谷垣委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年3月31日(金)於:参議院議員食堂】
  

【閣議案件】

 今日は、閣議に先立ち行政改革推進本部が開かれまして、規制緩和推進3ヵ年計画について再改訂の決定をいたしました。当委員会関連も77項目あります。

 閣議ですが、一般案件が5件。規制緩和推進3ヵ年計画の再改訂等。国会提出案件は質問趣意書に対する答弁書が3件。条約の公布は1件。法律の公布は2件。法律案が3件。政令は4件。人事は大使及び審議会委員の任免、叙位叙勲等。報告案件は2件。資料配布は労働力調査報告、消費者物価指数、家計調査報告の3件。

 閣僚発言は、総務庁長官から規制緩和推進3ヵ年計画の再改訂、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果に関して発言。国土庁長官から近畿圏整備計画、中部圏整備計画に関する発言。労働大臣から有効求人倍率に関して発言。国土庁長官、建設大臣、運輸大臣及び北海道開発庁長官から有珠山の火山活動に関して報告。外務務大臣から国際交流基金の理事長人事に関して発言。

 閣僚懇では、内閣総理大臣及び厚生大臣から介護保険制度に関して発言。自治大臣から地方分権推進法施行に関して発言。閣僚間で労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果に関して議論。

   

【質疑応答】

 問:外形標準課税について、昨日、東京都で条例が成立し、大阪府でも府会議員から同じように銀行を課税対象にしたものが提案されたようだが、こうした銀行を対象にした課税が全国的に広がっていることについて、どうご覧になっていますか。
  

員長:私自身の考え方は、政府の統一見解と同じです。私としては、金融システム再生のための努力と、外形標準課税との方向が食違うのではないかという懸念を持っておりますが、引き続き私共が持っている色々な手段で金融システムの安定を揺るがさないように努力をしていきたいと思います。これから様々なところで議論がされると思いますが、私が懸念している観点も含めて議論をお願いしたいと思っています。

  

 問:大手行への公的資金の注入から1年経ちましたが、外形標準課税の経営健全化計画への影響については、どの様にお考えですか。
  
員長:影響が出てくる惧れがあると危惧をしていますが、具体的な健全化計画との関連については、それぞれの金融機関から話があれば議論をしていかなければならないと思います。

  

 問:計画に対する影響というのは、具体的にはどういったことですか。
  
員長:これだけの税金を新たに負担するということになれば、様々なところで影響が出てくるだろうと思います。

  

 問:ソニーが昨日、銀行業への参入を正式に発表して、金融監督庁との折衝を開始することを明らかにしましたが、これについてはどういう風に受け止めておられますか。
  
員長:そういった発表をしたことは、報道で承知しておりますが、具体的な内容については個別の認可にかかることですので、コメントすることは差し控えます。

  

 問:こうした動きが相次いでいるわけですが、こうした動きについてはいかがですか。
  
員長:規制緩和や金融全体のシステムの変化の中で、新しい手法を試みたり、新しいサービスを模索されたりすることは、結構なことではないかと思っております。

  

 問:これからイトーヨーカ堂やソニーが具体的に予備審査の書類を出してくる段取りになると思いますが、今検討を進めている基準との関連で、基準ができてから予備審査の書類を提出してくることが望ましいのか、基準ができる前に議論を深める為にも書類を出してくることが望ましいのか、その辺はいかがですか。
  
員長:どちらが望ましいとも必ずしも言えないのですが、色々な議論が起っておりますから、我々としても自分達のスタンスをどうするかということは、できるだけ早く決めておかなければならないということに尽きるのではないかと思います。

  

 問:ソニーは持ち株比率が過半を超えると、つまり事業会社として銀行の過半数を超える株を保有することを宣言しているわけですが、一般論として事業会社が過半の株を持って銀行業に当たるということについてはどう思われますか。
  
員長:その辺はこれから議論していかなければならないところで、今の議論の論点も今まで会見でもある程度申し上げてきたつもりです。つまり事業会社との距離の取方とか、機関銀行化といった懸念をどう乗り越えていくかということになってくると思いますが、その辺はまだコンクリートな結論を持っているわけではありません。

  

 問:大臣の個人的な考えでもかまいませんが、過半以上株を持っているということで必ずしも免許をはねるということにならないということですか。
  
員長:私は合議制の委員会の委員長ですので、委員会の中で議論をして決めていくことだと思います。

  

 問:先日の大蔵委員会で、民主党の上田委員が朝銀大阪の破綻処理について疑わしい点があると指摘をして、将来の再生委員会の適格性の認定の作業に不信感を示されたわけですが、公正さ透明さは再生委としては生命線だと思いますが、この点についてはどう受け止めておられますか。
  
員長:あの時も上田委員にお答えしましたが、適格性の認定は法に照らして厳正にやるという事が基本であり、それを動かすことはできないということです。

  

 問:破綻すれば現状においては、必ず公的資金が導入されているわけで、金額の多寡はあるにしても、破綻すれば必ず入るとなれば悪用しようと思う人が出てくれば悪用できるのではないか。例えば、二つの金融機関が結託してやろうと思えば公的資金をある意味で詐欺的に受け取れるのではないかと思いますが、これを防ぐ手立ては考えなくてもいいのですか。
  
員長:あくまで個別具体の申請ではなく一般論として申し上げると、適格性の認定に当たっては、我々の持っている手法の中できちっと調査をするということだと思います。

  

 問:受け皿は関係の深い機関は避けるとか、送り込まれている管財人の仕事のサポートをもっと強化するとか、そういった手立ては考えられませんか。
  
員長:結局、管財人の仕事も金融再生委員会の仕事も、引受先が無限にあるのならば割合作業は楽で、その中から一番よいものを選んでいけばいいわけですが、必ずしも手を上げてくださる方がたくさんいるわけではなく、そこのところに前任者、前々任者もご苦労されてきたと思いますし、事務方もそこで苦労をしてきたと思います。ですから一概に関連の深いところは全部だめであると言ってしまうことは、現実的ではないと思います。関係の深いところについて性悪説に立てば問題が多いということにもなるのでしょうが、全部性悪説ばかりでは手が縛られてしまうと思います。いずれにせよ、その辺は実態をどう見ていくかということになってくるのではないでしょうか。

( 以 上 )


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