柳澤委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年12月26日(火)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等

 本日は、閣議の前に、男女共同参画推進本部会議というのがございまして、そこで「男女共同参画週間」というのが6月23日から一週間、これから毎年持たれるという話。目的は広報と啓発ということでございます。審議会等の中における女性の構成率が現在20.9%、ほぼ21%ということですが、これを5年間のうちの平成17年度末に30%に引き上げるということで各大臣が協力をするということになりました。

 閣議でございますが、これまでの閣議決定、閣議了解等につきまして、新省庁体制になったときに、それを当たり前のことですが、今まで古い役所の名前が書いてあって決定されているというようなものは読み替える等々の整理をするというお話がありました。これは当たり前のことだというふうに受け止めました。次に労働関係の統計の発表がありまして、失業率は11月、4.8%ということで、対前月0.1ポイント上がったということであります。東京都の消費者物価はマイナス0.6%。勤労者所帯の消費支出はマイナス2.1%という話がありました。有効求人倍率は、11月ですが、0.65%で、0.01ポイント改善という話が報告されました。「男女共同参画週間」の話と審議会等の話、先程の共同参画推進本部の決定事項が報告されました。エリトリアとアンゴラへの緊急援助をするという報告がありました。年始の日程の話がありました。初閣議は1月5日10時であります。1月6日土曜日に、8時15分から改めての補職の辞令交付があって、その後初閣議があるということでございました。副大臣の認証式が9時半にあり、その後副大臣の会議が行われるという話。13時半から大臣政務官の発令が行われるというような年始の話がありました。

 閣僚懇に移りまして、公邸の年賀が11時半から13時までありますので、宮中の年賀が終わって時間のある閣僚は是非寄るようにということでした。その後、これは私の発言ですから申し上げて良いかと思いますが、先程触れました労働統計を一体どう読むべきなのかという話を問題提起させて頂きました。失業率が4.8%と対前月で0.1ポイント程悪化しているのに、有効求人倍率の方は、この0.01ポイント改善をしている。しかもその中身を見ると、新規求人が25.7%上がり、新規求職はマイナスの2.5ということで、非常に雇用情勢が改善しているということが労働省の統計である。他方、総務庁の統計では、失業率が非常に高いということで、どうするのだろうかというような話をしました。閣僚からも少し発言があったわけですが、いずれにせよ個人消費にかなり大きな影響を与える指標、所得環境を構成する要素であるだけにここは注視していこうということになりました。

 閣議の中で、内閣承認人事が福田長官から了承を求められまして、私共は了承したわけでございます。そこで、ここで発表をさせて頂きます。金融庁は平成13年1月6日の中央省庁再編により改めて内閣府の外局として設置されることになりますが、この新たな金融庁長官に森昭治現金融再生委員会事務局長を起用することが本日の閣議で承認されました。発令は1月6日付でございます。尚、現在の日野正晴長官は1月6日付で退官されることになりましたが、同日付で金融庁顧問に就任を頂くことになりました。部から局に改組されることになりました総務企画局長、検査局長、及び監督局長につきましては、それぞれ現在の乾文男総務企画部長、西川和人検査部長、及び木祥吉監督部長を起用することが本日の閣議で承認されました。

 金融再生委員会は、1月5日にその任務を終えるわけですが、私共、ペイオフが1年間残るということに伴って、金融再生法の関係、或いは早期健全化法の関係も、各々延長線上の考え方で残るということがあることは皆さん既にご承知の通りです。これは、金融危機対応の話とは全く別なのですが、再生法の考え方の延長上で同様の措置が取られているということから、やはりそれを取り扱う行政機関も、三条委員会そのものをどうこうというわけにはいかないわけですけれども、やはり同じような運用をしたいなあというのが私の予ての希望でございまして、そういうことを実現する為に、現在の委員である4名の顧問の方と私、それから森新長官をもって、「金融庁顧問会議」というようなことで、今の金融再生委員会を出来るだけそのまま同じような感じでご意見が聞けるようにしたい。勿論これは議決機関でありませんから、従来とは少し変わるわけでありますけれども、基本的に同じ考え方で、顧問ということは、細かいこと言うようで恐縮ですが守秘義務もかかりますので、そういう意味ではこれまでとほぼ同様の運営が出来る体制を引かせて頂けるというふうに考えまして、これも1月6日付で顧問にご就任を頂いて、そして今言った意味での顧問会議の構成メンバーになって頂くということに致しました。これも発令権者は金融庁長官ですけれども、私として総理、官房長官にもご了解を頂いたということでございます。

 

質疑応答】

 問:金融庁長官に森事務局長を選ばれた理由と、金融庁発足当初は大蔵省の不祥事とか、財金分離ということで、敢えて法務省の方を長官に据えるという処置を取られたと思うのですが、また再び大蔵省出身の方をこのポストに就けるということについての大臣のお考えをお聞かせ下さい。
 

員長:理由は適任であると考えたからであります。これは皆さんご承知の通り、総理大臣が発令権者でございますので、私はアドバイスをする立場でございますが、いずれにせよ、私が適任であるということを申し上げまして、総理大臣も当然同意頂いてこういうことになったということに尽きます。
 それに付随した次の質問ですが、財金分離ということではありますが、財金が分離してしまった後の人事の延長ですから、これは大蔵省から直接頂いたというような人事と違うわけで、その点では当然ご批判というのは当たらないのではないかと考えております。日野長官も本当にあの危機の中で、非常に的確な判断をして大活躍して頂いたということであります。しかし、徐々に危機管理の部分も勿論残っているわけですが、危機管理ということになれば、例えば再生法の世界、健全化法の世界共に、非常に公正さというものが求められるわけで、そういう意味では司法の方の考え方も取り入れる必要が十分あるわけです。これを我々は望んでいるわけですが、そういう危機管理、危機というようなことが徐々に去っていって、安定化した中での金融行政ということでございますので、顧問に残って頂いて色々今までご貢献頂いたようなそういうサイドのことは十分これから共にお力添えを頂けるという体制を作りましたので、私としてはこの体制がベストであるとこのように信じている次第です。

 

 問:顧問会議の件ですが、今までと同じような仕組みをほぼ残したいということですが、議決権のない組織に、破綻処理や資本注入を受けている銀行の大部分を詳しく見ることになるのは、なかなか難しいのではないかなあという感じがするのですが、先程守秘義務があると仰ったのですが、どのようにその辺を運営されていくのか、又事務的な話になるのですが、週何回とか、そういったペースで続けられるのかこの点をお聞かせ下さい。
 

員長:確かに議決機関というか法令で設置される機関とは違うわけでございまして、その意味で法律的にギリギリとした話をすれば明らかにこれは違うということになるわけですが、先程言ったようにペイオフが延期になって、その間金融2法の考え方を延長した制度が続くわけなので、それを運用するということは今までのシステムが国民の皆様からそれなりにご信頼を頂いた、我々は非常に高く評価しているわけで、そう思いますからこの体制を継続したいということでございます。支障があるかと言えば、これは寧ろ守秘義務がかかりますので、そうその点は支障がないのではないかと考えてますし、我々は、ここでこういう合議体に色々相談をしていくことによって、その間の議論の状況が事後に公開される、そういうことで透明性が上がり、透明性が金融2法の頃と劣らずに確保されるというところにメリットを置いて、認めて頂けるのではないかと考えおります。
 開催の頻度等は、実際顧問になって頂く方に今までと同じようにはなかなかいけないので、レギュラリーには、隔週に1回ぐらいかと、しかし仕事というか個別の事案を含めて必要に応じて臨時の会議も開かせて頂けるということでご了承を頂いているところであります。

  

 問:顧問会議のメンバーには、同じく顧問に就任される日野さんは入られないのかということと、顧問会議の議事録は公開していくということでしょうか。
 

員長:顧問にご就任頂きながら、趣旨というか、我々の期待する役割というか、期待させて頂く役割が異なることは先程の発表でも申し上げた通りなので、基本的に私の考えは今の再生委員会を確かに法的な地位、立場は代わったけれども、そのまま移行して維持して行きたいというのが私の念願ですので、例外的に色々とご協力頂くことはひょっとしてあるかもしれませんが、別にそこを排除しているわけではないのですが、基本的に今の延長線上で走りたいということでございます。
 議事録は公開するということでいきたいと思います。

 

 問:人事の件ですが、浜中次長はご退任という形になられるのでしょうか。
 

員長:浜中次長につきましては、1月5日限りでポストが廃止されるということでございますので、同日付で退官をされるということになっております。

  

 問:顧問会議の件ですが、法的権限が再生委員会とは全く違うということが明らかだと思うのですが、破綻処理をされる方から、或いは公的資金を申請して承認される方からして、法的権限が曖昧な方々に生死のところをその方々の意見で決まってしまうところに不安があるのですが、この辺は議論の透明性とか守秘義務等でクリアされていかれると思うのですが、その辺りの議論はどのようなのがあったのでしょうか。
 

員長:これは当然責任ということが問題かと思うのですが、責任は金融担当相にあるということは明白であります。しかし、同じような精神の法律の運用、或いは法体制の運用をやる時に、ここで一挙にこの独任制にすることとの比較、考慮をしまして、私はこれまで同様に確かに法的な立場というか地位というのは違うけれども、同様に運用させて頂くのが国民の信を頂く所以だというように考えたということです。

 

 問:顧問会議ですが、ペイオフ解禁になる2002年の4月直前ぐらいをもって廃止するということでしょうか。
 

員長:そういうことです。その点、ちょっと恐縮でした。その点を私の方から付け加えさせて頂きます。

 

 問:顧問の方の報酬はどうなるのでしょうか。又、議事録の公開ですが、4月から情報公開法が出来ますが、多分処分とか申請が却下された方はそういうのを利用してすぐさま申請されてくると思うのですが、再生法の時は3年というのがありまして、これも法律が出来たらそちらに移行すると思うのですが、これはもう4月以降は随時請求されたら公開するということになるのでしょうか。
 

員長:まず、情報公開法は基本的にそういうことになるというふうに認識しておりますが、出来るだけそういうことには応えていきたいと思いますし、基本的にこちらサイドの公開、こちらサイドの意向に基づく公開というのは、これまでの再生委員会と同じ考え方で運用していきたいと考えております。
 報酬は、本当に申し訳ないのですが、普通の顧問の報酬ということで、会議があった日に、2万円とかそういう謝礼をさせて頂くということになります。その意味でも随分ステータスが変わってしまうわけでございます。

  

(以上)


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