参議院財政金融委員会における竹中金融担当大臣の所信表明

(平成16年3月11日)

(はじめに)

金融担当大臣の竹中でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと思います。

最近の経済情勢を見ますと、企業収益が改善し、設備投資が増加するなど、経済には明るい兆しが見られます。政府としては、こうした明るい兆しが日本経済の隅々にまで浸透するように、構造改革の取組を加速・拡大し、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指しているところです。特に、金融行政においては、金融システムの安定・強化、金融資本市場の基盤整備に強力に取り組んでまいります。

(金融システムの安定・強化について)

まず、金融システムの安定・強化に関しては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築するため、「金融再生プログラム」の諸施策の推進に全力を尽くしているところです。

不良債権処理につきましては、昨年九月末の主要行の不良債権比率が平成十四年三月末に比べて一・九%ポイント低下するなど、主要行の不良債権比率を半減させるとの目標の実現に向け、着実に進捗しております。引き続き平成十六年度の不良債権問題終結を目指し、取組を進めてまいります。

また、中小・地域金融機関に関しては、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで不良債権問題も同時に解決していくことを目指し、昨年三月に公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の諸施策を推進してまいりました。

先般、その一環として、中小企業の実態により即した検査を確保する観点から、「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」の改訂を行ったところです。改訂においては、各金融機関が行う債務者の再生等に向けた真摯な取組状況なども踏まえた検査を実施していくことを明らかにしております。

さらに、現下の経済情勢の下、地域経済の活性化等が課題となる中で、金融機関は、企業再生や不良債権問題への対応など、リスク対応のための体力を高めることが重要となっております。こうした状況を踏まえ、地域経済の活性化や金融システムの安定・強化に資するよう、金融機能の強化のための新たな公的資金制度の整備等を行うこととしております。

(金融資本市場の基盤整備について)

次に、金融資本市場の基盤整備について御説明いたします。

我が国における資金仲介機能を強化し、経済の活性化を図るためには、金融資本市場の利用者の保護を図りつつ、資金仲介チャネルの多様化と利用者の利便性向上を通じ、間接金融のみに依存しない、信頼される効率的で国際競争力のある金融資本市場の基盤整備を図る必要があります。

このような観点から、銀行等による証券仲介業務の解禁、市場監視機能・体制の強化、ディスクロージャーの合理化、投資家保護範囲の拡大、市場間競争の制度的枠組みの整備等を図るとともに、株式等について、決済の迅速化・確実化を実現するために新たに振替決済制度の対象とするなどの制度整備を行うほか、信託業について、その担い手や受託可能財産の範囲の拡大を図るなど、信託制度の整備を行うこととしております。

(結び)

只今申し上げた施策を実現するため、先般、本国会に、金融機能の強化のための新たな公的資金制度の整備及びこれに関連する法案として、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律案」及び「預金保険法の一部を改正する法律案」を、また、金融資本市場の基盤整備を図る法案として、「証券取引法等の一部を改正する法律案」、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案」及び「信託業法案」を提出したところであります。

法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めてご説明させていただきますが、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては、御審議の程よろしくお願い申し上げます。

(以上)

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