参議院財政金融委員会における柳澤金融担当大臣の所信表明

(平成14年3月14日)

(はじめに)

金融担当大臣の柳澤でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと存じます。

まず、最近の金融情勢をみますと、雇用情勢を始めとして景気が厳しい状況にある中、株価や景気動向を通じた我が国金融機関への影響が議論されている状況であります。

こうした中、金融庁の任務であります我が国の金融機能の安定、預金者・投資者等の保護及び金融の円滑を図るため、昨年十月の「改革先行プログラム」等を踏まえ、引き続き、金融システム・証券市場の構造改革等の実行に積極的に取り組みます。特に、総理から指示のありました「早急に取り組むべきデフレ対応策」の一環として、不良債権処理の促進、金融システムの安定、市場対策等に全力を尽くしてまいります。

(不良債権処理への取組みについて)

まず第一に、不良債権処理への取組みについては、今後二~三年以内に確実に不良債権を最終処理し、同時に他の分野における構造改革を推進することにより、集中調整期間が終了する平成十六年度には不良債権問題を正常化するよう引き続き全力を尽くしてまいります。

このため、主要行に対し、通常の検査の抜本的強化に加え、特別検査を厳正かつ的確に実施するとともに、市場の評価に適時に対応した引当を確保します。また、特別検査の結果につきましては、適切な形で公表いたします。

次に、昨年の臨時国会における金融再生法改正による整理回収機構の機能拡充を受け、同機構を活用した不良債権処理と企業再生に積極的に取り組みます。また、企業再建のためのファンドの設立を推進します。

また、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の円滑化を図るとともに、主要行の破綻懸念先以下債権のオフバランス化に当たっては、再生可能な企業につき極力再生の方向で取り組むよう、金融機関に要請しております。

(ペイオフ解禁について)

第二に、本年四月には、ペイオフ解禁という金融行政の新たな転換点を迎えます。金融庁としては、金融機関に対する検査・監督等を通じ金融システムの安定の確保に万全を期するとともに、その円滑な実施のため、国民に対する広報活動にも引き続き鋭意努めてまいります。

なお、金融庁としては、金融情勢について十分に注視しており、現時点において金融危機が生じるおそれがあるとは認識しておりませんが、今後、万一、金融危機のおそれがある場合には、法令に従い的確に対処する考えであります。

(証券市場の構造改革について)

第三に、国民が安心して証券市場に参加できるよう、透明性・公平性の高い証券市場を構築することが重要です。このため、昨年八月に発表した「証券市場の構造改革プログラム」等を踏まえ、引き続き、例えば最近実施した空売り規制の見直し等に示されるように、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備、個人投資家にとって魅力ある投資信託の実現、投資家教育等を推進してまいります。

(結び)

最後に、二件の法律案、すなわち金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案及び証券決済システム改革に関する法律案につきまして御説明させていただきます。

前者は、「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約」の締結等に伴い、金融機関等に対して顧客等の本人確認及び取引記録保存を義務づける等、所要の措置を講ずるものであります。後者は、社債・国債等について、その決済の迅速化・確実化を実現するための新たな振替決済制度の創設等を行うものです。

法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めて御説明させていただきますが、当委員会の山下委員長及び委員の皆様におかれましては、よろしくお願い申し上げます。

(以上)

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