージャー制度の動向等について普段から深く考えたり、あるいは勉強したりという余裕が余りないんじゃないかという感じがしております。非常に初歩的な質問にも答えられないという感じを受けました。
 ディスクロージャー制度というところに限らないで、もう少し範囲を広げて聞いてみた印象でも、基本的な教養とか常識で、悪く言えば大学2年生のレベルから余り進歩してないなという感じを受ける人は非常に多かったですね。それはなぜだろうかということを試験をしながら私考えておりました。一つは、やはり専門学校で計算問題ばかり教え込まれてきた学生が、学業の方をおろそかにしてほとんど毎日のように専門学校に入り浸っている。大学できちんと勉強した人と比べて、一般的な素養、教養という点でどうしても遅れをとるのはやむを得ないなという感じがするんですね。しかし、それでは困る。特にこれからのディスクロージャー制度を自ら担っていく、社会的に十分高い尊敬を集めることができる会計士であるためには、それでは困るんじゃないかという感じがしております。
 その意味で、単に試験制度だけの問題ではなくて、2次試験の受験時代における学業と専門学校教育とのトレードオフの問題、あるいは2次試験を受かった後のインターン期間中における研修の問題、それから最終試験、つまり3次試験を通った後の公認会計士の方のリカレント教育、そういうものを全部ひっくるめて試験制度と併せてきちんと検討する機会がないと、公認会計士という業界の将来について、やや赤信号といかないまでも黄色い信号が灯りかねないではないか、そういう印象を率直に持っております。
 大体以上が、今日、申し上げるつもりで頭に描いてきたことでございまして、時間も大体30分でございますので、ここで一旦切らせていただきたいと存じます。


神崎座長 ありがとうございました。
 御参考人として御出席賜りました斎藤教授には、大変御多忙中のところ貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 折角の機会でございますので、ただいまの斎藤教授の御意見等に関しまして、どなたからでも結構でございますから、御質問、御意見を賜りましたらと思います。
 加古委員お願いいたします。


加古委員 1ページ目の受験者層の拡大という箇所についてですけれども、学生の就職試験活動と公認会計士の2次試験が同じ時期になりますと、私の周辺の学生たちもそんなことで4年生になるとCPA試験を中断して、結局、企業の方にかなり優秀な学生たちが吸収されていくというような事情があるんですね。これなどは先ほどのお話の中でお漏らしになりましたけれども、これは時期をずらすというようなことで解決できますか。そんなことじゃないかという気もいたしますけれども。


神崎座長 お願いいたします。


斎藤参考人 時期をずらすというのはもちろん一つの方法だと思いますが、企業の採用活動が毎年コンスタントにこの時期になるという保証はないんですね。昔は夏休み前ぐらいに訪問を受け付けて形式上は休み明け、実際にはもっと早く、6月末か7月ぐらいに内定を出していましたけれども、最近は内定がゴールデンウィークかもっと前ということで、それを企業の方が自由に設定できる状況にあるものですから、なかなかうまく時期を避けて決めるのは難しゅうございますね。例えば、試験を年2回にするという案がいいのか、私はよく分からないで困っております。


加古委員 分りました。引き続いてよろしいでしょうか。


神崎座長 お願いいたします。


加古委員 同じ箇所なんですが、優秀な社会人が今のような話でCPAの試験を断念して企業に入っていくわけですね。その後、企業でのいろんな業務活動を通じて高度な専門的知識を身につけ、あるいはその他のタレントをブラッシュアップしていく。そういう人たちをもう一度会計界に引き寄せたらどうかということを常々考えております。こちらのメンバーの中にもそういうご意見をお持ちの方もいらっしゃるようでありますけれども、具体的にどんな手立てがあるのか。社会人を公認会計士の業界に惹き付ける、あるいは受験させる方法として具体的にどんな手を打ったらいいのか、その辺がちょっと苦慮しているんですが、先生、何かアイデアがありましたらお教えいただけませんでしょうか。


斎藤参考人 試験が受けやすければかなり増えるのではないかと思うんですね。無理にリクルートするというのは余り意味がなくて、公認会計士の仕事が十分魅力的であるというふうにそういう人たちが認知すれば受けてくるわけで、むしろその障害を取り除く。その障害は現在の試験制度や受験資格ではないかと感じておりまして、例えば、2次試験を通って会社に行く人もいるんですけど、2次試験を通らずに行く人もたくさんいますので、そのときに会社で仕事をしながら2次試験を通り、かつ、3次試験の受験資格を会社の中で取得する、そういうことがやりやすいという体制さえ作っておけば、かなりのところまでは展望が開けるのではないかと考えております。


神崎座長 森田委員お願いいたします。


森田委員 2ページの最後のところで、3次試験の口述の御経験で、基本的な教養や常識も、大学2年生レベルぐらいだと、それで、これがどこに原因があるのかというと、私がここで理解している中の非常に印象的なのは、学業と専門学校教育とのトレードオフだと。つまり大学を出ていてもまともに大学4年間の授業に出ていないというのか、要するに学ぶべきことを学んでいない、それが原因であろうというのが一つの大きな理由として掲げられていると思うんですけど、この問題の解決というのは、結局は2次試験の試験問題をどうするかということになりますか。


斎藤参考人 それで全て解決できるかどうか自信ありませんけれども、かなり大きいのではないかと思います。例えば、司法試験を受験する学生を見ておりますと、これもやっぱりLECとかそういうところへ行くわけですね。行くんですが、少なくともある時期まで、比較的最近までは優秀な学生は専門学校よりも大学の法学部の授業の方が受験に役に立つということを言っていたんですね。ですから、それは大学の授業の中身ももちろん関係するかもしれませんが、やはり試験の中身が司法試験の方がいいのではないか、そんな感じを持っております。私は法律が専門でありませんので、司法試験の問題を見て、これが本当に良い試験かどうかということは判断できませんが、どうも法学部の学生と経済学部の学生の話を聞いておりますと、やはり試験の科目や問題が大学での勉強とそれなりにつながり得る面を持っているというふうに認識されてきたのではないかと思うんですね。ただ、最近はどうもそれが崩れて、うちの法学部の学生も大分予備校に行き出しているとは聞いていまして、そこは心配しておりますけれども。


森田委員 ありがとうございました。
 これは我々大学で長い間教えてきた者にとっていろいろ痛しかゆしなんですけれども、大学の例えば、会計関係の科目の、これは学校によって、あるいは先生によって随分違うと思うんです。授業内容が昔ほどレベルが高くないと言ったらおかしいかもしれないんですが、レベルが比較的低くなってきている。つまり予備校と同じとは言いませんけれども、現在の制度がどうなっている、この基準はどういう基準で評価しなければいかんというような、そういうようなことの内容の講義が多くなってきているのではないか。
 そうすると、大学自体が大学をまともに出てきても斎藤先生のおっしゃるこの程度の教養、常識になってしまうという大変大きな問題だと思うんですが、これは大学によるし、今申し上げたように教師にもよるんですけれどもね。
 ですから、試験問題だけなのか、それをもう少し単純に言えば考えさせるような問題を出すというようなことで、もっと工夫すればこういう弊害が除かれるかもしれないというふうに期待していいのかどうか、まだ何かちょっと私心配なんですけどね。


斎藤参考人 一番ミゼラブルなのは、今、森田先生がおっしゃられたように、学生が大学の勉強が大事だと思って大学に帰ったとして、その大学の勉強をまともにした学生が本当にまともな常識を身につけて卒業するかどうか疑わしいということです。しかし、私が大学2年レベルぐらいの常識しかないと言ったのは相対評価で申したわけでありまして、公認会計士の3次試験で私がたまたまぶつかった受験者以外の卒業生と比べてちょっとまずいなという感じがしたわけですので、やはり大学で勉強した人はもう少しまともな知識なり考え方を身につけて卒業しているという実感を持ったということでございます。


神崎座長 三原委員お願いいたします。


三原委員 科目別試験制度のことなんですが、前に参考人としてお話を伺った先生は、試験を受けやすくして受験者数を増やす方法として、科目別試験制を提案されたんですが、斎藤先生は質の低下につながるということで疑問であるという御意見なんですが、科目別にしても合格の基準を下げなければ必ずしも質の低下にならないんじゃないかというふうに、そんな気もしているんですけれども、その辺はどう考えたらよろしいんでしょうか。


斎藤参考人 原理的に言えば、一つ一つの合格の判断の基準がしっかりしていれば問題ないんだろうと思うんですけれども、これは私の実感でございますが、科目別の合格制をとっている試験というのはどうしてもレベルが下がりやすい。これは語弊があるかもしれませんけれども、どうも質が余りよくなくて、しかも一つ一つの科目が独立でありますために、非常に細かな知識を問うような問題が増える。それを積み重ねていった人が本当に総合的に、例えば、企業会計なら企業会計というものを判断する能力を持つかというと、そこはちょっと疑問でございます。私は一つ一つの科目の合格の基準は下げてもいいから、まとめてちゃんと勉強させ、常に総合的に判断する、そういう観点をとった方がベターかなというふうに思っております。


神崎座長 関委員お願いいたします。


関委員 社会人が非常に受けやすくするにはどうしたらいいか。なぜ受けにくいのかと、こういうことなんですけれど、これは実感から言って先生御指摘の、やはり試験が、特に原価計算と簿記ですね、これが予備校なんかで勉強した人はものすごいスピードでありとあらゆる問題、どんなのが出てきてもぱーとやれるというわけですね。それでそういう対応力というか、これが社会人で受けようとすると、そういう志を持っている人に聞いてみますと、もうとにかくとてもじゃないが多少年を取ってきて20代の後半とか30の前半ぐらいになりますと、簿記と原価計算で太刀打ちできない。それは財務諸表であるとか、そういうのは物の考え方とか理屈とかでは決して負けないけれども、計算問題でとても。それを先ほどの科目制の議論になりますけど、全部一緒に受けろと、どうしてもそういうことをやらなけばいかんとなりますと、それはそれで分けてやってくれないと、そういうものも込みにして一発でやれと言われれば、これは我々はギブアップせざるを得ないというのが、社会人で志のある人の偽らざる実感なわけですよね。
 ですから、私は科目制の問題も恐らくそういう問題であって、先生がおっしゃるように原価計算とか簿記は短答式にして、しかし、それはある一定の能力がないと、これは話にも何にもなりませんから、それはやるにしても、受けやすくして本当に全部一斉に一挙に試験をして合格させようとすると、そういうのは分けて、そしておっしゃるようにマクロ経済学やミクロ経済学からも出るし、会社法からも出る、あるいは極めて分析的な会計問題のようなものも出てくる。しかし、それは一括だと、そういうふうな工夫をすれば、その問題は私はクリアできるのではないかと思っておって、申し上げたいのは、受けたいなと思っている人たちが逡巡するのは全部そこなんですね。そこでもう一発で決まってしまうということなのではないかという、そういう実感を持っているということであります。


斎藤参考人 その点私も同感でございまして、だからこそ私は簿記と原価計算のようなレベルの計算問題は分けて短答式に移した方がいい。その限りで関委員がおっしゃるような計算科目と理論科目は一括ではないんですね。分けて、そして計算は、短答の合格者はこのところ3,000人ぐらいですか、合格者の3~4倍の数ですね、一種の足切りに等しい試験ですから、そのレベルが分かればいいんじゃないか。そこを一遍通れば向こう何年間はその試験は受けなくたっていいんじゃないかという感じがいたしまして、私、一括と申しましたのは、それとは別の論述式の科目については、やはり総合的に勉強するようなシステムを作った方がいいような感じがしているということでございます。


木下委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、木下委員お願いします。


木下委員 受験者層の拡大ということに関連しては、先生おっしゃられるように現役の社会人をもっと受けやすい試験にすべきだということについては、大賛成なんですけれども、このことは今関委員、2次試験から参入してこられることが前提なのでしょうか。2次試験の受験者層が大体現役の学生、又は、せいぜい浪人して24~25歳ですか、平均で受かっていて25歳位というところだと思いますけれども、社会に出てから社会経験を積んで非常に経験豊かになった人たちというのは、先ほどの期待される質のところでも述べられていましたように、単なる会計知識や計算能力だけではないんだということがありますので、むしろそういう社会経験を豊かになった方たちに参入していただくには、2次試験をパスして3次試験という最終段階がありますので、そこでチェックが入ればいいんじゃないか。
 2次試験から3次試験というのは、20代と30代という相当の差が出てきてしまっているので、例えば、業界に入ってくるときなんかでも2次試験合格後の実務補習や業務補助という現行の制度があります。そこで学習するようなことを実は社会人の方たちは、実社会の中で学習し、経験も豊富ですから、あえてそこであのレベルのことをやるよりも、第3次試験合格後にCPEで教育していけばいいんだろうと思う。
 というのは、先ほど先生、2枚目のところで3次試験の口述のときの実感から、大学2年程度の思考力という、非常に低いという実感だろうと思います。こういうふうな状態は受験学校で育って、それから2次試験に受かり、3次試験まで来ているという、非常に悪い弊害の部分があります。ここのところを協会の実務補習の段階では当然実務補習で教育し直さなければならないんだけれども、それができてない。さらに3次試験等でも同じようなことになってしまっているという問題がありますし、社会人で参入してきていただく人であるならば、むしろそういう点では経験豊富な、社会常識も非常に豊富な方たちが入りやすい試験という意味では、2次試験、3次試験という段階的な試験を全部合格してくるというこの必要性が本当にあるんだろうか。3次試験という最終試があるならば、そこで合格すればいいというような、私は考え方を持っております。この2次試験問題のところで社会人の方が計算とおっしゃいましたけれども、足切りの計算の段階でまた同じレベルですと、これは恐らく社会人の方はついてこられないかもしれない。今の2次試験の計算レベルを足切りのために計算だけ持ってくると、より以上に計算テクニックの冴えたる人達が受かるということになっちゃうでしょうね。そこのところは計算のレベルをもっと下げていいというか、レベルを抑えていくことが必要なのかもしれませんけれども。
 ちなみに日本商工会議所の1級の検定試験ですけど、あれの受験者数が今1万2,000人なんだそうですよ。過去からずっときて大体それの合格者は7%から多いときで10%と言っていますから、それなんかを考えてみて、大学で商学部とか経済学部で2次試験を受ける人達が前段階でそれらにチャレンジしていますので、それなんかでもそういう合格率なので、この短答式を分ける考え方は非常にいいと思うんです。ただ、社会人の方とかまた違った分野の方たち、理工学部の方たちとかいうことになってきますと、こういう簿記、原価計算の知識だけで足切りを実施することに対しては非常に問題が出てくると思います。


斎藤参考人 先ほど関委員がおっしゃったんですけれども、計算問題というのは、これは一種の条件反射であって、毎日やってないとできないと思うんですね。例えば大学入試センター試験、俗に言う共通1次テスト、あれを受けたらうちの大学の教官はほとんど落ちると思うんですね。とても条件反射であの問題を解くということはできないわけで、そういった意味では計算問題のバリアは高いと思うんです。私が先ほど簿記レベルの計算問題は論述式から外して短答式へと申し上げましたのは、積極的には論述式から外したいということでありまして、では短答式がそれだけでいいかと言われますと、確かにおっしゃるようにますます計算だけの人間が入ってきてしまうのではないかという心配がありますね。そうしますと足切りレベルを下げていくか、あるいは純粋の計算問題以外の会計常識みたいな問題を含めるか、そこは工夫があっていいのかもしれません。ただ、この議論は私がこれ以上申しますと簿記軽視と見られかねませんので、その辺に止めておきたいと思っておりますけれども。


神崎座長 福田委員お願いいたします。


福田委員 法学部とか理工学部の学生が受けやすくなるような試験というのは受験者層の拡大ということで、そういうようなことを狙うということですが、商学部へ入るか、経済学部へ入るか、たまたま経済学部へ入ったとか、そういうような学生が多いので、商学部と余り変わらないような格好で受ける人が多いわけです。うちに入ってきた人を見ますと、民法を入れたけど、法学部の人が増えたというようなことは余り感じないわけです。特にあと理工学部の人が時々いますけど、そういう人がうんと増えるというようなことが余り予想できないんですが、こういうような形の科目をやると、そういう人が受けるというような状況なのかどうかというのを一度お聞きしたい。
 もう一つは、ここに合格後の進路というのが先生のところに書いてありまして、今後は企業や官公庁などで広く専門性を活かすケースが増えるというようなことですけれども、アメリカなんかもそうなんですが、一度会計事務所に入った人がそれから企業に行くというケースが多いんだろうと思うんです。合格者が監査法人の監査業務に就くだけでなくというように書いてありますが、それはそういうところを経由してというか、試験を受かったらいきなり企業という、どんなふうにお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。


斎藤参考人 まず後者の方からお答え申し上げます。これは私の身近な経験でありますが、私どもの大学で私の演習で公認会計士の2次試験に在学中に通る学生はかなり多うございますけれども、そのうち監査法人に行く学生は半分ぐらいでございまして、かつてですと興長銀とか、そういう金融機関に進むとか、あるいは外資系の投資銀行に行くという学生はかなり多うございます。そういった意味で資格を持っていても、あるいは持つために勉強していて、たまたま在学中に受けなかったとしても、企業でかなり幅広く活躍をするというケースは大変多いと思います。そういうケースは増えておりますし、今後ますます増えるのではないかと思っております。
 それから、試験科目によって法学部とか、あるいは理系学部からの参入者が増えるかということでありますが、これはやってみなければ分からないんですけれども、私が身近に見ておりますのは、例えば、いろんなシンクタンクで証券の分析をしているスペシャリストは、かなりの人が理系の大学院出身者です。特にオプションなんかは確率微分方程式が分からなければ扱えませんので、理系の人たちがどっと入ってきているという感じがいたします。公認会計士の人でもストラクチャード・ファイナンスとかデリバティブの問題等々に理解のある人が欲しいんだけれども、大変強い言い方になりますが、余り役に立つ会計士がいないということを会社の人がおっしゃるんですね。そういうディマンドがあれば試験の科目によってはかなり理系の人が入ってくるのではないかというふうに私は思います。一部では理系の人が中心になって金融の問題なんかを扱っているのが現状ではないかと思っております。


神崎座長 ほかに御質問がないようでしたら、ただいまの斎藤教授の御意見も含めまして、「試験制度のあり方」「試験実施のあり方」について御討議をお願いしたいと思います。
 つきましては、前回お配りいただきました「試験制度のあり方」「試験実施のあり方」それぞれの考えられる論点の資料に加えまして、前回いただきました御意見等を事務局の方で整理していただいておりますので、確認の意味も含めまして、事務局より説明していただきたいと思います。
 事務局よろしくお願いいたします。


福地課長補佐 事務局より説明いたします。
 まず、「資料2-1」でございますが、この資料につきましては、前回会合におきまして配付させていただきました資料をそのまま御用意させていただいているところでございます。確認の意味を含めまして概略御説明させていただきますが、「試験制度のあり方」に係る考えられる論点といたしまして、まず1としまして、「現行試験制度の枠組みのあり方について」、(1)といたしまして、「社会人を含む多様な人材の資格取得の容易化等」。これにつきましては、中段にございますように、多様な人材の資格取得の容易化のための制度として、例えば、現行の第3次試験の受験資格要件である「実務補習」及び「業務補助又は実務従事」を第3次試験の受験資格要件でなく、資格取得後の公認会計士としての業務を行う場合の登録要件とすること。
 それから、マル2としまして、企業に在籍している人については、企業の実務に就いている経験年数が10年以上で何年間か監査業務に従事した場合には第3次試験の受験を可能にする、あるいは弁護士等の資格を有している人についても何年間か監査業務に従事した場合には第3次試験の受験を可能にすることといった考えがあるがどうかという形で整理させていただいております。
 続きまして、(2)でございますが、「試験制度と大学教育の接合」ということでございまして、具体的には「アカウンティング・スクール構想」についての検討を進めてはどうかということでございます。
 それから、2ページでございますが、2で「第1次試験のあり方について」ということでございまして、以下、「3.第2次試験のあり方について」、それから、「4.インターン制度のあり方について」、「5.第3次試験のあり方について」という形で論点を整理しているところでございます。
 それにつきまして、「資料2-2」でございますけれども、前回会合時におきまして委員の皆様方よりいただきました御意見等をとりまとめた資料でございます。
 まず、「1.現行試験制度の枠組みのあり方について」でございますが、加古委員より、実務経験豊富な社会人の人々が試験を受けられる何らかの別枠による試験の工夫、あるいはアカウンティング・スクールといったルートの多様化というものについて、バイパスにならないように厳格な条件を付して考えていくということを勉強してもいいのではないかという御意見がございました。
 それから、森田委員からの御意見といたしまして、社会人が会計士の資格を取れるような、そういう道を開いていくことが非常に大きなテーマになっているが、何か特別な2次試験について措置を考えるのか。また、現状のような形の3次試験をそのまま残しておいて、3次試験が直接受けられるということにすると、企業の実務経験がある人に対して、監査についての経験を積ませるという何かの手段も講じなければいけないだろうと思う。そういった点につきまして、かなり詰めないといけないのではないかという御意見をいただいております。
 それから、2ページにつきまして、ロースクール構想につきましては、大学院の差別化ということから、アカウンティング・スクール構想を進めていくということについては余り早急にやらない方がいいのではないかという御意見をいただいています。
 それから、福田委員からは、企業に在籍している人に第3次試験の受験を可能にするということにつきましては、企業に就いている人を斟酌した受験資格というものは、企業そのものが大きさを含めて様々であり、基本的にどこの会社でも、全ての会社でいいというような形になってしまうことから、こういう形で評価して、3次試験を受けさせる制度というのは、実務的には非常に難しいのではないか。
 それから、もう一つの意見といたしまして、アメリカでは企業に勤めている公認会計士がたくさんいるけれども、会計士の業界を全く知らないというわけではなくて、企業の人がそのまま会計士になっているというのとは違うというような御意見がございました。
 次に、3ページでございますが、木下委員からの御意見でございまして、会計監査中心で、会計士は会計監査を経験して、それで育ってきた人間が会計の専門家であるというような発想があるが、ある面では幅広い人たちに入ってきてもらうことを考えた方がいいと思う。弁護士、大学の先生、企業の実務経験を持った人、そういう人たちが入ってきやすいような方法を考えることも大事だという御意見でございます。
 2番目の「第1次試験のあり方」につきましては、三原委員より、第1次試験を廃止するかどうかという問題につきましては、公認会計士として必要な大学生程度の国語なり英語なり数学の知識を必要とするかどうかという観点から判断される問題ではないか。
 福田委員からは、1次試験がなくなるというのも、諸外国等の比較からいくといかがなものかということ。それから、コストがということであれば、公認会計士、司法試験、不動産鑑定士等の試験において共通1次みたいな形というのも考えられるのではないかという御意見でございます。
 4ページにまいりまして、税理士試験の受験資格については、法律的には大学卒業等となっておるわけですが、公認会計士の方だけ1次試験がなくなって、こちらの方がむしろ受けやすくなるということは試験制度の比較からいくと、おかしいというような危惧もある。
 それから、森田委員からは、他の試験との関係を考えずに会計士試験だけやめられるのかということは問題にならないかという御意見がございました。
 3といたしまして、「第2次試験のあり方」でございますが、三原委員からの御意見で、科目合格制については受験生の負担を軽減する、受けやすくするという点では大いにメリットがあり、これを採用すべきではないかという御意見がございました。
 関委員からの御意見でございまして、やはり同様の観点から受験科目につきましては、科目数を現行の必須科目に限定し、4~5科目に減らす。それから、科目合格制を採用する。1ページめくっていただきまして、試験形式は短答式、論文式の二段階選抜を廃止する。それから、試験回数は年2回といった御意見がございました。
 5番でございますが、「第3次試験のあり方」につきましては、関委員の方から、現行第3次試験については、公認会計士を業務として行うためのライセンスを付与するための試験として、一定の実務経験に加え、筆記・口述試験は必須と考えるという御意見がございました。
 6ページでございますが、「試験実施のあり方」についての主な意見といたしまして、「試験問題の出題内容及び範囲の見直し」ということで、木下委員より、2次試験と3次試験、これの試験範囲を明確にする必要があるのではないか。例えば、2次試験の場合の監査論、それから計算問題について明確化を図る必要があるのではないかという御意見でございます。
 加古委員からは、2次試験につきましては、計算問題がやたら分量が多いということであり、要するに計算問題ができれば合格するということになっている。そのことが体系的な勉強を阻害しているのではないかなという気がする。そういうことから計算問題の試験における比重の問題なども、これからの試験の出題の仕方としては考えていかなければならないと思うという御意見がございました。
 それから、加えまして、多くの受験者を2次試験に誘導させる手立てについて、資格試験制度を徹底する。ある程度標準的な問題をクリアできれば、そこでまず会計士への入門ができる、そういったような検討を進めたらどうかという御意見がございました。
 また、三原委員からも、余り特異な試験問題、難しい試験問題は出すべきではなくて、一般的、標準的な問題をしっかり理解しているかどうかを判断できるような問題にするべきではないかといった御意見がございました。
 以上が前回の意見等の概要でございます。


神崎座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきましたそれぞれの論点につきまして、順番に御討議いただきたいと思いますが、加えるべき論点等の有無も含めまして意見をお願いいたします。
 最初に、「試験制度のあり方」のうち「現行試験制度の枠組みのあり方について」という項目でございます。いかがでございましょうか。
 木下委員お願いいたします。


木下委員 社会人を含む多様な人材の資格取得の容易化ということなんですけれども、これに関しては、いわゆる2次試験、3次試験という段階を通って会計士になっていくという道だけで物事を考えていくのか、それとも、能力、経験、そういうものを総合して最終的には公認会計士の最終試験に合格すれば公認会計士としての資格を与えることができる。それで、開業する場合においては監査の実務に何年間か従事するということを要件にすることによって、いわゆる人材という面では層を厚くすることができるというようなことで、第3次試験に対する受験資格として2次試験を受けない場合においても第3次試験の受験資格を与えるというような方向というのは、現に公認会計士を職業としている人たちからの意見は、協会側では何かこの点に関して、意見があるんでしょうか。


神崎座長 福田委員、お答えいただけますでしょうか。


福田委員 ちょっともう一回お願いします。


木下委員 いわゆる従来のような2次試験を通って初めて3次試験という段階じゃなくて、社会人も含めて弁護士さんとか税理士さんとか、そういう資格を持っている方、又は大学の先生方、これは大学の先生方は私は試験というのじゃなくて、免除でもいいんじゃないかという考え方を出していましたけれども、いずれにしても2次試験を受けなければ第3次試験は受けられないということに対しては、協会側の意見はどうなんでしょう。


福田委員 今でも2次試験の免除というのはたくさんというほどでもないのかも分からないんですが、ありまして、そういう方でも2次試験を大学の先生なら会計学免除だとされています。ただ、実務補習、業務補助というのをやって3次試験という、そちらの方は免除の規定がありませんから、そういう形で試験の免除+実務補習、業務補助。実務従事もですけど、そういうような形の免除という制度に広げるということになると思うんです。余り全体にそういうことを検討したことはないんですが、今でも免除はあるので、同じような形で試験免除の科目が多くなる可能性はあるんじゃないかという予想はしています。


木下委員 よろしいですか。


神崎座長 木下委員お願いいたします。


木下委員 先ほどの斎藤先生のお話にもあったように、3次試験の実際の試験委員をやられていた経験からも、2次試験合格後その間の教育レベルや経験レベルというのは、社会人の方の10年とか相当の期間実務経験に就いていた人たちと比べて、2次試験合格者の専門的な能力も、また、社会経験も常識的なものも非常に高度だというような評価を持っておられませんよね。要はだから3次試験ということがもし我々の世界の最終試験であるなら、3次試験に受かる能力があるならば、受験資格を与えてもいいのではないかというのが私の基本的な考え方なんです。ただやたらにじゃなくて、企業の実務経験において10年以上とか、又は弁護士資格を持っているとか、税理士資格を持っている方たちだったら受験資格を与える。それで、監査の実務経験は前であっても後であってもよろしいんでしょうけれども、少なくとも開業をしていくときには監査を全く知らないのでは開業はできない。しかし、公認会計士という業界に入ってきていただくということにおいては、受験資格を与えてもいいんじゃないかということを考えたんですけども。


神崎座長 福田委員お願いします。


福田委員 今の制度は公認会計士の3次試験を受かれば開業登録ができて、すぐ需要があるかどうかは別にして監査ができるというような制度ですから、実務経験というのが今2次試験と3次試験の間にあるわけです。そういう実務経験のない人が3次試験の受験ができて、その後に実務経験を経て、それで登録というような制度があれば、そういう形の制度が採用できれば、今と余り変わらないということにはなるんでしょうけど、そういうものを入れるメリットがあるかどうか。先に業務補助で実務経験を経て、それから3次試験を受けても、それほど変わらないんじゃないかという気もしていますけど。


木下委員 福田委員の考え方は公認会計士協会の立場であり、公認会計士を現業としてやっていく、又は監査をやっていく人たちだけのことを考えているんだろうと思うんですよ。先ほど斎藤先生からの御意見にもありましたように、社会に対してそういう専門的な能力を持っている人たちが増えていくこと。もっと幅広くこういう資格を持っている人たちが入っていけるような環境を作っていくということになっていくと、違った観点が出てくるんじゃないかと思うんですがね。


福田委員 先ほども在学中に受けられた人の2分の1は監査法人以外に行かれるというお話でしたが、今、試験制度をいろんな面から検討しているわけですけれども、公認会計士の質と数を充実しなければいけないというときに、たまたま試験の合格者がうんと増えた、だけど、それは監査なり公認会計士業界に来ないで、いきなり企業なり官庁に行くということだと、これは何のためにやっているのかということにもなるので、だんだんそういう監査法人なんかやめていろいろなところに行く人が現実には増えていますが、いきなりそういう人があるよという制度ができて、じゃ、これを今、監査制度がいろいろ問題になって改善もしなきゃいけないときに、余り役に立たないというのか、今の制度と余り変わらないような形ではまずいなと思います。やはり合格者が増えて公認会計士の業界に一旦は入って、監査なりそういうものをやるというような制度でないと、もともとの改革の幾つかの目的はあるわけですが、そういう目的にちょっと外れるんじゃないか、そういうふうにちょっと思っています。


関委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、関委員お願いいたします。


関委員 今、福田先生がおっしゃったことは非常に大事なことで、何のためにこういう議論をしているかということを、やはりきちっと整理していく必要があると思うんですね。
 私は前回は欠席してペーパーを出させていただいたんですが、私は今、日本の会計が求められていることは、単に監査業務をきちっとできるかできないかというような次元の話ではないと思っております。実際に経済活動をやっている企業の立場から申しますと、やはり会計の専門家というか、会計を非常に分かる人が極めて薄いというのが実感でありまして、これからの日本というのはどうしても事業の再編だとか提携とか合併、そういう事業フォーメーションをどうするかというような議論だとか、あるいは事業の評価というものをどうするかという問題であるとか、あるいはリストラを進めていくときにどういう会計上の問題をクリアしなければいけないのかとか、あるいは先ほど斎藤先生がおっしゃったような資本市場に対してどういう分析をするのかとか、そういった仕事が非常に増えてきているわけですね。
 余りはっきり物を言うと議論があるんですが、例えば、会計というもの一つとってみても、いわゆる国際的に問題になっているのは会計基準の設定主体とか何とかありますけれども、そういう議論もやっていくと箱の話ばかりになりますと、やはり会計基準というものをどう設定するかという思想のようなものが問われている。日本の会計というのは、例えば、耐用年数一つとってみても、税の方が決めているだけで、会計としてどう耐用年数を考えていくんだというような問題も、どうもよく分からない。税の方で決めるからやっているというようなことなのか。そういうようなことではなかなか世の中から相手にされないんじゃないか、私はそういう根本のところが問われているのではないかというように思うんですね。
 従って、いろんなことを私申し上げていますけれども、これからの日本の経済を活性化していくためには、どうしても会計の専門とする人の厚みがないと非常に具合が悪いのではないかというところから、この公認会計士の試験制度も発想すべきではないか。監査偏重だという先ほど斎藤先生から御指摘ありましたけれども、そこのところは議論する出発点として私ははっきりさせておく必要があると思うんです。
 以上です。


神崎座長 まだまだこの点については議論があるかも分かりませんですけれども、今日はその他多数の項目について意見交換をいただきたいと思いますので、次のテーマに移りたいと思います。
 「1次試験のあり方」について、御意見を伺えたらと思いますが、いかがでございましょうか。
 この点については前回も御議論のあったところでございますが、何か付け加えて御発言いただくことがございますでしょうか。
 それでは、続きまして、「第2次試験のあり方」につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
 第2次試験のあり方については多くのポイントが論点ペーパーで出されておりますが、それらについて御意見をお伺いできればと、こう思います。


森田委員 ちょっとよろしゅうございますか。


神崎座長 はい、森田委員お願いいたします。


森田委員 2次試験の短答式と論文式の分け方をどうするのかということについて、今日、斎藤先生からも御意見が出ましたし、前からもいろいろな議論があったと思うんですけれども、いずれにしても短答式と論文式という二つのやり方というのは何らかの形で残さないと、これはもともと発想が論文式試験の採点能力の方からきたわけですよね。そうすると、ここでいわゆる短答式試験というのをなくすわけにいかないだろうと思うんですね。
 そういう形で短答式試験と論文式試験の両方で2次試験を構成するということを前提にしたときに、科目合格制との関係で短答式の合格者についても、例えば、3年間有効にしろとか、3年間は短答式で合格した者はその翌年は受けないでいいというようなお話も出ていると思うんですね。
 そうすると、短答式の場合のいわゆる足切りについて成立するんだろうか。例えば、仮に論文式試験の採点能力が3,000人であるとすると、去年短答式で受かった人間がそのうちで3,000人いて1,000人合格して、あと2,000人がまた残っているとすると、その翌年は1,000人しか合格させられないというような問題になっちゃうわけですよね。だから、どうもその辺はどういうふうに考えたらいいのかと私、頭の中で先ほどから考えていたんですけど、よく分からない。
 そんなような実施上の問題について短答式の試験をどういう形にするかということのほかに、科目合格制というような形の一つの形として、短答式についてもそういうようなものを適用するというような場合には考えなければいけない問題があると思うんですけどね。


神崎座長 ほかに御意見はございませんか。
 加古委員お願いいたします。


加古委員 ただ今の森田先生の御指摘の問題ですけれども、これは短答式の試験問題が始まったそもそもの理由だったのはずで、私もちょっと失念していましたけれども、これは非常に大変な問題で、論述式の答案枚数を3,000枚にするというのは、採点に当って論述とか理論の構成の仕方を見る、今日の斎藤先生のお話に従えば、その質を判定するというのが狙いであったはずなんですね。そのように論旨の展開を含めてちゃんと採点しようということで、ある程度枚数を絞り込む必要がある。森田先生の御指摘は極めて重要で、実施上の論点として押えておかなければならないと思います。
 それから、今日の斎藤先生の御指摘で非常に私、印象深く拝聴しましたのは、短答式と論述式というんですか、その区分けを質的に考えていこうという御指摘があった点であります。つまり論述式の方はいわば理論科目である。理論的な会計の考え方を問うという、理論科目であるという点を重視して、その内容を純化させていこうというように私勝手に理解させていただきました。そしてむしろ短答式の方では、それとは異質の極めて技術的な簿記とか原価計算の問題を短答式にする。先ほど申しました足切りの機能も同時に果たさなければいけませんけれども、それ以前に論述式の試験と短答式の試験の質的な差をはっきりさせていこうじゃないかという御指摘で、そんな観点から科目を整理し直すというのは有用ではないかというふうに思いました。
 ただ、短答式で簿記や原価計算以外の科目でも、新しく設定・公表される会計基準や法令の改正などを受験生が次々に丸暗記していきますね。あの丸暗記というのは割に悪くはないわけでして、若いうちに基本的なことを全部覚えておいて、実務をやりながらじっくり反芻して理解を深めるというのも悪くないわけで、簿記や原価計算のスタンスと同じような形で、しっかり全般的に暗記していただくというのもいいように思いますが、いずれにしても、試験科目を質的に整理して、論述式と短答式を分けていくという試験制度の改善整備のための一つの切り口を今日与えられたと思いますので、この観点からさらに検討していく必要があると思います。


神崎座長 三原委員お願いいたします。


三原委員 科目別合格制の話は大変重要な問題だと思うんです。これについては賛成説、反対説ともあるかもしれませんけれども、もしこれを採用すれば非常に受験者数の増につながるということは期待されるわけで、折角のこの小グループでいろいろ試験制度を考えるに当たって何らかの意見を出さざるを得ない重要な問題じゃないか、こんなふうに思うわけなんです。
 私は専門家じゃないものですから、非常によく分からない点もあるんですけれども、仮に斎藤先生が言われるように、もし科目別の合格制をとったことによって質の低下ということがあるとしても、それでも受験者数の増加が大いに期待できるということであれば、それでもこの制度を採用したらいいのかどうか、その辺やっぱりちょっと考え方を議論しておいた方がいいんじゃないか、こういうふうに思います。
 また、本当に質の低下ということになるのか、その質の低下の意味がまたいろいろあるだろうと思うんですけれども、例えば、税理士の試験においてそういう傾向が見られたとしても、それで税理士の業務に何か障害があったかというと、それはそれで立派に通用していくということであれば、仮に科目別合格制で合格した公認会計士の方が公認会計士としての業務を立派にやっていけるということであれば、そういう制度を採用してもいいんじゃないか、そんなふうにも一応思っているわけですが、その辺もう少し議論をして、このグループとしての見解が出せたらいいなというふうに思います。


神崎座長 木下委員お願いいたします。


木下委員 科目合格制の一例なんですけど、税理士試験の場合、簿記の受験者数が3万人、それで、財務諸表論になりますと減ります。そして、税理士試験と会計士試験を受けるというところで、なぜ税理士試験をやるのかというと、単純に原価計算がないからだと。税理士試験では原価計算の試験問題が出てないので会計の中で受けやすいというようなことの理由とかが非常にあるんですね。これは2次試験を全科目、科目合格制というふうにやりますと、本当に科目によってすごいばらつきが出てくるだろうと思うし、それを全部受かるまでに何年もかかるという問題が生じます。税理士では5年ぐらいで受かればいい方ですよね。中には10年かかって受かってきている。肝心の会計科目の簿記とか、やはり受験者数が多いものですから非常に厳しい。我々からみてちょっと問題があるという試験問題が出されていて、こういう試験で落としているわけですよ。ですから、最後の税法の科目が受かっていながらも、会計の簿記でどうしても税理士になれないとか、財務諸表が受からないから税理士になれないというような現実論があるんですね。
 そういうことが科目合格制のすごい弊害になっているんです。受かりやすいということと、本当に公認会計士としての資格を持って我々の業務に入ってくるかというのとは別問題ですので、この点はいま少し安易に受験者数が増えるということだけを問題にすべきではないんじゃないでしょうか。
 例えば、会計に関連するほかの試験問題、会計科目だけでやっている日商の1級の受験者数が1万2,000名で全然増えないんですね。これは簿記、工業簿記、原価計算、そして会計学です。そうすると、そこの4科目になってくるとがんと落ちてくるわけですよ。全国商業高等学校では一括合格だったのを科目合格にしましたけれども、そうなったら今度、今まで全科目合格だったときよりも科目合格者は増えますけれども、一括合格者が減ってしまっている現状がある。
 だから、そういう意味では科目合格というのは安易なんですね。制度としてそれほど我々の業界の受験人口とか参入を高めることに本当になるのか。そんな感じがしますので、これはもし科目合格ということであるならば、一括合格を前提とした上で、ある得点を取っていた人に関しては科目合格の中で、例えば60%が合格だとすると55%以上取っている中で、科目別に60%を超えている者に対しては任意で選択できるみたいな形だったら分かりますけれども、それでも科目合格制というのは各試験それぞれ60点という高いレベルの今度は科目ごとに合格基準を定めてきますから、全体で総合力を見るとかということがなくなって科目だけの能力になりますから、先ほど斎藤先生おっしゃられましたように総合的な判断力とか知識を見るということにはなってこないんだろうというふうに思います。


神崎座長 福田委員お願いいたします。


福田委員 前に会計士協会の意見として会計学4科目同時に受かるという意味で科目別合格制というのを御提案したわけですけど、そういう意味で簿記とか財務諸表とか個々の科目じゃなくて4科目一遍ということなので、それほど個別的に受ける、断片的に受けるということもなくて、その4科目全部受かるぐらいなら、そこからスタートしても実務補習、業務補助もできるんじゃないかというようなことでお話ししたわけです。今日、斎藤先生の意見もそうなんですけれど、結局、簿記と財務諸表が難し過ぎる、そういう話かどうかということだと思うんです。短答式になれば、今、簿記と原価計算だけしているわけじゃないんでしょうけど、今まで700~800人受かるのを3,000人受かるわけですから、簿記と財務諸表が今の制度で難し過ぎるかどうか。それを易しくすれば、そういう意味では合格者が増えるし、USCPAの広告ですけど、ああいうところを見ていますと、アメリカの公認会計士の試験のレベルが日商簿記の2級をちょっと上回るぐらいだ、1級まではいかないよというぐらいのところで試験が行われているということもあるので、今の簿記と原価計算の試験が難し過ぎて、もうちょっと易しくすればという話なら、いろんな意味で問題の解決ができるところもあるんですが、本当に難し過ぎるのかどうかというところをちょっと検討した方がいいんじゃないかと思うんです。


神崎座長 続きまして、「インターン制度のあり方」について御意見をお伺いしたいと思います。いかがでございましょう。
 インターン制度につきましては、論点ペーパーでは「実務経験の範囲等の見直し」「実務補習及び業務補助等の期間の短縮」ということで具体的に上がっておりますけれども、このような項目、あるいはその他取り上げるべき項目があれば、その項目について御意見をいただければと思います。
福田委員お願いたします。


福田委員 この2-1の方の資料の4ページのところに実務経験の範囲の見直しということで(1)のマル1のところに、「例えば、コンサルティング業務についても可能とすることとしてはどうかとの考えがあるがどうか。」ということになっていますが、そういう人が監査することが3次試験を受かって、余りないとは思うんです。公認会計士が監査できる資格だというときに、監査を全くしないで実務経験というので本当にいいのかなという気がしているわけです。今、公認会計士の中で監査ができる人、できない人というような分け方をしていませんから、どうしても監査についての実務経験というのが必要になるんじゃないかと思っています。


神崎座長 木下委員お願いいたします。


木下委員 前回のときに福田委員の方から協会の提案として、仮に1,500人という合格者体制にいったときには、監査法人で実務補習をやるようになるだろうというふうなお話があったと思うんですけれども、協会で今やっているような体制から、例えば、実務補習を監査法人でやるようになったときに、その方がより質の高い教育ができるというようにお考えになりますか。
 というのは、先ほど私聞いていて斎藤先生のお話で愕然としたのは、口述試験のときの印象を言われて、実はこれは3年間みんな受けているわけですよね。これは一体何なのか。やっぱり2次試験を受かってきた後の教育というのが非常に形式的になっているのではないかと思うんですね。実務補習は教材や教育方法はすごく整えているし、時間数もやっているということになっているんだけれども、いわゆる、たびたび福田先生の発言に出ている「監査」ということを言っていますよね。確かに監査の専門家ではあるんだけれども、その基本となるもっと大事な基礎的な常識的な問題とか、それから、広い観点から物を見ていくというような視野がないとかということが、この3次試験のときの口述に出てきているとするならば、やはりこの辺のところの教育が実務補習のインターン時代の教育の基本ではないかと思うんですが、この点はどう考えられますか。


神崎座長 福田委員お願いいたします。


福田委員 今の会計では2次試験と3次試験の間に全てやらなければいけないのか、本当はそれより前みたいな問題もあるような気もするんですが、今、1,500人になったらという仮定でいきますと、とても今と同じようなやり方で公認会計士協会が実務補習をやるというのは物理的にできないということで、大手の監査法人の東京だけでも自分のところで補習をやっていただくということを言っているわけです。今、実務補習をやると居眠りしているとかいう人がいるといわれているわけですが、法人でやる場合には、そんなに居眠りして聞いているというのは実際ないわけで、やる内容はもちろんある程度ガイドラインみたいのを作ってやらなければいけないわけですけれども、受講者等の関係からいけば、今より充実したような形になるというのは間違いないと思います。


神崎座長 それでは、続きまして、「第3次試験のあり方」について御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。


関委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、関委員お願いいたします。


関委員 やや素人っぽいんですけれども、私は3次試験でほとんどが合格するということが、やっぱり問題があるんじゃないのか。確かに試験の手間とか判断とかというのは先生方のお話を聞いていると大変難しい。随分手間もかかるし、本当にきちっとした判断基準があって判断ができるのかというような議論はあると思うんですけれども、やっぱりそこでも相当選別が行われるということがあってしかるべきなのではないのかなという印象を持っております。
 特に、先ほど斎藤先生なんかのお話に出ていますが、例えば、監査論であるとか、あるいは税のような問題であるとか、これは最終的には非常に大事な問題でありまして、そういうものに対する一つの物の考え方とか見方とか見識だとか、あるいは勉強のスキルだとかいうのも含めて、やはりそういう監査とか税だとかいうのは、むしろ3次試験の方に試験を委ねて、これは手間の問題とかやり方の問題とかいうのはどうしたらいいか私はよく分かりませんけれども、やはりそういうものをきちっとセットして、会計の専門家としてどこへ出しても恥ずかしくない人材だということを、そこできちっと認定するということが必要なのではないのかなという感想を持つんですが、いかがでしょうか。


神崎座長 それは3次試験のあり方に関わる根本的な問題ですね。
 福田委員お願いいたします。


福田委員 2月に御報告した試験制度の協会の案ですと、2次試験のときは、例えば監査だと監査の基礎理論、3次試験のときには実務経験が必要だということで監査の理論と実務というような形に分けて試験するのがいいだろうということで、2次試験のときはやはり監査の実務的なことは全く経験ないわけですから無理だということで、2次試験と3次試験に分けようというようなことも御提案していることはしているんです。税については3次試験ということにしています。


神崎座長 それでは、続きまして、「試験実施のあり方」のうち、「試験問題の出題内容及び範囲の見直し」について御意見をお伺いしたいと思います。
 木下委員お願いいたします。


木下委員 先ほど斎藤先生の方から、これは非常によく言ってくださったと思ったんですけれども、経営学なんですが、経営学は実を言うと、勉強を実際にしない受験者がいる。というのは、余りにも試験委員が自分の研究しているというか、興味あるところから出ているというので、体系立てて勉強するというような形で経営学がなっていないんですね。ですから、経営学というのは試験科目としてなじむのか、こういうことを言うと経営学の学者の先生がいますから失礼なんですが、会計士試験との関連において言うならばファイナンス、こういう分野で限定していただくと非常に助かる。勉強しやすいし、また、実効があるだろうということが言えると思います。
 それから、民法に関しても触れられておりますけれども、確か前回の試験制度改正で民法を入れるときに相続やなんか絶対おかしいからと試験範囲で申し上げたんですね。ところが出ているわけですよ。それで、実際に不動産鑑定士の第2次試験に民法が入っているんです。向こうを受かるとこちらが免除になるんですけれども、レベルが全然違うんですね。民法の試験問題のレベルは恐らく司法試験の民法レベルと甲乙つけがたい。むしろ民法の方が相続とか何かというのは出ないですから非常にはっきりしているんですけど、その意味では民法を適当な範囲に限ってという、この問題はぜひ試験範囲の中でもう一度民法の出題範囲の問題と、それから、もし経営学という科目でやるんだったら経営学の科目の中でも財務論というか、そういう領域に出題領域を限定していただいた方が、具体的に皆さんが効果ある学習ができるという点では、そういうことが言えるだろうと思います。


神崎座長 それでは、続きまして、「実務補習・業務補助の内容の充実」について御意見をお伺いしたいと思います。
 木下委員お願いいたします。


木下委員 福田委員にお聞きしたいんですけれども、監査法人でやるときの研修というのは、これは仕事を終わってからやるということになるのですか。それとも、昼間の時間の思考力がちゃんとしているときに研修というのは行われるんでしょうか。


福田委員 実務補習です。


木下委員 実務補習じゃなくても研修が当然やられていますでしょう。どういう形でおやりになっているんですか。
 というのは、実務補習を協会から離して監査法人でやったら、今でも仕事優先で、すごく忙しい。2次試験に受かって発表になって1週間もしたら現場に出ているというような実情もあるわけですよ。そうすると、教育という問題からすると現実には働き手というか、時間稼ぎの補助者というような印象が非常に強いんですけれども、その辺のところは大丈夫なんですか。


福田委員 監査法人にまだ頼んでいるわけではないので、どういうふうにやるか、そういう構想だけですけれども、今みたいに週2回、2年目になると週1回ですが、そういう夜のときばかりということじゃなくて、最初から仕事の計画を作っておけば昼間にできるということになるだろうと思うんです。
 それと、なおかつ、東京だけでも1,500人ですと、今、大手法人は4法人ですから、そういうところへ行くと200人や250人いるということを考えれば、どこかの場所を借りなければいけない。それで協会の研修施設の教室を貸してということでしょうけれども、協会の実務補習所もあるわけですから、それは昼間を使うというような形ででもやらないとできないことになるので、実質的には昼間とか土曜日とか、やるときにはそういう形のものでやるようになるだろうと思います。


神崎座長 お願いいたします。


木下委員 この実務補習問題というのは協会自体も非常に試行錯誤を重ねながら質的に中身を高めてはきているんですけれども、どうしても夜間授業ということが弊害になっていて、いわゆる現実の問題を言えば、息抜きの場になってしまっているというのが現状なんですね。というのは、昼間仕事をやって疲れて帰ってくる。仲間と会って、そこでまた2時間緊張して聞くということの厳しさが、だからそれが単位制になって週3回じゃなくてばらしましたよね。でも、そういう中でも今受けている側もそうだし、やっている方たちの中でも、もう夜やるというようなことは反省すべきだという意見が多いわけですよ。ところが、監査法人ということになったときに仕事優先の場だから、その辺のところが協会でやっていればまだちゃんとやるけれども、監査法人に任せたら仕事中心ということにならないように協会が指導するということを前提としているんでしょうか。


福田委員 監査法人がやれば自分の職員として仕事をやらせなければいけないわけなので、そういう意味でもうちょっと今より直接その効果というものを確かめられるということがあるので、それは制度を導入してからですけれども、きちんとやるという可能性が高いだろうと思うんです。特に夜間にやる分については、これが司法試験と公認会計士の制度の違いでして、司法試験の場合は公務員として給料をもらいながら司法修習を1年半やるわけですが、公認会計士の場合は自分で勤めながらやるということで、どこかに勤めながら必ず実務補習をやるということなので、どうしたって夜になる。土曜日とか日曜日にやるということもできるわけですが、夜やるというのがずっと伝統的にやっているわけで、この制度を昼間やるということに全面的にするには、司法試験の制度みたいな形に変えない限り改善ができないということだと思います。


神崎座長 時間が参りましたので、最後に、「合格判定基準、配点、模範回答等の公表」について御意見をお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 ご意見がないようですので、本日までに5回にわたりまして、当検討小グループの検討テーマであります「試験制度改善の基本的な考え方」「試験制度のあり方」「試験実施のあり方」につきまして意見交換を行わせていただき、概ね皆様の御意見をお伺いできたと思います。
 次回は、事務局と私の方で、これまでの議論を整理させていただき、「現行公認会計士試験制度全般にわたる具体的な問題整理」の原案を作成したいと考えております。この問題整理の文章化の作業につきましては、森田委員・加古委員にもお手伝いいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕



神崎座長 ありがとうございました。それでは、森田委員・加古委員よろしくお願いいたします。
 次回会合の日程等につきましては、事務局より御連絡させていただきますので、御出席くださるようよろしくお願いいたします。
 なお、皆様の席上に第4回会合の議事録(未定稿)をお配りさせていただいております。御覧いただききまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、次回会合までに事務局までお知らせくださることをお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

午後4時0分閉会

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