参議院財政金融委員会における伊藤金融担当大臣の所信表明

(平成17年3月8日)

(はじめに)

金融担当大臣の伊藤でございます。引き続き宜しくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言申し述べさせて頂きたいと思います。

最近の経済情勢を見ますと、景気は一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっているものの、先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれております。こうした状況の下、政府としては、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行うとともに、集中調整期間終了後におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力を更に強化することとしております。特に、金融行政においては、引き続き金融システムの安定・強化、金融・資本市場の構造改革と活性化に強力に取り組んでいるところです。

(金融システムの安定・強化について)

まず、金融システムの安定・強化に関しては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築する観点から、「金融再生プログラム」の諸施策の推進に全力を尽くしているところです。

主要行に関しては、不良債権比率が十四年三月期の八.四%から十六年九月期には四.七%に低下し、主要行の不良債権比率を本年度末までに十四年三月期の半分程度に低下させるとの目標の達成に向けて、順調に低下しております。

また、中小・地域金融機関に関しては、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで不良債権問題も同時に解決していくことを目指し、平成十五年三月に公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の諸施策を推進しております。

金融庁としては、本年三月末までに不良債権問題を正常化できるよう、手綱を緩めることなく金融システムの安定・強化に一層注力するとともに、四月からは予定通りペイオフ解禁拡大を実施することとしております。

(金融・資本市場の構造改革と活性化について)

次に、金融・資本市場の構造改革と活性化について御説明致します。

我が国金融を巡る局面は、只今申し上げたとおり、不良債権問題への緊急対応から、将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局面に転換しつつあります。こうした状況の下、金融庁では昨年末に、「金融改革プログラム-金融サービス立国への挑戦-」を策定したところです。

このプログラムにもあるとおり、今後の金融行政においては、健全な競争の促進と利用者保護を図り、多様な金融商品やサービスを国民が身近に利用できる「金融サービス立国」を、「官」の主導ではなく「民」の活力で目指す必要があると考えます。

また、金融・資本市場の構造改革を促進する観点から、銀行等の代理店制度について、「規制改革・民間開放推進三か年計画」を踏まえ、金融サービスを提供するチャネル機能として柔軟に活用でき、新たなビジネスモデルに資するよう、所要の制度整備等を行うほか、根拠法のない共済について契約者保護ルールを適用するとともに、保険会社のセーフティーネットの必要な見直しを行うこととしております。更に、証券市場の国際化の動向に的確に対応しつつ、最近の証券市場を巡る状況の変化等を踏まえ、証券市場に対する信頼性を確保するため、最大限の対応をとって参ります。

(結び)

只今申し上げた施策を実現するため、本国会には、「銀行法等の一部を改正する法律案」、「保険業法等の一部を改正する法律案」及び「証券取引法の一部を改正する法律案」の提出を予定しております。

法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めてご説明させて頂きますが、当委員会の浅尾委員長及び委員の皆様におかれましては、よろしくお願い申し上げます。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る