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参議院財政金融委員会における柳澤金融担当大臣発言要旨

(平成13年10月18日)

(はじめに)

金融担当大臣の柳澤でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は、発言の機会をいただきましたので、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと存じます。

まず、米国において発生した同時多発テロは非道極まりない行為であり、強い憤りを覚えます。金融庁としても、現行のマネー・ローンダリング監視体制を活用して、金融機関等に対し、タリバーン関係者等に関連する疑いのある取引について届出を行うよう要請する等、積極的な取組みを行っているところです。

次に、最近の金融情勢をみますと、米国における同時多発テロ事件の世界経済への影響が懸念されており、株価や景気動向を通じた我が国金融機関への影響が議論されている状況にあります。

こうした中、去る九月二十一日に、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、「改革先行プログラム(中間取りまとめ)」が「改革工程表」とともに取りまとめられたところであります。金融庁としては、この中で取り上げられた証券市場・金融システムの構造改革の実行に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

(不良債権処理への取組みについて)

まず第一に、不良債権処理への取組みについては、次のような新たな施策を緊急に講ずることにより、不良債権処理を強化するとともに、金融の活性化を図ります。他の分野における構造改革と併せて推進することにより、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題の正常化を図ることとしております。

まず、資金供給の円滑化を図るため、特別保証の償還期限時の取扱いも含めて、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう民間金融機関等に対して要請しております。

次に、銀行の健全性確保のため、主要行に対して、通常の検査を抜本的に強化することとし、加えて、市場の評価に著しい変化が生じている等の債務者に着目した特別検査を実施するとともに、主要行に対して、市場の評価等に適時に対応した引当を確保するよう要請したところであります。

さらに、整理回収機構による不良債権の買取りについて、価格決定方式を弾力化の上、平成十五年度末までに集中的に実施するため、関係の法律について、現在、与党内で議論していただいているほか、整理回収機構は企業再建に積極的に取り組むこととしております。また、企業再建のためのファンドの設立を推進することとしているところです。

最後に、主要行の破綻懸念先以下の債権のオフバランス化にあたって、再建可能な企業については極力再生の方向で取り組むよう等要請したところです。

(銀行等の株式保有制限等について)

第二に、金融システムの構造改革という観点から、新たに銀行等に株式保有制限を課すとともに、これに伴う銀行等の株式処分が円滑に進められるよう、市場への売却を補完するセーフティネットとして、銀行等保有株式取得機構の早期設立を図ることとしております。このため、去る九月二十八日に「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案」を提出したところであります。また、銀行等の主要株主に関するルール整備及び規制の緩和に係る「銀行法等の一部を改正する法律案」が先の国会より継続審議の扱いとなっております。

(証券市場の構造改革について)

第三に、証券市場の構造改革について、個人投資家の積極的な市場参加のための環境整備を図り、証券市場による直接金融の機能を高めるため、金融庁として、八月八日に、「証券市場の構造改革プログラム」を発表しました。金融庁としては、プログラムに基づき、引き続き、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備、個人投資家にとって魅力ある投資信託の実現、投資家教育等を推進します。

(結び)

金融庁は、これらの方針に沿って、我が国金融システムの安定と活性化に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては何卒よろしくお願い申し上げます。

(以上)

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