平成12年6月8日(木)

 
公認会計士審査会

第6回試験制度に関する検討小グループ議事録


於 大蔵省第三特別会議室
(本庁舎4階)

大蔵省金融企画局市場課
 


午後2時0分開会

神崎座長 それでは、予定の時間もまいりましたので、ただいまから「試験制度に関する検討小グループ」の第6回会合を開催いたします。
 本日は三原委員が御都合により欠席でございます。
 前回まで5回にわたって検討小グループの検討テーマであります「試験制度改善の基本的な考え方」「試験制度のあり考え」「試験実施のあり方」につきまして、参考人の方からのヒアリングを行いつつ、意見交換をさせていただき、一応皆様の御意見をお伺いすることができたと思います。本日は、これまでの議論を整理させていただき、問題整理を作成いたしましたので、これにつきまして御議論をいただきたいと存じます。
 それでは、事務局から「公認会計士試験制度見直しに関する問題整理」、これは仮称でございますが、この問題整理を説明していただき、検討してまいりたいと存じますが、最初に私からこの問題整理の趣旨等を説明させていただきます。
 今般の公認会計士試験制度の見直しに関しましては、昨年7月の「会計士監査に関するワーキンググループ」における論点の一つである「公認会計士の質及び数の充実」の考え方を踏まえまして、現行試験制度全般にわたる問題整理を行うこととしたわけでありますが、幅広い観点から御意見をいただいておりますので、それを整理いたしまして、その上で基本的な考え方を示すことができればと考えております。具体的な項目の検討作業につきましては、この問題整理を公表いたしまして、各界からの意見をいただいた後に、さらに詰めていくことといたしたいと考えております。
 したがいまして、この問題整理につきましては、この後、御審議いただき、追加、修正すべき点はないかなどについて質疑応答や意見交換をさせていただきたいと考えております。
 それでは、事務局から問題整理について御説明いただきますが、便宜上、「経過(公認会計士試験制度見直しの必要性)」「基本的な考え方」「公認会計士試験制度のあり方」「試験実施のあり方」の四つに分けさせていただき、それぞれについて事務局からの説明の後、意見交換をさせていただきたいと思います。
 まず「経緯(公認会計士試験制度見直しの必要性)」の部分について事務局から説明をお願いいたします。


福地課長補佐 お手元に配付してございます資料に基づきまして、まず読み上げさせていただきます。
 まず1ページでございます。

  

 公認会計士試験制度見直しに関する問題整理(案)
.経緯(公認会計士試験制度見直しの必要性)
 現行の公認会計士試験制度は、昭和23年の公認会計士法の制定により創設されている。第1次、第2次、第3次の各試験があり、第2次試験の合格者には会計士補となる資格が与えられ、以後3年間のインターン履修後に第3次試験の受験資格を取得する。さらに、第3次試験の合格者には公認会計士となる資格が与えられる。
 現行試験制度においては、試験の種類、科目、方法等が公認会計士法に規定されており、これらの改正には法改正を伴うことになる。公認会計士試験制度は、平成4年に公認会計士法が改正され、第2次試験への短答式試験の導入、第2次試験、論文式試験への選択科目の導入、試験委員数の法定の廃止等が行われたところである。
 近年、我が国企業の活動の複雑化や資本市場の国際的な一体化等を背景として、公認会計士監査による適正なディスクロジャーの確保とともに公認会計士監査に対する国際的な信頼の向上が一層重要になってきている。さらに、最近の企業の経営破綻等を契機として、公認会計士監査は果たして有効に機能してきたのか等、厳しい指摘や批判がされている。
 このような状況を背景として、公認会計士審査会委員や企業会計審議会委員を中心に、平成11年4月に「会計士監査に関するワーキンググループ」が設けられ、同年7月に「会計士監査のあり方についての主要な論点」が公表された。この現行公認会計士監査におけるさまざまな問題点を明らかにし、必要な対応を講じていく必要があるとされた主要な論点の1つとして「公認会計士の質及び数の充実」が掲げられており、具体的には、
 
 マル1  今後の公認会計士監査には、高い資質を持った公認会計士が十分な規模で存在することが必要であり、このためには、試験制度のあり方や研修制度のあり方について一層の検討策を講ずるよう検討する必要がある。

 マル2

 公認会計士試験については、社会人を含めた多様な人材に受験しやすくすることで、公認会計士間での競争を促進し、公認会計士全体としての水準の向上が図られるような制度のあり方を検討すべきである。その際、単に試験の水準を下げ、合格者の質を下げることとは異なることに留意すべきである。

 マル3

 また、試験及び研修に共通する課題として、最新の企業実務に則した内容をより重視していくべきではないか。

との考え方が示されたところである。
 特に、公認会計士の数については、

 ・ 社会のディスクロージャーに対する重要性の認識の高まりから監査等の領域が拡大していること

 ・

公認会計士監査が有効に機能していたかという批判を背景に、より深度ある監査が求められていること

 ・

企業等においては、連結会計、時価会計の導入などにより会計の果たす役割は従来に倍加して重要になってきており、今後ともこうした分野の業務が拡大していくものと考えられるが、企業内等においては、そうした知識を持った専門家が極めて少ないこと

などから、職業会計専門家としての公認会計士が現在の公認会計士数では著しく不足しているのではないかとの指摘が各方面からなされている。
 他方、公認会計士監査等に対する社会的要請が急速に高まってきているが、その担い手である公認会計士に対しては、会計制度の大幅な変化や金融市場における急速な技術革新等、従来にも増して資質的にも深い専門的知識、幅広い識見が必要とされるに至っている。
 こうした社会の要請にこたえていくためには、公認会計士の業務に引き続き多くの優秀な人材を確保していく必要があるが、現行の公認会計士試験制度については、

 マル1  現在の制度は、必要以上に受験者の負担が大きくなっており、会計士業務をめぐる状況の変化に対応するとともに、多くの多様な人材が受験しやすいようにする観点から、インターン制度、試験科目や出題範囲等を見直す必要があるのではないか。

 マル2

 受験者の勉強方法が暗記中心となっているが、公認会計士業務に不可欠な思考能力や判断力を有しているかをより判定できるような出題内容、試験実施方法を検討すべきではないか。

といった問題が指摘されており、試験制度全般の見直しについて検討する必要がある。
 以上のことから、公認会計士審査会では、「試験制度全般の見直しに当たっては、まず現行試験制度全般にわたる問題整理が必要」との観点から、同審査会に「試験制度に関する検討小グループ」を設置し、検討を行うこととしたものである。
 これまで、当小グループでは、○回の会合を開催し、学識経験者、他の資格試験関係者からヒアリングを行いつつ、審議を進めてきた。
 これまでの審議により、現行試験制度について一応の問題整理がなされたことから、これを「公認会計士試験制度見直しに関する問題整理」として公表し、各界の意見を求めた上で当小グループの報告のとりまとめを行うことを予定している。
 以上でございます。



神崎座長 ありがとうございました。
 それでは、ここの部分につきまして御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。


森田委員 確認になるかもしれませんけれども、これはこの小グループでの意見でも何でもないんですね。小グループで、やはりこういうふうに理解したというように解釈しなければいけないんですか。


神崎座長 この部分は総論の総論でございますけれども、このグループの意見ではないと思います。ただ、まとめ方は若干、事柄の解釈に関係してまいるということではありますけれども、この部分自体は小グループの意見ではなくて、今後の検討を行う背景事情として提案がなされておるということではないかと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして「基本的な考え方」の部分につきまして事務局から説明をお願いします。


福地課長補佐 4ページでございます。

  2

.基本的な考え方
(1) 公認会計士数増加の必要性及びその具体数についてどう考えるか。
 近年、公認会計士監査等に対する社会的要請が急速に高まってきており、具体的には、
 一つには、公認会計士の行う本来業務である監査証明業務に関して、昨今の企業の経営破綻等を契機として厳しい指摘や批判がなされているが、その1つに公認会計士数の不足が挙げられており、公認会計士数の増加による監査の質的向上が求められていること。また、量的にも監査対象法人・団体等の増加や新会計諸基準の整備・導入などに伴う監査事項が増加していること。
 もう一つには、公認会計士に対する社会の要請が監査以外の業務に拡大・多様化・複雑化していることから、本来業務としての監査証明業務に従事する者ではなく、企業や官公庁に所属して有資格者として会計サービスを提供する者が多数存在するなど、公認会計士の裾野を広げることが不可欠であること、
との観点からであるが、現在の公認会計士等の数約1万6,500名(公認会計士約1万3,000名、会計士補約3,500名)では、そうした要請にこたえられず、高い資質を持った公認会計士が十分な規模で存在することが必要との指摘がある。
 公認会計士がどの程度不足しているかについては、公認会計士の行う業務等との関係で、どの程度の数の公認会計士が必要であり、現在どれくらいの公認会計士等の数が不足しているかを考える必要があるが、具体的な増加数を明確な根拠のもとに正確に算出することは、将来の社会・経済的な発展等にも依存しており困難である。
 しかしながら、公認会計士数の大幅な増加が必要であるとの認識のもとに、
 
 ・ 「ストックとしての資格取得者を業務等の拡大と企業等にも十分な有資格者が必  要との観点から現在の4倍程度になるようにする必要がある」

 ・

「監査時間を必要時間確保する必要から第2次試験の合格者を5年間で6,000名 増加させる必要がある。」

 ・

「現行制度を前提とした場合、公認会計士試験は資格試験であり、第2次試験合格者に対しては、第3次試験受験要件の実務補習や業務補助の機会を提供できなければならないことから、それらの受け入れ可能人員によって、合格者増員の限度があるのではないか」等の意見があり、今後議論を深めていく必要がある。

(2)

「質を維持しながら、数をふやすための方策」をどう考えるか。
 公認会計士の質を維持しつつ、公認会計士試験の合格者数の大幅な拡大を図ることとする場合には、試験制度の見直しをする必要があるが、試験制度の大幅な見直しは受験者等に与える影響が大きいことから、現行の試験体系を基本としつつ、十分な検討の上で試験科目の見直しなどの所要の改正を行うことが必要である。
 また、さらにこれにとどまらず、公認会計士の裾野を広げ公正有効な競争を促進するとの観点から、例えば社会人を含む多様な人材が公認会計士資格を取得しやすくなるよう、一定の実務経験を積んだ社会人や他の職業専門家に対しては、一定の厳格な条件のもとに何年間か監査業務に従事した場合には、第3次試験を受験できるような方途を検討する必要があるとの意見もあった。
 また、公認会計士にふさわしい人材の育成のためにアカウンティングスクール(会計大学院)の設置を検討すべきではないかとの意見もあるが、大学院の差別化や必ずしも優秀な人材の確保につながらないのではないかとの指摘もあり、今後慎重に検討する必要がある。

(3)

公認会計士の質の充実についてどう考えるか。
 必要とされる公認会計士等の数の増加要請を満たしながら、一方において資質的にもより深い専門的知識と幅広い識見が従来にも増して必要とされてきており、試験制度の見直しについては、公認会計士の質の低下につながることのないよう留意する必要がある。
 公認会計士の質の充実に関しては、公認会計士資格取得までの試験や実務補習や業務補助等のインターンにおいて質の確保を図ることはもちろんであるが、資格取得者が大幅に増加することで資格取得後における競争が激しくなり、結果として全体の水準向上に資するものとの考えもある。
 また、資格取得後においても、日本公認会計士協会が実施している継続的専門教育を通じて、引き続き専門的知識などの習得に努めていくことが重要である。
 なお、公認会計士業務へ引き続き多くの優秀な人材を確保していくためには、試験制度の見直しとあわせて、関係者が受験者増加のための広報活動等をさらに積極的に行うとともに、公認会計士の職業を社会的・経済的に真に魅力のあるものにする努力を重ねていくことが必要である。


神崎座長 ありがとうございました。
 それでは、この部分につきまして御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。
 福田委員、お願いいたします。


福田委員 5ページの上から3行目のところですけれども、「監査時間を必要時間確保する必要から第2次試験の合格者を5年間で6,000名増加させる必要がある」、私が言ったわけですけれども、6,000名の増加ということではなくて、1,500人の合格者を5年間ということであって、今の倍にしてくれということです。増加という表現でいくと公認会計士の数を5年間で6,000名増加ということで、合格者という計算だと、今の1,500人掛ける7,500人という提案なので、ちょっとここのところの表現を変えていただきたいと思っています。


神崎座長 わかりました。
 関委員、お願いいたします。


関委員 御議論していただく問題提起をするつもりで、ちょっと気のついたことを申し上げたいと思いますが、5ページの3番目の現行制度を前提とした場合なんですが、実務補習や業務補助の機会を経ないと第3次試験が受けられない、こうなっておることは事実であるわけですけれども、私は、このことをもって合格者増員には限度があるという議論は、今までの1ページからの文脈からいうと本末転倒の誹りは免れないのではないか、そういうことだと思うんです。むしろ、これはそういうことを制約要件にしないように検討するということが大事であって、後の方にも出てきていますけれども、そういうことを第3次試験の受験の要件にしないということの方が大事だと思うんです。意見はともかくとして、私は、小委員会として、こういう本末転倒の議論を掲げるということについては、いかがなものかと思います。これが1つ。
 歯に衣着せずに言いますから、誤解のないようにしていただきたいんですが、それから5ページの真ん中ぐらいに、(2)番なんですけれども、最初の5行はしょうがないとしても、第3次試験は「一定の厳格な条件のもとに何年間か監査業務に従事した場合には、第3次試験を受験できるような方途を検討する必要があるとの意見もあった」というのは、これは木下先生が随分おっしゃられたわけで、私はちょっと弱いのではないか。つまり、第3次試験を受験できるような方途を検討する必要があるということなのではないか。ちょっとこれはウィークな表現になっているのではないかというのが私の意見であります。
 それから(3)なんですが、この辺はいろいろと御議論のあるところだと思うのですが、そういうふうに読むか読まないかについてもいろいろと意見があると思うので、私は、今の公認会計士の試験を前提にすると、要するに今、合格している公認会計士の皆さん方が、最初の方でいわれているような高い資質を持った公認会計士が本当に選抜できているのか、あるいは公認会計士業務に不可欠な思考能力、判断能力を有している人たちが選ばれているのかというのは原点にありまして、今選ばれている公認会計士の人は大変質がよくて、人をふやせば質が悪くなるということを当然の前提にして議論するというのは、私は間違いではないかと思うんです。そうではないという、表現の問題なのかもわかりませんが、どうも、ずっと読んでいると、そういう感じがしていて、むしろ今の非常に高い資質の判断力を持った優秀な人たちが公認会計士に選ばれて、そして社会的にも公認会計士の職業的な地位が上がるということが非常に大事でありまして、量をふやせ、ふやせというから質が下がるということでは、私は、ないのではないか。だから、そういうことは、もう一遍どこかで確認をしておく方がいいんではないかというのが、私の3ページを読んだ感想、意見であります。


神崎座長 関委員から、今、3点にわたって御指摘がございました。
 1つは、レジュメの5ページの上の段のところでありまして、「現行制度を前提にした場合、公認会計士試験は資格試験であり、第2次試験合格者に対しては、第3次試験受験要件の実務補習や業務補助の機会を提供しなければならないことから、それらの受け入れ可能人員によって、合格者増員の限度があるのではないかとの意見がある」ということに関して、前提とすることについては問題があるのではないかという御指摘でございました。
 それから同じくレジュメの5ページの中ごろ、公認会計士の裾野を広げ公正有効な競争を促進するとの観点から、社会人を含む多様な人材が公認会計士資格を取得してくれるようなシステムを考える必要があるという意見があったということにつきましても、読みようによってはということで御指摘がございました。
 3番目は、やはり同じレジュメの5ページの一番下でありますけれども、今の試験を前提とするということに関連して、高い質を持った公認会計士が業務に邁進するということが必要であり、このような記述の仕方では若干、その点が弱いのではないかということを指摘されたわけでございますけれども、この点について、ほかの委員の御意見等を聞きたいと思います。
 木下委員、お願いします。


木下委員 まさに、その問題で、従来の我々公認会計士の置かれた環境よりも、非常に違った質の人材を求められている環境ということを前提として、公認会計士の質の向上ということがあるんだろうと思います。ですから、5ページの前半のところでいわれているように、(3)のところの最初の3行、「一方において、資質的にもより深い専門的知識と幅広い見識が従来にも増して必要とされてきている」と、そこで受験者層を広げる必要性があるということなんだろうと思うんです。ですから、試験制度の改革の中で、科目を検討するということも、やはりそういう質を求めて試験科目やなんかも考えていくということでないとおかしいのではないかというように思われます。


関委員 それから補足ですけれども、6ページの最初「結果として全体の水準向上に資するものとの考えもある」、これも「も」というのは、このことが全部正しいんだと断言するのはやや強引かと思いますけれども、「考えもある」という程度かと。むしろ、こういう考え方も踏まえて検討する必要があるんではないかということなんだろうと思うんです。


神崎座長 福田委員、お願いいたします。


福田委員 5ページの最初のところ、「受験要件の実務補習や業務補助の機会を提供できなければならないことから、それの受け入れ可能人員によって合格者増員の限度がある」ということですけれども、実務補習はスペースだけの問題ですから、幾らでもやろうと思えばできるわけです。しかし、業務補助というのは、監査法人なり公認会計士の事務所でやる、実務従事ということを別にすれば、業務補助の機会を提供できないということがもしあるということだと、その結果、3次試験に受かっても、合格者は公認会計士事務所なり監査法人に入れないということと同じ結果になるわけですけれども、公認会計士試験を受けた人は公認会計士として働きたいというのが普通でして、それともう一つは、一人前になるには、やはりそういう事務所にいて、訓練が必要だというのが一般的です。監査法人なり公認会計士の事務所に就職ができない場合、それ以上の人数を合格させた場合、受験者が満足するのか。公認会計士試験を受けて、合格したら監査をやりたい人が一般的ですけれども、監査をやるというために公認会計士事務所に入れないという状況では、試験そのものの魅力もなくなるし、受験者も減る、決して増えるということはないだろうと思います。業務補助というのは、現実には監査法人なり公認会計士の個人の事務所に入るわけですから、それに入れないようだと、その後の展望も開けないということで、公認会計士として監査をしよう、それ以外のこともですけれども、1回は会計事務所、監査法人に入るというのがどうしても必要だということで、この要件というのは、結局はあるんだろうと思うんです。
 弁護士の試験、司法試験の場合のことですけれども、司法試験は今、合格者をふやそうということで随分改革されていますけれども、合格者をふやして、裁判官なり検事なりになる人は一定の数はあるわけでしょうけれども、それ以外の人は、どうするかというのは、現実に余り考えられていない。ただ、足りないということだけで、では、弁護士事務所に勤めるのか、自分で独立するかということが余り考えられないで、合格者の数をふやしていくということになっています。公認会計士の場合は、どうしても、監査法人なり公認会計士の事務所に入って監査業務をやるということが必要なので、受け入れ限度数というのは、どうしてもそこで制限があるということだろうと思うんです。


木下委員 公認会計士の質及び数の問題というのは、福田委員が言われているように、監査証明業務に限定した、そういう発想なんでしょうか。やはり社会のニーズというのがもっと違ってきているので、必ずしも、監査法人において監査に従事しなければ公認会計士と認めていくのはおかしいんだという前提ではないんではないですか。


福田委員 今、現状で公認会計士の試験を目指す人は、やはり公認会計士業務の中の監査をやりたいという人が多いわけです、現実に。監査以外でも、公認会計士の3次試験に受かっても独立できるわけではないですから、やはり訓練の機関としてどこかにいなければいけないというときに、やはり監査法人なり公認会計士の事務所に何年かはいるというのがどうしても必要で、試験に受かったから、もう独立の仕事ができるということがない限り、やはりそこで受け入れ限度があるだろうというふうに思います。


神崎座長 関委員、お願いします。


関委員 我々の会社にも公認会計士の人は何人かいるんですけれども、公認会計士の業務が広がってきておりまして、公認会計士になって、もちろん福田委員のおっしゃるように、大宗は監査法人に勤めて監査をやっていくことかもわかりませんが、少なくとも、こういう非常に難しい経済社会になってきて、やはりM&Aだとか、事業の再編だとか、いろんなタックス・プランニングだとか、あるいはコンサルタントだとか、そういうことについても、一つのスペシャリティを持った、コリプリケーションを持った人間として仕事をしたいと思っている人はたくさんいるわけです。これが1つです。
 もう一つは、福田委員がおっしゃるように、監査法人で仕事をするというのは、私はそれなりの訓練というものがないと、それはものにならないというのは、そのとおりだと思うんですが、10ページにありますように、それを第3次試験の試験要件とするのではなくて、私はこれを読んで、そうだなと実は思っておるんですが、公認会計士が監査法人で働く場合には、実務補習のようなものをきちんと受けているというのを登録要件にする、登録要件というのがいいかどうかわかりませんが、そこは工夫のやり方次第ではないかということでありまして、全体の試験合格者の数を制限する、これを大きな理由にするということには、私はならないんではないかと思っているということであります。


神崎座長 森田委員、お願いいたします。


森田委員 いろいろな、いわゆる社会人といわれている人たちを広い意味での会計士の仲間に引き込んでくる、そのこと自体、私は非常に結構なことだと思います。ですけれども、どうなんでしょう、今の、言ってみれば大学を出て、2次試験を受けて、そして3次試験を受けて公認会計士になっていくという人、人数的にそれをもうほとんど無視して、社会人の方だけで賄えるはずはないわけです。そうすると、今のそういうような大学を出て2次試験を受け、そして3次試験を受け、公認会計士という資格をもらう人が、今現在行われている、いわゆるインターンという制度を受けられるようにするということは、やはり必要なんではないかと思います。
 先ほど実務補習の方はやりようで幾らでもある、業務補助の方に限界があるんだ。業務補助の方について、例えばほかの司法試験みたいなああいうような制度があれば、それが一番いいんですけれども、それがないとして、何か工夫ができて、そっちをふやせ、そっちを何か考えろという提案はできると思いますけれども、だけど、やはり何らかの形で、それが現実問題としてある程度の限度、制限というようなものになるというのは、理想的に考えればいろいろとあるかもしれませんけれども、現状において、それを無視して合格者の増員ということを図っていくというようなことは、いろいろな障害が出てきてしまうのではないでしょうか。


神崎座長 現状を前提にすれば、業務補助の機会をどれだけの数の人たちに提供できるかということも1つのファクターだと思いますけれども、関委員がおっしゃったように、これは力点の置き方にかかわる問題であって、社会が必要とする質の高い、そして多数の公認会計士を育てていくということがまず必要であるとするならば、それが現行の制度を前提にした業務補助の関係で問題があるとすれば、業務補助のあり方について考え直してみるということが必要ではないかという御指摘でございますけれども、基本的にはそうではないかと思います。
 森田委員、お願いします。


森田委員 私の考え方が古いのかもしれないんですけれども、やはり制度としての公認会計士制度というのは、監査制度と結びついて生まれたものだと思うんです。そうすると、監査をする資格のない公認会計士というのを、監査のできる公認会計士、監査をやる資格のある公認会計士というのと制度的に分けなければならないという問題が出てくると思うんです。そういうようなことまで考えるのかということです。


神崎座長 これは10ページでいわれておることとも関連する事柄ですね。
 福田委員、お願いします。


福田委員 先ほどのものに補足をしたいわけですけれども、2次試験から3次試験の間というのは、インターン、これは本当は独立した資格なんですけれども、実質的にはインターンということですけれども、その間の生活の保障というのがどうしても必要なわけです。今、司法試験の場合は、そこは国家公務員という形で生活を保障しているわけですけれども、公認会計士のインターン期間中というのは、どうしてもどこかに就職なりをしなければいけないわけで、業務補助というのは、監査法人に入って業務補助をするわけですから、そういう意味でインターン期間中の保障はできている。インターン期間の生活保障ができる以上に合格をさせるということは、どうでしょうか、そのあたりはどうするのかという問題がすぐに出てきてしまいますね。


神崎座長 加古委員、お願いいたします。


加古委員 4ページの一番下の行から5ページにかけてですが、基本的な考え方の(1)は、公認会計士の数の増加の必要性というテーマなんです。4ページの一番下の行については、少し正確に書き込まないといけないという気がいたします。ストックとしての資格者というのは会計士なんでしょうけれども、それを現在の4倍程度にするということはいいんですが、その理由が2つあって、1つは、4ページの一番下のように監査業務の拡大という観点から4倍程度にするというのが1つの理由で、もう一つが、企業等にも公認会計士の有資格者が必要という観点から、あわせて4倍程度が必要だという表現になっているわけですけれども、先ほど来、議論にありますように、監査業務という観点からの必要性については縷々述べられているんですけれども、とりわけ4ページの第2パラグラフなどについては、そのことが明確に述べられているわけですが、企業等にも有資格者が必要ということについての布石といいますか、説明をしている箇所が見当たりません。これをも数を増やす必要性の大きな理由にするんだということであれば、それを少し書き込まなければいけないのではないかという気がいたします。確かに、公認会計士は監査を業務とするんですけれども、監査を知っている企業人も必要だというのが、このテーブルでは1つの大きな流れになっていると思いますので、その点を正確に書き込む必要があるのではないかと思います。


神崎座長 わかりました。ありがとうございます。


加古委員 もう1点よろしいでしょうか。


神崎座長 お願いいたします。


加古委員 5ページの一番、(2)の最終パラグラフですけれども、アカウンティングスクールについては、今後、慎重に検討する必要があるという結論なんですが、こういう文書で「慎重に」という表現は「やめた方がいい」という意味で使われることが多いんですね。そういうことかどうか、確かにいろんな問題点は残されていますけれども、あっさりここで引き下がってしまうといいますか、やめましょうというまとめでいいかどうか、後でディスカッションの箇所でまた議論させていただきたいと思います。


神崎座長 木下委員、お願いします。


木下委員 監査を経験するということを目指す会計士というのももちろんなんですけれども、今までの制度50年の中で、監査、監査ということでみんな腕を磨いたり経験を積んできたわけです。今、現実に社会の変化に適応できる知識とか経験を持った会計士が少ないということが実は批判されていたんではないだろうかと思うんです。ですから、そこのところを考えたときに、試験制度の改正というときには、そういう経験を持った人たち、または能力を持った人たちが入ってこれるような試験制度なり教育制度なりということを目指しての改革というのを考える必要性があるんだということが出てこないと、ちょっと論点がおかしくなるんではないかと思うんです。協会からいわれている1つの立場というのは、現状は確かに不足していますから、そういう人たちを増大させるという主張は、これはどうしても出てくるんだろうと思うんですけれども、もう一方のそういう一面のことも、やはりこの小委員会では考える必要性があるんではないかと思います。


神崎座長 ありがとうございます。
 基本的なあり方として、そのことを明確に凝立するということが必要ではないかという御意見ですね。


森田委員 ちょっとよろしいですか。


神崎座長 森田委員、お願いします。


森田委員 非常に保守的なことばっかり言うようですけれども、今の木下先生のおっしゃったことは十分わかるんですが、もしそうであるとすると、公認会計士になる前に、いわゆる実務経験というんですか、会社なら会社なりで実務経験を積んでいるということを資格取得の前提にするということなのか、あるいは、それは公認会計士の資格を取って、公認会計士の仕事をしながら、そういうような訓練というんでしょうか、勉強というんでしょうか、それはできないんだろうか、その2つの問題があると思うんです。もし公認会計士の資格を取るために、いわゆる実務経験というのが必要であるとすると、これはもう抜本的な改正をしなければならないという問題があるんですけれども、その辺はどういうふうに考えるのか。実務にいる人たちを公認会計士の仲間の方に入れる何らかの方策を考えていこうということは、それを通じて公認会計士の社会の中に、広い意味で知識という、そういう雰囲気をつくるような効果があるということは私は考えられるんですけれども、その辺をどこまで具体的な問題として考えるのかということがもう一つはっきりしないんです。


関委員 森田先生のおっしゃるのは非常に大事な論点だと思うんですが、私は実は余り厳密に考えていないんですが、必ず公認会計士が監査法人で仕事をする上で、社会に出て実務経験をやらなければどうしてもいけないとしてしまうのは、それは相当行き過ぎなんではないかと実は思うんです。しかし我々の実業界でのニーズでは、やはり企業に携わっている人が監査法人の方にも行って仕事ができる、あるいは、場合によっては監査法人にいる人が企業の方に来て仕事をしてもいい、つまり、先ほど福田委員がおっしゃったように、監査法人に就職することが前提だ、そこで働く機会のない人間をたくさん使ったってしょうがないんではないか、そういうことではなくて、双方向の交流ができる、これからは幾らでもそういう話はどんどん出てくると思うんです。労働のモビリティが上がりますし、我々だって、企業の中で会計の専門家を育てるなんていうことは、もうそんな余裕なんかはだんだんなくなってきているわけですから、監査法人で非常に優秀な人がおれば、ぜひ来て仕事をしてくれ、仕事の場を与えますというようなことというのはいっぱい出てくるはずですし、企業に勤めていて、おれはもう監査法人で本当に監査を仕事をしたいということであれば、そちらの方に行って腕を奮ってもらう、そういうもう少し流動性の高い仕組みのようなものを構築するということが本論だと思うんです。


神崎座長 ありがとうございました。
 「基本的なあり方」に関連して、そのことを明示的に教示しておくということが重要ではないかという御指摘であろうと思います。このペーパーにも、そういうことも少しは入っておるんです。入っているけれども、必ずしも明確に指摘されておるというわけではないと思いますが、今の御意見も、ここの問題整理のまとめにおいて、ぜひ明確に記載するようにしてもらいたいと思います。
 それでは、続きまして「公認会計士試験制度のあり方」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。


福地課長補佐 7ページでございます。
 
  3

.公認会計士試験制度のあり方
 
(1) 第1次試験について
 第1次試験は、第2次試験を受けるのに相当な一般的学力を有するかどうかを判定するため、国語、数学、外国語(英語)及び論文について、筆記の方法により、年1回実施されている。受験資格については、特に制限はない。
 第1次試験については、受験者の高学歴化等を背景に試験免除者が多くなり、受験申込者の大幅な減少が顕著に見られるところであり、今後も同様の傾向が見込まれ、第2次試験においても一般的学力を有していることを判定することは可能であり、これを廃止し、受験者全員が現在の第2次試験から受験できるようにすることが考えられる。一方において、公認会計士としては大学生程度の国語・英語・数学等の知識が必要とされており、そうした一般的学力を有していると認められて第1次試験を免除された以外の者が第2次試験を受けることができるように、第1次試験を残しておくべきであるとの指摘があり、第1次試験の廃止の是非について検討を行う必要があると考えられる。

(2)

第2次試験について
 第2次試験は、会計士補となるのに必要な専門的学識を有するかどうかを判定するため、短答式試験及び短答式に合格した者に対して行う論文式試験からなっている。試験科目は、短答式が会計学(簿記、財務諸表論、原価計算及び監査論)及び商法であり、論文式は必須科目が会計学・商法であり、選択科目は、経営学・経済学・民法の3科目から2科目を選択することとなっており、一括合格が条件となっている。
 第2次試験は、公認会計士試験の中心をなしているものであるが、前述のように、受験者の負担、公認会計士の質の充実などの観点から問題点が指摘されており、これらに対応するため、次の諸点について検討することが必要であると考えられる。
 
 マル1  試験科目の見直しについて
  特に、社会人等の多様な人材が受験しやすくするなどの受験者の負担軽減、公認会計士として必要とされる知識の判定や理論と実務を第2次試験と第3次試験で分けていることの観点などから、試験科目の増減、短答式試験と論文式試験、第2次試験と第3次試験、必須科目と選択科目について、それぞれの科目分けなどを検討する必要があると考えられる。
 具体的には、
 
 ・ 科目を集約して、試験科目数を減らしてはどうか。

 ・

「簿記」「原価計算」については、基礎的な知識は最低限必要であるが、計算問題中心であり、理論問題中心の論文式から外して短答式試験のみとしてはどうか。

 ・

監査については、実務的な側面が非常に強いため、第2次試験ではなく、第3次試験のみの科目としてはどうか。

 ・

「経済学」は選択科目ではなく、必須科目とし、マクロ・ミクロの両方から出題してはどうか。

 ・

「経営学」については、範囲が広く不明確であり、会計と関係の深い「財務論」

 としてはどうか。

などの意見が出されており、公認会計士に求められる学識等が変化していることを踏まえ、公認会計士に必要とされる専門的学識を判定するという第2次試験において必要とされる適切な試験科目を検討していくことが必要である。

 マル2  科目合格制の導入について
 現在の論文式試験においては、7科目を一括して合格することが必要とされているが、特に社会人等の受験者にとって大変な負担となっており、税理士試験に見られるようなすべての試験科目についての科目合格制、あるいは必須科目については、一括して合格する必要があるが、選択科目については科目合格を認めるような制度を導入すべきであるとの指摘がある。
 この点については、受験者にとって勉強がしやすくなり、特に社会人など受験者数が増加するものと考えられる。しかしながら、現在の一括して合格する方式は、総合評価であるため得意科目で不得意科目をカバーできるが、科目合格制ではそれができず、必ずしも負担の軽減にならず、合格者増にならないのではないか。また、一つ一つの科目の積み重ねであるため、総合的な判断に結びつきにくく公認会計士の質の低下につながるのではないかとの指摘もある。
 したがって、科目合格制の導入については、受験負担の軽減等の観点から、受験者や合格者を増加させる有効な選択肢であると考えられるが、上記のような指摘を踏まえ、科目合格制の導入の是非及び導入するとした場合の方法などについて慎重に検討していくことが必要である。

 マル3

 短答式試験の免除措置の導入
 短答式試験は、平成4年の公認会計士法の改正により、基礎的な科目である会計学及び商法について試験を実施し、これに合格した者についてのみ論文式試験を実施することにより答案採点の精度を確保し、あわせて広く一般的な知識を有しているか否かを判定することを目的として導入されたものである。
 これについては、受験者の負担を軽減する等の観点から、基本的な知識を有していることにより、合格した者に対しては、その後の一定期間(例えば1年ないし2年)について短答式試験を免除する措置を導入してはどうかとの指摘がある。
 この点については、短答式試験の免除措置を導入した場合、論文式試験の受験者が大幅に増加することになるが、制度を導入した目的である答案採点の精度を保ちつつ、これに対応することが可能かどうか、答案採点の実施方法や有効期間等を含めて検討していく必要がある。

(3)

インターン制度(実務補習、業務補助等)について
 現行制度では、第3次試験の受験要件として、会計士補、または会計士補となる資格を有する者について、1年を超える実務補習と2年を超える業務補助、または実務従事が義務づけられている。
 このうち、実務補習については、大多数の者が夜間に行われる日本公認会計士協会の実務補習所で受講している。また、業務補助については、公認会計士、または監査法人の監査証明業務を補助し、実務従事は会社等の法人において財務に関する財務分析等の事務に従事することとされているが、社会人等については、実質的に実務補習の受講や業務補助等の実施が困難であり、公認会計士資格取得の最大の障害になっているとの指摘がある。
 このような指摘を踏まえ、実務経験の対象となる業務の範囲を拡大し、社会人等の多様な人材が第3次試験を受験しやすくできるようにすることが公認会計士数の増加や公認会計士の裾野の拡大につながると考えられるが、その範囲については、監査証明業務について公認会計士、または監査法人を補助することと同等としてよいか、といった点など慎重に検討する必要がある。
 また、実務補習や業務補助については、その内容のより一層の充実・強化が必要であり、インターンとしての期間やカリキュラムなどについて検討を行う必要があると考えられる。
 なお、上記のような観点から、実務補習及び業務補助、または実務従事を第3次試験の受験要件ではなく、米国にも見られるように、第3次試験合格後にも受講できることとし、資格取得後の公認会計士として業務を行う場合の登録要件とすることも考えられる。

(4)

第3次試験について
 第3次試験は、公認会計士となるのに必要な高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定するため、「財務に関する監査、分析その他の実務(税に関する実務を含む)及び論文」について、筆記及び口述の方法により年1回行われている。このうち、口述試験は、筆記試験において一定以上の成績を得た者について、「筆記試験だけでは判定できない公認会計士としての資質を見出し、合格の判定度を高めるために筆記試験を補完する」ことを目的に行われている。
 第3次試験は公認会計士となるための最終試験であり、第2次試験終了後3年間の実務経験等の成果を判定することが求められているが、次の諸点について検討することが必要であると考えられる。
 
 マル1  口述試験について
 現行の口述試験は、筆記試験において公認会計士審査会が相当と認める成績を得た者に対して行われており、近年においては口述試験受験者の約90%弱が合格しているところである。
 公認会計士の業務においては、会計士補の場合と異なり、企業経営者等との交渉力等が非常に重要な要素を占めてくることから、口述試験において、筆記試験では判定できない公認会計士としての資質を判定することが適当であるとして、口述試験の重要性を指摘する声が強い。他方、筆記試験との位置づけや実施方法等について見直しを行っていく必要があるとの指摘があることから、口述試験制度の実効性を高めるよう試験委員数の増加やその実施方法等の改善について検討することが必要であると考えられる。

 マル2

試験科目等について
 現行の第3次試験は、実務的な専門的応用能力を判定するとの観点から、「監査、分析、その他の実務(税を含む)、論文」の4科目について実施されている。
 現在行われている4つの科目は、第3次試験が公認会計士資格取得の最終試験であるとの位置づけから、おおむね適当であると思われる。このうち、「論文」については、公認会計士として具有すべき、いわゆる一般教養を有しているかを判定するものとされているが、内容がわかりにくいとの指摘があり、明確化する必要があるものと考えられる。
 また、会計士業務の多様化、国際化、高度情報化等の観点を踏まえ、各試験科目の出題範囲の再検討を考慮する必要があると考えられる。

 以上でございます。



神崎座長 ありがとうございます。
 それでは、この部分につきまして、御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。


大藤大臣官房参事官 今、読んでおりまして、「慎重に」という表現がございますが、私どもの気持ちとしては、むしろ十分にという気持ちでございますので、慎重にというのは、必ずしも消極的ということではございません。そういう気持ちで整理してございますので、それを踏まえまして御議論いただければと思います。


神崎座長 わかりました。
 関委員、何かありますか。


関委員 科目合格制についてなんですけれども、私は、科目合格制というのは、ぜひ入れていただきたい、こう実は思っているものなんですが、ここで書かれている科目合格制だけでは、本当にいい人材が選抜できるのか、あるいは、結果として大変難しい試験になるんではないかということについては、そういう側面が大いにあるんだろうと思うんです。そこで、これは素人考えですから、そういうことになるのかどうか自信がないんですが、私は、総合評価と科目合格制というのは、本当に矛盾するのものなのかと実は思っておりまして、例えば試験は一斉にするわけですが、平均的に例えば50点なら50点、60点なら60点を取っておれば、これは総合評価で合格するということでいいんだと思うんです。しかし、総合評価の上では合格しなくても、ある科目については、例えば80点を取っている、あるいは90点を取っている、バーを上げまして、80点を取っているということなら、その科目はまた十分クオリファイしているんだということで、それはそれとして認めてあげるとか、そういう工夫ができないのか。したがって、総合評価と科目合格制のどっちでやるんだという議論にせずに、その辺の折衷というのは言葉が悪いわけですが、そのような方式のようなものがあるのかないのかというのは、検討に値するんではないかと思うんですが、いかがでしょうか、こういうことが1つです。
 それからもう一つありまして、2次試験においては、短答式と論文式を分け、2段階にしたわけですが、これは1段階にできないか。科目によっては、この間、斎藤先生からお話がありましたように、簿記とか原価計算のようなものは、むしろ短答式中心の試験にして、経済学だとか、そういうものは当然のこととして論文式の方にする、科目の特性に応じて短答式を中心にした問題形式のものと、それから論文形式のものという問題形式にして2段階は廃止する。採点の労力とかという問題が多分あるんだと思うんですけれども、ということにして、私は、むしろ機会をふやすというようなことから年1回ではなくて2回試験をやる、採点の労力はふえると思うんですが、受験者数をふやし、合格者数をふやそうということであれば、これは避けて通れないことと割り切れば、そういう1つの提案があるんではないかという意見を持っておるということであります。


神崎座長 ありがとうございました。
 今の点について御意見があれば、お願いしたいと思います。


木下委員 短答式を導入したのも、採点をちゃんとやっていただいて精度を高めて、いい人材を確保したいということで、足切りという意味で短答式を入れましたので、今年みたいに受験者1万人というふうになっていますから、そういうような状況で7月の試験でもって9月に終わらせて10月の頭に発表となってくると、やはり採点の簡略化というか、ある程度は力のない人たちを切っていかないと、恐らく採点が大変なんだと思うんです。だから、短答式をなくしてしまうということは、採点の精度を上げるという意味では非常に難しいのではないだろうかという感じがします。


神崎座長 やはり基本的には、2段階方式にならざるを得ないのではないかという御指摘ですね。
 福田委員、お願いいたします。


福田委員 ここに書いてある内容で、特に科目合格制について慎重というのは十分に検討する意味だとおっしゃっていますけれども、全体にここに書いてある内容を見れば、短答式の免除を導入するというぐらいで、科目についてはいろんな内容がありますけれども、余り試験制度として今のと変わらない試験制度だけでは、受験者がふえるとか、合格者がふえるという形のものが余り期待できないというか、そういうような形の内容だという感じがするんです。受験者が3万人にでもなれば、今の制度でも余り困らないわけですけれども、やはり受験者をどう増やしていくか、ある程度はふえるんでしょうが、合格者をふやしてもらいたいという要望からいくと、科目合格制度も入っていないという形で、2次試験の科目は、どちらかというと経済学なんかを必須科目としたらなんていう意見も入っていますし、どういうふうになるかですけれども、全体として、余り試験制度を改正しないで合格者がふえるのかというところに相当疑問があるような内容ではないかと思っています。


神崎座長 木下委員、お願いいたします。


木下委員 先ほど関委員の方からお話があった一括合格方式をとりながら、ある点数までの人たちの中では、例えば60%を取っている科目に対しては合格科目とするという方法というのは考えられるのではないかと思うんです。


神崎座長 関委員、お願いします。


関委員 今、福田委員がおっしゃったとおりなんですが、我々の方から見れば、やはり技術的な簿記とか原価計算がとても社会人にはついていけないということなんです。私も受けたことがありませんから、わかりませんが、とにかくあれが最大のネックで、スピード、若い人が猛烈に早い、20代の前半ぐらいまではものすごく高いわけです、あの能力が。あれにみんなやられるんだと。それがクリアできないと、もうこれはとても無理だという話をよく聞くんですが、一つはそこのところだと思うんです。だから、この間の斎藤先生ではないですが、簿記と原価計算というのは、できなければ箸にも棒にもかからないわけですから、これはもうエッセンシャルだと思うんですけれども、特殊技能のような、大学には行かないで会計学校に行って、もうそれの技を磨くようなところは、ぜひ改革してもらいたいというのがポイントだと思うんです。


大藤大臣官房参事官 事務局といたしましては、この選択肢では余り大きな効果が見込めないんではないかという御指摘をいただきましたが、ぜひそこら辺、いろいろな知恵等があれば、どんどん積極的にお出しいただいて、それを盛り込みたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。


加古委員 7ページからの試験制度のあり方ですけれども、つまり現行の制度を微調整といいますか、少し改善するにはどうしたらいいかというようなトーンになっていますので、これとは別に、かねてから議論のあった入口の多様化といいますか、試験制度のバリエーションといいますか、そういう格好で、今の制度とは別の入口があるのではないかという議論が幾つかなされましたね。そのことを少し入れないと、数をふやしながら質を維持するという議論とつながらないような気がしました。


大藤大臣官房参事官 そこはどういう形で整理させていただくかということだと思いますが、5ページに戻っていただきますと、7ページから書いたものというのは、おおむね現行の試験体系を基本をしながらという形で魅力を増していくということが中心になっておりますが、さらに進んだ提言ということで、これにつけ加えて、「また」以下のところをさらに付言して書き込むかどうかということだと思っております。これはむしろ御意見をいただいて検討したいと思います。


関委員 これは、ぜひそうしていただきたい、私が最初に申し上げたのは、そういう意味なんです。


神崎座長 試験科目の見直しについては、民法以外の科目は、ここに書いておりますけれども、民法については何の記述もないんですが、民法の場合、第1編から第5編までをカバーするということで、実際にもう身分法に関連するもので出されたことがございますけれども、公認会計士の仕事の関係から判断すれば、親族相続は外すということが、受験者の過当な負担を軽減するというためにも、好ましいのではないかと思うんです。


木下委員 経営学は、ある程度は明確にしていただいた方がよろしいかと思うんです。経営学の先生には申しわけないんですけれども、過去の実績を見たら非常にバラエティに富んでいて、勉強する範囲としては、なかなかしにくいですね。


神崎座長 福田委員、お願いします。


福田委員 今の科目のところですけれども、監査を3次試験のみの科目としてはどうかということが書いてありますけれども、多くの人が監査法人に入って、合格後1カ月ぐらいで監査の現場に行くというような状況になっているわけですから、合格後監査を1から勉強させるというのも非常に難しいという意味で、監査の基礎理論、協会の意見ではそういうようになっていましたけれども、監査の基礎理論的なものは、やはり2次試験に残しておいてもらって、3次試験に実務的なものを入れるというような形にするべきではないかと思っています。


大藤大臣官房参事官 簿記、原価計算のところは、いただいた意見ということで、こういうように書いてございますが、関委員からお話しいただいたように、さらにもう少し、簿記、原価計算について、何かウェートを見直すようなことが考えられるのかどうか、ここら辺で何か御意見をいただけたらと思います。


神崎座長 森田委員、お願いします。


森田委員 確かに、簿記と原価計算はものすごく問題の分量が多いんです。これは短答式の方に回しても、下手すると同じようなことになりかねないんです。だから、それはもう問題そのものを何とかしてもらわないと、はっきりいって最近、随分前からですけれども、簿記と原価計算の問題が後から雑誌等に出ますけれども、見る気力がないんです。印刷で7ページぐらいあるわけです。ですから、それを本当に片手で、昔の算盤の競争みたいに、電卓の競争みたいな格好になってしまっているというんでしょう。だから、その辺を短答式でやっても、今度の短答式の問題を見ても、かなり計算はありますね。だから同じようなことになるので、その辺はもう少しどうにかするということは、これは実務家を対象とすることだけではなくて、一般の二次試験の受験者を対象にしても、そういう問題というのはあるのではないでしょうか。
 ただ、なかなか難しいんですけれども、今、試験問題を現実につくっている試験委員がいるわけで、試験委員の問題の中身に立ち入った意見まで出すのかどうか、もっと一般的、抽象的な表現でやる程度なのか、どうなんですか。


大藤大臣官房参事官 いろいろとお話を伺っておりますと、やはり社会人の受験者層をふやすという観点から、どうも簿記、原価計算というところを指摘される方が非常に多いものですから、そこら辺については、もし御意見があるようでしたら、いろいろと問題点としては整理して、むしろ世に問うて議論をいただくということも必要なのではないか、事務局としてはそのような形も考えられるのではないかと思っておりますけれども。


神崎座長 抽象的には、ボリュームというのか、分量を一定の範囲内に収めるようにするということですが、そういう抽象的な言い方では十分ではなくて、より具体的にということになりますと、何か特別な基準というものがあり得るんでしょうか。


関委員 私の気持ちからいっても、問題点はきちんと書いておいてもらいたいんです。つまり、質の高い会計士の皆さんをつくっていくという観点で、試験で何が問題なんだということになると、どちらかというと、現行の試験そのものが、そういう技術に非常に走っていて、やや言葉に語弊がありますが、大学も行かずに受験学校に通っている人は非常に合格率が高い。むしろ大学時代には、経済学だとか、そういうきちんとした物事を論理的に考えるということが非常に大事なのに、そういう人たちは合格せずに、もうとにかく予備校に通っている人たちが断然有利だという試験のあり方が本当にいいのかということです。そういう表現にするかどうかは別にして、そういう問題があるんだということは、私はやはり書いておいていただきたいと思うんです。


木下委員 これはお願いなんですけれども、試験科目としては会計学となっていて、中で4つに分かれていると思うんです。最近、聞くところによれば、各担当の先生方は非常に話し合って出題をなさっているということなんですが、会計学という範疇でまとまっていただいて、問題をもう少し議論していただくと違ってくるんだろうと思うんです。恐らく会計を大学で教えている先生方も、あんな簿記のボリュームの問題を出さなくったっていいんではないかと思われている方は相当多いはずなんで、むしろ会計学というまとめ方で試験問題を出していただく。そうすると、そんなテクニックを必要とし、今は全然行われていないような非常におかしな問題というのはなくなってくるし、ですから会計学でまとめて、先生方がそれぞれの問題を検討して出していただけるようになると、もっと違ってくるんではないかという感じはするんです。


神崎座長 福田委員、お願いします。


福田委員 やり方としては、分量が多過ぎるというんなら、簿記と原価計算の配点を減らすとか、そういう格好の配点基準にでもすれば、どうにかなるんではないかと思うんですけれども、2次試験なら全部7等分、同じウエートになっておりますが、簿記と原価計算の計算部分はウエートを減らせばいい。特に短答式なんかを見ていますと、あの3時間の試験時間で、簿記と原価計算をほとんどやっているんではないかと思うようなボリュームなんです。それ以外の科目の時間というのがほとんどなくて、その2つの科目をやるために、時間を使っていますから。むしろ簿記と原価計算をやらなくても合格点になるんではないか、ほかのをやれば、そのような気がするわけです。配点の問題ではないかと思うんです。


神崎座長 配点を低くすれば、分量が少なくなるということは当然出てまいりますか。


福田委員 そう思いますけれども。


木下委員 今までの経緯や出題者側からいうと、前任者があれだけの問題を出してしまっていると、すぼめるというのはすごく難しいと思うんです。だから、制度として会計学という科目の中で、会計を全体で4科目にするという形でもって、会計学の中で総合問題的にいろいろと検討して問題をつくっていただければ、随分違ったようになるんだろうと思うんです。


大藤大臣官房参事官 恐らく福田委員のおっしゃっている御指摘は、簿記、原価計算の配点をほかの科目に比較して小さくしろということではなくて、配点の割に出題が多いんではないかという御主張でございますか。


福田委員 簿記のウエートを半分にして、時間も今は2時間やっているのが1時間にする。そこまでやるのがいいのかどうかということはりますが、例えば1時間にすれば1時間の問題になるわけですから。


大藤大臣官房参事官 それは1つの御意見だろうと思います。
 それから、素人考えでいいますと、基本的に恐らく簿記、原価計算で何か差をつけようとすると、どんどん高度になっていって、ですから、もう簿記、原価計算というのは、全員が80点を取れる問題でもいいんだと割り切れば、恐らくどんどん高度化したり計算が多くなってくるということにはならないのかもわからない、まことに素人考えでございますけれども。


加古委員 今の参事官のおっしゃった考え方というのは、後で出てきますけれども、問題の標準化で、この程度のパターンのものをこなせれば、もう資格あり、合格だという、そういう工夫をこれからしていかなければいけないんではないかと思うんです。試験の範囲も、ここまでと決めておく。何か最近はJICPAの実務指針、そのまたごく一部だけを取り出してみたりして、会計士の先生方も恐らくわからないんではないかと思われるような細かいところが出題されているようです。だから、2次試験の範囲はここまでだという範囲の確定、それから問題のパターン化といいますか、標準化をもうちょっと徹底して考えていく必要があるんではないかと思います。
 余談ですけれども、日本商工会議所でもやはり検定試験をやっていまして、あれなどは毎年同じ問題が出るんです。数字が違ったり、ちょっと取引例が違うくらいで全く同じものが出てきて、それでも1級なんかですと、合格はせいぜい10%を切っています。そこまでちゃんと勉強して回答できる力があれば合格というのが標準化という意味ですし、範囲確定という意味だろうと思うんです。そういう点を少し徹底して研究し、実施していったら、受験者の負担も随分軽くなるんではないかと思いますし、そのことによって、急に質が落ちるとも考えられないので、工夫のしどころではないかと考えております。


神崎座長 既に次のテーマに入っておりますけれども、それでは、続きまして「試験実施のあり方」につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。


福地課長補佐 12ページでございます。

  4

.試験実施のあり方
 
(1) 試験問題の出題内容及び範囲について
 現在、公認会計士試験問題の出題及び採点は、公認会計士審査会の推薦に基づき大蔵大臣が任命した試験委員が行っており、例えば、第2次試験においては、各科目の試験委員が合議により、会計士補となるのに必要な学識を有しているかを判定するにふさわしい問題を作成するよう努めているところである。
 一方で、受験者の勉強方法が暗記中心となっており、会計士業務に不可欠な思考能力、判断力の育成が阻害されつつあるのではないかとの指摘があり、より思考能力を試すということに重点を置いた基本的問題の出題が望ましいの指摘がなされている。また、出題範囲の明確化や引き続き試験問題の標準化が図られるよう努めていくことが重要であると考えられる。

(2)

答案の採点について
 現在、択一式で行われている第2次試験の短答式試験を除き、各試験委員が採点を実施しているところであるが、受験者数の増加により各試験委員の負担が加重になってきているところである。
 一方で、公認会計士の質を維持しつつ公認会計士試験の合格者数を増加させるための措置(例えば科目合格制の導入や短答式試験の免除措置の導入)を講じた場合、さらに受験者が大幅に増加することになる。
 このため、試験制度のあり方の見直しにあわせて、答案採点の精度を確保していくことができるような方策を検討する必要がある。

(3)

合格判定基準・配点・模範解答等の公表について
 現在、公認会計士試験においては、合格判定基準、配点、模範解答については、その公表を行っていない。
 この点については、資格試験における公平性、透明性を確保する観点等から、基本的には公表することが望ましいと考えられるが、例えば、模範解答の公表については、考え方を問うような問題の場合には、解答が必ずしも1つとはならず、かえって受験者の混乱を招く可能性もあるため、その方法等については慎重に検討を行う必要があると考えられる。

 以上でございます。



神崎座長 ありがとうございました。
 それでは、この部分について御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。
 加古委員、お願いします。


加古委員 結局、結論的には、我々の方で余り知恵が出なかったというのがその理由で、それをエクスキューズの前文とした上で申し上げますが、12ページの答案の採点についてというところで、第2パラグラフで合格者数を増加させるための措置、例えば科目合格制の導入や短答式試験の免除を講じた場合、受験生が大幅に増加するという文脈になっておりますけれども、例えばこの2つを実施すれば受験生が大幅に増加すると期待するのは、ちょっと期待薄ではないかと思われるわけです。受験者を増加させる措置がこういう制度だけでできるかどうか、これについては、では、対案はあるかといわれると困るんですけれども、例えば今の試験制度のもとでも、少し合格点を下げますと700やそこらはすぐに出てきそうな気がするんです。こういう議論をホームページで公開していいのかどうかわかりませんけれども、できそうな気もするんです。こういうふうにして仮に合格したとしても、本人の自己責任といいますか、合格後の自己研修を通じて自らをブラッシュアップしていく。そのようにすれば、ちゃんとしたクライアントもつくということも期待できるんではないか。つまり、抜本的に年間1,500人で4年間で6,000人という数字から始まった論調からいいますと、何かそのくらいのことを実施段階で考えないと、とても1,500人とか6,000人という数字は出てこないように思うんです。そのためにどうするかは、また後の議論にして、少なくともここのところで、結論は合格者数を増加させるためには、科目合格制だ、短答式の免除だ、こういうふうにはっきり書かない方がいいのではないかという気もいたしますが、いかがでしょうか。


森田委員 これは私の理解が違うのか、今の(2)の答案の採点についてのところで、受験者が大幅に増加するんですか。採点すべき答案が大幅に増加するということではないんですか。


大藤大臣官房参事官 事務局の整理といたしましては、ちょっと表現が適当でなかったかもわかりませんが、受験者というのは、それぞれの段階の試験の受験者ということでございまして、まさに、例えば短答式試験の免除をすれば、論述試験に向かってこられる方がふえるということでございます。


森田委員 ということは、試験委員が採点しなければならない人数がふえるということで、そういう意味でしょう。


大藤大臣官房参事官 受験者というのが、最初の入口に来られる方というのも、そこがふえてという面もあると思いますが、主にここで書きたかったのは、そういうことです。


森田委員 そうすると、仮に短答式を1年なり2年なり有効にする。有効にして、繰り越されたものを含めて、3,000人なら3,000人だけを合格者にしてしまうということであればふえないわけですね。2次試験の合格者がふえたときに、試験委員の負担が大きくなってくるのは3次試験の試験委員ですね。3次試験を受ける人間がふえてくる。今のような一定人数で、短答式は機械で採点するわけでしょう。


大藤大臣官房参事官 そうでございます。


森田委員 だから、試験委員は関係ないですね、採点について。そうすると、2次試験委員の採点がふえるというのは、やり方で、2次試験の論文式を受ける人数を何人にするか、今までの3,000人ではなくて、それを4,000人にするか、5,000人にするかという問題ですね。


大藤大臣官房参事官 ですから、短答式の免除措置を講じて、毎年新しく短答式の合格する人のところを絞らなければ、論述を受ける資格者が恐らくふえると思いますので、それに対する対応という意味です。


森田委員 だから、3,000人合格して、そのうち仮に1,000人受かった。後の2,000人は来年受けるかもしれない。もしその2,000人が来年受けるとすると、来年、そのほかに初めて受ける短答式の合格者は、合計3,000人とすれば1,000人しか受からない。それではまずいから、もう1,000人ぐらいふやしましょう。そうすると4,000人になって、論文式の試験の答案枚数が4,000枚になるという意味ですね。


大藤大臣官房参事官 はい、そういうことでございます。


関委員 手数がふえるのは、これはしょうがないんではないですか。


大藤大臣官房参事官 ですから、そこら辺はまさに体制、試験委員数を増加とか、あるいは、より機械化を図れるところがあるとか。


関委員 あるいは、これがだめなら、もう次に行かない、これは素人っぽい話ですけれども、ベイシックな問題にだんだんなって、ここを通過しなければ、もう次に行けないようなことの中で、もうあなた方は見ない、そこのところができなかったらとか、何か工夫するとか、そんなことしかないんではないですか。


神崎座長 その場合には、受験生がそのことを知るように、やはりそういう仕組みで試験を実施いたしますということを公表する必要はありますね。
 木下委員、お願いします。


木下委員 (1)のところの問題は、いつも改正のときに問題になるんですけれども、試験委員になった先生方に徹底しているんだろうかという疑問がすごくあるんです。むしろ、そこのところが受験者の要領かなんかの中にちょっと書かれているだけで、出題をする先生方がこれを守っていない部分があるんです。だから、むしろこれをちゃんと、加古先生がおっしゃられたように、試験範囲の問題と水準の問題を明確にして、その中で試験委員の中でお互いにチェックするなり、またその中での調整委員かなんかの先生方にちゃんとやってもらうということが大事だと思うんです。


神崎座長 まさに試験実施のあり方にかかわる大きなポイントですね。
 それでは、問題整理の全体を通しまして、追加、あるいは修正すべき事項がありましたら、お願いしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、全体からお願いします。


加古委員 5ページの(2)の先ほどの慎重に検討するという箇所ですけれども、表現は十分に検討すると改めるということで、よくわかるんですが、この問題は、アカウンティングスクールの問題ですけれども、大学における会計教育の問題として、大学の教員たちがその構想について十分研究していく必要がある。例えば商学部であるとか経済学部であるとか、そういうところで優れた会計士を育成するための機関のあり方について、十分に研究して取り組んでいかなければならない問題だろうと思うんです。したがって、試験制度そのものに直接つながるかどうかは別として、会計士試験のバックグラウンドとして、ちゃんとした会計教育ができるようにすべきであるということを示唆していただきたいと思うわけです。アカウンティングスクール(会計大学院)とありますけれども、確かに大学院かもしれませんけれども、本来アカウンティングスクールの充実ということになれば、学部レベルから、私どもでいえば商学部の3年生あたりからずっと積み上げていかないと、大学院に来て、にわかに教育のレベルが上がったり進化するものでもありませんから、学部と大学院との一貫教育として、ちゃんとした会計人を育てるための教育の仕組みといったようなものを、大学の側でも考えていかなければならない課題だろうと思っているんです。そんなことを試験制度の改善という観点からも期待しているんだというような論調で書き加えておいていただければと思います。


神崎座長 ありがとうございました。
 アカウンティングスクールについては、より積極的な形で表示をするということでありますね。


森田委員 今の問題で教えてほしいんですけれども、アカウンティングスクールというのが、そういう名称が認められたというのか、勝手につくれないんだろうと思うんですけれども、認められた場合に、そこを出た学生については、公認会計士になるための別の試験を課することになるんでしょうね。つまり、今の2次試験、それからインターン、3次試験というもののほかに、どうなるんでしょうか、2次試験にかわる特別な試験をやって、それでインターンかなんかに入るというような制度になるんでしょうね。司法試験の場合は、ロースクールはどういうふうになっているんですか。要するに、司法試験にわかるものができるんですか。


大藤大臣官房参事官 そこは、たしかこの前、法務省の方に来ていただいて、そういうロースクールについて、どういうようなことを考えているんだというお話をしたときは、まだそこは全然固まっておりませんというお話でしたので、そこはそういう段階ではないかと思います。再度確認いたします。


加古委員 私も確認したわけではないので、この前、参考人からお話を聞いた範囲内ですけれども、何かロースクールを出ると別枠の試験があって、その合格率が非常に高い、60%、70%というようなことをおっしゃったように思いますけれども、つまり、これは暗記勉強みたいにして準備をして、悪い意味での大学の入学試験のようにして司法試験に通っていくコースのほかに、もう一つ入口がある、それを示唆しているんだろうと思うんです。思考能力があって、判断力があって、しかも会計についてかなり高い水準の授業を受けて、点数も合格して、科目も単位も取っている、そういう者については、何か従来型のコースとは別のコースが用意されているということを目指すものではないかと私は理解しているんですけれども、具体的に研究したわけではありませんけれども、そんな期待は持っているわけです。


福田委員 アカウンティングスクール、前々回でしたか、ロースクールと同じようなレベルのものができれば、それを利用するということも考えられるというお話をしたんですけれども、今まで税理士試験で、大学院を卒業すれば、2回行けば税理士の試験が免除になるということで、あれと同じようなものだと非常に不安だという話があるわけです。そういうものとは違うんだろうという説明をしているわけですけれども、やはり司法試験で採用しているような形のロースクールと同じようなレベルのものができるというのが、やはり前提になるだろうと思うんです。今の大学院から税理士になるコースというのは非常に評判が悪い、余り勉強しなくてもなれるというような方式みたいなので、それとはっきり差をつけなければいけないんだろうと思っています。


神崎座長 そういう事柄も含めて検討いただくテーマであろうと思います。
 木下委員、お願いします。


木下委員 福田委員は、たしか実務補習の御担当を今はやっていないんですね。先ほど関委員の方からもお話がありましたように、インターンのときに、実務補習の期間でクライアントとの経験を交換しあうような、そういう経験をできるような、企業を知るような機会ということを実務補習の中に取り入れるというのはすごく難しいんですか。というのは、司法試験の修士のときには、現場研修的なものがすごくあったと思うんです。実務を知ってくる、そういう経験をして、一般の民間企業の中にも行ったんではないですか、研修なんかで。そういうような企業をよく知る機会ということは、今まではやっていないですね。


福田委員 今、木下委員がおっしゃるような内容のものは、直接やっていません。今、実務補習生のほとんどが監査法人に勤めているわけですから、仕事をしながら、それと並行してやっているということを考えれば、相当小グループにいろんなことをやらなければ、そういうことはできないわけなんで、現実にはやっていないし、今後も非常にやりにくいだろうと思っています。監査法人の方でカバーする方式でいくようなことになるだろうと思います、必要ならです。


木下委員 繰り返すようで申しわけないんですが、すごく私自身がこだわっている企業での経験というのは、例の銀行監査の反省の中であったことだと思うんですけれども、会計士は銀行業務がどんなふうに行われているかということを十分に理解されていなかったことが、やはり銀行監査に対して十分な監査として対応できなかったんではないかと指摘がたしかなされていたと思うんです。そういう意味で今、実際に監査法人の中には、大手の銀行さんを辞められた方たちが実際に入ってきていて、またそういう方たちの協力を得て監査をやっているという実際の問題があるわけです。やはりそうすると、銀行監査やなんかは非常に効果的に実際にできるという実績がありますし、また我々の通常の監査も、今までは本当に何でも屋さんだったと思うんです。非常にいろんな業種を平気でやってしまっていた。だから、そういう意味で実務というか、業界をよく精通しないで監査をやっていたところに、やはり我々の反省があるんだろうと思うんです。そういう特殊業務、または非常に複雑な業態を持っているような業種に関しては、やはり専門性を高めていくということからすると、いわゆる社会人からの受け入れて切磋琢磨していくという機会、これが必要なんだというのが本来的な主張なんです。その辺を取り入れるためには、学生から上がってきたようなやり方の試験はできないので、そこでもって、それだったら、そういう経験のある人たちに、3次試験なら3次試験の段階で受けるような方法はないんだろうかという意見を出させていただいたのが、その背景です。


加古委員 今の木下委員のお話は、5ページの(2)の第2パラグラフで「実務経験を積んだ社会人や他の職業専門家に対して」という箇所ですね。今回はこれ以上でない方がいいと思うんですけれども、やがてこの辺は具体的にぜひ詰めて検討していきたいと思います。今、思いつきでいろんなことを書き込まない方がいいと思いますが、ここのところは今後の検討課題としてぜひ残しておいていただきたいと思います。


神崎座長 特に御発言がないようでしたら、このあたりで意見交換は終了させていただきます。
 本日頂戴いたしました御意見等につきましては、問題整理に反映すべく修正を行い、次回、皆様にお諮りしたいと考えております。
 次回の会合につきましては、6月15日(木曜日)の午後3時30分から当第三特別会議室で開催させていただきますので、御出席くださいますよう、よろしくお願いいたします。
 なお、皆様の席上に第5回会合の議事録をお配りさせていただいております。御覧いただきまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、次回会合までに事務局までお知らせいただくようお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


午後3時50分閉会

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